目次
子宮内膜症(しきゅうないまくしょう)は、子宮の内側を覆う子宮内膜に似た組織が、卵巣や骨盤の腹膜など子宮の外にでき、月経のたびに炎症や癒着を起こす病気です。生殖年齢の女性の約10人に1人にみられるとされています[1]。年々強くなる生理痛がきっかけで見つかることが多く、不妊の原因にもなります。性行為の回数が原因になるわけではなく、母や姉妹に子宮内膜症がある人はなりやすいことがわかっています。この記事では、症状、原因、遺伝との関係、エコーでわからない場合の診断、薬と手術、妊娠やがんとの関係を解説します。
Q. 子宮内膜症はどんな病気で、治りますか?
A. 子宮内膜に似た組織が子宮の外で増えて、痛みや不妊を起こす病気です。女性ホルモン(エストロゲン)で進むため、閉経まで付き合う慢性の病気と考えられており、治療の目標は完治よりも症状と進行のコントロールです。薬で痛みを抑える方法と、手術で病変を取る方法があり、妊娠を望むかどうかで選び方が変わります。母や姉妹が子宮内膜症の人は発症しやすいものの、遺伝病ではなく、遺伝子検査でなるかどうかを予測することは現時点ではできません。
- ➤症状 → 年々強くなる生理痛、生理以外の下腹部痛・腰痛、性交痛、排便痛、不妊
- ➤原因 → 月経血の逆流が有力だが、それだけでは説明できない。性行為は原因ではない
- ➤遺伝 → 多くの遺伝子が少しずつ関わる多因子疾患。家族歴はリスク因子
- ➤診断 → エコーやMRIで見えない病変もあり、画像が正常でも否定はできない
- ➤がん → チョコレート嚢胞から卵巣がんになる人はまれだが、40歳以上では注意が必要
1. 子宮内膜症とは?どんな病気か
子宮内膜症とは、子宮内膜やそれに似た組織が子宮の内腔以外の場所にでき、女性ホルモンに反応して増えたり出血したりを繰り返す病気です。良性の病気ですが、月経のたびに病変で小さな出血と炎症が起こり、周りの臓器どうしがくっつく「癒着」が進むことで、痛みや不妊につながります。
子宮の外で内膜に似た組織が増え、炎症と癒着を起こす病気
子宮内膜は、子宮の内側を覆う粘膜です。卵巣から出るエストロゲン(卵胞ホルモン)の作用で厚くなり、妊娠が成立しなければはがれ落ちて月経血として体の外に出ます。子宮内膜症では、これとよく似た組織が子宮の外にあり、同じようにホルモンに反応します。ところが子宮の外の病変から出た血液には出口がないため、その場で炎症を起こし、組織が固く線維化して癒着が生じます。
生殖年齢の女性の約10%が子宮内膜症をもつと推定されています[1]。日本産科婦人科学会は、20〜30代で発症することが多く、ピークは30〜40歳ともいわれると説明しています[2]。エストロゲンで進む病気なので、初経(初めての月経)の前にはほとんどみられず、閉経後は多くの場合落ち着いていきます。
できやすい場所(腹膜・卵巣・ダグラス窩・仙骨子宮靱帯・腸・膀胱)
病変は骨盤の中にできることがほとんどです。代表的な場所は、骨盤の内側を覆う腹膜、卵巣、子宮と直腸の間のくぼみであるダグラス窩(か)、子宮を後ろから支える仙骨子宮靱帯(せんこつしきゅうじんたい)、卵管です。子宮と膀胱の間のくぼみ(膀胱子宮窩)や、直腸・S状結腸・虫垂・膀胱の壁にできることもあります。まれに、へそや手術の傷あと、肺や胸膜など骨盤の外にできる例も報告されています。
卵巣にできた病変では、はがれた血液が袋状にたまって古い血液がチョコレートのような色になるため、チョコレート嚢胞(卵巣子宮内膜症性嚢胞)と呼ばれます。また、腹膜の奥深く(5mm以上)まで入り込んだものを深部子宮内膜症といい、直腸や膀胱の近くにできると排便痛や排尿時の痛みの原因になります。
💡 用語解説:ダグラス窩と癒着
ダグラス窩は、子宮の後ろと直腸の間にある、おなかの中で最も低い位置のくぼみです。立ったり座ったりしたときに、逆流した月経血などの液体がたまりやすいため、子宮内膜症が最もできやすい場所のひとつです。癒着とは、炎症のあとで本来は離れている臓器どうし(卵巣と腸、子宮と直腸など)が膜のような組織でくっついてしまう状態で、動かしたときの痛みや卵管の通過障害の原因になります。
子宮腺筋症・子宮筋腫との違い(比較表)
名前が似ていて混同されやすいのが子宮腺筋症と子宮筋腫です。子宮腺筋症は、子宮内膜に似た組織が子宮の筋肉の壁の中に入り込む病気で、子宮全体が厚く大きくなります。かつては「内性子宮内膜症」と呼ばれた時期もあり、子宮内膜症と合併することも少なくありません。子宮筋腫は、子宮の筋肉から発生する良性の腫瘍で、内膜の組織とは関係がありません。3つとも生理痛や過多月経の原因になり、同時に見つかることもあります。
📊 子宮内膜症・子宮腺筋症・子宮筋腫の違い
| 項目 | 子宮内膜症 | 子宮腺筋症 | 子宮筋腫 |
|---|---|---|---|
| 病変の正体 | 子宮内膜に似た組織 | 子宮内膜に似た組織 | 筋肉の細胞からできた良性腫瘍 |
| できる場所 | 子宮の外(腹膜・卵巣など) | 子宮の筋肉の壁の中 | 子宮の筋肉(内側・壁の中・外側) |
| 主な症状 | 生理痛、慢性の骨盤痛、性交痛、排便痛、不妊 | 強い生理痛、過多月経、貧血 | 過多月経、貧血、圧迫症状(無症状も多い) |
| エコーでの見え方 | 卵巣の嚢胞は見えやすいが、腹膜の病変は見えにくい | 子宮の壁が厚く、境界がはっきりしない | 境界のはっきりしたこぶ |
※3つの病気は合併することがあります。個々の診断は画像検査などの結果をもとに婦人科で判断されます。
2. 子宮内膜症の症状|気づくきっかけは?
