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当院採用の2つの検査会社でNIPT「陽性」…精度が高くても羊水検査なしで中絶判断はできない?【2機関陽性事例】

当院採用の2つの検査会社でNIPT「陽性」…精度が高くても羊水検査なしで中絶判断はできない?【2機関陽性事例】

当院採用の2つの検査会社でNIPT「陽性」…精度が高くても羊水検査なしで中絶判断はできない?【2機関陽性事例】

この記事でわかること
📖 読了時間:約15分
📊 約8,500文字
臨床遺伝専門医監修
  • 2機関での陽性の意味 → 測定原理の異なる2つの検査で陽性が出た場合、統計学的な陽性的中率はほぼ100%に近づきます。しかし、それでも羊水検査を省略できない医学的理由があります。
  • 実録・患者様の決断 → 羊水検査を待てない週数での陽性告知。大学病院へ転院し、中期中絶を選択された患者様の実際のメールと体験談をご紹介します。
  • 胎盤性モザイク(CPM)の罠 → 赤ちゃんは正常なのに胎盤だけが異常を持つケース。この見極めには羊水検査が必須です。
  • ミネルバのトリプルリスクヘッジ → 院内確定検査(最短3日)、互助会、専門医サポートで、陽性時の不安と時間を極限まで減らす体制について。

1. 事例紹介:2つの検査機関で「陽性」が出た意味

NIPTの結果が「陽性」であった場合、通常は羊水検査で確定診断を行う必要があります。しかし、今回ご紹介するのは、当院が採用している厳しい基準をクリアした2つの異なる検査会社で共に陽性となり、大学病院での精密超音波検査の結果と合わせて、羊水検査を行わずに中絶を選択された事例です。

検査A:全染色体検査(WGS法)

イルミナ社(Verinata)などの技術を用いた、全染色体を網羅的にスキャンする方法。広い範囲を見ることに長けていますが、胎盤性モザイクなどのノイズを拾いやすい傾向があります。

検査B:第3世代・スーパーNIPT(ターゲット法)

特定の染色体領域を増幅して深く読む技術。母体DNAと胎児DNAの分離能が高く、非常に高精度です。現在はさらに進化した第4世代「COATE法(ダイヤモンドプラン)」も導入されています。

通常、同じ検査を2回繰り返しても意味はありませんが、測定原理(アッセイ)が異なる2つの検査で同じ結果が出るということは、検査のエラーである確率は極限まで低くなり、統計学的には陽性的中率はほぼ100%に近づきます。

2. 羊水検査を「待てない」という決断

この患者様の場合、結果が出た時点で妊娠12週でした。ここから確実な確定診断を得るためのフローは以下のようになります。

  • 妊娠16週:羊水検査が可能になるまで待機(約4週間の待ち時間)
  • 妊娠17週~:FISH法(簡易結果)が出る
  • 妊娠18~19週:Gバンド法(最終結果)が出る

結果を待てば待つほど、週数が進みます。中期中絶(妊娠12週以降)は分娩形式となり、身体的苦痛だけでなく、出産届や火葬の手続きが必要となるなど、精神的な負担が週を追うごとに増大します。「胎動を感じる前に…」「少しでも早く…」と願うのは、母体として自然な感情です。

この症例では、大学病院の産婦人科医も「精度の高い2つのNIPT陽性」「超音波検査で見られた複数の所見(心疾患、浮腫など)」を総合的に判断し、羊水検査をスキップしての中絶処置に合意されました。

3. 患者様からの手紙

緊急事態宣言下で不安の中、当院を選び、そして辛い決断を乗り越えられた患者様から頂いたメールを、許可を得て一部抜粋して掲載します。

「仲田先生においでいただいた翌日、分娩予定のクリニックに陽性結果と今後について相談に行き、そのまま大学病院への紹介状をいただきました。

大学病院の先生方は、99.9%精度のNIPT検査が2つ陽性であること、そしてエコーでの所見(心疾患、浮腫、耳の低位置など)を併せれば、リスクのある羊水検査は絶対ではないと言ってくださいました。

16週と19週での母体負担はかなり違うとのこと。中期中絶を希望し、17週6日で分娩しました。
本当は中期中絶なんか対応したくないはずなのに、先生や看護師さんが最後まで私だけでなく子供にも優しく接してくださったことに、本当に感謝しております。

(中略)もし次がありましたら、その時はどうぞよろしくお願いいたします。妊婦さんが1人でも前に進めたり幸せになれるよう、先生のご活躍を陰ながら応援しております。」

【院長・仲田より】
この患者様は、その後無事に次の妊娠をされ、元気な赤ちゃんを出産されました。辛い経験を乗り越え、母となられた姿に、医師として心から敬意を表します。

4. それでも「羊水検査」を推奨する理由

今回の事例は、超音波検査で明らかな異常が見られたため、羊水検査なしでの判断が可能となりました。しかし、「超音波検査で異常が見当たらない」場合は、絶対に羊水検査が必要です。たとえ2つのNIPTで陽性であってもです。

注意すべき「胎盤性モザイク(CPM)」

NIPTが検査しているのは、母親の血液中に漏れ出した「胎盤由来のDNA」です。ごく稀に、胎盤の染色体は異常だが、赤ちゃんの染色体は正常という現象が起こります。これを「胎盤性モザイク」と言います。

💡 用語解説:胎盤性モザイク(CPM)

