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妊娠中にダウン症の予兆はある?具体的な例や検査方法を解説【医師監修】

妊娠中に体調を崩したり、つわりが酷かったりなどよくない症状があると「ダウン症では?」と不安になってしまう妊婦さんもいるのではないでしょうか。
エコー検査を始めとした出生前診断では、赤ちゃんが生まれる前に、ダウン症かどうかを調べることができます。出生前診断にはいくつかの種類があり、検査を受けられる妊娠週数や検査精度などがそれぞれ異なります。

本記事では、妊娠中に判断できるダウン症の予兆について解説します。また、ダウン症の特徴や具体的な検査方法についても紹介します。

妊娠中の体調とダウン症を関連づける医学的根拠はない

妊娠中 ダウン症 予兆2

「妊娠中のつわりが酷いときにはダウン症の発症率が上がってしまう」、あるいは「つわりが軽い場合にはダウン症の可能性が高まる」という噂を耳にしたことがある人もいるかもしれません。

結論から言うと、妊娠中のつわりがダウン症につながるという医学的な根拠はないとされています。
ただし、胎児がダウン症のときには、つわりを引き起こすhCGと呼ばれるホルモンが通常よりも多く分泌されることが分かっています。つわりが重く、のちに検査によってダウン症が見つかるというケースもあるようです。

しかし、妊娠中のホルモンバランスの変化は個人差が大きく、つわりの程度によってダウン症かどうかを決めつけることはできません。
多くの場合、21トリソミーの染色体異常は偶発的に起こります。ただし、女性の年齢が上がれば、ダウン症を含めた子どもの染色体異常の頻度も高くなることが分かっています。(*1)
また、以前の妊娠で胎児に染色体異常が起き、再び染色体異常が起きてしまうケースもあるようです。心配な場合には、胎児の状態を詳しく検査したほうがいいかもしれません。
(*1)厚生労働省:「不妊に悩む方への特定治療支援事業等のあり方に関する検討会」 報告書 参考資料 p.16

ダウン症のメカニズムや、ダウン症が起きる原因について

ダウン症とは、胎児に起こる染色体異常症のひとつです。ヒトには通常23対46本の染色体が存在していますが、そのうち21番目の染色体が2本ではなく3本だとダウン症が現れます。
染色体が1本多く存在することをトリソミーといいます。21番目の染色体が増えることから、ダウン症は21トリソミーとも呼ばれているのです。ただし、ダウン症には21番目の染色体の過剰部分がほかの染色体とつながる転座と呼ばれるケースもあります。
ダウン症は染色体異常の中でも発生頻度が高いといわれ、出産に至るケースも多いです。

高齢出産が増えて、ダウン症の子供も増えている?

近年は女性の社会進出によって晩婚化が進み、35歳以上が初産となる高齢出産が増加しています。ダウン症の子どもが生まれる確率は、母体の年齢が35歳を過ぎると上がるというデータもあります。

母体年齢 ダウン症児が発生する頻度
20歳 1/1450
25歳 1/1350
30歳 1/940
35歳 1/350
37歳 1/200
39歳 1/110
41歳 1/70
43歳 1/45
45歳 1/35

このデータからもわかるように、女性の年齢とともにダウン症児を出産する確率は増える傾向が知られています。
しかし実際は、ダウン症の子どもを出産した女性の約8割が35歳以下です。これは元から35歳以下の妊娠・出産が多いことが要因なので、このデータだけで判断することはできません。
ダウン症児が出生する確率については、経済的・社会的クラスや民族間での差異はなく、近年の日本の統計ではおよそ1000人に1人となっています。

妊娠中のダウン症の検査方法

胎児がダウン症かを確かめるためにも、妊娠中に適切な検査を受けることが大切です。
ダウン症か否かを判定するための検査方法には、超音波検査や胎児ドック、NIPT、絨毛検査、羊水検査などがあります。それぞれの検査の詳しい内容を見ていきましょう。

超音波検査(エコー検査)

妊娠中には超音波を使ったエコー検査を行います。妊娠初期は胎児がまだまだ小さく、超音波検査のみでダウン症が起きているかを判別することはできません。一般的に、ダウン症の判別は妊娠11週以降に行われます。

