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高リスク集団と低リスク集団におけるcfDNA NIPT:検出率・陽性的中率・判定保留

仲田洋美 医師

この記事の監修:仲田洋美(臨床遺伝専門医)

ミネルバクリニック院長。臨床遺伝専門医として遺伝医療に携わっています。

NIPT(cfDNAを用いた非侵襲性出生前遺伝学的検査)の検出率と偽陽性率は、受ける人の集団が変わってもほとんど変わりません。大きく変わるのは陽性的中率(陽性と出た人が本当に罹患している割合)で、これは年齢や従来検査の結果で決まる事前確率に左右されます。この記事では、高リスク集団と低リスク集団でNIPTを用いた場合の検査性能や受検後の選択について、英国の実装研究、米国の大規模研究、その後に報告された研究、日本のデータをもとに整理します。

⏱ 30秒でわかる要約

Q. NIPTの性能は?

35研究のメタ解析で、21トリソミーの検出率は99.7%、偽陽性率は0.04%でした。従来のコンバインド検査(検出率85〜90%、偽陽性率5%)を大きく上回ります。

Q. 陽性的中率は何で変わる?

事前確率(年齢や従来検査の結果)で変わります。同じ性能でも、12週時点の21トリソミーのリスクが1/1000の集団では約71%、1/250の集団では約91%と計算されます。

Q. 判定保留になると染色体異常が多い?

18・13トリソミーでは判定保留が多いことが報告されていますが、21トリソミーでは増えていません。判定保留をひとまとめに「異常のサイン」とは言えません。

Q. 低リスクの妊婦に使うとどうなった?

米国のCARE研究・NEXT研究では、陽性的中率が従来法の10倍以上でした(NEXT研究で80.9%対3.4%)。

この記事でわかること
📖 読了時間:約14分
🧬 NIPT教科書 第4章(4-2)
★ 臨床遺伝専門医監修

Q. NIPTの陽性的中率は、年齢によって変わりますか?

A. 変わります。検出率と偽陽性率がほぼ一定でも、対象となる集団の有病率(事前確率)が低いほど、陽性的中率は下がります。年齢が若い人や従来検査で低リスクとされた人では、陽性と出ても罹患していない人の割合が相対的に増えます。陽性的中率は集団の数値であり、個人の確率をそのまま表すものではありません。NIPTで高リスクと出た場合は、絨毛検査や羊水検査で確認します。

  • ➤性能 → 21トリソミー検出率99.7%・偽陽性率0.04%(35研究のメタ解析)
  • ➤高リスク集団 → 英国ではNIPTの導入で侵襲的検査を選ぶ人が65.6%から37.6%に減った
  • ➤低リスク集団 → 陽性的中率は従来法の10倍以上(CARE・NEXT研究)
  • ➤判定保留 → 18・13トリソミーで多いが、21トリソミーでは増えない
  • ➤日本 → 2022年の指針で、年齢にかかわらず本人の意思決定を尊重する方針が示された

高リスク集団と低リスク集団におけるNIPTの検出率・陽性的中率・判定保留を解説するインフォグラフィック

1. この節で扱うこと:高リスク集団と低リスク集団

NIPTは「誰に」「どの順番で」使うかによって、対象集団の事前確率や陽性的中率、検査後の選択が変わります。ここでいう高リスク集団とは、母体血清マーカーやNT(胎児後頸部透亮像)などの従来のスクリーニング検査で、染色体の数の異常(異数性)のリスクが高いと判定された妊婦さんの集団を指します。低リスク集団とは、従来の検査を受けずに、あるいは従来の検査でリスクが高くないとされたうえで、一般の妊婦さんとしてNIPTを受ける集団です[1]。

NIPTを医療の中に組み込む方法は、大きく2つあります。1つは、まず従来のスクリーニング検査を全員に行い、その結果でリスクが高い人や中間の人にだけNIPTを提示する方法で、英語でコンティンジェント(contingent)スクリーニングと呼ばれます。もう1つは、従来の検査を経ずに、全員に最初からNIPTを提示する一次スクリーニング(first-tier screening)です[1]。従来の検査そのものの検出率や、年齢によるリスクの考え方は、前のページのcfDNA以前の出生前スクリーニングで扱っています。

どちらの方法を選ぶかで、NIPTを受ける人の事前確率(検査前に罹患している確率)が変わります。高リスク集団では事前確率が高く、低リスク集団では低くなります。NIPTの検出率や偽陽性率は集団によってあまり変わりませんが、陽性と出た人が実際に罹患している割合(陽性的中率)は、この事前確率に強く左右されます。そのため、高リスク集団と低リスク集団を分けて検討する必要があります。

なお、高リスクを判定するカットオフは研究や国によって異なります。英国の公的な基準は、出生時に換算して1/150より高いリスクを高リスクとしていますが、後で紹介する研究には、妊娠12週時点で1/100を超えるリスクを高リスクとしたものもあります[1]。数字を比べるときは、どの時点のリスクで線を引いたのかを確認する必要があります。章全体の流れは第4章の目次にまとめています。

