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破水のにおいはどんな感じ?生臭い・無臭の理由と尿漏れ・おりものとの見分け方

目次

仲田洋美 医師

この記事の監修:仲田洋美(臨床遺伝専門医)

ミネルバクリニック院長。臨床遺伝専門医として遺伝医療に携わっています。

破水のにおいは「ほとんど無臭」か「ほのかに生臭い・甘いにおい」と表現されることが多く、尿のツンとしたアンモニア臭とは違います。ただし、羊水は透明で尿と見分けにくいこともあり、においだけで破水かどうかを決めることはできません[1]。迷ったときは、かかりつけの分娩施設に電話するのが正しい対応です。結果として尿漏れだったとしても、何の問題もありません。この記事では、羊水がにおう理由、尿漏れやおりものとの見分け方、色の見方、すぐに受診したほうがよいにおいや症状を、医学的な根拠とあわせて解説します。破水したときに家でまずやることは破水したかも?今すぐやることと見分け方にもまとめています。

この記事でわかること
📖 読了時間:約12分
🤰 破水・羊水・尿漏れ・おりもの
★ 臨床遺伝専門医監修

Q. 破水はどんなにおいがしますか?

A. ほとんど無臭か、ほのかに生臭い・甘いようなにおいと感じる人が多く、尿のアンモニア臭とは違います。においの感じ方には個人差があり、においを感じなくても破水していることがあります。腐ったような悪臭、緑色や茶色の液体、鮮やかな出血があるときは、すぐに分娩施設へ連絡してください。

  • ➤破水のにおい → 無臭〜ほのかに生臭い。「精液のよう」「塩素のよう」と表現する人もいる
  • ➤尿漏れとの違い → 尿はアンモニア臭・黄色で、力を入れると止められることが多い
  • ➤おりものとの違い → おりものは粘り気があり、白〜クリーム色で、酸っぱいにおい
  • ➤急いで連絡するサイン → 悪臭・緑や茶色・鮮血・発熱・胎動が減った
  • ➤迷ったら → 湯船に浸からず、ナプキンを当てて時刻をメモし、分娩施設へ電話

1. 破水のにおいはどんな感じ?

破水かどうか迷っている妊婦

破水のにおいは、「においはほとんどない」か「ほのかに生臭い、あるいは甘いようなにおい」と表現されることが多く、尿のようなツンとしたにおいはしないのが一般的です。破水とは、赤ちゃんと羊水を包んでいる卵膜(らんまく)が破れて、中の羊水が腟から流れ出ることを指します。臨月に入ると、下着が濡れているのに気づいて「これは破水なのか、尿漏れなのか、おりものなのか」と迷う人は少なくありません。そのとき、まず手がかりにしやすいのがにおいです。

英国の国民保健サービス(NHS)は、羊水は透明で淡い色をしていること、そして羊水と尿の区別がつきにくいことがある、と妊婦さん向けに説明しています。破水した直後は少し血が混じることもあるとしています[1]。つまり、見た目だけで決めるのは難しく、においや出方などいくつかの手がかりを組み合わせて考えることになります。

多くは無臭か、ほのかに生臭い・甘酸っぱいにおい

破水を経験した人の表現でよく見られるのは、「無臭だった」「少し生臭かった」「甘酸っぱいようなにおいがした」の3つです。どれが正しいということではなく、羊水そのもののにおいが弱いうえに、においの感じ方には個人差があるため、表現がばらつきます。

「生臭い」と表現されることが多いのは、羊水に赤ちゃん由来のたんぱく質や脂質、はがれ落ちた皮膚の細胞などが含まれているためと考えられます(成分については次の章で詳しく説明します)。一方で、羊水の大部分は水なので、量が少なければにおいをほとんど感じないこともあります。

大切なのは、尿のにおいとの違いです。尿は時間がたつとアンモニアのツンとしたにおいが強くなりますが、羊水にはこの特徴がありません。「いつもの尿漏れと違うにおいがする」「尿のにおいがしないのに濡れている」という感覚は、破水を疑うきっかけになります。

「精液のよう」「塩素(ハイター)のよう」と表現する人もいる

破水のにおいは、身近なものに例えて語られることもあります。たとえば「精液のようなにおい」「プールの塩素や漂白剤(ハイター)のようなにおい」といった表現で、検索でも「破水 ハイター」「破水 塩素の匂い」といった言葉が調べられています。

こうした例えは、たんぱく質を含む体液特有のにおいを、日常で知っているにおいに置き換えたものと考えられます。ただし、これらはあくまで個人の感じ方の表現で、「塩素のにおいがすれば破水」「しなければ破水ではない」と判断できるような基準ではありません。においの例えは参考程度にとどめ、後の章で説明する色・量・出方と組み合わせて考えてください。

また、においの例えのなかに「腐ったような」「魚が傷んだような」強い悪臭が含まれる場合は、話が変わります。羊水そのものは本来強いにおいを持たないため、強い悪臭は感染などが起きているサインの可能性があります。これは第5章で詳しく解説します。

においを感じなくても破水は否定できない

「においがしないから破水ではない」とは言えません。においを感じにくくなる理由はいくつかあります。

ひとつは流れ出る量です。子宮口から離れた高い位置で卵膜が破れる高位破水(こういはすい)では、羊水が少しずつしか出ないため、下着やナプキンに付く量がわずかで、においも弱くなります。もうひとつは嗅覚の慣れです。同じにおいを嗅ぎ続けると鼻がそのにおいに順応し、感じにくくなります。さらに、陣痛が始まってから破水した場合は、痛みに気を取られてにおいどころではないこともあります。

一方で、少量ずつでも羊水が出続けているなら、時間がたつほどにおいに気づきやすくなることもあります。最初は無臭に思えたのに、しばらくして生臭さを感じた、という経過もあり得ます。においの有無は「破水らしさ」を判断する材料のひとつにすぎず、迷った時点で連絡してかまいません。

