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妊娠初期に腟から出る「水っぽいもの」の多くは、おりものや尿です。妊娠初期の破水はまれですが、まったく起こらないわけではありません。見分ける手がかりは、色・におい・自分で止められるかどうかの3つです。ただし自己判断には限界があるため、出血や腹痛を伴うとき、水っぽいものが流れ続けるときは、すぐにかかりつけの産婦人科に連絡してください。この記事では、破水の原因、妊娠初期の破水の見分け方、病院での検査、妊娠初期に破水した方の体験談を紹介します。
Q. 妊娠初期に水っぽいものが出たら破水ですか?
A. 妊娠初期の破水はまれで、多くは妊娠で増えたおりものか尿です。羊水は無色透明〜淡い黄色で、においはほとんどないか独特の生臭さがあり、自分の意志では止められません。ただし見た目だけで確実に見分けることはできません。出血や腹痛を伴う、流れ続けるといった場合は、かかりつけの産婦人科に連絡してください。
- ➤妊娠初期の破水 → まれ。水っぽいものの多くはおりものや尿
- ➤見分ける手がかり → 色・におい・自分で止められるか
- ➤病院での検査 → 腟の分泌物のpH(アルカリ性かどうか)、羊水に含まれるたんぱく質の検査、内診や超音波
- ➤すぐ連絡 → 出血・腹痛がある、水っぽいものが流れ続ける、においや色がいつもと違う
破水の原因とは

破水とは、赤ちゃんと羊水を包んでいる膜(卵膜)が破れて、羊水が腟から流れ出ることです。破水そのものの基本や、破水したときの対応は破水とはで詳しく解説しています。
陣痛が始まる前に破水することを前期破水といい、そのうち妊娠37週未満で起こるものを早産期の前期破水(preterm PROM)と呼びます。米国産科婦人科学会(ACOG)の診療指針は、早産期の前期破水に関係する因子として、前回の妊娠での早産期の前期破水、子宮頸管が短いこと、妊娠中の出血、やせ(低いBMI)、喫煙などを挙げています。一方で、破水ははっきりした原因がないまま起こることも多いとされています[1]。また、子宮の中の感染(絨毛膜羊膜炎など)は、早い週数の破水と結びつきやすいことが知られています[1]。
📅 破水と妊娠週数の関係(用語の整理)
| 用語 | 時期・意味 |
|---|---|
| 妊娠初期 | 妊娠13週6日まで |
| 流産 | 妊娠22週未満で妊娠が終わること |
| 早産 | 妊娠22週0日〜36週6日の出産 |
| 正期産 | 妊娠37週0日〜41週6日の出産 |
| 前期破水 | 陣痛が始まる前に破水すること。37週未満のものを早産期の前期破水という |
※妊娠初期の破水は、週数でいえば「流産」の時期に起こる破水にあたります。
破水というと出産間近に起こるイメージがありますが、妊娠初期に破水が起こることはまれです。妊娠初期は羊水の量がまだ少なく、腟から出てくる水っぽいものの多くは、妊娠で増えたおりものや尿です。
妊娠初期に心配されるのは、破水そのものよりも流産です。英国の国民保健サービス(NHS)は、流産の主な症状として腟からの出血を挙げ、下腹部の痛みやけいれんのような痛み、腟から急に液体が出てくることも症状になりうると説明しています[3]。妊娠初期の流産は、多くが妊娠そのものの育ち方の問題によって起こるもので、お母さんの行動が原因になることはほとんどありません[3]。出血や腹痛を伴う場合は、破水かどうかにかかわらず、すぐにかかりつけの産婦人科に連絡してください。妊娠初期の出血については妊娠初期の出血で解説しています。
妊娠初期の破水の見分け方

妊娠中は、おりものが増えるのがふつうです。NHSは、妊娠中におりものが増えるのは正常で、健康なおりものは薄く、透明〜乳白色で、いやなにおいはしないと説明しています[2]。また、妊娠初期は子宮が膀胱を押すため頻尿になりやすく、少量の尿漏れを水っぽいものと感じることもあります。
破水というと、勢いよく羊水が流れ出すイメージがありますが、卵膜の子宮口から離れた位置が破れる「高位破水」では、少しずつしか出ないこともあります。おりものや尿と区別しにくいときに手がかりになるのが、次の3つです。破水とおりものの違いは破水とおりものの違いでも詳しく解説しています。
色
羊水は、無色透明〜淡い黄色のさらっとした液体です。血液が混じると、薄いピンク色〜赤っぽく見えることがあります。尿は黄色っぽく、おりものは透明〜乳白色で、とろみがあるのがふつうです。
出血が多く真っ赤になっている場合や、腹痛を伴う場合は、切迫流産や流産が始まっている可能性があります。破水かどうかを見分けるよりも先に、すぐにかかりつけの産婦人科に連絡してください。また、おりものが黄色や緑色をしている、かゆみや痛みがあるといった場合は、腟の感染症のサインのことがあります[2]。おりものの色や状態の目安はおりものの見た目で解説しています。
