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妊娠中期におりものが増えるのはなぜ?破水との違いは?医療機関での対応についても紹介

仲田洋美 医師

この記事の監修:仲田洋美(臨床遺伝専門医)

ミネルバクリニック院長。臨床遺伝専門医として遺伝医療に携わっています。

妊娠中期(妊娠16週〜27週)は、ホルモンの影響でおりものが増えやすく、水っぽいおりものが出ることも珍しくありません。一方で、妊娠中期でも破水が起こることがあり、量の少ない破水は水っぽいおりものと見分けにくいことがあります。「水っぽいものが続く」「下着がぐっしょり濡れる」と感じたら、自己判断せずにかかりつけの産婦人科へ連絡してください。この記事では、妊娠中期におりものが増える理由、注意したいおりものの変化、破水との違い、妊娠中期に破水した場合の医療機関での対応をまとめます。

この記事でわかること
📖 読了時間:約9分
🤰 妊娠中期・おりもの・破水
★ 臨床遺伝専門医監修

Q. 妊娠中期に水っぽいおりものが出ます。破水との違いは?

A. おりものは少し粘りがあり、出たり止まったりします。破水は水のようにサラサラで、自分の意思に関係なく流れ出たり、少しずつ出続けたりします。ただし、子宮の上のほうで破れる高位破水は少量ずつのことが多く、においや色だけでは見分けられないこともあります。迷ったら、ナプキンを当てて量と色を確認し、かかりつけの産婦人科に電話で相談してください。

  • ➤増える理由 → エストロゲンの増加などで分泌が増え、腟内を酸性に保って細菌の侵入を防ぐ
  • ➤注意したい変化 → ポロポロ・泡状・灰色で魚のようなにおい・血が混じる・水っぽく続く
  • ➤破水との違い → サラサラで止められない、量が増える、ナプキンがすぐ濡れるなら破水を疑う
  • ➤妊娠中期の破水 → 早産期の前期破水にあたり、入院して感染や赤ちゃんの状態を管理する

1. 妊娠中期におりものが増える理由

おりものの変化が気になる妊娠中期の女性

妊娠中は、女性ホルモンのエストロゲンが増えることなどにより、子宮頸管や腟からの分泌物(おりもの)が増えます。おりものは腟の粘膜をうるおし、汚れを外に出し、細菌が子宮の中へ入り込むのを防ぐ役割をもっています。

妊娠中は腟内の乳酸桿菌(善玉菌)の働きで腟内が酸性に保たれ、細菌が増えにくい環境がつくられます。おりものが増えるのは、この防御のしくみが強まっているためと考えられています。おりものの増加を妊娠初期から感じる方もいれば、妊娠中期に入ってから気づく方もいます。

普段のおりものは、透明〜白っぽく、少し粘りがあり、においはほとんどないか、やや酸っぱいにおいです。量が増えても、色やにおいがいつもと同じで、かゆみや痛みがなければ、多くは心配のない変化です。下着が気になる場合は、おりものシートをこまめに替えて清潔を保ちましょう。

2. 妊娠中期に注意したいおりものの変化

色・形状・におい・かゆみがいつもと違うときは、腟の炎症や出血、破水のサインのことがあります。妊娠中は腟カンジダ症にかかりやすく、細菌性腟症やトリコモナス腟炎は早産との関連が報告されています[3][4]。

🔎 妊娠中期に注意したいおりものの変化

おりものの様子 考えられること 対応の目安
白〜黄色で、カッテージチーズや酒かすのようにポロポロしている。強いかゆみ 腟カンジダ症 健診時または電話で相談
灰色っぽくサラサラして、魚のような生臭いにおい 細菌性腟症 健診時または電話で相談
黄色〜黄緑色で泡状。においやかゆみ、ヒリヒリ感 トリコモナス腟炎 早めに受診(パートナーの治療も必要)
ピンク色・茶色・赤い色が混じる 内診や性交後の出血、子宮頸管ポリープなど。量が多い・続く場合は切迫早産なども 電話で相談。量が多い・お腹の張りや痛みがあればすぐ連絡
水のようにサラサラで、止められずに出続ける 破水の可能性 すぐ連絡