2. 羊水はなぜにおうの?成分から考える

羊水がほのかににおうのは、羊水の多くが赤ちゃんの尿と肺から出る液でできており、そこに赤ちゃん由来のさまざまな物質が溶け込んでいるからです。羊水の成分や役割の全体像は羊水とは?役割・成分・量・色をやさしく解説で詳しく紹介しています。ここでは「においとの関係」に絞って説明します。

羊水の主成分は赤ちゃんの尿と肺から出る液

妊娠のごく初期の羊水は、お母さんの血液から染み出した水分などが中心です。しかし妊娠10週ごろから赤ちゃんの腎臓が尿を作り始め、妊娠中期以降は赤ちゃんの尿が羊水のもっとも大きな供給源になります。さらに、赤ちゃんの肺から分泌される液も羊水の一部になり、多いときには羊水の3分の1ほどを占めると説明されています[2]。羊水の約98%は水と電解質で、残りの2%にたんぱく質の断片(ペプチド)、糖、脂質、ホルモンなどが含まれます[2]。

「羊水の主成分が赤ちゃんの尿なら、尿のにおいがするのでは?」と思うかもしれません。ここで大事なのは、赤ちゃんの尿とお母さんの尿の性質の違いです。おなかの中の赤ちゃんの尿は、老廃物の処理を胎盤を通してお母さんの体に任せているため、薄く、浸透圧の低い「低張(ていちょう)」な尿です。医学書では、胎児尿の浸透圧は1リットルあたり80〜140ミリオスモル程度と、成人の血液よりかなり低く、その影響で妊娠末期の羊水も少しずつ低張になっていくと説明されています[3]。

大人の尿のアンモニア臭は、濃縮された尿の中の尿素が、外に出たあと細菌によって分解されることで強くなります。羊水は赤ちゃんの尿が由来であっても薄く、もともと無菌の袋の中にあるため、尿のようなツンとしたにおいにはなりにくいのです。これが、破水と尿漏れをにおいで区別できることがある理由のひとつです。

💡 用語解説:低張(ていちょう)

液体に溶けている物質の濃さ(浸透圧)が、血液などの体液より低い状態を「低張」といいます。おなかの中の赤ちゃんは老廃物の処理を胎盤に任せているため、尿を濃くする必要がなく、薄い尿を出しています。この薄い尿が羊水の主な材料になるため、羊水は大人の尿のような強いにおいを持ちにくいと考えられます。

胎脂・皮膚の細胞・お母さんが食べたものの成分も混じる

羊水には、赤ちゃんの皮膚からはがれ落ちた細胞や、皮膚を覆っている白いクリーム状の脂「胎脂(たいし)」なども浮かんでいます。妊娠後期の羊水がうっすら白く濁って見えることがあるのは、こうした成分が混ざるためです。たんぱく質や脂質を含むこれらの成分が、「ほのかに生臭い」「甘いような」と表現されるにおいのもとになっていると考えられます。

さらに、お母さんが食べたものの香りの成分が羊水に移ることを示した研究もあります。1995年に米国の研究グループが行った小規模な試験では、妊婦さんがにんにくのカプセルを飲んだあとに採取した羊水を、成人の判定者がにおいで区別できたと報告されています。米国農務省(USDA)の系統的レビューは、この研究を含む文献を検討し、「妊娠中の母親の食事に含まれる風味が羊水に移ることを示す証拠は、限られているが一貫している」と結論づけています[4]。

一方、2024年にドイツのグループが発表した研究では、妊娠中期に羊水検査を受けた妊婦さんの羊水を成人16人が嗅ぎ分けたところ、バニラの香りは一部の人が区別できたものの、にんにくは統計的に意味のある差で区別できませんでした[5]。食べたものの香りが羊水に移ること自体はあり得ると考えられていますが、どの食品でどの程度移るのかは、まだはっきりしていません。少なくとも、破水のにおいが日々の食事で大きく変わって、破水の見分けに影響するという根拠はありません。

💡 用語解説:胎脂(たいし)

胎脂は、おなかの中の赤ちゃんの皮膚を覆っている、白っぽいクリーム状の物質です。皮脂や皮膚の細胞などからできていて、羊水の中で皮膚がふやけるのを防ぐなど、肌を守る役割があると考えられています。妊娠後期になると胎脂の一部が羊水中に混ざり、羊水がわずかに白く濁る原因のひとつになります。

「羊水がシャンプーのにおいになる」は本当?

「市販のシャンプーを使っていると、羊水がシャンプーのにおいになる」という話には、医学的な根拠がありません。この話は、シャンプーなどに含まれる化学物質が皮膚から吸収されて子宮にたまる、という主張とセットで広まってきました。しかし、皮膚につけた香料が羊水に移り、出産時ににおいとして分かるほどたまることを示した研究は見当たりません。

前の項目で紹介したとおり、食べたものの香りの成分が羊水に移るかどうかについてさえ、研究によって結果が分かれています。食べ物の成分は腸から吸収されて血液に入りますが、皮膚は外からの物質が体内に入り込みにくいように、何層もの防御(バリア機能)を備えています。皮膚につけたシャンプーの香料が血液を通って羊水にまで届き、においとして感じられるほど濃くなると考えるのは、科学的に無理があります。

分娩の場で「シャンプーのにおいがした」と感じられることがあったとしても、それは髪や体に残った香り、あるいは寝具やタオルの柔軟剤の香りである可能性のほうがずっと高いでしょう。妊娠中にシャンプーの種類を気にして不安になる必要はありません。

仲田洋美院長

🩺 院長コラム【羊水は赤ちゃんの情報のかたまり】

羊水には、赤ちゃんの尿や肺から出る液だけでなく、赤ちゃんの皮膚などからはがれた細胞も浮かんでいます。この細胞を取り出して染色体を調べるのが羊水検査です。羊水は「におう・におわない」という話題で語られがちですが、臨床遺伝専門医の立場から見ると、赤ちゃんについての情報が詰まった液体でもあります。

