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妊娠初期・超初期に「とにかく寒い」「背中がゾクゾクする」と感じることがあります。妊娠成立後は黄体ホルモン(プロゲステロン)の作用で高温期が続きますが、「寒気」が妊娠初期にどの程度の頻度で起こるか、また妊娠そのものが寒気を直接起こすかについては、十分な研究データがありません。つわりで食事や水分がとれない場合には、脱水などが寒さや体調不良の一因になることがあります。寒気そのものが流産の兆候だという医学的な根拠はありません。ただし、38℃以上の発熱、震えるほどの悪寒、出血、強い腹痛、排尿時の痛みを伴う場合は、妊娠による変化ではなく病気のサインのことがあるため、早めに産婦人科へ連絡してください。この記事では、寒気が起こる仕組みから、冷え・風邪・生理前の寒気との見分け方、赤ちゃんへの影響、受診の目安、いつまで続くかまでを順に解説します。
Q. 妊娠初期に寒気がするのは大丈夫ですか?
A. 熱がなく、出血や強い腹痛もない寒気だけで妊娠経過の異常を判断することはできません。妊娠ではプロゲステロンの作用で高温期が続きますが、寒気の頻度や原因については十分な研究データがありません。一方で、38℃以上の発熱を伴う寒気は感染症のことがあり、妊娠初期の高熱は下げたほうがよいと考えられています。「寒気そのもの」より「一緒に出ている症状」で受診を判断してください。
- ➤原因 → 高温期の持続、自律神経の揺らぎ、つわりによる低血糖・脱水、貧血、感染症
- ➤流産との関係 → 寒気が流産を起こすという根拠はない。初期流産の多くは胎児側の染色体の偶発的な異常による
- ➤受診の目安 → 38℃以上の発熱、震えるほどの悪寒、出血、片側や右下の腹痛、排尿痛
- ➤いつまで → 黄体から胎盤へホルモンの産生が移り、体が妊娠に慣れてくる妊娠中期ごろまでに落ち着くことが多い
1. 妊娠初期・超初期に寒気を感じるのはよくあること?
妊娠初期に寒気を自覚することはあります。ただし、寒気が妊娠初期にどの程度の頻度でみられるかを示す確立したデータはなく、妊娠に特異的な症状でもありません。そのため、寒気だけで妊娠かどうかを判断することはできません。「急に寒がりになった」「室温は変わらないのに背中がゾクッとする」「夏なのに上着が手放せない」といった変化は、妊娠がわかる前後の時期に多く語られます。
妊娠初期に自覚する寒気が発熱を伴うかどうかは原因によって異なり、寒気だけから妊娠に伴う変化か感染症かを判断することはできません。体温計では37℃前後の「少し高め」の値が出ているのに、本人は寒いと感じる、というずれが起こります。この体温と体感のずれが、妊娠初期の寒気を理解するうえでの鍵になります。
妊娠超初期(妊娠0〜4週ごろ)に体の中で起きていること
「妊娠超初期」は医学用語ではなく、明確な定義もありませんが、一般には妊娠0週から4週ごろ、つまり次の生理予定日のあたりまでを指して使われています。妊娠週数は、受精した日ではなく、最後の生理が始まった日を妊娠0週0日として数えます。生理周期が28日の人なら、排卵と受精は妊娠2週ごろ、次の生理予定日が妊娠4週0日にあたります。数え方の詳細は妊娠週数の数え方で解説しています。
受精卵が子宮内膜にもぐり込む着床は、排卵からおよそ1週間後に起こることが、排卵日と尿中ホルモンを毎日測った研究で示されています[1]。着床すると、受精卵の外側の細胞(のちに胎盤になる部分)からhCG(ヒト絨毛性ゴナドトロピン)というホルモンが分泌され始めます。
hCGの役割は、排卵後の卵巣にできる黄体に「まだ働き続けて」と合図を送ることです。妊娠が成立しなかった周期では、黄体は約2週間で役目を終え、黄体ホルモン(プロゲステロン)と卵胞ホルモン(エストロゲン)が急に減って生理が来ます。妊娠が成立すると、hCGに支えられた黄体がプロゲステロンを出し続けるため、生理が来ず、基礎体温も高いまま保たれます。
つまり、妊娠超初期の体は、まだ妊娠検査薬が反応しない段階から、ホルモンの面では妊娠に向けた準備を始めています。寒気や熱っぽさを「生理前の不調とは少し違う」と感じる人がいるのは、このためです。ただし、変化の感じ方には大きな個人差があり、何も感じないまま妊娠がわかる人も多くいます。
💡 用語解説:黄体ホルモン(プロゲステロン)