子宮内膜症に気づくきっかけで最も多いのは、生理痛(月経痛)です。日本産科婦人科学会は、月経痛が患者さんの約9割にみられると説明しています[2]。ほかに、生理以外の時期の下腹部痛や腰痛、性交痛、排便痛、そして不妊が主な症状です[1]。症状の強さは人によって大きく異なり、痛みがほとんどないまま、不妊の検査で初めて見つかる人もいます。
年々強くなる生理痛(月経困難症)
日常生活に支障が出るほどの生理痛を月経困難症といいます。月経困難症には、病気が隠れていない「機能性」と、子宮内膜症や子宮腺筋症などの病気が原因の「器質性」があります。子宮内膜症の痛みは、病変で起きる炎症と出血によるもので、痛みを引き起こす物質(プロスタグランジンなど)が子宮以外の場所からも出るため、通常の生理痛より強くなりやすいと考えられています。
特徴的なのは「年々痛みが強くなる」「鎮痛薬が効きにくくなった」「生理の前から痛み始め、終わっても痛みが残る」という変化です。10代のころから痛みが強く、鎮痛薬を飲んでも学校や仕事を休まなければならない状態が続く場合は、子宮内膜症が隠れていることがあります。痛みの感じ方には個人差があるため、他人と比べるより、自分の痛みが以前と比べてどう変わったかに目を向けることが手がかりになります。
生理以外の痛み:性交痛・排便痛・腰痛・下腹部痛
病変が炎症と癒着を起こすと、生理のとき以外にも痛みが出ます。ダグラス窩や仙骨子宮靱帯に病変があると、性交のときに奥のほうが突き上げられるように痛む性交痛が起こりやすくなります。直腸の近くに病変や癒着があると、排便のときにおしりの奥が痛む排便痛が起こり、特に生理中に強くなるのが特徴です。卵巣と腸の間の癒着については卵巣と腸の癒着で詳しく解説しています。
このほか、腰痛、下腹部の鈍い痛みが続く慢性骨盤痛、膀胱に病変がある場合の排尿痛や血尿などがみられることがあります。腸の近くの病変では、生理中の下痢やおなかの張りを感じる人もいます。こうした症状は過敏性腸症候群や膀胱炎と間違われやすく、婦人科の病気と結びつけて考えられないまま時間がたつことがあります。
不妊がきっかけで見つかることもある
日本産科婦人科学会は、子宮内膜症の患者さんの半数近くが不妊に悩むといわれていると説明しています[2]。癒着で卵管の動きが悪くなったり詰まったりすること、腹水の中の炎症を起こす物質が卵子や精子、受精卵に影響すること、チョコレート嚢胞によって卵巣の働きが落ちることなどが理由として考えられています。痛みがなくても、なかなか妊娠しないことから不妊症の原因を調べる過程で見つかる例があります。
受診の目安チェックリスト
次のような状態が続く場合は、婦人科で相談する目安になります。ひとつでも当てはまれば子宮内膜症というわけではありませんが、背景に病気がないかを確認するきっかけになります。
✅ 婦人科受診を考える目安
・生理痛が年々強くなっている、鎮痛薬が効きにくくなった
・生理痛で学校や仕事を休むことがある
・生理以外の時期にも下腹部痛や腰痛がある
・性交のときに奥のほうが痛む
・生理中に排便のときおしりの奥が痛む
・1年以上妊娠を試みても妊娠しない(35歳以上では半年)
・健診などで卵巣が腫れていると言われた
下腹部の痛みの原因は子宮内膜症だけではありません。痛む場所や時期から考えられる病気については、子宮が痛いときに考えられる原因も参考にしてください。
3. 子宮内膜症の原因|なぜなるの?