※おりものの様子だけで診断はできません。気になる変化があれば、市販薬などで自己判断せず、かかりつけの産婦人科で相談してください。

腟の炎症は、妊娠中でも使える薬で治療できます。細菌性腟症やトリコモナス腟炎は、妊娠中の治療方針が感染症の診療ガイドラインに示されています[3][4]。早めに相談して治療を受けましょう。

血が混じったおりものについては、妊娠中期の出血の原因と受診の目安で詳しく解説しています。

3. 妊娠中期の水っぽいおりものと破水の違い

水っぽいおりものと破水を見分けるポイントは、「サラサラ度」「止められるかどうか」「量が増えるかどうか」です。破水は、赤ちゃんを包む卵膜が破れて羊水が外に流れ出ることです。羊水は水のようにサラサラしていて、自分の意思では止められません。

💧 水っぽいおりものと破水の違い(目安)

項目 水っぽいおりもの 破水(羊水)
性状 少し粘りがある。ゼリー状のこともある 水のようにサラサラ
出方 出たり止まったりする 突然流れ出る、または少量ずつ出続ける。止められない
色 透明〜白、クリーム色、薄い黄色 透明〜薄い黄色。緑色・茶色・血が混じる場合はすぐ連絡
におい 無臭、またはやや酸っぱい 無臭のことが多い。甘いようなにおいと表現されることもある
体勢との関係 あまり関係しない 立ち上がったときや動いたときに増えることがある

※あくまで目安で、においや色には個人差があります。においによる見分け方は破水のにおい・色・尿漏れとの違いをご覧ください。

見分けが特に難しいのが、子宮の上のほうで卵膜が破れる高位破水です。少量ずつしか出ないため、水っぽいおりものや尿漏れと区別がつきにくく、妊婦さん本人が見た目だけで正確に判断するのは困難です。破水とおりものの見分け方は、破水とおりものの違いでも詳しく解説しています。

迷ったときの確認と連絡の手順

ナプキンを当てるおりものシートより吸収量の多いもの
▶
量・色・においを確認30分〜1時間で濡れ方を見る
▶
産婦人科に電話妊娠週数と様子を伝える
▶
指示に従って受診ナプキンは捨てずに持参

サラサラしたものが流れ出た、量が多い、色が緑や茶色、血が混じっている、お腹の張りや痛み・発熱がある場合は、様子を見ずにすぐ連絡してください。破水が疑われるときは、感染を防ぐため入浴は避けます。破水したときの対処法は破水とは?今すぐやることと見分け方にまとめています。病院での破水の検査については破水かどうかの検査をご覧ください。

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4. 妊娠中期に破水した場合の医療機関での対応

医療機関で診察を受ける妊婦

陣痛が始まる前に破水することを前期破水といい、妊娠37週未満で起こるものを早産期の前期破水(preterm PROM、PPROM)と呼びます。妊娠中期の破水は、この早産期の前期破水にあたります[2]。前期破水の全体像は前期破水とはで解説しています。

妊娠中期に破水するとどうなるの?

破水すると、腟から子宮の中へ細菌が入りやすくなり、絨毛膜羊膜炎などの子宮内感染が起こるおそれがあります。また、破水のあとは陣痛が始まりやすく、早産につながります。日本産科婦人科学会は、妊娠22週から36週までの出産を早産と定義しています[1]。妊娠22週未満の破水では、妊娠の継続が難しいことも少なくありません。

羊水が少ない状態が長く続くと、赤ちゃんの肺の発育に影響が出ること(肺低形成)や、手足の関節が固まることがあります[2]。破水した週数が早いほど、赤ちゃんへの影響は大きくなります。妊娠中期の破水の経過やリスクについては、妊娠中期の破水で詳しく解説しています。

入院して感染と赤ちゃんの状態を管理する

妊娠中期に破水と診断された場合は、原則として入院になります。米国産科婦人科学会(ACOG)の指針では、妊娠34週未満の早産期前期破水で母体と赤ちゃんの状態が安定していれば、妊娠の継続を目指す管理(待機的管理)を行い、次のような治療が検討されるとしています[2]。

  • 抗菌薬の投与:感染を防ぎ、妊娠を延長する
  • 副腎皮質ステロイドの投与:赤ちゃんの肺などの成熟を促す(妊娠24週〜34週未満が目安)
  • 硫酸マグネシウムの投与:妊娠32週未満で分娩が近い場合に、赤ちゃんの脳を守る目的で使われる
  • 母体の発熱や子宮の圧痛、赤ちゃんの心拍の変化など、感染の兆候の監視

