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子宮腺筋症とは?症状・原因・治療、放置するとどうなるか、妊娠への影響まで臨床遺伝専門医が解説

目次

仲田洋美 医師

この記事の監修:仲田洋美(臨床遺伝専門医)

ミネルバクリニック院長。臨床遺伝専門医として遺伝医療に携わっています。

子宮腺筋症(しきゅうせんきんしょう)は、子宮内膜によく似た組織が子宮の筋肉(子宮筋層)の中にでき、月経のたびに増えたり出血したりすることで、子宮が厚く大きくなる病気です。月経痛が年々強くなる、経血の量が多くて貧血になる、下腹部がふくらんでお腹が出たように見える、といった形で気づかれることが多い病気です。がんとは別の良性の病気で、がんが発生するのはまれとされています。この記事では、子宮内膜症・子宮筋腫との違い、症状、原因と遺伝との関係、検査、放置した場合の経過、治療、妊娠への影響までを、臨床遺伝専門医の立場から解説します。

この記事でわかること
📖 読了時間:約15分
🩺 症状・治療・妊娠・遺伝
★ 臨床遺伝専門医監修

Q. 子宮腺筋症は放っておいても大丈夫ですか?

A. 通常は命に関わる病気ではなく、症状が軽く困っていなければ経過をみることもあります。ただし閉経までは少しずつ進むことが多く、過多月経による貧血や強い月経痛で日常生活に支障が出ている場合は治療の対象になります。閉経後に新しく出血がある場合は、腺筋症と決めつけず婦人科で確認が必要です。

  • ➤どんな病気? → 子宮内膜に似た組織が子宮の筋肉の中で増え、子宮が厚く大きくなる
  • ➤主な症状 → 年々強くなる月経痛、過多月経と貧血、お腹のふくらみ
  • ➤遺伝する? → 親から子へ受け継がれる病気とは考えられていない。病変の中では遺伝子の後天的な変化が見つかっている
  • ➤妊娠できる? → 妊娠は可能。ただし体外受精の成績低下や流産・早産の増加が報告されている

1. 子宮腺筋症とは

子宮腺筋症とは、子宮内膜に似た組織が子宮筋層(子宮の壁をつくる筋肉の層)の中にでき、女性ホルモンのエストロゲンの影響を受けて増える病気です。日本産婦人科医会は、子宮腺筋症を子宮筋層内に内膜に似た組織が発生して過多月経や月経困難症を引き起こす、エストロゲン依存性の病気として説明しています[1]。

子宮の内側を覆う子宮内膜は、受精卵が着床するための「ベッド」です。妊娠が成立しなければ、内膜ははがれ落ちて月経血として体の外へ出ていきます。ところが、同じような組織が筋肉の中に入り込んでいると、月経のたびに筋層の中で増えたり出血したりしても、血液の逃げ場がありません。その結果、周りの筋肉が反応して厚くなり、子宮全体が硬く大きくなっていきます。

子宮の筋肉の中に子宮内膜に似た組織ができる病気

子宮の壁は、内側から子宮内膜、子宮筋層、外側の漿膜(しょうまく)という3つの層でできています。健康な子宮では、子宮内膜と筋層の境目ははっきりしています。子宮腺筋症では、この境目を越えて内膜に似た腺(分泌をする組織)と間質(それを支える組織)が筋層の中に入り込み、その周りの筋肉が太く増えています。病名の「腺」と「筋」は、この2つの要素を表しています。

よく似た名前の子宮内膜症は、内膜に似た組織が子宮の外(卵巣や腹膜など)にできる病気です。かつては子宮腺筋症も子宮内膜症の一種として「内性子宮内膜症」と呼ばれていましたが、できる場所やなりやすい年齢層が異なることから、現在は別の病気として扱われています。ただし両者は合併しやすく、共通する仕組みもあると考えられています。

💡 用語解説:junctional zone(ジャンクショナルゾーン)

子宮内膜のすぐ外側にある、子宮筋層の内側の層のことです。MRIでは黒っぽい帯として見え、「接合帯」とも呼ばれます。子宮腺筋症ではこの層が不均一に厚くなることがあり、診断の手がかりの一つになります。

