目次
妊活中にあまり経験したことのない症状が出たなら、妊娠の可能性を疑いましょう。
妊娠したかもしれないのに性行為はして良いのか?
妊娠初期ってどんな症状がでるのか?
わからないことばかりで不安が大きくなる一方です。
そこでこの記事では、以下の内容について解説します。
- ・排卵から着床までの流れ
- ・妊娠初期症状について
- ・妊活中に必ずすべきこと
妊娠の可能性が濃厚になった方が次にすべき行動を解説します。ぜひ最後までお読みください。
妊娠の基礎知識!排卵から着床までの流れ
この章では、妊娠をするための排卵から着床までのプロセスを解説します。
妊娠までに体の中でどのようなことが行われているのかわかる内容となっているため、ぜひご覧ください。
排卵
排卵とは、卵巣内で18〜20mmに育った卵子が卵胞(卵子を包む膜)を破り、卵管に排出されることです。エストロゲン(黄体ホルモン)という妊娠ホルモンが大量に分泌されることで排卵が促され、妊娠に向けた第一段階です。
月経周期で排卵は、およそ4週間に1回のペースで行われます。排卵後に受精しない場合、子宮内膜とともに月経として出血し排泄されます。
受精
受精とは、排卵された卵子と精子が卵管で出会い合体することです。ただし、この時点ではまだ妊娠は成立していません。
受精卵は受精後に他の精子が入ってこないように受精膜を張るとともに、直ちに細胞分裂を始めます。そして、5日程度かけて細胞分裂を繰り返しながら、最終的には胚盤胞(はいばんほう)となり、卵管から子宮へと向かいます。
着床
着床とは、受精卵(胚盤胞)が子宮内膜に到達して潜り込むことです。
受精後は、妊娠継続を後押しするためのプロゲステロン(黄体ホルモン)という妊娠ホルモンの分泌が盛んになり、子宮内膜を着床しやすいように柔らかくします。
一方で受精卵の外層には合胞体栄養細胞という子宮内膜の表層を壊し、潜り込むための組織があります。子宮内膜に潜り込んだ後の受精卵は、さらに細胞分裂を繰り返しながら成長していくのです。
妊娠
着床後10日前後で妊娠反応を確認できます。
着床後は、妊娠に関するホルモン分泌を促すhCGホルモン(ヒト絨毛性ゴナドトロピン)が大量に分泌されます。妊娠検査薬は、尿中に排泄されるhCGホルモンの有無で妊娠判定を行います。
妊娠検査薬の使用時期はhCGホルモンが分泌される妊娠5〜6週目、つまり生理予定日の1〜2週間後がベストと言われています。なぜなら妊娠検査薬で検出できるhCGホルモンの分泌量が妊娠5週間以降だからです。
そのため妊娠検査薬を早めに、もしくは極端に遅い時期に使っても正しい判定を得られないことがあるので注意が必要です。
妊娠初期症状とは?着床後に見られる体の変化
着床後に見られる体の変化として妊娠初期症状があります。
この章では、妊娠初期症状について以下の内容をお伝えします。
妊娠初期症状の種類や程度、期間は人それぞれ異なります。そのため、あなた自身の症状と照らし合わせて、妊娠初期症状かどうかを判断するためにご活用いただけると幸いです。
妊娠初期症状が出る時期や期間
妊娠初期症状が出る時期は、早ければ妊娠3週目から現れます。また、症状が持続する期間は人それぞれ異なり、長い方だと妊娠5カ月目まで続くと言われています。
妊娠週数で言ってもわかりにくい方は、生理予定日から1〜2週間以内を目安に考えると良いでしょう。そのため、予定日になっても生理が来なかったり、風邪症状など体調を崩しやすいと感じたりした方は、妊娠初期症状が出始めた可能性があります。
妊娠初期症状が出る理由
妊娠初期症状が出る理由は、以下の3つの妊娠ホルモン(女性ホルモン)が関係しています。
- ・hCGホルモン(ヒト絨毛性ゴナドトロピン)
- ・エストロゲン (卵胞ホルモン)
- ・プロゲステロン (黄体ホルモン)
排卵誘発や妊娠の準備のため大量に分泌されるとホルモンバランスが崩れ、妊娠初期症状が現われます。つまり、赤ちゃんを育てるための環境作りをした結果、お母さんの体に変化(妊娠初期症状)が現れるイメージです。
具体的な妊娠初期症状
