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つわりで食べれたもの・食べやすいもの一覧|タイプ別・コンビニで買えるもの・食べ方のコツ

目次

仲田洋美 医師

この記事の監修:仲田洋美(臨床遺伝専門医)

ミネルバクリニック院長。臨床遺伝専門医として遺伝医療に携わっています。

つわりのときは、冷たいもの、水分の多い果物、酸味や塩気のあるもの、においの少ない主食が比較的食べやすいとされています。食事の基本は「食べられるものを、食べられるときに、少しずつ」です。妊娠初期の赤ちゃんはまだとても小さく、短い期間であれば栄養のバランスよりも水分をとることを優先してかまいません。ただし、水分もとれない、尿が減る、体重が減り続けるといったときは、食べ物の工夫ではなく受診が必要です。この記事では、つわり中に食べれたものとしてよく挙がる食べ物と、それがなぜ食べやすいのかという医学的な理由、吐きづわり・食べづわり・においづわり別の選び方、コンビニで買えるもの、飲み物、簡単なレシピまでを解説します。

この記事でわかること
📖 読了時間:約15分
🍎 つわり・食べやすいもの・食べ方
★ 臨床遺伝専門医監修

Q. つわりのとき、何なら食べられますか?

A. 果物、ゼリー、冷たい麺、冷えたおにぎり、クラッカー、トマト、フライドポテトなどがよく挙がります。共通するのは「冷たくてにおいが立ちにくい」「水分が多い」「味がはっきりしているか、あっさりしている」ことです。空腹で吐き気が強くなるので、1〜2時間おきに少量ずつ口にするのが基本です。生姜は臨床試験で吐き気を軽くする効果が示されていますが、水分もとれないほどつらいときは、かかりつけの産婦人科に相談してください。

  • ➤よく挙がる食べ物 → 果物・ゼリー・フライドポテト・アイス・冷たい麺・冷えたおにぎり・トマト・炭酸水・梅干し
  • ➤食べやすい理由 → においが立ちにくい冷たさ、空腹を避ける少量頻回、たんぱく質を含む軽食
  • ➤エビデンス → 生姜はビタミンB6と同程度に吐き気を軽くしたという臨床試験がある
  • ➤栄養の考え方 → 初期は「栄養より水分」。葉酸はサプリメントで補う
  • ➤受診の目安 → 水分がとれない、尿が少ない、体重が妊娠前から5%以上減った

1. つわり中に食べれたものとしてよく挙がる食べ物

つわり中に食べれたものとしてよく挙がるのは、果物、ゼリー、フライドポテト、アイス、冷たい麺、冷えたおにぎり、トマト、炭酸水、梅干しです。何なら食べられるかは人によって違いますが、妊婦さんを対象にした公開アンケートでは、調査が違っても似た系統の食べ物が上位に並びます。ここでは特定の調査の順位を紹介するのではなく、複数の調査で共通して挙がる系統として整理します。

つわりそのものは珍しいものではなく、妊婦さんの50〜80%に吐き気が、およそ50%に嘔吐やえずきがみられると報告されています[1]。つわりの原因や種類、全体像についてはつわり(悪阻)とはでまとめています。

よく挙がる9つの系統

🍎 つわり中に食べられたものとしてよく挙がる9系統

系統 具体例 食べやすい理由
果物 りんご、すいか、いちご、みかん、キウイ、グレープフルーツ 水分が多く、冷やすとにおいが立ちにくい
ゼリー・ゼリー飲料 果汁ゼリー、こんにゃくゼリー、飲むタイプのゼリー 噛まずに水分と糖分がとれる
フライドポテト 塩味のポテト、ポテトチップス 塩気とカリッとした乾いた食感
冷たいデザート アイス、シャーベット、氷 口の中がさっぱりし、においがほとんどない
冷たい麺 そうめん、冷やしうどん、冷やし中華、ざるそば つるっと入り、湯気のにおいがない
冷えたおにぎり・クラッカー 梅・塩・こんぶのおにぎり、クラッカー、せんべい 炊きたてのにおいがなく、空腹しのぎになる
トマト・きゅうり ミニトマト、冷やしトマト、きゅうりのスティック 水分が多く、さっぱりしている
炭酸 炭酸水、レモン味の炭酸飲料 口の中がすっきりする
酸味のあるもの 梅干し、酢の物、もずく酢、レモン味のもの 味がはっきりしていて食べやすい

※複数の公開アンケートで共通して上位に挙がる系統をまとめたもので、順位を示すものではありません。合うものは人によって違います。

表を見ると、共通点が3つあることがわかります。1つめは冷たいことで、冷たい食べ物はにおいが立ちにくくなります。2つめは水分が多いことで、吐き気が強い時期でものどを通りやすく、水分補給も兼ねられます。3つめは味がはっきりしているか、逆にとてもあっさりしていることです。酸味や塩気のある食べ物と、においの少ない淡白な食べ物が両方挙がるのはこのためです。

ただ、ランキングの上位にあるものが自分に合うとは限りません。昨日食べられたものが今日は受けつけない、ということもよくあります。表は「次に何を試すか」を考えるときの候補リストとして使ってください。

フライドポテトやジャンクフードが食べられるのはなぜ?