シャンプーの話のように、羊水をめぐってはさまざまな情報が出回っています。不安になったときは、その情報が何を根拠にしているのかを確かめることが大切だと考えています。「どこかで聞いた話」よりも、検証された研究や公的機関の説明を手がかりにしてください。

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羊水とは?役割・成分・量・色

3. 破水・尿漏れ・おりものの見分け方(におい・色・量)

破水・尿漏れ・おりものは、においだけでなく「色」「出方と量」「性状(さらさらか粘りがあるか)」「自分で止められるか」の5つを合わせて見ると区別しやすくなります。妊娠後期は、どれも起こりやすい時期です。妊娠中の尿失禁についての系統的レビューとメタ解析では、妊娠中の尿失禁の有病率は全体で41%、妊娠第3三半期(おおむね妊娠28週以降)では34%と推計されています[6]。また、妊娠中におりものが増えるのは正常な変化で、腟から子宮へ感染が上がっていくのを防ぐ役割があると説明されています[7]。破水と紛らわしいものが身近に多いため、特徴を整理しておくと迷ったときの助けになります。

においと色・量・性状・止められるかの比較表

📘 破水・尿漏れ・おりものの見分け方(5つのポイント)

項目 破水(羊水) 尿漏れ おりもの
におい 無臭〜ほのかに生臭い・甘いにおい アンモニアのツンとしたにおい 無臭〜少し酸っぱいにおい
色 透明〜うすい乳白色。少し血が混じりピンクになることも うすい黄色〜黄色 透明〜白、クリーム色
出方・量 ドッと出る、またはチョロチョロ出続ける くしゃみ・咳・立ち上がるときなどに少量 下着やシートに付く程度
性状 水のようにさらさら 水のようにさらさら とろみ・粘り気がある
止められるか 力を入れても止められない 力を入れると止められることが多い 意識して止めるものではない

※あくまで目安です。尿と羊水が混ざる、少量でにおいが分からないなど、この表だけで判断できない場合も少なくありません[1]。迷ったら分娩施設へ連絡してください。

表のなかで、とくに役立ちやすいのが「止められるか」という点です。尿漏れは、骨盤の底の筋肉(骨盤底筋)に力を入れると止められることが多いのに対し、破水は自分の意志とは関係なく出てきます。トイレで排尿を済ませたあとにナプキンを当てて横になり、しばらくして起き上がったときに、またさらさらした液体が流れ出てくるようなら、破水の可能性が高くなります。

ただし、これらの特徴は「重なりやすい」ことも知っておいてください。たとえば、破水した羊水が尿と混ざれば尿のにおいがしますし、少量の破水はおりものに紛れてしまいます。比較表は、迷ったときに「どちらに近いか」を考える材料として使い、最終的な判断は医療機関に任せるのが安全です。

尿漏れとの見分け方:アンモニア臭・黄色・止められるか

妊娠中に「尿がチョロチョロ漏れる」と感じたとき、アンモニアのにおいがして、色が黄色っぽく、力を入れると止まるなら、尿漏れの可能性が高いと考えられます。妊娠後期は、大きくなった子宮が膀胱を圧迫し、さらに妊娠による骨盤底の変化も加わるため、くしゃみや咳、笑ったとき、重いものを持ったときなどに尿が漏れやすくなります。先に紹介したメタ解析の数字のとおり、妊娠後期の妊婦さんのおよそ3人に1人が尿失禁を経験していると推計されており[6]、決してめずらしいことではありません。

一方、羊水はアンモニア臭がなく、透明かうすい乳白色で、腹圧と関係なく流れてきます。とくに注意したいのは、「くしゃみをしたら漏れた」という尿漏れらしい場面でも、実際には破水だったということがあり得る点です。漏れたあとも液体がしばらく出続ける、においが尿と違う、と感じたら、尿漏れと決めつけずに連絡してください。

見分けるときは、ナプキンや下着についた液体を明るいところで確認するとよいでしょう。白いナプキンなら色が分かりやすく、においも確かめやすくなります。乾いたあとに黄色いシミが残れば尿の可能性が、ほとんど跡が残らなければ羊水の可能性が考えられますが、これも確実な方法ではありません。

おりものとの見分け方:酸っぱいにおい・粘り・白〜クリーム色

おりものは、とろみや粘り気があり、白〜クリーム色で、においはないか少し酸っぱい程度です。NHSは、健康なおりものは通常うすく、透明か乳白色で、不快なにおいはしないと説明しています。そして、不快なにおいや変なにおいがする、緑色や黄色になった、かゆみや痛みがある、といった変化があれば助産師に連絡するよう勧めています[7]。

おりものが酸っぱいにおいになるのは、腟の中が乳酸桿菌(にゅうさんかんきん)という善玉菌によって弱酸性に保たれているためです。羊水は弱アルカリ性で、この性質の違いは病院での破水の確認にも利用されています(第6章で説明します)。

ただし、妊娠後期のおりものは量が増えて水っぽくなることもあり、少量の破水と区別がつきにくい場面があります。また、お産が近づくと、ピンク色を帯びたゼリー状の粘液(おしるし)が出ることもあります[7]。高位破水とおりものの見分け方は、破水とおりものの違いで妊娠時期ごとに詳しく解説しています。

💡 用語解説:おしるし

おしるしは、お産が近づいて子宮の出口(子宮頸管)が柔らかくなり、開き始めるときに出る、血の混じった粘液のことです。ピンク色や茶色を帯びたゼリー状のものが少量出るのが典型的で、さらさらと流れ続ける破水とは性状が違います。おしるしがあってもすぐにお産になるとは限らず、数日たってから陣痛が始まることもあります。

