目次
妊娠超初期(妊娠0〜3週ごろ)に鼻水やくしゃみ、鼻づまりが出ることはありますが、鼻水だけで妊娠か風邪かを見分けることはできません。妊娠中はホルモンの影響で鼻の粘膜がむくみやすく、「妊娠性鼻炎」と呼ばれる状態になる人もいます。一方で、生理予定日前のこの時期は、風邪や生理前の不調とも重なります。この記事では、妊娠超初期に鼻水が出る理由、サラサラの鼻水と風邪の鼻水の違い、見極める方法と対策を解説します。妊娠の可能性があるときは、市販の風邪薬を使う前に薬剤師や医師に相談しましょう。
Q. 妊娠超初期の鼻水は、妊娠のサインですか?
A. 妊娠中はホルモンや血液量の変化で鼻の粘膜がむくみ、鼻水やくしゃみ、鼻づまりが出ることがあります。ただし鼻水は風邪や生理前の不調でも出るため、鼻水だけで妊娠かどうかは判断できません。妊娠を確かめるには、生理予定日の1週間後ごろに妊娠検査薬を使うか、産婦人科を受診しましょう。
- ➤原因 → ホルモンと血液量の変化による鼻の粘膜のむくみ(妊娠性鼻炎)、もともとあるアレルギー性鼻炎の変化
- ➤風邪との違い → のどの痛み・咳・高い熱の有無、基礎体温、鼻以外の症状をあわせて確認
- ➤対策 → 蒸気・鼻洗浄・加湿など薬を使わない方法から。市販薬は使う前に相談
- ➤確かめ方 → 生理予定日の1週間後ごろに妊娠検査薬、または産婦人科を受診
妊娠超初期の体の変化

妊娠超初期とは、最終月経の開始日を妊娠0週0日として数えたときの、妊娠0〜3週ごろを指す言葉です。医学用語ではなく明確な定義もありませんが、一般に、次の生理予定日(妊娠4週0日ごろ)までの期間をこう呼んでいます。この時期に現れる症状は「妊娠超初期症状」と呼ばれます。
生理周期が28日の場合、排卵と受精は妊娠2週ごろ、受精卵が子宮内膜に着床するのは妊娠3週ごろです。排卵・受精・着床がすべてうまく進むと、妊娠が成立します。
妊娠が成立すると、体の中では出産に向けて次のような準備が始まります。ただし、この時期に自覚症状があるかどうかは個人差が大きく、何も感じない人も多くいます。
【妊娠超初期の体(内)の変化】
- 排卵日を過ぎても、基礎体温の高温期が続く
- 排卵後に減るはずのプロゲステロン(黄体ホルモン)とエストロゲン(卵胞ホルモン)が、減らずに分泌され続ける
- 着床後、のちに胎盤になる組織からhCG(ヒト絨毛性ゴナドトロピン)が分泌され始める
市販の妊娠検査薬は、尿に含まれるhCGに反応します。着床して間もない時期のhCGはごく微量なため、生理予定日より前に検査しても正しい結果が出ないことがあります。
妊娠超初期に鼻水が出る理由は?

鼻水には、鼻やのどに入ったウイルスや細菌、花粉などを洗い流して、体の外へ出す働きがあります。風邪を引いたときや花粉症のときに鼻水が出るのはこのためです。
鼻水の性状は、原因を考える手がかりのひとつになります。アレルギー性鼻炎では透明でサラサラした鼻水が多く、くしゃみや鼻・目のかゆみを伴いやすい傾向があります。風邪では、はじめは透明でサラサラしていても、数日たつと粘り気が出て、黄色や緑色になることがあります。色がつくのは、ウイルスなどと闘った白血球や、はがれた鼻の粘膜の細胞が混じるためです。ただし、色や粘り気だけで原因を決めることはできません。
ここからは、妊娠と鼻の症状の関係を見ていきましょう。
ホルモン分泌増加による鼻炎
妊娠中は、女性ホルモンのエストロゲンとプロゲステロンが増え、全身の血液量も増えていきます。こうした変化によって鼻の粘膜の血管が広がってむくみ、鼻づまりやサラサラした鼻水、くしゃみが出やすくなると考えられています。ただし、はっきりした仕組みはまだ解明されていません[1][2]。
💡 用語解説:妊娠性鼻炎
妊娠前にはなかった鼻づまりが妊娠中に6週間以上続き、感染やアレルギーの原因が見当たらず、出産後2週間以内に消えるものを「妊娠性鼻炎」と呼びます。妊婦さんのおよそ5人に1人にみられ、妊娠中のどの時期にも始まりうるとされています[1]。
妊娠性鼻炎は妊娠中期から後期に目立つことが多いとされています[2]。生理予定日前の妊娠超初期に鼻水が出たからといって、それを妊娠のサインと判断できる根拠は十分ではありません。妊娠超初期の鼻水は「妊娠でも起こりうる症状のひとつ」と考えてください。
アレルギー性鼻炎が悪化
妊娠前からアレルギー性鼻炎がある人は、妊娠をきっかけに症状が変わることがあります。悪化する人もいれば、変わらない人、軽くなる人もいて、経過は人によってさまざまです。
悪化する場合には、前述したホルモンや血液量の変化で鼻の粘膜がむくみやすくなることが関係していると考えられています。花粉やハウスダストなど、原因となるものを避ける対策も妊娠前と同じように大切です。
妊娠超初期症状と風邪による鼻水の違い

