目次
卵巣破裂とは、卵巣にできた嚢胞(のうほう:液体などがたまった袋)や腫瘍が破れたり、排卵後の黄体(おうたい)から出血したりして、お腹の中に血液や内容物が漏れ出る状態をまとめて呼ぶ言葉です。急に片側の下腹部が痛くなることが多く、出血が少なければ手術をせずに落ち着くこともありますが、出血が多い場合や内容物で腹膜炎が起きた場合は、緊急の治療が必要になります。この記事では、卵巣破裂の2つのタイプと原因、どんな痛みが出るのか、命に関わるのはどんなときか、子宮外妊娠との見分け方、治療と入院期間、破裂後の妊娠、そして卵巣がんと遺伝の関係までを、医学的な根拠にもとづいて解説します。
Q. 卵巣破裂は命に関わりますか?すぐ病院に行くべきですか?
A. 多くは手術をせずに、または手術で回復しますが、お腹の中の出血が多いと出血性ショックになることがあり、放置してよい状態ではありません。急に強い下腹部痛が出て、ふらつき・冷や汗・意識がぼんやりする・痛みがどんどん強くなるといった症状があれば、ためらわずに救急を受診してください。妊娠の可能性がある場合は、子宮外妊娠との区別も必要です。
- ➤2つのタイプ → 嚢胞・腫瘍が破れるタイプと、黄体などから出血するタイプ(卵巣出血)
- ➤症状 → 急な片側の下腹部痛。出血が多いとふらつき・肩の痛み・ショック
- ➤治療 → 黄体からの出血では約8割が手術をせず回復したという報告。出血が多ければ腹腔鏡などで手術
- ➤遺伝の視点 → 卵巣がんの一部はBRCA1/2などの遺伝的な体質が関わる
1. 卵巣破裂とは|2つのタイプ
「卵巣破裂」は正式な病名ではなく、卵巣に関係する出血や破裂をまとめて指す一般的な呼び方です。医学的には、卵巣にできた嚢胞や腫瘍に起こる急な合併症として、出血・破裂・茎捻転(けいねんてん:卵巣がねじれること)がまとめて扱われます[1]。検索で「卵巣破裂」と調べる方の多くは、急な腹痛で受診して「卵巣が破裂していた」と説明された方や、卵巣の腫れを指摘されて「破裂したらどうなるのか」と心配している方だと思います。
卵巣は子宮の左右に1つずつある、成人では通常およそ3〜4cmほどの大きさの臓器です。卵子を育てて排卵し、女性ホルモンをつくっています。骨盤の奥にあるため、多少腫れても自覚症状が出にくく、破れたり出血したりして初めて気づかれることもあります。卵巣の場所や働きの基本は卵巣の位置と働きで解説しています。
腫瘍(嚢胞)の破裂と、卵巣出血(黄体出血)
卵巣破裂は、大きく「嚢胞・腫瘍が破れるタイプ」と「排卵にともなう黄体や卵胞から出血するタイプ(卵巣出血)」の2つに分けて考えると整理しやすくなります。どちらも急な下腹部痛で始まることが多いものの、背景にある病気、起こりやすい年齢、治療の考え方が違います。
1つめは、卵巣嚢腫(のうしゅ)やチョコレート嚢胞、皮様嚢腫などの腫瘍が、大きくなったり外から力が加わったりして破れるタイプです。中身がお腹の中(腹腔:ふくくう)に漏れ出るため、中身の性質によっては腹膜に強い炎症が起こります。悪性の腫瘍が破れた場合は、がんの広がり方の評価にも影響します。
2つめは、排卵のあとにできる黄体や、排卵前の卵胞から出血するタイプで、卵巣出血や黄体出血と呼ばれます。腹腔内に出血して入院した78人を調べた韓国の研究では、病理検査の結果があった13人は全員が出血性黄体でした[2]。「卵巣が破裂した」と説明される急な腹痛には、このような黄体からの出血が多く含まれていると考えられます。詳しい症状や経過は卵巣出血の原因と治るまでの日数で解説しています。
🩺 卵巣破裂の2つのタイプ
| 項目 | 嚢胞・腫瘍の破裂 | 卵巣出血(黄体出血など) |
|---|---|---|
| もとにある状態 | 卵巣嚢腫、チョコレート嚢胞、皮様嚢腫、境界悪性・悪性腫瘍など | 排卵後の黄体や卵胞(生理的な構造) |
| お腹に漏れるもの | 嚢胞の中身(液体・古い血液・皮脂など)と出血 | 主に血液 |
| 主な問題 | 腹膜炎、出血。悪性の場合はがんの広がり | 出血量が多いと貧血・出血性ショック |
| 治療の考え方 | もとの腫瘍の治療(手術)が必要になることが多い | 出血が落ち着けば手術をせず経過観察も多い |
※実際にはどちらか判断がつきにくいこともあり、画像検査や手術の所見で最終的に判断されます。
排卵は卵巣破裂?