具体的な妊娠初期症状は、以下の通りです。
- ・基礎体温が高い(微熱が続く)
- ・おりものの色が変わった
- ・おりものの量が増えた
- ・少量出血があった(着床出血)
- ・めまいや立ちくらみがある(貧血症状)
- ・食欲にムラが出た
- ・胃がムカムカしたり、いつもよりゲップが出たりする
- ・チクチクと下腹部痛があった(着床痛)
- ・胸が張る
- ・日中眠たい
- ・体が重だるい
- ・トイレが近い
- ・むくみが出やすい
- ・情緒不安定になった
- ・生理が予定日の1週間オーバー
いつもとは違う感じの風邪に似た症状が続くなら、妊娠初期症状の可能性があります。
また、着床出血や着床痛など妊娠のサインがあることも合わせて覚えておきましょう。
着床出血とは、受精卵が子宮内膜に潜り込む際の出血のことです。妊娠の可能性を示すサインである一方、出血量が比較的少量であるため気づかない方も多くいます。確認できるとしたら妊娠3〜4週目前後なので、この時期に出血がないか注意深く観察しましょう。
着床痛とは、受精卵が子宮内膜に着床する際に感じる痛みです。生理痛が重たい痛みに対して、着床痛はチクチクした痛みと表現されるのが多いです。加えて、胃や恥骨(骨盤前方にある骨)痛、胸やお腹が張るなどの症状が一緒に出ることもあります。
妊娠初期症状の程度や持続期間は人それぞれ異なります。そのため、症状が重く体調を崩したり、予定日を過ぎても生理がこなかったりするなら、妊娠検査薬の使用や産婦人科の受診をしてみましょう。
妊娠初期症状が出たら気をつけること
妊娠初期症状が出たら妊婦として自覚を持った行動をとりましょう。
例えば、以下の行動をするのが望ましいです。
- ・飲酒・喫煙を止める
- ・カフェインの摂取を止める
- ・内服薬についてかかりつけ医に相談する
- ・過度な運動は避ける
- ・レントゲンなど放射線被曝を避ける(必要時は専門家に相談)
- ・流行り風邪や感染症に注意
- ・人混みは避ける
- ・規則正しい生活を心がける
お母さんと赤ちゃんは血管を通して繋がっています。そのため、お母さんの体内に取り入れられる食べ物や内服はすべて赤ちゃんに影響するものと考えましょう。
また、レントゲンや流行りの感染症など外的要因が赤ちゃんへ悪影響を及ぼすこともあります。そのため、レントゲン検査が止むを得ず必要な場合を除いて放射線被曝は最小限にしたり、人混みは覚めた生活を心がけたりしましょう。
妊活中の女性必見!妊娠前に必ずすべき6つのこと
妊娠前からお母さんが注意しておかなければいけないことが沢山あることを皆さんはご存知でしょうか。
とくに妊娠を望んでいるカップルなら必ずすべき以下の6つのことがあります。
- ・歯科治療
- ・葉酸の摂取
- ・風疹の抗体検査
- ・かかりつけ医へ内服の相談
- ・禁酒・禁煙
- ・カフェインを避ける
1日でも早く妊娠したり、妊娠後に困ったりしないように、この章で解説する内容をご活用していただければ幸いです。
1. 歯科治療
歯科治療は妊婦や胎児に悪影響を与えるため、できる限り妊活中もしくは非妊娠期に済ませておきましょう。
お母さんへの影響は、以下の通りです。
虫歯があると痛みの原因となるプロスタグランジンというホルモンが分泌されます。このプロスタグランジンは子宮収縮を促す危険性のあるホルモンであるため、妊娠中に虫歯ができると早産のリスクが高まると言われています。
妊娠中はホルモンバランスが乱れやすく、妊婦性歯周炎を誘発しやすい時期です。そのため、日頃から歯磨きや歯周病ケアなども欠かせません。また、妊娠後期はお腹が大きくなり、仰向けでの治療は息苦しさの原因にもなります。
歯科治療が必要な場合は、妊娠初期に済ませておきましょう。
赤ちゃんへの影響は、以下の通りです。
- ・麻酔や抗生剤の副作用が出る
麻酔などのお薬は臍帯を通じて赤ちゃんの体にも届きます。お母さんへの影響はないお薬でも、赤ちゃんにとってはとても強いことも十分考えられます。そのため、麻酔の使用は歯科医師と相談しながら決めるようにしましょう。
※参考資料:公益社団法人日本歯科医師会 P4
