目次
- 1 18トリソミー出生前確定診断|羊水・絨毛診断までの流れと意思決定を整理
18トリソミー出生前確定診断|羊水・絨毛
診断までの流れと意思決定を整理
Q. 18トリソミーの「確定診断」は何を指しますか?
A. 妊娠中に18トリソミー(エドワーズ症候群)を「確定」する検査は、羊水検査または絨毛検査です。
NIPTは採血で行うスクリーニングであり、陽性でも確定ではありません。確定検査の内容は羊水検査・絨毛検査で詳しく解説しています。
【要点まとめ】
NIPT=出生前のスクリーニング(確定診断ではない)
確定診断=羊水検査または絨毛検査(出生前の確定検査)
- ➤出生前確定診断の選択肢 → 羊水検査と絨毛検査の違い・時期・リスク
- ➤NIPT陽性の正しい理解 → 「陽性=確定」ではない理由と次の手順
- ➤出生後診断との違い → 生まれてからの確定診断は血液CMAが中心
- ➤意思決定の支え方 → 知る権利・知らないでいる権利、非指示的支援
- ➤当院の体制 → 正確性重視・心理的ケア重視・院内で確定検査まで
1. まず結論:18トリソミーの確定診断は羊水・絨毛
「陽性」「疑い」という言葉を見た瞬間、頭が真っ白になってしまう方も多いですよね。妊娠中は、普段なら受け流せる情報も、心に刺さってしまいます。それでも大丈夫です。次にできることを、ひとつずつ整理しましょう。
📌 確定診断を考えるタイミング(目安)
- ➤絨毛検査:妊娠11〜13週頃に行われることが多い
- ➤羊水検査:妊娠15週以降が一般的
※実施可否や時期は超音波所見・母体状況などで個別に判断します。
【結論】妊娠中に18トリソミー(エドワーズ症候群)を「確定」する方法は、羊水検査または絨毛検査です。NIPTはスクリーニングであり、陽性でも確定診断ではありません。
「確定診断」とは、疑いやリスクではなく、実際に染色体の状態を検査して診断を確定させることを指します。出生前では、胎児(胎盤)由来の細胞を用いるため、羊水検査・絨毛検査が中心になります。
2. 18トリソミー(エドワーズ症候群)とは
「18トリソミーって、結局どういう状態なの?」と検索が止まらなくなる方もいらっしゃいます。怖い言葉ばかりが目に入って、眠れなくなる夜もありますよね。ここでは、必要なことだけ、落ち着いて整理します。
【結論】18トリソミーは、18番染色体が3本になることで起こる染色体異常です。妊娠中の超音波検査で所見が見つかることもありますが、出生前に予後を正確に言い切ることはできません。表現型(症状)の幅があるため、診断後は医学的な整理と心の支えの両方が重要になります。
💡 大切な注意:出生前に「未来」を断定できない領域があります
出生前診断は、医学であると同時に倫理の領域でもあります。特に染色体異常やコピー数変化(CNV)は、不完全浸透や表現型の幅があり、出生前に「どこまで影響するか」を確定できないことがあります。だからこそ当院では、不確実性を正直に伝え、意思決定を支えることを大切にしています。
18トリソミーそのものの解説は、別記事でより詳しくまとめています:18トリソミー(エドワーズ症候群)とは
3. NIPT陽性は「確定」ではありません
NIPTで陽性と言われたとき、一番つらいのは「何が本当かわからない」状態が続くことです。ここでまず守りたいのは、不確実なまま心が傷つき続ける時間を増やさないことです。
【結論】NIPTは胎盤由来のセルフリーDNA(cfDNA)を解析する検査で、結果は「可能性」です。胎盤モザイク(胎盤だけにモザイクがある状態)などにより、陽性でも胎児が必ず18トリソミーとは限りません。だからこそ、出生前の確定診断(羊水検査・絨毛検査)で確認します。
胎盤モザイク(Confined Placental Mosaicism)は、胎盤の細胞にだけ染色体の異常が混在し、胎児の細胞には同じ異常がない(または程度が違う)ことがある状態です。NIPTは胎盤由来DNAを解析するため、NIPTの結果=胎児の確定診断にはなりません。
🩺 院長コラム【心が壊れない順番で進めましょう】
陽性という言葉を見た瞬間、検索結果の「強い言葉」だけが頭の中に残ってしまうことがあります。でも、医療は順番が大切です。NIPTは確定診断ではありません。次に何を確認し、どのタイミングで、どんなリスクと向き合うのか。ひとつずつ整理していくことで、心の安全を守れます。あなたと赤ちゃんを孤独にしないこと、それが私たちの前提です。
4. 出生前の確定診断:羊水検査・絨毛検査
「確定検査」と言われると、痛みや流産率が気になって、急に現実味が増してしまいますよね。怖い気持ちがあるのは当然です。だからこそ、ここはメリットもリスクも、どちらも隠さず整理します。