排卵は、成熟した卵胞が破れて卵子が外に出る生理的な現象で、病気としての「卵巣破裂」とは違います。排卵のたびに卵胞の壁は小さく破れていますが、通常は出血もごくわずかで、治療は必要ありません。排卵期に軽い下腹部痛を感じる方もいますが、多くは自然におさまります。
一方で、排卵のあとにできる黄体は血管が豊富な組織で、ここから出血が止まらずにお腹の中にたまると、病気としての卵巣出血になります。つまり、排卵そのものは病気ではありませんが、排卵後の黄体からの出血が卵巣破裂の原因の1つになるという関係です。排卵のしくみは排卵日はいつ?で解説しています。
💡 用語解説:黄体(おうたい)
黄体とは、排卵のあとに卵胞の抜けがらが変化してできる組織です。黄体ホルモン(プロゲステロン)をつくり、妊娠に備えて子宮内膜を整えます。妊娠しなければ約2週間で小さくなり、月経が始まります。血管が多いため、ときに内部で出血して袋状にふくらんだり(出血性黄体嚢胞)、そこからお腹の中へ出血したりすることがあります。
2. 卵巣破裂の原因
卵巣破裂の原因は、もとに卵巣の嚢胞や腫瘍があるか、排卵にともなう黄体や卵胞から出血したかのどちらかです。そこに、性交や運動などの外からの力、妊娠、排卵誘発、血液が固まりにくくなる薬などのきっかけが重なることがあります[1]。ここでは、腫瘍の種類ごとの特徴と、卵巣出血、破裂のきっかけ、大きさとの関係を順に説明します。
卵巣腫瘍が破裂する場合
卵巣腫瘍には良性・境界悪性・悪性があり、どのタイプでも破裂は起こりえます。日本産科婦人科学会も、卵巣の腫瘍を良性・境界悪性・悪性に分けて説明しています[3]。卵巣腫瘍の大部分は良性ですが、良性であっても大きくなれば破裂や茎捻転の原因になります。腫瘍の分類そのものは卵巣腫瘍の種類と診断・治療で、嚢胞全般については卵巣嚢胞とはで解説しています。以下では、破裂という観点から主な種類を見ていきます。
漿液性嚢腫(しょうえきせいのうしゅ)
漿液性嚢腫は、薄い壁をもつ嚢胞の中にさらさらした液体がたまる腫瘍です。多くは良性で、「卵巣に水がたまっている」と説明されるのはこのタイプであることが多いです。大きくなるにつれて破裂や茎捻転の可能性が出てきますが、中身がさらさらした液体のため、破れても皮様嚢腫やチョコレート嚢胞ほど強い炎症は起こりにくいとされます。詳しくは卵巣に水が溜まる疾患とはをご覧ください。
粘液性嚢腫(ねんえきせいのうしゅ)
粘液性嚢腫は、中にどろっとした粘液がたまる腫瘍で、内部がいくつもの部屋に仕切られていることがよくあります。卵巣腫瘍の中でもとくに大きくなりやすく、お腹がふくらんで初めて気づかれることもあります。大きくなるほど、外からの力で破れるきっかけも増えます。良性か悪性かを手術前に完全に見分けることは難しいため、手術ではできるだけ破らずに取り出すことが重視されます。
皮様嚢腫(ひようのうしゅ:成熟嚢胞性奇形腫)
皮様嚢腫は、中に皮脂や髪の毛、歯、骨などを含む良性の腫瘍で、若い世代にも多く見られます。自然に破裂することはまれで、頻度は0.3〜2.5%と報告されています[4]。ただし破れると、皮脂などの中身が腹膜を刺激して、細菌によらない化学性(無菌性)の腹膜炎が起こることがあり、その頻度は1%未満とされています[4]。妊娠中や分娩時に破れた例も報告されています。詳しくは卵巣奇形腫の解説をご覧ください。
チョコレート嚢胞
チョコレート嚢胞は、子宮内膜症が卵巣にできたもので、月経のたびに古い血液が袋の中にたまり、チョコレートのような色になることからこの名前があります。破裂すると、刺激の強い古い血液がお腹の中に広がり、強い腹痛や腹膜炎の原因になります。破裂の頻度をまとめた信頼できる集団データは限られていますが、妊娠中に破裂した症例の報告が集められています。
また、チョコレート嚢胞は長い目で見ると卵巣がんとの関係が知られています。静岡県でチョコレート嚢胞と診断された6,398人を最長17年追跡した研究では、46人に卵巣がんが見つかり、一般集団と比べた発生の比(標準化罹患比)は8.95で、診断時に50歳以上だった人では13.2でした[5]。46人は6,398人の約0.72%にあたります。これは集団の追跡データで、ある1人ががんになる確率をそのまま示すものではありません。病気そのものについては卵巣チョコレート嚢胞の解説をご覧ください。
境界悪性腫瘍
境界悪性腫瘍は、良性と悪性の中間的な性質をもつ腫瘍です[3]。多くは経過が良好ですが、再発することもあるため、手術で取り出して病理検査で性質を確かめることが基本になります。ほかの腫瘍と同じように大きくなれば破裂することがあり、手術の際にはできるだけ破らずに取り出すことが重視されます。
