InstagramInstagram

NIPTは医療費控除の対象? 新型出生前診断の控除条件と確定申告の方法

NIPTは医療費控除の対象?新型出生前診断の控除条件と確定申告の方法|ミネルバクリニック

NIPTは医療費控除の対象?
新型出生前診断の控除条件と確定申告の方法

この記事でわかること
📖 読了時間:約8分
💰 費用・税金の解説
臨床遺伝専門医監修

Q. NIPTの検査費用は医療費控除の対象になりますか?

A. 基本的には「予防・検診」扱いのため対象外です。
ただし、NIPT(新型出生前診断)陽性となり、その後羊水検査人工妊娠中絶へ進んだ場合は、一連の流れが「治療」とみなされ、遡ってNIPTの費用も医療費控除の申請が可能になります。

  • 基本ルール → NIPTは「検診」扱いのため、通常は医療費控除の対象外。妊娠中の出生前診断は高額な費用がかかりますが、健康保険も適用されません。
  • 重要な例外陽性→確定検査→治療の流れになった場合は、NIPTの費用も含めて控除対象に。
  • 申請方法確定申告で医療費控除の明細書を提出。領収書の保管が必須です。
  • ミネルバの強み互助会制度で陽性時の羊水検査費用を全額補助(上限なし)
  • 2025年6月~ → 当院に産婦人科を併設し、確定検査も院内で完結できる体制に。

1. NIPTは医療費控除の対象になる?|結論と国税庁の見解

【結論】 NIPT(新型出生前診断)の費用は原則として医療費控除の対象外です。ただし、NIPTで陽性となり羊水検査や人工妊娠中絶へ進んだ場合は「治療」とみなされ、NIPTの費用も含めて遡って控除申請が可能になります。

NIPTの費用って医療費控除の対象になるの?」というご質問をよくいただきます。妊娠中に受ける新型出生前診断は検査費用が高額なため、少しでも費用を抑えたいというお気持ちはよく理解できます。

まず結論からお伝えすると、NIPTは基本的に医療費控除の対象外です。これは国税庁の公式見解に基づいています。NIPTが対象外となる理由は、検査が「治療」ではなく「検診」に分類されるためです。

🏛️ 国税庁の見解

国税庁は「母体血を用いた出生前遺伝学的検査(NIPT)」について、以下のように示しています。

妊婦の血液から胎児の染色体異常を調べる検査であり、その検査によって直接、何らかの治療が行われるものではないため、医療費控除の対象となりません。」

出典:国税庁「母体血を用いた出生前遺伝学的検査の費用」

つまり、NIPTや出生前診断は「病気の治療」ではなく「検診・スクリーニング」に分類されるため、人間ドックや健康診断と同様の扱いになります。妊娠に関連する費用だからといって、すべてが医療費控除の対象になるわけではありません。

NIPTが医療費控除の対象になる「例外」とは

ここからが重要なポイントです。NIPTで「陽性」となり、その後の確定検査(羊水検査など)や人工妊娠中絶へと進んだ場合は、状況が変わります。

✅ 医療費控除の対象になるケース

NIPTで陽性羊水検査(確定診断)人工妊娠中絶

この一連の流れが「治療」とみなされるため、最初に受けたNIPTの費用も含めて、遡って医療費控除の申請が可能になります。

  • NIPTの検査費用
  • 確定検査(羊水検査・絨毛検査)の費用
  • 人工妊娠中絶の手術費用・入院費用
  • 通院にかかった交通費(公共交通機関)

2. 医療費控除の基本条件|対象になる費用・ならない費用

【結論】 医療費控除は、1年間に支払った医療費が一定額(10万円または所得の5%)を超えた場合に、確定申告で税金の一部が還付される制度です。「治療」が目的の医療行為が対象で、「予防」や「検診」は原則対象外となります。

NIPTと医療費控除の関係を理解するためには、まず「医療費控除」の基本的な仕組みを押さえておく必要があります。控除の対象になる理由とならない理由を正しく理解しましょう。

医療費控除とは?確定申告で還付を受ける制度

医療費控除とは、1年間(1月1日〜12月31日)に支払った医療費が一定額を超えた場合に、確定申告をすることで所得税・住民税の一部が還付される制度です。妊娠・出産に関連する費用も多くが控除対象となります。