受精卵が分裂する過程で、赤ちゃんになる細胞(内細胞塊)は正常に修復されたものの、胎盤になる細胞(栄養外胚葉)にだけ染色体異常が残ってしまった状態。NIPTでは「陽性」と出ますが、赤ちゃん自体は健康です。

特に13トリソミーや18トリソミー、7番染色体などはこの現象が起きやすいことが知られています。この場合、赤ちゃんを諦める必要は全くありません。この「偽陽性」を見抜けるのは、赤ちゃんの細胞(浮遊細胞)を直接調べる羊水検査だけなのです。

ミネルバクリニックの「トリプルリスクヘッジ」

「確定検査が必要なのはわかるが、結果が出るまでの期間が不安でたまらない」「転院を繰り返すのが辛い」。そんな患者様の声に応えるため、ミネルバクリニックでは独自のサポート体制を構築しています。

1. 金銭的リスクヘッジ(互助会)

検査時に「互助会」へご入会(会費8,000円・非課税)いただくことで、陽性時の羊水検査費用を上限15万円(税込16万5千円)まで当院が全額負担します。経済的な心配をせずに、必要な次のステップへ進めます。

2. 時間的リスクヘッジ(院内完結)

2025年6月より産婦人科を併設し、陽性時の確定検査(羊水検査・絨毛検査)を自院で実施可能になりました。他院へ紹介状を持って予約を取り直すタイムロスを無くし、最短3日で結果をお返しします。

3. 心理的リスクヘッジ(専門医サポート)

臨床遺伝専門医である院長が、検査前から陽性後のフォローまで一貫して担当します。また、2025年1月より、再検査が必要にも関わらず流産等で検体提出が困難な場合の返金保証制度も開始しました。

まとめ

他院を含め2つの異なる検査機関でNIPT陽性が出た場合、その的中率は極めて高くなります。しかし、「胎盤性モザイク」という落とし穴がある以上、超音波で異常がない限り、羊水検査なしでの中絶は推奨されません。

ミネルバクリニックでは、最新鋭のダイヤモンドプラン(COATE法)による正確な検査を提供するだけでなく、万が一陽性だった場合に備え、「金銭・時間・心」を守るトリプルリスクヘッジ体制を整えています。不安な時こそ、専門医がそばにいる当院を頼ってください。

よくある質問(FAQ)

Q1. NIPTで2回陽性なら、羊水検査なしで確定として良いですか?

確率は極めて高くなりますが、医学的には「確定」ではありません。エコーで所見がない場合、胎盤性モザイクの可能性が残るため、羊水検査を推奨します。

Q2. ミネルバクリニックの陽性後のサポートは?

院内で確定検査(羊水検査・絨毛検査)が可能です。最短3日で結果が出るほか、遺伝専門医によるカウンセリング、互助会による費用サポートを行っています。

Q3. 認証施設とミネルバクリニックの違いは?

当院は非認証施設ですが、日本で唯一の「臨床遺伝専門医が院長を務める遺伝子検査専門クリニック」です。認証施設の検査項目(3つのトリソミーのみ)に縛られず、微細欠失や父親由来のリスクなど、より広範囲で精度の高い検査(ダイヤモンドプラン等)を提供できるのが強みです。

Q4. 父親の年齢が高いのですが、リスクはありますか?

はい。精子の分裂回数増加に伴い、遺伝子の「新生突然変異」のリスクが上昇し、自閉症スペクトラムなどの要因になることがあります。 当院のダイヤモンドプランでは、これらの父方リスクも検査可能です。

Q5. COATE法とは何ですか?

米国の遺伝子検査大手が開発した次世代技術です。従来のSNP法とターゲット法を組み合わせることで、微細欠失の検出精度を>99.9%まで高めることに成功しました。

Q6. 互助会の上限額はありますか?

以前は上限設定がありましたが、現在は陽性時の確定検査費用(税込16万5千円まで)を実質全額カバーしています。詳細は互助会のページをご確認ください。

🏥 臨床遺伝専門医へのご相談

不安な判定が出た時こそ、確かな技術と経験を持つ医師のサポートが必要です。
ミネルバクリニックは、いつでもあなたと赤ちゃんの味方です。

参考文献

  • [1] Grati FR. Chromosomal Mosaicism in Human Feto-Placental Development: Implications for Prenatal Diagnosis. J Clin Med. 2014. [PubMed]
  • [2] Kong A, et al. Rate of de novo mutations and the importance of father’s age to disease risk. Nature. 2012. [PubMed]
  • [3] American College of Obstetricians and Gynecologists (ACOG). Practice Bulletin No. 226: Screening for Fetal Chromosomal Abnormalities. 2020.

プロフィール
仲田洋美医師

この記事の筆者:仲田 洋美(臨床遺伝専門医)

ミネルバクリニック院長・仲田洋美は、1995年に医師免許を取得して以来、のべ10万人以上のご家族を支え、「科学的根拠と温かなケア」を両立させる診療で信頼を得てきました。『医療は科学であると同時に、深い人間理解のアートである』という信念のもと、日本内科学会認定総合内科専門医、日本臨床腫瘍学会認定がん薬物療法専門医、日本人類遺伝学会認定臨床遺伝専門医としての専門性を活かし、科学的エビデンスを重視したうえで、患者様の不安に寄り添い、希望の灯をともす医療を目指しています。特に遺伝カウンセリング分野では15年以上の経験を持ち、全国初のオンライン遺伝カウンセリングを確立して、地方在住の方々にも質の高い遺伝医療を提供しています。


仲田洋美の詳細プロフィールはこちら

   

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