悪性腫瘍(卵巣がん)
卵巣の悪性腫瘍、つまり卵巣がんも破裂することがあります。卵巣がんが破れると、がん細胞がお腹の中に広がる可能性があるため、がんの進み具合(進行期)の評価が変わり、その後の治療方針にも影響します。この点は第6章で詳しく説明します。卵巣がんの症状や検査は卵巣がんの解説で扱っています。
卵巣出血(黄体出血)の場合
卵巣出血は、腫瘍がなくても起こる卵巣破裂で、主に排卵後の黄体からの出血です。生殖年齢の女性に見られ、急な下腹部痛で救急外来を受診して見つかることが多いタイプです[1]。
「右側に多い」「黄体期(排卵後から次の月経まで)に多い」と説明されることがありますが、先ほどの韓国の研究では、手術になった人と経過観察で済んだ人との間で、左右や月経周期の時期に差は見られませんでした[2]。起こりやすさを左右や時期だけで判断することはできません。出血量が少なければ自然に止まることが多い一方、出血が続くと腹腔内に血液がたまり、貧血やショックの原因になります。
破裂のきっかけ
卵巣破裂は安静にしているときにも起こりますが、性交や激しい運動、お腹への衝撃のあとに起こることもあります。卵巣やその嚢胞に外から圧力が加わったり、卵巣が揺さぶられたりすることが、破れるきっかけになると考えられています[1]。ただし、どのくらいの割合でこうしたきっかけが関わっているかを示す十分なデータはなく、きっかけがなくても起こります。
血液を固まりにくくする薬(抗凝固薬)を飲んでいる方や、血が止まりにくい体質の方では、黄体からの出血が止まりにくく、出血量が多くなることがあります。妊娠中は卵巣の腫瘍が大きくなったり位置が変わったりするため、皮様嚢腫やチョコレート嚢胞の破裂が問題になることがあります。
不妊治療で排卵誘発を行うと、卵巣がいくつもの卵胞で大きく腫れることがあります。とくに卵巣過剰刺激症候群(OHSS)で卵巣が大きく腫れた状態では、ねじれや出血が起こることがあるため、治療中に強い腹痛が出たら、治療を受けている施設に連絡することが勧められます。
何センチで破裂しやすい?
「何センチを超えると破裂する」という決まった大きさはなく、破裂は大きさだけでは予測できません。よく耳にする「5cm以上」という目安は、主に卵巣がねじれる卵巣茎捻転の起こりやすさについて語られてきた数字で、破裂の閾値を示すものではありません。
実際には、腫瘍の種類、壁の薄さ、内容物、妊娠の有無、外からの力など、いくつもの条件が重なって破裂が起こります。黄体からの出血のように、もともと大きな腫瘍がなくても起こるタイプもあります。そのため、「小さいから破裂しない」「大きいから必ず破裂する」とは言えません。腫瘍を指摘されている方は、大きさだけでなく、種類や経過をふまえて主治医と治療の時期を相談することになります。
3. 卵巣破裂の症状|どんな痛み?
卵巣破裂の典型的な症状は、急に始まる片側の下腹部痛です。出血が多いと、痛みに加えてふらつきや冷や汗、肩の痛みなどが現れます。ただし、痛みの強さや出方は、出血の量、漏れ出た内容物の種類、破裂からの時間によって大きく変わり、同じ「卵巣破裂」でも症状は人によってかなり違います[1]。
痛みの特徴と予兆
卵巣破裂の痛みは、多くの場合、前ぶれなく突然始まる下腹部の片側の痛みです。「激痛」になることもあれば、鈍い痛みが続くだけのこともあります。性交中や運動中、あるいはその直後に始まることもありますが、安静にしているときに起こることもあります。
痛みの強さに差が出るのは、痛みの主な原因が「お腹の中に漏れた血液や内容物による腹膜への刺激」だからです。腹膜は痛みを敏感に感じる膜で、刺激の強い古い血液(チョコレート嚢胞)や皮脂(皮様嚢腫)が広がると、強い痛みが出やすくなります。一方、少量の出血であれば、痛みが軽く、数時間から数日で落ち着くこともあります。
「予兆はあるか」という質問も多く寄せられますが、破裂を事前に知らせる決まったサインはありません。卵巣の腫瘍がある方では、以前から下腹部の張りや違和感、月経痛の悪化などがあることもありますが、それが破裂の前ぶれかどうかは区別できません。腫瘍を指摘されている方は、痛みの様子がいつもと違うと感じたら早めに受診してください。
腹膜炎・出血性ショックのサイン
卵巣破裂で注意が必要なのは、お腹の中の出血が多くなる「出血性ショック」と、漏れた内容物による「腹膜炎」の2つです。どちらも時間とともに悪化することがあるため、痛み以外の症状に気を配ることが大切です。