💡 医療費控除の基本
  • 対象者:本人または生計を一にする家族の医療費
  • 対象期間1年間(1月1日〜12月31日)に実際に支払った金額
  • 控除対象額:医療費 − 保険金等 − 10万円(または総所得金額の5%)
  • 上限額200万円まで

医療費控除の対象になるもの・ならないもの一覧

妊娠中の妊婦さんにとって、どの費用が医療費控除の対象になるのかを理解することは重要です。クリニックで受ける検査にも、対象になるものとならないものがあります。

✅ 対象になるもの(治療目的)

  • 病院・クリニックでの診療費
  • 処方箋による薬代
  • 入院費用・手術費用
  • 妊婦健診・分娩費用
  • 通院のための交通費(公共交通機関)

❌ 対象にならないもの(予防・検診目的)

  • 人間ドック・健康診断
  • 予防接種
  • NIPT・出生前診断(原則)
  • 美容整形
  • サプリメント・健康食品

💡 検診で異常が見つかった場合の医療費控除は?

健康診断や人間ドックで「異常」が見つかり、その後の治療が必要になった場合は、検診費用も含めて医療費控除の対象になります。NIPTや出生前診断でも同様の考え方が適用されるのです。

3. NIPTが医療費控除の対象になるケース|陽性判定後の流れ

【結論】 NIPTで陽性判定を受け、羊水検査で確定診断後に治療(人工妊娠中絶を含む)を行った場合、NIPTから始まる一連の費用が医療費控除の対象になります。

検診で異常が見つかり、治療につながった場合は控除対象になる」という原則を、NIPTに当てはめて具体的に見ていきましょう。検査結果によって、医療費控除の対象になるかどうかが決まります。

医療費控除の対象になる流れ|NIPTから確定検査まで

🔄 控除対象になる流れ
  • NIPT受検陽性判定を受ける(染色体異常の確率が高い)
  • 確定検査 → 羊水検査や絨毛検査で診断を確定
  • 治療・処置 → 人工妊娠中絶など
  • ①〜③の全ての費用が医療費控除の対象に

医療費控除でいくら還付される?|計算例

実際にどれくらいの金額が還付されるのか、NIPTを含む具体例で計算してみましょう。高額な検査費用がかかるケースでも、計算方法を理解すれば還付額がわかります。

費用項目 金額(例)
NIPTの検査費用 180,000円
羊水検査費用 150,000円
人工妊娠中絶・入院費 200,000円
交通費(公共交通機関) 10,000円
合計 540,000円
控除対象額(合計 − 10万円) 440,000円

この場合、所得税率が20%の方であれば、約88,000円(440,000円 × 20%)の還付を受けられる計算になります。さらに住民税も軽減されます。

⚠️ ご注意:上記は一般的な計算例です。実際の医療費控除の還付額は所得や他の控除との兼ね合いで変わります。詳細は税務署または税理士にご確認ください。

4. 医療費控除の計算方法と確定申告の手続き

【結論】 医療費控除は確定申告で申請します。「医療費控除の明細書」を作成し、領収書は5年間保管が必要です。e-Taxを使えば自宅からオンラインで確定申告ができます。

医療費控除額の計算式

📐 医療費控除の計算式

医療費控除額支払った医療費 − 保険金等 − 10万円

※総所得金額が200万円未満の場合は「総所得金額 × 5%」

確定申告に必要な書類一覧

  • 確定申告書(AまたはB)
  • 医療費控除の明細書(医療費の内訳を記載)
  • 源泉徴収票(会社員の場合)
  • 領収書(提出不要だが5年間保管が必要)

確定申告の流れ|医療費控除の申請ステップ

1

領収書を集める

1年間の医療費の領収書をまとめておきましょう

2

明細書を作成

国税庁HPまたはe-Taxで明細書を作成

3

確定申告を提出

2月16日〜3月15日に税務署またはe-Taxで申告

4

還付を受ける

確定申告から1〜2ヶ月後に指定口座へ振り込み

💡 e-Tax(イータックス)なら確定申告が自宅で完結

国税庁のe-Taxを使えば、自宅からオンラインで確定申告ができます。マイナンバーカードがあれば、スマートフォンからも医療費控除の申請が可能です。

5. ミネルバクリニックの費用サポート|互助会制度でNIPT陽性時も安心

【結論】 当院の互助会制度(8,000円)に加入いただくと、万が一NIPTで陽性だった場合の羊水検査費用を全額補助(上限なし)。医療費控除とは別に、経済的な不安を軽減できます。