フライドポテトが食べられるのは、塩気がはっきりしていることと、カリッとした乾いた食感によると考えられます。米国産科婦人科学会(ACOG)の診療指針では、つわりの食事として、刺激の強いものや脂っこいものを避け、味の淡白なものや乾いた食べ物、たんぱく質の多い軽食をとることが挙げられています[1]。重いつわり(妊娠悪阻)の女性に食べ物の味やにおいを試してもらった研究でも、ペースト状のものよりカリッとした歯ごたえのあるもののほうが受けいれられやすい傾向がありました[2]。

ポテトは脂っこい食べ物ですが、においのもとになる湯気がほとんどなく、乾いていて塩味という、食べやすい条件のいくつかを満たしています。嘔吐が続くと体から塩分も失われますが、塩気がほしくなる理由がそれで説明できるかどうかは、確かめられていません。

ジャンクフードしか食べられない時期があっても、つわりの短い期間であれば問題はありません。何も口にできない状態より、食べられるものがあるほうがずっとよいからです。ただ、脂の多い食べ物は胃にとどまる時間が長く、人によっては食後に吐き気が強まることがあります。食べたあとに気持ち悪くなるようなら、量を減らすか、塩味のクラッカーやせんべいに置きかえてみてください。

2. なぜその食べ物なら食べられるのか

つわりで「食べられるもの」が決まる背景には、においへの敏感さ、空腹による吐き気、そして妊娠中に増えるホルモンの働きがあります。理由がわかると、表にない食べ物でも、自分に合いそうなものを予想しやすくなります。

冷たいとにおいが立ちにくい

冷たいものが食べやすいのは、温度が低いと食べ物の香りの成分が空気中に出にくく、においで吐き気が誘われにくいためと考えられます。ACOGの指針でも、吐き気を誘うきっかけとして、においのほか、暑さや湿気、騒音、ちらつく光を避けることが勧められています[1]。

においと吐き気の関係は、研究でも確かめられています。妊娠悪阻の女性を調べた研究では、魚のにおいで77%の人が吐き気を感じた一方、ペパーミント、レモン、バナナのにおいで吐き気を感じた人は10〜15%にとどまりました[2]。においによって吐き気の起こりやすさにはっきり差があるということです。

炊きたてのご飯が苦手になるのも同じ理由です。湯気と一緒に香りが立ちのぼるので、冷ましたおにぎりにすると食べられることがあります。がんの化学療法による吐き気の対策でも、料理を冷ましてにおいを抑える工夫が知られており、考え方は共通しています。冷たいものばかりで体が冷えると感じたら、常温のものと組み合わせてください。

空腹で吐き気が強まる(少量頻回・炭水化物とたんぱく質)

つわりは空腹で悪化しやすいので、胃を空にしないことが一番の対策です。ACOGの指針は、胃がいっぱいにならないように1〜2時間おきに少量ずつ食べることを勧めています[1]。朝起きたときに気持ち悪いのは、夜のあいだに長く空腹が続くためです。

食べるものの中身も影響します。妊娠初期の女性に、たんぱく質中心、炭水化物中心、脂肪中心の食事をそれぞれとってもらい比べた研究では、たんぱく質中心の食事のあとが最も吐き気が少なく、胃の電気的なリズムの乱れも抑えられていました[3]。ACOGの指針が「たんぱく質の多い軽食」を挙げているのは、こうした結果があるためです[1]。

炭水化物は手早くエネルギーになり、空腹をしのぐのに役立ちます。そこにたんぱく質を少し足すと、吐き気を抑えやすくなります。たとえばクラッカーにチーズをのせる、おにぎりにゆで卵を添える、冷ややっこやヨーグルトを1品足す、といった組み合わせです。量は少しでかまいません。

酸味や塩気がほしくなる理由

酸っぱいものや塩気のあるものが食べやすくなる理由は、実ははっきりわかっていません。「口の中がすっきりする」「味がはっきりしていて食べた気がする」という感覚がよく挙がりますが、医学的に確かめられた説明ではありません。

一方、味と吐き気の関係を調べた研究はあります。先ほどの妊娠悪阻の研究では、苦味が最も吐き気を起こしやすく(32%)、甘味は最も起こしにくい(5%)味でした。食べ物では、りんごで吐き気を感じた人が16%と少なかったのに対し、白いご飯では71%が吐き気を感じました。研究者らは、甘くてカリッとした生の食べ物、たとえばりんごやすいかが最も受けいれられやすい可能性があると結論づけています[2]。

この研究はマレーシアの重症例を対象としたもので、日本の食事にそのまま当てはまるとは限りません。それでも、「おかゆや白いご飯なら食べられるはず」とは言い切れないことを示しています。合わないと感じたら、無理に主食にこだわらず、果物から始めてかまいません。

好みが急に変わる理由:GDF15と食べ物への嫌悪

妊娠すると好きだった食べ物を急に受けつけなくなるのは、気持ちの問題ではなく、GDF15というホルモンが脳に働きかけることが関係しています。2024年に英国の研究グループがNatureに発表した研究では、妊婦さんの血液中のGDF15のほとんどは赤ちゃんと胎盤から来ていて、その量が多いほど嘔吐や妊娠悪阻が起こりやすいことが示されました[4]。

さらに興味深いのは、お母さん側の「感じやすさ」も重症度に関わっていた点です。妊娠前のGDF15が遺伝的な体質で低い女性は妊娠悪阻になりやすく、反対に、もともとGDF15が高い状態が続くβサラセミアという血液の病気の女性では、つわりがほとんど報告されませんでした。マウスの実験では、前もってGDF15にさらされていると反応が鈍くなることも確かめられています[4]。つわりの重さが家族のあいだで似ることがあるのは、こうした体質の違いで説明できる部分があります。

💡 用語解説:GDF15(ジーディーエフ・フィフティーン)

GDF15は、細胞のストレスなどで分泌されるホルモンで、脳幹(のうかん)にある受容体に結合して、食欲を落としたり吐き気を起こしたりします。妊娠中は胎盤で大量につくられます。つわりの重さは「赤ちゃん側がつくるGDF15の量」と「お母さん側の感じやすさ」の両方で決まると考えられています。

