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妊娠中期以降の妊婦さんの多くが、お腹の張りを体験します。おなかがキューっと締め付けられる感じがしたり、かたくパンパンになったりと、症状の感じ方は人それぞれですが、急にお腹が張ると赤ちゃんに何か問題が出ているのかと不安になってしまうものです。
お腹の張りとは、簡単にいうと子宮の筋肉が収縮している状態のことです。原因にはさまざまなものがあり、その中には安全な張りと病院を受診すべき張りがあります。
この記事では、妊娠中期にお腹の張りを感じる原因と受診の目安、その対処法を8つご紹介します。お腹の張りが気になる方は、ぜひ最後まで読んでみてください。
妊娠中期にお腹の張りを感じる原因と受診の目安
妊娠中期は、いわゆる安定期とも呼ばれる時期で、つわりが治まり妊婦生活の中でももっとも体調が良いとされています。妊娠後期ほどお腹も大きくなっていないので、散歩やベビー用品のお買い物などを済ませておくという方も多いのではないでしょうか。
しかしそんな妊娠中期に、お腹がキュッと固くなって心配になったというママもいるようです。そこでここでは、妊娠中期にお腹の張りを感じる原因と受診の目安についてご紹介します。
お腹の張りの感じ方は人それぞれ
お腹の張りや痛みは、感じ方や程度に個人差があるものの、妊娠中であれば誰でも起こりうるものです。
先輩ママに「お腹が張って安静にしていた」「お腹がキューッとなって固くなるよ」という話は聞いたことがあるけれど、実際にどのように感じるのかがわからないという方も多いことでしょう。以下は、お腹が張る状態の感じ方の例です。
- バレーボールのように固くなる
- 下腹部が痛い
- おなかがパンパンになる感じ
- 中で炭酸が膨らんでいくみたいな感じ
- 引っ張られるような感覚
- キューッと縮まる感じ
- お腹と背中の皮まで引っ張られるような痛み
- おへその下あたりがカチカチになった
妊娠中期になると、感じ方は人それぞれ異なるものの、お腹の張りを感じる妊婦さんが少しずつ増えてきます。とくに仕事を続けている妊婦さんに多いようで、たくさん動いたり無理な体勢をとったりしたときに感じやすくなります。
妊娠中期のお腹の張りの原因
辛かったつわりも落ち着き、食事も美味しく快適に過ごせるようになる妊娠中期。ママやお腹の赤ちゃんの状態も安定してくるので、比較的お腹の張りも起こりにくい時期ではあります。
この時期に起こるお腹の張りは、体調が良いことで活発に動くようになったことで起こる生理的なものがほとんどで、安静にしていれば治ることも多いでしょう。
以下は、妊娠中期にお腹が張る原因の例です。
- 子宮が大きくなったことにより子宮を支える筋肉が収縮するため
- 子宮を支えている靭帯が引き伸ばされるため
- お腹が大きくなって皮膚が引き伸ばされるため
- 腸が子宮を圧迫して便秘になったりガスがたまったりするため
- 血流が滞って冷え性になるため
- 仕事の疲れやストレス
一般的に、夕方以降はお腹が張りやすいといわれています。なぜなら、現代では妊娠中期でも仕事を続けているママも多く、日中に体を動かしたり頭を働かせたりすることで、夕方になると疲れが出てくるためです。
また、仕事に集中していて弱いお腹の張りに気づかないこともあり、仕事を終えて一息ついたときに気づくことも。仕事中であっても、お腹の張りが辛いと感じるときは、職場の方に相談し体を休めるようにしましょう。
妊娠中期のお腹の張りで受診する目安
妊娠中期に感じるお腹の張りの多くは、体を動かしたことによるものやお腹が大きくなるにつれて現れるものです。しかし中には、お腹の赤ちゃんに危険が迫っていることを知らせるものもあるので、注意しなければいけません。
以下は、妊娠中期のお腹の張りで受診する目安をまとめたものです。
- 横になって休んでも1時間以上張りが治らない
- 1日に何度も張りを感じる
- 張りがどんどん強くなる
- 動けないほどの痛みを感じる
- おなかが板のように固い
- 張りとともに出血がある
- 発熱している
- 胎動が急に感じられなくなった
上記のような症状は、早産や流産の可能性があります。
徐々に治ってくるようであれば問題ありませんが、いつもよりも張る時間が長い、痛みを伴うなど普段と様子が違うようであればすぐに病院を受診しましょう。
妊娠中期にお腹が張ったときの対策法
