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妊娠中期は、赤ちゃんの胎動もはっきりと感じられ、妊婦生活にも慣れてくるころです。吐き気や眠気など、辛かったつわりもやっと治まり体調が安定してきたという方も多いのではないでしょうか。
しかしつわりが治まってくる方も多い中、妊娠中期に入ったにもかかわらず、吐き気に悩まされている方もいるようです。
妊娠中期は、まだまだ仕事を継続している方も多い時期。家にいるときであれば横になったりできますが、仕事中となるとそうはいかないものです。出勤するときに平気だったとしても、急に吐き気が起こることもありますので、できればそうならないように対策しておきましょう。
この記事では、妊娠中期に吐き気が起こる原因と妊娠中期の吐き気が辛いときの5つの対策法をご紹介します。妊娠中期の辛い吐き気にお悩みの方は、ぜひ最後まで読んでみてください。
妊娠中期に吐き気が起こる原因
一般的に、妊娠中期は安定期とも呼ばれ、妊娠初期に感じていた体調の悪さも落ち着いてきます。吐き気や嘔吐自体が胎児に悪影響を与えるわけではありませんが、いつまで続くかわからない症状に悩まされることで精神的なストレスになりやすい点にも注意が必要です。
ここではまず、妊娠中期に吐き気が起こる原因についてご紹介します。
プロゲステロンの過剰分泌
妊娠中期の吐き気は、プロゲステロン(黄体ホルモン)が過剰に分泌されることも影響していると考えられています。
プロゲステロンは、妊娠初期には卵巣で多く分泌され、胎盤の形成にかかわっているホルモンです。妊娠15週頃に胎盤が完成すると、胎盤からプロゲステロンが分泌されるようになり、徐々に吐き気などの症状が軽くなります。
しかしなんらかの原因によって胎盤完成後もプロゲステロンが過剰に分泌され続けると、体内にガスが溜まりやすくなり、吐き気や嘔吐、不快感の原因となります。
また、妊娠中のホルモンの変化で口の中が酸性に傾き、唾液の分泌量が低下することにより、口の中の不快感が増して吐き気を催すことも。出産後は自然と解消されますが、歯垢も残りやすく虫歯や口臭の原因にもなるため注意が必要です。
子宮が周辺の臓器を圧迫している
妊娠中期に入ると、徐々にお腹も大きくなり妊婦さんらしい体つきになってきます。お腹の赤ちゃんが急激に成長してくる時期でもあるため、それに伴って胎盤や羊水も増加し、子宮も大きくなってくるでしょう。
とくに平均よりも胎児が大きい場合や急激に成長しているような場合、母体が小柄な場合、双子などの多胎妊娠の場合などは、妊娠中期であっても子宮が周辺の臓器を圧迫する可能性が高まります。
すると胃が下から持ち上げられているような状態になるため、吐き気や嘔吐の原因になってしまうのです。
ひどいと妊娠悪阻の可能性も
妊娠中期に入っても吐き気が続く、嘔吐を繰り返すような場合は、妊娠悪阻(にんしんおそ)の可能性があります。
妊娠悪阻とは、妊娠中にみられる極めて強い吐き気や激しい嘔吐のことで、体重の減少や脱水などを起こす危険な症状です。さらに症状が悪化すると内臓の機能にも支障をきたし、場合によっては生命が危ぶまれるような重篤な状態に陥る恐れもあります。
以下は、妊娠悪阻の疑いで病院を受診するかどうかの判断の目安です。
- 1日中吐き気が治らない
- 食事が摂れない、水分すら摂れない
- 料理ができない、お風呂に入れないなど日常生活に支障が出ている
- 体がだるくて起きられない
- 経口補水液OS-1を飲んで美味しいと感じる
妊娠悪阻は、ママと赤ちゃんの両方にとって悪影響になります。妊娠中期は安定期だから大丈夫だと自己判断せず、辛いときは我慢せずに受診しましょう。
妊娠中期の吐き気が辛いときの5つの対策法
妊娠中期以降に治まったはずの吐き気が再発し、精神的に参ってしまったというママも少なくありません。中には妊娠初期から継続して吐き気や嘔吐があるという方や、ぶり返した体調不良が数か月続いたという方もいて、かなり個人差があることがわかります。
ここでは、妊娠中期の吐き気が辛いときの5つの対策法についてご紹介します。妊娠中期の吐き気は、症状によってもさまざまな乗り切り方があるため、自分に合っていそうなものを参考にしてみてください。
食生活を変えてみる
大きくなった子宮に内臓が圧迫されて吐き気を催してしまう場合は、無理せず少しずつ何度かに分けて食事をするのが理想的。一度にたくさんの量の食事を摂ると、気分が悪くなってしまうので注意しましょう。