妊娠超初期には、鼻水のほかにも、だるさや熱っぽさなど風邪に似た症状を感じる人がいます。鼻水の性状だけで区別するのは難しいため、次のような点をあわせて確認しましょう。
【妊娠超初期症状か風邪の鼻水かを見極める手がかり】
- のどの痛み・咳・高い熱があるか
- 基礎体温の高温期が続いているか
- 眠気や頻尿など、鼻以外の症状があるか
風邪では、のどの痛みや咳を伴い、38℃前後の熱が出ることもあります。一方、排卵後の高温期には37℃前後の体温が続くため「熱っぽい」と感じることがありますが、のどの痛みや咳は伴いません。
また、生理前にも体がだるい、風邪っぽいと感じる人がいます。月経前症候群(PMS)でも似た症状が出るため、「風邪っぽい=妊娠」とは言えません。
基礎体温をつける
妊娠しているかどうかを推測する手がかりのひとつが、基礎体温です。排卵がある周期では、基礎体温は低温期と高温期の二相に分かれます。
低温期は生理開始日から排卵までの期間で、長さは周期によって変わります。高温期は排卵後から次の生理が始まるまでの期間で、およそ12〜14日続きます。
妊娠していない場合は、高温期のあとに体温が下がって生理が始まります。妊娠している場合は高温期がそのまま続くため、高温期が16日以上続いて生理がこないときは、妊娠している可能性が考えられます。
ただし、基礎体温だけで妊娠を確定することはできません。高温期が短い、途中で一時的に体温が下がるといった場合は黄体機能不全、生理から次の生理まで低温期が続く場合は無排卵周期の可能性もあります。
妊娠しているかどうかを確かめるには、生理予定日の1週間後ごろに妊娠検査薬を使うか、産婦人科を受診しましょう。
眠気や頻尿など他の症状がある
鼻の症状のほかに、次のような症状が重なって出ることもあります。
【妊娠超初期の主な症状】
- 頻尿
- 眠気・不眠
- 頭痛
- 胃痛
- 胸が張る
- 吐き気
- めまい
- 熱っぽい
- イライラする・落ち込む
- 肌荒れ
- 便秘・下痢
- おりものの変化
これらの症状は、生理予定日の1週間前ごろから感じる人もいます。ただし、月経前症候群(PMS)でも同じような症状が出るため、症状があるから妊娠している、ないから妊娠していない、とは判断できません。
妊娠していても、この時期には症状に気づかない人も多くいます。基礎体温とあわせて体調の変化を記録し、不調が続くときは医療機関を受診しましょう。妊娠超初期にみられる症状の全体像や現れる時期は、妊娠超初期症状のまとめで詳しく解説しています。
妊娠超初期の鼻水の対策は?

妊娠の可能性があるときは、自己判断で市販の風邪薬や鼻炎薬を飲むのは控え、使う前に薬剤師や医師に相談しましょう。妊娠4週ごろからの数週間は、赤ちゃんの脳や心臓などの器官がつくられる時期で、薬の影響を最も受けやすいとされています[3]。
💡 妊娠に気づく前に薬を飲んでしまったら
受精から2週間ほど(妊娠4週の半ばごろ)までは、薬を飲んでも赤ちゃんへの影響はないと考えられています[3]。妊娠に気づく前に市販の風邪薬を飲んでいても、多くの場合は心配しすぎる必要はありません。気になる場合は、飲んだ薬の名前と時期をメモしておき、医師や薬剤師に相談しましょう。国立成育医療研究センターの「妊娠と薬情報センター」でも、妊娠中の薬について相談を受け付けています[4]。
妊娠超初期に鼻水が出るときは、薬を使わない次のような方法を試してみてください[5]。
【妊娠超初期の鼻水対策】
- 蒸気を吸う:入浴やシャワーの温かい蒸気を鼻から吸う(熱すぎるお湯や長湯は避ける)
- 蒸しタオル:やけどしない温度の蒸しタオルを鼻に当てる
- 鼻洗浄:鼻洗浄用の生理食塩水で鼻の中を洗う
- 寝るときは頭を少し高くする:枕を高めにすると、鼻が通りやすくなることがある
- マスクの着用:人混みやホコリの多い場所ではマスクをする
- 室温・湿度を調整する:乾燥を防ぎ、室温20〜25℃、湿度50%前後を目安にする
高い熱が出る、黄色や緑色の鼻水が長く続く、頬や額が痛むといった場合は、副鼻腔炎などほかの病気の可能性もあります。症状が改善しないときは、妊娠の可能性があることを伝えて医療機関を受診しましょう。
妊娠している可能性がある場合の注意点

