目次
子宮外妊娠(異所性妊娠:いしょせいにんしん)は、多くの場合、妊娠5〜6週ごろに「妊娠反応が出ているのに、子宮の中に胎嚢(たいのう)が見えない」ことから疑われます。妊娠検査薬は子宮外妊娠でも陽性になるため、自宅で見分けることはできません。妊娠の可能性があって、強い下腹部痛、ふらつき、失神、肩の痛みなどがある場合は、夜間でも救急の受診が必要です。この記事では、子宮外妊娠がいつ・どのようにわかるのか、症状と痛みの特徴、検査と治療、次の妊娠への影響を解説します。
Q. 子宮外妊娠はいつわかりますか?
A. 目安は妊娠5〜6週ごろです。経腟超音波(腟からのエコー)で子宮の中に胎嚢が見え始める時期に、妊娠反応があるのに子宮内に胎嚢が見えないことで疑われます。ただし1回の診察では確定できないことが多く、血液中のhCG(妊娠ホルモン)の推移とエコーを数日おきに組み合わせて診断します。強い腹痛や失神がある場合は、週数にかかわらずすぐに受診してください。
- ➤いつわかる → 妊娠5〜6週ごろ。確定までに数日〜1週間ほどかかることがある
- ➤頻度 → 妊娠の約1〜2%。約95%が卵管での妊娠
- ➤症状 → 初期は無症状のことも多い。片側の下腹部痛、不正出血、肩の痛み
- ➤治療 → 待機療法・薬物療法(メトトレキサート)・手術の3つから状態に応じて選ぶ
- ➤その後 → 次の妊娠は可能。再発率は約10%のため、次の妊娠では早めの受診を
1. 子宮外妊娠はいつわかる? 妊娠5〜6週が目安
子宮外妊娠は、多くの場合、妊娠5〜6週ごろに疑われます。正常な妊娠では、経腟超音波で妊娠5週ごろから子宮の中に胎嚢が見え始め、6週ごろまでに卵黄嚢(らんおうのう)や胎芽(たいが:赤ちゃんのもと)が確認できるようになります[1]。この時期になっても、妊娠反応が出ているのに子宮の中に胎嚢が見えないことが、子宮外妊娠を考えるきっかけになります。
妊娠週数は最終月経の開始日を0週0日として数えるため、「生理が1週間遅れた」ころが妊娠5週にあたります。検査薬で陽性が出てすぐに受診すると、子宮内の妊娠であっても胎嚢がまだ小さく、見えないことがあります。この段階では「早すぎて見えない」のか「子宮の外にある」のかを区別できないため、日をおいて再び診察を受けることになります。子宮外妊娠の多くは妊娠6〜8週ごろに、下腹部の痛みや出血で見つかると報告されています[1]。
💡 用語解説:胎嚢(たいのう)
胎嚢とは、受精卵が着床したあとにできる、赤ちゃん(胎芽)と羊水を包む袋のことです。超音波では黒い丸い袋として映り、妊娠初期に「子宮の中で妊娠が成立しているか」を確かめる最初の目印になります。子宮外妊娠では、この袋が子宮の中に見えず、卵管などに見えるか、どこにも見えないことがあります。
子宮の中に胎嚢が見えるのは何週から?(経腟エコー)
経腟超音波では、正常な妊娠なら妊娠5週ごろに子宮内の胎嚢が見え始めます。お腹の上から当てるエコーよりも、腟から細い器具(プローブ)を入れる経腟エコーのほうが子宮や卵管に近いため、妊娠初期の小さな胎嚢を早く見つけられます。子宮外妊娠の診断の基本は、この経腟超音波と血液中のhCGの測定です[2]。
判断の目安として使われるのが、血液中のhCGの値です。hCGがある程度の値を超えていれば、子宮内の妊娠なら胎嚢が見えるはず、という考え方で、米国産婦人科学会はこの目安を最大3,500mIU/mL程度とすることを勧めています[1]。目安を高めに置くのは、正常に育っている子宮内の妊娠を子宮外妊娠と誤って治療しないためです。胎嚢が見えないことだけで、すぐに子宮外妊娠と決めつけることはありません。
1回の診察では確定しないことが多い理由(部位不明妊娠・hCGの推移)
妊娠反応は陽性なのに、子宮の中にも外にも妊娠の場所が確認できない状態を「部位不明妊娠(PUL)」と呼びます。この段階の妊娠は、その後、子宮内の妊娠として育つ場合、自然に流産していく場合、子宮外妊娠とわかる場合のいずれもありえます。そこで、48時間ほどあけて血液中のhCGを2回測り、その変化を見ます。
英国国立医療技術評価機構(NICE)のガイドラインでは、48時間でhCGが63%を超えて上がっていれば子宮内の妊娠が育っている可能性が高い(ただし子宮外妊娠を完全には否定できない)、50%を超えて下がっていれば妊娠は続かない可能性が高いと説明するよう示しています。どちらにも当てはまらない増え方・減り方の場合は、24時間以内に専門外来で再評価を受けることとされています[3]。
このように、子宮外妊娠の診断はhCGの推移とエコーの所見を何回か重ねて絞り込んでいくもので、確定までに数日から1週間ほどかかることがあります。「子宮外妊娠の疑い」と言われたあとに、結果的に子宮内の妊娠や流産だとわかることもあるのは、この仕組みのためです。
💡 用語解説:部位不明妊娠(PUL:pregnancy of unknown location)
妊娠反応が陽性で、経腟超音波でも子宮の中・外のどちらにも妊娠の場所が確認できない状態のことです。病名ではなく、診断がつくまでの「途中の状態」を指す言葉です。hCGの推移とエコーの再検査で、子宮内の妊娠、流産、子宮外妊娠のどれかに分かれていきます。