子宮内膜症がなぜ起こるのかは、まだ完全にはわかっていません。月経血の逆流が発生のもとになるという考え方が有力ですが、それだけでは説明できない点が多く、免疫、ホルモン、遺伝的な体質など複数の要因が重なって発症すると考えられています[3]。
月経逆流説と、それだけでは説明できない理由
最もよく知られているのが「月経逆流説」です。月経血の一部は、腟から外に出るだけでなく、卵管を通っておなかの中(骨盤内)へ逆流します。その中に含まれる子宮内膜の細胞が腹膜などに付着して根づき、増えていくという考え方です。できやすい場所がダグラス窩など骨盤の低い位置に集中していることは、この説とよく合います。
ところが、月経血の逆流そのものは珍しい現象ではありません。卵管が通っている女性では、月経中の腹水に血液が混じる人が約90%にのぼったという報告があります[4]。ほとんどの女性で逆流が起きているのに、子宮内膜症になるのは約10人に1人です。つまり、逆流した細胞を免疫がうまく片づけられるかどうか、細胞が根づきやすい性質をもつかどうかといった、人ごとの違いが発症を左右していると考えられます[3]。
ほかにも、腹膜の細胞が性質を変えて内膜のような組織になるという「体腔上皮化生説(たいくうじょうひかせいせつ)」、内膜の細胞が血管やリンパ管を通って運ばれるという「転移説」、骨髄などに由来する幹細胞が内膜の組織をつくるという「幹細胞説」が提唱されています。骨盤の外の離れた場所にできる病変や、初経前の少女や男性でのごくまれな報告は、逆流説だけでは説明しにくく、これらの説が補っています。1つの説ですべてを説明できるわけではなく、複数の仕組みが関わっている可能性が高いと考えられています。
性行為や「やりすぎ」は原因ではない
性行為の回数が多いことや、生理中の性行為が子宮内膜症の原因になるという確かな根拠は示されていません。インターネットでは「やりすぎ」「生理中の性行為」「パートナーの影響」が原因ではないかと心配する声が多くみられますが、子宮内膜症は性交経験のない10代でも発症します。前に述べたとおり、月経血の逆流自体はほとんどの女性で起きている現象です。
性交痛があるために性行為を避けるようになったり、「自分の行動のせいで病気になった」と感じたりする人もいますが、病気の原因を性生活に求める必要はありません。性交痛は子宮内膜症の症状のひとつであり、治療によって和らぐことがあります。
ストレスや食べ物との関係
ストレスが子宮内膜症を直接引き起こすという根拠は示されていません。ただし、慢性の痛みが続くと痛みに敏感になり、睡眠や気分にも影響が出るため、痛みとストレスが互いに悪い方向に作用することはあります。食事については、特定の食べ物で子宮内膜症を予防したり治したりできるという十分な根拠はありません。大豆製品やイソフラボンで悪化するのではないかと心配する人もいますが、通常の食事量で控える必要があるという根拠も示されていません。
4. なりやすい人と「遺伝の視点」
子宮内膜症になりやすい人の特徴は、大きく分けて「月経の回数が多い人」と「家族に子宮内膜症の人がいる人」です。後者は遺伝的な体質が関わっていることを示しますが、子宮内膜症は親から子へ決まった確率で受け継がれる遺伝病ではありません。ここでは臨床遺伝の立場から、その意味を整理します。
月経の回数が多い人(初経が早い・周期が短い・出産経験がない)
子宮内膜症はエストロゲンによって進み、月経のたびに逆流と炎症が繰り返されます。そのため、生涯の月経の回数が多いほど、なりやすくなると考えられています。具体的には、初経が早い、月経周期が短い、月経の期間が長い、出産経験がないといった特徴が、子宮内膜症の起こりやすさと関連することが報告されています[3]。妊娠・授乳の期間は月経が止まるため、昔に比べて出産回数が減った現代の女性は、生涯の月経回数が多くなっています。
これらは集団で見たときの傾向であり、当てはまるから必ず発症する、当てはまらないから発症しないというものではありません。あくまで「子宮内膜症の可能性を考える材料のひとつ」として受け止めてください。
母や姉妹が子宮内膜症なら?家族歴とリスク
母親や姉妹に子宮内膜症の人がいると、子宮内膜症になりやすくなります。アイスランドの全国規模の家系データを使った研究では、子宮内膜症の女性の姉妹は、一般の女性に比べて子宮内膜症になるリスクが約5.2倍、いとこでも約1.6倍でした[5]。同じ研究では、父方・母方のどちらのいとこでも同じように関連がみられ、なりやすさは母親からだけでなく父親の家系からも受け継がれうることが示されています。