出血が多くなると、血圧が下がって脈が速くなり、立ちくらみ、顔色が悪くなる、冷や汗、手足が冷たい、意識がぼんやりするといった症状が出ます。お腹の中にたまった血液が横隔膜を刺激すると、肩の先に痛みを感じることもあります。これは、横隔膜の感覚が首から肩の神経とつながっているために起こる「関連痛」です。
腹膜炎では、お腹全体が痛くなる、お腹を押して離したときに強く痛む、お腹が板のように硬くなる、発熱、吐き気・嘔吐などが見られます。皮様嚢腫の破裂による化学性腹膜炎のように、細菌がいなくても炎症が起こることがあります[4]。
💡 用語解説:出血性ショック
出血性ショックとは、体の中や外への出血で血液の量が減り、全身に十分な血液を送れなくなった状態です。血圧の低下、脈が速くなる、冷や汗、皮膚が青白くなる、意識がぼんやりするなどの症状が出ます。お腹の中への出血は外から見えないため、気づくのが遅れやすいのが特徴です。点滴や輸血で血液の量を補い、出血が止まらなければ手術で止血します。
すぐ受診・救急車を呼ぶ目安
急な下腹部痛に、ふらつき・冷や汗・意識の変化・どんどん強くなる痛みのいずれかが加わった場合は、救急車を呼ぶことをためらわないでください。お腹の中の出血は外から量がわからず、見た目より多く出血していることがあります。
🚑 すぐに救急受診・救急車を考える症状
・立っていられない、ふらつく、気を失いそうになる
・冷や汗が出る、顔色が真っ青、手足が冷たい
・痛みが時間とともに強くなる、お腹全体に広がる
・肩の先の痛みをともなう下腹部痛
・妊娠の可能性があり、下腹部痛や出血がある
・高い熱や嘔吐をともなう強い腹痛
痛みが軽く、ほかの症状がない場合でも、急に始まった下腹部痛が続くときや、卵巣の腫瘍を指摘されている方が強い痛みを感じたときは、当日中に婦人科や救急外来を受診してください。受診の際は、最後の月経が始まった日、妊娠の可能性、飲んでいる薬(とくに血液をさらさらにする薬)、卵巣の腫瘍を指摘されたことがあるかを伝えると、診断が早くなります。
4. 卵巣破裂で死亡することはある?
卵巣破裂で亡くなることはまれですが、お腹の中の大量出血や重い腹膜炎を放置すれば、命に関わる可能性はあります。「死亡」という言葉で検索される方が多いのは、それだけ突然の強い痛みが不安を呼ぶからだと思います。ここでは、報告されているデータをもとに、どのような場合に危険になるのかを整理します。
腹腔内出血で入院した黄体からの出血の研究では、韓国の78人の報告[2]、92人の報告[6]ともに、死亡例は報告されていません。78人の研究では、輸血を受けた人は経過観察の群で11.1%、手術の群で53.3%でした[2]。つまり、医療機関で適切に管理されれば多くは回復しますが、輸血が必要になるほどの出血が起こることも珍しくない、ということです。
命に関わる状況になりやすいのは、出血が止まらないまま時間がたつ場合、血液が固まりにくい薬を飲んでいる場合、腹膜炎が進んで敗血症(細菌などへの反応で全身の臓器の働きが落ちる状態)に至った場合、悪性腫瘍の破裂でがんが広がった場合などです。死亡の確率を示す信頼できる集団データはないため、ここで具体的な数字を示すことはできません。大切なのは、数字よりも「ショックや腹膜炎のサインがあれば迷わず救急を受診する」ことです。
🩺 院長コラム【痛みの強さより、全身の変化を見る】
お腹の中の出血は外から見えません。痛みの強さは人によって感じ方が違うため、痛みだけで重症かどうかを判断するのは難しいと考えています。総合内科専門医として救急の場面を考えるときも、まず注目するのは脈、血圧、顔色、意識といった全身の変化です。
「痛みはそこまでではないけれど、立つとふらふらする」という状態のほうが、出血量が多いサインであることがあります。痛みの大小で我慢するかどうかを決めず、全身の症状があれば早めに救急を受診していただきたいと考えています。
5. 診断|子宮外妊娠などとの見分け
卵巣破裂が疑われるときは、妊娠反応、経腟超音波検査、血液検査を中心に、必要に応じてCTを組み合わせて診断します。急な下腹部痛の原因は卵巣以外にもたくさんあり、中には一刻を争う病気もあるため、ほかの病気を除外しながら原因を絞り込んでいきます[1]。
まず妊娠反応を確かめる理由
生殖年齢の女性が急な下腹部痛とお腹の中の出血を起こしたとき、最初に確認するのが妊娠反応です。子宮外妊娠(異所性妊娠)の破裂を見逃さないためです。子宮外妊娠は、受精卵が子宮の外(多くは卵管)に着床する状態で、卵管が破れると大量に出血します。症状は卵巣出血とよく似ていますが、治療の考え方が大きく異なります[1]。
