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妊娠3週目以降、いつもよりお手洗いに行く回数が増えると、妊娠を望んでいる方は「妊娠の症状では?」と気になるかもしれません。頻尿は人に相談しにくい症状なので、ひとりで悩んでいる方もいるでしょう。妊娠による頻尿は、着床後に分泌されるhCGなどのホルモンの影響で腎臓の血流が増え、尿がたくさんつくられることなどで起こります。ただし、生理予定日より前の頻尿だけで妊娠かどうかを判断することはできません。この記事では、妊娠で頻尿になる原因といつから起こりやすいか、妊娠の可能性があるときの注意点を解説します。
Q. 妊娠超初期に頻尿になるのは妊娠のサイン?
A. 妊娠すると頻尿になることはありますが、はっきり感じやすいのは生理予定日を過ぎてhCGが増えてくる頃からです。生理予定日より前(妊娠超初期)の頻尿は、PMS(月経前症候群)や水分・カフェインのとり方、膀胱炎など妊娠以外の原因でも起こります。頻尿だけで妊娠を判断せず、生理予定日の1週間後を目安に妊娠検査薬で確かめましょう。
- ➤原因 → 腎臓の血流増加、体内の水分量の増加、大きくなる子宮による膀胱の圧迫など
- ➤いつから → 着床後にhCGが増える生理予定日前後以降。超初期に感じる頻尿は妊娠以外の原因も多い
- ➤夜間のトイレ → 横になると腎臓の働きが高まり、尿がつくられやすくなる
- ➤受診の目安 → 排尿時の痛み・血尿・発熱などがあれば、妊娠の可能性を伝えて早めに受診
妊娠超初期っていつのこと?

妊娠超初期は、一般に妊娠0~3週頃を指す言葉です。医学用語ではなく、明確な定義はありません。日本産科婦人科学会の区分では、妊娠13週6日までを妊娠初期、14週0日から27週6日までを妊娠中期、28週0日以降を妊娠後期としています。医学的には、妊娠超初期は妊娠初期のはじめの時期にあたります。
妊娠週数は、最終月経が始まった日を妊娠0週0日として数えます。排卵は妊娠2週頃、受精卵が子宮内膜に着床するのは妊娠3週頃です。妊娠3週は着床が起こる時期で、妊娠検査薬ではまだ判定できません。
妊娠超初期の体はどんな状態?
妊娠0週から5週頃までの体の変化を、時系列で見ていきましょう(生理周期が28日の場合の目安です)。
- 0週~:月経が始まる週
- 1週~:月経が終わり、排卵に向けて卵胞が育つ
- 2週~:月経開始から約2週間後に排卵が起こる。このとき精子と出会うと受精し、受精卵ができる
- 3週~:受精卵が細胞分裂をしながら卵管を通って子宮へ移動し、子宮内膜に着床する(妊娠の成立)
- 4週~:生理予定日を迎える。着床した胚からhCGの分泌が増えはじめる
- 5週~:一般的な妊娠検査薬で判定できる時期。経腟超音波で胎嚢(赤ちゃんを包む袋)が見えはじめる
妊娠週数は妊娠前の最後の月経の開始日から数えるため、0~1週の段階ではまだ妊娠していません。妊娠していなければ、4週0日頃に次の月経が始まります。一般的な妊娠検査薬で判定できるようになるのは、生理予定日の1週間後(妊娠5週0日)頃からです。
妊娠超初期のママの体の変化
0週~1週6日は、通常の生理周期と同じで変化はありません。排卵後は卵巣の黄体からプロゲステロン(黄体ホルモン)が分泌され、基礎体温が高温期に入ります。妊娠しなかった場合は、排卵から約2週間で黄体の働きが終わってプロゲステロンが減り、体温が下がって月経が始まります。妊娠した場合は、着床した胚から出るhCGが黄体の働きを保つため、プロゲステロンが出続けて高温期が続きます。
hCG(ヒト絨毛性ゴナドトロピン)は、主に妊娠中に、のちに胎盤となる絨毛から分泌されるホルモンです。妊娠検査薬は、尿中のこのhCGを検出して妊娠を判定します。一般的な妊娠検査薬でhCGを検出できるようになるのは、生理予定日の1週間後頃からです。
妊娠超初期のママにみられる症状
妊娠超初期から妊娠初期にかけては、頻尿以外にも以下のような症状を感じることがあります。
- 不眠
- 頭痛
- 胃痛
- 胸が張る
- 吐き気
- めまい
- 熱っぽい
- 鼻水
- イライラ・落ち込む
- 肌荒れ
- 便秘・下痢
- おりものの変化
これらの症状は、生理予定日の前から感じる人もいます。ただし、排卵後にプロゲステロンが分泌されるのは妊娠していなくても毎回の周期で起こることで、月経前症候群(PMS)でも同じような症状が出ます。上記のような症状が出たからといって、妊娠していると判断することはできません。
気になる症状が続くときは、生理予定日の1週間後を目安に妊娠検査薬を使い、陽性なら産婦人科を受診しましょう。妊娠超初期にみられるほかの症状と、それぞれが現れやすい時期は、妊娠超初期症状のまとめで詳しく解説しています。
妊娠と頻尿の関係