妊娠検査薬は陽性になる:自分では見分けられない
子宮外妊娠でも、妊娠検査薬は陽性になります。検査薬が調べているのは尿中のhCGで、hCGは受精卵が着床して絨毛(じゅうもう:のちの胎盤になる組織)がつくられると分泌されます。着床した場所が子宮の中か外かにかかわらずhCGは出るため、検査薬の結果だけでは妊娠の場所はわかりません。
子宮外妊娠ではhCGの増え方がゆるやかなことがあり、「判定線が薄い」「なかなか濃くならない」と感じる場合もあります。ただし、線の濃さは尿の濃さや検査のタイミングでも変わるため、濃淡から子宮外妊娠かどうかを判断することはできません。陽性が出たら、生理予定日から1週間ほどを目安に産婦人科を受診し、子宮の中に妊娠しているかを確認してもらうことが大切です。陽性でも正常な妊娠ではないケースについては、妊娠検査薬が陽性でも正常な妊娠ではないケースで詳しく解説しています。
2. 子宮外妊娠(異所性妊娠)とは
子宮外妊娠とは、受精卵が子宮内膜(子宮の内側)以外の場所に着床してしまう妊娠のことです。医学的には「異所性妊娠」と呼び、子宮頸管(しきゅうけいかん:子宮の出口の部分)や帝王切開の傷あとなど、子宮の一部ではあっても本来の場所ではない着床も含めてこの名前で扱います。
受精は通常、卵管の先のほう(卵管膨大部)で起こり、受精卵は細胞分裂をくり返しながら数日かけて卵管を通って子宮へ運ばれます。卵管の内側には細かい線毛(せんもう)があり、卵管の筋肉の動きとあわせて受精卵を子宮へ送っています。この通り道がどこかで妨げられたり、運ぶ働きが弱まったりすると、受精卵が子宮にたどり着く前に着床してしまいます。
卵管は内径が数ミリほどの細い管で、子宮のように妊娠に合わせて大きく伸びることはできません。そのため、卵管で妊娠が進むと、やがて卵管が伸びきれずに破れたり、出血したりします。子宮外妊娠は、その妊娠を続けて赤ちゃんを産むことができない妊娠でもあります。
💡 用語解説:卵管(らんかん)
卵管は、子宮の左右から伸びる長さ10cmほどの細い管で、卵巣から出た卵子を受け取り、精子と出会う場を提供し、受精卵を子宮まで運ぶ役割をもっています。子宮に近い側から、間質部・峡部・膨大部・卵管采(らんかんさい)と呼び分けられます。感染や手術のあとに内側がせまくなったり癒着したりすると、受精卵がうまく運ばれなくなります。
着床する場所と割合(約95%が卵管)
子宮外妊娠のほとんどは卵管で起こり、その割合は約95%です。フランスで手術を受けた1,800例を10年間にわたって調べた研究では、卵管膨大部が70.0%、卵管峡部が12.0%、卵管采が11.1%、卵管間質部が2.4%で、卵管以外では卵巣が3.2%、腹腔が1.3%でした[4]。卵管のなかでも、受精が起こる膨大部が最も多い場所です。

(日本産科婦人科学会 第66回学術講演会資料「異所性妊娠」より引用[5])
卵管の中でも子宮に近い間質部は、周りを子宮の筋肉に囲まれているため、ほかの部位より妊娠が進んでから症状が出ることがあり、破れたときの出血も多くなりやすい場所です。このほか、子宮頸管や帝王切開の傷あと(瘢痕部)への着床もまれにあり、場所によって治療の方法が変わります。
どのくらいの確率で起こる?
子宮外妊娠は、妊娠全体のおよそ1〜2%に起こります。米国の報告でも妊娠の約1〜2%とされ[1]、日本産科婦人科学会の学術講演会資料でも全妊娠の約1〜2%に発症すると示されています[5]。100人の妊娠に1〜2人の割合なので、決してまれな病気ではありません。
この頻度は、体外受精などの生殖補助医療による妊娠では2〜5%とやや高くなると報告されています[1]。中国で体外受精後の妊娠16,048周期を調べた研究では、子宮外妊娠の割合は全体で2.09%で、新鮮胚移植(2.16%)と凍結胚移植(2.07%)の間に、年齢などを調整したうえで明らかな差はありませんでした[6]。なお、ここで示した数字は集団としての割合であり、一人ひとりが子宮外妊娠になる確率をそのまま表すものではありません。
流産・化学流産との違い
流産や化学流産は「子宮の中に着床した妊娠が育たなかった」状態、子宮外妊娠は「子宮の外に着床した」状態で、起きている場所が違います。化学流産は、妊娠反応が一度陽性になったあと、超音波で胎嚢が確認できる前に妊娠が終わるもので、多くは生理のような出血とともに自然に経過します。化学流産の気づき方や経過については化学流産の解説で詳しく扱っています。
見分けが難しいのは、どちらも「妊娠反応はあるのに子宮内に胎嚢が見えない」「出血がある」という同じ姿で始まることがあるためです。hCGが順調に下がっていけば化学流産や早期の流産の可能性が高くなり、下がり方が鈍い、あるいは上がり続けるのに子宮内に胎嚢が見えない場合は、子宮外妊娠を考えて検査を続けます。子宮内の流産の分類については流産の種類で解説しています。
3. 子宮外妊娠の症状:痛みはいつから、どこが痛む?