双子を対象にした研究でも、一卵性双生児どうしのほうが二卵性双生児どうしより2人とも発症する割合が高く、発症のしやすさの約半分が遺伝的な要因で説明されると推定されています[6][7]。残りの半分は、月経の状況や環境など遺伝以外の要因です。
ここで注意したいのは、「約5倍」は集団の平均から求めた相対的な数字で、一人ひとりが発症する確率ではないという点です。母親が子宮内膜症でも発症しない娘は多くいます。家族歴は、「生理痛が強いときに子宮内膜症を早めに疑う理由になる」という形で役立てるのが適切です。
遺伝病ではなく多因子疾患:GWASでわかってきたこと
子宮内膜症は、1つの遺伝子の変化で起こる単一遺伝子疾患ではなく、多くの遺伝子のわずかな違いと環境要因が積み重なって発症する多因子疾患です。このため、顕性(優性)遺伝や潜性(劣性)遺伝のように「子どもに50%の確率で伝わる」といった計算はできません。
どの遺伝子が関わっているかを調べる方法として、ゲノムワイド関連解析(GWAS)があります。患者さんと患者さんでない人の遺伝情報を全ゲノムにわたって比べ、頻度に差のある一塩基多型(SNP)を探す研究です。2023年に発表された国際共同研究では、欧州系と東アジア系の子宮内膜症の女性60,674人と対照701,926人を解析し、42か所の遺伝子領域に49の関連シグナルが見つかりました[8]。
この研究では、見つかった遺伝的な違いの影響は、進行した子宮内膜症、特に卵巣の病変(チョコレート嚢胞)がある人で大きいことがわかりました。また、子宮内膜症の遺伝的な背景は、片頭痛、腰痛、全身のあちこちが痛む慢性痛など11の痛みの病気や、喘息などの炎症性の病気と一部共通していました[8]。子宮内膜症の痛みが病変の大きさだけでは説明できないことの一端が、遺伝学からも見えてきています。
一方で、見つかった49のシグナルをすべて合わせても、子宮内膜症のなりやすさの個人差のうち説明できるのは最大でも約5%にとどまります[8]。1つひとつの遺伝的な違いの影響はごく小さく、それぞれは健康な人も普通にもっているものです。
💡 用語解説:多因子疾患
多因子疾患とは、1つの遺伝子で決まるのではなく、多数の遺伝子のわずかな違いと、生活や環境などの遺伝以外の要因が組み合わさって発症する病気です。高血圧、糖尿病、多くのがんなどもこれにあたります。家族に同じ病気の人がいると発症しやすくなりますが、メンデルの法則のような決まった確率では受け継がれません。子宮内膜症もこのタイプです。
病変の中で起きている遺伝子の変化(体細胞変異)
遺伝子の話にはもうひとつの側面があります。生まれつき全身の細胞がもっている遺伝子の違い(生殖細胞系列の変化)とは別に、病変の細胞だけに後から生じた遺伝子の変化、つまり体細胞変異です。
2017年の研究では、がんを伴わない深部子宮内膜症の病変の一部から、KRAS(ケーラス)など、がんで見つかることの多い遺伝子の体細胞変異が検出されました[9]。これは、子宮内膜症の病変が同じ性質の細胞が増えたかたまり(クローン)として成長していることを示す所見と受け止められています。ただし、この変化は病変の中だけで起きたもので、卵子や精子には含まれないため、子どもに受け継がれることはありません。また、この変化があるからといって病変ががんになることを意味するわけでもありません。
遺伝子検査でなりやすさがわかる?
現時点では、遺伝子検査で子宮内膜症になるかどうかを予測したり、診断したりすることはできません。GWASで見つかった遺伝的な違いを多数組み合わせてリスクを点数化する「多遺伝子リスクスコア」の研究は進んでいますが、前に述べたとおり既知のシグナルで説明できる割合は小さく、個人の予測に使える段階にはありません。家族歴がある人にとって大切なのは、遺伝子を調べることではなく、症状があるときに早めに婦人科を受診し、子宮内膜症の可能性を伝えることです。
🩺 院長コラム【「遺伝する?」への答え方】
「母が子宮内膜症なので、私もなりますか」という問いには、「なりやすさは受け継がれるが、なるかどうかは決まっていない」と答えるのが、現在の医学で言える最も正確な形だと考えています。姉妹で約5倍という数字は印象に残りますが、それは集団の中の比較であって、目の前の一人の運命を示すものではありません。
多因子疾患で家族歴を聞く意味は、未来を予言することではなく、症状が出たときに見逃さないための手がかりを持っておくことにあると考えています。生理痛を「母もひどかったから体質」と片づけず、むしろ早めに調べる理由として使っていただければと思います。
5. 子宮内膜症の検査と診断|どうやってわかる?