排卵のあと卵巣にできる「黄体」から分泌されるホルモンです。子宮内膜を受精卵が着床しやすい状態に整え、妊娠を保つ働きがあります。脳の体温調節の中枢に作用して体温を少し上げる性質があり、基礎体温が「低温期」と「高温期」の二相に分かれるのは、このホルモンの増減によるものです。
寒気と一緒に出やすい妊娠初期症状
妊娠初期には、寒気の有無にかかわらず、さまざまな体調変化がみられることがあります。よく挙げられるのは、熱っぽさやだるさ、強い眠気、胸の張り、頻尿、下腹部の違和感、おりものの変化、吐き気や食べ物の好みの変化、便秘、頭痛などです。これらの症状には、妊娠に伴うホルモン変化など複数の要因が関係します。
ただ、これらの多くは生理前(黄体期)の症状ともよく似ています。生理前も同じプロゲステロンが働いているため、体の感じ方が似るのは自然なことです。症状の組み合わせだけで妊娠かどうかを見分けるのは難しく、確実なのは生理予定日を過ぎてからの妊娠検査薬と、産婦人科での確認です。症状ごとの特徴は妊娠超初期症状のチェックリストにまとめています。
2. 妊娠初期に寒気がする5つの原因
妊娠初期に寒気を感じるときは、①プロゲステロンに伴う体温変化、②体温調節の変化、③つわりに伴う摂取不足や脱水、④貧血や血圧の低下、⑤風邪などの感染症、といった要因を考えます。ただし、①〜④が妊娠初期の寒気を直接起こすことを示すデータは限られており、寒気だけで原因を特定することはできません。①〜④には妊娠に伴って起こりうる変化が含まれ、⑤は感染症による症状です。対応が異なるため、発熱やほかの症状の有無を確認することが重要です。いくつかの原因が重なっていることも少なくありません。
①黄体ホルモンで体温が上がり、周囲を寒く感じる
プロゲステロンは、脳の視床下部にある体温調節の中枢に働きかけ、体が目標とする体温(設定温度)を少し引き上げます。排卵後の黄体期に体の中心の温度が上がるのは、この作用によるものと考えられています[2]。妊娠が成立するとプロゲステロンが減らずに出続けるため、高温期がそのまま続きます。
設定温度が上がると、体はそこまで体温を上げよう、保とうとします。このとき、皮膚の血管を締めて熱を逃がさないようにしたり、「寒い」という感覚で服を着るよう促したりする仕組みが働きます。風邪の引き始めに、熱が上がる途中でゾクゾクするのと同じ原理です。妊娠初期の寒気が「熱っぽいのに寒い」「ほてるのに手足は冷たい」という矛盾した形で現れやすいのは、このためです。
また、体の中心の温度が高い状態が続くと、周囲の温度との差をより大きく感じやすくなります。エアコンの効いた部屋や、朝晩の気温差で急に寒さを感じるのは、この差の影響もあります。体温の変化そのものについては、妊娠初期の基礎体温で詳しく解説しています。
②ホルモン変化による自律神経と体温調節の揺らぎ
体温は、自律神経が血管の太さや汗の量、筋肉のふるえなどを細かく調整することで一定に保たれています。妊娠初期には、プロゲステロンだけでなく、エストロゲンやhCGも短期間で大きく増えます。女性ホルモンは体温調節や血管の反応にも影響するため、この急な変化の時期には調節がうまくかみ合わず、暑さと寒さを行ったり来たりするような感覚が生じることがあります[2]。
睡眠不足などの体調変化が寒さの感じ方に影響することもあります。ただし、発熱の有無や寒気の強さだけで原因を確定することはできません。
③つわりによる低血糖・脱水(つわり期の寒気)
つわり(妊娠悪阻の軽いもの)は非常に多く、吐き気は妊婦さんの50〜80%、嘔吐は約50%にみられ、影響を受ける人のほぼ全員で妊娠9週までに始まるとされています[3]。吐き気で食事がとれない、食べても吐いてしまう状態が続くと、血液中の糖が不足しがちになります。糖は体が熱を生み出すための主な燃料なので、エネルギーが足りないと体温を保ちにくくなり、寒さやだるさ、冷や汗、ふらつきを感じることがあります。空腹時や朝方に寒気が強くなる人は、この影響も考えられます。
吐くことで水分が失われると、血液の量が減り、手足まで温かい血液が届きにくくなります。脱水が進むと、尿の回数や量が減る、尿の色が濃くなる、口が渇く、立ちくらみがするといった変化が現れます。水分もほとんどとれない、体重が減り続ける、ふらついて立てないといった状態は、点滴などの治療が必要なこともあるため、我慢せずに産婦人科に相談してください。つわりの仕組みと対処はつわりとは?原因・症状・軽減法で解説しています。
④貧血や血圧の低下
