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子宮・卵巣と腸の癒着とは?原因・症状・わかり方と治療、放置するとどうなるかを解説

仲田洋美 医師

この記事の監修:仲田洋美(臨床遺伝専門医)

ミネルバクリニック院長。臨床遺伝専門医として遺伝医療に携わっています。

子宮や卵巣と腸の癒着とは、本来は離れて自由に動いているはずの子宮・卵巣と腸が、炎症や手術のあとにできた線維性の組織でくっついた状態のことです。主な原因は子宮内膜症と、おなかの手術(開腹手術・帝王切開など)、骨盤内の感染症です。癒着があっても症状のない人は多く、癒着があるというだけで治療が必要になるわけではありません。問題になるのは、痛み、腸閉塞、そして妊娠しにくさにつながる場合です。この記事では、腸と子宮・卵巣の位置関係から、癒着の原因、症状、わかり方、治療、妊娠への影響、遺伝との関わりまでを順に解説します。

この記事でわかること
📖 読了時間:約14分
🩺 子宮・卵巣と腸の癒着
★ 臨床遺伝専門医監修

Q. 子宮と腸が癒着するとどうなりますか?

A. 多くは無症状で、経過をみるだけで済むことも少なくありません。一方で、子宮内膜症による癒着では月経時の排便痛や性交痛、手術後の癒着では便秘やおなかの張りが出ることがあり、まれに腸がふさがる腸閉塞を起こします。卵管のまわりが癒着すると、妊娠しにくくなったり子宮外妊娠のリスクが上がったりします。嘔吐や、便やおならが出ない強い腹痛は、すぐに受診が必要なサインです。

  • ➤原因 → 子宮内膜症・チョコレート嚢胞、開腹手術や帝王切開、クラミジアなどによる骨盤内の感染症
  • ➤わかり方 → 内診・経腟超音波・MRIで疑い、確定するのは腹腔鏡。画像に映りにくい癒着もある
  • ➤治療 → 症状がなければ経過観察。子宮内膜症はホルモン療法、必要に応じて手術で癒着をはがす
  • ➤マッサージ → 線維性の癒着は、おなかの外からのマッサージでははがれない

1. 子宮・卵巣と腸の癒着とは

子宮・卵巣と腸の癒着とは、骨盤の中で隣り合っている子宮や卵巣と、直腸・S状結腸・小腸などの腸が、線維性の組織でくっついた状態を指します。「子宮と腸の癒着」「卵巣と腸の癒着」と別々に呼ばれることもありますが、実際には子宮・卵巣・卵管・腸がまとめて癒着していることが多く、医学的には「骨盤内癒着」と総称されます。

癒着とは|本来離れている臓器が線維性の組織でくっつくこと

癒着とは、本来は離れているべき臓器や組織どうしが、炎症や手術などをきっかけに、線維性の組織でつながってしまった状態のことです。おなかの中の臓器の表面は、腹膜というつるつるした薄い膜で覆われています。腹膜があるおかげで、腸は食べ物を送るためにうねうねと動き、子宮や卵巣も周囲とこすれ合いながら位置を変えることができます。

この腹膜が傷ついたり炎症を起こしたりすると、傷を治すためにフィブリンという「のり」のようなたんぱく質がしみ出してきます。ふつうはこのフィブリンが数日のうちに溶かされて、腹膜はなめらかに元に戻ります。ところが、炎症が強い、血流が悪い、出血が続くといった条件が重なると、フィブリンが溶けきらずに残り、そこへ線維をつくる細胞や血管が入り込んで、しっかりした線維性の帯(癒着)ができあがります。薄い膜のような癒着から、臓器どうしが面でぴったり張りついた硬い癒着まで、程度はさまざまです。

おなかの手術を受けた人では、癒着はかなりの頻度でみられます。腸閉塞の原因を調べた英国の研究では、開腹手術を1回受けた人の約93%に癒着がみられた一方、手術歴のない人でも約10%に癒着があったと報告されています[1]。つまり、癒着そのものは珍しい状態ではありません。

💡 用語解説:腹膜(ふくまく)

腹膜は、おなかの壁の内側と、腸・子宮・卵巣などの臓器の表面を覆っている薄い膜です。表面から少量の液体を出して、臓器どうしが滑らかに動けるようにしています。腹膜が炎症や手術で傷つくと、その修復の過程で癒着ができることがあります。

腸と子宮・卵巣の位置関係

子宮は骨盤の中央で、前(おなか側)に膀胱、後ろ(背中側)に直腸がある位置にあり、子宮と直腸のあいだには「ダグラス窩(か)」というくぼみがあります。腸と子宮がこれほど近いことが、子宮・卵巣の病気や手術が腸の癒着につながりやすい理由です。

おなか側から背中側へ順に並べると、膀胱、子宮、ダグラス窩、直腸となります。卵巣は子宮の左右に1つずつあり、卵管を介して子宮とつながっています。子宮の上側には小腸がのっていて、左の後ろ側には直腸へ続くS状結腸があります。立ったり座ったりしているとき、ダグラス窩はおなかの中でいちばん低い場所になるため、おなかの中に出た血液や炎症でできた液体がここにたまりやすく、子宮の後ろの面と直腸の癒着が起こりやすい場所でもあります。