妊娠中に肉や魚、香りの強い野菜などを避けたくなる現象については、毒になりうるものから母体と胎児を守る仕組みではないかという仮説もあります[5]。ただし、これは進化の観点から立てられた仮説で、証明されたものではありません。GDF15と家族歴の話はつわり(悪阻)とはで詳しく解説しています。

仲田洋美院長

🩺 院長コラム【食べられないのは、体の仕組みの結果です】

つわりの吐き気や嘔吐には、胎児・胎盤由来のGDF15と、妊娠前のGDF15曝露などに影響される母体側の感受性が関与することが示されています。したがって、つわりの重症度には生物学的な個人差があり、単に「気の持ちよう」で説明できるものではありません。

食べられるものを探す工夫は大切ですが、水分もとれない、尿量が減る、体重減少が続くなどの状態では、食事の工夫だけで対応せず、かかりつけの産婦人科へ相談することが必要です。

3. タイプ別の食べやすいもの

つわりには、吐いてしまう「吐きづわり」、空腹で気持ち悪くなる「食べづわり」、においで悪化する「においづわり」、唾液が増える「よだれづわり」などがあり、食べやすいものもタイプによって変わります。多くの人は複数のタイプが重なっていたり、時期によって入れ替わったりします。

吐きづわり

吐きづわりでは、栄養より水分を最優先にして、のどごしのよい冷たいものを少しずつとってください。氷を口に含む、ゼリーやシャーベットをひと口ずつ食べる、すいかやりんごを冷やして食べる、といった方法が向いています。吐いたあとは口をすすぎ、少し落ち着いてから水分をとると、次の吐き気を誘いにくくなります。

すいかについては、妊娠悪阻で入院した女性が退院後、食事の説明に加えてすいかを食べるように勧められたグループのほうが、説明だけのグループより2週間後の体重の変化がよく、吐き気のスコアも改善したという臨床試験があります[6]。すいかは90%以上が水分で、水分補給と食事を兼ねられることが理由と考えられています。

食べづわり

食べづわりは、胃が空になると気持ち悪くなるタイプで、すぐ口にできるものを手元に置いておくことが一番の対策です。枕元にクラッカーやせんべいを置いて、起きてすぐ、体を起こす前にひと口食べるだけでも朝の吐き気が変わることがあります。

食べづわりで気になるのが体重です。食べ続けないと気持ち悪いので、どうしても量が増えがちになります。太りにくくする工夫としては、1回の量を小さく分けること、甘いお菓子やジュースだけに頼らず、ゆで卵、チーズ、豆腐、ヨーグルトなどたんぱく質のあるものを混ぜること、無糖の炭酸水やお茶を間にはさむことが挙げられます。たんぱく質は吐き気を抑えるうえでも役立ちます[3]。

においづわり

においづわりでは、火を使わない、湯気を立てない、冷たいまま食べられるものを選んでください。サンドイッチ、冷ややっこ、カットフルーツ、ヨーグルト、冷やしうどんなどが向いています。調理のにおいがつらいときは、換気扇を回す、マスクをする、電子レンジで温める、家族に調理を任せる、といった方法があります。

においの中にも比較的受けいれやすいものがあり、先ほどの研究ではペパーミントやレモンのにおいで吐き気を感じた人は少数でした[2]。レモンを搾った水や、ミント系の飴を試してみる価値はあります。生活の中でできるにおい対策はつわりの対策(ツボ・グッズ・バンド)でまとめています。

よだれづわり

よだれづわりは唾液が増えて飲み込むと気持ち悪くなるタイプで、無理に飲み込まず吐き出してかまいません。唾液を出し続けると体の水分が減るので、こまめな水分補給を意識してください。口の中をさっぱりさせる冷たい飲み物や、酸味のある食べ物で気分が変わる人もいます。ハンカチやティッシュ、小さな容器を持ち歩くと外出しやすくなります。

4. 食材別のポイント

つわり中によく食べられる食材にも、それぞれ食べやすくするコツと、知っておきたい注意点があります。栄養素の数値は、文部科学省の日本食品標準成分表(八訂)増補2023年によるものです[7]。

トマト

つわり中でも食べやすいトマト

トマトは水分が多く、酸味と甘みがあり、冷やすとにおいもほとんどしないため、つわり中に食べやすい野菜の代表です。洗うだけでそのまま食べられるミニトマトは、調理のにおいがつらいときにも手に取りやすく、コンビニでも買えます。

皮が口に残って気になる場合は、湯むきするか、くし切りにして塩を少しふると食べやすくなります。冬場や体が冷えるときは、スープに入れたり、みそ汁に加えたりしてもよいでしょう。酸味がつらい日は、甘みの強い品種を選んでください。

りんご

つわり中でも食べやすいりんご

りんごは、重いつわりの女性を対象にした研究で、吐き気を起こしにくかった食べ物のひとつです。試した食べ物の中で、りんごで吐き気を感じた人は16%にとどまりました[2]。甘みと酸味があり、カリッとした歯ごたえがあることが、受けいれられやすい理由と考えられます。

冷やしてくし切りにする、すりおろして少しずつ食べる、薄く切って皮をむく、など食べ方を変えると、その日の体調に合わせやすくなります。皮ごと食べる場合はよく洗ってください。

バナナ

つわり中の栄養補給に使いやすいバナナ

バナナは皮をむくだけで食べられ、エネルギーとビタミンB6をとりやすい果物です。可食部100gあたりエネルギーは93kcal、ビタミンB6は0.38mg、葉酸は26μg、カリウムは360mgです[7]。においの研究でも、バナナのにおいは比較的受けいれられやすいものでした[2]。