妊娠すると、赤ちゃんと胎盤に血液を送るために血液の量が増えていきますが、液体成分(血漿)の増え方が赤血球の増え方を上回るため、血液は薄まった状態になります。この変化は妊娠が進むほど目立ちますが、妊娠前から鉄が不足していた人や、つわりで食事が偏っている人では、初期から貧血が表に出ることがあります。赤血球が少ないと全身に酸素が届きにくく、体が熱を生み出しにくくなるため、寒さを感じやすくなります。
また、プロゲステロンには血管の壁をゆるめる働きがあり、妊娠初期は血圧がやや下がりやすくなります。急に立ち上がったときのめまい、手足の冷え、顔色の悪さを伴う寒気は、貧血や血圧の低下が関わっている可能性があります。貧血は妊婦健診の血液検査で確認できるので、気になる症状が続く場合は、健診のときに伝えてください。
⑤風邪や感染症による悪寒
ここまでの①〜④と性質が違うのが、感染症による悪寒です。ウイルスや細菌に感染すると、体は免疫の反応として設定温度を大きく引き上げ、それに向けて筋肉をふるわせて熱を作ります。これが「ガタガタ震える」ほどの悪寒で、その後に38℃以上の発熱が続くのが典型的な経過です。
妊娠中は「免疫が下がる」と言われることがありますが、正確には、赤ちゃんを異物として攻撃しないように免疫の働き方が変化している状態です。その結果、インフルエンザなど一部の感染症では、妊娠していないときより重症化しやすいことが知られています[4]。米国疾病対策センター(CDC)も、妊娠中のインフルエンザは入院が必要な状態になりやすいとして、症状があればすぐに医療機関へ連絡するよう勧めています[5]。
喉の痛み、咳、鼻水、関節や筋肉の痛みを伴う寒気は、妊娠による寒気より風邪やインフルエンザを疑う材料になります。鼻の症状から風邪と妊娠を見分けるポイントは、風邪か妊娠かの見分け方(妊娠超初期の鼻水)で解説しています。
3. 寒気と「冷え」「風邪」「生理前」の見分け方
寒気の原因を考えるときは、体温と随伴症状を確認します。38℃以上の発熱や全身のふるえ、喉の痛み・咳・排尿痛などがあれば感染症を考える必要があります。手足の先だけの冷感は末梢の冷えでも起こります。生理前と妊娠初期は症状が重なるため、寒気だけで両者を見分けることはできません。症状だけで完全に区別することはできないため、あくまで目安として使ってください。
🌡 寒気の種類と見分けるポイント
| 種類 | 体温の目安 | 感じ方の特徴 | 見分けるポイント |
|---|---|---|---|
| 妊娠初期の寒気 | 一定しない | 寒さ・ゾクゾク感など(原因により異なる) | 寒気だけでは妊娠との関連を判断できない |
| 冷え・冷え性 | 平熱 | 手足の先や腰が冷たい | 温めるとすぐ楽になり、全身のゾクゾク感は少ない |
| 風邪・感染症の悪寒 | 38℃以上に上がることが多い | ガタガタ震える、節々が痛む | 喉の痛み・咳・鼻水・排尿痛など、ほかの症状を伴う |
| 生理前(PMS)の寒気 | 高温期〜下がり始め | 妊娠初期とよく似る | 生理が来て基礎体温が下がる |
※目安です。症状だけでは区別できないことがあり、判断に迷う場合は体温の経過と一緒に産婦人科へ相談してください。
冷え・冷え性との違い
「冷え」は、手足の先や腰、お腹など体の一部が冷たく感じる状態で、主に末端の血流が少ないことで起こります。妊娠前から冷え性だった人が妊娠初期に「いつもより冷える」と感じることは多く、ホルモンによる血管の反応の変化や、つわりによる食事量の低下、睡眠不足が冷えを強めることがあります。
一方、妊娠初期の寒気は、体の中心の温度はむしろ高めなのに、全身が寒いと感じるのが特徴です。冷えは靴下や腹巻き、温かい飲み物で比較的すぐに和らぎますが、寒気は服を重ねても「体の芯がゾクゾクする」感覚が残ることがあります。どちらも妊娠初期によく見られ、両方が同時に起きていることも珍しくありません。冷えが直接流産を引き起こすという根拠はありませんが、体が冷えると腹部の張りや腰の重さを感じやすくなるため、温めて過ごすことは快適さの面で役に立ちます。
風邪・感染症の悪寒との違い
感染症による悪寒は、短時間で体温が大きく上がる途中に起こります。歯がガチガチ鳴る、布団をかぶっても震えが止まらないといった強いふるえは「悪寒戦慄」と呼ばれ、内科では細菌が血液中に入っている可能性を考える重要なサインとして扱われます。このような強い悪寒戦慄がある場合は、妊娠に伴う体温変化と決めつけず、感染症などの評価が必要です。