感染が疑われる場合や、赤ちゃんの状態が悪くなった場合は、週数にかかわらず分娩を考えることになります[2]。具体的な治療方針は、週数や施設によって異なるため、担当の医師から説明を受けてください。

NICUのある病院への搬送

早い週数での破水では、早く生まれた赤ちゃんの治療ができる新生児集中治療室(NICU)がある周産期母子医療センターなどへ、お母さんが搬送されることがあります(母体搬送)。生まれる前から設備の整った病院に移ることで、出産後すぐに赤ちゃんの治療を始められます。切迫早産については切迫早産とはもあわせてご覧ください。

🚨 すぐにかかりつけの産婦人科へ連絡するサイン

  • 水のようなものが流れ出た、または少量ずつ出続けて止まらない
  • 水っぽいものが緑色・茶色、または血が混じっている
  • お腹の張りや痛みが規則的にある、または続く
  • 発熱がある、おりものが急に悪臭を伴うようになった
  • 胎動が減った、いつもと違うと感じる

妊娠後期の水っぽいおりもの

妊娠後期(28週以降)も、出産に向けておりものが増え、水っぽくなることがあります。正期産(37週以降)に近づくと、子宮口がやわらかくなり、粘液の混じったおりものや少量の出血(おしるし)が出ることもあります。妊娠37週より前に水っぽいものが続く場合は、妊娠中期と同じく破水の可能性を考えて連絡してください。

5. 妊娠中期のおりもの・破水と赤ちゃんの検査

おりものの変化や破水そのものは、赤ちゃんの染色体の変化を示すものではありません。破水の多くは、感染や子宮頸管の状態など、卵膜や子宮側の要因が関係しています。破水や腟の炎症の診断は、かかりつけの産婦人科で行います。

一方で、妊娠中期は赤ちゃんの健康について考える機会が増える時期でもあります。NIPT(新型出生前診断)は、妊婦さんの血液に含まれる胎盤由来のDNAを調べ、ダウン症候群(21トリソミー)などの染色体の数の変化の可能性を調べる検査です。陽性・陰性の可能性を示す非確定的検査で、陽性の場合は羊水検査などの確定的検査で確かめます。受けられる時期や費用はNIPTの解説ページで確認できます。

仲田洋美院長

🩺 院長コラム【「いつもと違う」に気づける準備を】

おりものは毎日目にするものだからこそ、普段の色や量を知っておくことが、変化に気づく一番の手がかりになります。見分けに迷うものを、迷ったまま抱え込まないことが大切だと考えています。

水っぽいものが続くとき、それがおりものか破水かを確かめるのは医療機関の役割です。「こんなことで電話してもいいのかな」とためらわず、気になったら連絡してください。確認して何もなければ、それがいちばんの安心材料になります。

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よくある質問(FAQ)

Q1. 妊娠中期に水っぽいおりものが増えるのは普通ですか?

妊娠中はエストロゲンの増加などでおりものが増え、水っぽく感じることもあります。色やにおいがいつもと同じで、かゆみや痛みがなく、出たり止まったりする程度なら、多くは心配のない変化です。サラサラしたものが止められずに出続ける場合は、破水の可能性があるのですぐに連絡してください。

Q2. おりものか破水か、自分で見分ける方法はありますか?

ナプキンを当てて、30分〜1時間ほどで濡れ方や色を確認するのが目安です。サラサラしていて量が増える、立ち上がると流れ出る場合は破水を疑います。ただし高位破水は少量ずつのことが多く、自分では見分けられないこともあるため、迷ったら電話で相談しましょう。

Q3. 妊娠中期のおりものが黄色い・におう場合は?

黄色〜黄緑色で泡状、強いにおいやかゆみがある場合はトリコモナス腟炎、灰色で魚のようなにおいがする場合は細菌性腟症などが考えられます。早産との関連が報告されている感染症もあるため、健診を待たずに相談してください。

Q4. 妊娠中期に破水したら赤ちゃんは助かりますか?

