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子宮ポリープってどんな病気?種類別の症状や治療法・放置するデメリットについて解説

子宮ポリープとは、子宮に発生するポリープ状の病変のことです。

子宮にできるポリープの中でも、発生する場所によって子宮口(頸部や膣部)にできるものを「子宮頚管ポリープ」、子宮の奥にできるものを「子宮内膜ポリープ」と呼びます。どちらもほとんど自覚できる症状がないため、婦人科健診などで偶然発見されることも多いです。

これらは多くの場合良性ですが、稀に悪性のケースもあるので、切除して顕微鏡による病理検査を行うこともあります。良性であれば命に関わるような状況にはなりませんが、一度できてしまうと再発しやすいことから、定期的に受診してチェックしてもらった方がよいでしょう。

この記事では、子宮頚管ポリープと子宮内膜ポリープの症状や原因、治療法などについて詳しく解説します。放置するデメリットもご紹介するので、健診で子宮ポリープがあると言われた方や、子宮になんらかの症状がある方はぜひ最後まで読んでみてください。

ポリープとは

ポリープとはもともと「出っぱったもの」という意味で、形態的な名称です。粘膜がイボのように盛り上がったものすべてのことです。

ポリープの中には、腫瘍から炎症によるものまでさまざまなものがあり、良性から悪性まで幅広く含みますが、通常は悪性以外のものを指します。

胃や腸、食道などにしばしばみられ、胃にできたものは「胃ポリープ」、大腸だと「大腸ポリープ」と呼ばれます。

自覚できる症状もほとんどないため、健康診断などで発覚してそのまま切除した経験のある方もおられるのではないでしょうか。

上述したように悪性以外のもののことを指しますが、徐々に大きくなるものや将来悪性に移行する可能性のあるものも。そのような場合は定期的な経過観察をきちんと行い、医師の判断によっては切除することもあります。

子宮頚管ポリープについて

子宮頚管ポリープとは、子宮から膣につながっている子宮頚管にできるポリープのことです。子宮頚管の粘膜組織が増殖することでキノコ状の腫瘍となり、膣に向かって指のように突き出たり垂れ下がったりします。

大きさは、米粒大の小さなものから小指大以上の大きなものまであり、ポリープ部分は赤くやわらかいのが特徴です。そのほとんどは良性ですが、自然治癒することはほとんどないため、適切な治療を受ける必要があります。

ここでは、子宮頚管ポリープの症状や原因などの基本的な情報をご紹介します。

症状

子宮頚管ポリープは、基本的に痛みなどの自覚症状はありません。しかし、ポリープ自体がやわらかく充血しやすいため、少しの刺激で簡単に出血が起こるのが特徴です。

以下は、子宮頚管ポリープの症状の例です。

  • 性交時や激しい運動後の不正出血
  • 排便時にいきんだ際少量の出血がある
  • おりものの増加
  • 茶褐色のおりもの
  • 膿のようなおりもの

子宮頚管ポリープは、多くの場合直径1cm未満ですが、大きくなるとポリープに血液が行き届きにくくなります。血液が行き渡らなくなったポリープが壊死すると、刺激がなにもない状態でも不正出血が起きてしまいます。

感染が起こると、膿の混じったおりものが出ることも。また、少しの刺激で出血を起こすような構造のポリープは、子宮頸癌などの悪性病変の可能性もあるので、早めに婦人科を受診しましょう。

原因

子宮頚管ポリープができる原因については、いまだはっきりとしたことはわかっていません。

しかし、子宮頚管の慢性的な炎症もしくは感染症、女性ホルモンの影響、出産時の刺激などが関係していると考えられています。

検査方法

医療機関では、まずは問診と内診を行い、必要に応じて膣鏡による検査を行ってポリープの有無をチェックします。悪性かどうか判断するために、ポリープの一部を切除して顕微鏡で調べる病理診断を行うことも。

産婦人科を受診すればすぐに診断がつきますので、気になる症状がある場合は早めに受診することをおすすめします。

治療法

子宮頚管ポリープは、自覚症状がなくポリープの表面が綺麗な場合、定期的な経過観察で済みます。とはいえ、自然治癒する可能性はほとんどないので、出血が頻繁に起こる、出血量が多いなどの場合は切除してしまった方がよいでしょう。

通常、子宮頚管ポリープの切除は経膣で行われます。膣から器具を挿入し、ポリープの根元をねじ切るのが一般的です。

痛みもなく外来で簡単に行える処置であるため、検査の際にその場で切除してしまうケースもあります。出血と再発を予防するために、切除してから電気焼灼や凍結療法、レーザー処理を行うこともあるでしょう。

放置するデメリット

子宮頚管ポリープは、ほとんどのケースで妊娠や出産への影響はありません。しかし、場合によっては不妊症につながる可能性もあるため、放置しないようにしましょう。

子宮頚管は、精子の通り道です。そのため、炎症やポリープなどによって頚管部分が以上に狭くなっている場合や曲がっている場合は、精子が通過しにくい状態になってしまいます。