ニオイ
羊水は、ほとんどにおわないか、独特の生臭いにおいがする程度です。尿はアンモニアのにおい、おりものは軽く酸っぱいにおいがすることが多いとされます。
ただし、においの感じ方には個人差があり、においだけで判断するのは危険です。色とにおいで判断しにくい場合や、自分の判断に自信がもてない場合は、かかりつけの産婦人科に連絡して指示を受けてください。おりものがいつもと違う強いにおいを放つ場合は、感染症の可能性があります[2]。
自分の意志で止められるか
出てくる量は人によって大きく異なるため、量だけで判断するのは困難です。そのときは、自分の意志で止められるかどうかに注目してください。
尿漏れであれば、腟や肛門のまわりの筋肉(骨盤底筋)にぎゅっと力を入れると止まることが多いものです。力を入れても止まらない、動いたりお腹に力が入ったりするたびに出てくる場合は、破水の可能性があります。かかりつけの産婦人科に電話して、いつから、どのくらい、どんな色のものが出ているかを伝えてください。
🔍 羊水・おりもの・尿の見分け方の目安
| 項目 | 羊水(破水) | おりもの | 尿 |
|---|---|---|---|
| 色 | 無色透明〜淡い黄色(血液が混じるとピンク〜赤) | 透明〜乳白色 | 黄色っぽい |
| 性状 | さらっとした水のよう | とろみ・粘りがある | さらっとしている |
| におい | ほぼ無臭〜独特の生臭さ | 軽い酸っぱさ、またはほぼ無臭 | アンモニア臭 |
| 止められるか | 止められない(動くと出てくる) | 意識して止めるものではない | 力を入れると止まることが多い |
※あくまで目安です。見た目やにおいだけで破水を確実に見分けることはできません。迷ったら、かかりつけの産婦人科に連絡してください。
病院ではどうやって破水を確かめる?
病院では、内診で腟の中に羊水がたまっていないかを見たうえで、分泌物の性質を検査して破水かどうかを確かめます。腟の分泌物はふつう酸性(pH3.8〜4.5)ですが、羊水はアルカリ性(pH7.1〜7.3)です[1]。この差を利用して、リトマス試験紙のような試験紙で分泌物がアルカリ性かどうかを調べます。
ただし、血液や精液、腟の感染症などでもアルカリ性に傾くことがあり、試験紙の結果だけでは決められません[1]。そのため、羊水に含まれるたんぱく質を調べる検査(チェックプロムなど)や、超音波での羊水量の確認を組み合わせて判断します。検査の種類については破水かどうかの検査で詳しく解説しています。
破水していた場合は、子宮の中に細菌が入って感染を起こすおそれがあるため、週数や状態に応じて、抗菌薬の投与などの管理が行われます[1]。破水なのか、おりものなのか、尿なのかわからないときは、自己判断せずに受診してください。
妊娠初期の破水体験談

妊娠初期の破水はまれですが、起こる可能性がまったくないわけではありません。健診で経過が順調といわれていても、ある日突然破水が起こり、そのまま流産に至ることもあります。
一方で、妊娠初期に破水と診断されたあと、羊水の流出が止まり、妊娠を続けられた方もいます。ここでは、そうした経過をたどった方の体験談を2つ紹介します。
⚠️ 体験談を読む前に
体験談は個人の経過であり、同じ経過になるとは限りません。妊娠の早い時期に破水した場合の見通しは厳しいことも多く、妊娠24週未満の前期破水で妊娠を続けた場合の研究をまとめた報告では、生きて生まれた赤ちゃんは約64%、退院まで生存できたのは約45%でした[4]。妊娠初期(14週未満)の破水については、まとまったデータがほとんどありません。見通しは週数や羊水の量、感染の有無などによって大きく変わるため、主治医の説明を受けて判断してください。
妊娠期間の半分を入院して過ごしました
妊娠10週ごろ、水っぽいものが流れ出て病院を受診しました。破水の検査が陽性となり、切迫流産と診断されてすぐに入院しました。少量の流出は数週間続き、入院は妊娠期間の半分におよびましたが、そのあいだ感染は起こらず、お腹の張りもありませんでした。退院後も家族に協力してもらいながら過ごし、妊娠37週の正期産で出産しました。
担当の医師からは、破れた位置が子宮口から離れていたこと、お腹の張りがなかったこと、感染が起きなかったことが、妊娠を続けられた理由として考えられると説明を受けました。不安な日々でしたが、看護師さんや助産師さんにたくさん話を聞いてもらったことが支えになりました。
セカンドオピニオンで高位破水が発覚
妊娠12週のとき、水っぽいものと出血があり、かかりつけの産婦人科に電話しました。翌日受診すると、腹痛がなく赤ちゃんも元気だったことから流産ではなさそうといわれましたが、水っぽいものの正体ははっきりしませんでした。