膀胱おなか側
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子宮左右に卵巣・卵管
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ダグラス窩癒着が起こりやすいくぼみ
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直腸・S状結腸背中側

図は骨盤を横から見たときの並びを、おなか側から背中側へ示したものです。子宮の上には小腸がのっています。子宮そのものの位置や大きさは子宮の位置、卵巣の位置は卵巣の位置の解説で詳しく扱っています。

💡 用語解説:ダグラス窩(直腸子宮窩)

ダグラス窩は、子宮の後ろの面と直腸のあいだにある、腹膜でできたくぼみです。直腸子宮窩(ちょくちょうしきゅうか)とも呼ばれます。おなかの中で低い位置にあるため、血液や液体がたまりやすく、子宮内膜症の病変ができやすい場所として知られています。ここが癒着で埋まった状態を「ダグラス窩閉鎖」といいます。

癒着があっても症状がないことは多い

子宮や卵巣と腸が癒着していても、腸の動きを妨げない程度であれば、何の症状もないことがよくあります。実際、手術のときに偶然、癒着が見つかる人は少なくありません。薄い膜状の癒着であれば、腸はその周りでふつうに動くことができます。

癒着が問題になるのは、腸が折れ曲がったりねじれたりして内容物が通りにくくなるとき、子宮や卵巣が動くたびに引きつれて痛みが出るとき、卵管の動きが妨げられて妊娠に影響するときです。そのため、「癒着がある」と言われただけで慌てる必要はなく、症状があるかどうか、妊娠を希望しているかどうかによって、経過をみるのか治療を考えるのかが決まります。大腸の内視鏡検査を受ける場合など、日常生活で気をつけたい点は第4章で説明します。

2. 子宮と腸が癒着する原因

子宮・卵巣と腸が癒着する主な原因は、子宮内膜症(卵巣チョコレート嚢胞を含む)、おなかの手術、骨盤内の感染症の3つです。いずれも、骨盤の中の腹膜に炎症や傷が生じるという点で共通しています。

🩺 子宮・卵巣と腸の癒着の主な原因

原因 癒着ができる仕組み 癒着しやすい場所
子宮内膜症 病変からの出血と炎症を月経のたびに繰り返す ダグラス窩、子宮の後ろの面と直腸、卵巣
卵巣チョコレート嚢胞 卵巣の中にたまった古い血液と、周囲への炎症 卵巣と子宮の後ろ、骨盤の壁、腸
手術(開腹・腹腔鏡・帝王切開) 腹膜の傷が治るときにフィブリンが残る 手術した部位の周り、おなかの壁の内側
骨盤内の感染症 細菌が子宮・卵管・骨盤の腹膜に炎症を起こす 卵管と卵巣の周り、肝臓の周り

※複数の原因が重なることもあります。

子宮内膜症|ダグラス窩の閉鎖と腸の子宮内膜症

子宮内膜症は、子宮の内側を覆う子宮内膜に似た組織が、子宮の外(卵巣、ダグラス窩、腸の表面など)にでき、月経のたびに出血と炎症を繰り返す病気で、子宮と腸の癒着のもっとも代表的な原因です。日本産科婦人科学会は、子宮内膜症では月経の出血がうまく排出されずにおなかの中にたまったり、周りの臓器や組織と癒着したりして、さまざまな痛みをもたらすと説明しています[2]。

病変はダグラス窩や子宮の後ろの面にできやすく、炎症が続くと子宮の後ろの面と直腸が張りついて、ダグラス窩が埋まってしまうことがあります(ダグラス窩閉鎖)。子宮が直腸側へ引っぱられて後ろに傾いたまま動かなくなる状態を、固定された子宮後屈と呼ぶことがあります。子宮の傾きそのものについては子宮後屈などの子宮の位置異常で解説しています。

さらに進むと、病変が腸の壁の中まで入り込むことがあり、これを腸の子宮内膜症(腸管子宮内膜症)といいます。深部子宮内膜症の病変が腸に及ぶのは、子宮内膜症の女性の8〜12%と推定されています[3]。腸の中でも、子宮のすぐ後ろにある直腸からS状結腸にかけてがもっとも多い部位です。子宮内膜症という病気そのものの全体像は子宮内膜症の解説をご覧ください。

💡 用語解説:深部子宮内膜症

深部子宮内膜症は、子宮内膜症の病変が腹膜の表面にとどまらず、その下の組織(直腸の壁、子宮と直腸のあいだの靭帯、膀胱など)へ深く入り込んだ状態です。強い月経痛や排便痛、性交痛の原因になりやすく、腸に及ぶ場合は腸の子宮内膜症と呼ばれます。

卵巣チョコレート嚢胞

卵巣チョコレート嚢胞は、卵巣の中に子宮内膜症ができて古い血液がたまり、袋状にふくらんだものです。中身がチョコレートのような茶色いどろっとした液体になるため、この名前で呼ばれます。嚢胞のまわりでは炎症が続くため、卵巣が子宮の後ろの面や骨盤の壁、腸とくっつきやすくなります。卵巣が本来の位置から動かなくなり、痛みや、卵子が卵管へ取り込まれにくくなる原因にもなります。