💡 用語解説:コンティンジェント(段階的)スクリーニング

コンティンジェントスクリーニングとは、全員に行う最初の検査の結果に応じて、次の検査を受ける人を絞り込む方式です。NIPTの場合、まずコンバインド検査などで全員のリスクを計算し、リスクが高い人や中間の人にだけNIPTを提示します。費用を抑えながら精度の高い検査を必要な人に届ける方法ですが、最初の検査で低リスクと判定された罹患例は、その後の検査に進まないため見つけられません。

2. 異数性スクリーニングにおけるcfDNA NIPTの性能

2010年代に入って、母体血中のcfDNA(細胞の外に浮遊しているDNA断片)を使ったNIPTが、21・18・13トリソミーのスクリーニング検査として広く検証されました。メタ解析では、NIPTは従来のスクリーニングより高い検出率と低い偽陽性率を示す一方、確定検査ではなく、判定保留となる場合があることも示されています[1]。

Gil 2017メタ解析:検出率と偽陽性率

2017年に発表されたメタ解析では、21トリソミーの検出率は99.7%、偽陽性率は0.04%でした。このメタ解析は、妊娠の転帰(実際に罹患していたかどうか)が85%を超える症例で確認できた35研究に絞って統合しています[1][2]。メタアナリシス(メタ解析)は、複数の研究の結果を統計的にまとめる方法で、1つの研究だけでは得られない精度で性能を推定できます。

18トリソミーの検出率は97.9%、13トリソミーは99.0%で、偽陽性率はいずれも0.04%でした。比較の対象となるコンバインド検査(母体年齢、NT、母体血中のhCGとPAPP-Aを組み合わせて計算する妊娠初期の検査)は、偽陽性率を5%に設定したときの21トリソミーの検出率が85〜90%、18・13トリソミーでは75%とされています[1]。

📊 NIPTとコンバインド検査の性能比較

対象 検査 検出率 偽陽性率
21トリソミー コンバインド検査/NIPT 85〜90%/99.7% 5%/0.04%
18トリソミー コンバインド検査/NIPT 75%/97.9% 5%/0.04%
13トリソミー コンバインド検査/NIPT 75%/99.0% 5%/0.04%

※NIPTはGil ら2017年のメタ解析[2]、コンバインド検査はSacco・Pandyaのレビュー[1]による。コンバインド検査の検出率は偽陽性率5%に固定したときの値です。

この表で目を引くのは、検出率よりも偽陽性率の差です。偽陽性率5%と0.04%の違いは、検査を受けた1万人のうち、罹患していないのに陽性と出る人が約500人か約4人かという違いに相当します。偽陽性が減れば、その確認のために羊水検査や絨毛検査を受ける人が減ります。35研究のうち30研究は高リスク集団を対象としており、サブグループ解析では高リスク集団と一般集団で検査性能に明確な差は認められませんでした[1]。対象疾患そのものについては、21トリソミー(ダウン症候群)、18トリソミー、13トリソミーの解説をご覧ください。

検出率が99%でも確定検査が必要な理由

NIPTで調べている「胎児のDNA」は、実際には胎盤の細胞に由来します。そのため、検出率が99%を超えても、NIPTはスクリーニング検査であり、高リスクの結果は侵襲的な検査で確認する必要があります。母体血中の胎児由来cfDNAの大部分は胎盤の栄養膜、特に合胞体栄養膜に由来し、アポトーシス(プログラムされた細胞死)などに伴って母体血中へ放出されます[1]。

胎盤の細胞と胎児の細胞は、もとは同じ受精卵から分かれたものですが、発生の途中で染色体の構成が食い違うことがあります。胎盤にだけ異常な細胞が混ざる状態は胎盤限局性モザイク(CPM)と呼ばれ、この場合、胎児は正常でもNIPTは陽性になります。絨毛検査は胎盤の絨毛組織を調べる診断検査で、直接法では主に栄養膜、培養法では主に絨毛間葉系細胞を評価します。ただし胎盤限局性モザイクの影響を受けることがあり、結果によっては羊水検査による追加確認が必要です[1]。

胎児以外の原因はほかにもあります。双胎の一方が妊娠初期に消失したバニシングツイン、母親自身の染色体の変化や悪性腫瘍などの母体側の要因でも、胎児とは異なる結果が出ることがあります[1]。これらがNIPTを確定検査にできない理由であり、詳しい仕組みは第5章で扱います。

判定保留とT18・T13:結果が出ないことの意味

NIPTでは、検体から結果が得られない「判定保留(no-call)」が一定の割合で起こります。もっとも多い原因は胎児分画(cfDNA全体に占める胎児由来の割合)が低いことです。報告された研究では、判定保留の割合は0〜12.2%と幅がありました[1]。胎児分画の測り方や、低いときの考え方は胎児ゲノム率(胎児分画)のページで解説しています。