少量がチョロチョロ続くなら高位破水も考える

少量の水っぽい液体が、止まったり出たりしながら続く場合は、高位破水の可能性を考えてください。高位破水は、子宮口から離れた高い位置で卵膜が破れる破水で、破れ目が赤ちゃんの体で押さえられることもあるため、羊水が一気に出ず、少しずつ漏れ出ます。量が少ないため、においも弱く、尿漏れや水っぽいおりものと間違えられやすいのが特徴です。

「においで分かるはず」と考えていると、高位破水は見逃しやすくなります。においがはっきりしなくても、いつもと違う水っぽい液体が何度も出る、ナプキンが何度も湿る、という経過があれば、それ自体が連絡する理由になります。高位破水の特徴や原因は高位破水とは?尿漏れとの見分け方、原因や対処法で詳しく説明しています。

4. 破水の色は?透明・ピンクはよくある、緑・茶・赤は急いで受診

正常な羊水の色は、透明からうすい乳白色です。少量の血が混じってピンク色になることはよくありますが、緑色・茶色・黄土色、あるいは赤い血が続くときは、すぐに分娩施設へ連絡してください。NHSは、羊水は透明で淡い色をしており、破水した直後は少し血が混じることがあると説明しています。そのうえで、羊水がにおう、色がついている、出血がある場合は、お母さんと赤ちゃんに急いで対応が必要な可能性があるため、ただちに助産師に伝えるよう案内しています[1]。

透明〜うすい乳白色

正常な羊水の色です。妊娠後期は胎脂などが混じり、わずかに白く濁って見えることがあります。

うすいピンク・うすい茶色

おしるしなど少量の血が混じった色です。量が少なく、増えていかなければ、よく見られる変化です。

緑色・黄土色・茶色

赤ちゃんの便(胎便)が混じった可能性があります。量にかかわらず、すぐに分娩施設へ連絡してください。

赤い・鮮血が続く

羊水以外の出血の可能性があります。腹痛やおなかの張りを伴う場合はとくに急いで連絡してください。

透明〜うすい乳白色が基本

羊水は約98%が水と電解質でできており、もともと透明な液体です[2]。妊娠後期になると、赤ちゃんの皮膚からはがれた細胞や胎脂が混じるため、うっすら白く濁って見えることがあります。ナプキンや下着に付くと色が分かりにくいことも多いので、確認するときは白いナプキンを使い、明るい場所で見るのがおすすめです。

尿は、うすい黄色から黄色をしていることが多いので、色の違いが手がかりになることがあります。ただし、水分を多くとっているときの尿はほぼ透明になりますし、羊水と尿が混ざることもあります。「透明だから破水」「黄色っぽいから尿」と決めつけず、においや出方と合わせて考えてください。

羊水がわずかに黄色みを帯びて見えることもありますが、黄色が濃い、あるいは緑がかって見える場合は、次に説明する胎便の混入を考える必要があります。色の判断に自信が持てないときは、「透明っぽい」「少し黄色い」「ピンクっぽい」など、見たままの印象を電話で伝えれば十分です。

ピンク・うすい茶色はおしるしの血が混じることがある

お産が近づくと、子宮の出口がやわらかくなる過程で少量の出血が起こり、おしるしとして出てくることがあります。破水のときにこの血が混じると、羊水がうすいピンク色やうすい茶色に見えます。NHSも、破水した直後は羊水に少し血が混じることがあると説明しています[1]。

ただし、「ピンクや茶色ならおしるしだから大丈夫」と考えるのは危険です。液体の色がピンクから赤へと濃くなっていく、量が増えていく、腹痛やおなかの張りがある、といった場合は、おしるしではなく出血の可能性があります。おしるしは少量で、時間とともに増えていくものではありません。判断に迷う色のときも、連絡して状況を伝えてください。

緑色・黄土色は胎便が混じった羊水(羊水混濁)

羊水が緑色や黄土色、茶色に濁って見えるときは、赤ちゃんがおなかの中で便(胎便)を出した可能性があります。胎便が混じった羊水は「羊水混濁(ようすいこんだく)」と呼ばれます。MSDマニュアルによると、胎便が羊水に混じるのは出生の約10〜15%で、満期や予定日を過ぎた赤ちゃんでは正常な成熟の過程として起こることもある一方、子宮の中で赤ちゃんにストレスがかかったときにも起こります[8]。

胎便が混じった羊水を赤ちゃんが生まれる前後に吸い込むと、呼吸に問題が起こる「胎便吸引症候群(たいべんきゅういんしょうこうぐん)」につながることがあります。胎便が羊水に出た赤ちゃんのうち、実際に吸い込んで症状が出るのは約5%と報告されています[8]。多くは問題なく経過しますが、赤ちゃんの状態を早めに確認する必要があるため、緑色や茶色の液体に気づいたら、量が少なくてもすぐに連絡してください。

💡 用語解説:羊水混濁(ようすいこんだく)

羊水混濁とは、赤ちゃんがおなかの中で出した便(胎便)が羊水に混じり、羊水が緑色や黄土色、茶色に濁った状態のことです。胎便は、赤ちゃんが羊水を飲み込んで腸にたまった物質などからできた、黒っぽい緑色の便です。満期や予定日を過ぎた赤ちゃんでは成熟にともなって出ることもありますが、赤ちゃんにストレスがかかったサインのこともあるため、気づいたら分娩施設に伝える必要があります。

赤い液体や鮮血が続くときは別の出血を考える

赤い液体が出る、鮮やかな出血が続く、という場合は、破水やおしるしではなく、胎盤など別の場所からの出血の可能性を考えて、すぐに連絡してください。注意が必要な病気のひとつが「常位胎盤早期剥離(じょういたいばんそうきはくり)」です。これは、赤ちゃんが生まれる前に胎盤が子宮の壁からはがれてしまう状態で、MSDマニュアルでは全妊娠の0.4〜1.5%に起こる産科の緊急事態とされています[9]。