チョコレート嚢胞は、まれにがん化することが知られています。静岡県で6,398人のチョコレート嚢胞の女性を追跡した研究では、中央値12.8年の観察期間中に0.72%に卵巣がんが発生し、嚢胞の大きさが9cm以上であることや、年齢が高い・閉経後であることが、がん化の独立した予測因子でした[4]。この数字は特定の集団での観察結果であり、ひとりひとりのがん化の確率をそのまま示すものではありません。嚢胞の診断・治療・経過観察の考え方は卵巣チョコレート嚢胞の解説で詳しく扱っています。

開腹手術・腹腔鏡手術のあと(卵巣・子宮の手術、帝王切開)

おなかの手術を受けると、手術の傷が治る過程で癒着ができることがあり、手術歴は腸の癒着のもっとも一般的な原因です。婦人科の手術では、卵巣腫瘍の手術、子宮筋腫や子宮の摘出手術、帝王切開などが該当します。

卵巣にできる腫瘍は約9割が良性で、約1割が悪性と説明されています[5]。良性であっても、大きくなったものやねじれる危険のあるものは手術で取り除くことがあり、その後に癒着が生じることがあります。卵巣の腫瘍の種類や治療については卵巣腫瘍、子宮の摘出手術については子宮摘出の解説をご覧ください。

開腹手術のあとの癒着は非常に多く、前述のように開腹手術歴のある人の約93%に癒着がみられたという報告があります[1]。腹腔鏡手術(おなかに小さな穴をあけてカメラと器具で行う手術)は、開腹手術より腹膜の傷が小さいため、癒着による腸閉塞が少ない傾向があります。おなかと骨盤の手術を対象にしたメタ解析では、癒着による小腸閉塞の頻度は開腹手術の研究で3.8%、腹腔鏡手術の研究で1.4%でした[6]。ただし、腹腔鏡手術でも癒着がゼロになるわけではなく、病気の状態によっては開腹手術が選ばれることもあります。

帝王切開も、回数を重ねるほど癒着が増えることが知られています。繰り返し帝王切開を受けた女性を調べた研究では、癒着がみられた割合は2回目の帝王切開で24.4%、3回目で42.8%でした[7]。帝王切開後の癒着は主に子宮とおなかの壁、膀胱のあいだにできますが、腸が巻き込まれることもあります。

骨盤内の感染症(クラミジアなど)

クラミジアや淋菌などの性感染症が、腟から子宮、卵管、骨盤の腹膜へと広がる骨盤内炎症性疾患(PID)も、癒着の原因になります。米国疾病予防管理センター(CDC)のガイドラインは、PIDの長期的な合併症として卵管性の不妊や子宮外妊娠を挙げ、症状が軽い、あるいは症状のないPIDでも不妊のリスクがありうること、合併症の予防には早期の抗菌薬治療が重要であることを示しています[8]。

感染による炎症は卵管と卵巣のまわりに癒着をつくりやすく、腸もそこに巻き込まれることがあります。また、炎症が上腹部まで広がると、肝臓の表面とおなかの壁のあいだに「バイオリンの弦」のような細い癒着ができることがあり、フィッツ・ヒュー・カーティス症候群と呼ばれます。PIDの女性の4〜14%にみられると報告されています[9]。クラミジアは症状が乏しいまま進むことがあるため、パートナーを含めた検査と治療が大切です。

3. 子宮と腸の癒着で起こる症状

子宮や卵巣と腸の癒着で起こる症状は、癒着の原因と程度によって大きく異なり、まったく症状がない人から、慢性的な痛みや腸閉塞を起こす人までさまざまです。ここでは、おなかと便通の症状、子宮内膜症による癒着に多い症状、そしてすぐに受診が必要なサインに分けて整理します。

お腹と便通の症状

腸の動きが癒着で妨げられると、便秘、おなかの張り(腹部膨満感)、おなかの不快感、引きつれるような痛みが出ることがあります。とくに手術後の癒着では、腸が癒着した部分で折れ曲がり、内容物やガスが通りにくくなることで、食後におなかが張る、ガスがたまって苦しいといった症状がみられることがあります。

ただし、便秘やおなかの張りは、腸の動きの低下、食生活、ストレス、過敏性腸症候群など、癒着以外の原因でもよく起こる症状です。「手術を受けたことがある」「便秘がある」という2つがそろっていても、それだけで癒着が原因とは言い切れません。症状の続く期間、月経との関係、体重の変化、便に血が混じるかどうかなどをまとめて、原因を考えていくことになります。

また、癒着による痛みは、体を動かしたときや、腸が動いたときに「引っぱられるような」痛みとして感じられることがあります。痛みの感じ方には個人差が大きく、同じ程度の癒着があっても、痛みを強く感じる人とほとんど感じない人がいます。