子宮外妊娠の典型的な症状は、生理の遅れ、下腹部の痛み、不正出血の3つで、出血がお腹の中にたまると肩の痛みやふらつきが加わります。NICEのガイドラインは、よくある症状として腹痛・骨盤の痛み、無月経または生理の遅れ、腟からの出血を挙げ、ほかに肩の先の痛み、めまい・失神、排尿時の症状、排便時の痛みや肛門の圧迫感も挙げています[3]。
初期はほとんど症状がない(つわりが出ることもある)
子宮外妊娠は、妊娠のごく初期には症状がほとんどないことが多い病気です。着床した場所が違っても妊娠そのものは成立しているため、hCGなどのホルモンが分泌され、胸の張りや吐き気、眠気といった、ふつうの妊娠初期と同じ症状が出ることもあります。つわりがあるから子宮内の妊娠だ、あるいはつわりがないから子宮外妊娠だ、と判断することはできません。
症状が表に出てくるのは、多くは妊娠6〜8週ごろ、卵管の中で妊娠組織が大きくなって卵管が引き伸ばされたり、少しずつ出血したりしはじめてからです[1]。つまり「症状がないから大丈夫」とは言えず、検査薬で陽性が出た時点で受診して場所を確認しておくことが、早く見つけるいちばん確実な方法です。
痛みの特徴:片側の下腹部痛・肩の痛み
子宮外妊娠の痛みは、左右どちらか片側の下腹部に起こることが多く、はじめは鈍い痛みや引きつれる感じで、進むと強い痛みに変わります。卵管の妊娠では、妊娠している側の卵管が引き伸ばされるため、その側に痛みを感じやすくなります。ただし、出血がお腹の中に広がると、痛む場所ははっきりしなくなり、お腹全体の痛みになります。
お腹の中にたまった血液が横隔膜を刺激すると、肩の先に痛みを感じることがあります。これは、横隔膜からの刺激を脳が肩からの痛みとして受け取るためで、「関連痛(かんれんつう)」と呼ばれます。お腹の病気なのに肩が痛むという一見つながりにくい症状ですが、妊娠の可能性がある人の肩の痛みは、腹腔内の出血を示すサインのひとつとして重く受け止められています[3]。また、お腹の中の血液が直腸の近くにたまると、排便時の痛みや、便意のような圧迫感として感じられることもあります。
出血を生理と間違えやすい
子宮外妊娠の不正出血は、少量で、だらだらと続くことが多く、生理と勘違いされやすい出血です。子宮外妊娠では子宮の内膜が妊娠に反応して厚くなりますが、hCGが十分に増えないと内膜を保てず、はがれて出血します。これが予定日ごろに起こると「少し遅れて生理が来た」と受け取られ、妊娠そのものに気づかないまま経過することがあります。
「生理が来たのに、いつもより量が少ない」「色が茶色っぽく、だらだら続く」「いつもと違う下腹部痛がある」という場合は、妊娠検査薬で確認してみることが一つの手がかりになります。生理が来たように見えても、子宮外妊娠の可能性を完全には否定できません。
すぐ救急を受診すべきサイン
妊娠の可能性があり、次のような症状がある場合は、診療時間外であっても救急外来を受診してください。卵管が破れてお腹の中に出血している可能性があり、早い対応が必要になるためです。
🚨 すぐに救急受診が必要なサイン
・急に強くなる下腹部の痛み、我慢できない痛み
・ふらつき、めまい、冷や汗、顔色が悪い、失神しそうになる
・肩の先の痛み(特に横になると強くなる)
・排便時の強い痛みや、肛門を押されるような感じ
・急に増えた出血
※妊娠検査薬で陽性が出ている、または生理が遅れている場合は、受診時に必ず伝えてください。
こうした症状が軽くても、妊娠検査薬が陽性でまだ子宮内の妊娠を確認できていない時期であれば、早めに産婦人科を受診してください。妊娠初期の腹痛の見分け方と受診の目安は、妊娠初期の腹痛の解説でもまとめています。
似た痛みが出る病気(卵巣出血・卵巣茎捻転)
片側の強い下腹部痛は、子宮外妊娠のほかに、卵巣出血や卵巣茎捻転(らんそうけいねんてん)でも起こります。卵巣出血は、排卵のあとや黄体(排卵後の卵巣にできる組織)から出血するもので、性交のあとに起こることもあります。卵巣茎捻転は、腫れた卵巣が根元でねじれてしまう病気で、突然の激しい痛みと吐き気を伴うことが多いのが特徴です。
これらはどれも経腟超音波で調べますが、妊娠反応が陽性かどうかで考える病気の順番が大きく変わります。医療機関では、痛みの出方に加えて妊娠反応とhCGの値、エコーでのお腹の中の出血の量などをあわせて判断します。それぞれの病気については、卵巣出血、卵巣茎捻転の解説をご覧ください。
4. 放置するとどうなる? 何週で破裂する?
