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妊娠超初期に見られる症状の一つに不眠があります。本来、排卵後に分泌量が増えるプロゲステロンの働きによって眠たいと感じる人は多いです。しかし、なかには、「夜間や早朝に目が覚める」「眠れない」と悩んでいる人もいるようです。妊娠の可能性があるときは、健康のためにも良質な睡眠をとりたいもの。
そこで今回は、妊娠超初期の不眠の原因や対処法について解説します。
妊娠超初期の体の変化
妊娠超初期は妊娠0~3週頃のことをいいます。妊娠超初期は医学的な用語ではなく、明確な定義はありません。妊娠で体に変化や不調が現れ始めるのは、早い人では妊娠が成立する3週目以降です。これは、生理開始の2週0日から3週0日頃にかけて、排卵・受精・着床が起こるためです。妊娠週は、最終月経が始まった日を0週目0日としてカウントします。
妊娠が成立したら、体の中では出産に向けて以下のような準備が始まっています。早い人であれば、この時期でも体調の変化に気がつくようです。
【妊娠超初期の体(内)の変化】
- □排卵日がすぎても体温が高温期のまま
- □排卵後減るはずのプロゲステロン、エストロゲンが分泌され続ける
- □hCG(ヒト絨毛性性腺刺激ホルモン)が分泌されはじめる
妊娠と睡眠の関係
女性の体内では、排卵後にプロゲステロンと呼ばれる女性ホルモンの分泌量が増えます。このプロゲステロンは、妊娠するとさらに急増することが分かっており、眠気を起こす物質のアロプロゲステロンを発生させます。そのため、妊娠初期は眠気を訴える人が多いようです。
しかし、妊娠初期には睡眠途中で目が覚めてしまい、睡眠の質が落ちることで普段は寝ている時間に眠れないと感じる人が多いことを示した統計もあります。睡眠に関する症状は、妊娠中期に一度落ち着きますが、妊娠後期になると、再び寝付きが悪くなったり、眠気が浅くなったり、途中で目が覚めたりするなどと不眠の悩みが増えることがあります。
人によっては、妊娠で体が変化することやストレスなどが原因となって不眠になるケースもあります。
妊娠したら気をつけたい睡眠障害
前述のように、妊娠すると多くの人は日中に眠気を感じやすくなります。また、妊娠が睡眠時無呼吸症候群やむずむず脚症候群のきっかけになる場合もあります。
- □睡眠時無呼吸症候群:就寝時に呼吸が止まってしまい、過眠や高血圧、動脈硬化の原因となる病気
- □むずむず脚症候群:夕方から深夜にかけて起こる下肢の異常感覚で、不眠や過眠を引き起こす病気
これらの症状があるときや、不眠で何日も十分に眠れないときは、睡眠外来で正しく診断してもらうことが大切です。
出典:e-ヘルスネット『女性の睡眠障害』
妊娠超初期の不眠の原因
妊娠超初期に不眠になる原因として、以下のようなことが考えられます。
【妊娠超初期の不眠の原因】
- □ホルモンバランスの変化
- □頻尿
- □妊娠に対する期待と不安
それぞれ、妊娠とどのように関わっているのか、詳しく見ていきましょう。
ホルモンバランスの変化
妊娠が成立すると、エストロゲンとプロゲステロンというホルモンが急増します。これらのホルモンは、いずれも妊娠維持のためには欠かせません。
プロゲステロンは体温を高く維持する作用を持つため、就寝中に寝苦しく感じたり、途中で目が覚めたりして眠りを妨げることがあります。
頻尿
妊娠すると初期から子宮が大きくなりながら、胎児はどんどん成長していきます。子宮が大きくなると、隣接する膀胱が圧迫されて膀胱に溜めておける尿量が少なくなります。また、子宮を支える周辺の筋肉が弛緩したり、体内の水分量が増えたりすることによって頻尿になることがあります。
夜間の睡眠中に尿意で目が覚めたり、トイレに行ったあとに覚醒して眠れなくなったりした結果、不眠となってしまうことがあります。
妊娠に対する期待と不安
妊娠に対する期待と不安が不眠の原因になっていることもあります。
妊娠超初期は、妊娠検査薬で反応しない時期であるため、妊娠しているかどうかを調べようがなく、期待と不安が入り混じることもあるでしょう。特に、初めての妊娠や待ち望んでいた妊娠など、人によっては妊娠が継続していくか不安のほうが大きいという人もいるかもしれません。こうしたストレスも不眠の症状につながります。
また、妊娠によって分泌料が増えるプロゲステロンは、月経前症候群(PMS)を引き起こします。妊娠の有無に関わらず、抑うつ気分や感情の爆発、気分が落ち込む、涙が出るなどの症状を引き起こすことがあるため、普段より心が不安定になりやすく、それが不眠につながることもあるようです。
眠れなくて妊娠している可能性がある場合の対策
妊娠超初期に眠れないときは、以下の対策を試してみましょう。
【妊娠超初期に眠れないときの対策】