子宮内膜症による癒着に多い症状|月経時の排便痛・性交痛

子宮内膜症による子宮と腸の癒着では、月経痛に加えて、排便時の痛みや性交時の痛みが出やすいことが特徴です。日本産科婦人科学会は、月経痛(月経困難症)が子宮内膜症の患者さんの9割にみられ、排便や性交のときに痛みを感じることもあると説明しています[2]。月経のとき以外にも、下腹部や腰の痛みが続く慢性骨盤痛が起こることがあります。

ダグラス窩や直腸の近くに病変や癒着があると、便が直腸を通るときや、性交で子宮が押されたときに、その部分が引っぱられたり刺激されたりして痛みが出ます。子宮内膜症の病変は月経周期に合わせて活動するため、これらの痛みも月経の時期に強くなる傾向があります。腸の子宮内膜症では、月経のときに便に血が混じったり、下痢と便秘を繰り返したりすることもあります。

こうした症状が月経のたびに繰り返される場合は、婦人科で子宮内膜症の評価を受けることが勧められます。便に血が混じる症状は、大腸の病気でも起こるため、月経と関係があるかどうかにかかわらず、医療機関で確認してください。

すぐ受診すべきサイン|腸閉塞を疑う症状

癒着でもっとも注意が必要なのは腸閉塞で、おなかの痛みに加えて、吐き気や嘔吐、おなかの張り、おならや便が出なくなる症状がそろった場合は、すぐに医療機関を受診してください。腸閉塞は、腸の内容物が通れなくなった状態です。世界救急外科学会のガイドラインによると、小腸閉塞の約60%は手術後の癒着が原因です[10]。

⚠️ すぐに受診が必要なサイン

強い腹痛が続く/繰り返し吐く/おなかがパンパンに張る/おならや便がまったく出ない/発熱を伴う腹痛/痛みが波のある痛みから、持続する激しい痛みに変わった。これらは腸閉塞や、腸の血流が悪くなる状態の可能性があります。夜間や休日でも、救急外来のある医療機関を受診してください。

腸閉塞の中でも、癒着した部分で腸がねじれたり締めつけられたりして血流が途絶える「絞扼性(こうやくせい)腸閉塞」は、腸が壊死して腹膜炎を起こすおそれがあり、緊急手術が必要です。はじめは波のある痛み(腸が内容物を押し出そうとする痛み)でも、途中から痛みが強くなって引かなくなった場合は、この状態を疑うきっかけになります。

💡 用語解説:絞扼性腸閉塞

絞扼性腸閉塞は、腸閉塞のうち、腸の血流が途絶えてしまうタイプです。癒着でできた帯に腸が引っかかって締めつけられたり、腸がねじれたりすることで起こります。時間がたつと腸の組織が傷んで穴があき、腹膜炎を起こすことがあるため、診断がついたら速やかに手術で血流を回復させる必要があります。

4. 癒着はどうやってわかる?

癒着は、超音波検査やCT・MRIなどの画像ではっきり映らないことが多く、確定できるのは腹腔鏡などで直接おなかの中を見たときです。そのため、実際の診療では、症状や手術歴、内診、画像検査を組み合わせて「癒着がありそうか」を推定していきます。

内診では、子宮や卵巣を指で動かしたときに動きが悪くないか、痛みがないか、ダグラス窩に硬いしこりが触れないかを確認します。癒着がある子宮は、周りに固定されて動きにくくなっていることがあります。

画像検査のうち、経腟超音波検査(腟から細いプローブを入れて行う超音波検査)は、子宮内膜症の評価に広く使われています。欧州ヒト生殖学会(ESHRE)の子宮内膜症ガイドラインは、子宮内膜症の診断には超音波やMRIを用いることを推奨する一方で、画像で異常がなくても子宮内膜症を否定できないとしています[11]。卵巣の超音波検査で何がわかるかは卵巣のエコー検査の解説で扱っています。

経腟超音波では、プローブで子宮を軽く押したときに、子宮の後ろの面と直腸が互いに滑るように動くかを確認する「スライディングサイン」という方法があります。メタ解析では、滑りがないこと(陰性のスライディングサイン)でダグラス窩閉鎖を見つける感度は88%、特異度は94%、腸への病変を見つける感度は81%、特異度は95%でした[12]。これらは子宮内膜症が疑われる女性を対象にした数字で、経験のある検査者が行ったときの成績です。

症状・手術歴月経との関係も確認
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内診子宮の動き・痛み
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経腟超音波・MRI癒着や病変を推定
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腹腔鏡必要な場合に確定

手術後の薄い膜状の癒着は、どの画像検査でも見つけにくいのが実情です。そのため「画像で異常なし」は「癒着がない」ことを意味しません。症状が強く、ほかの原因が見当たらない場合には、診断と治療を兼ねて腹腔鏡手術が検討されることがあります。

💡 用語解説:スライディングサイン

スライディングサインは、経腟超音波検査で、子宮の後ろの面と直腸が互いに滑るように動くかどうかを見る方法です。滑って動けば陽性(癒着の可能性は低い)、動かなければ陰性(ダグラス窩が癒着で閉じている可能性がある)と判定します。痛みの少ない検査ですが、判定には検査者の経験が影響します。

