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化学流産の症状や原因は?いつまで陽性か・着床出血との違いも紹介

化学流産とは、妊娠超初期に起こる流産です。受精卵がなんらかの理由で子宮内膜着床できなかった、または着床が継続しなかった状態を指します。妊娠検査薬を使用して陽性反応が出たため、病院を受診したものの超音波検査で胎嚢が確認できなかったことで発覚するケースがほとんどです。
しかしながら化学流産は、不妊治療を受けている方以外にはあまり知られていません。妊活をしている方には知っておいてほしいことなので、症状着床出血との違いなどについて解説をします。

化学流産の症状

流産で悲しむ女性

化学流産の症状は、主に下記の3つです。

・妊娠検査薬で陽性反応が出た
・妊娠検査薬で陽性が出たが、その後すぐに出血した
・妊娠をしていることに気づいていない

上記の通り生理と勘違いしやすいのが特徴です。違う点は妊娠検査薬で陽性反応が出たことです。これは、胚(受精卵)の成長により尿中からhCGが検出されたためです。しかし、その後に検査をすると妊娠が継続できていないので陰性の反応が出ます。兆候として出てくるのが出血です。この症状も生理と同じになるので勘違いしやすいといえます。

化学流産が起こる時期

化学流産は通常、妊娠4週から妊娠5または6週の間に起こります。妊娠検査薬では最終月経日を0週0日としており、検査薬が正しく陽性反応を示すのは最低でも妊娠4週目とされており、超音波で胎嚢が確認できるのは妊娠5週または6週以降であるとされています。つまり、化学流産が起こるのは検査薬で着床が確認できた妊娠4週から、超音波で胎嚢が確認できる5週または6週までの間に起こるといえます。
ただ早期妊娠検査薬の場合、受精して1週間後から反応が出るのでもっと早く化学流産するケースもあります。
いずれにせよ受精卵ができたものの胎嚢にまで至らなかったのが化学流産ですので時期としては妊娠超初期と言われる0週から5週の間に起きると考えられます。

化学流産の出血の特徴

ナプキンと出血

化学流産の出血が起こる仕組みは、通常の生理とあまり違いがありません。手術の必要もなく、翌月通常の生理が来れば妊活を再開できます。ここでは、化学流産の出血についてご紹介します。化学流産が起こると、通常の生理の仕組みと同じように、子宮内膜が剥がれて出血することが一般的です。
ただ、化学流産が起こる前に一度は受精卵が子宮内膜に着床しているため、体内のホルモンバランスが変化し子宮内膜の厚さも増していることが多く、通常の生理より重いと感じる方が多い傾向にあります。以下は、化学流産の出血の特徴です。

・通常の生理と同じ、もしくは量が多い
・腹痛を伴うケースもある
・通常の生理より数日から2週間程度遅れて出血する
・血の塊が出るケースもある

化学流産の出血も通常の生理と同じように個人差があるため、いつもと違うと感じたら病院を受診しましょう。

着床出血とのちがい

着床出血とは、受精卵が子宮内に着床する際、絨毛が子宮内膜を傷つけることで起こる出血です。一般的に着床出血が起こるのは妊娠4週目頃が多いため、生理予定日と重なり、生理や化学流産と勘違いしてしまうケースが多くあります。
着床出血は、妊娠した女性全員に起こるわけではありません。むしろ着床出血を体験するケースの方が珍しく、確率的には妊娠した方の4人に1人の割合で起こるといわれています。
主な特徴は、サラサラの血で化学流産や通常の生理より出血量が少ないことです。通常の生理や化学流産とは違い、着床出血の場合は1〜2日程度、長くても3〜4日程度で出血が治るので、目安にするとよいでしょう。薄い昼用ナプキンやおりものシートで事足りる程度であるケースが多いですが、生理と同量程度の出血がある方もいます。化学流産は生理予定日の1〜2週間後くらいが多いのですが、着床出血は生理周期よりも若干早いか、おなじようなタイミングであることも違う点です。

出血量が多い場合と少ない場合の違いは?