妊娠中期は、急激にお腹が大きくなってくることなどが原因で、身体のあちこちが痛かったりお腹が張ったりとマイナートラブルが絶えません。とくにお腹の張りは、頻繁に起こると切迫早産などにつながる恐れもあるため、普段から注意しておく必要があります。
そこでここでは、妊娠中期にお腹が張ったときの対処法を8つご紹介します。
横になり安静を保つ
お腹が張ったときの対処法の基本は、横になって安静を保つことです。
とくに疲労によってお腹が張っているときは、全身の力をゆるめるように十分な休息をとってください。横になれないときは、張りが治るまでできるだけ座り、楽な姿勢をとりましょう。
お腹をさすらない
妊婦さんのお腹をさする、軽く押すなどの行為は、子宮を収縮させる効果があるのをご存知ですか?これは実際に医師や助産師が行っている方法で、赤ちゃんが産まれた後、母体から胎盤を排出させるためにお腹をさすって子宮の収縮を促すことがあります。
妊娠中期は胎動を感じられるので、赤ちゃんとコミュニケーションを取りたい気持ちは非常によくわかりますが、お腹が張っているときはお腹をさすらないようにしましょう。
マタニティヨガをする
お腹が張ったときは、まずは横になってしっかりと休みます。治ったと感じたら、ヨガで適度に体を動かし、血流を促進しておきましょう。
マタニティヨガはリラックス効果もあるため、お腹にガスがたまって張りを感じるときも非常に有効です。以下は、ヨガのガス抜きポーズの基本です。
- 床に仰向けに寝て右膝を立てる
- 両手で右膝を抱える
- 鼻から大きく息を吸う
- 吐く息で右膝を胸へ引き寄せる
- 次の息を吸うときに膝を抱える力をゆるめる
- これを3〜4回繰り返す
- 左も同様に行う
妊娠中期は、お腹の大きさに個人差があります。お腹が出ている場合は、できるだけ圧迫しないように気をつけましょう。
体を温める
体が冷えると血管が縮み、お腹が張りやすくなります。腹帯をしたり上にもう一枚羽織ったりしてお腹を温めるだけでなく、足を冷やさないように靴下を履きましょう。
また、暖かい飲み物で体の内側から温めるのも、お腹の張りだけでなく体全体の血流も促進してくれるのでおすすめです。他にも、腰や背中、足首をカイロで温めたり、膝掛けをかけたりするなど、工夫して体を冷やさないようにしましょう。
ゆったりした服に変える
下着や服のサイズが合っていないと、お腹が締め付けられて張ってしまうことがあります。とくに妊娠中期は、グングンと急激にお腹が大きくなり、これまで普通につけていた下着や服があっという間に小さくなってしまうことも。
そのようなときは、ゆったりとした服に着替えて横になり安静にすると、張りを軽減できるでしょう。
気分転換をする
妊娠中は体の変化に伴うストレスや、ホルモンの影響によっても気分の浮き沈みが激しくなります。とくに働くママにとっては、妊娠中の通勤や仕事が意外とストレスになりやすいものです。
休息を取ったり気分転換をしたりして上手にお腹の張りと付き合いましょう。
便秘を解消する
妊娠中は胎盤からプロゲステロン(黄体ホルモン)が分泌されます。そのため、消化管のぜん動運動が低下して便秘になり、お腹の張りを引き起こすことも。
便秘に悩む妊婦さんは意外と多く、約50%の方が訴える症状だといわれています。便意を感じたら我慢しない、水分や食物繊維をしっかりと摂る、生活リズムを整える、バランスの取れた食事を心がけるなどの方法で便秘を解消し、お腹の張りを予防、改善しましょう。
おっぱいマッサージを一時中断する
妊娠中期以降、主に乳首のマッサージを行う方も多いですが、バストへの刺激は子宮の収縮を促進するホルモンの分泌も促してしまうため、お腹が張る原因になることもあります。
お腹の張りがあるときはマッサージを一時中断し、かかりつけの産婦人科で再開する時期を相談しましょう。
まとめ
妊娠中期にお腹の張りを感じる原因と受診の目安、その対処法を8つご紹介しました。
妊娠中期は、つわりも終わり体調が安定する時期でもありますが、その反面さまざまなマイナートラブルも起こります。
お腹の張りもそのひとつで、多くの場合心配することのないものですが、切迫早産などのサインが含まれている可能性もあるので注意が必要です。
とくに安静にしても張りが治らないときや、どんどん強くなるとき、出血などを伴うときは早急にかかりつけの産婦人科に連絡し、医師の指示に従いましょう。