卵管の妊娠がそのまま進むと、多くは妊娠6〜8週ごろに卵管が破れたり、卵管から出血したりして症状が現れます。卵管は妊娠組織の成長に合わせて伸びることができないため、組織が大きくなるにつれて卵管の壁が薄くなり、最終的に破れてしまいます。破れる時期は着床した場所によって違い、子宮に近い間質部ではより遅い時期まで症状が出ないことがあります。
卵管が破れると、お腹の中に大量に出血し、血圧が下がって出血性ショック(出血で全身に血液が行き渡らなくなる状態)に陥ることがあります。米国では、子宮外妊娠の破裂は妊娠に関連した死亡の2.7%を占めると報告されており[1]、妊娠初期の母体死亡の主な原因のひとつです[2]。
一方で、すべての子宮外妊娠が破裂まで進むわけではありません。妊娠組織が育たずに自然に吸収されていくものや、卵管から自然に流れ出る「卵管流産」になるものもあります。どの経過をたどるかは、はじめの段階では予測できません。だからこそ、症状がないうちに場所を確認し、子宮外妊娠とわかった場合は、hCGの値や症状に応じて医師と経過観察・治療の方針を決めることが大切です。
🩺 院長コラム【「陽性」はゴールではなく、場所の確認までがひとつながり】
妊娠検査薬の陽性は、うれしい知らせであると同時に、「どこに妊娠しているか」はまだわからないという段階でもあります。子宮外妊娠は妊娠の1〜2%に起こり、症状が出る前に見つけられれば、体への負担の少ない治療を選べる可能性が高くなります。
陽性が出たら、症状がなくても子宮の中に胎嚢があるかを確認するまでを、ひとつの流れとして考えていただきたいと考えています。痛みや出血がある場合、とくにふらつきや肩の痛みを伴う場合は、予約を待たずに救急外来を受診してください。
5. 子宮外妊娠になりやすい人(原因と危険因子)
子宮外妊娠の多くは、受精卵を運ぶ卵管の働きや形に問題があることで起こります。フランスの大規模な症例対照研究では、喫煙と過去の骨盤内の感染症がとくに大きな危険因子で、子宮外妊娠のそれぞれ約35%と約33%がこれらの要因で説明できると推計されました[7]。ただし、危険因子は「なりやすさ」を示すもので、それがあるから必ず子宮外妊娠になるわけではありません。
📋 子宮外妊娠の主な危険因子
※オッズ比は「その因子がある人がない人に比べて何倍なりやすいか」の目安で、個人の確率を直接示すものではありません。
卵管のダメージ(クラミジアなどの感染症・骨盤内の炎症・手術歴)
卵管が傷ついていることは、子宮外妊娠の最も重要な原因のひとつです。クラミジアや淋菌などの性感染症が子宮から卵管へ広がると、卵管の内側に炎症が起こり、治ったあとも内腔がせまくなったり、線毛の働きが落ちたり、周りと癒着したりすることがあります。すると、精子は通れても、それより大きな受精卵は通りにくくなり、卵管の途中で着床してしまいます。
女性のクラミジア感染症は、自覚症状がほとんどないまま経過することが多く、気づかないうちに卵管に影響が残っていることがあります。先に紹介した研究でも、過去の骨盤内感染症はオッズ比3.4と、はっきりした危険因子でした[7]。卵管や卵巣、子宮の手術、虫垂炎の手術などで骨盤内に癒着が起きている場合も、同じ理由で子宮外妊娠が起こりやすくなります。
💡 用語解説:クラミジア感染症
クラミジア・トラコマチスという細菌による性感染症です。女性では子宮頸管に感染し、おりものの変化や軽い下腹部痛が出ることもありますが、多くは症状がありません。抗菌薬で治療できますが、治療が遅れて卵管に炎症が及ぶと、卵管がせまくなったり詰まったりして、不妊症や子宮外妊娠の原因になることがあります。パートナーと一緒に治療することが基本です。
過去に子宮外妊娠をしたことがある
過去に子宮外妊娠をしたことは、次の子宮外妊娠の最も強い危険因子です。1回経験すると次の妊娠での再発率は約10%、2回以上経験していると25%を超えると報告されています[1]。これは、前回の子宮外妊娠を起こした卵管の状態がもう一方の卵管にも共通していることが多いことや、治療で残した卵管に傷あとが残ることなどが関係すると考えられています。
再発率が約10%ということは、裏を返せば、次の妊娠の多くは子宮の中で成立するということでもあります。大切なのは、次に妊娠したときに「前回子宮外妊娠だった」ことを医療機関に伝え、早い時期に妊娠の場所を確認してもらうことです。
体外受精などの不妊治療と、子宮内外同時妊娠
体外受精では受精卵を子宮に直接戻しますが、それでも子宮外妊娠は起こり、その頻度は自然妊娠よりやや高いと報告されています。子宮に戻した胚が子宮の収縮などで卵管へ移動し、そこで着床することがあるためと考えられています。また、体外受精を受ける人には、もともと卵管の病気が不妊の原因になっている人が含まれることも関係します。
生殖補助医療ではもうひとつ、子宮の中と外に同時に妊娠が成立する「子宮内外同時妊娠」に注意が必要です。自然妊娠では3万回に1回未満とされる非常にまれなものですが[8]、生殖補助医療による妊娠では100回に1回程度まで高くなると報告されています[1]。子宮の中に胎嚢が見えると安心してしまいがちですが、複数の胚を移植した場合などでは、子宮内に胎嚢があっても腹痛や出血があれば、子宮の外もあわせて確認します。体外受精に伴うそのほかのリスクは体外受精のリスクで解説しています。