子宮内膜症は、問診・内診・経腟超音波(エコー)・MRIなどを組み合わせて診断します。かつては、おなかの中を直接見る腹腔鏡(ふくくうきょう)検査で確認しなければ診断できないとされていました。現在の欧州ヒト生殖学会(ESHRE)のガイドラインでは、画像検査を診断に用いることを推奨し、症状と画像から子宮内膜症が疑われる場合は、手術で確定する前に薬による治療を始めることも認めています[10]。
問診・内診・経腟エコー
問診では、痛みがいつから始まり、どう変化してきたか、生理以外の時期の痛み、性交痛や排便痛の有無、妊娠を望んでいるかなどを確認します。家族に子宮内膜症の人がいるかどうかも参考になります。内診では、ダグラス窩や仙骨子宮靱帯に硬いしこりや押したときの痛みがないか、子宮が癒着で動きにくくなっていないかを調べます。
経腟エコーは、腟から細い超音波の器具を入れて子宮と卵巣を観察する検査です。卵巣のチョコレート嚢胞は特徴的な見え方をするため、エコーで見つけやすい病変です。熟練した検査者であれば、直腸の近くの深部子宮内膜症を見つけられることもあります。
エコーでわからない子宮内膜症とMRI
エコーで異常がないと言われても、子宮内膜症を否定することはできません。腹膜の表面に散らばる小さな病変は数ミリ程度のことが多く、エコーやMRIではほとんど写りません。ESHREのガイドラインも、画像検査が陰性でも、特に腹膜の表面の病変は否定できないと明記しています[10]。画像検査の診断精度を調べた系統的レビューでも、卵巣の嚢胞や深部病変に比べ、腹膜の病変を画像で見つけることは難しいとされています[11]。
MRIは、チョコレート嚢胞とほかの卵巣の腫れの区別や、深部子宮内膜症の広がりを調べるのに役立ちます。手術を計画するときに、腸や膀胱にどこまで病変が及んでいるかを確認する目的で使われることもあります。症状から子宮内膜症が強く疑われるのに画像で異常がない場合は、薬物療法への反応や、必要に応じて腹腔鏡での確認を検討します。
CA125(腫瘍マーカー)は補助的な検査
血液検査のCA125(シーエー125)は、卵巣がんの腫瘍マーカーとして知られていますが、子宮内膜症でも上がることがあります。ただし、生理中や妊娠初期、ほかの良性の病気でも上がり、軽い子宮内膜症では正常のことも多いため、CA125だけで子宮内膜症を診断することはできません。ESHREのガイドラインは、血液や組織などのバイオマーカーを子宮内膜症の診断に用いるべきではないとしています[10]。CA125は、嚢胞の経過観察や、ほかの病気との区別の参考として補助的に使われます。
腹腔鏡は確定診断だが、今は必須ではない
腹腔鏡検査は、おへそなどに小さな穴を開けてカメラを入れ、おなかの中を直接観察する方法です。病変を目で見て確認し、一部を取って顕微鏡で調べることで確定診断ができ、同時に病変の切除や癒着をはがす処置も行えます。一方で、全身麻酔の手術であり、体への負担もあります。
そのためESHREのガイドラインでは、画像検査が陰性の場合や、薬による治療が効かない場合、あるいは適さない場合に、診断と治療を兼ねて腹腔鏡を検討するという位置づけになっています[10]。「腹腔鏡をしないと治療を始められない」わけではありません。
生理中に受診してもいい?
生理中でも婦人科を受診することはできます。強い生理痛や過多月経そのものが相談したい症状であれば、生理中の状態を実際に診てもらうことに意味がある場合もあります。一方、子宮頸がん検診や内診、経腟エコーは、出血が多いと検査がしにくかったり、結果に影響したりすることがあります。予約の段階で生理中であることを伝え、受診の時期を相談するとよいでしょう。
6. 進行度(ステージ)と放置した場合
子宮内膜症の進行度は、米国生殖医学会の分類(r-ASRM分類)で、ステージI(微症)からIV(重症)の4段階で表されます。腹腔鏡などで観察した病変の大きさ、深さ、癒着の程度、チョコレート嚢胞の有無を点数化し、合計点でステージを決めます[12]。
r-ASRM分類I〜IV:ステージと痛みの強さは比例しない
📋 r-ASRM分類のステージ
| ステージ | 点数 | おおよその状態 |
|---|---|---|
| I(微症) | 1〜5点 | 腹膜の表面に小さな病変が少数ある |
| II(軽症) | 6〜15点 | 病変が増え、一部はやや深い |
| III(中等症) | 16〜40点 | チョコレート嚢胞や、卵巣・卵管周囲の癒着がある |
| IV(重症) | 40点を超える | 大きな嚢胞や、ダグラス窩が閉じるほどの強い癒着がある |
※点数の区分はr-ASRM分類[12]による。「おおよその状態」は理解のための目安です。
ステージが低いから痛みが軽い、ステージが高いから痛みが強い、とは限りません。r-ASRM分類はもともと病変の広がりと妊娠しやすさの関係を評価するためにつくられたもので、痛みの強さとは必ずしも一致しないことが知られています[10]。ステージIでも日常生活に支障が出るほど痛む人もいれば、ステージIVの大きな嚢胞があっても痛みが少ない人もいます。ステージは治療を選ぶ材料のひとつですが、症状そのものを基準に考えることが大切です。
放置するとどうなる?
子宮内膜症はエストロゲンの作用が続く限り、月経のたびに炎症が繰り返されます。経過は人によって異なり、長い間あまり変わらない人や、自然に小さくなる病変がある一方で、病変や癒着が徐々に広がっていく人もいます。どの人が進行するかを前もって見分ける方法は確立していません。
治療をせずに経過をみた場合に起こりうることとして、痛みが強くなって日常生活への影響が大きくなること、癒着が進んで不妊の原因になること、卵巣の病変がチョコレート嚢胞として大きくなることが挙げられます。チョコレート嚢胞が大きくなると、まれに破裂したり、卵巣がねじれたりして急な強い腹痛を起こすことがあります。また、後で述べるように、チョコレート嚢胞からはごく一部で卵巣がんが発生することがあります。
閉経するとエストロゲンが大きく減るため、多くの場合、症状は落ち着いていきます。ただし、閉経後もホルモン補充療法を受けている場合などには、症状や病変が残ることがあります。痛みが軽く、妊娠の希望もない場合は、定期的に経過をみる選択もありますが、その場合も卵巣の嚢胞の大きさなどを確認していくことが勧められます。
7. 子宮内膜症の治療|治る?