📌 表の読み方:
「時期」→「採取するもの」→「位置づけ」
の順に見ると、違いが整理しやすくなります。
| 検査 | 時期の目安 | 採取するもの | 位置づけ | 知っておきたい点 |
|---|---|---|---|---|
| 羊水検査 | 妊娠15週以降が一般的 | 羊水(胎児由来細胞を含む) | 出生前の確定診断 | 流産などの合併症リスクがゼロではないため、説明と同意が重要 |
| 絨毛検査 | 妊娠11〜13週頃に行われることが多い | 胎盤絨毛 | 出生前の確定診断 | 胎盤由来のため、まれにモザイクの解釈が難しくなることがある |
| 羊水検査+CMA | 羊水検査と同時期 | 羊水+解析(染色体マイクロアレイ) | 確定診断 | Gバンド法では検出できない微小欠失を確定診断可能。学会指針では原則として超音波で構造異常がある場合などが対象 |
大切な前提:確定診断は「結論を出すための圧力」ではなく、情報を正しく持つための医療です。知る権利・知らないでいる権利、どの選択も尊重されるべきです。医師は決定者ではなく、情報提供者・意思決定支援者です。
羊水検査と絨毛検査、どちらを選ぶ?(誘導ではなく整理)
【結論】
どちらが「正しい」という話ではありません。
妊娠週数・超音波所見・追加確認の可能性・ご家族の価値観
で整理します。
- ➤早い週数での確定を目指す流れでは、絨毛検査が選択肢になることがあります
- ➤状況によっては、絨毛検査の結果を補うために羊水検査で追加確認を行うことがあります
- ➤医師は誘導しません。意思決定の材料を整えることが役割です
5. 羊水検査:流れ・時期・合併症リスク
「羊水検査が怖い」という気持ちは、とても自然です。穿刺(針を刺すこと)という言葉だけで、体がこわばってしまう方もいます。だからこそ、何が起こり得て、何を避ける工夫があるのかを知っておくことが大切です。
【結論】羊水検査は妊娠中期以降に、超音波で位置を確認しながら羊水を採取し、胎児由来細胞の染色体を調べる出生前の確定診断です。合併症リスクがゼロではないため、医療機関の説明と同意のプロセスが重要になります。
📍 羊水検査の流れ(最短で理解)
- ➤超音波で位置確認 → 穿刺(針で採取) → 検体提出
- ➤染色体検査で確定診断(必要に応じて追加検査)
- ➤結果は「数字」だけで判断せず、遺伝カウンセリングで意味づけを整理します
⚠️ 知っておいてほしいこと(不安を煽るためではありません)
- ➤羊水検査には流産などの合併症リスクがゼロではありません(数字は施設・条件で変わるため、担当医の説明が大切です)
- ➤穿刺の痛みや不安は個人差がありますが、手順を理解すると心の負担が軽くなることがあります
- ➤結果が出るまでの時間は、医学的にも心理的にも負担になります。だからこそ、結果後の支えまで含めて考えることが大切です
羊水検査の詳細(手技・注意点)は、専用ページでまとめています:羊水検査・絨毛検査の解説
6. 絨毛検査:早い時期の確定診断と注意点
「早い週数で確定できるなら…」と考える方もいますよね。一方で、早い時期の検査には、早い時期ならではの難しさもあります。大事なのは、何を確定できて、何が追加で必要になる可能性があるかを知ることです。
【結論】絨毛検査は胎盤絨毛を採取して染色体を調べる出生前の確定診断です。胎盤由来であるため、まれにモザイクなどで解釈が難しい場合があり、状況により羊水検査で追加確認を行うことがあります。
💡 「確定したい」気持ちを、孤独にしないために
- ➤確定診断は「焦って決める」ためではなく、「正しく理解する」ためにあります
- ➤医師は誘導しません。ご家族が納得できるだけの情報を整えることが役割です
- ➤どの選択でも、医療として支える姿勢が大前提です
7. 出生後診断:生まれてからの確定診断は血液CMAが中心
「診断=出生前」と思い込むと、心が追い詰められてしまいます。出生前診断は選択肢のひとつであり、出生後に診断して支援を整えていく道もあります。ここは混同しないように分けて理解しましょう。
出生前診断(妊娠中)
- ➤NIPT:スクリーニング(確定診断ではない)
- ➤羊水検査・絨毛検査:出生前の確定診断
- ➤羊水検査+CMA:Gバンド法で検出できない微小欠失を確定診断可能(学会指針では原則、構造異常がある場合などが対象)
出生後診断(赤ちゃんが生まれてから)
- ➤確定診断の中心:血液によるCMA(染色体マイクロアレイ)
- ➤Gバンド法では微小欠失の検出が困難なことが多い