常位胎盤早期剥離の主な症状は、子宮の痛みや押したときの痛み(圧痛)と性器出血です。一方で、暗い褐色の少量の出血が続くだけのこともあり、症状がないか軽い場合もあるとされています[9]。「出血の量が少ないから大丈夫」とは言えないのはこのためです。おなかの痛みや張りが続いて治まらない、胎動が減ったといった症状があれば、出血の量にかかわらず急いで連絡してください。病気の詳しい解説は常位胎盤早期剥離とは?にまとめています。

💡 用語解説:常位胎盤早期剥離(じょういたいばんそうきはくり)

正常な位置についている胎盤が、赤ちゃんが生まれる前に子宮の壁からはがれてしまう状態です。胎盤は赤ちゃんに酸素や栄養を届けているため、はがれると赤ちゃんに酸素が届きにくくなり、お母さんにも大量の出血が起こることがあります。腹痛、おなかの張りや硬さ、性器出血が典型的な症状で、診断がついた場合は急いで対応が必要になることがあります。

5. こんなにおい・症状があればすぐ受診

破水に気づいたとき、または破水かもしれないと思ったときに、強い悪臭、発熱、おなかの痛み、胎動の減少のいずれかがあれば、時間帯にかかわらずすぐに分娩施設へ連絡してください。羊水はもともと強いにおいを持たない液体です。そのため、においの「変化」は、羊水の中や子宮の中で何かが起きていることを知らせる大事なサインになります。NHSも、腟から出てくる液体の色やにおいが変わった場合や、赤ちゃんの動きがいつもより少ない場合は、ただちに助産師に伝えるよう案内しています[1]。

🚨 すぐに分娩施設へ連絡したいサイン

・腐ったような、膿のような強い悪臭がする
・羊水が緑色、黄土色、茶色に濁っている
・赤い液体や鮮血が出る、出血が増えていく
・発熱や寒気がある
・おなかの痛みや張りが続く、子宮のあたりを押すと痛い
・胎動がいつもより少ない、弱い
・赤ちゃんの手足やへその緒が腟から出てきた感じがある

腐ったような悪臭・膿のようなにおいは子宮内感染の可能性

羊水やおりものから、腐ったような、膿のような強い悪臭がする場合は、子宮の中で細菌感染が起きている可能性があります。この感染は「羊膜内感染(ようまくないかんせん)」、または「絨毛膜羊膜炎(じゅうもうまくようまくえん)」と呼ばれます。赤ちゃんを包む膜や羊水に細菌が入り込んで起こる感染で、お母さんにも赤ちゃんにも影響が及ぶことがあります。

メルクマニュアル(MSDマニュアルの英語版)は、羊膜内感染の典型的な症状・徴候として、発熱、子宮の圧痛、悪臭のある羊水、子宮の出口からの膿のような分泌物、お母さんや赤ちゃんの心拍数の増加(頻脈)を挙げています。危険因子としては、お産の18〜24時間以上前からの破水の持続、早産、羊水への胎便の混入、破水後に何度も内診を受けることなどが示されています[10]。

ここで強調しておきたいのは、悪臭がなくても感染が否定できるわけではない、という点です。感染の初期にはにおいの変化がはっきりしないこともあります。逆に、腟の常在菌のバランスが乱れる細菌性腟症など、羊水とは関係のない原因でおりものがにおうこともあります。どちらの場合も、においの変化に気づいたら自分で判断せずに連絡し、診察で確かめてもらうことが大切です。

💡 用語解説:絨毛膜羊膜炎(じゅうもうまくようまくえん)

赤ちゃんと羊水を包んでいる膜(絨毛膜と羊膜)や羊水に、細菌が感染して炎症が起こる状態です。近年は「羊膜内感染(Intraamniotic infection)」という呼び方も使われます。多くは腟や子宮の出口にいる細菌が上がってくることで起こり、破水してから時間がたつほど起こりやすくなります。発熱や子宮の圧痛、悪臭のある羊水などが手がかりになり、診断されると抗菌薬による治療や、お産を進める対応がとられます。

発熱・おなかの痛みや張り・胎動の減少

においのほかにも、破水と一緒に現れたら急いで連絡したい症状があります。代表的なのは、発熱、子宮のあたりの痛みや圧痛、そして胎動の減少です。発熱と子宮の圧痛は、前の項目で説明した羊膜内感染の典型的な徴候です[10]。

胎動の減少は、赤ちゃんの元気さを知る大事な手がかりです。破水すると赤ちゃんを守るクッションである羊水が減るため、へその緒が圧迫されやすくなるなど、赤ちゃんの状態が変わることがあります。「さっきまでよく動いていたのに、急に動きを感じなくなった」「いつもより明らかに少ない」と感じたら、破水しているかどうかにかかわらず、すぐに連絡してください[1]。胎動の受診の目安は胎動が少ない日が心配な方へでも解説しています。

また、まれではありますが、破水と同時に、へその緒や赤ちゃんの手足が腟から出てくる、あるいは何かが出てきたような感覚があるときは、一刻を争う状態の可能性があります。このときは迷わず救急車を呼び、分娩施設にも連絡してください。

破水から時間がたつほど感染リスクが上がる

破水してから時間がたつほど、子宮内の感染が起こる危険性は高くなります。米国産科婦人科学会(ACOG)の診療指針(Practice Bulletin No.217)は、満期の前期破水でお母さんに起こるもっとも重要な問題は子宮内の感染で、そのリスクは破水している時間が長くなるほど高まると述べています[11]。陣痛が始まる前に破水する前期破水は、満期の妊娠のおよそ8%、37週未満の早産期の破水は全妊娠の約2〜3%に起こるとされています[11]。