どのくらいの人がなる?なりやすい年齢と特徴

子宮腺筋症は珍しい病気ではなく、40代を中心とする、出産経験のある女性に多い病気です。日本内分泌学会の解説では、手術で摘出された子宮を顕微鏡で詳しく調べると20〜60%程度に認められ、性成熟期から更年期にかけて発症し、40歳代にピークがあり、経産婦に多いとされています[2]。日本産婦人科医会の資料でも、患者さんの8割は40〜50代であるという報告や、診断時の平均年齢が38.2歳という報告が紹介されています[1]。

一方で、症状があって画像検査で診断される人の数は、顕微鏡で調べた頻度よりずっと少なくなります。米国の約9万人を対象とした調査では、子宮腺筋症と診断された人の割合は1万人年あたり28.9人で、発生率がもっとも高かったのは41〜45歳でした[4]。また、米国家庭医学会の総説は、子宮腺筋症の人の3人に1人は症状がないと述べています[3]。つまり、「子宮に腺筋症の変化がある人」は多く、そのうち症状が出て治療が必要になる人は一部ということです。

経腟超音波やMRIの精度が上がったことで、20代や出産経験のない人でも、月経痛や不妊の検査をきっかけに見つかることがあります。「40代の病気」と思い込まず、年齢にかかわらず症状があれば評価の対象になります。

びまん性・限局性(腺筋腫)などの分類

子宮腺筋症は、病変の広がり方によって「びまん性」と「限局性(腺筋腫)」に大きく分けられます。びまん性は、病変が子宮の壁に広く染み込むように広がり、正常な筋肉との境目がはっきりしないタイプです。限局性は、病変が一部に集まってかたまりをつくるタイプで、子宮筋腫と見分けにくいことがあります。このほか、古い血液がたまった袋をつくる嚢胞性(のうほうせい)のタイプもあります。

また、病変が子宮の前の壁や後ろの壁の一部にとどまる「部分性」と、子宮の壁全体に及ぶ「全周性」という分け方もあります。病変が筋層の内側(内膜側)から広がるタイプと、外側(漿膜側)に多いタイプを区別する考え方もあります。

国際的に統一された重症度分類はまだありません。「重症度」と検索される方が多いのですが、臨床では、子宮の大きさ、病変の範囲、症状の強さ、貧血の程度、妊娠を希望するかどうかを組み合わせて治療方針を考えるのが一般的です。子宮の大きさの数字だけで重い・軽いを決めることはできません。

2. 子宮内膜症・子宮筋腫との違い

子宮腺筋症・子宮内膜症・子宮筋腫はいずれもエストロゲンの影響を受ける良性の病気ですが、病変ができる場所と中身が違います。子宮内膜症は内膜に似た組織が子宮の外にできる病気、子宮筋腫は子宮の筋肉の細胞が増えてできる良性のこぶ、子宮腺筋症は内膜に似た組織が子宮の筋肉の中にできる病気です。

この3つは同じ人に重なって見つかることが多く、症状もよく似ています。とくに卵巣にできる子宮内膜症である卵巣チョコレート嚢胞とは合併しやすいことが知られています。病気の違いを知っておくと、検査結果の説明や治療の選択肢が理解しやすくなります。

🩺 子宮腺筋症・子宮内膜症・子宮筋腫の違い

項目 子宮腺筋症 子宮内膜症 子宮筋腫
病変の場所 子宮の筋肉の中 子宮の外(卵巣・腹膜など) 子宮の筋肉(内側・壁の中・外側)
病変の中身 内膜に似た組織+増えた筋肉 内膜に似た組織 筋肉の細胞が増えたこぶ
多い年代 40代前後・経産婦 20〜40代 30〜40代
主な症状 強い月経痛、過多月経 月経痛、性交痛、不妊 過多月経、圧迫症状
正常な筋肉との境目 はっきりしないことが多い ― はっきりしている
子宮を残す手術 病変だけを取るのが難しい 病変の切除・焼灼 筋腫だけを取りやすい