2. 葉酸の摂取
妊活中から葉酸の摂取をして貧血予防をしておきましょう。
妊娠後は赤ちゃんへ酸素や栄養素を送るための大量の血液が必要です。しかし、お母さんが貧血だと赤ちゃんへ必要な酸素や栄養素を届けられず、成長を妨げることになりかねません。
また葉酸の摂取は、神経管閉鎖障害のリスクを軽減するとも言われています。神経管閉鎖障害とは、DNA合成が上手くいかず、脳や脊髄などの神経が不十分な状態になってしまう妊娠初期の先天性異常のことです。
葉酸は妊娠初期のDNA合成にも関わっており、これら先天性異常のリスクを軽減する働きもあるのです。
3. 風疹の抗体検査
お母さんが妊娠初期で風疹にかかると、赤ちゃんに障害が出る可能性があります。
具体的な障害は、以下の通りです。
- ・視覚障害
- ・聴覚障害
- ・先天性心疾患
- ・発達障害
これらを総称して「先天性風疹症候群」と言います。妊娠後は、赤ちゃんへの影響を考慮して風疹のワクチンの接種はできません。赤ちゃんを守るために妊娠前からできる予防策の一つなので、必ず風疹ワクチンの接種をしておきましょう。
※参考資料:厚生労働省/風しんの予防接種で未来の赤ちゃんを守れます
4. かかりつけ医へ内服の相談
内服薬はかかりつけ医に相談してから飲むようにしましょう。種類によっては赤ちゃんへ悪影響を及ぼしたり、重篤な障害の原因になったりするかもしれません。
例えば、妊娠4週未満は薬剤の影響を受けやすく、受精卵が着床せずに流産になるリスクを高いと言われています。他にも血液をさらさらにするワーファリンは、胎児の軟骨形成不全や中枢神経系の異常を誘発することが分かっています。
持病などで定期内服が必要な薬は、妊娠前からかかりつけ医に相談しておくことが望ましいでしょう。また妊娠後に継続するなら、内服方法や赤ちゃんへ影響のない薬に変更してもらうなどの対応が必要になります。
※参考資料:日本産婦人科医会/妊婦の薬物服用
5. 禁酒・禁煙
妊娠中、習慣的にアルコールを飲んでいると胎児性アルコール症候群を発症するリスクが高くなります。なぜなら、アルコールの代謝産物であるアルデヒドは胎盤を通じて胎児脳の発育形成に異常をもたらし、 知的・発達障害などの先天性異常の原因になるからです。
また、タバコに含まれるニコチンという有害物質には血管収縮作用があり、子宮内胎児発育遅延の原因になります。そして胎児性アルコール症候群の発生率を高めることも分かっているため、妊活中から禁酒・禁煙をしておくことが望ましいでしょう。
代表的な先天性異常について、日本産婦人科医会は以下を紹介しています。
また、アルコールやタバコは流産や死産のリスクも高めます。赤ちゃんの命を守るためにも禁酒・禁煙をする必要があるのです。
※引用:日本産婦人科医会/飲酒、喫煙と先天異常
6. カフェインを避ける
妊娠中にカフェインを摂取すると胎児の成長が遅れたり、出生児の低体重・早産・死産のリスクを高めたりします。
また妊娠中は代謝能力が落ちることや臍帯を通じて胎児循環をするため、摂取したカフェインが排泄されるまでに時間がかかります。カフェインの体内滞在時間が長いと、それだけ胎児へ悪影響を及ぼす時間も長くなるのです。
またカフェインは中枢・末梢神経を刺激し、血圧上昇・不眠の原因にもなります。妊娠中はカフェインの摂取を避けつつ健康的な体作りをして、赤ちゃんを守ってあげたいですね。
カフェインが多く含まれる食品は、以下の通りです。
どうしてもコーヒーや紅茶などが飲みたいならノンカフェインで代用するのもオススメです。
※参考資料
厚生労働省/食品に含まれるカフェインの過剰摂取についてQ&A ~カフェインの過剰摂取に注意しましょう~
食品安全委員会/食品中のカフェイン P2
妊活中の人が知っておくべき不妊の話
妊活中のカップルにとって赤ちゃんを授かることは、人生の希望そのものです。しかし妊娠を望んでも授かることのできない不妊症の方もいます。
そこでこの章では、妊活中の人が知っておくべき不妊の話について、以下の内容を解説しましょう。
- ・不妊症とは?