判定保留になった例を調べた研究では、胎児分画は母体のBMIが高いほど、母体年齢が高いほど低く、白人に比べて南アジア系の妊婦さんで低く、生殖補助医療(体外受精など)による妊娠でも低いことが示されました[1][3]。母体のBMIが高いと母体由来のcfDNAが増えて胎児由来の割合が薄まる、という関係が考えられています。

同じ研究で、判定保留の割合を胎児の染色体ごとに比べると、罹患していない妊娠では2.9%、21トリソミーでは1.9%だったのに対し、18トリソミーでは8.0%、13トリソミーでは6.3%と高くなっていました[1][3]。18・13トリソミーの妊娠では胎盤が小さいことが知られており、それが母体血中のPAPP-A(胎盤で作られるタンパク質)の低値や、胎児分画の低さとして表れていると考えられています。

🧪 胎児の状態別の判定保留の割合

胎児の状態 判定保留の割合 読み方
罹患していない 2.9% 比較の基準
21トリソミー 1.9% 基準より高くない
18トリソミー 8.0% 基準の約3倍
13トリソミー 6.3% 基準の約2倍

※Revello ら2016年[3]の報告による。

ここで注意したいのは、判定保留をひとまとめに「染色体異常のサイン」と読んではいけないという点です。2018年に発表されたシステマティックレビューでは、判定保留だった検体と結果が出た検体とで、ダウン症候群の割合に差は見られませんでした(オッズ比0.98、95%信頼区間0.62〜1.55)[4]。初回の判定保留の割合は欧米の研究で3.3%、アジアの研究で0.6%と地域差があり、判定保留の83%で再検査が行われ、そのうち79%で結果が得られています[4]。胎児分画の低さと胎児の染色体異常の関連を検討したメタ解析も発表されており[5]、判定保留の意味は、どの染色体の異常を問題にしているかによって変わると考えるのが正確です。判定保留になった後の具体的な選択肢は、NIPTの結果が出ない原因と対処法で整理しています。

💡 用語解説:胎児分画(fetal fraction)

胎児分画とは、母体血中のcfDNAのうち、胎盤(胎児側)に由来するDNAが占める割合のことです。NIPTは、特定の染色体に由来するDNAの量がわずかに多いか少ないかを数えて判定するため、胎児分画が低いと差が検出しにくくなり、判定保留の原因になります。胎児分画は妊娠週数とともに上がる一方、母体の体重が重いほど下がる傾向があります。

仲田洋美院長

🩺 院長コラム【判定保留を「1つの意味」で読まない】

判定保留は、胎児分画不足などの技術的・生物学的要因で結果を報告できない状態であり、18・13トリソミーでは低胎児分画との関連が報告されています。一方、低胎児分画と21トリソミーとの関連はメタ解析で有意ではありません。ただし、判定保留全体を一律に低リスクとみなすことはできません。この2つを分けずに「保留だったから心配」とも「保留は技術的な問題だから気にしなくてよい」とも言い切れない、というのが現在のデータから読み取れることだと考えています。

判定保留の後には、再検査、超音波での詳しい評価、確定検査という選択肢があります。妊娠週数や超音波所見を合わせて、どの順番で進むのが妥当かを判断することが大切だと考えています。

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3. 高リスク集団でのNIPT:段階的(コンティンジェント)スクリーニング

高リスク集団でのNIPTとは、従来のスクリーニング検査でリスクが高い、または中間と判定された妊婦さんに、追加の検査としてNIPTを提示する使い方です。メタ解析に含まれた35研究のうち30研究はこの高リスク集団を対象としており、NIPTのエビデンスの中心はこの使い方から生まれています[1]。英国では、段階的スクリーニングとしてNIPTを導入した大規模研究が行われています。

全員にコンバインド検査妊娠11〜13週
▶
リスクで3群に分ける高・中間・低
▶
高・中間リスクにNIPTを提示高リスクは確定検査も選べる
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NIPT高リスクは確定検査へ絨毛検査・羊水検査

英国Gil 2016:2病院・11,692妊娠のデータ

英国の公的医療(NHS)の2病院で行われた研究では、コンバインド検査の結果に応じてNIPTを提示する方式を日常診療に導入し、11,692妊娠の転帰を追跡しました。妊娠12週時点のリスクが1/100を超える人を高リスク、1/101〜1/2500の人を中間リスクとし、高リスクの人には侵襲的検査・NIPT・追加検査なしの3つを、中間リスクの人にはNIPTか追加検査なしの2つを選択肢として示しました[1][6]。この研究は、ある集団を前向きに追跡するコホート研究にあたります。

🏥 リスク群ごとの選択と、見つかったトリソミー(Gil 2016)