見分けるには、寒気を感じたときに体温を測ることがいちばん確実です。37℃台前半だけでは原因を特定できませんが、38℃以上へ上がっていく場合や他の感染症状を伴う場合は感染症を考えます。喉の痛み、咳、鼻水、下痢、排尿時の痛みや腰の痛みなど、寒気以外の症状も一緒に確認してください。
生理前(PMS)の寒気との違い
生理前の寒気と妊娠初期の寒気は、どちらもプロゲステロンが関わっているため、症状だけでは見分けられません。違いが出るのは「その後」で、生理前なら生理の開始とともに基礎体温が下がって寒気も消えていき、妊娠していれば高温期がそのまま続きます。基礎体温をつけている人なら、高温期が3週間以上続いていれば妊娠の可能性があります[6]。
妊娠しているかどうかを確かめられるのは、生理予定日の1週間後ごろからの妊娠検査薬です。それより前に使うと、妊娠していても反応しないことがあります。検査薬の使い方とタイミングは妊娠検査薬はいつから使える?で、寒気以外も含めた生理前と妊娠初期の違いは生理がきそうでこないときに考えられることで解説しています。
🩺 院長コラム【寒気は「体温計とセット」で考える】
寒気という感覚は、体温が上がっている途中でも、すでに高い状態でも、逆に体が冷えていても起こります。感覚だけでは中身が区別できないので、寒気を感じたら、まず体温を測って記録してほしいと考えています。
総合内科専門医の立場からいえば、同じ「寒い」でも、37℃台で落ち着いているのか、1時間で38℃台まで上がっていくのかで、考えることはまったく違います。妊娠中はなおさら、数字を残しておくことが、産婦人科に電話で相談するときにも役に立ちます。
4. 妊娠初期の寒気は流産の兆候?赤ちゃんへの影響は
妊娠初期の寒気そのものが流産の兆候である、あるいは流産を引き起こすという医学的な根拠はありません。発熱を伴わない寒気が赤ちゃんに悪い影響を与えることもありません。ただし、寒気のあとに高い熱が出た場合と、出血や腹痛を伴う場合は、別に考える必要があります。
寒気そのものが流産を起こすという根拠はない
妊娠初期の流産は、臨床的に確認された妊娠の約10%に起こる、決してまれではない出来事です。そしてその約半数は、胎児側の染色体の異常によるものとされています[7]。染色体の異常の多くは、卵子や精子ができる過程や受精の直後に偶発的に生じるもので、妊娠後の母体の過ごし方で起きたり防げたりするものではありません。
「寒気がしたから流産する」「体を冷やしたから流産した」という考えは、時期がたまたま重なったことから生まれる誤解です。妊娠初期は、流産がもっとも起こりやすい時期であると同時に、寒気がもっとも起こりやすい時期でもあります。同じ時期に起きることが多いからといって、一方が他方の原因になっているわけではありません。流産の種類と時期ごとの特徴は、流産の種類で解説しています。
反対に、「寒気がなくなったから流産したのでは」と心配になる人もいます。寒気やつわりなどの症状は日によって強さが変わり、ある日急に軽くなることもあります。症状の変化だけで流産を判断することはできず、心配な場合は妊婦健診や産婦人科で赤ちゃんの状態を確認してもらうのが確実です。
注意したいのは寒気ではなく「高熱」
赤ちゃんへの影響で注意したいのは、寒気そのものではなく、妊娠初期に高い熱が続くことです。妊娠初期の母体の発熱や高体温と、赤ちゃんの神経管閉鎖障害(脳や脊髄のもとになる神経管がうまく閉じない先天異常)との関連を調べた研究をまとめた解析では、高体温にさらされた場合に神経管閉鎖障害のリスクが高くなることが報告されています[8]。神経管は妊娠6週ごろまでに閉じるため、特にこの時期までの発熱が関係すると考えられています[9]。CDCも、インフルエンザの症状としての発熱が、一部の研究で神経管閉鎖障害などと関連していたと説明しています[5]。
ただし、これは「高い熱が出ると必ず異常が起こる」という意味ではなく、もともと低い頻度がわずかに上がるという、集団としての傾向です。発熱したことがある人の多くは、健康な赤ちゃんを出産しています。神経管閉鎖障害の予防には、妊娠前からの葉酸の摂取がもっとも確かな方法として知られています。詳しくは神経管閉鎖障害と葉酸の関係で解説しています。
この知見から導かれる実際的な結論は、「妊娠初期に38℃を超える熱が出たら、我慢せずに原因を調べ、熱を下げる」ということです。熱を下げる方法と薬の考え方は、第7章で説明します。
流産を疑う症状は出血と腹痛
