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妊娠をするとどうしても避けられないのがつわりですが、つわりの症状は次第に落ち着くものです。このつわりが落ち着く時期のことを「妊娠中期」と呼びます。
しかし、この妊娠中期にもさまざまな体調変化がおこります。そのなかでも、代表的な症状としてあげられるのがめまいです。座ったり立ち上がったりする際にめまいがおこると日常生活でも不安が残ります。本記事では、妊娠中期にくるめまいの原因や対処法、注意点などをご紹介します。
現在妊娠中の方だけではなく、奥様や知人が妊娠中という方もぜひ読んでみてサポートの参考にしてみてください。
妊娠中期に起こるめまいの原因
今までめまいを経験していなかったという方でも、妊娠中期に入るとめまいが起こることがあります。初めてのめまいに戸惑う方もいるかもしれませんが、どうして妊娠中期にめまいがおこるのでしょうか。
原因は一つではないので、順番にご紹介していきます。
原因1:ホルモンバランスの変化によるめまい
妊娠することでホルモンバランスに変化が生じます。妊娠10週頃になるとhcgというホルモンが多く分泌されますが、徐々にエストロゲンやプロゲステロンというホルモンも多く分泌されるようになっていきます。
このように分泌されるホルモンのバランスが急激に変わっていくことで、自律神経に乱れが生じます。この自律神経の乱れがめまいを引き起こす原因となるのです。
原因2:脱水によるめまい
妊娠中にあまり食事をとれないという方もいます。なかには食べ物ばかりか飲料でも口にすると気持ち悪くなってしまう方も。
わたしたちは日常の中で飲料だけではなく食事からも水分をとっているので、食事や飲料の摂取量が減ることは想像以上に身体に負荷がかかります。この脱水の状態がめまいを引き起こす原因となるのです。
原因3:起立性低血圧によるめまい
日常生活の中で立ち上がったり起き上がったりすることはよくありますが、この時に血圧が低下することがあります。妊娠中は血管が広がっている状態になるため、通常時よりも血圧が低下しやすくなっています。
こういった血圧の低下のことを起立性低血圧と呼びます。起立性低血圧がめまいを引き起こす原因となるのです。
原因4:鉄欠乏性貧血によるめまい
妊娠中は必要な血液量が多くなるため、それにともなって鉄分も多く必要となります。そのため、たくさんの血液を作らなければいけなくなりますが、妊娠前と変わらない食生活を続けると血液の生成が間に合いません。
そのため貧血になりやすいのですが、この貧血のことを鉄欠乏性貧血と呼びます。鉄欠乏性貧血がめまいを引き起こす原因となるのです。
原因5:妊娠高血圧症候群によるめまい
妊娠する前は高血圧でない方でも、妊娠後に高血圧になる場合があります。だいたい妊娠20週目からなる方が多く、この高血圧のことを妊娠高血圧症と呼びます。
また、この妊娠高血圧症に加えて蛋白尿の症状も出ている場合は総称して妊娠高血圧症候群と言います。発症の確率は全妊婦の5%ほどで、重症化するケースもあります。高血圧には頭痛やめまいといった症状が伴いますので、妊娠高血圧症候群がめまいを引き起こす原因となるのです。
めまいの対処法
めまいが起こる原因はお分かりになりましたでしょうか。努力次第ではこのめまいを抑えることができるかもしれません。
ここからは、めまいを起こさないための対処法についてご紹介します。
対処法1:無理に食事をしない
めまいが起こる原因の一つとして脱水が挙げられますが、きちんと水分を取ることができれば脱水によるめまいは起きません。
しかし、妊娠中はホルモンバランスが乱れやすく、食事を取ることが難しい方もいます。こういう場合は無理に食べ続ける必要はありません。
自分の体調と相談して、食べられそうなときにしっかり食事をとることが大事です。特に妊娠は長期間付き合い続けるものですので、無理をするとかえってストレスとなり余計食べられなくなることも考えられます。
「自分が食べたいときに食べる」という気持ちで、食べられない時は無理に食事をとろうとしなくて大丈夫です。しかし、水分は少しずつでもこまめに摂ることが大切になります。「飲料さえも喉を通らない」という方は病院で点滴をしてもらうことも考えましょう。