熟したバナナの甘い香りが気になるときは、輪切りにして冷凍すると、においが抑えられてシャーベットのような食感になります。ヨーグルトに混ぜてもよいでしょう。

グレープフルーツ・柑橘

グレープフルーツやみかんなどの柑橘は、さわやかな香りと酸味で口の中がすっきりし、つわり中によく選ばれます。果汁が多いので水分補給にもなり、ジュースやシャーベットにしても食べやすいでしょう。

注意したいのは、グレープフルーツ(ジュースを含む)には、一部の薬の分解を妨げて効き目を強めてしまう成分が含まれていることです[8]。持病で薬を飲んでいる方は、グレープフルーツを食べてよいかを処方した医師か薬剤師に確認してください。みかんやオレンジでは、この問題はほとんどありません。

いちご・キウイ・すいか

いちごやキウイは酸味と甘みのバランスがよく、すいかは水分が非常に多いため、吐き気が強い時期の水分補給を兼ねた食べ物として向いています。すいかは、妊娠悪阻のあとの食事に取り入れた臨床試験もあります[6]。

いずれも冷凍しておくと、そのままシャーベットのように食べられます。ヨーグルトと一緒にミキサーにかけてスムージーにすれば、少しのたんぱく質も一緒にとれます。

きゅうり

きゅうりはほとんどが水分で、においもくせも少ないため、水を飲むのもつらいときの水分源になります。スティック状に切って冷やしておけば、すぐに口にできます。味がほしいときは、みそやマヨネーズを少しつける、塩もみする、酢の物にするなどの食べ方があります。カリッとした食感も、つわり中に受けいれられやすい特徴のひとつです[2]。

そうめん・うどん

冷たくて食べやすいそうめん

そうめんやうどんは、つるっとのどを通りやすく、冷やせばにおいも少ない主食です。「つわり中にうどんはダメ?」という疑問を見かけますが、食べられるなら問題はありません。

冷たいものが続いて体が冷えるときは、すりおろした生姜を添えたり、温かいみそ汁にそうめんを少し入れたりする方法もあります。めんつゆのにおいが気になる場合は、塩とごま油だけ、ポン酢だけ、など味つけを変えてみてください。

おかゆ・冷えたおにぎり

おかゆは水分と糖質を一緒にとれ、冷えたおにぎりは炊きたての湯気のにおいがないため、つわり中の主食として使いやすい食べ物です。つわりで受ける点滴の中身は、水分、電解質(塩分など)、糖分が中心で、おかゆはそれに近いものを口からとれる食べ物ともいえます。

ただし、前述の研究では白いご飯で吐き気を感じる人が多かったので[2]、白ご飯そのものが苦手になる人もいます。その場合は、梅干しやこんぶ、塩を合わせたおにぎりにする、小さく握って冷ます、お茶漬けにするなど、香りと温度を変えてみてください。

ゼリー飲料

飲むタイプのゼリーは、噛まずに水分と糖分がとれるため、何も食べられない日のつなぎとして役立ちます。冷蔵庫に何本かストックしておくと、気分が悪くて調理ができないときにも助かります。ビタミンやたんぱく質を加えた製品もあります。

ゼリー飲料だけで数日しのぐことはできますが、それしか口にできない状態が続き、尿の量が減ってきたり体重が落ち続けたりする場合は、食事の工夫の範囲を超えています。12章の受診の目安を確認してください。

5. エビデンスのある食べ物:生姜とビタミンB6

つわりの吐き気を軽くする効果が臨床試験で確かめられている食品成分は、生姜とビタミンB6です。どちらもACOGの指針で、薬を使う前に試せる選択肢として挙げられています[1]。

生姜

つわりの吐き気に使われる生姜

生姜は、ビタミンB6と同じくらい吐き気を軽くしたという臨床試験があります。オーストラリアのアデレード大学のSmithらは、妊娠16週未満の291人を生姜とビタミンB6のグループに分け、3週間比べました。生姜は1日1.05g(350mgのカプセルを1日3回)、ビタミンB6は1日75mgです。その結果、吐き気、えずき、嘔吐のいずれも、生姜はビタミンB6と同等の効果を示しました。副作用はおおむね軽く、生姜のグループではげっぷが多くみられました(9%)[9]。

元の記事では「生姜が医薬品と同じくらい効く」と紹介していましたが、比べた相手はビタミンB6で、吐き気止めの薬ではありません。12件の臨床試験(1,278人)をまとめた解析では、生姜は偽薬と比べて吐き気を有意に改善しましたが、嘔吐の回数は改善の傾向にとどまりました。流産や有害事象の増加はみられませんでした[10]。

研究で使われた量は乾燥した生姜の粉末で、料理の薬味としての生姜とは量が違います。日常的には、すりおろした生姜をお湯に溶いて生姜湯にする、うどんや冷ややっこに添える、ジンジャーエールや生姜入りのクッキーを試す、といった取り入れ方が現実的です。ACOGの指針はカプセルで250mgを1日4回という目安を示していますが[1]、サプリメントとして使う場合は、かかりつけの産婦人科で相談してからにしてください。

ビタミンB6を多く含む食べ物

ビタミンB6は魚や肉、バナナなどに含まれますが、食事でとれる量は、つわりの治療に使う量に比べるとかなり少なくなります。日本人の食事摂取基準(2025年版)では、成人女性のビタミンB6の推奨量は1日1.2mgで、妊娠中はこれに0.2mgを加えるとされています[11]。

これに対し、ACOGの指針でつわりの治療として示されているビタミンB6の量は、1回10〜25mgを1日3〜4回です[1]。バナナ100gに含まれるビタミンB6は0.38mgなので[7]、食べ物だけで治療と同じ量をとるのは現実的ではありません。食べ物は「不足させない」ための手段と考え、治療としてのビタミンB6は医師の処方で使うものと整理してください。

💡 用語解説:ビタミンB6(ピリドキシン)

