NIPTにおける胎児分画(胎児ゲノム率 母体血中の胎児のDNA割合)

胎児分画(胎児ゲノム率)とは?


胎児分画(Fetal Fraction)(胎児ゲノム率)とは、胎盤組織に由来するセルフリーDNA cfDNAのことをいい、母体血全体のセルフリーDNAに占める百分率(%)で表します。cell free fetal DNAを略してcffDNAと表記します。

cfDNA セルフリーDNAとは?

セルフリー(cf)DNAとは、短い断片化されたDNA分子がアポトーシス(プログラムされた細胞死)にひき続いて血液中に放出されて血清中に溶け込んで存在しているものをいいます。

アポトーシスとは?

細胞死にはアポトーシス(Apoptosis)とネクローシス(Necrosis)が代表的なものとして挙げられます。

ネクローシスは虚血性変化や炎症性の変化が、細胞死を招くもので、サイトカインなどの物質を出すので周囲の細胞に影響します。
アポトーシスはプログラムされた自死で、他の細胞への影響はありません。

アポトーシスは、ネクロトーシス(Necroptisis)やオートファジー(Autophagy)などの他の細胞死と共通する特徴もあります。

アポトーシスの特徴としては、
細胞の収縮
細胞膜のブレビング
染色体の凝縮(Pyknosis)
核の断片化 (Karyorrhexis)
DNA のラダー形成(断片化)
ファゴソーム(食細胞)による細胞の貪食
などがあがります。

アポトーシスとネクローシス

セルフリーDNAがどこからできるのかというと、この、アポトーシスの際にできるDNAの断片です。

妊婦の血液に含まれるセルフリーDNA

妊婦の血漿には、母体由来のセルフリーDNA(cfDNA)と胎児由来のセルフリーDNA(cfDNA)が両方含まれています。
その両方の成分ともに、非侵襲的出生前検査NIPT)の検査の過程で分析されます。

胎児分画(胎児ゲノム率)とは何ですか?

胎児分画(胎児ゲノム率)は、全セルフリーDNAに占める胎児由来セルフリーDNA割合を百分率で表したものです。胎児成分は実際には胎児ではなく胎盤上皮細胞由来です。

したがって、セルフリーDNA胎児トリソミー検査(NIPT)は、胎盤の「リキッドバイオプシー」に該当すると言えるでしょう。

なぜ胎児分画(胎児ゲノム率)が重要なのですか?

NIPTのあらゆる検査方法には、最低限必要な胎児分画(胎児ゲノム率)があります。正確なトリソミーのスクリーニングのためには、一般的には最低必要な胎児分画(胎児ゲノム率)は4%と推定されています。
いくつかのNIPT検査会社は、胎児分画(胎児ゲノム率)がこのレベル以下だとNIPTサンプルを不合格にします。
しかし、より低い胎児分画(胎児ゲノム率)であっても、正規化された染色体値と高い染色体値の組み合わせに基づく統計的手法を組み合わせたプロトコルとシークエンサーのリード(読み取り回数、深度、depth)を多くすることで高い精度で検査を遂行達成することができます。
高深度のシークエンス(セルフリーDNAをより多く分析する)は胎児分画が低い場合の分析感度を改善することが知られています
参考文献:
R. P. Rava, A. Srinivasan, A. J. Sehnert, D. W. Bianchi, Circulating fetal cell-free DNA fractions differ in autosomal aneuploidies and monosomy X. Clinical Chemistry 60, 243-250 (2014).

胎児分画(胎児ゲノム率)に影響を及ぼす生物学的要因とは?