※3つの病気は同じ人に合併することが多く、症状だけでは区別できません。診断には超音波検査やMRIを用います。

子宮筋腫との違いでとくに大切なのは、正常な筋肉との境目です。筋腫は周りの筋肉を押しのけるように育つため、境目がはっきりしていて、筋腫だけをくり抜く手術がしやすい病気です。これに対して腺筋症は筋肉の中に染み込むように広がるため、境目がはっきりせず、病変だけを取り除くことが難しくなります。この違いが、治療法の選び方に大きく影響します。

それぞれの病気の詳しい解説は、子宮内膜症、子宮筋腫、卵巣チョコレート嚢胞のコラムで扱っています。

3. 子宮腺筋症の症状

子宮腺筋症のおもな症状は、年々強くなる月経痛と、経血量が多くなる過多月経、それにともなう貧血です。米国家庭医学会の総説では、過多月経は40〜60%、月経痛は15〜30%の人にみられ、ほかに不妊、月経不順、骨盤の痛みが挙げられています[3]。一方で、3人に1人は症状がないとされ、ほかの理由で受けた検査で偶然見つかることもあります[3]。

年々強くなる月経痛と過多月経・貧血

子宮腺筋症の月経痛は、以前より痛みが強くなった、鎮痛薬が効きにくくなった、月経の始まる前から痛む、という形で進むのが特徴です。筋肉の中の病変で出血や炎症が起こるうえ、厚くなった子宮が強く収縮するため、痛みが出やすくなると考えられています。

過多月経は、子宮が大きくなって内膜の面積が増えることや、筋肉がうまく収縮できず出血が止まりにくくなることが原因とされています。夜用ナプキンが1〜2時間でいっぱいになる、レバーのような血のかたまりが出る、月経のたびにふらつく、といった状態が続くと、鉄欠乏性貧血が進みます。貧血はゆっくり進むと体が慣れてしまい、自覚しにくいことがあります。息切れ、動悸、疲れやすさ、爪が割れやすいといった変化も、貧血のサインです。

お腹が出る・ぽっこりする・太ったように見える理由

子宮腺筋症でお腹が出たように見えるのは、脂肪ではなく子宮そのものが大きくなっているためです。子宮は本来、鶏の卵くらいの大きさですが、腺筋症で壁が厚くなると、握りこぶし大から、それ以上に大きくなることがあります。大きくなった子宮は骨盤からはみ出して下腹部を内側から押し上げるため、体重はあまり変わらないのに下腹部だけがふくらむ、スカートのウエストがきつくなる、といった変化として気づかれます。

脂肪によるお腹のふくらみとの違いは、下腹部の真ん中が硬く盛り上がっていて、あおむけに寝ても平らになりにくいことです。月経の前後で張りが強くなることもあります。「太ったから」とダイエットをしても、子宮が大きいことによるふくらみは変わりません。子宮腺筋症そのものが体重を増やすわけではないため、「子宮腺筋症で太る」と感じる場合の多くは、この見た目の変化によるものです。

下腹部のふくらみは、子宮筋腫や卵巣の腫れでも起こります。自己判断で原因を決めつけず、超音波検査で確認することが大切です。

月経以外の痛み・頻尿・便秘・性交痛

子宮が大きくなると、周りの臓器を押すことによる症状も出てきます。前にある膀胱が押されると頻尿や残尿感、後ろにある直腸が押されると便秘や排便時の痛みが起こりやすくなります。月経と関係なく続く下腹部の重い痛みや腰痛、お尻のほうに響く痛みを訴える方もいます。

性交時の奥のほうの痛み(深部性交痛)も、子宮腺筋症や合併しやすい子宮内膜症でみられる症状です。こうした症状は人に話しにくく、我慢されていることが少なくありませんが、治療で和らぐ可能性のある症状です。

受診の目安

月経痛や経血量の変化で日常生活に支障が出ているときは、婦人科(産婦人科)で評価を受ける目安になります。以下のような状態が続く場合は、子宮腺筋症に限らず、子宮や卵巣の病気が隠れていないかを確認しておくと安心です。

⚠️ 婦人科での評価を考えたいサイン

・月経痛で仕事や学校を休む、鎮痛薬が効きにくくなってきた
・夜用ナプキンが1〜2時間もたない、血のかたまりが多い
・健診で貧血を指摘された、息切れや動悸がある
・下腹部のふくらみや硬いしこりに気づいた
・月経以外の出血が続く、閉経後に出血があった