喫煙・年齢・IUD(子宮内避妊具)使用中の妊娠
喫煙は、変えることのできる危険因子のなかで最も影響の大きいものです。先の研究では、喫煙本数が多いほど子宮外妊娠のなりやすさが高まり、1日20本を超える人では吸わない人に比べてオッズ比3.9でした[7]。たばこの成分が卵管の線毛の動きや筋肉の収縮に影響し、受精卵を運ぶ働きを弱めることが一因と考えられています。
年齢も関係し、35歳以上では子宮外妊娠の頻度が高くなると報告されています[1]。年齢とともに卵管の働きが変わることや、これまでに感染症や手術を経験している機会が増えることなどが重なっていると考えられます。子宮外妊娠は何歳でも起こりうるもので、年齢だけで心配しすぎる必要はありません。
IUD(子宮内避妊具)は妊娠そのものを強く防ぐため、使用中の人が妊娠することはまれです。IUDの使用歴は子宮外妊娠の危険因子のひとつとして挙げられており[7]、IUDを入れている人や過去に使っていた人が妊娠反応陽性になったときは、早めに産婦人科で妊娠の場所を確認してもらうことが勧められます。
6. 検査と診断の流れ
子宮外妊娠の診断は、血液中のhCGの測定と経腟超音波を組み合わせて行います。ここ40年ほどの間、この2つが体に負担をかけずに子宮外妊娠を見つけるための基本とされてきました[2]。必要に応じて内診も行い、手術で治療する場合は、腹腔鏡でお腹の中を直接見て最終的に確認することもあります。
血液検査でhCGを測り、推移を見る
hCGは、1回の値よりも「48時間でどう変化したか」が重要です。正常に育っている子宮内の妊娠では、妊娠初期のhCGは短い間隔で大きく増えていきます。これに対して子宮外妊娠では、増え方がゆるやかだったり、横ばいになったり、ゆっくり下がったりすることが多くなります。
NICEのガイドラインでは、48時間で63%を超えて増えていれば子宮内の妊娠が育っている可能性が高く、50%を超えて減っていれば妊娠が続かない可能性が高いと判断し、そのどちらでもない場合は24時間以内に再評価を受けることとされています[3]。hCGの値は人によって大きな幅があるため、「この値なら正常」という1つの基準で判断することはできません。hCGというホルモンの性質や働きについては、hCG(ヒト絨毛性ゴナドトロピン)の用語解説で詳しく扱っています。
経腟超音波検査
経腟超音波では、子宮の中に胎嚢があるかどうか、卵管や卵巣のあたりに腫れや胎嚢のような影がないか、お腹の中に血液がたまっていないかを調べます。腟から細いプローブを入れて行う検査で、多少の違和感はありますが、数分で終わります。子宮の外に胎嚢や心拍が見えれば子宮外妊娠と診断できますが、実際には、卵管の妊娠は小さな塊としてしか見えないことも多くあります。
子宮の中に袋のようなものが見えても、子宮外妊娠のときに子宮内にたまった液体が胎嚢のように見えることがあり、卵黄嚢などの中身を確認して見分けます。1回の検査で結論が出ない場合は、hCGの推移とあわせて数日後に再検査を行います。
内診
内診では、子宮や卵管のあたりを押したときの痛み(圧痛)や、腫れの有無を確かめます。子宮外妊娠がある側の卵管のあたりを押すと痛みが出ることがあり、診断の手がかりのひとつになります。ただし、内診だけで子宮外妊娠を確定することはできず、あくまで超音波とhCGの結果とあわせて判断します。
内診や経腟超音波では、検査の目的や方法について説明を受け、必要に応じて医師や看護師に希望や懸念を伝えることができます。経腟超音波を受け入れられない場合、NICEは経腹超音波を提案し、その方法には診断上の限界があることを説明するよう示しています[3]。
7. 子宮外妊娠の治療:3つの選択肢
子宮外妊娠の治療には、待機療法(経過観察)、薬物療法(メトトレキサート)、手術療法の3つがあり、hCGの値、痛みの有無、妊娠組織の大きさ、心拍の有無、出血の状態などから選びます。いずれの方法でも、妊娠を続けることはできません。治療の目的は、母体の安全を守ることと、できるだけ将来の妊娠の可能性を残すことです。どの治療でも成功すれば、その後の妊娠のしやすさや子宮外妊娠をくり返す率は大きく変わらない、とする見解も示されています[5]。
⚕️ 3つの治療法の比較(NICEガイドラインの目安)
| 治療法 | 対象となる主な目安 | 注意点 |
|---|---|---|
| 待機療法 | 症状が安定し痛みがない/卵管妊娠が35mm未満で心拍なし/hCG 1,000IU/L以下 | hCGが下がりきるまで通院が必要 |
| 薬物療法(メトトレキサート) | 強い痛みがない/破裂していない35mm未満の卵管妊娠/hCG 1,500IU/L未満/子宮内の妊娠がない | 効果の確認に通院が必要。治療後しばらくは避妊が必要 |
| 手術療法 | 強い痛み/35mm以上の腫れ/心拍がある/hCG 5,000IU/L以上/通院が難しい | 多くは腹腔鏡手術。出血が多い場合は緊急手術 |
※NICE NG126[3]に基づく目安です。日本の医療機関では、施設の方針や患者さんの状態に応じて判断されます。