それに加えて頚管から分泌される粘液の量も少なくなっていると、精子が子宮の奥に進めず不妊症になってしまうでしょう。

また、上記でもご紹介したように、子宮頚管ポリープは稀に悪性の可能性があるため、早期に発見し治療を受ける必要があります。

他にも、稀ではありますが、一見ポリープのように見えるものでも、実は子宮筋腫の一部である可能性も。この場合、処置の仕方によっては大出血を引き起こす恐れもあるので注意が必要です。

子宮内膜ポリープについて

子宮内膜ポリープとは、子宮内膜にできたキノコ状のイボです。子宮筋腫と同様に、月経のたびに剥がれて出血する子宮内膜にできるため、1cmに満たないものでも不正出血や月経過多を引き起こして貧血になる恐れがあります。

大きさは数mmのものから直径が3〜4cmのものまでさまざまで、ひとつではなく多発するケースもありますが、1cmを超える場合は悪性の可能性もあるので注意が必要です。

ここでは、子宮内膜ポリープの症状や原因などの基本的な情報をご紹介します。

症状

子宮内膜ポリープは、不正出血以外に自覚症状がないケースも多く、不正出血で受診したり婦人科健診を受けたりして見つかることが多いです。ひとつだけできることもあれば、多数同時に見つかることもあります。

小さいものは自然に縮んでいくこともありますが、1cm以上のものは自然治癒することはないので注意しなければいけません。

以下は、子宮内膜ポリープの症状の例です。

  • 不正出血
  • ひどい月経痛
  • 月経過多
  • 月経期間が長い
  • 閉経後でも性器出血がある
  • なかなか子どもができない
  • 出血量が多いことによる貧血

乳がんの治療で「タモキシフェン」を服用している方は、子宮内膜ポリープが発症する確率も高まるので、担当医とよく相談して定期的に検査を受けることをおすすめします。

原因

子宮内膜ポリープの原因は、子宮頚管ポリープと同様、はっきりとしたことはわかっていません。

しかし、雑菌や性感染症による子宮の炎症や出産、流産、女性ホルモンの影響によるものだといわれています。

検査方法

子宮内膜ポリープは、問診と内診を行った後、経膣超音波検査で診断を行います。

さらに、必要に応じて子宮鏡検査や細胞診を行い、悪性の傾向の有無をチェックすることになるでしょう。

超音波検査では、月経終了後から排卵までの間であれば子宮内膜ポリープを確認しやすいのですが、排卵から月経までの間に検査を行うと、正常の子宮内膜と区別しにくい場合も。そのため、正確に診断するためにも、排卵予定日を過ぎてから受診するとよいでしょう。

治療法

子宮内膜ポリープは、すべてのケースで治療が必要とは限りません。

不正出血などの症状がない場合は、細胞診で悪性でないことを確認したうえで経過を観察します。経過観察中にポリープが大きくなったり、不正出血や月経過多の症状が現れたりした場合は、ホルモン剤による治療は行わず、手術でポリープを切除するのが一般的です。

切除の際は、内膜掻爬術か子宮鏡下手術のいずれか、もしくは両者を組み合わせた方法の中から選択することになりますが、医師とよく相談して最適な方法を選ぶようにしましょう。

放置するデメリット

子宮内膜ポリープは、不妊症の原因となることでも知られている疾患です。とくに1cmを超えるポリープは、受精卵の着床を阻害するため、妊娠が成立しにくくなくなります。

もともと不妊症で体外受精などの不妊治療を受けている場合も、子宮内膜ポリープがあることで、治療が失敗してしまう恐れも。これらのことから、妊活中の方はとくに注意が必要です。

また、1cm未満のポリープでも不正出血や月経過多によって貧血になる恐れもあるほか、今は悪性でなかったとしても、APAM(ポリープ状異型腺筋腫)や子宮内膜増殖症(子宮体癌の前癌病変)の可能性もあるので早めに受診しましょう。

まとめ

子宮頚管ポリープと子宮内膜ポリープの症状や原因、治療法などについて詳しく解説しました。

子宮は、胎児を育てる部屋となる部分であるため、女性にとって欠かせない臓器です。妊活中の方や、将来妊娠を希望している方の中には、子宮にポリープがあることにショックを受けてしまった方もおられるのではないでしょうか。

子宮ポリープは多くの場合良性であり、比較的簡単に切除できますが、その反面再発しやすいという特徴があります。再発したとしても症状がなく悪性の疑いもない場合は、その度に切除することはありませんが、定期的な検診は欠かさず受けるようにしましょう。

プロフィール

この記事の筆者:仲田洋美(医師)

ミネルバクリニック院長・仲田洋美は、日本内科学会認定総合内科専門医、日本臨床腫瘍学会認定がん薬物療法専門医 、日本人類遺伝学会認定臨床遺伝専門医として従事し、患者様の心に寄り添った診療を心がけています。

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