化学流産の出血は個人差が大きく、人によって出血量や色味が違うため、見た目だけで化学流産と判断することは困難です。ただ、通常の生理のときよりも明らかに違うと感じる場合は、自分だけで判断するのは危険なのでやめましょう。他にも、以下のような場合は注意が必要です。

・鮮血が出る
・だらだら長い期間出血する
・明らかに出血量が多すぎる

短時間でナプキンが真っ赤になってしまうくらい出血がある場合や、サラサラした鮮血が出る場合などは、他の疾患の可能性もあります。化学流産では、長い期間出血が続いたという方も多くいますので、気になるようでしたら、基礎体温をしっかりとつけたうえで病院へ行ってみましょう。
一般的には、化学流産が起こっても特にに治療の必要がないため、経過を観察しながら次の生理が来るのを待ちます。

化学流産が起きる原因は?

化学流産が起きる原因はまだはっきりとしていませんが、受精卵の染色体異常ではないかという説があります。子宮外妊娠による着床異常も原因の1つです。はっきりと言えるのは、妊婦さんの行動によって流産したわけではないと言うことです。そこは化学流産も妊娠初期の流産と同じですのでご自分を責めないでください。

化学流産が起こる確率は?

化学流産の原因となる、染色体異常を伴う受精卵はかなりの頻度で認められています。実は健康な20〜30代前半のカップルでも30〜40%の確率で起こっています。そしてこういった染色体異常をもつ卵子は、女性の年齢があがるとともにその確率が増えていきます。これは女性の体の中にある卵子が減ってしまうことが原因です。
そもそも、女性の持つ卵子の数は出生時に決まっており、後年に増加することはありません。加齢によって排卵までの停止期間は長くなるので、受精しにくくなる、妊娠しても流産しやすくなるなどの異常が起こってしまいます。

初期流産と化学流産の違い

化学流産は初期流産の1つです。起きてしまう原因も同じです。違いは判明する時期だけです。化学流産は妊娠検査薬で妊娠反応は出たものの、超音波検査で妊娠が確認できる前に流産をした状態を指します。これは妊娠検査薬が一般に広く出回ってからクローズアップされた症状で、妊娠反応がわからなければ生理と考えて過ごしてしまっている可能性が高いと考えられます。

他に挙げられる流産の種類とは

この記事では主に、化学流産について説明しています。このような妊娠超初期の流産の他にも、妊娠中の様々なタイミングで流産する可能性があります。では、具体的にどのような流産が挙げられるのでしょうか。

進行流産

進行流産とは、子宮の収縮が進み、子宮の内容物が外に出されようとしていることを指します。この進行流産は、進み具合によって

・完全流産
・不全流産

の2つに分類されます。完全流産は、胎児を作る組織や付属物が完全に体外に排出された状態を指します。完全流産となった場合、下腹部の痛みや出血は落ち着くとされています。それに対し不全流産とは、流産が始まった後の状態を指し、子宮内の内容物がまだ残っている状態を指します。大量の出血やひどい腹痛を伴う場合は、迷わずに病院を受診しましょう。

稽留流産

稽留流産とは、おなかの中である程度成長したものの、心拍が確認できなくなってしまった胎児が子宮の中に留まってしまっていることを言います。この場合、出血や下腹部の痛みを伴わないケースが多いため、病院での検査で発覚することが多いです。
稽留流産と診断されたあとは、経過をみながら自然排出を待つか、子宮内容除去術で人工的に残留物を取り除くことになります。

切迫流産

流産には出血や下腹部の痛みなどの症状を伴いますが、このような症状があっても胎児がまだ生存している場合があります。このようなケースを切迫流産とよび、妊娠12週以降であれば絶対安静となります。出血や下腹部の痛みなど、普段と違うと感じることがあればすぐに病院に行きましょう。赤ちゃんを助けられる場合もあります。

妊娠検査薬で陽性が出るのはいつまで?