ビタミンB6は、たんぱく質の代謝などに関わる水溶性ビタミンです。つわりの吐き気を軽くする効果が臨床試験で確かめられており、海外ではつわりの最初の治療として使われています。サプリメントや薬として使う量は食事の数十倍になるため、自己判断で大量に飲まず、医師に相談してください。

ビタミンB6やほかの吐き気止めを薬としてどう使うかは、つわりに処方される薬で解説しています。

6. コンビニで買えるもの・お菓子

コンビニには、つわり中に食べやすいものがひととおりそろっていて、調理のにおいを避けたいときに便利です。冷えた状態で売られていて、すぐ食べられ、少量ずつ買えることがつわり中には大きな利点になります。

コンビニで買える食べやすいもの

🏪 コンビニで買える、つわり中に食べやすいもの

売り場 例 ポイント
果物 カットフルーツ、カップのみかん、バナナ 皮をむく手間がなく、冷えている
ゼリー・デザート ゼリー飲料、果汁ゼリー、ヨーグルト、アイス のどごしがよく、水分もとれる
おにぎり 梅、塩むすび、こんぶ 冷えていて、においが少ない
麺 冷やしうどん、ざるそば、冷やし中華 つるっと入る
たんぱく質 ゆで卵、チーズ、豆腐、サラダチキン 少量で吐き気を抑えやすい
パン サンドイッチ(たまご・ツナ)、食パン 火を使わず、においが少ない
飲み物 水、炭酸水、麦茶、スポーツドリンク カフェインが入っていないものを選ぶ

※生ハムや加熱していないナチュラルチーズは、妊娠中はリステリア菌のため避けてください。

妊娠中はリステリア菌という食中毒菌に感染しやすくなるため、生ハムや加熱していないナチュラルチーズは避けるよう、食品安全委員会が注意を呼びかけています[12]。コンビニの惣菜やサラダチキンは加熱済みのものがほとんどですが、表示を確認し、買ったら早めに食べてください。

持ち歩けるお菓子・仕事中の食べづわり

通勤や仕事中の食べづわりには、ひと口で食べられて、においが少なく、バッグに入れておけるお菓子が向いています。クラッカー、小袋のせんべい、ナッツ、飴、グミ、ドライフルーツなどです。会議の前や電車に乗る前など、空腹になりそうなタイミングで少し口にしておくと、吐き気の波を避けやすくなります。

ただ、飴やグミ、チョコレートなど甘いものばかりだと、糖分のとりすぎや体重の増えすぎにつながります。ナッツや小さなチーズなど、たんぱく質や脂質を含むものを混ぜると、少量でも空腹を感じにくくなります。仕事中のつわりへの対応や、職場への伝え方についてはつわりがつらいときの仕事でまとめています。

7. 飲み物:水分がとれないとき

つわりの時期にいちばん大切なのは水分です。食べられない日があっても、水分がとれていれば数日は大きな問題になりにくい一方、水分がとれなくなると脱水が進みます。

飲みやすい飲み物

水、炭酸水、麦茶は、においも刺激も少なく、つわり中によく選ばれます。吐いた量が多いときは、塩分と糖分を含むスポーツドリンクや経口補水液のほうが、失われた電解質を補えます。一度にたくさん飲むと吐きやすいので、コップ半分を何回にも分ける、ストローで少しずつ飲む、氷をなめる、といった飲み方が向いています。

冷たい飲み物のほうが飲みやすい人が多い一方、冷たすぎると胃がびっくりして吐き気が出る人もいます。温度は好みで選んでかまいません。妊娠中の飲み物全般の選び方は、食品安全委員会の資料でも紹介されています[12]。

カフェインの目安

妊娠中のカフェインは、1日200〜300mg以下が国際的な目安です。世界保健機関(WHO)は1日300mg未満、欧州食品安全機関(EFSA)は1日200mgまでなら胎児への健康リスクは生じないとしています。日本には独自の基準はありません。コーヒーには100mLあたり約60mg、煎茶には約20mgのカフェインが含まれています[13]。

マグカップ1杯(約200mL)のコーヒーなら約120mgなので、1日1〜2杯までが目安になります。つわり中にコーヒーの香りがつらくなる人は多いですが、緑茶なら飲める、という場合もあります。エナジードリンクはカフェインが多いものがあるので注意してください。

8. つわり中の食べ方のコツ

何を食べるかと同じくらい、いつ、どう食べるかが大切です。基本は「少量を、こまめに、空腹になる前に」です。ACOGの指針も、1〜2時間おきの少量の食事を勧めています[1]。

起きたらすぐ枕元のクラッカーをひと口
▶
1〜2時間おきに少量空腹になる前に
▶
水分を少しずつ食事とは時間をずらす
▶
寝る前に軽食夜間の空腹を防ぐ

具体的な工夫をまとめると、次のようになります。手の届くところに食べられるものを置いておく。食材を小さく刻む、やわらかく煮るなどして胃の負担を減らす。茹でる、蒸すなど油を使わない調理にする。野菜を入れたスープにして、具と水分を一緒にとる。調理のにおいがつらいときは、換気や電子レンジを活用し、家族に頼む。食べたあとはしばらく体を起こして休む。

食べる量よりも、食べるタイミングを外さないことが大切です。吐き気がいつ来るかはわかりませんが、一日のうちで少し楽になる時間帯があることも多いものです。その時間を逃さずに口に入れられるよう、準備しておくことがコツです。ツボ押しやつわりバンド、においを和らげるグッズなど、食事以外の対策はつわりの対策で紹介しています。

9. 栄養の考え方:無理に食べなくていい?