妊娠中の超音波検査には2Dエコーや3Dエコー、4Dエコーといった種類があります。
2Dエコーは平面の静止画のみですが、3Dエコーでは立体的な静止画が、4Dエコーでは立体的な静止画と動画の撮影が可能です。胎児の詳しい状況を知りたいのなら、4Dエコーを実施している病院を選ぶとよいでしょう。

超音波検査は妊婦健診のたびに行われますが、妊婦さん1人の診察時間はそれほど長く確保することはできないのが一般的です。普段の妊婦健診だけで、胎児に染色体異常が起きていないかを確認するのは難しいといえるでしょう。
胎児の状態をしっかり把握するためには、超音波を使った胎児ドックのエコー検査が有効です。胎児ドックは一般的な妊婦健診のメニューとは異なるため、希望する場合には早めに医師に相談しましょう。

NIPT(新型出生前診断)

妊娠中に行えるNIPT検査はnon-invasive prenatal genetic testingの略で、無侵襲的出生前遺伝学的検査と訳されます。ダウン症の判別は妊娠9〜10週目以降に行われます。
NIPTは母体の血液を採取し、胎児にダウン症が起きているか否かを調べる検査です。ダウン症の21トリソミーのほか、18トリソミーや13トリソミーの染色体異常についても判断できます。
NIPTは妊婦さんの採血のみで検査できるため、胎児にリスクを及ぼすことがありません。日本における検査の精度は高く、21トリソミーに関しては感度99.6%とされています。(*2)
ただし、NIPTは確定検査ではないため、NIPTで陽性になったときには絨毛検査または羊水検査に移行することになります。
(*2)厚生労働省:NIPT受検者のアンケート調査の結果について p.7

絨毛検査

ダウン症の疑いがあるときには絨毛検査と呼ばれる検査を行うことがあります。
絨毛検査とは、胎盤にある絨毛と呼ばれる組織を採取して染色体異常を調べる検査です。腹部に注射針を刺して絨毛細胞を採取する経腹法と、絨毛検査鉗子を膣に挿入して絨毛細胞を採取する経腟法があります。
絨毛検査は妊娠11週から可能ですが、妊娠14週までは検査を行わないという医療機関もあります。絨毛検査の検査時間は10分程度で、結果が出るまでの期間は2~3週間程度です。実施している医療機関が少ないことから、絨毛検査を受けるケースは羊水検査よりも少ないでしょう。

羊水検査

羊水検査は、子宮内から羊水を採取して染色体異常の有無を調べる検査です。妊娠中の胎児は羊水に包まれて育つため、羊水には胎児の細胞が含まれています。妊婦さんのお腹に針を刺して羊水を採取すれば、胎児の染色体や遺伝子の状態を詳しく調べることが可能です。
羊水検査では、ダウン症の21トリソミーのほか、18トリソミーや13トリソミーなど染色体の数的異常を調べられます。また、転座や欠失といった染色体構造の異常についても調べることが可能です。羊水検査の検査精度は高いといわれています。

妊娠16週〜18週目と受けられるタイミングはかなり遅いものの、検査は10分程度で終わります。ただし、結果が出るまで2~3週間程度かかることもあるようです。
なお、羊水検査後に流産が起きるケースも指摘されています。この時期の流産にはさまざまな要因が絡んでくるため、必ずしも羊水検査が原因で流産が起きているとは限りません。しかし、羊水検査を行う際にはリスクについても十分把握しておきたいものです。

ダウン症の胎児に見られる身体的な特徴とは

妊娠中は、超音波エコー検査で胎児の身体的な特徴を確認します。胎児に以下のような特徴が見られるときにはダウン症の疑いがあるため、より詳しい検査を勧められることがあります。