子宮内膜症の治療には、薬で痛みや病気の活動を抑える薬物療法と、手術で病変を取り除く手術療法があります。どちらを選ぶかは、痛みの強さ、病変の大きさ、年齢、妊娠を望むかどうかによって変わります。ESHREのガイドラインは、治療の選択にあたって、本人の希望、副作用、効果、費用などを踏まえて医師と一緒に決める「共同意思決定」を重視しています[10]。
目標は完治ではなくコントロール
子宮内膜症は、エストロゲンが分泌されている間は再び起こりうる慢性の病気です。薬で症状を抑えても、やめると月経が戻り、症状や病変が再び現れることがあります。手術で病変を取り除いても、子宮と卵巣が残っていれば再発する可能性があります。
このため、治療の目標は「一度で完全に治す」ことよりも、「痛みを抑えて生活への影響を減らし、妊娠を望む人は妊娠の機会を守り、閉経までの期間を上手に過ごす」ことに置かれます。子宮と両方の卵巣を摘出する手術は再発を最も減らしますが、妊娠の可能性がなくなり、若い人では更年期のような症状が出るため、年齢や希望を十分に考えて選ばれます。
薬物療法:鎮痛薬・LEP・黄体ホルモン・GnRH製剤
日本産科婦人科学会の説明では、まず鎮痛薬で痛みを抑え、効果が不十分な場合は低用量エストロゲン・プロゲスチン配合薬(LEP、いわゆる低用量ピル)や黄体ホルモン製剤を使い、さらに強くホルモンを抑える必要があるときはGnRH(ジーエヌアールエイチ)アゴニストやGnRHアンタゴニストを用いるとされています[2]。ESHREのガイドラインも、痛みを和らげる選択肢としてこれらのホルモン療法と、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)などの鎮痛薬を挙げています[10]。
💊 子宮内膜症の主な薬物療法
| 種類 | 働き | 主な注意点 |
|---|---|---|
| 鎮痛薬(NSAIDsなど) | 痛みを起こす物質の産生を抑える | 病変そのものを小さくする作用はない |
| LEP(低用量ピル) | 排卵を抑え、月経量と痛みを減らす | 血栓症のリスクがあり、喫煙者や年齢によって使えない場合がある |
| 黄体ホルモン製剤(ジエノゲストなど) | 病変に直接働き、増殖を抑える | 不正出血が起こりやすい。長く続けやすい |
| GnRHアゴニスト・アンタゴニスト | 卵巣からのホルモンを止め、閉経に近い状態にする | ほてりや骨量の減少があり、使用期間に制限がある |
※治療薬の選択と使用期間は、症状・年齢・持病・妊娠の希望によって主治医が判断します。
これらのホルモン療法は、妊娠を希望している期間には原則として使用せず、治療中は妊娠を避ける必要があるため、すぐに妊娠を望む人には使いにくいという特徴があります。漢方薬が痛みの緩和の目的で併用されることもありますが、病変を小さくする効果についての根拠は限られています。
手術療法:保存手術と根治手術、腹腔鏡と開腹
手術には、子宮と卵巣を残して病変だけを取り除く「保存手術」と、子宮や卵巣を摘出する「根治手術」があります。保存手術では、チョコレート嚢胞の摘出、腹膜の病変の切除や焼灼、癒着をはがす処置を行います。妊娠を望む人や臓器を残したい人に選ばれますが、再発の可能性が残るため、術後に薬物療法を続けることがあります。
根治手術は、妊娠を望まない人や閉経が近い人、再発を繰り返す人、がんの可能性が否定できない場合などに検討されます。卵巣の働きに問題がなければ、更年期のような症状を避けるために卵巣を残す場合もありますが、その場合は痛みが残ったり再発したりすることがあります。子宮摘出については子宮摘出で詳しく解説しています。
手術の方法は、現在は腹腔鏡手術が一般的です。おなかに数か所の小さな穴を開けて行うため、傷が小さく、開腹手術に比べて回復が早いのが利点です。病変が大きい場合や癒着が非常に強い場合、腸などの手術が必要な場合には、開腹手術が選ばれることもあります。
治療をやめると再発する?
薬物療法は病変を抑えている状態であり、やめると月経が戻って症状が再び出ることがあります。手術でも、子宮と卵巣を残した場合は時間の経過とともに再発することがあります。このため、妊娠を望まない期間は、手術のあとも薬物療法を続けて再発を防ぐ方法がとられることがあります。再発を心配しすぎる必要はありませんが、「治療が終わったら終わり」ではなく、閉経までを見通して主治医と相談しながら続けていく病気と考えておくとよいでしょう。
8. 妊娠・不妊との関係
子宮内膜症があっても妊娠・出産する人はたくさんいます。ただし、子宮内膜症がない場合に比べて妊娠しにくくなることがあり、年齢や病変の状態に合わせて、早めに治療の方針を考えることが大切です。
子宮内膜症でも妊娠できる?