つわりの時期に、無理をして栄養バランスのよい食事をとる必要はありません。妊娠初期は「栄養より水分」と考えてください。ただし、葉酸だけは食事とは別にサプリメントでとっておくことが勧められています。

妊娠初期は「栄養より水分」

妊娠初期に食事の量が減っても、それだけで赤ちゃんの成長が妨げられることはほとんどありません。妊娠初期の胎児はまだとても小さく、この時期は母体の血液が本格的に胎盤へ流れ込む前で、子宮内膜の腺から分泌される栄養によって育つことがわかっています[14]。

元の記事では「胎盤ができる16週までは卵黄嚢(らんおうのう)から栄養をとっている」と説明していましたが、これは正確ではありません。妊娠初期の栄養は主に子宮内膜の腺から供給され、その後、胎盤を通じた母体の血液からの供給に移っていきます[14]。いずれにしても、「初期に少し食べられなくても赤ちゃんは育つ」という結論は変わりません。

つわりがあること自体を心配する必要もありません。つわりのある女性のほうが流産率が低いことは、複数の研究で報告されています[1]。ただし、これは関連があるという意味で、つわりが流産を防いでいるわけではありません。つわりが軽い、あるいはないからといって異常というわけでもありません。詳しくはつわりがない人は異常?をご覧ください。つわりがいつまで続くかの目安はつわりはいつからいつまでで解説しています。

葉酸だけはサプリで補う

葉酸は、赤ちゃんの神経管閉鎖障害のリスクを下げるため、妊娠を計画している時期から、通常の食事とは別に1日400μgをとることが勧められています。日本人の食事摂取基準(2025年版)では、成人女性の葉酸の推奨量は1日240μgで、妊娠中期・後期には240μgが付加されます。さらに、妊娠を計画している女性や妊娠の可能性がある女性は、食事以外から1日400μgをとることが望ましいとされています[11]。

神経管は妊娠のごく初期に閉じるため、この時期は葉酸の効果がもっとも期待できる時期と重なります。つわりで食事が偏っても、葉酸のサプリメントを続けられれば、この点はカバーできます。

💡 用語解説:神経管閉鎖障害(しんけいかんへいさしょうがい)

神経管は、のちに脳や脊髄になる管状の構造で、妊娠のごく初期に閉じます。これがうまく閉じないと、二分脊椎(にぶんせきつい)や無脳症などが起こります。妊娠前からの葉酸の摂取で、発症のリスクを下げられることがわかっています。

マルチビタミンを飲むと気持ち悪くなる場合は、鉄分が原因になっていることがあります。ACOGの指針は、鉄を含む妊婦用マルチビタミンで吐き気が強まるなら、鉄を外して葉酸だけのサプリメントに切り替えることを選択肢として挙げています[1]。

体重が減ってきたら

つわりで多少体重が減ることはありますが、妊娠前の体重から5%以上の減少は、妊娠悪阻の重症度や栄養状態を評価する重要な目安のひとつです。ACOG Practice Bulletin No.189では、持続する嘔吐に加え、妊娠前から5%以上の体重減少やケトン尿などを妊娠悪阻の典型的な所見として挙げています[1]。ただし、現在はケトン尿の有無だけで妊娠悪阻を診断・除外するものではありません。体重50kgの人なら5%は2.5kgです。

体重が落ち続けている、尿が濃く少ない、ふらつくといった状態は、食べ物の工夫で乗り切る段階を過ぎています。妊娠悪阻の診断や点滴などの治療については妊娠悪阻とはで詳しく解説しています。

仲田洋美院長

🩺 院長コラム【完璧な食事を目指さなくていい理由】

妊娠初期には子宮内膜腺由来の分泌物による組織栄養が重要な役割を担い、母体の胎盤内血流は段階的に確立します。つわりで食事量が一時的に減った場合は、まず脱水を避けることが重要です。また、神経管閉鎖障害のリスク低減のため、妊娠前から妊娠初期には通常の食事に加えて葉酸400μg/日の摂取が推奨されています。

つわりの短期間に食べられる食品が限られることはあります。水分を優先し、症状が改善して食べられるようになった段階で、少しずつ食事内容を整えていきます。

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10. つわり中に気をつけたい食べ物

つわり中は食べられるものを優先してかまいませんが、妊娠中に避けたほうがよい食べ物だけは覚えておいてください。食品安全委員会は、妊娠を考えている女性と妊婦さんに向けて、次のような注意をまとめています[12]。

⚠️ 妊娠中に気をつけたい主な食べ物

食べ物 理由 対応
生ハム、加熱していないナチュラルチーズ リステリア菌 避ける
加熱が不十分な肉 トキソプラズマ 中心部までしっかり加熱する
一部の大型の魚 水銀 種類を偏らせず、いろいろな魚を食べる
鶏・豚のレバー ビタミンAのとりすぎ 妊娠初期は避ける
アルコール 胎児への影響 妊娠がわかったら授乳が終わるまで避ける
カフェイン とりすぎによる影響 1日200〜300mg以下

※食品安全委員会「お母さんになるあなたと周りの人たちへ」[12]をもとに作成。

ツナ缶、鮭、さば、いわしなどは、通常の量を食べても問題ありません[12]。妊娠初期の食事全般と、それぞれの食べ物の詳しい注意点は妊娠初期におすすめの食べ物・食べてほしくない食べ物で解説しています。

11. 食べられないときの簡単レシピ3品

つわり中のレシピは、火を使わない、または電子レンジで済む、においの少ないものが基本です。ここでは、つわり中に食べやすい食材を組み合わせた、5分ほどでできる3品を紹介します。分量は目安なので、食べられる量に合わせて減らしてください。

冷やしトマトの生姜ポン酢

材料はトマト1個、ポン酢大さじ1、すりおろした生姜少々です。トマトをくし切りにして冷蔵庫でよく冷やし、食べる直前にポン酢と生姜をかけます。トマトの水分と酸味、生姜の香りが合わさり、さっぱりと食べられます。生姜の香りが強すぎると感じる日は、生姜を抜いてポン酢だけにしてください。