月経以外の出血については不正出血の受診の目安、下腹部の痛みから考えられる病気については子宮が痛いときに考えられる病気で詳しく解説しています。

4. 子宮腺筋症の原因となりやすくなる要因

子宮腺筋症のはっきりした原因は、まだわかっていません。日本内分泌学会の解説でも、原因は不明で、子宮内膜が何らかの原因で子宮の奥まで入り込んでしまったと考えられている、とされています[2]。現在は、いくつかの仕組みが組み合わさって起こるという見方が主流です。

考えられている仕組み

もっとも有力なのは、子宮内膜の奥の層(基底層)が、内膜と筋層の境目を越えて筋肉の中に入り込むという考え方です。出産や子宮の手術、子宮の強い収縮のくり返しなどで境目の組織が傷つき、その修復の過程で内膜が筋層の中へ入り込むのではないかと考えられています。

もう一つは、胎児期に子宮ができあがる過程で、内膜のもとになる細胞が筋層の中に取り残され、のちにホルモンの影響で増えてくるという考え方です。この説は、出産経験のない若い人や、筋層の外側に病変がある人の腺筋症を説明するのに使われます。どちらの場合も、病変はエストロゲンの影響を受けて増え、月経のたびに炎症をくり返すことで、周りの筋肉が厚くなっていきます[1]。

💡 用語解説:エストロゲン依存性

エストロゲンは卵巣から分泌される女性ホルモンの一つで、子宮内膜を厚くする働きがあります。エストロゲン依存性とは、病気の組織がこのホルモンの刺激によって増えたり活発になったりする性質のことです。そのため、エストロゲンの分泌が減る閉経後には、病変が小さくなり症状が落ち着く傾向があります。

エストロゲンの働きについては、エストロゲンの用語解説も参考にしてください。

出産・子宮の手術歴・年齢との関係

子宮腺筋症になりやすい要因として報告されているのは、年齢が上がること、出産回数が多いこと、子宮の手術や処置を受けたことです。米国家庭医学会の総説は、年齢、出産経験、子宮の処置の既往をリスク因子として挙げています[3]。子宮の処置には、帝王切開、子宮筋腫の手術、流産や中絶の際の子宮内容除去術などが含まれます。

ただし、これらは「なりやすさ」と関連する要因であって、出産や手術をした人が必ず腺筋症になるわけではありません。反対に、これらの要因がまったくない人でも発症します。また、これらの研究の多くは、ある時点で要因と病気が一緒に見られることを示したもので、要因が病気を直接引き起こしたことまで証明したものではありません。

ストレスで悪化するのではないか、と心配される方もいます。ストレスは痛みの感じ方や月経周期に影響することはありますが、ストレスが子宮腺筋症の病変そのものを増やすことを示した確かな研究結果は、現時点では示されていません。

5. 遺伝の視点:子宮腺筋症は遺伝する?

子宮腺筋症は、親から子へ受け継がれる遺伝性の病気とは考えられていません。日本内分泌学会は、「遺伝はしないと考えられていますが、家系的に発症しやすい体質はあるかもしれません」と説明しています[2]。一方で近年、病変の中では遺伝子の変化が見つかっています。この2つは矛盾するように見えますが、「どの細胞で起きた遺伝子の変化か」を区別すると整理できます。

親から子へ受け継がれる病気ではない、ただし体質が集まることはありうる

遺伝子の変化には、生まれつき全身の細胞が持っていて精子や卵子を通じて子どもに伝わりうる「生殖細胞系列の変化」と、生まれたあとに体の一部の細胞だけに起こり、子どもには伝わらない「体細胞の変化」があります。子宮腺筋症について、特定の生まれつきの遺伝子の変化が原因となって家系内で受け継がれる、という形の遺伝は知られていません。