子宮内膜症と診断されても、自然に妊娠する人は少なくありません。一方で、前に述べたように患者さんの半数近くが不妊に悩むといわれ、日本産科婦人科学会は、妊娠を希望する場合には比較的早い段階で生殖補助医療(体外受精など)を検討することを勧めています[2]。
妊娠を考えるときには、年齢、卵巣の働き(卵巣予備能)、卵管が通っているか、パートナーの精液の状態、痛みの強さなどを総合的に見て、タイミング法や人工授精で様子をみるか、体外受精に進むか、あるいは手術を先に行うかを判断します。特に35歳以上の人や、すでに卵巣予備能が下がっている人では、時間をかけすぎないことが重要になります。
手術か、体外受精か:卵巣予備能を守る視点
チョコレート嚢胞がある場合に悩ましいのが、手術で嚢胞を取るべきかどうかです。手術で嚢胞を取り除くと痛みが和らぎ、自然妊娠しやすくなる場合があります。一方で、嚢胞の壁と一緒に正常な卵巣の組織も一部取り除かれるため、卵子のもとになる卵胞が減り、卵巣予備能が下がることがあります。ESHREのガイドラインも、手術を行う場合は卵巣へのダメージを最小限にするよう特に注意すべきだとしています[10]。
そのため、痛みが軽く、嚢胞がそれほど大きくなく、年齢や卵巣予備能を考えて時間の猶予が少ない場合には、手術をせずに体外受精に進むという選択肢もあります。反対に、痛みが強い場合や、嚢胞が大きい場合、がんとの区別が必要な場合には手術が優先されます。卵巣予備能は、血液検査のAMH(抗ミュラー管ホルモン)などで目安を知ることができます。どちらがよいかは一人ひとりの状況で異なるため、婦人科と生殖医療の専門医の間で方針を検討することが望まれます。
💡 用語解説:卵巣予備能とAMH
卵巣予備能とは、卵巣の中に残っている卵子のもと(原始卵胞)の数の目安です。年齢とともに減り、元に戻ることはありません。AMH(抗ミュラー管ホルモン)は、発育途中の卵胞から分泌されるホルモンで、血液検査で測ることで卵巣予備能を推定する目安になります。ただし、AMHは卵子の質や妊娠できるかどうかを直接示すものではありません。
手術後の性行為・妊活の再開
手術のあと、いつから性行為や妊活を再開してよいかは、手術の方法や範囲、傷の治り具合によって異なります。腹腔鏡で卵巣の嚢胞や腹膜の病変を取った場合と、子宮を摘出した場合では、必要な期間が大きく違います。子宮を摘出した場合は、腟の奥の縫い目が治るまで待つ必要があります。
手術後に自然妊娠を目指す場合、手術で癒着がはがれた直後の時期は妊娠のチャンスと考えられることもあります。再開の時期は、術後の診察で主治医に確認してください。排卵の時期を合わせたい場合も、その場で相談しておくとよいでしょう。
🩺 院長コラム【時間という資源を意識する】
子宮内膜症の治療の選択は、痛みを取ることと、妊娠の可能性を守ることの間で揺れることがあります。手術は痛みに効く一方で、卵巣予備能という、年齢とともに減るばかりで取り戻せない資源を削る面もあります。
卵子の数と質が年齢とともに変わることは、生殖医療だけでなく遺伝医療でも常に向き合うテーマです。妊娠を考えている方には、「いつまでに、どの方法で」という時間の見通しを持ったうえで治療を選ぶことが大切だと考えています。
9. がんとの関係|卵巣がんになる?
子宮内膜症の人は、そうでない人に比べて卵巣がんになるリスクがやや高いことがわかっていますが、実際に卵巣がんになる人はごく一部です。49の研究をまとめたメタ解析では、子宮内膜症の人の卵巣がんの相対リスクは約1.9倍で、組織型別には明細胞がんで約3.4倍、類内膜がんで約2.3倍でした[13]。ただしこの解析は、研究間のばらつきや偏りが大きいことも指摘しており、数字は幅をもって受け止める必要があります。
チョコレート嚢胞からの卵巣がん
日本の静岡県で行われた研究では、チョコレート嚢胞と診断された女性6,398人を最長17年間追跡し、そのうち46人に卵巣がんが発生しました[14]。人数でみると約0.7%です。一般の女性と比べた発生率は約9倍と高く、特に50歳以上で診断された人ではさらに高くなっていました。この研究は、チョコレート嚢胞が卵巣がんのリスクを高めることを示す一方で、チョコレート嚢胞がある人の大多数は卵巣がんにならないことも示しています。
がんへの変化に注意が必要なのは、40歳以上で嚢胞が見つかった場合、嚢胞が大きい場合や急に大きくなってきた場合、嚢胞の中にしこり(充実部分)が見える場合などです。こうした場合には、MRIなどで詳しく調べ、手術が検討されます。チョコレート嚢胞の経過観察や手術の考え方はチョコレート嚢胞で、卵巣がん全般については卵巣がんで詳しく解説しています。
明細胞がん・類内膜がんとARID1A遺伝子
子宮内膜症から発生する卵巣がんには、明細胞(めいさいぼう)がんと類内膜(るいないまく)がんが多いことが知られています。2010年の研究では、これらのがんでARID1A遺伝子の体細胞変異が高い頻度で見つかり、がんの隣にある異型を伴う子宮内膜症の部分にも同じ変化がみられる例がありました[15]。ARID1Aは、DNAの巻きつき方を調節して遺伝子のスイッチを切り替える「クロマチンリモデリング」に関わり、がんを抑える働きをもつ遺伝子と考えられています。
この発見は、子宮内膜症の病変の中で遺伝子の変化が段階的に積み重なり、一部ががんへ進むという道筋を示したものです。ここでいう変化も病変の中だけで起きた体細胞変異で、子どもに受け継がれるものではありません。卵巣がんと遺伝子の関係については卵巣がんと関連する遺伝子で解説しています。なお、BRCA1・BRCA2遺伝子などによる遺伝性乳がん卵巣がんは、生まれつきの遺伝子の変化による別の仕組みで、主に高異型度漿液性がんという別の組織型が多いことが知られています。
よくある質問(FAQ)
Q1. 性行為の回数が多いと子宮内膜症になりますか?