大腸カメラを受けるときの注意

骨盤内に癒着があっても大腸カメラ(大腸内視鏡検査)は受けられますが、腸が固定されて曲がりにくくなっているため、挿入が難しくなったり、検査中の痛みが強くなったりすることがあります。子宮摘出の手術歴と大腸内視鏡検査の関係を調べたメタ解析では、盲腸(大腸のいちばん奥)まで内視鏡が届いた割合は、子宮摘出歴のある人で87.1%、骨盤の手術歴がない人で95.5%でした[13]。

検査の前には、婦人科の手術歴、帝王切開の回数、子宮内膜症と診断されたことがあるかを必ず伝えてください。事前にわかっていれば、細い内視鏡を使う、鎮静薬を調整する、体の向きを変えながら進めるといった対応がとりやすくなります。癒着があるというだけで大腸の検査を避ける必要はなく、便潜血検査で陽性になった場合などは、ためらわずに精密検査を受けることが大切です。

5. 子宮と腸の癒着の治療

子宮・卵巣と腸の癒着の治療は、症状があるかどうか、原因が子宮内膜症かどうか、妊娠を希望しているかどうかによって選ばれ、症状がなければ経過観察が基本です。癒着をはがす手術はありますが、手術そのものが新たな癒着の原因になりうるため、「癒着があるから手術」とはなりません。

🩺 状況別の主な治療の考え方

状況 主な対応
症状がない 経過観察。便通を整え、腸閉塞のサインを知っておく
子宮内膜症による痛み 鎮痛薬とホルモン療法。効果が不十分なら手術を検討
深部子宮内膜症・腸の子宮内膜症 ホルモン療法、症状に応じて病変の切除(専門施設での手術)
腸閉塞 絶食・点滴・管で腸の中を減圧。血流障害や腹膜炎があれば緊急手術
妊娠を希望している 卵管の状態、卵巣の予備能、年齢をふまえて手術か体外受精かを検討

経過観察でよい場合

症状のない癒着は、多くの場合、治療をせずに経過をみます。癒着をはがす手術には、腸を傷つけるリスクや新たな癒着ができるリスクがあり、症状のない人ではそのリスクに見合う利益が得られないためです。

経過観察中は、便秘をためないように水分や食物繊維をとる、適度に体を動かすといった、ふだんの便通管理が役に立ちます。これは癒着を治すものではなく、腸の内容物が硬くなって通りにくくなるのを防ぐための工夫です。そのうえで、前章の「すぐ受診すべきサイン」を知っておき、当てはまる症状が出たら早めに受診できるようにしておくことが大切です。

子宮内膜症のホルモン療法

子宮内膜症が原因の場合は、痛みをやわらげ、病変の活動を抑えるためにホルモン療法が中心になります。ESHREのガイドラインは、黄体ホルモン製剤(ジエノゲストなど)や、低用量ピルなどの女性ホルモン配合薬を痛みの軽減に推奨し、GnRHアゴニスト(ゴナドトロピン放出ホルモン作動薬)を二番手の選択肢、GnRHアンタゴニストを検討してよい選択肢としています[11]。

これらの薬は、卵巣からの女性ホルモンの分泌や子宮内膜症の病変そのものに働きかけて、月経にともなう出血と炎症を抑えます。炎症が落ち着くことで、排便痛や性交痛がやわらぐことが期待できます。一方で、すでにできあがった線維性の癒着を溶かすものではありません。薬にはそれぞれ不正出血、更年期のような症状、骨量の低下などの副作用があり、使える期間にも違いがあるため、年齢や妊娠の希望に合わせて選ばれます。

手術(癒着剥離術)と再癒着

癒着そのものを取り除く方法は手術(癒着剥離術)だけで、現在は多くが腹腔鏡で行われます。子宮内膜症の手術では、癒着をはがすと同時に病変を切除したり、チョコレート嚢胞を取り除いたりします。ESHREのガイドラインは、深部子宮内膜症の病変を手術で取り除くことで痛みが軽くなり生活の質が改善する可能性があるとし、専門施設での治療を勧めています[11]。腸の壁まで病変が入り込んでいる場合は、腸の一部を切除することもあり、婦人科と消化器外科が連携して行います。

一方、子宮内膜症ではない、手術後の癒着による慢性的な腹痛については、癒着剥離の効果は限られています。慢性腹痛のある人を、腹腔鏡で癒着をはがすグループと、腹腔鏡で観察するだけのグループに分けた比較試験では、どちらのグループも痛みが改善し、両者に差はありませんでした[14]。この結果から、慢性腹痛に対する癒着剥離は、治療として推奨できないと結論づけられています。

また、癒着が強い部位の手術では、はがす途中で腸を傷つけるリスクがあります。再手術のときに腸を損傷した頻度は、婦人科の手術で4.8%と報告されています[6]。そして手術後には、はがした部分に再び癒着ができることもあります。手術を受けるかどうかは、症状の重さ、原因、妊娠の希望を総合して判断されます。

癒着防止材

手術のときに、手術した部位を吸収性のシートなどで覆い、臓器どうしが直接くっつかないようにする癒着防止材が使われることがあります。シートは数週間のうちに体に吸収されるため、取り出すための手術は必要ありません。

