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ダウン症の検査と確定診断とは?わかる時期やNIPT陽性後のリスクを専門医が解説|東京・ミネルバクリニック

仲田洋美 医師

この記事の監修:仲田洋美(臨床遺伝専門医)

のべ10万人以上の意思決定に伴走。国際医療誌『Medical Care Review APAC』『Global Woman Leader』の2誌で表紙を飾り、「Top Prenatal Testing Service in APAC 2025」に選出されるなど、世界基準の遺伝医療を提供。

この記事でわかること
📖 読了時間:約18分
🧬 ダウン症・確定診断
臨床遺伝専門医監修

Q. NIPTで「ダウン症の可能性あり」と言われました。確定診断とは何ですか?

A. ダウン症(21トリソミー)を確定させるには、羊水検査や絨毛検査といった「出生前の確定診断」が必要です。
NIPTはスクリーニング検査であり、陽性=確定ではありません。確定診断では、胎児の染色体を直接調べます。

  • 確定診断の意味と、NIPTとの違い
  • 羊水検査・絨毛検査の具体的な内容
  • 流産リスクの実際
  • 出生前診断と出生後診断の違い

ダウン症の可能性を調べる検査の全体像

ダウン症(21トリソミー)について調べる検査には、大きく分けて「非確定的検査(スクリーニング検査)」「確定的検査(確定診断)」の2種類があります。「ダウン症の検査について知りたい」と考えたとき、まずはこの2つの違いと全体像を把握することが大切です。

① 非確定的検査(スクリーニング検査)

ダウン症の「可能性(確率)」を調べる検査です。結果は陽性・陰性、あるいは確率で出ますが、これだけでダウン症であると確定はできません。
代表的な検査:NIPT(新型出生前診断)、超音波検査(エコー)、母体血清マーカーテスト(クアトロテストなど)

② 確定的検査(確定診断)

スクリーニング検査で「陽性」や「可能性が高い」と言われた後に、最終的にダウン症かどうかを医学的に「確定」させるための検査です。胎児の細胞を直接採取して染色体を調べます。
代表的な検査:羊水検査、絨毛検査

多くの場合、まずは流産リスクがなく精度の高いNIPTなどの「非確定的検査」を受け、そこで陽性となった場合に「確定的検査」へ進むという流れになります。

1. ダウン症の「確定診断」とは何か

「陽性でした」と言われた瞬間、頭が真っ白になる方も少なくありません。まずお伝えしたいのは、NIPT陽性は“確定”ではないということです。

【結論】確定診断とは、胎児の染色体を直接調べて、21トリソミー(ダウン症)であるかどうかを医学的に確定させる検査のことです。

出生前の確定診断は、羊水検査・絨毛検査です。ここで初めて「診断」という言葉が使えます。

ダウン症はどのように診断されるのか(染色体の仕組み)

「なぜダウン症とわかるのですか?」と聞かれることがあります。ここを理解すると、確定診断の意味がよりはっきりします。

【結論】
ダウン症(21トリソミー)は、21番染色体が通常2本のところ3本存在することで診断されます。

私たちの細胞には、通常46本(23対)の染色体があります。21番染色体が1本多い状態を「21トリソミー」と呼びます。羊水検査や絨毛検査では、この染色体の本数を直接確認します。

補足:ダウン症には、標準型(トリソミー型)、転座型、モザイク型があります。確定診断では、その型まで含めて評価されます。

このように、確定診断は「可能性」ではなく、染色体を直接見て判断する検査です。ここがNIPTとの本質的な違いです。

2. NIPT陽性後の流れ

陽性と聞いたら、すぐに何か決断しなければいけないような気持ちになりますよね。でも、医療は段階的に進みます。

基本的な流れ:
① 遺伝カウンセリングで結果の意味を整理
② 出生前の確定診断(羊水検査または絨毛検査)
③ 必要に応じて羊水検査+CMA

羊水検査+CMAは、Gバンド法では検出できない微小欠失を確定診断可能です。学会指針では原則として超音波で構造異常がある場合などが対象とされています。

確定診断は急いで決めるものではありません。情報を整理し、納得できる状態で次に進むことが大切です。

確定診断を「受けない」という選択も医学的に間違いではありません。検査を受けることも、受けないことも、どちらも尊重されるべき意思決定です。

ダウン症がわかる時期はいつ?妊娠週数ごとの検査スケジュール

「お腹の赤ちゃんがダウン症かどうか、いつの時期にわかるの?」と不安に思う方は多くいらっしゃいます。検査の種類によって、受けられる妊娠週数(わかる時期)は明確に決まっています。