破水した週数、感染の有無、羊水の量、赤ちゃんの状態によって大きく異なります。入院して抗菌薬やステロイドの投与などを行いながら、できるだけ妊娠を続ける管理が行われることがあります。見通しは担当の医師に確認してください。

Q5. 妊娠後期のおりものが水っぽいのは破水ですか?

妊娠後期も出産に向けておりものが増え、水っぽくなることがあります。サラサラしたものが止められずに出る、量が増える場合は破水の可能性があります。特に妊娠37週より前は早産期の前期破水のおそれがあるため、すぐに連絡してください。

まとめ

妊娠中期は、エストロゲンの増加などでおりものが増え、水っぽくなることがあります。色やにおいがいつもと同じで、かゆみや痛みがなければ、多くは心配のない変化です。一方、ポロポロした・泡状・灰色で魚のようなにおい・血が混じるといった変化は、腟の炎症や出血のサインのことがあります。

水のようにサラサラしたものが止められずに出続ける場合は、破水の可能性があります。妊娠中期の破水は早産期の前期破水にあたり、入院して感染や赤ちゃんの状態を管理する必要があります[2]。おりものか破水か迷ったら、ナプキンを当てて量と色を確認し、かかりつけの産婦人科に連絡しましょう。

🧬 赤ちゃんの染色体について知りたい方へ

ミネルバクリニックでは、臨床遺伝専門医がNIPT(新型出生前診断)を行っています。検査でわかること・わからないこと、結果が陽性だった場合の流れまで、検査を受ける前に確認できます。おりものや破水など妊娠経過についての診察は、かかりつけの産婦人科で受けてください。

参考文献

  • [1] 日本産科婦人科学会. 早産・切迫早産. [日本産科婦人科学会]
  • [2] Prelabor Rupture of Membranes: ACOG Practice Bulletin, Number 217. Obstet Gynecol. 2020;135(3):e80-e97. [PubMed 33093409]
  • [3] Bacterial Vaginosis. Sexually Transmitted Infections Treatment Guidelines, 2021. Centers for Disease Control and Prevention. [CDC]
  • [4] Sexually Transmitted Infections Treatment Guidelines, 2021(Trichomoniasis/Vulvovaginal Candidiasis). Centers for Disease Control and Prevention. [CDC]

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プロフィール
仲田洋美 医師(臨床遺伝専門医)

この記事の監修・執筆者:仲田 洋美

(臨床遺伝専門医/がん薬物療法専門医/総合内科専門医)

ミネルバクリニック院長。1995年に医師免許を取得後、
臨床遺伝学・内科学・腫瘍学を軸に診療を続けてきました。
のべ10万人以上のご家族の意思決定と向き合ってきた臨床遺伝専門医です。

出生前診断(NIPT・確定検査・遺伝カウンセリング)においては、
検査結果の数値そのものだけでなく、
「結果をどう受け止め、どう生きるか」までを医療の責任と捉え、
一貫した遺伝カウンセリングと医学的支援を行っています。

ハイティーンの時期にベルギーで過ごし、
日本人として異文化の中で生活した経験があります。
価値観や宗教観、医療への向き合い方が国や文化によって異なることを体感しました。
この経験は現在の診療においても、
「医学的に正しいこと」と「その人にとって受け止められること」の両立を考える姿勢の基盤となっています。

また、初めての妊娠・出産で一卵性双生児を妊娠し、
36週6日で一人を死産した経験があります。
その出来事は、妊娠・出産が女性の心身に与える影響の大きさ、
そして「トラウマ」となり得る体験の重みを深く考える契機となりました。
現在は、女性を妊娠・出産のトラウマから守る医療を使命の一つとし、
出生前診断や遺伝カウンセリングに取り組んでいます。

出生前診断は単なる検査ではなく、
家族の未来に関わる重要な意思決定です。
年齢や統計だけで判断するのではなく、
医学的根拠と心理的支援の両面から、
ご家族が後悔の少ない選択をできるよう伴走することを大切にしています。

日本人類遺伝学会認定 臨床遺伝専門医/日本内科学会認定 総合内科専門医/
日本臨床腫瘍学会認定 がん薬物療法専門医。

2025年には APAC地域における出生前検査分野のリーダーとして国際的評価を受け、
複数の海外メディア・専門誌で特集掲載
されました。

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