卵膜は、赤ちゃんを腟の細菌から守る壁の役割をしています。破水するとこの壁に穴があき、腟と子宮の中がつながった状態になるため、時間とともに細菌が入り込みやすくなります。においで判断がつかないまま様子を見る時間が長くなるほど、このリスクも積み重なっていきます。

「破水かどうか分からないから、もう少し様子を見よう」と考える気持ちは自然なものです。けれども、においや色ではっきりしないときこそ、早めに連絡して確かめてもらうほうが安全です。高位破水に気づかないまま過ごした場合に起こり得ることは、高位破水に気づかないまま過ごした場合で、前期破水と感染の関係は前期破水とは?で詳しく解説しています。

6. 破水かもと思ったら 家ですること・病院での確かめ方

破水かもしれないと気づいて分娩施設に電話する妊婦

破水かもしれないと思ったら、湯船には浸からず、清潔なナプキンを当てて時刻をメモし、かかりつけの分娩施設に電話してください。においや色で迷う段階でも、連絡してかまいません。なお、ミネルバクリニックは分娩を扱っていないため、破水の診察は行っていません。破水かどうかの確認は、出産を予定している医療機関で受けてください。

ナプキンを当てる湯船・シャワーは控える
▶
時刻と様子をメモ色・におい・量・胎動
▶
分娩施設に電話迷った段階でよい
▶
指示に従って受診移動は車・タクシーで

湯船・シャワーは控え、清潔なナプキンを当てて分娩施設へ電話

破水している場合、卵膜に穴があいて、腟と子宮の中がつながった状態になっています。湯船に浸かると、お湯と一緒に細菌が入り込むおそれがあるため、避けてください。シャワーも、分娩施設の指示が出るまでは控えておくのが無難です。

流れ出る羊水は、清潔なナプキンや大きめの産褥(さんじょく)パッドで受け止めます。タンポンのように腟の中に入れるものは使わないでください。白いナプキンを使うと、羊水の色やにおいを確認しやすくなります。量が多いときは、清潔なバスタオルを当てておくとよいでしょう。

電話をするときは、慌てて内容がまとまらないこともあるので、次の項目で説明する情報をメモしておくとスムーズです。受診の指示が出た場合は、自分で運転せず、家族の車や陣痛タクシーなどで移動してください。破水したらまずやることの全体は破水したかも?今すぐやることと見分け方にまとめています。

電話で伝えること

分娩施設に電話をするときは、次の内容を伝えると、受診が必要かどうか、どのくらい急ぐかを判断してもらいやすくなります。

📞 電話で伝える内容のメモ

伝えること 具体例
妊娠週数 「いま38週2日です」
気づいた時刻 「夜11時ごろ、下着が濡れているのに気づきました」
量と出方 「ドッと出た」「少しずつ何度も出ている」
色 「透明」「少しピンク」「緑っぽい」
におい 「においはない」「少し生臭い」「強い嫌なにおい」
陣痛・おなかの張り 「まだない」「10分おきに張る」
胎動 「いつもどおり動いている」「少ない気がする」
発熱・その他 「熱はない」「寒気がある」「出血がある」

※妊婦健診で指摘されている注意事項(逆子、前置胎盤、B群溶血性レンサ球菌の保菌など)があれば、あわせて伝えてください。

病院ではこうして確かめる

病院では、腟の中に羊水がたまっているかを直接確認し、液体の性質を調べる検査を組み合わせて、破水かどうかを判断します。ACOGの診療指針によると、標準的な確認方法は、腟鏡(ちつきょう)という器具で腟の中を見て、子宮の出口から羊水が流れ出て腟の奥にたまっている様子を確認すること、腟の液体のpH(酸性かアルカリ性か)を調べること、乾かした液体を顕微鏡で見てシダの葉のような結晶(シダ状結晶)ができるかを確認すること、の組み合わせです[11]。

pHを調べる検査は、おりものと羊水の性質の違いを利用しています。腟の中の液体はふだんpH3.8〜4.5程度の酸性ですが、羊水はpH7.1〜7.3程度の弱アルカリ性です[11]。このため、試験紙が羊水に触れるとアルカリ性を示す色に変わります。家庭で使われることがある「リトマス紙」の話も、この性質に基づいています。

ただし、この検査には限界があります。ACOGは、血液や精液、アルカリ性の消毒薬、一部の潤滑剤、トリコモナス腟炎や細菌性腟症があると、破水していなくてもアルカリ性と出ること(偽陽性)があり、逆に破水から時間がたって残っている羊水が少ないと、破水していても陰性と出ること(偽陰性)があると説明しています[11]。また、羊水に含まれるたんぱく質を検出する検査キットもありますが、ACOGは、膜が破れていない人で19〜30%の偽陽性が報告されていることや、米国食品医薬品局(FDA)がこうした検査だけに頼ることに注意を呼びかけたことを紹介し、診察などと組み合わせて判断するよう求めています[11]。

家庭でリトマス紙などを使って自分で判断するのはおすすめできません。尿や血液、おりものの状態によって結果が変わりやすく、「陰性だったから大丈夫」と様子を見てしまうと、受診が遅れるおそれがあるからです。必要に応じて超音波検査で羊水の量を確認することもあり、こうした結果を総合して判断するのは医療機関の役割です。

💡 用語解説:シダ状結晶(ファーニング)

羊水をスライドガラスに取って乾かすと、含まれている塩分やたんぱく質の働きで、シダ植物の葉のような枝分かれした結晶ができます。これを顕微鏡で確認する方法を「シダ状結晶テスト(ファーンテスト)」といいます。ふつうのおりものでは典型的なシダ状の結晶はできにくいため、破水の確認に使われます。pH検査や腟鏡での観察と組み合わせて判断します。