わかる時期
(妊娠週数)
検査の種類 特徴・位置づけ
妊娠10週0日〜 NIPT(新型出生前診断) 最も早くダウン症の可能性を調べられるスクリーニング検査。母体の採血のみで流産リスクがない。
妊娠11週〜14週頃 絨毛検査(確定診断) 妊娠初期に行える確定検査。NIPT陽性後、早い段階で白黒はっきりさせたい場合に選択される。
妊娠15週〜16週以降 羊水検査(確定診断) 最も一般的な出生前の確定検査。十分な羊水が作られるこの時期から実施可能となる。
出生後 赤ちゃんの染色体検査 出産後に赤ちゃんの血液を採取して行う確定診断。

ダウン症の可能性が最も早くわかるのは妊娠10週以降のNIPTですが、それはあくまで「スクリーニング」です。確定させるためには、妊娠週数が進むのを待って絨毛検査や羊水検査を受ける必要があります。

3. ダウン症の確定診断の方法(羊水検査・絨毛検査の違い)

確定診断の方法は?

方法は大きく2つ、羊水検査と絨毛検査です。どちらも胎児由来の細胞を直接調べる検査です。

検査 時期 特徴
羊水検査 妊娠15週以降 最も一般的な出生前確定診断
絨毛検査 妊娠11〜13週頃 妊娠早期に実施できる出生前確定診断

どちらも「出生前の確定診断」です。違いは主に実施できる妊娠週数と、採取する組織(羊水か絨毛か)です。どちらを選ぶかは妊娠週数や医学的背景によって異なり、遺伝カウンセリングで丁寧に整理していきます。

妊娠週数によっては、絨毛検査が可能な時期、羊水検査が可能な時期が異なります。時間的な制約も含めて整理することが重要です。

4. 流産リスクはどれくらいあるのか

確定診断を考えるとき、多くの方が最も心配されるのが流産リスクです。「検査で赤ちゃんに何か起きたらどうしよう」と感じるのは当然のことです。

【結論】羊水検査・絨毛検査には流産の可能性はゼロではありませんが、近年は手技や管理体制の向上により、そのリスクは低下していると報告されています。

文献上はおおよそ0.1〜0.3%前後とされることが多いですが、施設や症例背景によって変わります。数字だけで判断するのではなく、ご自身の状況でどう解釈すべきかを一緒に考えることが大切です。

文献ではおおよそ0.1〜0.3%前後と報告されることが多いですが、施設や症例背景によって異なります。

仲田洋美院長

🩺 院長コラム【数字の裏にある「心の重さ」】

0.1%という数字は、医学的には低いと説明されることがあります。でも、妊娠中のご家族にとっては「0か100か」に感じられるものです。

だからこそ私は、単に「低いですよ」とは言いません。あなたがその数字をどう受け止めるかを一緒に考えることが、遺伝カウンセリングの本質だと思っています。

私は臨床遺伝専門医として30年以上医療に携わり、のべ10万人以上のご家族の意思決定と向き合ってきました。確定診断という言葉の重みを、現場で何度も見てきました。

5. 出生前診断と出生後診断を分けて考える

「今、妊娠中に診断しなければならない」と思い込むと、心はとても追い詰められます。けれども、診断には出生後という選択肢もあります。

出生前診断

  • NIPT(スクリーニング)
  • 羊水検査・絨毛検査(確定診断)
  • 必要に応じて羊水検査+CMA

出生後診断

  • 血液による染色体検査
  • CMAによる微小欠失の評価
  • 診断後の医療・支援体制の整備

出生前に知ることにも意味がありますし、出生後に診断して支援を整える道もあります。どちらが正しいというものではありません。決定はご家族のものです。

💡あわせて読みたい:出生後の特徴やサポートについて

出生後の確定診断の流れや、新生児期のダウン症の赤ちゃんに見られる身体的特徴、ご家族へのサポート体制についてさらに詳しく知りたい方は、以下の記事もご覧ください。
ダウン症新生児の目や耳など顔の特徴は?手や足などの身体的特徴も紹介