妊娠超初期に鼻水やだるさなどの気になる症状があり、妊娠している可能性があると思ったら、生活習慣を見直すことが大切です。特に、次の点に注意しましょう。
【生活習慣の見直しポイント】
- 喫煙:流産や早産、低出生体重児のリスクを高めるため、禁煙しましょう
- アルコール:胎児性アルコール症候群の原因となり、安全な量はわかっていないため、飲酒はやめましょう
- カフェイン:摂りすぎは赤ちゃんの発育への影響が指摘されています。海外の機関には、妊婦さんのカフェイン摂取を1日200〜300mg程度までとする目安があります[6]
- 薬の服用:市販薬やサプリメントも含め、使う前に医師や薬剤師に相談しましょう。持病の薬は自己判断で中止しないでください
- 不規則な生活:睡眠不足や疲れは体調をくずすもとになるため、規則正しい生活を心がけましょう
- 食生活:刺身や生卵、生肉などは食中毒の原因になることがあるため、控えるか十分に加熱したものを選びましょう
妊娠を考えている時期から、積極的に摂りたい栄養素もあります。葉酸は、妊娠1か月以上前から妊娠3か月までの間、食事に加えてサプリメントなどから1日400μgを摂ることで、赤ちゃんの神経管閉鎖障害(二分脊椎など)の発症リスクを集団として下げることが期待できるとされています[7]。妊娠中は鉄欠乏性貧血にもなりやすいため、鉄分を含む食品も意識しながら、たんぱく質やカルシウム、食物繊維などもバランスよく摂りましょう。
まとめ

妊娠中は、ホルモンや血液量の変化によって鼻の粘膜がむくみやすく、鼻水やくしゃみ、鼻づまりが出ることがあります。もともとアレルギー性鼻炎がある人は、妊娠をきっかけに症状が変わることもあります。ただし、妊娠超初期の鼻水は風邪や生理前の不調でも起こるため、鼻水だけで妊娠かどうかを判断することはできません。
見極めには、基礎体温の記録や、のどの痛み・咳・鼻以外の症状の有無が手がかりになりますが、いずれも妊娠を確定するものではありません。生理予定日の1週間後ごろに妊娠検査薬を使うか、産婦人科を受診して確かめましょう。妊娠の可能性があるときは、市販の風邪薬を使う前に医師や薬剤師に相談することが大切です。
🧬 妊娠がわかったら、出生前検査のことも早めに
妊娠がわかると、赤ちゃんの染色体のことが気になり始める方もいます。NIPT(新型出生前診断)は、妊婦さんの採血だけで赤ちゃんの染色体の変化を調べる検査です。結果が確定する検査ではないため、陽性の場合は羊水検査などの確定検査で確かめる必要があります。ミネルバクリニックのNIPTは、妊娠9週以降は通常どおり、妊娠6〜8週は臨床研究として受けられます。検査前の説明から結果の解釈までを、臨床遺伝専門医が担当します。
参考文献
- [1] Ellegård EK. Clinical and pathogenetic characteristics of pregnancy rhinitis. Clin Rev Allergy Immunol. 2004;26(3):149-159. [DOI]
- [2] Caparroz FA, Gregorio LL, Bongiovanni G, Izu SC, Kosugi EM. Rhinitis and pregnancy: literature review. Braz J Otorhinolaryngol. 2016;82(1):105-111. [DOI]
- [3] あいち小児保健医療総合センター. 妊娠と薬. [PDF]
- [4] 厚生労働省. 医薬品・医療機器等安全性情報 No.392(2022年6月)『妊娠と薬情報センター』における新しい取り組みについて. [厚生労働省]
- [5] Ellegård EK. Pregnancy rhinitis. Immunol Allergy Clin North Am. 2006;26:119-135. [DOI]
- [6] 食品安全委員会. ファクトシート「食品中のカフェイン」. [食品安全委員会]
- [7] 厚生省. 神経管閉鎖障害の発症リスク低減のための妊娠可能な年齢の女性等に対する葉酸の摂取に係る適切な情報提供の推進について(児母第72号・健医地生発第78号, 平成12年12月28日). [厚生労働省]