「尿漏れだったら恥ずかしい」は気にしなくてよい

破水だと思って連絡したら尿漏れだった、ということはまったく問題ありません。NHSも、羊水と尿の区別は難しいことがあると説明しています[1]。妊婦さん自身がにおいや見た目で正確に見分けられないのは当然のことで、だからこそ病院には破水を確かめるための検査があります。

分娩施設のスタッフにとって、破水かどうかの問い合わせは日常的な業務の一部です。尿漏れだと分かれば、それは「破水ではなかった」という大切な確認になります。反対に、破水に気づかないまま時間がたつと、第5章で説明したように感染のリスクが積み重なっていきます。恥ずかしさや遠慮から連絡をためらうよりも、早めに確認してもらうほうが、お母さんにとっても赤ちゃんにとってもずっとよい選択です。

夜中や早朝で連絡しにくいと感じることもあるでしょう。破水は時間帯を選ばずに起こるため、健診のときに、破水かもしれないと思ったときの連絡先と、夜間・休日の連絡方法をあらかじめ確認しておくと、いざというときに迷わずに済みます。

仲田洋美院長

🩺 院長コラム【においで「決めない」ことが大切】

破水のにおいを調べる方の多くは、「これが破水なら病院に行く、違うなら行かない」という判断の材料を探しているのだと思います。ただ、この記事で説明してきたとおり、においは個人差が大きく、少量の破水では感じられないこともあり、においだけで破水かどうかを決めることはできません。

私は、においは「連絡するきっかけ」として使うのがよいと考えています。いつもと違うにおいや液体に気づいたら、その時点で分娩施設に電話をして、判断は検査のできる医療機関に任せてください。結果が尿漏れだったとしても、それは確認ができたという意味のある結果です。

破水したあとの流れ

破水が確認されたあとの流れは、妊娠週数やお母さんと赤ちゃんの状態によって変わります。妊娠37週以降の満期であれば、多くの場合はそのまま入院し、陣痛が始まるのを待つか、陣痛を促す処置(分娩誘発)を行います。MSDマニュアルによると、満期の前期破水では90%を超える人で24時間以内に陣痛が始まります[12]。NHSも、破水から24時間以内に陣痛が始まるのが一般的で、始まらない場合は、羊水がないことで赤ちゃんの感染のリスクがわずかに高まるため、分娩誘発を勧めると説明しています[1]。

一方、37週より前の早産期に破水した場合は、赤ちゃんの成熟の度合いと感染のリスクのバランスを考えながら、抗菌薬の投与や、赤ちゃんの肺の成熟を促す薬の投与などを検討します[12]。どの対応をとるかは、分娩施設で週数や検査結果をもとに判断されます。

破水と陣痛のどちらが先に来るのか、破水から出産までどのくらい時間がかかるのか、陣痛を待つ間をどう過ごせばよいのかは、お産は破水と陣痛どっちが先?出産までの時間や陣痛待ちの過ごし方で詳しく解説しています。

\ 次の妊娠や妊娠初期の検査について知っておきたい方へ /

🧬 NIPT(新型出生前診断)とは

※当院では破水の診察・分娩は行っていません

7. よくある質問

Q1. 破水のにおいは酸っぱいですか?

破水のにおいを「甘酸っぱい」と表現する人はいますが、多くは無臭か、ほのかに生臭いにおいと感じられます。はっきりとした酸っぱいにおいは、むしろおりものの特徴です。おりものは腟の中が弱酸性に保たれているため、少し酸っぱいにおいがします。においだけでは区別がつかないことも多いので、さらさらした液体が止められずに出てくる場合は、においにかかわらず分娩施設に連絡してください。

Q2. 無臭なら破水ではないと考えてよいですか?

いいえ、無臭でも破水していることがあります。羊水はもともとにおいが弱く、量が少ない高位破水ではにおいをほとんど感じないこともあります。また、同じにおいを嗅ぎ続けると鼻が慣れて感じにくくなります。においがなくても、水っぽい液体が何度も出る、止められない、という場合は連絡してください。

Q3. 高位破水もにおいでわかりますか?

高位破水は流れ出る羊水の量が少ないため、においで気づくのは難しいことが多いです。においよりも、少量の水っぽい液体が止まったり出たりしながら続く、ナプキンが何度も湿る、といった出方のほうが手がかりになります。においで判断しようとせず、いつもと違う液体が続くときは分娩施設に連絡してください。

Q4. 妊娠中期に水っぽいものが出て、においが気になるときは?

妊娠中期は、おりものが増えて水っぽく感じることがよくあります。ただし、37週より前の破水は早産や感染につながることがあるため、さらさらした液体が止められずに出る、何度も出る場合は、週数にかかわらずすぐに産科へ連絡してください。おりもののにおいが強い、色が緑や黄色に変わった、かゆみがあるという場合も、腟の感染症の可能性があるので、早めに健診先に相談してください。

Q5. 破水かと思って電話したら尿漏れでした。迷惑だったでしょうか?

迷惑ではありません。羊水と尿は見分けにくいことがあり、妊婦さん自身が正確に判断できないのは当然のことです。病院では検査で確認できるので、迷ったら連絡することが正しい対応です。尿漏れだと確認できたことにも意味があります。次に同じようなことがあっても、ためらわずに連絡してください。

Q6. ミネルバクリニックで破水かどうか診てもらえますか?