妊娠反応は尿や血液中のhCG(ヒト絨毛性ゴナドトロピン:妊娠すると胎盤のもとになる組織から出るホルモン)で調べます。陰性であれば子宮外妊娠の可能性は低くなり、陽性であれば、超音波で子宮の中に妊娠が確認できるかどうかを調べます。「妊娠しているはずがない」と思っている方でも、月経が遅れていなくても、確認のために検査を受けていただくことがあります。子宮外妊娠の症状や時期については子宮外妊娠は痛い?で解説しています。
超音波・CT・血液検査でわかること
経腟超音波検査では、卵巣の腫れや嚢胞の有無と、お腹の中にたまった液体(多くは血液)の量がわかります。子宮の後ろのくぼみ(ダグラス窩)に液体がたまっていれば、腹腔内に出血していることを示します。嚢胞の見た目から、チョコレート嚢胞や皮様嚢腫など、もとにある腫瘍の種類をある程度推測できることもあります。
血液検査では、ヘモグロビン(血液の中で酸素を運ぶ成分)の値から貧血の程度を調べ、時間をおいて測り直すことで出血が続いているかを判断します。CTは、出血がお腹のどこまで広がっているか、ほかの病気がないかを確かめるのに役立ちます。
手術が必要になるかどうかを予測する研究もあります。黄体からの出血92人を調べた研究では、手術になった人は、最初のヘモグロビンの値が低く(11.3 対 12.2 g/dL)、ダグラス窩の液体の深さが5.7cmを超える、肝臓の表面まで液体が広がっている(オッズ比4.948)、推定出血量が225mLを超えるといった特徴がありました[6]。これらは医師が治療方針を考えるための目安で、患者さんご自身が判断に使うものではありません。
似た症状の病気
卵巣破裂と似た急な下腹部痛を起こす病気には、子宮外妊娠、卵巣茎捻転、虫垂炎、骨盤内の感染症、尿路結石などがあります。とくに子宮外妊娠と卵巣茎捻転は、卵巣破裂と同じく婦人科の緊急疾患で、区別が大切です。
卵巣茎捻転は、腫れた卵巣がねじれて血流が途絶える状態で、急な強い痛みに吐き気をともなうことが多く、時間がたつと卵巣が壊死するおそれがあるため、早めの手術が必要になります。右側の痛みでは虫垂炎(いわゆる盲腸)との区別も必要で、超音波やCTで確認します。
どの病気かは、痛みの場所や性質だけでは決められません。自己判断で様子を見るよりも、医療機関で検査を受けて確かめることが大切です。
6. 卵巣破裂の治療と入院期間
卵巣破裂の治療は、出血の量と全身状態、もとにある腫瘍の有無によって、手術をせずに経過を見るか、手術をするかが決まります。かつては腹腔内出血をともなう卵巣の嚢胞破裂の80%以上が手術されていましたが[6]、現在は、全身状態が安定していれば手術をせずに経過を見る方針も広く取られています。
手術せず経過観察になる場合
黄体からの出血で、血圧や脈が安定し、貧血が進まない場合は、入院して安静・点滴・痛み止めで経過を見ることが多くなっています。腹腔内出血をともなう卵巣の嚢胞破裂78人の研究では80.8%(63人)が[2]、黄体からの出血92人の研究では79.3%(73人)が[6]、手術をせずに回復しました。
経過観察中は、血圧や脈、痛み、ヘモグロビンの値を繰り返し確認し、出血が続いている兆候があれば手術に切り替えます。手術をしなかった場合でも、貧血に対して鉄剤などで治療することがあります。お腹にたまった血液は、時間をかけて体に吸収されます。
一方、もとに嚢胞や腫瘍がある場合は、破裂の急性期を乗り越えても、腫瘍そのものの治療(多くは手術)が必要になることがあります。とくに皮様嚢腫やチョコレート嚢胞の破裂で腹膜炎が起きている場合は、お腹の中を洗浄する手術が検討されます。
緊急手術(腹腔鏡・開腹)
出血が止まらない場合、全身状態が不安定な場合、腹膜炎が起きている場合、悪性腫瘍が疑われる場合は、手術が行われます。現在は、お腹に小さな穴をあけてカメラと器具を入れる腹腔鏡手術が主流で、傷が小さく回復が早いという利点があります。出血が非常に多い場合や腫瘍が大きい場合、悪性が疑われる場合などは、お腹を切る開腹手術が選ばれることもあります。
手術では、出血している部分を止血し、破れた嚢胞や腫瘍を取り除き、お腹の中にたまった血液や内容物を洗い流します。妊娠を希望する方では、できるだけ卵巣を残して嚢胞だけを取る方法が優先されますが、卵巣の状態によっては片方の卵巣を摘出することもあります。卵巣を摘出したあとの生活への影響は卵巣を摘出するデメリットで解説しています。
入院期間の目安
