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卵子の数が減るとどうなる?|AMHで残りの卵子の数を知ってできることを解説!

女性は生まれながらに卵子が作られており、閉経までに新たに作られることはありません。そのため出生後は減少していくばかりか、加齢により卵子の質も低下するため妊娠率や流産率にも関わってきます。ここでは、卵子の数や加齢に伴う卵子の質について解説します。併せて卵子のおおよその数を知ることができるAMHについても解説。妊娠・出産を考えている人は参考にしてくださいね。

卵子の数は年齢とともに減少する

年齢と原始卵胞の数
男性の場合、精子はその都度新しく作られますが、女性の場合は、生涯に持つ卵子(原始卵胞)の数が生まれたときから決まっており、年齢とともに減少します。そのため減ることはあっても新しく作り出されることはありません。

卵子は、女性が胎児(妊娠20週)頃までに急激に作り出され、その数は700万個にもなります。しかし、出生したときには200万個にまで減り、思春期までには20~30万個ほどにまで減少するのです。25歳頃には10万個、35歳頃には5万個、閉経に向かうにつれてゼロに近づきます。1回の排卵で、数100~数1000個が減少すると言われており、1日では数10個が減り続けていることになります。

このように、年齢をかさねるごとに卵子は減少していくため、将来子どもを望んでいる人はライフプランを作り、自分の体と向き合う時間を作ることも検討してみましょう。

卵子は年齢とともに質が下がる

卵子は年齢とともに質が下がる
卵子は年齢とともに数が減少するだけでなく、年齢とともに質が低下(老化)することがわかっています。年齢とともに質が低下する要因として考えられるのが「ミトコンドリアの機能低下」と「染色体異常の増加」です。

 ミトコンドリアの機能低下
ミトコンドリアは、体の中でエネルギーを作る小器官で、体を動かしたり、呼吸をしたりなどすべての生命活動に関与しています。このミトコンドリアは20代を過ぎた頃から老化が始まると言われており、機能が低下すると活性酸素の大量発生にもつながり、細胞の1つである卵子の質にも影響を及ぼすのです。

 染色体異常の増加
卵巣内で卵子が老化すると、卵子の第一減数分裂の異常により染色体異常の増加が起こります。体の細胞は46本の染色体を持っており、卵母細胞が卵子になるまでに2回の分裂を経て23本になります。ところが、加齢により卵子が老化すると、この分裂が上手くいかず卵子の染色体異常の割合が増えてしまうのです。

卵子の数と質が低下したらどうなる?

卵子が老化すると
卵子の数が少なくなり質が下がってくると「妊娠率の低下」「流産率の増加」「染色体異常児の発生頻度の増加」が起こります。

 妊娠率の低下
女性は30歳を過ぎると徐々に出産数が減少することがわかっています。不妊の頻度として、30~34歳では14.6%、35~39歳では21.9%、40~44歳では28.9%と報告されており、年齢をかさね、卵子の数と質が低下すると自然に妊娠する確率が減っていくことがわかっています。

 流産率の増加
1回の妊娠時の流産の頻度は平均で15%程度ですが、加齢とともに増加していくことがわかっています。35歳を過ぎると、25%程度、特に40歳以上では約50%が流産してしまうと考えられています。

 染色体異常児の発生頻度の増加
流産の大きな原因は染色体異常です。20歳の流産は受精卵ができてもその半分は染色体異常とされており、45歳では90%が染色体異常で、卵子の老化で染色体異常が増加することがわかっています。

卵子の残りの数を知る方法

生理周期と卵胞

卵子の残りの数を知る検査には、アンチミューラリアホルモン(AMH)があります。AMHでは正確な数値を知ることはできませんが、おおよその卵子の数を把握することができ、今後の不妊治療に役立てることができます。

AMHは卵巣内で発育過程にある卵胞から分泌されるホルモンです。原始卵胞から発育する前胞状卵胞数を反映すると考えられており、採血でおおよその数を予測することができます。つまりAMHの値が低いと、卵巣に残っている原始細胞が少なくなっていると推測できます。

AMHの値と妊娠のしやすさは関係がない

AMH値と妊娠のしやすさに関連性はありません。AMH値は卵子の在庫数を示すものであるため、卵子の質の良し悪しはわかりません。実際にAMHがゼロに近い方でも治療して妊娠・出産をされている人も多くいます。

卵子の数が少ないということは、不妊治療の期間に限りがあるということ。妊娠・出産を希望する女性は、卵子の残りの数を把握することで今後の不妊治療の方針を決めることができます。

AMHの値が低い場合どうしたら良い?

妊娠・出産を望んでいる人でAMHが低い場合は不妊治療を検討しましょう。不妊治療ではタイミング法や人工授精などさまざまな方法があります。そのうち、体外受精や卵子凍結で現時点での質の良い卵子を採取し妊娠に備え保存しておくという方法があります。

AMHが低いということは残りの卵子の数が少ない可能性があり、また自然排卵しにくい、閉経が早くなる可能性があるため、不妊治療の期間に限りがある可能性があります。AMHの結果をもとに医師と相談して進めていきましょう。

まとめ

年齢とともに原始卵胞が減っていく様子
卵子は生まれながらに数が決まっており、出生とともに減少は始まっています。700万個あった卵子も思春期を迎える頃には20~30万個までに減少し、質も低下していきます。加齢により質が低下すると妊娠率や流産率にも影響し、染色体異常を持って生まれてくる子どもの割合が増加するため、妊娠を望む場合はAMH値を調べ、対策を講じることが大切です。

東京の「ミネルバクリニック」は臨床遺伝専門医が在籍するNIPT実施施設であり、たくさんの妊婦さんの悩みや不安と真摯に向き合い、笑顔になれる出産に導いてきました。ミネルバクリニックでは、妊娠9週から受けられる赤ちゃんの健康診断である「NIPT」を業界最新の技術と業界随一の対象疾患の広さで行っております。遺伝のエキスパートである臨床遺伝専門医が出生前診断を提供しておりますので、是非、お気軽にご相談ください。妊娠初期からの出生前診断を受ける医療機関にお悩みの方は、知識・経験・実績とも「第三者から認証されている」臨床遺伝専門医が診療している「ミネルバクリニック」まで是非、ご相談ください。

プロフィール

この記事の筆者:仲田洋美(医師)

ミネルバクリニック院長・仲田洋美は、日本内科学会内科専門医、日本臨床腫瘍学会がん薬物療法専門医 (がん薬物療法専門医認定者名簿)、日本人類遺伝学会臨床遺伝専門医(臨床遺伝専門医名簿:東京都)として従事し、患者様の心に寄り添った診療を心がけています。

仲田洋美のプロフィールはこちら

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