リスク群(人数) 選んだ検査 21トリソミー 18トリソミー 13トリソミー
高リスク(460人) 絨毛検査173人/NIPT 276人/なし11人 41例 22例 4例
中間リスク(3,552人) NIPT 3,249人/なし303人 5例 2例 0例
低リスク(7,680人) 追加検査なし 1例 0例 0例

※高リスクは妊娠12週時点で1/100超、中間リスクは1/101〜1/2500。Gil ら2016年[6]をもとに作成。

この方式で、21トリソミー47例のうち43例(91.5%)、18・13トリソミー28例は全例(100%)が出生前に見つかりました[1]。注目されたのは侵襲的検査の減少です。高リスク群で侵襲的検査を選んだ人は、導入前年の65.6%から37.6%に下がり、相対的に43%減りました[1][6]。初回の採血で結果が出なかったのは2.7%で、再採血した人の63.0%で2回目に結果が出ています[1]。

一方で、表の最下段が示すように、コンバインド検査で低リスクとされた群にも21トリソミーが1例ありました。コンティンジェント方式では、最初の検査をすり抜けた例はNIPTに進まないため、検出率は最初の検査の性能と、その後に検査を受ける人の割合の両方に左右されます。NIPTという選択肢が加わることで追加検査を受ける人が増え、全体として検出率が上がることが示されています[1]。

NIPTの結果は「中絶のため」だけに使われていない

同じ英国の研究で、出生前に21トリソミーと診断された後に妊娠の中断を選んだ割合は、侵襲的検査で陽性と確定した人では92.6%だったのに対し、NIPTで高リスクと出た人では35.7%でした。NIPTで高リスクと出た13人のうち、9人は侵襲的検査に進み、4人は追加の検査を受けずに妊娠を継続しています。全体では、21トリソミーと診断された妊娠の74%で中断が選ばれました[1]。

この差は、NIPTが「妊娠を中断するかどうかを決めるため」だけでなく、「情報を得て出産に備えるため」にも利用されている可能性を示唆します[1]。また、リスクが高いほど、またNTが厚いほど侵襲的検査を選ぶ人が多く、民族的背景や、結果の説明をNT計測と同じ日に受けたかどうかによっても選択が異なっていました。

ただし、これは英国の特定の研究集団での割合であり、国や時代、検査の提示の仕方によって大きく変わります。この数字を、日本の妊婦さんや個人の選択の目安として読むことはできません。日本のNIPT陽性後の転帰については、NIPT陽性後の中絶率で別に解説しています。

RAPID研究:英国8施設・3万人超

RAPID研究は、英国の8施設で3万人以上の妊婦さんを対象に、従来のスクリーニングでリスクが1/150を超えた人にNIPTを提示した場合の、受検の状況と費用を検討した研究です。リスクが1/150を超えた934人のうち、侵襲的検査を選んだのは17.8%(166人)、NIPTを選んだのは74.4%(695人)、どちらも受けなかったのは7.8%(73人)でした。リスクが1/151〜1/1000の人では、80.3%(2,241人中1,799人)がNIPTを選んでいます[1]。

研究グループは、この結果をイングランドの年間出生数(約69万8,500人)に当てはめ、リスク1/150を超える人にNIPTを提示した場合、21トリソミーの出生前の検出が年間195例増え、侵襲的検査が3,368件減り、手技に関連する流産が17件減ると推計しました。総費用に有意な差はありませんでした[1]。

これらは実際に数えた件数ではなく、研究で得られた選択の割合を全国に当てはめたモデルによる推計です。それでも、NIPTを従来のスクリーニングの後に組み込むと、検出数を増やしながら侵襲的検査とそれに伴う流産を減らせる可能性を示した点で、英国が公的医療にNIPTを導入する根拠の1つになりました[1]。侵襲的検査に伴う流産の確率については、羊水検査のリスクで解説しています。

4. 低リスク集団でのNIPT:一次スクリーニング

低リスク集団でのNIPTとは、従来のスクリーニング検査を経ずに、一般の妊婦さんに最初からNIPTを行う使い方です。この使い方では対象集団の有病率が低くなるため、検出率や偽陽性率が同じでも、陽性的中率が下がることが予想されます。一般の妊婦さんを対象とした研究でも、NIPTの陽性的中率は従来のスクリーニング検査より高いことが示されています[1]。

CARE・NEXT研究:陽性的中率は従来法の10倍以上

米国で一般の妊婦さんを対象に行われた2つの研究では、NIPTの陽性的中率が従来のスクリーニング検査の10倍以上でした。CARE研究(2,052人)では、21トリソミーの陽性的中率がNIPTで45.5%、標準的なスクリーニングで4.2%でした[1][7]。より規模の大きいNEXT研究(15,841人)では、NIPTの陽性的中率は80.9%、標準的なスクリーニングは3.4%でした[1][8]。

📋 一般の妊婦さんを対象とした主な研究(21トリソミー)