梅とろろ昆布のレンジうどん

材料は冷凍うどん1玉、梅干し1個、とろろ昆布ひとつまみ、白だし少々です。冷凍うどんを袋の表示どおり電子レンジで温め、お湯と白だしを注ぎ、ちぎった梅干しととろろ昆布をのせます。鍋を使わないので、調理のにおいが最小限で済みます。温かいものがつらい日は、うどんを流水で冷やして冷たいつゆにしてもかまいません。卵を落とすと、たんぱく質も少しとれます。

冷凍バナナとヨーグルトのシャーベット

材料はバナナ1本、プレーンヨーグルト100g、好みではちみつ少々です。バナナを輪切りにして冷凍しておき、食べるときにヨーグルトと混ぜます。ミキサーがあればなめらかにしてもよいでしょう。冷たくてにおいが抑えられ、ビタミンB6とたんぱく質を一緒にとれる組み合わせです。いちごやキウイの冷凍でも作れます。

12. かかりつけの産婦人科に相談すべきサイン

次のような状態は、食べ物の工夫で乗り切れる範囲を超えている可能性があります。迷わずかかりつけの産婦人科に連絡してください。

🚨 受診を考えるサイン

・水分を口にしても吐いてしまい、ほとんど飲めない
・尿の回数や量が明らかに減った、尿の色が濃い
・体重が妊娠前から5%以上減った
・立ちくらみやふらつきがある、ぼんやりする
・吐いたものに血が混じる
・強い腹痛や発熱、下痢を伴う

妊娠悪阻では、点滴で水分や電解質を補い、必要に応じてビタミンB1を補充します。ビタミンB1が不足したまま糖分の点滴を続けると、ウェルニッケ脳症という脳の障害が起こることがあるため、ACOGの指針は糖を含む点滴の前にビタミンB1を投与するよう示しています[1]。強い腹痛や発熱がある場合は、つわり以外の病気の可能性もあります。

「この程度で受診していいのか」と迷う方は多いのですが、点滴で脱水が改善すると、吐き気そのものが楽になることもあります。点滴や入院の目安、治療の詳細は妊娠悪阻とはで解説しています。

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よくある質問(FAQ)

Q1. つわりの救世主になる食べ物は?

人によって違いますが、果物(特にりんごやすいか)、ゼリー、冷たい麺、冷えたおにぎり、クラッカー、トマト、フライドポテトがよく挙がります。重いつわりの女性を対象にした研究では、りんごやすいかのような甘くてカリッとした生の食べ物が最も受けいれられやすいと報告されています。生姜は吐き気を軽くする効果が臨床試験で確かめられています。

Q2. つわり中にうどんはダメですか?

ダメではありません。うどんはのどを通りやすく、冷やせばにおいも少ないので、つわり中の主食として向いています。食べられるなら問題はありません。だしのにおいがつらいときは、冷やしうどんにする、ポン酢や塩で味つけする、などの方法があります。

Q3. ゼリー飲料だけでも大丈夫ですか?

数日であれば、ゼリー飲料で水分と糖分をつなぐことに問題はありません。ただし、それしか口にできない状態が続き、尿が減る、体重が妊娠前から5%以上減る、ふらつくといった状態になったら、妊娠悪阻の可能性があるので、かかりつけの産婦人科に相談してください。

Q4. ポテチやジャンクフードを食べても大丈夫ですか?

つわりの時期に一時的に頼るのは問題ありません。何も食べられない状態より、食べられるものがあるほうがよいからです。ただ、脂の多いものは胃にとどまる時間が長く、食後に吐き気が強まる人もいます。合わないと感じたら、塩味のクラッカーやせんべいに置きかえてみてください。

Q5. 食べたいものが思いつかないときはどうすればいいですか?

無理に食べたいものを探さず、まず水分と、冷たくてにおいの少ないもの(ゼリー、果物、氷)から試してください。この記事の「よく挙がる9つの系統」の表を候補リストとして使うと選びやすくなります。食べたいものがコロコロ変わるのもつわりではよくあることです。

Q6. つわりで食べたいものから赤ちゃんの性別はわかりますか?

わかりません。酸っぱいものが欲しいと男の子、甘いものが欲しいと女の子といった言い伝えには、医学的な根拠はありません。重い妊娠悪阻と胎児の性別の関係を調べた研究はありますが、食べ物の好みで性別を判断できるという結果ではありません。

Q7. つわりがない、または軽いのは異常ですか?

異常ではありません。つわりの重さは、赤ちゃん側がつくるGDF15というホルモンの量と、お母さん側の感じやすさで決まると考えられており、個人差が大きいものです。つわりがないことが赤ちゃんの異常を示すという根拠はありません。

性別の言い伝えについて補足すると、妊娠悪阻で入院した妊婦さんの胎児の性別を調べた研究はありますが[15]、これは重症例の統計で、食べ物の好みから個々の赤ちゃんの性別を判断できるものではありません。つわりがないことについての詳しい解説はつわりがない人は異常?をご覧ください。

まとめ

つわりのときに食べやすいものは、果物、ゼリー、冷たい麺、冷えたおにぎり、クラッカー、トマト、フライドポテトなど、冷たくてにおいが立ちにくく、水分が多く、味がはっきりしているか淡白なものです。空腹で吐き気が強まるので、1〜2時間おきに少量ずつ、たんぱく質を少し混ぜて食べるのが基本です[1][3]。生姜はビタミンB6と同じくらい吐き気を軽くしたという臨床試験があります[9]。