- 1.眠る前にお風呂に入る
- 2.眠る前のスマホやテレビをやめる
- 3.朝日を浴びる
- 4.メラトニンの分泌を促す食事をとる
- 5.リラックスできる飲み物を飲む
多くの場合、妊娠超初期の不眠は一時的なものです。十分な睡眠がとれていときは薬に頼ってしまいたくなるかもしれません。しかし、妊娠中の薬の服用は、母体や胎児に影響を及ぼす可能性があります。そのため、自己判断での服用は避けてください。
対策1:眠る前にお風呂に入る
深い睡眠をとるためには、就寝の2~3時間前にお風呂に入るのが効果的です。体温の上昇が0.5℃程度でも、寝つきの効果が認められています。そのため、38℃のぬるめのお湯で25~30分、42℃の集めのお湯なら5分程度浸かりましょう。温度が高すぎたり、長時間入浴したりするのは、のぼせや脱水の原因になるため要注意です。
また半身浴でも同様の効果が認められています。40℃程度のお湯に腹部まで浸かり、30分ほどの入浴が理想です。眠れないときは、自分に合った入浴方法を選択して不眠対策を行いましょう。
(出典:e-ヘルスネット『快眠と生活習慣』)
対策2:眠る前のスマホやテレビをやめる
電子機器から発生しているブルーライトは、入眠を妨げる可能性があります。就寝前にスマホを触ったりテレビを見たりしながら眠ってしまうことがありますが、これは避けましょう。
たとえば、寝る前にメールやSNSをチェックする習慣のある人は、ベッドに入るまでに済ませる、スマホを手の届かない場所に置くなどして対策しましょう。
対策3:朝日を浴びる
不眠気味の人は、朝目が覚めたら朝日を浴びるようにしましょう。私たちの体には体内リズムが備わっており、昼は活動して夜は眠るというリズムができています。この体内時計を調節するのがメラトニンと呼ばれる物質です。
メラトニンは、眠りに誘う作用を持っており、光によって分泌量が調節されます。朝日を浴びることでメラトニンが分泌が止まり、体内時計がリセットされます。朝日を浴びた14~16時間後に再び分泌量が増えて眠りを誘うため、寝起きに朝日を浴びることが大切です。朝、目が覚めたらカーテンを開けて数分間太陽を浴びるようにしましょう。
対策4:メラトニンの分泌を促す食事をとる
メラトニンの分泌は、朝日を浴びること以外に、食事によっても促すことができます。メラトニンの材料となる物質はトリプトファンと呼ばれる必須アミノ酸です。
不眠傾向にある人は、以下の食材を意識して摂取しましょう。
【メラトニンの分泌を促す食材】
卵、納豆、バナナなど、まぐろ、かつお、チーズ、カシューナッツ、アボカドなど
対策5:リラックスできる飲み物を飲む
眠れないときは、リラックスできる飲み物で心を落ち着かせることも大切です。
たとえば、ホットミルクにはちみつを入れたものや豆乳、カモミールやラベンダーなどのハーブティーには心を落ち着かせる作用があります。
ただし、妊娠の可能性があるときはノンカフェインのものを飲みましょう。
また、ハーブティーの場合、子宮を収縮させたり緊張させる作用のあるものもあるため、種類には注意が必要です。
(出典:e-ヘルスネット『快眠と生活習慣』)
妊娠超初期症状なのかそうでないかを知る方法
妊娠超初期の段階で、妊娠による不眠なのかそうでないのかを見極める方法の一つに、基礎体温の変化で判断する方法があります。基礎体温は、低温期と高温期に分かれています。生理開始から排卵前の約2週間が低温期、排卵後から次の生理予定日までの約2週間が高温期です。
高温期になると、低温期から0.3~0.5℃ほど体温が高くなった状態を12~14日維持します。妊娠している場合は14日を過ぎても高温期を維持したままで生理は来ません。そのため、高温期が16日を過ぎても生理が来ない場合は妊娠している可能性があります。
ただし、これはあくまでも可能性を示唆するものであり、妊娠を100%保証するものではありません。黄体機能不全や無排卵などの疑いが場合は、基礎体温から妊娠を判断するのは難しくなります。妊娠を確実に正しく判定するには、生理予定日から1週間を過ぎてから妊娠検査薬を使用する、もしくは病院での検査を検討しましょう。
(出典:女性の健康推進室ヘルスケアラボ『基礎体温』)
まとめ
妊娠超初期に起きる不眠は、ホルモンバランスの変化や妊娠への期待・不安、そして妊娠による頻尿などが原因です。眠れない日が続くときは、湯船につかったり、朝日を浴びて規則正しい生活を心がけたり、メラトニンの分泌を促す食材を積極的に取り入れたりして対策を講じましょう。妊娠を望んでいる女性は、妊娠しているかどうかを判断する基準の一つとなるため、普段から基礎体温を計測し、記録しておくこともおすすめです。
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