研究 人数 検出率 偽陽性率 陽性的中率(NIPT/従来法)
Bianchi 2014(CARE) 2,052人 100% 0.3% 45.5%/4.2%
Norton 2015(NEXT) 15,841人 100% 0.06% 80.9%/3.4%
Zhang 2015 約14万7千人 99.17% 0.05% 92.19%/記載なし

※各研究報告[1]をもとに作成。Zhang 2015の対象人数には資料間で差があるため概数で示しました。

CARE研究とNEXT研究の陽性的中率に差があるのは、主に対象者の規模と、含まれた罹患例の数の違いによるものです。NEXT研究は低リスクの妊婦さんを中心に、NIPTとコンバインド検査を同じ人に並行して行って比べた研究で、偽陽性率はNIPTが0.06%でした[1]。どちらの研究でも、検出率は従来の検査を上回り、偽陽性は大幅に少ないという結果が一致しています。

陽性的中率が年齢で変わる理由

陽性的中率は、検査の性能(感度と偽陽性率)だけでは決まらず、検査を受ける集団の事前確率によって大きく変わります。事前確率が低い集団では、本当に罹患している人の数が少ないため、ごくわずかな偽陽性でも陽性者全体に占める割合が相対的に大きくなるからです。計算の仕組みそのものは陽性的中率とはで詳しく説明しています。

具体的に計算してみます。陽性的中率は「真陽性 ÷(真陽性+偽陽性)」で求められます。妊娠12週時点の21トリソミーのリスクは、母体年齢20歳で約1/1000、35歳で約1/250とされています[1]。ここにメタ解析の検出率99.7%と偽陽性率0.04%[2]を当てはめると、次のようになります。

🧮 事前確率による陽性的中率の違い(計算例)

12週時点のリスク 真陽性(10万人あたり) 偽陽性(10万人あたり) 陽性的中率
1/1000(20歳の目安) 約99.7人 約40.0人 約71%
1/250(35歳の目安) 約398.8人 約39.8人 約91%

※真陽性=罹患者数×0.997、偽陽性=非罹患者数×0.0004として算出した計算例です。実際の陽性的中率は、妊娠週数(12週か出生時か)、検査法、対象集団によって変わります。

偽陽性の数は、どちらの集団でも10万人あたり約40人とほとんど変わりません。変わるのは真陽性の数で、事前確率が4倍になれば真陽性もほぼ4倍になります。その結果、陽性者に占める真陽性の割合、つまり陽性的中率が約71%から約91%へ上がります。年齢別のダウン症候群の確率そのものについては、ダウン症の確率と年齢別リスクで解説しています。

日本でも、実際のデータから陽性的中率が確認されています。日本のNIPTコンソーシアムによる全国調査では、高年齢の妊婦さん21,610人のうち、21トリソミーでNIPT陽性となった188人のうち180人で罹患が確認されました[9]。高年齢の集団では、陽性的中率がおよそ96%と高い値になっていたことになります。ただし、これらはいずれも集団の数値であり、ある人が陽性と出たときに罹患している確率を、そのまま表すものではありません。個々の結果は、超音波所見などとあわせて評価します。

一次スクリーニングの課題:費用と判定保留

NIPTを一次スクリーニングとして広く実施する際には、検査費用と、判定保留になった人への対応が重要な課題になります。一般の妊婦さん全員にNIPTを行うと、検査の件数は高リスク集団に限る場合の何倍にもなります。2018年時点では多くの国でNIPTの費用が高く、それが一次スクリーニングの導入を難しくしていました[1]。

判定保留への対応も、全員に行う方式では件数が増えます。判定保留の人に再検査をするのか、コンバインド検査を行うのか、直接確定検査を提示するのかという手順を、あらかじめ決めておく必要があります。当時の文献では、判定保留後に侵襲的検査を提示することが推奨されていました[1]。その後の研究では、低胎児分画は18・13トリソミーなどとの関連が示される一方、21トリソミーとの関連は有意ではありませんでした[5]。判定保留後の対応は、妊娠週数、超音波所見、判定保留の原因などを踏まえて検討します。

当時のシステマティックレビューでは、高リスク集団でのNIPTは高い感度と特異度を示す一方、選別されていない一般の妊婦さんに一次スクリーニングとして用いた場合の精度データはまだ限られていました[1]。その後、大規模な実装研究が報告され、一般集団でのデータも蓄積されています。

仲田洋美院長

🩺 院長コラム【「99%」と「71%」は矛盾しない】

NIPTの説明では、検出率99%という数字と、陽性的中率が7割程度という数字が並ぶことがあり、どちらが本当なのかと戸惑う方がいます。検出率は「罹患している人のうち、どれだけを見つけられるか」、陽性的中率は「陽性と出た人のうち、どれだけが本当に罹患しているか」で、分母が違う別の物差しです。

陽性的中率は、受ける人の事前確率で動きます。NIPTで陽性と出たときに、その数字を自分の年齢や超音波の所見と重ねて読むこと、そして確定検査で確かめることを前提に考えるのが、この検査と向き合う基本だと考えています。