「NIPTを受けたいけれど、もし陽性だったら羊水検査の費用も心配…」

そんな不安を抱えていらっしゃる方も多いと思います。NIPT(新型出生前診断)は高額な検査費用がかかるうえ、健康保険も適用されません。ミネルバクリニックでは、経済的な心配をせずに検査を受けていただけるよう、独自の「互助会制度」をご用意しています。

💰 互助会制度(カトレア会)

8,000円で加入可能。NIPT陽性時の羊水検査費用を全額補助

上限なしで安心です。海外旅行保険と同様の考え方で、万が一に備えた相互扶助の仕組みです。

🏥 2025年6月〜産婦人科併設

当院に産婦人科を開設し、確定検査(羊水検査・絨毛検査)を院内で実施できる体制に。

NIPT陽性時も転院不要臨床遺伝専門医による一貫したケアを受けられます。

🛡️ 安心結果保証制度

6,000円で、再検査が必要と判明したにもかかわらず流産等で検体提出ができなかった場合の保証。

万が一の事態にも対応できる安心の制度です。

👩‍⚕️ 臨床遺伝専門医が常駐

日本初臨床遺伝専門医が遺伝子検査のために開業したクリニック。

NIPT検査前後の遺伝カウンセリング心理的なサポートも充実。

💬 院長より

NIPTや出生前診断は決して安い検査ではありません。高額な検査費用がかかるのは事実です。しかし、費用のことで検査を諦めたり、陽性時の確定検査を躊躇したりしてほしくないのです。

当院の互助会制度は、患者様同士で支え合う仕組みです。万が一の時も、経済的な心配なく最善の選択ができるよう、私たちはサポートいたします。

6. NIPTでわかること・わからないこと|出生前診断の限界

【結論】将来社会的に自立できるかどうか」を判定できる検査は存在しません。NIPTでわかるのは染色体や一部の遺伝子変化に起因する疾患の「可能性」であり、同じ疾患でも症状の重さには個人差があります。

将来、自立できないほど重い障害があるかどうか心配です。NIPTでわかりますか?

このようなご質問をいただくことがあります。お子さんの将来を心配されるお気持ちは、とても自然なことです。まずは、その不安を受け止めさせてください。

Q. 将来自立できないほど重い障害が心配です。NIPTでわかりますか?

A. 「将来社会的に自立できるかどうか」までを判定できる検査は、残念ながら存在しません。

NIPT(新型出生前診断)でわかるのは、あくまで染色体や一部の遺伝子の変化に起因する疾患の「可能性」(確率)です。同じ染色体異常を持っていても、症状の重さや将来の発達には個人差があり、生まれてみないとわからない部分も多いのが現実です。

NIPTで検出できる染色体異常・疾患

ただし、NIPTで検出される染色体異常や遺伝子変異の中には、重い発達障害や知的障害を伴うことが多い疾患が含まれていることも事実です。これが出生前診断を受ける理由の一つでもあります。

染色体異数性(トリソミーなど)

  • 21トリソミー(ダウン症候群)
  • 18トリソミー(エドワーズ症候群)
  • 13トリソミー(パトウ症候群)

微細欠失症候群

  • 22q11.2欠失症候群(ディジョージ症候群)
  • 1p36欠失症候群
  • プラダー・ウィリ症候群 など

💡 出生前診断の対象疾患について

医学的・倫理的な観点から、出生前診断の対象となる疾患は、基本的には「社会的に自立して生活することに支障が出るレベルの重篤な疾患」に限定されています。

これは、出生前診断が「障害のある人を排除する」ためのものではなく、「重篤な疾患について事前に知り、準備する機会を提供する」ためのものであるという考え方に基づいています。

NIPTで何がわかり、何がわからないのか。その検査結果をどう受け止め、どう判断するのか。臨床遺伝専門医による遺伝カウンセリングを通じて、一緒に考えていきましょう

NIPTと医療費控除に関するよくある質問(FAQ)

Q1. NIPTの結果が陰性だった場合、医療費控除は受けられますか?

残念ながら、陰性の場合は医療費控除の対象外です。NIPTは「検診」扱いとなり、検査結果で異常が見つからなかった場合は治療に至らないため、控除対象にはなりません

Q2. 羊水検査だけ受けた場合は医療費控除の対象になりますか?

