目次
NIPTは医療費控除の対象?
新型出生前診断の控除条件と確定申告の方法
Q. NIPTの検査費用は医療費控除の対象になりますか?
A. 基本的には「予防・検診」扱いのため対象外です。
ただし、NIPT(新型出生前診断)で陽性となり、その後羊水検査や人工妊娠中絶へ進んだ場合は、一連の流れが「治療」とみなされ、遡ってNIPTの費用も医療費控除の申請が可能になります。
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➤基本ルール → NIPTは「検診」扱いのため、通常は医療費控除の対象外。妊娠中の出生前診断は高額な費用がかかりますが、健康保険も適用されません。
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➤重要な例外 → 陽性→確定検査→治療の流れになった場合は、NIPTの費用も含めて控除対象に。
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➤申請方法 → 確定申告で医療費控除の明細書を提出。領収書の保管が必須です。
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➤ミネルバの強み → 互助会制度で陽性時の羊水検査費用を全額補助(上限なし)。
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➤2025年6月~ → 当院に産婦人科を併設し、確定検査も院内で完結できる体制に。
1. NIPTは医療費控除の対象になる?|結論と国税庁の見解
【結論】 NIPT(新型出生前診断)の費用は原則として医療費控除の対象外です。ただし、NIPTで陽性となり羊水検査や人工妊娠中絶へ進んだ場合は「治療」とみなされ、NIPTの費用も含めて遡って控除申請が可能になります。
「NIPTの費用って医療費控除の対象になるの?」というご質問をよくいただきます。妊娠中に受ける新型出生前診断は検査費用が高額なため、少しでも費用を抑えたいというお気持ちはよく理解できます。
まず結論からお伝えすると、NIPTは基本的に医療費控除の対象外です。これは国税庁の公式見解に基づいています。NIPTが対象外となる理由は、検査が「治療」ではなく「検診」に分類されるためです。
国税庁は「母体血を用いた出生前遺伝学的検査(NIPT)」について、以下のように示しています。
「妊婦の血液から胎児の染色体異常を調べる検査であり、その検査によって直接、何らかの治療が行われるものではないため、医療費控除の対象となりません。」
つまり、NIPTや出生前診断は「病気の治療」ではなく「検診・スクリーニング」に分類されるため、人間ドックや健康診断と同様の扱いになります。妊娠に関連する費用だからといって、すべてが医療費控除の対象になるわけではありません。
NIPTが医療費控除の対象になる「例外」とは
ここからが重要なポイントです。NIPTで「陽性」となり、その後の確定検査(羊水検査など)や人工妊娠中絶へと進んだ場合は、状況が変わります。
NIPTで陽性 → 羊水検査(確定診断) → 人工妊娠中絶
この一連の流れが「治療」とみなされるため、最初に受けたNIPTの費用も含めて、遡って医療費控除の申請が可能になります。
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NIPTの検査費用
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確定検査(羊水検査・絨毛検査)の費用
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人工妊娠中絶の手術費用・入院費用
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通院にかかった交通費(公共交通機関)
2. 医療費控除の基本条件|対象になる費用・ならない費用
【結論】 医療費控除は、1年間に支払った医療費が一定額(10万円または所得の5%)を超えた場合に、確定申告で税金の一部が還付される制度です。「治療」が目的の医療行為が対象で、「予防」や「検診」は原則対象外となります。
NIPTと医療費控除の関係を理解するためには、まず「医療費控除」の基本的な仕組みを押さえておく必要があります。控除の対象になる理由とならない理由を正しく理解しましょう。
医療費控除とは?確定申告で還付を受ける制度
医療費控除とは、1年間(1月1日〜12月31日)に支払った医療費が一定額を超えた場合に、確定申告をすることで所得税・住民税の一部が還付される制度です。妊娠・出産に関連する費用も多くが控除対象となります。
- ①
対象者:本人または生計を一にする家族の医療費
- ②
対象期間:1年間(1月1日〜12月31日)に実際に支払った金額
- ③
控除対象額:医療費 − 保険金等 − 10万円(または総所得金額の5%)
- ④
上限額:200万円まで
医療費控除の対象になるもの・ならないもの一覧
妊娠中の妊婦さんにとって、どの費用が医療費控除の対象になるのかを理解することは重要です。クリニックで受ける検査にも、対象になるものとならないものがあります。
✅ 対象になるもの(治療目的)
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病院・クリニックでの診療費
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処方箋による薬代
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入院費用・手術費用
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妊婦健診・分娩費用
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通院のための交通費(公共交通機関)
❌ 対象にならないもの(予防・検診目的)
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人間ドック・健康診断
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予防接種
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NIPT・出生前診断(原則)
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美容整形
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サプリメント・健康食品
💡 検診で異常が見つかった場合の医療費控除は?