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5. 2018年以降に蓄積された知見

2018年以降、一般の妊婦さん全体にNIPTを最初から提供する大規模な実装データが報告され、主要学会のガイドラインも更新されています。一次スクリーニングとしてのNIPTについても、国単位の経験が蓄積されてきました。

オランダでは、2017年から全妊婦さんにNIPTを一次スクリーニングとして提供する全国的な研究(TRIDENT-2)が行われ、21・18・13トリソミーに限らず全染色体を解析するゲノムワイドNIPTを一次検査として全国に導入した結果が、2019年に報告されています[1][10]。TRIDENT-2では、受検者が付随所見(目的以外の染色体の所見)を知るかどうかを選択できる形で実施されました[10]。全染色体を対象とするNIPTの考え方は、第7章で扱います。

さらに大きな規模のデータとして、中国河北省で2019年7月から2022年6月までに1,185,416人の妊婦さんにNIPTを行った実装研究が、2026年に発表されました。21トリソミーの頻度は0.105%、18トリソミーは0.026%、13トリソミーは0.005%で、35歳以上では21トリソミーのリスクが4.31倍でした。母体血清マーカー検査を使っていた場合と比べて、出生前の確定検査の件数は97.4%減ったと報告されています[11]。

ガイドラインの面では、米国臨床遺伝・ゲノム学会(ACMG)が、一般リスクの妊婦さんを対象とした非侵襲的出生前スクリーニングについて、エビデンスに基づく診療ガイドラインを公表しています[12]。米国産科婦人科学会(ACOG)は、2020年にPractice Bulletin 226を公表しました[13]。その後、ACOGは2025年11月にSMFM Consult Series #74を承認し、2026年1月のPractice Advisoryで、cfDNAスクリーニングを21・18・13トリソミーに対する最も感度・特異度の高いスクリーニング検査として、年齢や基礎リスクにかかわらずすべての妊婦に選択肢として提供することを推奨しました。この2026年の指針はPractice Bulletin 226を置き換えています[14]。現在は、年齢や基礎リスクだけで対象を限定するのではなく、最新のガイドラインに基づいてNIPTを選択肢として提示する考え方へ更新されています。

6. 日本の状況

日本では、2022年に日本医学会の出生前検査認証制度等運営委員会が新しい指針を公表し、NIPTの対象と、判定保留や陽性のときの対応を定めています。この指針は、対象を「高年齢の妊婦」などとしつつ、その状態にある妊婦に必ずしもNIPTを受検する必要性があるわけではないと明記しています[15]。

そのうえで指針は、対象疾患の発生頻度によらず、適切な遺伝カウンセリングを行っても胎児の染色体数的異常に対する不安が解消されない妊婦については、十分な情報提供と支援を行ったうえで、受検に関する本人の意思決定が尊重されるべきだとしています。対象疾患は13・18・21トリソミーです。判定保留の場合は、妊娠週数を勘案して再検査を受けるか、確定的検査を受けるなどの選択肢を提示して説明すること、陽性の場合は確定的検査(羊水検査あるいは絨毛検査)とその後の対応を行うことが定められています[15]。年齢と受検の関係はNIPTは何歳から受けられるかで、認証制度の成り立ちはNIPTコンソーシアムと認証制度の違いで解説しています。

日本の出生前検査の20年間の推移をまとめた2026年の報告では、母体血清マーカー検査は2018年の34,887件から2023年の25,553件へ、羊水検査は2014年の16,454件から2023年の5,620件へ、絨毛検査は2015年の2,149件から2023年の1,167件へと減っていました。同じ期間に、35歳以上の母親の割合は2003年の14.0%から2023年の30.4%へ増えています[16]。NIPTの普及とともに、従来の検査と侵襲的検査が減っていく流れは、英国の研究で示された変化と同じ方向です。

また、出生前検査認証制度等運営委員会は、NIPTを受けた約10万人の妊婦さんの追跡調査の結果を公表しており、約50人に1人が陽性または判定保留となったこと、21トリソミーで陽性と出た人の的中率が97.3%(偽陽性2.7%)だったことなどを示しています[17]。調査が行われた時期の受検者と、現在NIPTを受ける人の集団が同じとは限らないため、数字を読むときには対象の違いに注意が必要です。

よくある質問(FAQ)

Q1. 年齢が若いとNIPTの陽性的中率は低いのですか?

一般に低くなります。NIPTの検出率と偽陽性率は年齢によってほとんど変わりませんが、若い年齢では罹患している人の割合(事前確率)が低いため、陽性者に占める偽陽性の割合が相対的に大きくなります。メタ解析の性能を当てはめた計算例では、12週時点のリスクが1/1000の集団で約71%、1/250の集団で約91%です。これは集団の数値であり、個人の確率ではありません。

Q2. 判定保留になったら、染色体異常の可能性が高いのですか?