化学流産をした後に妊娠検査薬を使用したら陽性反応が出ます。その理由はhCGの分泌が止まっていないからです。実はhCGは流産をすればすぐに分泌が止まるわけではありません。
化学流産後おおよそ1週間程度は出ると言われていますが、人によってはもっと長く反応する場合もあります。因みに化学流産は現在でも一般の流産に含まれていません。

化学流産を経験した後の対応

化学流産は、気が付かない女性も多いです。子宮の中に胎児が残留してしまっている場合、掻爬手術を受けなければならないこともありますが、化学流産は出血とともに体外に受精卵が排出されることが多いため、特別な対応を取らなければならないケースは少ないです。

化学流産後の基礎体温は?

妊活をしている女性の中で、基礎体温を毎日記録している方も多いのではないでしょうか。化学流産を経験すると、この基礎体温にも変化がみられるようになります。短期間でも着床している期間があれば、黄体ホルモンが分泌されているため、1週間程度は基礎体温が下がらずたかいままとなります。しかし、化学流産が起ったことで妊娠が成立しない状態になると、黄体ホルモンの分泌はストップしてしまいます。黄体ホルモンの量が減ると、基礎体温が下がります。
一度は受精卵が子宮内膜に着床して黄体ホルモンが分泌されているため、基礎体温表のグラフがガタガタになることは珍しくありません。

化学流産の後は妊娠しやすい?

化学流産の原因と考えられている受精卵の染色体異常は「たまたまそれ以上成長できない受精卵だった」と思われます。そのため次の妊娠に影響を与える可能性は低いでしょう。
また、化学流産に限らず流産をすると残っている滞留物がなくなります。子宮内がきれいになるので、妊娠しやすいと言われています。ただ化学流産した後に妊娠しやすくなっているというデータはありません。ポリープや癒着があり、掻爬時に治療をした場合は妊娠しやすくなるかもしれませんが、体質が変化したわけではないのでお気をつけください。
一度着床できたので、排卵と着床はある程度できる状態なのがはっきりしています。流産をしても、あまり落ち込まないでください。

妊活を復活するタイミングは?

化学流産の後に生理が1回きたら、妊娠できる体に戻っているため妊活をしても問題ありません。一度化学流産が起こったからといって、繰り返すとは限りません。化学流産をあまり気にせずに次の妊娠を考えるようにしましょう。
化学流産を防止する方法はありません。染色体の異常は普段の生活に気をつけていても起きてしまうものです。予防法もないのであまり思いつめないようにしましょう。それよりも、年齢が上がると妊娠しにくく流産しやすくなるので、妊活を早めに再開したほうがいいかもしれません。ただ、流産は女性にとって精神的なダメージが残るので、無理をせず回復をしてからにしてください。

流産を繰り返す場合

化学流産に限らず、受精卵が着床したにも拘わらず、無事に赤ちゃんが育たず悲しい経験を何度もされている方もいるかもしれません。化学流産を繰り返している方は、母体側に何らかの原因があると考えられます。しかしその原因が明らかにならず、原因不明と判断されることもあります。
以下のような生活をしていると流産が起こりやすくなるので注意してください。

・食事以外に間食をしているせいか太り気味
・喫煙をしている
・毎日お酒を飲んでおり、量も多い
・普段の生活で過度にストレスが溜っている
・睡眠不足で不規則な生活

場合によっては検査で母体側の不妊原因が判明する可能性もあります。

着床障害とは?