健康診断や人間ドックで「異常」が見つかり、その後の治療が必要になった場合は、検診費用も含めて医療費控除の対象になります。NIPTや出生前診断でも同様の考え方が適用されるのです。
3. NIPTが医療費控除の対象になるケース|陽性判定後の流れ
【結論】 NIPTで陽性判定を受け、羊水検査で確定診断後に治療(人工妊娠中絶を含む)を行った場合、NIPTから始まる一連の費用が医療費控除の対象になります。
「検診で異常が見つかり、治療につながった場合は控除対象になる」という原則を、NIPTに当てはめて具体的に見ていきましょう。検査結果によって、医療費控除の対象になるかどうかが決まります。
医療費控除の対象になる流れ|NIPTから確定検査まで
- ①
NIPT受検 → 陽性判定を受ける(染色体異常の確率が高い)
- ②
確定検査 → 羊水検査や絨毛検査で診断を確定
- ③
治療・処置 → 人工妊娠中絶など
- ④
①〜③の全ての費用が医療費控除の対象に
医療費控除でいくら還付される?|計算例
実際にどれくらいの金額が還付されるのか、NIPTを含む具体例で計算してみましょう。高額な検査費用がかかるケースでも、計算方法を理解すれば還付額がわかります。
| 費用項目 | 金額(例) |
|---|---|
| NIPTの検査費用 | 180,000円 |
| 羊水検査費用 | 150,000円 |
| 人工妊娠中絶・入院費 | 200,000円 |
| 交通費(公共交通機関) | 10,000円 |
| 合計 | 540,000円 |
| 控除対象額(合計 − 10万円) | 440,000円 |
この場合、所得税率が20%の方であれば、約88,000円(440,000円 × 20%)の還付を受けられる計算になります。さらに住民税も軽減されます。
⚠️ ご注意:上記は一般的な計算例です。実際の医療費控除の還付額は所得や他の控除との兼ね合いで変わります。詳細は税務署または税理士にご確認ください。
4. 医療費控除の計算方法と確定申告の手続き
【結論】 医療費控除は確定申告で申請します。「医療費控除の明細書」を作成し、領収書は5年間保管が必要です。e-Taxを使えば自宅からオンラインで確定申告ができます。
医療費控除額の計算式
医療費控除額 = 支払った医療費 − 保険金等 − 10万円※
※総所得金額が200万円未満の場合は「総所得金額 × 5%」
確定申告に必要な書類一覧
- ①
確定申告書(AまたはB)
- ②
医療費控除の明細書(医療費の内訳を記載)
- ③
源泉徴収票(会社員の場合)
- ④
領収書(提出不要だが5年間保管が必要)
確定申告の流れ|医療費控除の申請ステップ
領収書を集める
1年間の医療費の領収書をまとめておきましょう
明細書を作成
国税庁HPまたはe-Taxで明細書を作成
確定申告を提出
2月16日〜3月15日に税務署またはe-Taxで申告
還付を受ける
確定申告から1〜2ヶ月後に指定口座へ振り込み
💡 e-Tax(イータックス)なら確定申告が自宅で完結
国税庁のe-Taxを使えば、自宅からオンラインで確定申告ができます。マイナンバーカードがあれば、スマートフォンからも医療費控除の申請が可能です。
5. ミネルバクリニックの費用サポート|互助会制度でNIPT陽性時も安心
【結論】 当院の互助会制度(8,000円)に加入いただくと、万が一NIPTで陽性だった場合の羊水検査費用を全額補助(上限なし)。医療費控除とは別に、経済的な不安を軽減できます。
「NIPTを受けたいけれど、もし陽性だったら羊水検査の費用も心配…」
そんな不安を抱えていらっしゃる方も多いと思います。NIPT(新型出生前診断)は高額な検査費用がかかるうえ、健康保険も適用されません。ミネルバクリニックでは、経済的な心配をせずに検査を受けていただけるよう、独自の「互助会制度」をご用意しています。
🏥 2025年6月〜産婦人科併設
当院に産婦人科を開設し、確定検査(羊水検査・絨毛検査)を院内で実施できる体制に。
NIPT陽性時も転院不要。臨床遺伝専門医による一貫したケアを受けられます。
🛡️ 安心結果保証制度
6,000円で、再検査が必要と判明したにもかかわらず流産等で検体提出ができなかった場合の保証。
万が一の事態にも対応できる安心の制度です。
NIPTや出生前診断は決して安い検査ではありません。高額な検査費用がかかるのは事実です。しかし、費用のことで検査を諦めたり、陽性時の確定検査を躊躇したりしてほしくないのです。
当院の互助会制度は、患者様同士で支え合う仕組みです。万が一の時も、経済的な心配なく最善の選択ができるよう、私たちはサポートいたします。
6. NIPTでわかること・わからないこと|出生前診断の限界
【結論】 「将来社会的に自立できるかどうか」を判定できる検査は存在しません。NIPTでわかるのは染色体や一部の遺伝子変化に起因する疾患の「可能性」であり、同じ疾患でも症状の重さには個人差があります。