妊娠初期に注意が必要な症状は、寒気ではなく、性器からの出血と下腹部の痛みです。生理のような量の出血、塊が出る、生理痛より強い下腹部痛や、だんだん強くなる痛みは、流産や切迫流産のサインのことがあります。少量の出血や軽い下腹部の張りは妊娠初期によく見られ、必ずしも異常ではありませんが、寒気と一緒にこうした症状があるときは、自己判断せずに産婦人科に連絡してください。
流産と切迫流産の違いは切迫流産とはで、腹痛の種類と受診の目安は妊娠初期の腹痛で詳しく解説しています。
5. すぐ受診したほうがよい寒気
寒気に加えて、38℃以上の発熱、震えるほどの悪寒、排尿時の痛みや腰の痛み、右下腹部の痛み、出血や片側の下腹部痛がある場合は、妊娠による変化ではない病気の可能性があるため、早めに産婦人科へ連絡してください。夜間や休日で判断に迷うときは、かかりつけの産婦人科の緊急連絡先や、地域の救急相談窓口(#7119が利用できる地域もあります)を活用してください。
⚠️ 寒気と一緒に出る症状と考えられること
| 一緒に出る症状 | 考えられること | 対応の目安 |
|---|---|---|
| 38℃以上の発熱、喉の痛み、咳、節々の痛み | インフルエンザ、新型コロナなどの感染症 | 当日中に産婦人科または内科へ連絡 |
| 震えるほどの悪寒、高熱、排尿時の痛み、腰や背中の片側の痛み | 腎盂腎炎 | すぐに受診 |
| 吐き気・嘔吐・下痢、発熱 | 食中毒、胃腸炎 | 水分がとれなければすぐに受診 |
| みぞおちやへその周りから右下腹部へ移る痛み、発熱 | 虫垂炎 | すぐに受診 |
| 出血、片側の強い下腹部痛、肩の痛み、ふらつき | 流産、異所性妊娠(子宮外妊娠) | すぐに受診(強い痛みやふらつきは救急) |
※妊娠中は症状が典型的に出ないことがあります。迷ったときは、受診の要否を産婦人科に電話で相談してください。
38℃以上の発熱や震えるほどの悪寒がある
喉の痛みや咳、全身の節々の痛みを伴う高熱は、インフルエンザや新型コロナウイルス感染症などが疑われます。CDCは、妊娠中にインフルエンザが確定または疑われる場合には、速やかに抗ウイルス薬による治療を行うよう推奨しています[5]。受診の前に、医療機関へ電話で発熱していることを伝え、指示を受けてから向かってください。
妊娠中に見落としたくないのが腎盂腎炎です。妊娠中はプロゲステロンの作用で尿管がゆるんで尿の流れが遅くなり、膀胱の細菌が腎臓まで上がりやすくなります。米国の全国データの分析では、分娩時点で腎盂腎炎と診断されていた人は1,000分娩あたり2.1人で、腎盂腎炎があった人の5.3%に敗血症、14.0%に早産につながる陣痛がみられ、腎盂腎炎のない人の8.3%に比べて早産の陣痛が多くなっていました[10]。震えるほどの悪寒と高熱、腰や背中の片側の痛み、排尿時の痛みや頻尿がそろっているときは、すぐに受診してください。
💡 用語解説:腎盂腎炎(じんうじんえん)
膀胱から上がってきた細菌が、腎臓の中で尿が集まる部分(腎盂)や腎臓そのものに感染する病気です。高熱、震えるほどの悪寒、腰や背中の片側の痛みが典型的な症状で、膀胱炎の症状(排尿時の痛み、頻尿、残尿感)が先に出ることもあります。妊娠中は抗菌薬の点滴など入院での治療が必要になることが多く、早めの治療が大切です。
吐き気・下痢や右下腹部の痛みを伴う
寒気に吐き気、嘔吐、下痢、発熱が加わる場合は、食中毒や感染性胃腸炎が考えられます。なかでもリステリア菌による食中毒は、妊娠中に注意が必要な感染症です。CDCは、米国では毎年妊婦さん約2万5,000人に1人がリステリアに感染し、感染した妊婦さんの4人に1人が流産や死産、出生直後の赤ちゃんの死亡に至ると説明しています[11]。本人の症状は発熱やだるさ、筋肉痛など軽いことも多いため、加熱が不十分な肉や生ハム、殺菌されていないナチュラルチーズなどを食べたあとに発熱した場合は、そのことを医療機関に伝えてください。
もうひとつ注意したいのが虫垂炎です。虫垂炎は妊娠の0.05〜0.15%に起こり、妊娠中に手術が必要になる産科以外の病気として最も多いものです。米国消化器内視鏡外科学会(SAGES)の指針は、妊娠中の虫垂炎が早産や子宮内感染、子宮内胎児死亡のリスク上昇と関係し、穿孔(虫垂が破れること)を起こすとそのリスクがさらに高くなると述べています[12]。典型的には、みぞおちやへその周りの痛みが数時間かけて右下腹部に移り、吐き気や発熱を伴います。つわりの吐き気と重なって気づきにくいことがあるため、「いつもと違う腹痛と発熱」はすぐに受診してください。
💡 用語解説:虫垂炎(ちゅうすいえん)
