2人目妊娠の不安へ|プラダー・ウィリー症候群の遺伝と赤ちゃんのNIPT
📍 クイックナビゲーション
上のお子さんがプラダー・ウィリー症候群でうまれてきて、「可愛くて仕方がないけれど、次の妊娠が不安でたまらない」と悩むお母様は少なくありません。その不安は、お子様を深く愛しているからこそ生まれる自然な感情です。本記事では、過去のつらいご経験に寄り添いながら、遺伝の正しい知識と安心へ繋がる検査の選択肢を臨床遺伝専門医がお伝えします。
- ➤症状と特徴 → 新生児期の「フロッピーインファント」や成長に伴う変化について
- ➤遺伝の確率 → 親から遺伝するケースと「新生突然変異」の違い
- ➤検査の選択肢 → NIPTで微小欠失を高い精度で調べる方法とサポート体制
1. 上のお子さんがプラダー・ウィリ症候群。「2人目が不安」なのは当然です
「上の子の時と全然違う。胎動がないんです。」
妊娠中からそう何度も訴えたのに、エコーで異常がないからと「たいしたことない」と片付けられてしまった。そんな悲痛なご経験をされたAさんのお話を耳にしました。
不安が的中し、生まれてきた赤ちゃんは筋肉の緊張が低下しており、後にプラダー・ウィリー症候群(PWS)と診断されました。「あんなに言ったのに聞いてくれなかった」という産婦人科医に対する怒りや不信感は、簡単に消えるものではありません。そして、静かでニコニコしているお子さんが可愛くてたまらない一方で、「もう一人、障害のあるお子さんは育てられないかもしれない」と、次の妊娠に強い恐怖を抱いてしまうのは、親として極めて自然な感情です。
2. プラダー・ウィリー症候群の赤ちゃんにみられる症状と特徴
プラダー・ウィリー症候群(Prader-Willi Syndrome: PWS)は、およそ10,000人から15,000人に1人の割合で生まれる疾患です。この疾患の大きな特徴は、年齢とともに症状が大きく変化していくことです。
💡 用語解説:フロッピーインファント(Floppy Infant)とは
「ぐにゃぐにゃした乳児」という意味で、生まれつき筋肉の緊張が著しく低下している状態を指します。Aさんのお子さんのように、胎動が少ない、泣き声が小さい、自力でうまくおっぱいを吸えない(哺乳障害)といった特徴がみられます。
乳児期は筋緊張低下や哺乳障害が見られますが、1歳近くなっても静かでニコニコしているため、「すごく育てやすい」と感じる親御さんも多くいらっしゃいます。しかし幼児期に入ると食欲の中枢がうまく働かなくなり、強い過食や肥満が見られるようになります。また、成長とともに発達遅滞が明らかになり、頑固でこだわりが強くなるなど、感情のコントロールが難しくなってトラブルが増えることも特徴です。
3. プラダー・ウィリ症候群は遺伝する?原因と2人目への確率
2人目の妊娠を考えたとき、最も気になるのが「次も同じ疾患を持って生まれる確率(再発リスク)」だと思います。これを正確に知るためには、PWSが起こる医学的なメカニズムを理解する必要があります。
PWSは、15番染色体(15q11.2-q13領域)の働きが失われることで発症します。私たち人間は父親と母親から1本ずつ染色体を受け継ぎますが、この領域は「父親由来のものだけが働く(インプリンティング)」という特殊な性質を持っています。発症の主な原因は以下の3つに分かれます。
- ➤父親由来の微小な欠失(約70%):精子が作られる過程で偶然起こる新生突然変異がほとんどで、親から遺伝したものではありません。この場合、2人目への再発確率は1%未満と極めて低いです。
- ➤母親からの片親性ダイソミー(約20〜30%):両方の15番染色体が母親から由来してしまった状態です。これも多くは偶然であり、再発リスクは1%未満です。
- ➤インプリンティングセンターの異常など(数%):ごく一部ですが、ご両親のどちらかが微細な遺伝子の変化(例えば均衡型転座など)を持っている場合があり、そのケースでは最大50%の確率で再発することがあります。