性行為の回数や生理中の性行為が子宮内膜症の原因になるという確かな根拠は示されていません。子宮内膜症は性交経験のない10代でも発症します。性交痛は子宮内膜症の症状のひとつで、原因ではありません。
Q2. 母が子宮内膜症です。私もなりますか?
母親や姉妹に子宮内膜症の人がいると発症しやすくなり、姉妹では約5倍という報告があります。ただし子宮内膜症は多くの遺伝子と環境が関わる多因子疾患で、決まった確率で受け継がれる遺伝病ではなく、母親が子宮内膜症でも発症しない人は多くいます。生理痛が強いときに早めに婦人科を受診する理由として、家族歴を役立ててください。
Q3. エコーで異常なしと言われたら子宮内膜症ではないですか?
いいえ、否定はできません。腹膜の表面の小さな病変はエコーやMRIではほとんど写らないためです。症状から子宮内膜症が疑われる場合は、薬物療法への反応をみたり、必要に応じて腹腔鏡での確認を検討したりします。
Q4. 薬をやめたら再発しますか?
薬物療法は病気の活動を抑えている状態なので、やめると月経が戻り、症状が再び出ることがあります。妊娠を望む時期に合わせて薬を中止したり、手術後に再発予防として薬を続けたりと、閉経までの見通しをもって主治医と相談しながら続けていきます。
Q5. 閉経したら治りますか?
閉経するとエストロゲンが大きく減るため、多くの場合症状は落ち着きます。ただし、閉経後にホルモン補充療法を受けている場合などには症状や病変が残ることがあり、卵巣の嚢胞がある場合は経過を確認していくことが勧められます。
Q6. 10代でも子宮内膜症になりますか?
はい、10代で発症することもあります。性交経験の有無には関係ありません。鎮痛薬を飲んでも学校を休むほどの生理痛が続く場合は、婦人科で相談することをおすすめします。
Q7. ミネルバクリニックで子宮内膜症の検査や治療はできますか?
いいえ、当院では子宮内膜症の検査・診断・治療を行っていません。この件についてのご予約・お問い合わせもお受けしていません。子宮内膜症が疑われる場合は、婦人科(産婦人科)の医療機関へご相談ください。
まとめ
子宮内膜症は、子宮内膜に似た組織が子宮の外にでき、月経のたびに炎症と癒着を起こす病気で、生殖年齢の女性の約10人に1人にみられます[1]。年々強くなる生理痛、生理以外の痛み、性交痛、排便痛、不妊が主な症状です。月経血の逆流はほとんどの女性で起きており、それだけでは発症を説明できません。性行為の回数が原因になるという根拠もありません。
母や姉妹が子宮内膜症の人はなりやすく、発症のしやすさの約半分は遺伝的な要因で説明されると推定されていますが、多くの遺伝子が少しずつ関わる多因子疾患であり、遺伝子検査で予測することはできません[5][8]。画像検査で異常がなくても否定はできず、現在は症状と画像から診断して薬物療法を始めることも認められています[10]。治療の目標は完治よりもコントロールであり、妊娠を望む人は卵巣予備能と年齢を踏まえた時間の見通しが重要です。チョコレート嚢胞から卵巣がんになる人はごく一部ですが、40歳以上や嚢胞が大きい場合は注意が必要です。
🏥 子宮内膜症の検査・治療をお考えの方へ
当院では、子宮内膜症の検査・診断・治療を行っておりません。
この件についてのご予約・お問い合わせはお受けしておりません。
子宮内膜症が疑われる場合は、婦人科(産婦人科)を専門とする医療機関へご相談ください。
この記事は病気を正しく知っていただくための解説であり、当院での診療をご案内するものではありません。なお、他の診療の過程で具体的な遺伝学的評価が必要と判断された場合に限り、遺伝カウンセリングが関係することがあります。
参考文献
- [1] Zondervan KT, Becker CM, Missmer SA. Endometriosis. N Engl J Med. 2020;382(13):1244-1256. [NEJM]
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- [3] Zondervan KT, Becker CM, Koga K, et al. Endometriosis. Nat Rev Dis Primers. 2018;4:9. [Nature Reviews Disease Primers]
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