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18トリソミー(エドワーズ症候群)とは、ヒトが持つ23ある染色体の18番目が2本あるところ3本できてしまう疾患です。そのためお腹の中にいるときから心臓の疾患(90%)、消化管の疾患、口唇口蓋裂など、複数の治療が必要な症状を持ってしまっています。新生児の3,500~8,500人に1人に見られ、女子に多いのが特徴です。
18トリソミー(エドワーズ症候群)の寿命と主な死因について
18トリソミー(エドワーズ症候群)は、染色体異常によって生じる先天性疾患です。原因である18番目の染色体が2本に増えてしまった理由として考えられるのは減数分裂の失敗や体細胞分裂の失敗です。卵子や精子が高齢化してくると起こりやすくなります。
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18トリソミー(エドワーズ症候群)の症状について
お腹の中にいるときに出てくるのは成長障害です。身長や体重が低いまま生まれてくる可能性が高いのが主な症状の一つです。他にも小さい顎・耳介低位・指の重なりといった疾患を持っている場合が多くあります。
もう一つの先天性疾患として目立つのが重度の心疾患です。生まれてきた子どもの90%が動脈管開存、心室中隔欠損などの症状を抱えています。横隔膜弛緩症や無呼吸発作などの呼吸器合併症といった疾患に加えて、精神発達遅滞、けいれん、全前脳胞症が出るのも珍しくありません。しかも消化管奇形、口唇口蓋裂、関節拘縮等の合併症を発症するケースもあります。
発育も運動面、知的面ともに遅れているケースが多く、気管挿管や呼吸補助が必要な場合もあります。サインや表情で両親の呼びかけに応えているお子さんもいます。
18トリソミー(エドワーズ症候群)の平均寿命
教科書では男児の平均寿命は2-3ヶ月,女児の平均寿命は10ヶ月と書かれています。しかし、最近では6歳くらいまで寿命が延びてきているそうです。
理由として挙げられているのがNICU(新生児特定集中治療室)が発達したことにより高度な治療が受けられるようになった点です。他にも医学の発展によって心臓手術の技術が進歩して今まで助からなかった子どもも助けられるようになったのも大きいといえます。
ただ、18トリソミーの再発危険率は約1%になりますが、転座型と呼ばれる珍しいパターンだと次の子も高い確率で18トリソミー(エドワーズ症候群)を発症してしまうそうです。もし次の子を妊娠したらNIPT(新型出生前診断)などで遺伝カウンセリングを受けるのがいいでしょう。1999年~2014年のエドワーズ症候群(18トリソミー)の年齢別死亡数を表にしていますのでこちらも参照してください。
年齢 | 死亡数 |
---|---|
0歳 | 2363 |
1歳 | 141 |
2歳 | 39 |
3歳 | 18 |
4歳 | 7 |
5~9歳 | 20 |
10~14歳 | 7 |
15~19歳 | 0 |
20~24歳 | 1 |
出典:古庄知己(2007).日本における18トリソミーの予後 日本未熟児新生児学会雑誌 19,38-42
18トリソミー(エドワーズ症候群)の主な死因
先天性の心臓疾患や消化器の狭窄(きょうさく)により内臓が奇形で生まれてくるため出産してすぐに治療をしないといけない子どもが多いのが18トリソミー(エドワーズ症候群)の特徴です。症状として多く見られるのは、出産直後だと無呼吸発作により呼吸不全が1番になります。合併症として多く見られるのは心疾患です。約90%を占めるほどの割合です。染色体異常によるものが原因と言われています。
18トリソミー(エドワーズ症候群)の検査方法
妊娠したときに子どもが18トリソミー(エドワーズ症候群)かどうかを調べるためにはいくつかある検査を受けなければいけません。一つは胎児超音波検査です。胎児の成長が不十分だと手などの何らかの奇形から疑われるため判断が可能です。
もう一つは、NIPT(新型出生前診断)です。血液を採取して染色体異常かどうかをスクリーニングするので高い精度を誇ります。ただし、あくまで”非確定診断”のため陽性と判定された場合、羊水検査や絨毛検査を受けるよう勧められます。
18トリソミー(エドワーズ症候群)について3つの要注目ニュース