婦人科手術での癒着防止材を検討したコクラン・レビューでは、酸化再生セルロースのシートを腹腔鏡手術で使った場合、新しい癒着ができる割合が低くなる可能性が示され(オッズ比0.50)、開腹手術では、はがした癒着が再びできる割合が低くなりました(オッズ比0.38)[15]。ただし、証拠の質は低いか非常に低く、痛みや出産率への効果を調べた研究はありませんでした。癒着は減らせても、それが症状の改善や妊娠にどれだけつながるかは、現時点でははっきりしていません。

腸閉塞になった場合の治療

癒着による腸閉塞の多くは、手術をせずに、絶食・点滴・鼻から入れた管による腸の中の減圧で改善します。世界救急外科学会のガイドラインによると、癒着による小腸閉塞の約70〜90%は手術をしない治療で改善し、腹膜炎、腸の締めつけ(絞扼)、腸の血流障害の徴候がない限り、まずは手術をしない治療を試みるべきとされています[10]。

手術をしない治療の途中では、水溶性の造影剤を飲んで腸を通過するかを確認する方法が使われ、手術が必要かどうかの判断や入院期間の短縮に役立つとされています[10]。一方、血流障害や腹膜炎がある場合、改善しない場合には、ためらわずに手術が行われます。「腸閉塞の手術は癒着を増やすからなるべく避ける」のではなく、手術が必要な腸閉塞を見逃さないことが最優先です。

仲田洋美院長

🩺 院長コラム【「癒着がある」と言われたときの受け止め方】

「癒着がある」という所見だけで、必ずしも病気が進行していることを意味するわけではありません。手術を受けた人の多くに癒着がみられ、その大半は症状を起こさずに経過します。癒着は病名というより、おなかの中の「状態」を表す言葉です。

大切なのは、癒着の有無そのものより、症状があるか、妊娠を希望しているか、そして腸閉塞のサインを把握しているかどうかです。おなかの手術歴があり、嘔吐や排便・排ガスの停止を伴う腹痛がある場合は、様子をみずに医療機関を受診する必要があります。

6. 妊娠・不妊への影響

子宮・卵巣と腸の癒着が妊娠に影響するのは、主に卵管と卵巣のまわりに癒着が及んだ場合で、卵子が卵管に取り込まれにくくなったり、受精卵の移動が妨げられたりします。日本産科婦人科学会は、子宮内膜症の患者さんの半数近くが不妊に悩むといわれていると説明しています[2]。

卵管の周りの癒着と不妊・子宮外妊娠

卵管の先端(卵管采)は、排卵された卵子をすくい上げて卵管の中へ取り込む働きをしていますが、ここが癒着で卵巣から離れたり動かなくなったりすると、卵子をうまく取り込めなくなります。卵管が癒着で折れ曲がったり、狭くなったり、つまったりすると、精子と卵子が出会えない、受精卵が子宮へ運ばれないといったことが起こります。

受精卵が卵管の途中で止まって着床してしまうのが、子宮外妊娠(異所性妊娠)です。CDCのガイドラインは、骨盤内炎症性疾患の長期的な合併症として、卵管性の不妊とともに子宮外妊娠を挙げています[8]。子宮外妊娠の症状や受診の目安は子宮外妊娠の解説をご覧ください。

卵管の通り具合は、子宮卵管造影検査などで調べることができます。癒着は、排卵、卵管、子宮、男性側など、いくつもある不妊の原因のうちの1つです。不妊の原因と検査の全体像は不妊症の原因で解説しています。

チョコレート嚢胞の手術と卵巣予備能

チョコレート嚢胞を手術で取り除くと、痛みの改善や再発予防が期待できる一方で、正常な卵巣の組織も一部失われ、卵巣予備能(卵巣に残っている卵子の数の目安)が下がることがあります。チョコレート嚢胞の切除前後で、卵巣予備能の指標であるAMH(抗ミュラー管ホルモン)を比べたメタ解析では、手術後にAMHが平均1.13ng/mL低下していました[16]。

ESHREのガイドラインは、チョコレート嚢胞を手術する場合は、中身を吸い出して焼くだけの方法より再発が少ない嚢胞の摘出を行うよう推奨しています[11]。そのうえで、妊娠を希望する場合は、手術で得られる利益と卵巣予備能への影響をあらかじめ比べて考えることが大切です。とくに両側の卵巣に嚢胞がある場合や、再手術の場合は、卵巣予備能への影響が大きくなりやすいとされています。卵巣予備能という考え方については卵巣予備能の解説をご覧ください。

早めの体外受精という選択肢

子宮内膜症や癒着で卵管の働きが損なわれている場合は、卵管を通らずに妊娠を目指せる体外受精が、有力な選択肢になります。ESHREのガイドラインも、とくに卵管の機能が損なわれている場合には、子宮内膜症に伴う不妊に対して生殖補助医療(体外受精など)を行ってよいとしています[11]。