待機療法(経過観察)
待機療法は、薬や手術を使わず、妊娠組織が自然に吸収されていくのを見守る方法です。子宮外妊娠の中には、妊娠組織が育たずに自然に小さくなっていくものがあり、そうした場合は治療を加えなくてもhCGが下がっていきます。NICEのガイドラインは、症状が安定して痛みがなく、卵管の妊娠が35mm未満で心拍が見えず、hCGが1,000IU/L以下の人に待機療法を勧め、1,000〜1,500IU/Lの人にも検討できるとしています[3]。
待機療法では、hCGが十分に下がるまで定期的に血液検査を受ける必要があります。途中で痛みが強くなったり、hCGが下がらなかったりした場合は、薬物療法や手術に切り替えます。通院を続けられることが、この方法を選ぶ前提になります。
薬物療法(メトトレキサート)
薬物療法では、メトトレキサートという薬を注射して、妊娠組織(絨毛)の細胞が増えるのを止め、吸収させます。NICEのガイドラインは、強い痛みがなく、破裂していない35mm未満の卵管妊娠で、hCGが1,500IU/L未満、子宮内に妊娠がない人に、メトトレキサートを第一の選択肢として勧めています[3]。適した人での成功率は約70〜95%と報告されています[1]。
手術をせずに卵管を残せる利点がある一方で、効果が出るまでに時間がかかり、hCGが下がりきるまで数週間の通院が必要です。治療中に卵管が破裂することもあるため、強い痛みが出たときはすぐに受診します。副作用として、口内炎、吐き気、肝機能の変化などが起こることがあります。メトトレキサートは胎児に影響する可能性があるため、治療後しばらくは避妊が必要です(次の妊娠の時期は第8章で説明します)。
💡 用語解説:メトトレキサート(MTX)
メトトレキサートは、細胞が増えるときに必要な葉酸の働きを妨げることで、細胞分裂を抑える薬です。関節リウマチやがんの治療にも使われていますが、子宮外妊娠では、盛んに増えている絨毛の細胞を止めるために使います。子宮外妊娠の治療では、多くは筋肉注射で投与し、その後のhCGの下がり方で効果を確認します。
手術療法(腹腔鏡:卵管切除と卵管温存)
手術では、多くの場合、お腹に小さな穴を開けて行う腹腔鏡手術で、妊娠している卵管を切除するか、卵管を切開して妊娠組織だけを取り除きます。卵管が破れてお腹の中に大量に出血している場合は、緊急で手術を行い、状況によっては開腹手術になります。NICEのガイドラインは、強い痛み、35mm以上の腫れ、心拍が見える、hCGが5,000IU/L以上のいずれかがある場合に手術を第一の選択肢としています[3]。
卵管を切除する方法と残す方法のどちらがよいかについては、もう一方の卵管が正常な人を対象にした国際的なランダム化比較試験(ESEP試験)があります。この試験では、その後の自然妊娠による継続妊娠率は卵管を残す手術で60.7%、切除で56.2%と明らかな差がありませんでした。一方、卵管を残した場合は妊娠組織が残ってしまう「存続絨毛」が7%に起こり、切除(1%未満)より多くなりました[9]。こうした結果から、NICEのガイドラインは、ほかに不妊の危険因子がなければ卵管切除を勧め、不妊の危険因子がある人では卵管温存も検討するとしています[3]。
入院期間と保険適用
子宮外妊娠の手術は病気の治療として行われるため、健康保険の対象になるのが一般的です。腹腔鏡手術の場合、入院期間は数日程度のことが多いですが、出血の量や体の状態、施設の方針によって変わります。薬物療法や待機療法では入院せずに通院で経過をみることもあれば、状態を慎重に見るために入院することもあります。
自己負担額は、手術の方法や入院日数、加入している保険によって異なります。医療費が高額になる場合は高額療養費制度の対象になることがあるため、医療機関の窓口や加入している健康保険に確認してください。民間の医療保険の給付対象になるかどうかは、契約内容によって異なります。
Rh陰性の人の注意点
血液型がRhD陰性の人では、妊娠週数などに応じて抗D免疫グロブリンの投与が検討されます。これは、妊娠組織由来のRhD陽性赤血球が母体の血液に入ったときに、将来の妊娠に影響する抗D抗体ができるのを防ぐためのものです。NICEは2026年に推奨を更新し、妊娠11週6日まではRhD陰性でも抗D免疫グロブリンを投与せず、妊娠12週0日〜12週6日に子宮外妊娠を薬物療法または手術で治療する場合は250 IU(50マイクログラム)の投与を勧めています[3]。実際の運用は国・施設や妊娠週数によって異なるため、RhD陰性とわかっている人は、治療を受ける医療機関に伝えてください。
8. 子宮外妊娠のあとの妊娠
子宮外妊娠を経験したあとも、多くの人が次の妊娠をしています。卵管を1本切除しても、もう一方の卵管が働いていれば自然に妊娠することができます。先に紹介したESEP試験でも、もう一方の卵管が正常な人では、追跡期間中に半数を超える人が自然妊娠による継続妊娠に至っていました[9]。子宮外妊娠のあとは、心身の回復に時間がかかることもあります。子宮外妊娠は妊娠の喪失であり、不安や落ち込みを経験する人も少なくないことが指摘されています[2]。
次の妊娠はいつから?