- ➤結果の解釈と支援設計が重要(症状の幅がある)
補足:「出生前に何をどこまで調べるか」は医学的問題であると同時に倫理的問題です。医師が答えを決めるものではなく、ご家族の価値観と状況に合わせて整理されるべきです。
8. ミネルバクリニックの体制:正確性と心の安全を最優先
確定診断の話は、医学的な情報だけでなく、心にも大きく影響します。だから当院では、結果の速さよりも、正確性と、結果後のフォロー(心理的・医学的ケア)を大切にしています。
日本には認証施設(大学病院中心)と非認証施設(民間主体)がありますが、非認証=質が低い、とは限りません。重要なのは、専門性と一貫体制です。当院は非認証施設ですが、臨床遺伝専門医が最初から最後まで担当し、遺伝カウンセリングから検査結果の解釈、陽性後の対応までを一貫して行う体制を整えています。さらに2025年6月から、確定検査(羊水・絨毛検査)も院内で実施できる体制を整えました。非認証でここまで一貫体制が整った医療機関は稀有です。
🧬 臨床遺伝専門医が一貫担当
臨床遺伝専門医(2011年取得)が、30年の医師人生の中でのべ10万人以上のご家族の意思決定と向き合ってきた経験を踏まえ、情報提供と意思決定支援を行います。
🏥 院内で確定検査まで
転院による不安時間を短くし、必要な医療へつなぎます。確定検査の詳細は羊水検査・絨毛検査で確認できます。
💰 経済的不安の軽減
互助会制度(互助会費8,000円)はNIPT受検者全員に適用されます。NIPTで陽性となり羊水検査が必要になった場合に、羊水検査費用の実費をお支払いします(入院費と染色体マイクロアレイは対象外)。詳細は
互助会の案内ページ
をご確認ください。
🩺 院長コラム【「結論を急がない」ことが、家族を守ること】
確定診断に進むかどうかは、正解がある話ではありません。だからこそ私は、まず「何が確定できて、何が確定できないのか」を丁寧に言葉にします。知る権利も、知らないでいる権利も、どちらも大切です。医師が決めるのではなく、ご家族が納得して選べる状態を作る。それが、遺伝カウンセリングの本質だと考えています。
一人で抱え込まないでください
検査の選択は、ご家族にとって大きな決断です。
正しい情報を整理し、心を守るための準備を一緒に始めましょう。
※ご相談は可能ですが、当院受検者へのサポートを優先します
まとめ|「出生前確定診断」の意味を整理して、心を守る
- ➤18トリソミーの出生前確定診断:羊水検査または絨毛検査
- ➤NIPT陽性は確定ではない:次の手順として確定検査で確認
- ➤診断は出生前だけではない:出生後は血液CMAが中心
- ➤大切なのは、情報を一人で抱え込まないこと
よくある質問(FAQ)
🏥 不安を、ひとりで抱えないために
確定診断は「検査」ですが、実際には「人生の意思決定」の入口になることがあります。
だからこそ、私たちは正確性と心の安全を最優先にします。
関連記事
迷ったときは、ここに戻ってください。
検査の順番や意味がわからなくなったときは、このページからもう一度整理できます。情報に振り回されないための“基準”としてお使いください。
参考文献
- [1] ACOG. Practice Bulletin No. 226: Screening for Fetal Chromosomal Abnormalities. [ACOG]
- [2] ISPD. Position Statements and Guidelines (cfDNA screening). [ISPD]
- [3] ACMG. Clinical guidance and policy statements (prenatal screening and diagnostic testing). [ACMG]
- [4] Wapner RJ, et al. Chromosomal microarray versus karyotyping for prenatal diagnosis. N Engl J Med. 2012. [PubMed]
- [5] NCBI Bookshelf. Edwards syndrome (Trisomy 18) overview resources. [NCBI Bookshelf]
- [6] 日本産科婦人科学会. NIPT等に関する指針(最新PDFは学会サイト掲載)。 [JSOG]
- [7] NIH/PMC. Prenatal diagnosis and counseling related articles (peer-reviewed). [NIH/PMC]