それでも、母親や姉妹に子宮腺筋症や子宮内膜症の人がいる、という家族歴がみられる場合があります。子宮内膜症では家族内に集まりやすいことが知られていますが、子宮腺筋症については、家族内でどのくらい集まりやすいかを調べた信頼できるデータは、まだ十分ではありません。仮に家族内に多いことがあっても、それは1つの遺伝子で決まるのではなく、多くの遺伝子のわずかな違いと、出産歴や月経の回数などの環境の要因が重なった結果と考えるのが自然です。こうした遺伝のしかたを多因子遺伝といいます。詳しくは遺伝形式(顕性・潜性から多因子まで)の解説をご覧ください。

そのため、お母さまが子宮腺筋症だったからといって、娘さんが必ずなるわけではありません。家族歴は「月経痛や経血量の変化に早めに気づくきっかけ」として役立てることができます。

病変の中で見つかるKRASの体細胞変異

子宮腺筋症の病変では、KRAS(ケーラス)遺伝子の体細胞変異が高い頻度で見つかることが、日本の研究グループによって報告されています。2019年に報告された研究では、子宮腺筋症の病変70例のうち26例(37.1%)でKRAS遺伝子の変異が見つかりました[5]。同じ研究では、子宮腺筋症の患者さんの正常な子宮内膜でも55.6%(18例中10例)でKRAS変異が見つかり、対照群の29.1%(24例中7例)より多かったとされています[5]。また、KRAS変異のある例では、卵巣や深部の子宮内膜症を合併している割合が高かったことも報告されています[5]。

KRAS遺伝子は、細胞に「増えなさい」という信号を伝えるスイッチの役割をもつタンパク質の設計図です。変異が起こるとスイッチが入りっぱなしになり、細胞が増えやすくなります。がんの研究でよく知られた遺伝子ですが、子宮腺筋症で見つかる変異はがんを意味するものではなく、良性の病変の中で起きている変化です。

さらに同じグループは2020年、病気のない女性の正常な子宮内膜でもKRAS変異が高い頻度で見つかり(98人中58人、59.18%)、妊娠回数や出産経験のある人で多かったと報告しています[6]。研究者らは、妊娠や出産にともなう変化が子宮内膜にKRAS変異をもつ細胞のまとまり(クローン)を生み、それが出産経験が子宮腺筋症のリスク因子である理由を説明するかもしれない、と考察しています[6]。これはまだ仮説の段階で、因果関係が確かめられたわけではありません。

💡 用語解説:体細胞変異

生まれたあとに、体の一部の細胞だけに起こる遺伝子の変化のことです。変化はその細胞が分裂して増えた子孫の細胞にだけ受け継がれ、精子や卵子には含まれないため、子どもに遺伝することはありません。子宮腺筋症のKRAS変異は子宮の細胞だけに起きているため、血液を使った遺伝子検査では見つかりません。

ここで大切なのは、病変のKRAS変異は体細胞変異であり、子どもに遺伝するものではないという点です。同じKRAS遺伝子でも、生まれつき全身の細胞に変化がある場合は、ヌーナン症候群などの先天的な病気に関係します。どの細胞に起きた変化かによって、意味がまったく異なるのです。違いは体細胞変異と生殖細胞系列変異のちがい、遺伝子そのものについてはKRAS遺伝子の解説で詳しく扱っています。現時点で、子宮腺筋症のなりやすさを調べたり診断したりするための遺伝学的検査は、診療として確立していません。

仲田洋美院長

🩺 院長コラム【「遺伝子の変化がある」と「遺伝する」は別の話】

「病変に遺伝子の変異がある」という情報は、「子どもに遺伝するのか」という疑問につながることがあります。けれども、子宮腺筋症で見つかるKRAS変異は、子宮の細胞にあとから起きた体細胞の変化で、精子や卵子を通じて次の世代に伝わるものではありません。

遺伝医学では、この「生まれつきの変化か、あとから起きた変化か」の区別が重要です。がんの遺伝子検査でも同じ考え方が用いられます。変化がどこに、いつ起きたのかを区別することで、その変化が本人の病変だけに関係するのか、血縁者にも関係しうるのかを整理できます。

6. 検査と診断

子宮腺筋症の診断は、問診と内診のあと、経腟超音波検査で疑い、必要に応じてMRIで詳しく調べる流れが一般的です。以前は、手術で取り出した子宮を顕微鏡で調べて初めて診断がつく病気でしたが、画像検査の進歩によって、手術をしなくても高い精度で診断できるようになりました。