「将来、自立できないほど重い障害があるかどうか心配です。NIPTでわかりますか?」
このようなご質問をいただくことがあります。お子さんの将来を心配されるお気持ちは、とても自然なことです。まずは、その不安を受け止めさせてください。
Q. 将来自立できないほど重い障害が心配です。NIPTでわかりますか?
A. 「将来社会的に自立できるかどうか」までを判定できる検査は、残念ながら存在しません。
NIPT(新型出生前診断)でわかるのは、あくまで染色体や一部の遺伝子の変化に起因する疾患の「可能性」(確率)です。同じ染色体異常を持っていても、症状の重さや将来の発達には個人差があり、生まれてみないとわからない部分も多いのが現実です。
NIPTで検出できる染色体異常・疾患
ただし、NIPTで検出される染色体異常や遺伝子変異の中には、重い発達障害や知的障害を伴うことが多い疾患が含まれていることも事実です。これが出生前診断を受ける理由の一つでもあります。
染色体異数性(トリソミーなど)
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21トリソミー(ダウン症候群)
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18トリソミー(エドワーズ症候群)
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13トリソミー(パトウ症候群)
微細欠失症候群
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22q11.2欠失症候群(ディジョージ症候群)
- •
1p36欠失症候群
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プラダー・ウィリ症候群 など
💡 出生前診断の対象疾患について
医学的・倫理的な観点から、出生前診断の対象となる疾患は、基本的には「社会的に自立して生活することに支障が出るレベルの重篤な疾患」に限定されています。
これは、出生前診断が「障害のある人を排除する」ためのものではなく、「重篤な疾患について事前に知り、準備する機会を提供する」ためのものであるという考え方に基づいています。
NIPTで何がわかり、何がわからないのか。その検査結果をどう受け止め、どう判断するのか。臨床遺伝専門医による遺伝カウンセリングを通じて、一緒に考えていきましょう。
NIPTと医療費控除に関するよくある質問(FAQ)
まとめ|NIPTと医療費控除の重要ポイント
この記事では、NIPTと医療費控除の関係について詳しく解説してきました。最後に、重要なポイントをまとめておきます。
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NIPT(新型出生前診断)は原則として医療費控除の対象外(検診扱い)
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陽性→確定検査→治療の場合は、NIPTの費用も含めて控除対象に
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医療費控除の申請は確定申告で行い、領収書は5年間保管
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ミネルバの互助会制度なら、NIPT陽性時の羊水検査費用を全額補助
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2025年6月〜産婦人科併設で、確定検査も院内完結
妊娠中にNIPTを受けるかどうか悩んでいる方、高額な検査費用のことで不安を感じている方は、ぜひ一度ご相談ください。臨床遺伝専門医による遺伝カウンセリングで、検査のことだけでなく、費用面の不安についてもお話を伺います。
🏥 費用の不安も、検査の不安も、一緒に解決しましょう
ネットの情報に疲れたら、一度専門医の話を聞きに来ませんか?
あなたと赤ちゃんを守るための準備を、一緒に始めましょう。
📚 関連コラム
NIPTに関連するコラム記事も多数ご用意しています。出生前診断の検査方法や検査の流れ、検査結果の見方など、詳しい情報は当クリニックのNIPTページをご覧ください。
参考文献
- [1] 国税庁「母体血を用いた出生前遺伝学的検査の費用」[国税庁公式サイト]
- [2] 国税庁「医療費控除の対象となる医療費」[国税庁タックスアンサー]
- [3] 国税庁「医療費控除の明細書の書き方など」[国税庁PDF]
- [4] 厚生労働省「NIPT等の出生前検査に関する専門委員会報告書」[厚生労働省公式サイト]