入院期間は、経過観察でも手術でも、数日から1週間程度が一つの目安です。腹腔内出血をともなう卵巣の嚢胞破裂78人の韓国の研究では、平均の入院日数は、経過観察の群で3.1±1.4日、手術の群で4.1±0.8日でした[2]。黄体からの出血92人の研究では、経過観察の群と手術の群の入院期間に差は見られませんでした[6]。
ただし、これらは海外の研究で、入院期間は国や医療機関の方針、出血の量、手術の方法、腫瘍の種類によって変わり、日本の医療機関にそのまま当てはまるとは限りません。開腹手術や、腫瘍の病理検査の結果を待つ必要がある場合、腹膜炎の治療が必要な場合は、さらに入院が長くなることがあります。具体的な見通しは、治療を受ける医療機関で確認してください。
悪性腫瘍が破裂した場合
卵巣がんが破裂すると、進行期(がんの広がりの段階)の評価が上がり、その後の治療方針に影響することがあります。国際産婦人科連合(FIGO)の進行期分類では、がんが卵巣(または卵管)にとどまっていても、破裂がある場合はI期の中でもIC期に分類されます[7]。
📋 FIGO分類のIC期(卵巣・卵管にとどまるがん)
| 分類 | 内容 |
|---|---|
| IC1 | 手術中に被膜が破れた(手術操作による腫瘍の漏出) |
| IC2 | 手術前に被膜が破れていた、または卵巣・卵管の表面に腫瘍がある |
| IC3 | 腹水または腹腔洗浄液にがん細胞がある |
※FIGOの卵巣がん・卵管がん・腹膜がんの進行期分類[7]による。
手術中に破れた場合(IC1)が予後にどの程度影響するかは、複数の研究やメタ解析で検討されてきました[8]。こうした背景から、悪性の可能性が否定できない卵巣腫瘍の手術では、できるだけ破らずに取り出すことが重視されます。手術前に破れていた場合(IC2)は、がん細胞がすでにお腹の中に広がっている可能性があるため、手術後の化学療法(抗がん剤治療)の必要性などが検討されます。
7. 卵巣破裂のあと妊娠できる?再発・後遺症
卵巣破裂のあとも、片方の卵巣が残っていれば、あるいは破裂した側の卵巣組織が残っていれば、妊娠できる可能性は残ります。卵巣は左右に1つずつあり、片方でも排卵と女性ホルモンの分泌は続くためです。黄体からの出血で手術をせずに回復した場合は、卵巣そのものは残っています。
ただし、破裂後の妊娠率を直接調べた信頼できるデータは限られており、「何%の人が妊娠できる」と数字で示すことはできません。妊娠への影響は、もとの病気(チョコレート嚢胞など)、手術で卵巣をどの程度取ったか、お腹の中の癒着(臓器どうしがくっつくこと)の程度、年齢などによって一人ひとり異なります。
チョコレート嚢胞や腹膜炎のあとでは、卵管や卵巣のまわりに癒着が残り、卵子が卵管に取り込まれにくくなることがあります。また、嚢胞を取る手術では、正常な卵巣組織も一部失われることがあり、卵巣に残っている卵子の数(卵巣予備能)に影響する場合があります。妊娠を希望する方は、手術前に主治医と卵巣をできるだけ残す方法について相談し、治療後に妊娠を考える段階で、必要に応じて不妊治療の専門施設で評価を受けることが勧められます。
再発については、タイプによって考え方が違います。黄体からの出血は排卵のたびに起こりうるため、一度起こした方が再び起こすこともあります。血液を固まりにくくする薬を飲んでいる方では、主治医と相談して排卵を抑える治療が検討されることもあります。腫瘍の破裂の場合は、同じ卵巣や反対側に腫瘍が再びできることがあるため、治療後も定期的に経過を見ていくことになります。
8. 卵巣破裂を防ぐためにできること
卵巣破裂を完全に防ぐ方法はありませんが、腫瘍が原因のタイプは、早めに見つけて計画的に治療することで、破裂する前に対処できる場合があります。一方、黄体からの出血は健康な卵巣でも起こるため、検診で予防することはできません。タイプによってできることが違います。
卵巣の腫瘍は小さいうちは症状がほとんどなく、破裂や茎捻転で初めて見つかることもあります。婦人科の診察で行う経腟超音波検査では、卵巣の腫れや嚢胞を確認できます。腫瘍が見つかった場合は、種類や大きさ、経過に応じて、定期的に大きさを確認するか、予定手術で取るかを主治医と相談します。緊急手術よりも予定手術のほうが、卵巣を残す方法を落ち着いて選びやすくなります。卵巣の超音波検査については卵巣エコーでわかることで解説しています。
チョコレート嚢胞がある方は、ホルモン療法で嚢胞の進行を抑える治療が行われることがあります。また、前述のように卵巣がんとの関係も知られているため、治療の有無にかかわらず定期的な経過観察が大切です。