障害を持つ子どもを産むかどうかの判断をするのは簡単にはできません。さまざまな情報や体験談も通じて知るのも重要となります。
そこで、18トリソミー(エドワーズ症候群)について実際に起きた出来事を紹介しますので判断材料の一つとしてお役立てください。
18トリソミー(エドワーズ症候群)の最高齢
平均寿命が短い18トリソミーですが、1980年に生まれた女性が今でも年を重ねて生きています。オクラホマ州に住むミーガン・ヘイズさんです。ミーガンさんは、生まれてすぐNICU(新生児特定集中治療室)に入り、医師から「自宅へ連れ帰ると4ヶ月持たない」と宣告されました。18トリソミーは先述したように心疾患を持っているケースが多く、ミーガンさんも心疾患があると思われていました。ところが彼女の心臓は健康だったため予測に反して長く成長を続けていきました。彼女の母親は、「彼女が最初の歯を失ったとき、私は泣き崩れるほど嬉しかった」と明かすほどです。
(Oldest woman in the US with Trisomy 18 turns 40; parents told at birth their daughter would live four monthsより引用)
2020年には40歳の誕生日を迎え、18トリソミー患者の中で最年長となっています。今でも毎朝元気に目を覚まし、笑顔で朝食を取っているのです。日本でも都内の病院で18歳になる男の子がいるらしいという情報がミネルバクリニックに寄せられています。
18トリソミー(エドワーズ症候群)と有名人
18トリソミーによって障害を持つ子どもが生まれた有名人として名前が挙がるのがレイザーラモンRGさんです。2013年に奥様のお腹の中にいる長女が18トリソミーと診断を受けてしまいました。残念ながら死産となり、会うことはかないませんでしたが、翌14年にドキュメンタリー映画『うまれる ずっと、いっしょ。』の試写会で「うまれるってことは奇跡なんだとお腹の中で10ヵ月生き抜いた娘が教えてくれました」と娘への思いを語ってくれました。
また、タレントの菊池桃子さんも自著『午後には陽のあたる場所』(扶桑社)の中で次男を亡くしたことを明かしています。次男の妊娠8ヶ月のときに医師から「成長が遅い、体重が増えない」と指摘され、羊水検査を受けたところ18トリソミーなのがわかりました。このときに「この病気のお子さんが、外国では15歳まで生きた事例があることを説明され、親子で病気と闘っていく覚悟をしていました」と本に記してします。だが、次男は陣痛が始まってすぐに動きを止めてしまったそうです。
どちらのご夫婦も、出産しようと決意をしてからの死産だったので深い悲しみだったのは言うまでもありません。その悲しみをしたからこそ得られたものが、18トリソミーの子を宿した意味だと思います。
18トリソミー(エドワーズ症候群)を持つ子どもの現状
マスコミ報道でもあるように18トリソミーのお子さんを持つご両親の環境は芳しいとは言えません。しかしながら、黙っているのではなく自ら18トリソミーを知って欲しいと情報発信している団体があります。
それが「Team18」です。代表を務める岸本太一(きしもと・たいち)さんの長女・長女の心咲(みさき)ちゃんも18トリソミーとして生まれてきました。医師から「長くは生きられない」と宣告された経験があります。しかし、7歳の誕生日を迎え、ご両親と3人の妹さんと一緒に暮らしています。
team18では、日本ではまだ認知度が低い18トリソミーを知ってもらおうと全国で写真展を開いてきました。2020年は新型コロナウイルスの影響で開催はできませんでしたが、2021年には東京都立小児総合医療センターで開催が決まっています。
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まとめ
以前と比べて寿命が延びてきた例もあるとはいえ、18トリソミー(エドワーズ症候群)は決して長く生きていられるとは言えません。NIPT(新型出生前診断)によって早い段階でスクリーニングできるようになったからこそ重大な決断が求められます。
後悔をしないためにも普段からの情報収集が大切になりますので妊娠する前から知っておいて損はありません。もし妊婦さんの中で赤ちゃんが18トリソミーになっているかご不安な方はぜひミネルバクリニックまでご相談ください。