⚠️ 出生後診断における重要なポイント:
上のお子さんの原因を調べる際、生後の確定診断の第一選択は必ず「メチル化解析」となります。ここで異常が確認された後、原因精査のためにマイクロアレイ染色体検査(CMA)などが行われます。
このように、「遺伝」といってもほとんどの場合は偶然の新生突然変異であり、必ずしもご家族に原因があるわけではありません。ネット上の情報だけで不安を募らせるのではなく、上のお子さんの検査結果をもとに、専門医による正確な遺伝カウンセリングを受けることが大切です。
4. 微小欠失症候群とは?ダウン症などの染色体疾患との違い
Aさんのケースのように「エコーでは異常が指摘されなかった」というのは、実は珍しいことではありません。ダウン症(21トリソミー)などの染色体「数」の異常とは異なり、プラダー・ウィリー症候群は染色体の一部がわずかに欠け落ちる「微小欠失症候群」です。
微小欠失は、一般的な顕微鏡を用いた染色体検査(Gバンド法)や、妊婦健診の標準的なエコー検査では検出が非常に困難です。また、ダウン症などのリスクが母親の年齢とともに上昇するのに対し、微小欠失の多く(新生突然変異)はご両親の年齢に関係なく、誰にでも一定の確率(積算リスクで約1/1000)で起こり得ます。
5. 2人目妊娠の不安に寄り添う、NIPT(新型出生前診断)という選択肢
「次に妊娠したとき、また異常があったらどうしよう」というAさんの強い不安を和らげたのは、妊娠初期に受けられるNIPT(新型出生前診断)でした。現在では、母体の血液を採取するだけで、お腹の赤ちゃんの染色体の状態を高い精度で調べることが可能です。当院では一般的な妊娠10週以降はもちろん、妊娠6〜8週の早期NIPT(臨床研究)も実施しており、不安な期間を少しでも短くできる体制を整えています。
一般的なNIPT(ターゲット法など)はダウン症など3つのトリソミーのみを対象としていますが、当院のダイヤモンドプランでは、プラダー・ウィリー症候群(15q11.2-q13欠失)を含む12領域の微細欠失をカバーしています。
- ➤COATE法の採用:微細欠失の陽性的中率「>99.9%」という極めて高い精度を誇る最新技術を用いています。(エビデンス詳細はこちら)
- ➤充実のサポート体制:遺伝カウンセリング料金(33,000円)は検査費用に内包されており、妊娠中の不安に何度でも相談可能です。
- ➤陽性時の備え:互助会(8,000円・強制加入)により、羊水検査費用が全額補助されます。また、安心結果保証制度(6,000円・強制加入)により、不測の事態にも対応できる体制を整えています。
Aさんは検査結果が陰性だったことで不安を払拭し、安心して妊娠期間を過ごし、無事に出産されました。NIPTは決して命を諦めるためだけの検査ではなく、「安心して命を繋ぐため」の強力なツールになり得るのです。ただし、NIPTは非確定検査ですので、万が一陽性となった場合は出生前の確定診断(羊水検査・絨毛検査)で正しく状態を確認することが不可欠です。
陽性後のより詳しいフォローアップ体制については、NIPTのアフターサポートについてもあわせてご覧ください。
6. おわりに:不安を抱えたままにせず、まずはご相談ください
妊娠するのは本来嬉しいことのはずなのに、過去のつらいご経験から、ずっと恐怖と戦いながら過ごす日々は本当にお辛いと思います。
「受けるべきか、受けないべきか」「もし陽性だったらどうしよう」。答えの出ない悩みを一人で抱え込む必要はありません。当院は、臨床遺伝専門医がカウンセリングから判定、陽性後のケア、そして確定検査(2025年6月より院内実施)までを一貫して行う、国内でも極めて稀有な体制を敷いています。
よくある質問(FAQ)
🏥 ネットの情報に疲れたら、一度お話を聞かせてください
ご家族にとって一番の安心を作るために、専門医がしっかりとお話を伺います。
一人で抱え込まず、まずはご相談ください。