黄体からの出血については、血液を固まりにくくする薬を飲んでいる方や、以前に卵巣出血を起こしたことがある方は、急な下腹部痛が出たら早めに受診することが大切です。薬を自己判断で中止するのは危険なため、心配な場合は処方している主治医に相談してください。卵巣の腫瘍を指摘されている方で激しい運動や性交のときに痛みが出る場合も、主治医に伝えておくとよいでしょう。
9. 遺伝の視点|卵巣がんと遺伝性腫瘍
卵巣破裂の多くは良性の嚢胞や黄体からの出血によるものですが、破れた腫瘍が卵巣がんだった場合には、遺伝的な体質が関わっていることがあります。卵巣がんは、生まれつきの遺伝子の違いによってなりやすさが高まることが知られている代表的ながんの1つです。
よく知られているのが、BRCA1遺伝子またはBRCA2遺伝子に病的なバリアント(病気の原因となる遺伝子の変化)がある遺伝性乳がん卵巣がん症候群(HBOC)です。国際的な大規模追跡研究では、80歳までに卵巣がんになる累積リスクは、BRCA1の病的バリアントを持つ人で44%(95%信頼区間36〜53%)、BRCA2で17%(同11〜25%)と推計されています[9]。これは病的バリアントを持つ人の集団での推計で、一人ひとりのリスクは家族歴などによって変わります。
もう1つは、大腸がんや子宮体がんが多く見られるリンチ症候群です。ミスマッチ修復遺伝子(DNAの複製ミスを直す遺伝子)の病的バリアントを持つ人を前向きに追跡した国際データベースでは、卵巣がんも主要ながんの1つとして記録されており、リスクの大きさは原因となる遺伝子によって異なることが示されています[10]。
遺伝性腫瘍の体質がわかると、ご本人の今後の検診や予防的な治療の選択肢を考えたり、血縁者が自分のリスクを知るきっかけになったりします。どのがんが遺伝と関わるのかの全体像は「がんは遺伝する」は本当?で解説しています。
💡 用語解説:遺伝性乳がん卵巣がん症候群(HBOC)
HBOCは、BRCA1遺伝子またはBRCA2遺伝子に生まれつき病的なバリアントがあることで、乳がんや卵巣がんなどになりやすくなる体質です。常染色体顕性(優性)遺伝の形式をとり、親から子へ2分の1の確率で受け継がれます。受け継いでも必ずがんになるわけではありませんが、一般の人より発症リスクが高いため、体質に合わせた検診や予防の方法が検討されます。
🩺 院長コラム【卵巣の腫瘍を指摘されたら、家族歴も思い出してみる】
卵巣破裂の多くは良性の病気で、遺伝とは関係ありません。そのうえで、臨床遺伝専門医としては、卵巣の腫瘍が見つかったときに、ご家族に卵巣がんや乳がん、若くして大腸がんや子宮体がんになった方がいないかを一度思い出していただくことに意味があると考えています。
家族歴は、遺伝性腫瘍の可能性を考える最初の手がかりです。もし卵巣がんと診断された場合には、治療を担当する医療機関で遺伝学的検査について説明を受ける機会があるかを確認しておくと、ご本人だけでなく血縁の方の健康管理にもつながると考えています。
よくある質問(FAQ)
Q1. 卵巣破裂の入院期間はどのくらいですか?
数日から1週間程度が一つの目安です。海外の研究では、手術をせずに経過を見た人で平均3.1日、手術をした人で平均4.1日でした。ただし、出血の量、手術の方法、もとの腫瘍の種類、医療機関の方針によって変わります。
Q2. 卵巣破裂はどんな痛みですか?激痛ですか?
多くは前ぶれなく突然始まる片側の下腹部痛です。お腹の中に漏れた血液や内容物が腹膜を刺激するため、激痛になることもあれば、鈍い痛みが続くだけのこともあります。出血が多いと、ふらつき、冷や汗、肩の先の痛みなどをともないます。
Q3. 卵巣破裂に予兆はありますか?
破裂を事前に知らせる決まったサインはありません。卵巣の腫瘍がある方では下腹部の張りや違和感が続くこともありますが、それが破裂の前ぶれかどうかは区別できません。腫瘍を指摘されている方は、いつもと違う痛みがあれば早めに受診してください。
Q4. 卵巣破裂はがんですか?
多くは良性の嚢胞や、排卵後の黄体からの出血によるもので、がんではありません。ただし、卵巣がんが破裂することもあり、その場合は進行期の評価や治療方針に影響します。破裂した腫瘍の性質は、画像検査や手術で取り出した組織の病理検査で確認します。
Q5. 卵巣破裂のあと妊娠できますか?
片方の卵巣や卵巣組織が残っていれば、妊娠できる可能性は残ります。ただし、もとの病気、手術で取った範囲、癒着の程度、年齢などによって影響は異なり、妊娠率を数字で示せるデータは限られています。妊娠を希望する方は、治療前に主治医と卵巣を残す方法について相談してください。
Q6. 手術しなくても治りますか?