対処法2:急な動作を避ける
起立性低血圧によるめまいは、急に椅子から立ち上がったり、寝ている状態から起き上がったりした際に起こります。
なるべく普段の生活からゆっくりとした動作を心がけ、急な動作は避けるように意識しましょう。
対処法3:普段から安静に健康な生活をする
当たり前ですが、妊娠中は無理をしないことが大事です。妊娠中のホルモンバランスの乱れや貧血によるめまいは1日寝れば解決するような問題ではありませんが、体調管理をしっかりすることによってめまいをある程度抑えることはできます。
バランスの良い食事と睡眠をしっかりとることで体調を整え、なるべくめまいを引き起こしづらい体作りをすることも大事です。
対処法4:病院から処方される鉄剤をのむ
バランスの良い食事を摂ったとしても、妊娠中に不足した鉄分を食事だけでまかなうことは難しいです。だからこそ、食事以外の方法で補う必要があります。
病院へ相談をすれば、鉄剤を処方してもらうことができます。鉄剤とは、鉄粉を主原料として作られた薬のことです。食事から摂取できる鉄分の量を大きく上回り、吸収も良いことから貧血の治療方法として用いられます。
市販のサプリメントなどで代用しようという方もいますが、過剰摂取となってしまう場合もあるので必ず医師に相談するようにしましょう。
めまいの注意点
妊娠中期のめまいについてご説明しましたが、妊婦として最も気になるのはめまいによる赤ちゃんへの影響ではないでしょうか。ここからは、妊娠中期に起こるめまいの注意点についてご説明します。
注意点1:めまいの原因によっては赤ちゃんに影響が出る
めまいはさまざまな原因から引き起こされますが、もしめまいの原因が鉄欠乏性貧血によるものだとしたら注意が必要です。
鉄欠乏性貧血ということは、赤ちゃんにも十分な栄養が供給できていない可能性があります。妊娠初期から中期にかけての貧血は早産になってしまう可能性があったり、低出生体重児となってしまうリスクが上がったりします。
また、鉄欠乏性貧血ではなく妊娠高血圧症候群が原因のめまいも注意が必要です。先述した通り妊娠高血圧症候群は妊娠高血圧症と妊娠高血圧腎症の合併症です。重症化してしまうと脳出血や、臓器の機能障害を引き起こす場合もあります。
また、赤ちゃんの発育不良にも繋がることや、最悪のケースでは赤ちゃんが亡くなってしまうこともあり、とても怖い病気です。めまいがひどい場合は赤ちゃんのためにも原因を探る必要があるので、きちんと病院にかかるようにしましょう。
注意点2:めまいに伴う症状がある
妊娠中期のめまいには、めまい以外の症状を伴うケースがあります。どんな症状が伴うのかについても確認しておきましょう。
めまいに伴う症状1:動悸
妊娠中はホルモンバランスの変化が激しいことは前述した通りですが、このホルモンバランスの乱れによって引き起こされるのはめまいだけではありません。動悸の症状にも起因するのです。
また、鉄欠乏性貧血によるめまいも同様に動悸を引き起こしますので要注意です。
めまいに伴う症状2:吐き気・嘔吐
妊娠高血圧症候群は、めまいだけではなく吐き気を催したり嘔吐してしまったりします。さらに、嘔吐することによって水分が不足し脱水の状態になることも懸念されます。
脱水によってめまいを引き起こすこともありますので、嘔吐を繰り返したときはしっかり水分をとるよう心がけましょう。
めまいに伴う症状3:視力への影響
妊娠高血圧症候群では、目がかすんだり、チカチカしたりするなどの症状も引き起こします。めまいの症状と似ていますが、妊娠高血圧症候群から引き起こされる症状ですので、目がかすんだりした場合はきちんと病院にかかることをおすすめします。
まとめ
妊娠中期のめまいについてご説明しましたが、いかがでしたでしょうか。めまいが起こると転倒の恐れもあり、赤ちゃんを守る妊婦としてはただのめまいと軽んじることはできません。健康な赤ちゃんを出産するためにも、健全な方法でめまいを引き起こさない工夫を日常生活に取り入れる必要があります。
妊娠中はさまざまなリスクや負担に襲われるため、気を付けることも多くストレスがついつい溜まりがちです。妊娠している本人だけではなく、身近にいる方がしっかりサポートしていくためにも、つわりの落ち着いた妊娠中期に安心するのではなく一層気に掛けるようにしましょう。