頻尿とは、トイレが近い、トイレに行く回数が多い状態を指します。回数の目安として1日8回以上がよく挙げられますが、本人が「いつもより多い」と感じて困っているかどうかも大切です。トイレに行きたい気がするのに行っても少ししか出ない、残尿感がある、夜間にトイレに行きたくなって何度も目が覚める、といった形で現れることもあります。
妊娠初期に頻尿を感じる人は少なくありません。ここからは、妊娠と頻尿の関係について掘り下げていきます。
なぜ妊娠すると頻尿になるの?
妊娠によって頻尿になる理由として、以下のようなことが考えられます。
- 体内の水分量が増加する
- ホルモンの影響で腎臓の働きが活発になる
- 大きくなる子宮が膀胱を圧迫する
- 横になる姿勢で尿がつくられやすくなる
体内の水分量が増加する
妊娠すると、赤ちゃんに酸素や栄養を届けるために、血液の量(循環血液量)が少しずつ増えていきます。心臓から送り出される血液の量は、妊娠中に30~50%増えるとされています[1]。腎臓に流れる血液も増えるため、つくられる尿の量が増え、トイレが近くなります。
ホルモンの影響で腎臓の働きが活発になる
妊娠中は、ホルモンの作用で全身の血管が広がり、腎臓に流れる血液の量が増えます。腎臓が血液をろ過する量は妊娠中に30~50%増え、そのぶん尿がつくられやすくなります[1]。この変化は妊娠のごく早い時期から始まるため、妊娠初期の頻尿の大きな理由と考えられています。
なお、プロゲステロンには平滑筋をゆるめる働きがあり、妊娠中は尿管などが広がります[1]。ただし、この作用が妊娠初期の頻尿にどの程度関わっているかは、はっきりしていません。
ママの大きくなる子宮が膀胱を刺激
妊娠していない子宮は、鶏卵くらいの大きさです。妊娠すると子宮は少しずつ大きくなり、妊娠8週頃には握りこぶしくらいになります。膀胱は子宮のすぐ前にあるため、妊娠初期に骨盤の中で大きくなる子宮に押されて、ためられる尿の量が少なくなり、頻尿になることがあります[1]。
一方、妊娠0~3週の妊娠超初期には、子宮はまだほとんど大きくなっていません。この時期に感じる頻尿を、子宮による膀胱の圧迫で説明するのは難しいと考えられます。
姿勢が腎臓機能に影響する
妊娠中は、夜間に目が覚めてトイレに行きたくなることもよくあります。妊娠中は立っているときより横になっているときのほうが腎臓の働きが高まり、尿がつくられやすくなるためです。特に横向きに寝ると、子宮が腎臓につながる大きな血管を圧迫しにくくなり、腎臓への血流が増えます[1]。そのため、寝ようとしているときや夜間にトイレの回数が増えやすくなります。
妊娠後の頻尿はいつから?
妊娠による頻尿は、着床後にhCGが分泌され、腎臓の血流が増えてくる生理予定日前後以降に感じやすくなります。hCGは着床が起こる妊娠3週頃から分泌されはじめますが、生理予定日より前はまだごくわずかです。そのため、生理予定日前の頻尿がはっきり妊娠によるものとは考えにくく、感じ方にも大きな個人差があります。
妊娠中期になると子宮が骨盤の外へ出るため、膀胱への圧迫がやわらぎ、頻尿が落ち着くことが多くなります。妊娠後期に赤ちゃんの頭が骨盤の中へ下がってくると、再び膀胱が圧迫されて頻尿になりやすくなります[1]。
頻尿は妊娠の可能性を考えるきっかけにはなりますが、妊娠していなくても起こる症状です。妊娠しているかどうかは、症状ではなく、妊娠検査薬と産婦人科での診察で確かめましょう。
頻尿になり妊娠の可能性がある時はどうしたらいい?