出生前診断の全体像(NIPT・羊水検査・絨毛検査の違い)を整理したい方は、出生前診断の総論ページもあわせてご覧ください。

確定診断後の選択肢について

確定診断が出たあと、「これからどうすればいいのか」と強い不安に襲われる方が少なくありません。ここで大切なのは、選択肢は一つではないということです。

【重要】
医師は決定者ではありません。どの選択をするかは、常にご家族の意思によって決まります。

  • 妊娠を継続し、出産後の医療・支援体制を整える
  • 専門施設での分娩準備を行う
  • ご家族で十分に話し合い、医学的・社会的支援を踏まえて方向性を決める

確定診断は「ゴール」ではなく、情報がそろった状態から考え始めるための出発点です。

どの選択をしても、医療は支えます。ひとりで抱え込まず、遺伝カウンセリングで整理しながら進んでいきましょう。

よくある質問(FAQ)

Q1. NIPT陽性なら必ずダウン症ですか?

いいえ。NIPTはスクリーニング検査であり、陽性=確定ではありません。出生前の確定診断は羊水検査や絨毛検査です。

Q2. 確定診断は必ず受けなければいけませんか?

必ず受けなければならないというものではありません。検査を受けるかどうかは、ご家族の価値観と状況によって決まります。

Q3. 流産リスクは高いですか?

ゼロではありませんが、近年は低下しています。正確な数字は施設や状況により異なるため、個別にご説明します。

Q4. 出生後に診断することもできますか?

はい。出生後に血液検査で染色体を調べ、診断することも可能です。

Q5. 遺伝カウンセリングでは何をしますか?

検査の意味、結果の解釈、今後の選択肢を整理します。医師は決定者ではなく、意思決定を支える役割です。

Q6. 他院でNIPTを受けましたが相談できますか?

ご相談は可能ですが、当院受検者のサポートを優先しています。

プロフィール

仲田洋美 医師(臨床遺伝専門医)

この記事の監修・執筆者:仲田 洋美

(臨床遺伝専門医/がん薬物療法専門医/総合内科専門医)

ミネルバクリニック院長。1995年に医師免許を取得後、
臨床遺伝学・内科学・腫瘍学を軸に診療を続けてきました。
のべ10万人以上のご家族の意思決定と向き合ってきた臨床遺伝専門医です。

出生前診断(NIPT・確定検査・遺伝カウンセリング)においては、
検査結果の数値そのものだけでなく、
「結果をどう受け止め、どう生きるか」までを医療の責任と捉え、
一貫した遺伝カウンセリングと医学的支援を行っています。

ハイティーンの時期にベルギーで過ごし、
日本人として異文化の中で生活した経験があります。
価値観や宗教観、医療への向き合い方が国や文化によって異なることを体感しました。
この経験は現在の診療においても、
「医学的に正しいこと」と「その人にとって受け止められること」の両立を考える姿勢の基盤となっています。

また、初めての妊娠・出産で一卵性双生児を妊娠し、
36週6日で一人を死産した経験があります。
その出来事は、妊娠・出産が女性の心身に与える影響の大きさ、
そして「トラウマ」となり得る体験の重みを深く考える契機となりました。
現在は、女性を妊娠・出産のトラウマから守る医療を使命の一つとし、
出生前診断や遺伝カウンセリングに取り組んでいます。

出生前診断は単なる検査ではなく、
家族の未来に関わる重要な意思決定です。
年齢や統計だけで判断するのではなく、
医学的根拠と心理的支援の両面から、
ご家族が後悔の少ない選択をできるよう伴走することを大切にしています。

日本人類遺伝学会認定 臨床遺伝専門医/日本内科学会認定 総合内科専門医/
日本臨床腫瘍学会認定 がん薬物療法専門医。
2025年には APAC地域における出生前検査分野のリーダーとして国際的評価を受け
複数の海外メディア・専門誌で特集掲載
されました。

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