気になって別の産院で相談したところ、羊水に含まれるたんぱく質を調べる検査(チェックプロム)で破水と診断されました。卵膜の子宮口から離れた位置に小さな穴があいていたものの、羊水の量は保たれ、赤ちゃんも元気で、穴はふさがったようだとの説明でした。しばらく通院して感染予防の処置を受け、その後は経過を見ながら過ごし、妊娠40週で出産しました。
💡 体験談からわかること
2つの体験談に共通するのは、破水かどうかを自分で判断せず、医療機関で検査を受けて確かめたことです。水っぽいものが出たときは、いつから、どのくらい、どんな色やにおいのものが出たかを具体的に伝えると、受診の必要性を判断してもらいやすくなります。説明に納得できないときや症状が続くときは、遠慮せずにもう一度相談しましょう。
🩺 院長コラム【「水っぽいもの」を一人で判定しないで】
妊娠初期は、体の小さな変化ひとつひとつが気になる時期です。水っぽいものが出ると「破水では」と不安になりますが、多くはおりものや尿で、妊娠初期の破水はまれです。
それでも、色やにおいで自分なりに判定して様子を見るより、迷ったときは電話で相談するほうがよいと考えています。出血や腹痛を伴うとき、流れ続けるときはなおさらです。結果として「おりものでした」とわかることも、安心につながる大切な情報です。
よくある質問(FAQ)
Q1. 妊娠初期に破水することはありますか?
まれですが、起こることはあります。妊娠初期は羊水の量がまだ少なく、腟から出る水っぽいものの多くは、妊娠で増えたおりものや尿です。出血や腹痛を伴う場合は、流産の可能性もあるため、すぐにかかりつけの産婦人科に連絡してください。
Q2. 水っぽいおりものと破水はどう見分けますか?
羊水は無色透明〜淡い黄色のさらっとした液体で、ほとんどにおわないか独特の生臭さがあり、自分の意志では止められません。おりものは透明〜乳白色でとろみがあるのがふつうです。ただし見た目だけで確実に見分けることはできないため、迷ったら産婦人科に連絡してください。
Q3. 市販のpH試験紙で破水かどうか自分で確かめられますか?
自分で確かめるのはおすすめできません。羊水はアルカリ性ですが、血液や精液、腟の感染症などでも分泌物がアルカリ性に傾くことがあり、試験紙だけでは判断できません。病院では内診や羊水に含まれるたんぱく質の検査、超音波などを組み合わせて判断します。
Q4. 破水かもしれないと思ったら、どうすればよいですか?
清潔なナプキンを当てて、かかりつけの産婦人科に電話してください。いつから、どのくらい、どんな色やにおいのものが出ているか、出血や腹痛があるかを伝えると、受診の必要性を判断してもらいやすくなります。
Q5. 妊娠初期に破水したら、赤ちゃんは助からないのですか?
必ずしもそうではありません。羊水の流出が止まり、妊娠を続けられる場合もあります。ただし、妊娠の早い時期の破水は流産や感染につながることも多く、見通しは週数や羊水の量、感染の有無などで大きく変わります。主治医の説明を受けて判断してください。
まとめ
妊娠初期の破水はまれで、腟から出る水っぽいものの多くは、妊娠で増えたおりものや尿です。羊水は無色透明〜淡い黄色で、ほとんどにおわないか独特の生臭さがあり、自分の意志では止められないことが見分ける手がかりになります[1][2]。
ただし、見た目やにおいだけで破水を確実に見分けることはできません。出血や腹痛を伴うとき、水っぽいものが流れ続けるとき、色やにおいがいつもと違うときは、すぐにかかりつけの産婦人科に連絡してください。病院では、分泌物のpHや羊水に含まれるたんぱく質の検査、超音波などで破水かどうかを確かめます。
📘 妊娠中の検査について相談したい方へ
ミネルバクリニックは分娩を扱っていません。破水や出血など、いま起きている症状については、かかりつけの産婦人科にご連絡ください。赤ちゃんの染色体について知りたい方には、常駐する臨床遺伝専門医がNIPT(新型出生前診断)のご相談をお受けしています。
参考文献
- [1] American College of Obstetricians and Gynecologists. Prelabor Rupture of Membranes: ACOG Practice Bulletin, Number 217. Obstet Gynecol. 2020;135(3):e80-e97. [Obstet Gynecol]
- [2] Vaginal discharge in pregnancy. NHS. [NHS]
- [3] Miscarriage. NHS. [NHS]
- [4] Maternal and neonatal outcomes following expectant management of preterm prelabour rupture of membranes before viability. J Perinat Med. 2017. [DOI 10.1515/jpm-2016-0183]