18トリソミーと13トリソミーでは判定保留が多いことが報告されていますが、21トリソミーでは判定保留の割合は高くなく、2018年のシステマティックレビューでも判定保留とダウン症候群の割合に差はありませんでした。判定保留の後は、再検査、超音波での評価、確定検査などの選択肢を、妊娠週数と所見をふまえて検討します。

Q3. 高リスクと言われた人だけがNIPTを受けるべきですか?

国や制度によって考え方が異なります。英国は従来の検査で高リスクとされた人にNIPTを提示するコンティンジェント方式、オランダは全妊婦さんに一次スクリーニングとして提供する方式を採っています。日本の2022年の指針は、高年齢の妊婦などを対象としつつ、遺伝カウンセリングを行っても不安が解消されない妊婦については本人の意思決定を尊重するとしています。

Q4. NIPTがあれば、コンバインド検査や超音波検査は不要ですか?

不要にはなりません。超音波検査は妊娠週数の確認、多胎の評価、NIPTでは分からない形態の異常の評価に必要で、超音波で異常が見つかった場合はNIPTではなく確定検査が検討されます。従来の検査がNIPTの導入後にどのような役割を持つかは、第4章の次のページで解説しています。

Q5. NIPTの結果は、妊娠を中断するかどうかを決めるためだけに使われているのですか?

そうとは限りません。英国の研究では、21トリソミーと診断された後に妊娠の中断を選んだ割合は、侵襲的検査で確定した人で92.6%、NIPTで高リスクと出た人で35.7%でした。NIPTが出産に備えるための情報として使われていることを示唆するデータですが、国や時代によって大きく異なる数字であり、個人の選択の目安にはなりません。

7. まとめ:どの集団に、どの順番でNIPTを使うか

NIPTの21トリソミーの検出率は99.7%、偽陽性率は0.04%で、従来のコンバインド検査を大きく上回ります[2]。この性能は高リスク集団でも一般の集団でもほぼ同じですが、陽性的中率は事前確率によって変わり、低リスクの集団では下がります。それでも一般の妊婦さんを対象とした研究で、NIPTの陽性的中率は従来法の10倍以上でした[7][8]。

高リスク集団に段階的にNIPTを提示する方式は、英国の実装研究で侵襲的検査を減らしながら検出数を保てることが示されました[6]。一方、最初の検査で見逃された例はNIPTに進まないという限界があり、その後、一般の妊婦さん全体に最初からNIPTを提供する国単位の経験が蓄積されています[10][11]。低胎児分画は18・13トリソミーなどとの関連が報告されていますが、21トリソミーとの関連はメタ解析で有意ではありません[5]。判定保留は原因を一括りにせず、妊娠週数や超音波所見とあわせて評価する必要があります。NIPTは確定検査ではないため、高リスクの結果は確定検査で確かめることが前提になります。NIPTが普及した後の従来の検査の役割、費用、倫理については、次のページのNIPT導入後の出生前スクリーニングで扱います。

🧬 NIPTをお考えの方へ

ミネルバクリニックでは、常駐する臨床遺伝専門医が、検出率・陽性的中率・判定保留の意味を含めて検査前の遺伝カウンセリングを行い、NIPTを実施しています。陽性や判定保留の結果が出た場合の確定検査についても、事前に流れをご説明しています。