次の妊娠を考える時期は、受けた治療によって異なります。手術や待機療法の場合は、hCGが下がりきり、体が回復して生理が戻れば、次の妊娠を考えられることが多いとされています。メトトレキサートで治療した場合は、薬の影響を考えて、少なくとも3か月間の避妊を勧める専門家と、少なくとも1回の排卵周期をあけることを勧める専門家がいます[1]。
いずれの場合も、hCGが下がりきったことを確認し、治療を担当した医師から次の妊娠の時期について説明を受けてから計画するのが安全です。
再発率と、次の妊娠で早めに受診すべき理由
子宮外妊娠を1回経験した人が次の妊娠で再び子宮外妊娠になる確率は約10%です。2回以上経験している場合は25%を超えると報告されています[1]。ESEP試験でも、卵管を残す手術のあとでは8%、切除のあとでは5%に子宮外妊娠の再発がみられ、両者に統計的な差はありませんでした[9]。
再発をまったく防ぐ方法はありませんが、早く見つけることはできます。次に妊娠検査薬で陽性が出たら、前回子宮外妊娠だったことを伝えたうえで早めに受診し、妊娠の場所を確認してもらってください。早い段階で見つかれば、待機療法や薬物療法など、体への負担が少ない治療を選べる可能性が高くなります。
卵管を切除しても妊娠できる?
卵管を1本切除しても、残った卵管が働いていれば自然妊娠は可能です。卵巣から出た卵子は、反対側の卵管に取り込まれることもあり、卵管が1本でも妊娠できる仕組みがあります。一方、両方の卵管を失った場合や、残った卵管も詰まっている場合は、自然妊娠は難しくなります。
その場合でも、卵管を通らずに受精卵を子宮に直接戻す体外受精という選択肢があります。卵管の状態がどのように妊娠のしにくさにつながるかは、不妊症の原因の解説で扱っています。子宮外妊娠のあとになかなか妊娠しない場合は、卵管の通り具合を調べる検査などを含めて、不妊治療を行う医療機関で相談するのがよいでしょう。
9. 臨床遺伝専門医からみた子宮外妊娠:遺伝との関係
子宮外妊娠は、主に受精卵を運ぶ「通り道」の問題で起こるもので、受精卵そのものの異常が主な原因となる早い時期の流産とは、仕組みが異なります。妊娠初期の流産の多くは、受精卵の染色体の数の違いなど、偶然起こる受精卵側の要因によるものです。これに対して子宮外妊娠は、卵管の傷や働きの変化によって、受精卵が本来の場所にたどり着けなかったことで起こります。
子宮外妊娠の組織の染色体を調べた小規模な研究では、培養できた21例中3例(14%)に染色体の異常があり、その割合は子宮内の妊娠で報告されている頻度と同程度でした[10]。症例数が少ないため結論には限界がありますが、少なくとも「子宮外妊娠になったのは赤ちゃんに異常があったから」と単純に言えるものではないことを示しています。
また、子宮外妊娠は、遺伝する病気として親から子に受け継がれるものではありません。「自分の遺伝子のせいで子宮外妊娠になった」「次の子どもに何か影響するのでは」と心配される方もいますが、子宮外妊娠を経験したことが、次に生まれてくる子どもの遺伝的な病気のなりやすさにつながるという根拠は、現時点では示されていません。
🩺 院長コラム【「原因がどこにあるか」を知ることは、次の妊娠への準備になる】
子宮外妊娠の多くは、卵管の形態や機能など、受精卵が子宮内へ移動する過程に関係する要因によって起こります。その日の過ごし方だけで発症が決まるものではなく、受精卵の染色体異常が主な原因であるとも確認されていません。
子宮外妊娠の危険因子には、喫煙や骨盤内感染症のように介入可能なものがある一方、既往歴など変更できないものもあります。禁煙や性感染症の予防・治療に加え、子宮外妊娠の既往がある場合は、次の妊娠で早期に妊娠部位を確認することが重要です。
よくある質問(FAQ)
Q1. 生理がきたけれど、子宮外妊娠の可能性はありますか?
可能性はあります。子宮外妊娠では、hCGが十分に増えないために子宮の内膜がはがれて出血し、それを生理と勘違いすることがあります。いつもより量が少ない、だらだら続く、いつもと違う腹痛があるといった場合は、妊娠検査薬で確認し、陽性なら産婦人科を受診してください。
Q2. 妊娠検査薬の線が薄いと子宮外妊娠ですか?
線の薄さだけで子宮外妊娠かどうかはわかりません。子宮外妊娠ではhCGの増え方がゆるやかなことがありますが、線の濃さは尿の濃さや検査の時期でも変わります。陽性が出たら、妊娠5〜6週ごろを目安に受診し、超音波で妊娠の場所を確認してもらってください。
Q3. 子宮外妊娠でもつわりはありますか?
あります。子宮外妊娠でも妊娠は成立しているため、hCGなどのホルモンが分泌され、吐き気や胸の張りなど、ふつうの妊娠初期と同じ症状が出ることがあります。つわりの有無で子宮外妊娠かどうかを判断することはできません。
Q4. 子宮外妊娠で出産はできますか?
子宮外妊娠の妊娠を続けて出産することはできません。卵管などは妊娠に合わせて大きくなれず、続けると破裂して母体の命に関わる出血を起こすおそれがあるためです。ただし、次の妊娠では子宮の中で妊娠し、出産できる人が多くいます。
Q5. 自然妊娠でも子宮外妊娠になりますか?
なります。子宮外妊娠は妊娠全体の約1〜2%に起こり、自然妊娠でも起こります。体外受精などの生殖補助医療による妊娠では2〜5%とやや高くなると報告されています。
Q6. 子宮外妊娠は何歳に多いですか?
子宮外妊娠はどの年齢でも起こりますが、35歳以上では頻度が高くなると報告されています。年齢とともに卵管の働きが変わることや、感染症・手術の経験が増えることなどが関係すると考えられています。
Q7. 「子宮外妊娠の疑い」と言われましたが、違うこともありますか?