羊水検査も「検診」に分類されるため、単独では医療費控除の対象外です。ただし、検査後に治療が必要になった場合は、羊水検査費用も含めて控除対象になります。

Q3. 交通費も医療費控除の対象になりますか?

はい、公共交通機関(電車・バス)の交通費は医療費控除の対象になります。ただし、自家用車のガソリン代や駐車場代は対象外です。タクシーは、公共交通機関が利用できない場合に限り対象となります。

Q4. 確定申告の期限を過ぎてしまった場合、還付は受けられませんか?

医療費控除は過去5年分まで遡って申請できます。確定申告の期間(3月15日)を過ぎても、「還付申告」として申請可能です。領収書を保管していれば、後からでも申請できますのでご安心ください。

Q5. ミネルバクリニックの互助会と医療費控除は併用できますか?

はい、互助会と医療費控除は別の制度ですので、併用可能です。ただし、互助会から補助を受けた金額は「保険金等で補填される金額」として、医療費控除の計算から差し引く必要があります。

Q6. NIPTの費用は健康保険の対象になりますか?

NIPTは自由診療(自費)のため、健康保険は適用されません。また、民間の医療保険も、検査費用を対象としている商品は一般的ではありません。加入している保険の内容をご確認ください。

Q7. 出産一時金はNIPTの費用に使えますか?

出産一時金(出産育児一時金)は出産時に支給される制度であり、NIPTの費用に直接充てることはできません。ただし、出産費用と合わせて家計全体で考えることは可能です。

Q8. オンラインNIPTでも領収書はもらえますか?

はい、オンラインNIPTでも領収書を発行いたします。医療費控除の確定申告にお使いいただけますので、大切に保管してください。

Q9. NIPTを受けるクリニックを選ぶ際のポイントは?

NIPTを受けるクリニックを選ぶ際は、臨床遺伝専門医が在籍しているか、遺伝カウンセリングが充実しているか、陽性時のフォロー体制があるかを確認しましょう。検査費用だけでなく、検査結果が出た後のサポート体制も重要です。

まとめ|NIPTと医療費控除の重要ポイント

この記事では、NIPTと医療費控除の関係について詳しく解説してきました。最後に、重要なポイントをまとめておきます。

📝 この記事のまとめ
  • NIPT(新型出生前診断)は原則として医療費控除の対象外(検診扱い)
  • 陽性→確定検査→治療の場合は、NIPTの費用も含めて控除対象に
  • 医療費控除の申請は確定申告で行い、領収書は5年間保管
  • ミネルバの互助会制度なら、NIPT陽性時の羊水検査費用を全額補助
  • 2025年6月〜産婦人科併設で、確定検査も院内完結

妊娠中にNIPTを受けるかどうか悩んでいる方、高額な検査費用のことで不安を感じている方は、ぜひ一度ご相談ください。臨床遺伝専門医による遺伝カウンセリングで、検査のことだけでなく、費用面の不安についてもお話を伺います。

🏥 費用の不安も、検査の不安も、一緒に解決しましょう

ネットの情報に疲れたら、一度専門医の話を聞きに来ませんか?
あなたと赤ちゃんを守るための準備を、一緒に始めましょう。

📚 関連コラム

NIPTに関連するコラム記事も多数ご用意しています。出生前診断の検査方法や検査の流れ、検査結果の見方など、詳しい情報は当クリニックのNIPTページをご覧ください。

参考文献


プロフィール
仲田洋美医師

この記事の筆者:仲田 洋美(臨床遺伝専門医)

ミネルバクリニック院長・仲田洋美は、1995年に医師免許を取得して以来、のべ10万人以上のご家族を支え、「科学的根拠と温かなケア」を両立させる診療で信頼を得てきました。『医療は科学であると同時に、深い人間理解のアートである』という信念のもと、日本内科学会認定総合内科専門医、日本臨床腫瘍学会認定がん薬物療法専門医、日本人類遺伝学会認定臨床遺伝専門医としての専門性を活かし、科学的エビデンスを重視したうえで、患者様の不安に寄り添い、希望の灯をともす医療を目指しています。特に遺伝カウンセリング分野では15年以上の経験を持ち、全国初のオンライン遺伝カウンセリングを確立して、地方在住の方々にも質の高い遺伝医療を提供しています。


仲田洋美の詳細プロフィールはこちら

   

関連記事