大腸の入り口近くにある細長い袋状の器官(虫垂)が炎症を起こす病気で、一般に「盲腸」と呼ばれます。放置すると虫垂が破れて腹膜炎になることがあります。妊娠中も発症し、子宮が大きくなるにつれて痛みの場所が典型的な右下腹部からずれることがあります。診断には超音波検査やMRIなど、妊娠中にも使いやすい画像検査が用いられます。
出血や片側の下腹部痛を伴う
寒気に性器出血や下腹部痛を伴う場合は、流産や異所性妊娠(子宮外妊娠)の可能性を考えます。異所性妊娠は、受精卵が子宮の内側以外の場所、多くは卵管に着床してしまう状態です。卵管が破れるとお腹の中で大量に出血し、片側の強い下腹部痛、肩の痛み、冷や汗、ふらつき、顔面蒼白といった症状が現れます。このときの寒気や冷や汗は、出血によって血圧が下がったことによるもので、緊急の対応が必要です。症状と受診の目安は子宮外妊娠(異所性妊娠)で解説しています。
まれですが、胞状奇胎も妊娠初期の出血の原因になります。胞状奇胎は、胎盤のもとになる組織(絨毛)が異常に増えてぶどうの房のような状態になる異常妊娠で、hCGが非常に高くなり、強いつわりや出血を伴うことがあります。超音波検査とhCGの測定で診断されるため、初期の妊婦健診を予定どおり受けることが早期発見につながります。
6. 妊娠初期の寒気はいつからいつまで続く?
妊娠初期に寒気を感じ始める時期や、いつまで続くかについて、一定の経過を示す十分な研究データはありません。プロゲステロンの産生主体は妊娠初期に黄体から胎盤へ移行しますが、この変化だけから寒気の開始・終了時期を決めることはできません。ただし、始まる時期も終わる時期も個人差が大きく、まったく寒気を感じない人もいれば、妊娠中期以降も寒がりが続く人もいます。
「妊娠3か月ごろにプロゲステロンの分泌が正常に戻るので治まる」と説明されることがありますが、正確ではありません。プロゲステロンは妊娠中を通じて増え続けるホルモンで、妊娠初期に減るわけではありません。変わるのは「どこで作られているか」です。
妊娠のごく初期は、hCGに支えられた卵巣の黄体がプロゲステロンを作っています。その後、胎盤が育つにつれて胎盤自身がプロゲステロンを作るようになり、この役割の受け渡し(黄体-胎盤シフト)は妊娠7〜9週ごろに起こるとされています[13]。妊娠が進むにつれて内分泌環境やつわりの状態は変化しますが、これらと寒気の経過との直接的な関係は十分に確立していません。胎盤が完成する時期と役割については、胎盤の基礎で解説しています。
妊娠中期を過ぎても強い寒がりが続く場合や、だるさ、むくみ、体重の増えすぎ、動悸、ふらつきを伴う場合は、甲状腺の働きや貧血を確認することがあります。甲状腺の働きが低下すると寒がりになり、妊娠経過にも関わるため、気になる症状は妊婦健診で相談してください。妊娠と甲状腺の関係は妊娠と甲状腺疾患の関係で解説しています。
7. 妊娠初期の寒気をやわらげる対処法
発熱のない妊娠初期の寒気は、重ね着で体を温める、少量ずつこまめに食べて飲む、ぬるめのお湯で温まる、十分に休む、といった方法で和らげることができます。熱が出たときは、自己判断で市販薬を使わず、まず産婦人科に相談してください。
首・お腹・足元を温める重ね着
寒気と暑さを行ったり来たりしやすい妊娠初期は、厚手の服1枚より、脱ぎ着しやすい薄手の服を重ねるほうが調節しやすくなります。首、手首、足首、お腹や腰を温めると、全身が温まりやすくなります。靴下やレッグウォーマー、腹巻き、ひざ掛けは手軽な方法です。
カイロを使う場合は、低温やけどに注意してください。同じ場所に長時間当て続けない、肌に直接貼らない、寝るときには外す、といった使い方を守ります。エアコンの風が直接体に当たらないようにすることも、室内での寒気を減らすのに役立ちます。
少量ずつこまめに食べて飲む
つわりの時期の寒気には、空腹の時間をつくらないことが効果的です。1回の量を減らして食事の回数を増やし、クラッカーやおにぎり、果物など食べやすいものを枕元やバッグに置いておくと、血糖の落ち込みを防ぎやすくなります。温かいスープや汁物は、体を内側から温めながら水分と塩分も補えます。
水分は、一度にたくさん飲むより、少しずつ回数を分けて飲むほうが吐き気を誘いにくくなります。「体を温める食材」「体を冷やす食材」という分け方がよく紹介されますが、食材の育つ場所などで体温への作用が決まるという医学的な根拠は乏しく、無理に避ける必要はありません。食べられるものを、温かい状態で、こまめにとることを優先してください。