後頭部にむくみがみられる

超音波エコー検査で判断するダウン症の症状として、後頭部や首のうしろのむくみが挙げられます。ダウン症の胎児には、後頭部に幅の広いむくみが見られます。むくみは妊娠中の早い段階で確認できることが多く、エコーの際に医師から指摘を受けるケースもあるでしょう。
後頭部のむくみはNT(Nuchal Translucency)という単位で表記されます。正常な胎児にもNTに多少の厚みはありますが、ダウン症の胎児はこの部分の厚みが顕著です。

鼻骨が短い

ダウン症の胎児は特徴的な顔つきをしています。妊娠中には、胎児の鼻の形によってダウン症の可能性を指摘されるケースもあるでしょう。
ダウン症の胎児は鼻骨の発育が遅く、超音波エコー検査で鼻骨を確認できない胎児もいます。超音波エコー検査では、鼻骨の短さや鼻の低さをチェックします。
ただし、胎児の顔つきは個人差があり、遺伝的な要素も大きいものです。超音波エコー検査で顔つきをチェックしただけでは、ダウン症の確定はできません。

頭の横幅が大きい

ダウン症の胎児は頭の横幅が大きくなりやすいといわれており、特に頭の横幅よりも縦幅が短い形になっている場合、ダウン症の可能性が考えられます。胎児の頭の大きさはBPD(Biparietal Diameter)という値で表記され、エコー写真にも記載されます。
しかし、妊娠初期では頭の大きさだけでダウン症か否かを判断するのは難しいものです。また、胎児の頭のサイズには個人差があり、妊娠中期以降に頭が大きくなってきたときにもダウン症であると一概に判断できるわけではありません。

手足が短い

ダウン症の胎児は正常な胎児よりも手足が短いのが一般的です。そのため、超音波エコー検査では胎児の手足の長さを詳しく確認します。
胎児の太ももの大腿骨の長さはFL(Femur Length)という値で表示され、FLが基準よりも短いときにはダウン症の疑いがあります。また、四肢短縮症など別の症状が潜んでいることもあるため、注意が必要です。

心臓の弁に異常がある

ダウン症の合併症として心臓病が起きるケースは多いものです。心臓の右心室と左心房の間の便である三尖弁と呼ばれる部分に逆流が起きている場合、ダウン症が疑われます。ただし、三尖弁に逆流があってもダウン症とは限らず、妊娠初期の正常な胎児にも三尖弁の逆流が見られることがあります。
妊娠中の胎児の心臓の逆流を確認するのは難しいものです。妊娠中期や後期になってから心臓の逆流が起きている可能性を指摘されるケースも少なくありません。心臓になんらかの異常が起きているときには、できるだけ早く詳しい検査を受けたほうがよいでしょう。
エコーでわかるダウン症の特徴についてはこちらの記事でも詳しく紹介しています。
妊娠中のエコー写真21枚で指摘できる、ダウン症の予兆

エコーで告知されず、生まれるまでダウン症がわからないことはある?

運よくエコー検査でダウン症の特徴が見つかれば、指摘を受けてNIPTや羊水検査などの出生前診断を受けて知ることができるかもしれません。ただし、エコーでダウン症の特徴が必ず見つかるとは限らないので、知らないまま出産となる可能性もあるでしょう。
生まれてくる前に必ず把握したい、お腹の赤ちゃんの状態を知っておきたいという方はNIPTを受けておくことをおすすめします。

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院長は臨床遺伝専門医ですので、大学病院レベルの遺伝カウンセリングを実施することが可能です。また、3児の母として患者様の気持ちに寄り添ったNIPTを提供してまいります。

この記事の著者:仲田洋美(医師)

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ミネルバクリニックでは、以下のNIPT検査を提供しています。少子化の時代、より健康なお子さんを持ちたいという思いが高まるのは当然のことと考えています。そのため、当院では世界の先進的特許技術に支えられた高精度な検査を提供してくれる検査会社を遺伝専門医の目で選りすぐりご提供しています。

プロフィール

この記事の筆者:仲田洋美(医師)

ミネルバクリニック院長・仲田洋美は、日本内科学会認定総合内科専門医、日本臨床腫瘍学会認定がん薬物療法専門医 、日本人類遺伝学会認定臨床遺伝専門医として従事し、患者様の心に寄り添った診療を心がけています。

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