通常の妊娠では、卵子がしっかり排卵して受精したあとに、受精卵が細胞分裂を繰り返しながら、卵管を通り子宮内膜に着床します。しかし何らかの問題により受精卵が子宮に着床できないと、流産してしまいます。その場合は着床障害と診断され、以下のような原因が挙げられます。

  • 子宮筋腫
  • 子宮腺筋症
  • 子宮内膜ポリープ
  • 子宮奇形
  • 子宮内膜癒着
  • 黄体機能不全

上記のように、子宮自体に異常があるケースと、黄体ホルモンに異常があるケースです。子宮に異常があるからといって必ずしも着床障害が起こるということでもありませんが、これらの異常がある場合は着床障害を起こす可能性があります。さらに、受精する際に分泌される黄体ホルモンや卵胞ホルモンに異常が生じることで、子宮内膜の発育や増殖が不完全になり、着床が不十分になることがあります。

着床障害を調べる方法

このような異常をしらべるために、以下の検査が行われます。

  • 子宮鏡検査
  • 子宮内フローラ検査
  • EMMA検査
  • ALICE検査
  • ERA検査

これらの検査によって、子宮内にある異常を発見できます。

赤ちゃんの身に染色体異常がないか調べよう

化学流産をはじめとする流産の理由の多くが染色体異常によるものです。無事に赤ちゃんを産むための心構えを持つため、育児への不安などを軽減するために、出生前診断を検討してみてはいかがでしょうか。

出生前診断とは?

出生前診断とは、胎児に先天性の染色体異常がないか、赤ちゃんが生まれてくる前にお母さんに対して行われる検査を指します。早いもので妊娠6週以降で、先天性疾患の有無が確認できるようになります。母体血清マーカー検査やコンバインド検査など、さまざまな非確定検査が存在します。パートナーとよく相談し、いつ、どのような検査を受けるか検討してみてください。

出生前診断を受けるならNIPTを

NIPT新型出生前診断)では、13、18、21トリソミーのほかに、性別やその他の染色体異常を検査することができます。他の非確定検査精度が80〜90%であるのに対し、NIPTは99%と高い検査精度を誇ります。しかし、非確定検査ではありますが一度陽性判定が出るとショックの大きな検査であるため、遺伝カウンセリングが充実した施設で検査を受けることをおすすめします。

NIPTを受けるならミネルバクリニックで!

東京の「ミネルバクリニック」は臨床遺伝専門医が在籍するNIPT実施施設であり、たくさんの妊婦さんの悩みや不安と真摯に向き合い、笑顔になれる出産に導いてきました。
ミネルバクリニックでは、妊娠9週(ご希望の方は妊娠6週)から受けられる赤ちゃんの健康診断である「NIPT」を、業界最新の技術と業界随一の対象疾患の広さで行っております。遺伝のエキスパートである臨床遺伝専門医が出生前診断を提供しておりますので、ぜひ、お気軽にご相談ください。

まとめ

化学流産とは、妊娠反応が出ても胎嚢が確認できない状態のことを指します。多くの人が知らない間に経験しているので、決して珍しいことではありません。自覚症状や前兆はほとんどなく、通常の生理の時期と近いタイミングで出血が起こるため、妊娠検査薬を使っていなければ分からないケースも多いでしょう。
稽留流産など他の流産と比べると、身体への負担がほとんどないので、次の排卵後には妊娠が可能です。原因の多くは受精卵の染色体異常によるものなので、思いつめる必要はありません。化学流産は「着床はしたけれども妊娠継続には至らなかった」状態なので、次のタイミングに向けて前向きな気持ちで過ごすことが大切です。

この記事の著者:仲田洋美(医師)

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ミネルバクリニックでは、以下のNIPT検査を提供しています。少子化の時代、より健康なお子さんを持ちたいという思いが高まるのは当然のことと考えています。そのため、当院では世界の先進的特許技術に支えられた高精度な検査を提供してくれる検査会社を遺伝専門医の目で選りすぐりご提供しています。

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プロフィール

この記事の筆者:仲田洋美(医師)

ミネルバクリニック院長・仲田洋美は、日本内科学会内科専門医、日本臨床腫瘍学会がん薬物療法専門医 (がん薬物療法専門医認定者名簿)、日本人類遺伝学会臨床遺伝専門医(臨床遺伝専門医名簿:東京都)として従事し、患者様の心に寄り添った診療を心がけています。

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