参考文献

  • [1] Sacco A, Pandya P. Prenatal Screening for Common Aneuploidies Before and After the Introduction of Cell-Free DNA-Based Prenatal Testing. In: Page-Christiaens L, Klein HG, eds. Noninvasive Prenatal Testing (NIPT): Applied Genomics in Prenatal Screening and Diagnosis. Academic Press (Elsevier); 2018:51-66. ISBN 978-0-12-814189-2.
  • [2] Gil MM, Accurti V, Santacruz B, Plana MN, Nicolaides KH. Analysis of cell-free DNA in maternal blood in screening for aneuploidies: updated meta-analysis. Ultrasound Obstet Gynecol. 2017;50(3):302-314. [PubMed 28397325]
  • [3] Screening for trisomies by cell-free DNA testing of maternal blood: consequences of a failed result. Ultrasound Obstet Gynecol. 2016. [DOI 10.1002/uog.15851]
  • [4] Palomaki GE, Kloza EM. Prenatal cell-free DNA screening test failures: a systematic review of failure rates, risks of Down syndrome, and impact of repeat testing. Genet Med. 2018;20:1312-1323. [DOI 10.1038/gim.2018.22]
  • [5] Becking EC, Schuit E, van Baar de Knegt SME, et al. Association between low fetal fraction in cell-free DNA screening and fetal chromosomal aberrations: A systematic review and meta-analysis. Prenat Diagn. 2023;43(7):838-853. DOI 10.1002/pd.6366. [PubMed 37143173]
  • [6] Clinical implementation of routine screening for fetal trisomies in the UK NHS: cell-free DNA test contingent on results from first-trimester combined test. Ultrasound Obstet Gynecol. 2016;47(1):45-52. [PubMed 26498918]
  • [7] Bianchi DW, Parker RL, Wentworth J, et al. DNA sequencing versus standard prenatal aneuploidy screening. N Engl J Med. 2014;370(9):799-808. DOI 10.1056/NEJMoa1311037. [PubMed 24571752]
  • [8] Norton ME, Jacobsson B, Swamy GK, et al. Cell-free DNA analysis for noninvasive examination of trisomy. N Engl J Med. 2015;372(17):1589-1597. DOI 10.1056/NEJMoa1407349. [PubMed 25830321]
  • [9] Maternal age-specific risk for trisomy 21 based on the clinical performance of NIPT and empirically derived NIPT age-specific positive and negative predictive values in Japan. J Hum Genet. 2018;63:1035-1040. [DOI 10.1038/s10038-018-0453-8]
  • [10] TRIDENT-2: National Implementation of Genome-wide Non-invasive Prenatal Testing as a First-Tier Screening Test in the Netherlands. Am J Hum Genet. 2019;105(6):1091-1101. [DOI 10.1016/j.ajhg.2019.10.005]
  • [11] Large-scale implementation of non-invasive prenatal testing for fetal aneuploidies. Nature Health. 2026;1:657-665. [DOI 10.1038/s44360-026-00104-2]
  • [12] Dungan JS, Klugman S, Darilek S, et al. Noninvasive prenatal screening (NIPS) for fetal chromosome abnormalities in a general-risk population: An evidence-based clinical guideline of the American College of Medical Genetics and Genomics (ACMG). Genet Med. 2023;25(2):100336. DOI 10.1016/j.gim.2022.11.004. [PubMed 36524989]
  • [13] American College of Obstetricians and Gynecologists’ Committee on Practice Bulletins—Obstetrics; Committee on Genetics; Society for Maternal-Fetal Medicine. Screening for Fetal Chromosomal Abnormalities: ACOG Practice Bulletin, Number 226. Obstet Gynecol. 2020;136(4):e48-e69. DOI 10.1097/AOG.0000000000004084. ※2026年Practice Advisoryにより置き換え。 [Obstetrics & Gynecology]
  • [14] Screening for Fetal Chromosomal Abnormalities (Practice Advisory, January 2026). American College of Obstetricians and Gynecologists. [ACOG]
  • [15] 日本医学会 出生前検査認証制度等運営委員会. NIPT等の出生前検査に関する情報提供及び施設(医療機関・検査分析機関)認証の指針(令和4年2月). 第7回NIPT等の出生前検査に関する専門委員会 資料1. [厚生労働省]
  • [16] Two-decade trends in prenatal genetic testing in Japan. J Hum Genet. 2026. [DOI 10.1038/s10038-026-01465-y]
  • [17] 出生前検査認証制度等運営委員会. NIPTを受けた10万人の妊婦さんの追跡調査. [出生前検査認証制度等運営委員会]

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仲田洋美 医師(臨床遺伝専門医)

この記事の監修・執筆者:仲田 洋美

(臨床遺伝専門医/がん薬物療法専門医/総合内科専門医)

ミネルバクリニック院長。1995年に医師免許を取得後、 臨床遺伝学・内科学・腫瘍学を軸に診療を続けてきました。 当サイトの記事は、院長が自ら執筆し、医学的な内容を確認してから公開しています。

出生前診断(NIPT・確定検査・遺伝カウンセリング)においては、 検査結果の数値そのものだけでなく、 「結果をどう受け止め、どう生きるか」までを医療の責任と捉え、 一貫した遺伝カウンセリングと医学的支援を行っています。

ハイティーンの時期にベルギーで過ごし、 日本人として異文化の中で生活した経験があります。 価値観や宗教観、医療への向き合い方が国や文化によって異なることを体感しました。 この経験は現在の診療においても、 「医学的に正しいこと」と「その人にとって受け止められること」の両立を考える姿勢の基盤となっています。

また、初めての妊娠・出産で一卵性双生児を妊娠し、 36週6日で一人を死産した経験があります。 その出来事は、妊娠・出産が女性の心身に与える影響の大きさ、 そして「トラウマ」となり得る体験の重みを深く考える契機となりました。 現在は、女性を妊娠・出産のトラウマから守る医療を使命の一つとし、 出生前診断や遺伝カウンセリングに取り組んでいます。

出生前診断は単なる検査ではなく、 家族の未来に関わる重要な意思決定です。 年齢や統計だけで判断するのではなく、 医学的根拠と心理的支援の両面から、 ご家族が後悔の少ない選択をできるよう伴走することを大切にしています。

日本人類遺伝学会認定 臨床遺伝専門医/日本内科学会認定 総合内科専門医/ 日本臨床腫瘍学会認定 がん薬物療法専門医。 2025年には APAC地域における出生前検査分野のリーダーとして国際的評価を受け、 複数の海外メディア・専門誌で特集掲載されました。

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