- ・検査と治療
不妊について正しく理解し、妊娠へ前向きに進めるようになりましょう。
不妊症とは?
不妊症とは健康な男女が避妊なしで性行為を行い、1年以上妊娠しない状態のことです。
女性側の不妊因子として排卵自体がないことや子宮内膜症を合併、骨盤腹膜炎の既往歴などが挙げられます。男性なら精子を作る数が少ない造精機能障害や生死の通り道が狭い精路通過障害があります。
この他にも男女ともにクラミジアなどの性病が不妊の原因になっている場合もあるのです。
現在、不妊症は10組のカップルに1組はいると言われています。男女とも加齢は卵子・精子の劣化が原因にもなるため、不妊治療を始めるなら早めが良いでしょう。
また、不妊の原因は男女で半々です。そのため夫婦間で正しい情報を共有し、妊娠に前向きになることが大切です。
※参考資料:公益社団法人 日本産科婦人科学会/不妊症
検査と治療
不妊については、男女ともに検査や治療法が確立されているので安心してください。
女性の検査は、膣・子宮・卵管に対して内診や造影検査・血液検査で不妊の原因を探り、適切な治療が行われます。痛みや苦痛が伴う検査もあるため、検査前に医師としっかり相談してから受けましょう。
男性の検査は、精液を採取して精子の数や活動性を調べます。その他にも、精索静脈瘤の可能性を考慮した精密検査も行い、手術適応になる場合もあります。女性と同様に痛みや苦痛が伴うこともあるため、検査の必要性を十分理解した上で受けるようにしましょう。
この他にも妊娠しやすい日に性行為を行い、翌日子宮頸管粘液を採取する性交後試験(Huhnerテスト)もあります。採取した子宮頸管粘液に直進運動精子がない場合、免疫因子(抗精子抗体)検査の実施です。
男女ともにさまざまな検査や治療法があり、妊娠できる可能性も高まりつつあります。不妊かもしれないと思ったら、産婦人科を受診しましょう。
※参考資料
公益社団法人 日本産科婦人科学会/不妊症
東邦大学医療センター/大森病院リプロダクションセンター(泌尿器科)
まとめ: 妊娠初期はお母さんの体の変化が大きい時期
以上、妊娠までのプロセスやそれに伴うお母さんの体の変化について詳しく解説しました。
妊娠初期は妊娠を継続するための準備期間であり、お母さんの体が大きく変化する時期でもあります。そのため、つわりや微熱を伴う風邪に似た症状などの妊娠初期症状が長期的に続き、心身ともに疲労します。
とくに初産婦の方はこれまでに経験したことのない症状とも上手く付き合っていく必要があるため、無理は禁物です。疲れた時は体を休め、辛い時は周りの人に頼るなど、不安や負担を減らせるように心がけましょう。
また記事最後に不妊についても触れました。現在、不妊については様々な原因や治療法が確立されており、早期から介入することで妊娠率を高めることもできます。
専門機関を受診したり、妊娠するために治療に頼ったりするのはハードルが高いですが、決して恥ずかしいことではありません。
この記事が妊娠初期に関するさまざまな不安を解説できるなら嬉しいです。