体外受精では、卵巣から直接卵子を採取し、体の外で受精させてから子宮に戻すため、卵管の癒着の影響を受けません。ただし、子宮内膜症では卵巣予備能が下がっていることもあり、癒着のために卵巣の位置が変わって採卵が難しくなることもあります。年齢、卵巣予備能、卵管の状態、痛みの強さを総合して、手術で癒着をはがして自然妊娠を目指すのか、体外受精へ早めに進むのかを主治医と相談していきます。体外受精の流れは体外受精の解説で詳しく紹介しています。

7. 遺伝の視点|子宮内膜症と卵巣がんの家族歴

癒着そのものは遺伝するものではありませんが、癒着の大きな原因である子宮内膜症には遺伝的な要因が関わっており、また卵巣がんの家族歴がある場合は、遺伝性腫瘍という別の視点が必要になります。

子宮内膜症は、家族の中に集まりやすいことが以前から知られています。オーストラリアの双生児研究では、子宮内膜症のなりやすさのばらつきの51%が遺伝的な要因で説明できると推定されました[17]。一方で、約6万人の患者さんと約70万人の対照者を解析した大規模なゲノム研究では、子宮内膜症に関連する42か所の遺伝子領域が見つかったものの、それらで説明できるのはなりやすさのばらつきの最大5.01%にとどまりました[18]。

これは、子宮内膜症が1つの遺伝子で決まる病気ではなく、多数の遺伝的要因と環境要因が少しずつ積み重なって起こる多因子遺伝の病気であることを示しています。そのため、現時点で子宮内膜症になるかどうかを遺伝子検査で予測することはできません。母親や姉妹に子宮内膜症がある人は、月経痛が強いときに早めに婦人科を受診する、という形で家族歴を生かすのが現実的です。遺伝的な背景を含めた子宮内膜症の医学的な解説は子宮内膜症(医学用語解説)にまとめています。

もう1つの視点が、子宮内膜症と卵巣がんの関係です。症例対照研究を統合した解析では、子宮内膜症のある女性は、卵巣がんのうち明細胞がん(オッズ比3.05)、類内膜がん(2.04)、低異型度漿液性がん(2.11)のリスクが高く、もっとも多い高異型度漿液性がんとの関連ははっきりしませんでした[19]。前述のチョコレート嚢胞のがん化も、主にこの明細胞がん・類内膜がんとして起こります[4]。卵巣がんそのものについては卵巣がんの解説をご覧ください。

これとは別に、血縁者に卵巣がんや乳がん、大腸がん、子宮体がんの人が複数いる場合は、生まれつきの遺伝子の変化によってがんになりやすい遺伝性腫瘍の可能性を考えます。遺伝性乳がん卵巣がん(HBOC)では、80歳までに卵巣がんになる累積リスクがBRCA1遺伝子の病的バリアントを持つ人で44%、BRCA2で17%と推定されています[20]。大腸がんや子宮体がんが多い家系で考えるリンチ症候群でも、75歳までの卵巣がんの累積リスクはMLH1遺伝子で11.0%、MSH2遺伝子で17.4%、MSH6遺伝子で10.8%、PMS2遺伝子で3.0%と報告されています[21]。こうした数字は集団の推定値であり、個人のリスクは家族歴や年齢によって異なります。

仲田洋美院長

🩺 院長コラム【手術の記録と家族歴を、同じ紙に書いておく】

骨盤の手術を受けた方は、どの病気で、どんな手術を受け、病理の結果が何だったかを手元に記録しておくと、癒着について受診するときや大腸の検査を受けるときの判断材料になります。

臨床遺伝の観点では、家族歴も重要です。卵巣がんや乳がん、大腸がん、子宮体がんが血縁者に重なっている場合、その情報は遺伝性腫瘍を考えるきっかけになります。手術歴と家族歴を並べて整理しておくことで、必要なときの医学的評価に役立ちます。

よくある質問(FAQ)

Q1. 腸の癒着はマッサージではがせますか?

いいえ、はがせません。癒着は臓器どうしをつなぐ線維性の組織で、おなかの外からのマッサージで切り離すことはできません。癒着を取り除く方法は手術(癒着剥離術)だけです。マッサージで便通が楽になることはありますが、それは癒着がはがれたためではありません。痛みが強いときに強く押すことは避けてください。

Q2. 腸の癒着を放置するとどうなりますか?

症状のない癒着は、多くの場合そのまま経過をみても問題になりません。注意が必要なのは、癒着した部分で腸がふさがる腸閉塞です。強い腹痛、繰り返す嘔吐、おなかの強い張り、おならや便が出ないといった症状があれば、すぐに医療機関を受診してください。子宮内膜症による癒着では、痛みや不妊の原因になることがあるため、婦人科での評価と治療が勧められます。

Q3. 腸の癒着は自然に治りますか?

一度できた線維性の癒着が、自然に消えることは期待しにくいと考えられています。ただし、癒着があっても症状がなければ治療は必要ないことが多く、「治す」ことより「症状があるかどうか」が対応を決めます。子宮内膜症による痛みは、ホルモン療法で炎症を抑えることで軽くなることがあります。

Q4. 癒着があっても大腸カメラは受けられますか?