妊娠初期は「栄養より水分」で、無理に栄養バランスを整える必要はありません[14]。ただし葉酸はサプリメントで補ってください[11]。水分がとれない、尿が減る、体重が妊娠前から5%以上減ったときは、かかりつけの産婦人科に相談してください。

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ミネルバクリニックは、臨床遺伝専門医が常駐するNIPT(新型出生前診断)の実施施設です。なお、ミネルバクリニックは分娩を扱っておりません。つわりの症状や治療については、かかりつけの産婦人科にご相談ください。NIPTは妊娠9週から受けられ、検査の前後に臨床遺伝専門医が結果の意味をご説明します。

参考文献

  • [1] ACOG Practice Bulletin No. 189: Nausea And Vomiting Of Pregnancy. Obstet Gynecol. 2018;131(1):e15-e30. [PubMed 29266076]
  • [2] Tan PC, Kartik B, Thanendran P, et al. Taste, smell and food-related nausea and vomiting responses in hyperemesis gravidarum: A case-controlled study. Sci Rep. 2020;10:4445. [DOI]
  • [3] Jednak MA, Shadigian EM, Kim MS, et al. Protein meals reduce nausea and gastric slow wave dysrhythmic activity in first trimester pregnancy. Am J Physiol. 1999;277(4):G855-G861. [DOI]
  • [4] Fejzo M, et al. GDF15 linked to maternal risk of nausea and vomiting during pregnancy. Nature. 2024;625(7996):760-767. [DOI]
  • [5] Flaxman SM, Sherman PW. Morning sickness: a mechanism for protecting mother and embryo. Q Rev Biol. 2000;75(2):113-148. [DOI]
  • [6] Tan PC, Ramasandran G, Sethi N, et al. Watermelon and dietary advice compared to dietary advice alone following hospitalization for hyperemesis gravidarum: a randomized controlled trial. BMC Pregnancy Childbirth. 2023;23:450. [DOI]
  • [7] 文部科学省. 日本食品標準成分表(八訂)増補2023年(食品成分データベース:バナナ 生). [文部科学省 食品成分データベース]
  • [8] Bailey DG, Dresser G, Arnold JMO. Grapefruit-medication interactions: forbidden fruit or avoidable consequences? CMAJ. 2013;185(4):309-316. [PubMed 23184849]
  • [9] Smith C, Crowther C, Willson K, Hotham N, McMillian V. A randomized controlled trial of ginger to treat nausea and vomiting in pregnancy. Obstet Gynecol. 2004;103:639-645. [DOI]
  • [10] Viljoen E, Visser J, Koen N, Musekiwa A. A systematic review and meta-analysis of the effect and safety of ginger in the treatment of pregnancy-associated nausea and vomiting. Nutr J. 2014;13:20. [PubMed 24642205]
  • [11] 厚生労働省. 「日本人の食事摂取基準(2025年版)」策定検討会報告書(令和6年10月11日). [国立保健医療科学院 健康危機管理支援ライブラリー]
  • [12] 食品安全委員会. お母さんになるあなたと周りの人たちへ ―妊娠の前から気をつけたい食べ物のこと―. [食品安全委員会]
  • [13] 食品安全委員会. ファクトシート「食品中のカフェイン」(最終更新:平成30年2月23日). [食品安全委員会]
  • [14] Burton GJ, Watson AL, Hempstock J, Skepper JN, Jauniaux E. Uterine glands provide histiotrophic nutrition for the human fetus during the first trimester of pregnancy. J Clin Endocrinol Metab. 2002;87(6):2954-2959. [PubMed 12050279]
  • [15] Schiff MA, Reed SD, Daling JR. The sex ratio of pregnancies complicated by hospitalisation for hyperemesis gravidarum. BJOG. 2004;111(1):27-30. [PubMed 14687048]

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プロフィール
仲田洋美 医師(臨床遺伝専門医)

この記事の監修・執筆者:仲田 洋美

(臨床遺伝専門医/がん薬物療法専門医/総合内科専門医)

ミネルバクリニック院長。1995年に医師免許を取得後、
臨床遺伝学・内科学・腫瘍学を軸に診療を続けてきました。
のべ10万人以上のご家族の意思決定と向き合ってきた臨床遺伝専門医です。

出生前診断(NIPT・確定検査・遺伝カウンセリング)においては、
検査結果の数値そのものだけでなく、
「結果をどう受け止め、どう生きるか」までを医療の責任と捉え、
一貫した遺伝カウンセリングと医学的支援を行っています。

ハイティーンの時期にベルギーで過ごし、
日本人として異文化の中で生活した経験があります。
価値観や宗教観、医療への向き合い方が国や文化によって異なることを体感しました。
この経験は現在の診療においても、
「医学的に正しいこと」と「その人にとって受け止められること」の両立を考える姿勢の基盤となっています。

また、初めての妊娠・出産で一卵性双生児を妊娠し、
36週6日で一人を死産した経験があります。
その出来事は、妊娠・出産が女性の心身に与える影響の大きさ、
そして「トラウマ」となり得る体験の重みを深く考える契機となりました。
現在は、女性を妊娠・出産のトラウマから守る医療を使命の一つとし、
出生前診断や遺伝カウンセリングに取り組んでいます。

出生前診断は単なる検査ではなく、
家族の未来に関わる重要な意思決定です。
年齢や統計だけで判断するのではなく、
医学的根拠と心理的支援の両面から、
ご家族が後悔の少ない選択をできるよう伴走することを大切にしています。

日本人類遺伝学会認定 臨床遺伝専門医/日本内科学会認定 総合内科専門医/
日本臨床腫瘍学会認定 がん薬物療法専門医。

2025年には APAC地域における出生前検査分野のリーダーとして国際的評価を受け、
複数の海外メディア・専門誌で特集掲載
されました。

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