妊娠10週~14週の間に採取されたサンプルの平均胎児分画(胎児ゲノム率)は約10%であると報告されています。
実際の測定値は、いくつかの要因の影響を受け、これらには女性の妊週数、体重、胎盤の大きさ、妊娠が単胎児か双胎児かが含まれ、また、トリソミーがあるかどうかが影響するかどうかも調査されました。

染色体の異数性のある胎児の妊娠

胎児の染色体異常。例えば、胎児がトリソミー21(ダウン症候群21トリソミー)とも呼ばれる)を持っている場合、母体の血液は平均よりも胎児分画(胎児ゲノム率)が高くなる傾向があります。
これに対して18トリソミーまたは13は、平均的な胎児分画(胎児ゲノム率)が低くなっています。
染色体的に正常な妊娠の平均はこの2つの間のどこかにあります。

体重

BMIの高い女性は、胎児分画(胎児ゲノム率)は低くなります。

妊娠週数

胎児分画(胎児ゲノム率)は10と21週の妊娠の間に最高となります。

単胎か双胎か

妊娠が単胎(胎児が1人)か双子(胎児が2人)かは胎児分画(胎児ゲノム率)に影響します。胎児分画は、単胎妊娠と比較して双子妊娠では1.6倍に増加することが知られています。

NIPTの結果が低胎児分画(胎児ゲノム率)を示している場合はどうしたらいいの?

NIPTの結果が低胎児分画(胎児ゲノム率)を示している場合、これは胎児の健康上の懸念があることを直ちに意味するものではありません。NIPT検査の低胎児分画は、単に正確な結果を得るのに十分な胎盤由来のセルフリーDNAがなかったことを意味します。この場合、担当医は、胎児分画が高くなる可能性が高い妊娠のもっと遅い時期に検査を繰り返すことを勧める可能性があります。2回目の採血でも同様に低胎児分画だった場合、医師は別の方法(羊水検査)での出生前スクリーニングを推奨するでしょう。

参考文献
[1]Juneau K, Bogard PE, Huang S, Mohseni M, Wang ET, Ryvkin P, et al. Microarray-based cell-free DNA
analysis improves noninvasive prenatal testing. Fetal Diagn Ther 2014;36:282-6.

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この記事の筆者

1995年医師免許取得。血液・呼吸器・感染症内科を経て、臓器別・疾患別の縦割りの医療の在り方に疑問を感じ、人を人として”全人的”に診療したいという思いを強くし、臓器を網羅した横断的専門医となり、2010年にがん薬物療法専門医取得(2019年現在全国1200人程度)。臓器を網羅すると遺伝性がんへの対策が必要と気づき、2011年に臨床遺伝専門医取得(2019年現在全国1000人程度)。遺伝相談はセンシティブな分野にもかかわらず、昼間の短い時間しか対応できない大病院のありかたに疑問を感じて、もっと必要な人がハードルを感じずに診療を受けられるようにしたいと2014年12月に開業。以来、全国から大学病院でも難しい内容の対応を求める人々を受け入れ、よろづお悩み相談所として多くの人々の様々な”家族(計画)の問題”を改善に導く。

著書に”女性のがんの本当の話”(ワニブックス)、”遺伝するがん・しないがん”(法研)がある。
少ない専門家で、正直で嘘のない言葉選びから週刊誌等の取材も多く、医療系の特集に時折コメントが掲載。(週刊現代、週刊ポスト、週刊新潮など)。
テレビ出演も時々あり、小林真央さんの病状を市川海老蔵さんが初めて記者会見した日、フジテレビの午後4時台のニュース番組に生出演して解説。その他TBS, AbemaTVなど出演。

一人一人の事情に合わせた個別対応をするべく、しっかり時間を取って本当のニーズは何かを聞き取りすることを大切にしている。短い時間でもお互いが出会ったことが相手の人生に大きな意味があるような医師患者関係の構築を理想として日々精進。

患者さんが抱えている問題を解決するにはどうしたらよいのかを考えて医師歴8年目に法学部に学士入学した程度に”凝り性”。女医が少なかった時代に3人の母親として難関専門医を3つ取得して社会進出を続けた経験から、女性のライフスタイルを医学以外の部分でも支援したいと願っている。
いろんな人生経験から心に響く言葉を投げかけるため、”会うと元気になる”ということで有名。飼いネコ3匹。

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