あります。妊娠のごく初期は、子宮内の妊娠でも胎嚢が小さくて見えないことがあり、hCGの推移とエコーを数日おきに確認して診断を絞り込みます。その結果、子宮内の妊娠や、自然に終わっていく流産とわかることもあります。次の受診日を守り、その間に強い痛みや失神があればすぐに受診してください。
Q8. 手術は痛いですか? 入院期間はどのくらいですか?
手術は全身麻酔で行うため、手術中の痛みはありません。多くは腹腔鏡手術で、傷が小さく、術後の痛みも比較的軽いことが多いです。入院期間は数日程度のことが多いですが、出血の量や体の状態、施設の方針によって変わります。
Q9. 子宮外妊娠の手術は保険がききますか?
子宮外妊娠の手術は病気の治療として行われるため、健康保険の対象になるのが一般的です。自己負担額や高額療養費制度の利用、民間の医療保険の給付については、医療機関の窓口や加入先に確認してください。
Q10. 子宮外妊娠は予防できますか?
確実に予防する方法はありませんが、なりやすさを下げることはできます。禁煙すること、クラミジアなどの性感染症を予防し、感染がわかったら治療を受けることが挙げられます。過去に子宮外妊娠を経験した人は、次の妊娠で早めに受診して妊娠の場所を確認してもらうことが大切です。
Q11. ミネルバクリニックで子宮外妊娠の検査や治療はできますか?
いいえ、当院では子宮外妊娠の検査・診断・治療は行っておらず、この件についてのご予約・お問い合わせもお受けしていません。子宮外妊娠が疑われる場合は、産婦人科を受診してください。強い腹痛やふらつきがある場合は救急外来を受診してください。
まとめ
子宮外妊娠(異所性妊娠)は、受精卵が子宮内膜以外の場所に着床する妊娠で、妊娠のおよそ1〜2%に起こり、その約95%が卵管です[1][4]。多くは妊娠5〜6週ごろ、妊娠反応があるのに子宮の中に胎嚢が見えないことで疑われ、hCGの推移と経腟超音波を重ねて診断します[3]。妊娠検査薬は陽性になるため、自宅で見分けることはできません。
治療は、状態に応じて待機療法、メトトレキサートによる薬物療法、手術から選ばれます。治療後も多くの人が次の妊娠をしていますが、再発率は約10%のため、次の妊娠では早めに受診して妊娠の場所を確認することが大切です[1]。妊娠の可能性があって、強い腹痛、ふらつき、失神、肩の痛みがある場合は、すぐに救急外来を受診してください。
🏥 子宮外妊娠の検査・治療をお考えの方へ
当院では、子宮外妊娠(異所性妊娠)の検査・診断・治療を行っておりません。
この件についてのご予約・お問い合わせはお受けしておりません。
子宮外妊娠が疑われる場合は、産婦人科を受診してください。強い腹痛やふらつきがある場合は、救急外来を受診してください。
この記事は病気を正しく知っていただくための解説であり、当院での診療をご案内するものではありません。
参考文献
- [1] Vadakekut ES, Gnugnoli DM. Ectopic Pregnancy. In: StatPearls [Internet]. Treasure Island (FL): StatPearls Publishing; updated 2025 Mar 27. [NCBI Bookshelf NBK539860]
- [2] Chong KY, de Waard L, Oza M, et al. Ectopic pregnancy. Nat Rev Dis Primers. 2024;10:94. doi:10.1038/s41572-024-00579-x. [Nature Reviews Disease Primers]
- [3] National Institute for Health and Care Excellence. Ectopic pregnancy and miscarriage: diagnosis and initial management (NG126). Published 2019; last updated 17 June 2026. [NICE NG126]
- [4] Bouyer J, Coste J, Fernandez H, Pouly JL, Job-Spira N. Sites of ectopic pregnancy: a 10 year population-based study of 1800 cases. Hum Reprod. 2002;17(12):3224-3230. doi:10.1093/humrep/17.12.3224. [PubMed 12456628]
- [5] 綾部琢哉. 異所性妊娠. 日本産科婦人科学会 第66回学術講演会 資料. 2014. [日本産科婦人科学会]
- [6] Hu Z, Li D, Chen Q, et al. Differences in Ectopic Pregnancy Rates between Fresh and Frozen Embryo Transfer after In Vitro Fertilization: A Large Retrospective Study. J Clin Med. 2022;11(12):3386. doi:10.3390/jcm11123386. [PubMed 35743455]
- [7] Bouyer J, Coste J, Shojaei T, et al. Risk factors for ectopic pregnancy: a comprehensive analysis based on a large case-control, population-based study in France. Am J Epidemiol. 2003;157(3):185-194. [doi:10.1093/aje/kwf190]
- [8] Hassani KIM, El Bouazzaoui A, Khatouf M, Mazaz K. Heterotopic pregnancy: A diagnosis we should suspect more often. J Emerg Trauma Shock. 2010;3(3):304. [PMC2938513]
- [9] Mol F, et al. Salpingotomy versus salpingectomy in women with tubal pregnancy (ESEP study): an open-label, multicentre, randomised controlled trial. Lancet. 2014;383(9927):1483-1489. [PubMed 24499812]
- [10] Block WA Jr, Wolf GC, Best RG. Chromosomal abnormalities in ectopic pregnancy chorionic villi. J Soc Gynecol Investig. 1998;5(6):324-326. [doi:10.1177/107155769800500608]





