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生理前から整理中にかけて、強い眠気に襲われる女性は少なくありません。
少し眠気を感じるだけでなく、仕事や学業に悪影響が出るほど眠い場合もあります。
当記事では、生理前に眠気を感じる理由と効果的な対処法について解説します。
生理前に眠くなる理由
生理前に眠くなる理由は、主に「プロゲステロン」という女性ホルモンの増加です。
とくに排卵後に来る黄体期には、プロゲステロンが増加することで異常と思える眠気が引き起こされます。
具体的にどのように眠気を感じるのか詳しくご紹介します。
1. 体温が高くなる
生理前に女性ホルモンのプロゲステロンが多く分泌されるようになると、女性の体温が通常よりも0.3度から0.6度上昇します。
この時期は高温期とも呼ばれ、夜になっても体温がなかなか下がらなくなるのです。
人間の体は、日中の体温と就寝前の体温の差が大きければ大きいほどよく眠れるように作られています。
また、体温がしっかり下がることで眠気を感じるようになっているのです。
プロゲステロンの影響で体温が高い状態が続くと、就寝前になっても体温が下がらず寝つきが悪くなります。
体温が下がらないので眠りの質も悪くなり、睡眠不足の状態が続きます。
結果として、日中に強い眠気を感じるのです。
2. 自律神経が乱れる
生理前に眠くなってしまう別の要因は、自律神経の乱れです。
身体には緊張や外的刺激にすぐ反応する交感神経と、リラックスや回復を促進する副交感神経があります。
通常、眠りにつくためには身体をリラックスさせる副交感神経が優位にならなければなりません。
しかし、生理前には副交感神経を優位にさせるエストロゲンという女性ホルモンの分泌量が減り、交感神経が優位になりがちです。
夜になっても交感神経が優位になり続けるので、なかなか眠りにつけず、昼間に眠気を感じることがあります。
3. GABAやセロトニンの減少
生理前には、GABAやセロトニンといった物質の減少によって強い眠気を感じます。
GABAとは、ガンマアミノ酪酸というアミノ酸の一種で、興奮を鎮めたりストレスを和らげたりする働きをします。
一方、セロトニンも不安や緊張を抑える役割を果たし、眠気を誘うメラトニンの原料でもあります。
セロトニンは朝方から分泌され始め、夕方にかけて分泌量が減っていきます。
メラトニンはセロトニンを原料としており、夕方から夜にかけて増えていき、良質な睡眠へと導くのです。
しかし、生理前にはGABAの伝達がうまくいかなくなり、セロトニンの分泌量も減少します。
結果として、脳の興奮状態が収まりにくく、眠れない夜が続いてしまうのです。
生理前に眠くなったときの対処法
生理前に眠くなった場合には、いくつかの対策を講じることが重要です。
特別なことをする必要はなく、簡単にできる対処法を講じることで学業や仕事への影響を最小限に抑えられます。
では、生理前に眠くなった時の3つの対処法を見ていきましょう。
1. 昼寝をする
生理前に強い眠気を感じた場合には、昼寝をするのが効果的です。
もちろん、仕事中や授業中は難しいですが、少し時間がある時に仮眠をとると眠気が収まるかもしれません。
ただし眠りすぎると夜の睡眠に支障が出るので注意が必要です。
昼寝は正午から14時くらいの間で30分前後行うとよいでしょう。
16時以降に昼寝をしてしまうと、夜眠れなくなる恐れがあります。
また、あまり長い時間昼寝をすると、起きた後もぼーっとしてしまい、仕事や授業に集中できません。
横になって眠るのではなく、うつ伏せか椅子にもたれて眠ることで長時間眠ってしまうのを防ぎましょう。
2. 深呼吸する
生理前の眠気対策として深呼吸も効果的です。
とくに仕事や家事をしていると、姿勢が悪くなったり呼吸が浅くなったりすることがあります。
少しだけ時間を取って、深呼吸すると体全体に新鮮な空気を取り込めるので眠気が少し和らぐことでしょう。
深呼吸するのと同じように、少し体を動かすのも眠気覚ましに良い方法です。
部屋やオフィスの中を少し歩くだけでも、リフレッシュ効果が期待できます。
3. 眠気を抑えるツボを押す
生理前の眠気対策として、ツボ押しも効果があります。
合谷(ごうこく)というツボを押すと効果的です。
合谷は、手の甲の親指と人差し指の骨が交わるところにあります。
右手を開いて、合谷と思われるところを左手の親指と人差し指で挟んで押せば眠気が和らぐでしょう。
生理前の眠気の予防策
生理前になるといつも眠くなる方は、前もって予防策を講じておくのがよいかもしれません。
いつ頃から眠くなるか経験としてわかっているので、その少し前から気を付ける必要があります。
では具体的にどんな予防策ができるのかご紹介します。
1. ホルモンバランスの変化を記録しておく
最初に行うべきなのは、自分のホルモンバランスの変化を記録することです。
もちろん専門的なことはできないので、月経周期と睡眠の質の変化を記録するとよいでしょう。
アプリで月経周期を管理している方は、メモ機能などを使って睡眠の質について記録できます。
2. 睡眠時間を確保する
生理前に眠くなることが分かっているのであれば、できるだけ睡眠時間を確保できるように努力しましょう。
多くの人は7時間から9時間程度の睡眠時間を必要とします。
生理前に何らかの事情で睡眠時間を十分に確保できなかったのであれば、次の日には早めに帰宅して睡眠時間を十分とることが重要です。
3. よく眠れる準備をする
生理前の眠気は、睡眠の質に大きく左右されます。
睡眠の質を向上させる努力をすれば、生理前の眠気を抑えられるでしょう。
具体的には、寝る直前に食事をするのはやめるべきです。
寝る直前に食事をすると、体が消化のためにエネルギーを使うため質の良い睡眠が取れません。
食事は、遅くとも寝る3時間ほど前に済ませておきましょう。
入浴も同様に、就寝の2時間くらい前に済ませておくのが理想です。
入眠前には体温が下がっている必要があるので、寝る直前に入浴してしまうと眠りにつきにくくなります。
4. スマホやパソコンを見すぎない
寝る直前にスマホやパソコンの画面を見すぎると、眠りの質が下がります。
スマホやパソコンの画面から出るブルーライトはメラトニンの分泌を抑制するからです。
どうしてもスマホやパソコンの画面を見なければならないのであれば、画面の明るさを調節しましょう。
5. 朝日を浴びる
質の良い睡眠のために、朝起きたら朝日を浴びるのも効果的です。
朝起きてから日光を浴びると、覚醒ホルモンのセロトニンが分泌され、しっかり起きられます。
一方、眠気を引き起こすメラトニンは日光によって分泌を抑制されるので、眠気が起こりにくくなるのです。
メラトニンは昼間分泌を抑制されると、夜にはしっかり分泌されます。
朝日を浴びることで、夜の睡眠の質を高めることができるのです。
【まとめ】生理前に眠くて辛い時は生活を見直して睡眠の質を改善しよう
生理前に眠くてどうしようもない方は、睡眠の質が下がっていたり、眠りにつきにくくしたりする要因があるのかもしれません。
自分の生活を少し見直して、睡眠の質を高められないか考えてみましょう。
ちょっとした工夫で、生理前の眠気をしっかり抑制できるかもしれません。