また、消化の悪い油ものや刺激物、炭酸飲料などもできるだけ避けたいものです。
妊娠中期に吐き気を感じる際におすすめなのは、内臓を温めるようなスープやカフェインレスのホットドリンク、ハーブティー、おかゆや湯豆腐などです。
吐き気が強く食べられるものも限られている場合は、栄養にこだわりすぎても精神的に追い詰められてしまいます。いろいろと試しながら、食べられるものを探すようにしましょう。
空腹のまま動き回らずに済むように、外出する際はバッグにナッツやクラッカーなど簡単に食べられるようなものを忍ばせておくのもおすすめです。
高めの枕を使う
妊娠中期は、子宮に胃が持ち上げられて圧迫されたり食道括約筋が緩んだりするため、食後すぐに横になってしまうと胃酸や胃の内容物が逆流しやすくなります。
できるだけ就寝直前の食事は控えるとともに、少し高めの枕を使うことで胃酸の逆流を防いで吐き気を予防するようにしましょう。
気分転換をする
妊娠中期は、胎児の急激な成長によりお腹もぐんぐん大きくなります。ママも体を思うように動かせず、疲れやすくなったと感じることもあるでしょう。
また、出産が近づいてくることや出産後についての不安も高まっていき、ストレスを感じることも増えるはずです。精神的なストレスは自律神経の乱れや胃酸の過剰分泌を起こしたり、偏頭痛の原因になったりするため、早めに対策しておくとよいでしょう。
趣味がある方はそれに没頭したり、好きな音楽を聴きながら出産後の新生活に必要なものを探したりして、上手にストレスを発散してください。
ビタミンを摂取する
妊娠中は、ビタミンを摂取することで重度の吐き気や嘔吐のリスクを軽減できるのをご存知ですか?おすすめは、ビタミンB1やB6、ビタミンCなどの水溶性ビタミンです。以下のような食品を意識して摂取するようにしましょう。
- 豚肉
- そば
- パスタ
- さつまいも
- 豆腐
- 大豆
- マグロ
- カツオ
- ブロッコリー
- レモン
- 柿
- いちご など
上記の食品を意識して摂取することで、妊娠中期の吐き気を軽減できる可能性もありますが、吐き気で食べられそうもないときは、ビタミン剤を上手に利用するとよいでしょう。
妊婦用サプリメントには、妊娠中に必要な栄養素が含まれているうえに、不足しがちな鉄分やカルシウムなども同時に摂取できるのでおすすめです。
嘔吐が突然起こる場合は早めの産休も検討
仕事中に体調が悪くなったとき、すぐに早退して体を休められればよいですが、社会人として仕事をしている以上なかなかそうはいかないことも。
嘔吐が突然起こったときは、まずは職場で落ち着くまで休ませてもらうようにしましょう。
また、妊娠中期に嘔吐が突然起こる場合は、予定しているよりも早めに産休を取ることを検討するのもひとつの方法です。
通常の場合産休は、出産予定日の6週間前から取得できます。これは労働基準法第65条で定められた出産準備期間で、任意で取得可能となっており会社に申請することでお休みできます。会社によっても違いますが、先輩ママたちは大体妊娠8か月に入る頃、申請をしておくようです。
しかし、妊娠中期でも嘔吐が突然起こるなどで仕事に支障が出るような場合は、心身共につらくなってしまう可能性もあるので、上司に相談して早めに産休に入ることをおすすめします。
「出産後のために、できるだけお給料をもらっておきたい」と思われる方もおられるかもしれませんが、出産手当金が出るまでの間有給休暇を取得できないかなど、会社だけでなく家族とも事前に相談しておくと安心でしょう。
まとめ
妊娠中期に吐き気が起こる原因と、妊娠中期の吐き気が辛いときの5つの対策法をご紹介しました。
一般的に、安定期といわれるほど母体、胎児ともに体調が安定する妊娠中期。多くの妊婦さんが辛かったつわりから解放され、食事も美味しくいただけるようになります。
しかし、妊娠中期になってもひどい吐き気でお悩みの方もいるようで、なかなか食べられず痩せてしまう方も。ひどくなると妊娠悪阻で入院しなければいけなくなる可能性もあるうえ、発熱や頭痛、痺れや麻痺などの神経症状を伴うような場合は、他の病気が隠れている恐れもあります。
今回ご紹介した対策法で症状が改善するようであればそれほど心配する必要はありませんが、まったく治らない、むしろひどくなるような場合は、我慢せず病院を受診するようにしましょう。
妊娠中期は、妊娠生活の折り返し地点でもあります。本記事を参考に、残りの妊娠生活を健やかに過ごしてくださいね。