「頻尿になった気がする」「もしかして妊娠かな?」と思っている人は、以下を参考にしてみてください。
- 妊娠以外の原因がないか確認
- 膀胱炎に気をつける
- 検査薬は生理予定日を過ぎてから
それぞれのポイントについて詳しく見ていきましょう。
まずは妊娠以外の原因がないか確認
頻尿は、必ずしも妊娠の兆候とは限りません。妊娠超初期は検査薬で正確に判断できない時期でもあり、PMSの症状である可能性もあります。水分やカフェイン、アルコールをいつもより多くとった、体が冷えた、緊張やストレスが続いているといったことでも、トイレは近くなります。
頻尿が起こる病気には、膀胱炎、腎盂腎炎、過活動膀胱、糖尿病、子宮筋腫、心因性頻尿などがあります。
- 排尿時の痛み、残尿感、血尿、尿のにごり(膀胱炎の可能性)
- 発熱、寒気、背中や腰の痛み(腎盂腎炎の可能性)
- のどが渇いて水分をたくさん飲み、尿の量も多い(糖尿病の可能性)
腎盂腎炎や糖尿病は、妊娠していれば母体にも赤ちゃんにも影響することがあります。受診の際は、妊娠の可能性があることを必ず伝えましょう。薬の選び方やレントゲン検査の判断に関わるためです。
妊娠の可能性がある場合は、婦人科でも診察を受けられます。妊娠していれば、その後の妊婦健診にもスムーズにつなげられるので、産婦人科の受診も検討してみましょう。
膀胱炎に気をつける
トイレを我慢したり、トイレが近くなるのを避けて水分を控えたりすると、膀胱の中で細菌が増えやすくなり、膀胱炎のリスクが高くなります。
尿意があれば我慢せずにトイレに行き、水分はこまめにとりましょう。排便後は前から後ろへ拭く、性交後は排尿するといった習慣も、膀胱炎の予防に役立ちます。
検査薬は次の生理予定日が過ぎてから
妊娠超初期の段階では、妊娠検査薬で妊娠を正しく判定することはできません。hCGは着床後に分泌が始まって生理予定日頃から急に増えるもので、それより前は尿中の量が十分ではないためです。
基礎体温や頻尿、そのほかの症状から妊娠の可能性があると考えられる場合は、生理予定日の1週間後を目安に検査薬を使いましょう。陽性が出たら産婦人科を受診します。子宮の中に胎嚢が見えてくるのは一般に妊娠5~6週頃なので、早すぎる受診では確認できないこともあります。
生理予定日1週間前は生活習慣に注意

妊娠の可能性がある場合は、生活習慣を見直しましょう。赤ちゃんの体の器官は妊娠4週頃からつくられはじめるため、妊娠に気づく前の時期から気をつけておくことが大切です。
- 喫煙:流産や早産、低出生体重児のリスクを高めます。禁煙し、受動喫煙も避けましょう
- アルコール:胎児性アルコール・スペクトラム障害の原因になります。妊娠中の飲酒に安全な量はわかっていないため、妊娠の可能性がある時点で飲酒を控えましょう[3]
- カフェイン:とり過ぎないようにしましょう。コーヒーや紅茶は量を控えめにし、カフェインレスの飲み物も選択肢になります
- 薬の服用:市販薬やサプリメントも含め、使う前に医師や薬剤師に妊娠の可能性を伝えて相談しましょう
- 不規則な生活:睡眠不足や疲れは体調を崩す原因になります。規則正しい生活を心がけましょう
- 食生活:リステリアやトキソプラズマによる食中毒を防ぐため、生ハム、加熱殺菌していないナチュラルチーズ、生肉や加熱が不十分な肉は避けましょう。魚は栄養の多い大切な食品ですが、水銀を比較的多く含む一部の大型の魚を偏って食べ過ぎないようにします[2]
栄養面では、赤ちゃんの神経管閉鎖障害のリスクを下げる葉酸が特に大切です。妊娠を計画している女性や妊娠初期の女性は、食事に加えてサプリメントなどから1日400μgの葉酸をとることが勧められています[3]。鉄分は、妊婦さんに多い鉄欠乏性貧血の予防のために意識してとりたい栄養素です。
一方で、妊娠初期にレバーやビタミンAを含むサプリメントなどでビタミンAをとり過ぎると、赤ちゃんに影響するおそれがあるため注意が必要です[2]。タンパク質やカルシウム、食物繊維も含めて、主食・主菜・副菜をそろえたバランスのよい食事を心がけましょう。
まとめ

妊娠すると、夜間に何度もトイレに行きたくなったり、日中にトイレの回数が増えたりすることがあります。これは、ホルモンの影響で腎臓の血流が増えて尿がたくさんつくられることや、大きくなる子宮が膀胱を圧迫することなどによって起こります。
ただし、生理予定日より前の頻尿は、PMSや生活習慣、膀胱炎などの病気でも起こります。頻尿だけで妊娠を判断せず、生理予定日の1週間後を目安に妊娠検査薬を使いましょう。陽性の場合や、排尿時の痛み・発熱などがある場合は、医療機関を受診してください。
妊娠がわかったら、NIPT(新型出生前診断)のことも知っておきませんか
NIPTは、妊婦さんの採血だけで赤ちゃんの染色体の変化などを調べる検査です。ミネルバクリニックでは、臨床遺伝専門医が検査の前後の説明を行います。妊娠9週以降は通常どおり、妊娠6~8週は臨床研究として受け付けています。
参考文献
- [1] MSDマニュアル家庭版「妊娠中の体の変化」(2024年9月更新) [MSDマニュアル]
- [2] 食品安全委員会「お母さんになるあなたへ」 [食品安全委員会]
- [3] 厚生労働省「妊娠前からはじめる妊産婦のための食生活指針」(令和3年3月)