ぬるめの入浴や足湯で温まる
入浴は体を温め、緊張をほぐすのに役立ちます。ただし妊娠初期は、熱いお湯に長くつかる、サウナや高温の岩盤浴を使うといった、体の中心の温度を大きく上げる行為は控えめにしてください。熱い風呂やサウナによる高体温も、発熱と同じく神経管閉鎖障害との関連が指摘されており、妊娠中の利用は制限したほうがよいとされています[9]。
目安は、38〜40℃程度のぬるめのお湯に短時間つかることです。のぼせやすいとき、つわりで体力が落ちているときは、足湯や手浴だけでも十分に温まります。足湯はお湯の温度を保ちやすく、転倒の心配も少ない方法です。
熱が出たときの薬は自己判断しない
38℃を超える発熱があるときは、まず産婦人科に連絡して、原因を確かめることが先決です。熱を下げる薬については、米国母体胎児医学会(SMFM)が2026年の声明で、アセトアミノフェンが妊娠中の痛みと発熱に対する第一選択の薬であり続けていること、特に妊娠初期の治療されない発熱は先天異常や流産と関連することを改めて示しています[14]。胎児への影響に関する情報を提供する専門機関も、必要なときに、効果のある最小量を使うよう勧めています[9]。
一方、市販の総合感冒薬や鎮痛薬には、アセトアミノフェン以外の成分がいくつも含まれていることがあり、妊娠中に避けたい成分が入っている製品もあります。「市販薬は量が少ないから大丈夫」とは言えないため、手元の薬を使う前に、産婦人科か薬剤師に成分を確認してください。妊娠中の薬の考え方と週数ごとの影響は、妊娠中の薬との付き合い方で解説しています。
🩺 院長コラム【熱は我慢するより、原因を調べて下げる】
妊娠中は「薬を飲むと赤ちゃんに悪いのでは」と考えて、熱が出ても我慢してしまう方がいます。けれども、妊娠初期に避けたいのは高い熱が続くことのほうで、必要な解熱薬を適切に使うことは、赤ちゃんを守る行動のひとつだと考えています。
大切なのは、薬を自分で選ぶのではなく、熱の原因を医師に確かめてもらうことです。腎盂腎炎や虫垂炎のように、解熱薬だけでは治らず、抗菌薬や手術が必要な病気もあります。熱を下げることと原因を調べることは、いつもセットで考えてください。
よくある質問(FAQ)
Q1. 寒気があると妊娠している可能性はありますか?
妊娠初期に寒気を自覚することはありますが、妊娠に特異的な症状ではなく、生理前や風邪、疲れでも起こるため、寒気だけで妊娠かどうかはわかりません。生理予定日を過ぎても高温期が続く場合は妊娠の可能性があり、生理予定日の1週間後ごろから妊娠検査薬で確認できます。
Q2. 寒気の有無で赤ちゃんの性別はわかりますか?
わかりません。赤ちゃんの性別は受精の時点で精子が持つ性染色体によって決まっており、寒気やつわりなど母体の症状の出方で性別を見分けることはできません。性別がわかる時期と方法は赤ちゃんの性別はいつわかる?で解説しています。
Q3. 夜や寝ているときだけ寒いのはなぜですか?
体温には1日の中で上下するリズムがあり、夜から明け方にかけて体の中心の温度が下がる時間帯に、寒さを感じやすくなります。夕食から朝までの空腹で血糖が下がることや、寝汗で体が冷えることも関係します。寝る前に少量の軽食をとる、脱ぎ着しやすい寝具で調節するといった工夫が役立ちます。
Q4. 夏やエアコンの効いた部屋でも寒いのは普通ですか?
妊娠初期はプロゲステロンの作用で体温が高めに保たれますが、冷房下での寒気が妊娠に特有とはいえません。上着やひざ掛けで調節し、エアコンの風が直接当たらない場所で過ごしてください。発熱がなければ、妊娠による変化の範囲と考えてよいことが多いです。
Q5. 微熱と寒気が同時に出るのは大丈夫ですか?
妊娠初期は黄体ホルモンによって体温が高めに保たれますが、37℃台前半の体温と寒気だけで妊娠による変化と断定することはできません。ただし、38℃以上に上がる場合や、喉の痛み、咳、排尿時の痛み、下痢などほかの症状がある場合は感染症の可能性があるため、産婦人科に連絡してください。
Q6. 寒気がなくなったら流産のサインですか?
寒気がなくなったことだけで流産と判断することはできません。妊娠初期の症状は日によって強さが変わり、自然に軽くなることもよくあります。出血や下腹部の痛みがなければ、次の妊婦健診で赤ちゃんの状態を確認してもらえば十分なことがほとんどです。不安が強い場合は産婦人科に相談してください。
Q7. 寒気を感じたら、妊娠検査薬はいつ使えますか?