受けられます。ただし、腸が固定されて曲がりにくくなっているため、挿入が難しくなったり痛みが強くなったりすることがあります。検査の前に、婦人科の手術歴、帝王切開の回数、子宮内膜症の有無を必ず伝えてください。便潜血検査で陽性になった場合などは、癒着を理由に精密検査を避けないことが大切です。

Q5. 子宮を全部とったあとも癒着は起こりますか?

起こることがあります。子宮摘出も骨盤の中の手術なので、手術した部位のまわりに腸が癒着することがあります。腹腔鏡手術は開腹手術より癒着による腸閉塞が少ない傾向がありますが、ゼロにはなりません。子宮摘出のあとに便秘や腹痛が続く場合や、腸閉塞のサインがある場合は受診してください。

Q6. 子宮と腸が癒着していても妊娠できますか?

妊娠できる人も多くいます。妊娠への影響が大きいのは、卵管や卵巣のまわりまで癒着が及んでいる場合です。卵管の働きが損なわれている場合は、卵管を通らずに妊娠を目指せる体外受精が選択肢になります。年齢や卵巣予備能、卵管の状態によって、手術と体外受精のどちらを優先するかを主治医と相談してください。

Q7. 子宮と腸の癒着の検査や治療はミネルバクリニックでできますか?

いいえ、当院では子宮・卵巣と腸の癒着や子宮内膜症の検査・治療は行っていません。この件についてのご予約・お問い合わせもお受けしていません。婦人科(腸閉塞が疑われる場合は消化器外科・消化器内科)を受診してください。

まとめ

子宮・卵巣と腸の癒着は、骨盤の中で隣り合う子宮・卵巣と直腸・S状結腸・小腸が、炎症や手術のあとにできた線維性の組織でくっついた状態です。主な原因は子宮内膜症(卵巣チョコレート嚢胞を含む)、開腹手術や帝王切開などの手術、骨盤内の感染症で、開腹手術を受けた人の多くに癒着がみられます[1]。

癒着があっても症状がなければ、多くは経過観察で十分です。子宮内膜症による癒着では、月経時の排便痛や性交痛が出やすく、ホルモン療法や手術が検討されます[11]。強い腹痛に嘔吐や排便・排ガスの停止を伴う場合は、腸閉塞の可能性があるため、すぐに受診してください。卵管のまわりの癒着は不妊や子宮外妊娠の原因になり、妊娠を望む場合は体外受精も選択肢になります。子宮内膜症や卵巣がんには遺伝的な背景もあるため、家族歴もあわせて整理しておくと、その後の判断に役立ちます。

🏥 子宮と腸の癒着の検査・治療をお考えの方へ

当院では、子宮・卵巣と腸の癒着や子宮内膜症の検査・診断・治療を行っておりません。
この件についてのご予約・お問い合わせはお受けしておりません。
癒着や子宮内膜症が疑われる場合は婦人科へ、腸閉塞が疑われる場合は消化器外科・消化器内科を専門とする医療機関へご相談ください。
この記事は病気を正しく知っていただくための解説であり、当院での診療をご案内するものではありません。なお、他の診療の過程で具体的な遺伝学的評価が必要と判断された場合に限り、遺伝カウンセリングが関係することがあります。

参考文献

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プロフィール
仲田洋美 医師(臨床遺伝専門医)

この記事の監修・執筆者:仲田 洋美

(臨床遺伝専門医/がん薬物療法専門医/総合内科専門医)

ミネルバクリニック院長。1995年に医師免許を取得後、
臨床遺伝学・内科学・腫瘍学を軸に診療を続けてきました。
のべ10万人以上のご家族の意思決定と向き合ってきた臨床遺伝専門医です。

出生前診断(NIPT・確定検査・遺伝カウンセリング)においては、
検査結果の数値そのものだけでなく、
「結果をどう受け止め、どう生きるか」までを医療の責任と捉え、
一貫した遺伝カウンセリングと医学的支援を行っています。

ハイティーンの時期にベルギーで過ごし、
日本人として異文化の中で生活した経験があります。
価値観や宗教観、医療への向き合い方が国や文化によって異なることを体感しました。
この経験は現在の診療においても、
「医学的に正しいこと」と「その人にとって受け止められること」の両立を考える姿勢の基盤となっています。

また、初めての妊娠・出産で一卵性双生児を妊娠し、
36週6日で一人を死産した経験があります。
その出来事は、妊娠・出産が女性の心身に与える影響の大きさ、
そして「トラウマ」となり得る体験の重みを深く考える契機となりました。
現在は、女性を妊娠・出産のトラウマから守る医療を使命の一つとし、
出生前診断や遺伝カウンセリングに取り組んでいます。

出生前診断は単なる検査ではなく、
家族の未来に関わる重要な意思決定です。
年齢や統計だけで判断するのではなく、
医学的根拠と心理的支援の両面から、
ご家族が後悔の少ない選択をできるよう伴走することを大切にしています。

日本人類遺伝学会認定 臨床遺伝専門医/日本内科学会認定 総合内科専門医/
日本臨床腫瘍学会認定 がん薬物療法専門医。

2025年には APAC地域における出生前検査分野のリーダーとして国際的評価を受け、
複数の海外メディア・専門誌で特集掲載
されました。

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