黄体からの出血で全身状態が安定している場合は、手術をせずに入院して経過を見ることが多く、腹腔内出血をともなう研究では約8割が手術をせずに回復しています。出血が続く場合、全身状態が不安定な場合、腹膜炎や悪性腫瘍が疑われる場合は手術が必要になります。
Q7. ミネルバクリニックで卵巣破裂の検査や治療はできますか?
いいえ、当院では卵巣破裂の検査・診断・治療は行っておらず、この件についてのご予約・お問い合わせもお受けしていません。急な下腹部痛がある場合は、婦人科または救急外来を受診してください。
まとめ
卵巣破裂は正式な病名ではなく、卵巣の嚢胞・腫瘍が破れるタイプと、排卵後の黄体などから出血するタイプ(卵巣出血)をまとめた呼び方です。典型的な症状は急な片側の下腹部痛で、出血が多いとふらつきや冷や汗、肩の痛みが現れ、出血性ショックに至ることがあります[1]。
黄体からの出血では、全身状態が安定していれば約8割が手術をせずに回復したと報告されていますが[2][6]、出血が続く場合や腹膜炎、悪性腫瘍が疑われる場合は手術が必要です。卵巣がんが破裂した場合は進行期の評価が変わり[7]、卵巣がんの一部にはBRCA1/2などの遺伝的な体質が関わります[9]。急な下腹部痛に、ふらつき・冷や汗・強くなる痛みが加わったら、ためらわずに救急を受診してください。
🏥 卵巣破裂の検査・治療をお考えの方へ
当院では、卵巣破裂の検査・診断・治療を行っておりません。
この件についてのご予約・お問い合わせはお受けしておりません。
急な下腹部痛があり卵巣破裂が疑われる場合は、婦人科または救急外来を受診してください。
この記事は病気を正しく知っていただくための解説であり、当院での診療をご案内するものではありません。なお、卵巣がんと診断され、他の診療の過程で遺伝学的評価が必要と判断された場合に限り、遺伝カウンセリングが関係することがあります。
参考文献
- [1] Bottomley C, Bourne T. Diagnosis and management of ovarian cyst accidents. Best Pract Res Clin Obstet Gynaecol. 2009;23(5):711-724. doi:10.1016/j.bpobgyn.2009.02.001. [ScienceDirect]
- [2] Kim JH, Lee SM, Lee JH, et al. Successful Conservative Management of Ruptured Ovarian Cysts with Hemoperitoneum in Healthy Women. PLoS One. 2014;9(3):e91171. doi:10.1371/journal.pone.0091171. PMID:24608424. [PLOS ONE]
- [3] 日本産科婦人科学会. 卵巣の腫瘍とがん. [日本産科婦人科学会]
- [4] El Moussaoui M, Médart L, Goffin F. Ruptured Teratoma and Chemical Peritonitis. J Belg Soc Radiol. 2019;103(1):8. doi:10.5334/jbsr.1677. PMID:30671566. [JBSR]
- [5] Kobayashi H, Sumimoto K, Moniwa N, et al. Risk of developing ovarian cancer among women with ovarian endometrioma: a cohort study in Shizuoka, Japan. Int J Gynecol Cancer. 2007;17(1):37-43. doi:10.1111/j.1525-1438.2006.00754.x. PMID:17291229. [Int J Gynecol Cancer]
- [6] Kim MJ, Kim HM, Seong WJ. The predicting factors for indication of surgery in patients with hemoperitoneum caused by corpus luteum cyst rupture. Sci Rep. 2021;11(1):17766. doi:10.1038/s41598-021-97214-6. PMID:34531415. [Scientific Reports]
- [7] Berek JS, Renz M, Kehoe S, Kumar L, Friedlander M. Cancer of the ovary, fallopian tube, and peritoneum: 2021 update. Int J Gynaecol Obstet. 2021;155 Suppl 1(Suppl 1):61-85. doi:10.1002/ijgo.13878. PMID:34669199. [PubMed 34669199]
- [8] Kim HS, Ahn JH, Chung HH, et al. Impact of intraoperative rupture of the ovarian capsule on prognosis in patients with early-stage epithelial ovarian cancer: a meta-analysis. Eur J Surg Oncol. 2013;39(3):279-289. doi:10.1016/j.ejso.2012.12.003. PMID:23273873. [EJSO]
- [9] Kuchenbaecker KB, Hopper JL, Barnes DR, et al. Risks of Breast, Ovarian, and Contralateral Breast Cancer for BRCA1 and BRCA2 Mutation Carriers. JAMA. 2017;317(23):2402-2416. doi:10.1001/jama.2017.7112. PMID:28632866. [JAMA]
- [10] Dominguez-Valentin M, Sampson JR, Seppälä TT, et al. Cancer risks by gene, age, and gender in 6350 carriers of pathogenic mismatch repair variants: findings from the Prospective Lynch Syndrome Database. Genet Med. 2020;22(1):15-25. doi:10.1038/s41436-019-0596-9. [Genetics in Medicine]