いいえ、ミネルバクリニックは分娩を扱っていないため、破水の診察は行っていません。この件についてのご予約・お問い合わせもお受けしていません。破水かもしれないと思ったときは、出産を予定しているかかりつけの分娩施設へ連絡してください。当院では、NIPT(新型出生前診断)などの出生前検査や遺伝に関する診療を行っています。

8. まとめ

破水のにおいは、ほとんど無臭か、ほのかに生臭い・甘いようなにおいと感じられることが多く、尿のツンとしたアンモニア臭とは違います。羊水の主な材料は赤ちゃんの薄い尿と肺から出る液で、そこに赤ちゃんの皮膚の細胞や胎脂が混じるため、強いにおいは持たないものの、ほのかなにおいを感じることがあります。「羊水がシャンプーのにおいになる」という話には医学的な根拠がありません。

尿漏れやおりものと見分けるときは、におい・色・出方と量・性状・止められるかの5つを合わせて見てください。正常な羊水は透明からうすい乳白色で、少量の血が混じってピンクになることもあります。一方、腐ったような悪臭、緑色や茶色の液体、赤い出血、発熱、おなかの痛み、胎動の減少は、感染や赤ちゃんのストレス、胎盤の異常などのサインの可能性があるため、すぐに分娩施設へ連絡してください。

そして何より、においは「破水かどうかを決める基準」ではなく「連絡するきっかけ」です。においを感じなくても破水していることがあり、破水から時間がたつほど感染のリスクは高まります。迷ったら湯船に浸からず、ナプキンを当てて時刻をメモし、分娩施設に電話してください。尿漏れだったとしても、それは確認できたという意味のある結果です。

🧬 妊娠中の赤ちゃんの染色体について知りたい方へ

ミネルバクリニックは分娩を扱っていないため、破水の診察は行っていません。破水かもしれないときは、かかりつけの分娩施設へ連絡してください。
当院は臨床遺伝専門医が診療する遺伝医療の専門クリニックで、妊娠初期に受けられるNIPT(新型出生前診断)をはじめとする出生前検査と、検査前後の遺伝カウンセリングを行っています。次の妊娠を考えている方、いま妊娠初期の方は、検査でわかること・わからないことを確認したうえでご検討ください。

参考文献

  • [1] Signs that labour has begun. NHS (National Health Service). Page last reviewed: 9 November 2023. [NHS]
  • [2] Fitzsimmons ED, Bajaj T. Embryology, Amniotic Fluid. StatPearls. Treasure Island (FL): StatPearls Publishing; updated 2023 Jul 17. [NCBI Bookshelf]
  • [3] Fischer RL. Amniotic Fluid: Physiology and Assessment. The Global Library of Women’s Medicine (GLOWM). [GLOWM]
  • [4] What is the relationship between maternal diet during pregnancy on flavor transfer to amniotic fluid, children’s behavioral response, and dietary intake? USDA Nutrition Evidence Systematic Review. 2019. [NCBI Bookshelf]
  • [5] Gellrich J, Breidel P, Birdir C, Lohrer EC, Schriever VA. Smelling of the mothers’ diet in amniotic fluid by adult noses. Chemical Senses. 2024. doi:10.1093/chemse/bjae003 [Chemical Senses]
  • [6] Moossdorff-Steinhauser HFA, Berghmans BCM, Spaanderman MEA, Bols EMJ. Prevalence, incidence and bothersomeness of urinary incontinence in pregnancy: a systematic review and meta-analysis. International Urogynecology Journal. 2021;32:1633-1652. doi:10.1007/s00192-020-04636-3 [PubMed]
  • [7] Vaginal discharge in pregnancy. NHS (National Health Service). Page last reviewed: 17 April 2024. [NHS]
  • [8] 胎便吸引症候群. MSDマニュアル プロフェッショナル版. 2023年7月改訂. [MSDマニュアル]
  • [9] 常位胎盤早期剥離. MSDマニュアル プロフェッショナル版. [MSDマニュアル]
  • [10] Moldenhauer JS. Intraamniotic Infection. Merck Manual Professional Version. 2024. [Merck Manual]
  • [11] Prelabor Rupture of Membranes: ACOG Practice Bulletin, Number 217. Obstetrics & Gynecology. 2020. PMID: 33093409 [PubMed]
  • [12] 前期破水. MSDマニュアル プロフェッショナル版. 2024年3月レビュー. [MSDマニュアル]

プロフィール
仲田洋美 医師(臨床遺伝専門医)

この記事の監修・執筆者:仲田 洋美

(臨床遺伝専門医/がん薬物療法専門医/総合内科専門医)

ミネルバクリニック院長。1995年に医師免許を取得後、
臨床遺伝学・内科学・腫瘍学を軸に診療を続けてきました。
のべ10万人以上のご家族の意思決定と向き合ってきた臨床遺伝専門医です。

出生前診断(NIPT・確定検査・遺伝カウンセリング)においては、
検査結果の数値そのものだけでなく、
「結果をどう受け止め、どう生きるか」までを医療の責任と捉え、
一貫した遺伝カウンセリングと医学的支援を行っています。

ハイティーンの時期にベルギーで過ごし、
日本人として異文化の中で生活した経験があります。
価値観や宗教観、医療への向き合い方が国や文化によって異なることを体感しました。
この経験は現在の診療においても、
「医学的に正しいこと」と「その人にとって受け止められること」の両立を考える姿勢の基盤となっています。

また、初めての妊娠・出産で一卵性双生児を妊娠し、
36週6日で一人を死産した経験があります。
その出来事は、妊娠・出産が女性の心身に与える影響の大きさ、
そして「トラウマ」となり得る体験の重みを深く考える契機となりました。
現在は、女性を妊娠・出産のトラウマから守る医療を使命の一つとし、
出生前診断や遺伝カウンセリングに取り組んでいます。

出生前診断は単なる検査ではなく、
家族の未来に関わる重要な意思決定です。
年齢や統計だけで判断するのではなく、
医学的根拠と心理的支援の両面から、
ご家族が後悔の少ない選択をできるよう伴走することを大切にしています。

日本人類遺伝学会認定 臨床遺伝専門医/日本内科学会認定 総合内科専門医/
日本臨床腫瘍学会認定 がん薬物療法専門医。

2025年には APAC地域における出生前検査分野のリーダーとして国際的評価を受け、
複数の海外メディア・専門誌で特集掲載
されました。

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