一般的な妊娠検査薬は、生理予定日の1週間後ごろから使えます。寒気を感じた時点が生理予定日より前であれば、妊娠していても反応しないことがあるため、予定日を過ぎるまで待ってから使ってください。陽性が出たら、産婦人科で子宮の中に妊娠していることを確認してもらいます。
Q8. ミネルバクリニックで妊娠中の寒気や発熱を診てもらえますか?
いいえ、当院では妊娠中の寒気や発熱、腹痛などの診察・治療を行っておらず、この件についてのご予約・お問い合わせもお受けしていません。症状がある場合は、妊婦健診を受けている産婦人科、まだ受診前であれば近くの産婦人科にご相談ください。
まとめ
妊娠初期・超初期の寒気は、黄体ホルモン(プロゲステロン)が体の設定温度を引き上げて高温期が続くこと、ホルモンの急な変化で体温調節が揺らぐこと、つわりによる低血糖や脱水、貧血などが重なって起こる、よくある変化です[2][3]。寒気そのものが流産を起こすという根拠はなく、初期流産の多くは胎児側の染色体の偶発的な異常によるものです[7]。
注意したいのは、寒気と一緒に出ている症状です。38℃以上の発熱、震えるほどの悪寒、排尿時の痛み、右下腹部の痛み、出血や片側の下腹部痛がある場合は、感染症や腎盂腎炎、虫垂炎、流産、異所性妊娠などの可能性があるため、早めに産婦人科へ連絡してください。妊娠初期の高熱は下げたほうがよいとされており[8][14]、薬は自己判断せずに相談して使います。寒気がいつまで続くかには個人差があり、妊娠中期までに落ち着くと一律に示せる十分な研究データはありません。
🏥 妊娠中の寒気・発熱の診察をお考えの方へ
当院では、妊娠中の寒気・発熱・腹痛などの診察・治療を行っておりません。
この件についてのご予約・お問い合わせはお受けしておりません。
症状がある場合は、妊婦健診を受けている産婦人科、まだ受診前であれば近くの産婦人科へご相談ください。
この記事は妊娠初期の体の変化を正しく知っていただくための解説であり、当院での診療をご案内するものではありません。
参考文献
- [1] Wilcox AJ, Baird DD, Weinberg CR. Time of implantation of the conceptus and loss of pregnancy. N Engl J Med. 1999;340(23):1796-1799. [PubMed 10362823]
- [2] Baker FC, Siboza F, Fuller A. Temperature regulation in women: Effects of the menstrual cycle. Temperature (Austin). 2020;7(3):226-262. [PMC7575238]
- [3] ACOG Practice Bulletin No. 189: Nausea and Vomiting of Pregnancy. Obstet Gynecol. 2018;131(1):e15-e30. [PubMed 29266076]
- [4] Kourtis AP, Read JS, Jamieson DJ. Pregnancy and infection. N Engl J Med. 2014;370(23):2211-2218. [PMC4459512]
- [5] Centers for Disease Control and Prevention. Flu & Pregnancy. [CDC]
- [6] 公益社団法人 女性の健康とメノポーズ協会. 基礎体温を測りましょう. [女性の健康とメノポーズ協会]
- [7] ACOG Practice Bulletin No. 200: Early Pregnancy Loss. Obstet Gynecol. 2018;132(5):e197-e207. [PubMed 30157093]
- [8] Moretti ME, Bar-Oz B, Fried S, Koren G. Maternal hyperthermia and the risk for neural tube defects in offspring: systematic review and meta-analysis. Epidemiology. 2005;16(2):216-219. [PubMed 15703536]
- [9] MotherToBaby (Organization of Teratology Information Specialists). Fever/Hyperthermia. [MotherToBaby]
- [10] Dotters-Katz SK, Heine RP, Grotegut CA. Medical and infectious complications associated with pyelonephritis among pregnant women at delivery. Infect Dis Obstet Gynecol. 2013;2013:124102. [PMC3804393]
- [11] Centers for Disease Control and Prevention. People at Increased Risk for Listeria Infection. [CDC]
- [12] Society of American Gastrointestinal and Endoscopic Surgeons (SAGES). Guidelines for the Use of Laparoscopy During Pregnancy. Surg Endosc. 2023. [SAGES]
- [13] Shah D, Nagarajan N. Luteal insufficiency in first trimester. Indian J Endocrinol Metab. 2013;17(1):44-49. [PMC3659905]
- [14] Society for Maternal-Fetal Medicine. Society for Maternal-Fetal Medicine Statement: Acetaminophen use during pregnancy. Pregnancy. 2026. [DOI 10.1002/pmf2.70318]