問診・内診症状・月経・出産歴
▶
経腟超音波最初の画像検査
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MRI範囲・筋腫との区別
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治療方針症状・年齢・妊娠希望

内診と経腟超音波

内診では、子宮が全体に大きく、硬く、押すと痛むことが手がかりになります。ただし内診だけで子宮腺筋症と子宮筋腫を見分けることは難しく、画像検査が欠かせません。

経腟超音波は、腟から細い器具を入れて子宮を近くから観察する検査で、痛みは少なく外来ですぐに受けられます。日本産婦人科医会の資料では、厚くなった筋層の中に黒っぽく見える部分と白っぽく見える部分が混ざること、病変の縁がはっきりしないことが、子宮腺筋症の超音波所見として挙げられています[1]。子宮の前の壁と後ろの壁の厚さが大きく違う(非対称)ことも、よくみられる所見です。

米国家庭医学会の総説がまとめた研究では、経腟超音波の感度(病気のある人を正しく見つける割合)は83.8%、特異度(病気のない人を正しく除外する割合)は63.9%とされています[3]。検査する医師の経験や機器によって精度が変わること、筋腫が合併していると判断が難しくなることが限界です。

MRI(範囲の確認と筋腫との区別)

MRIは、子宮腺筋症の広がりや子宮筋腫との区別を確かめるのに役立つ検査です。MRIでは、筋層が不均一に厚くなっている様子や、junctional zoneの肥厚がとらえられます[1]。同じ総説によると、MRIの感度は77%、特異度は89%とされ、病気のない人を正しく除外する力は超音波より高いとされています[3]。

MRIは、手術を考える場合に病変の位置や範囲を正確に把握するためにも使われます。放射線を使わない検査ですが、狭い装置の中で20〜30分ほどじっとしている必要があります。どちらの画像検査も、単独で100%確実に診断できるわけではなく、症状と合わせて総合的に判断します。

血液検査(貧血・CA125)

血液検査では、まず過多月経による鉄欠乏性貧血がないかを確認します。日本産婦人科医会の資料でも、貧血の有無と凝固の状態の評価が挙げられています[1]。ヘモグロビンが大きく下がっている場合は、治療方針を考える前に鉄剤などで貧血を改善することが優先されます。

CA125(シーエー125)は卵巣がんの腫瘍マーカーとして知られる血液検査ですが、子宮腺筋症や子宮内膜症でも高くなることがあります。そのため、CA125が高いからといってがんとは限らず、逆にこの数値だけで腺筋症と診断することもできません。画像検査の結果と合わせて解釈される参考値です。

7. 放置するとどうなる?がん化・閉経との関係

子宮腺筋症そのものは通常、命に関わる病気ではなく、症状が軽ければ治療をせずに経過をみることもできます。一方で、閉経まではエストロゲンの影響を受け続けるため、年齢とともに病変が大きくなり、月経痛や過多月経が強くなっていくことが多い病気です。放置してよいかどうかは、「症状でどのくらい困っているか」「貧血が進んでいないか」「妊娠を考えているか」によって変わります。

閉経までは進むことが多い

症状のある子宮腺筋症を治療しないまま過ごすと、過多月経による貧血が少しずつ進んだり、痛みで仕事や家事に支障が出る日が増えたりします。貧血が重くなると、動悸や息切れ、立ちくらみが強くなり、日常生活の質が大きく下がります。「子宮腺筋症で死亡することはあるのか」と検索される方もいますが、子宮腺筋症そのものが命を脅かすことは通常ありません。ただし高度な貧血を長く放置することは、体に負担をかけます。

子宮腺筋症が自然に治ることは期待しにくい一方、症状が軽く、貧血もなければ、定期的な超音波検査で様子をみる選択も十分に考えられます。放置するか治療するかは二者択一ではなく、症状の変化に合わせて方針を見直していくものです。

がん化はまれ

子宮腺筋症からがんが発生することはありますが、まれです。子宮腺筋症の病変の中から子宮内膜がんが発生した例(EC-AIA)を集めた2023年の系統的レビューでは、世界の報告を合わせても解析できたのは37例にとどまり、平均年齢は57.9歳、85.1%が閉経後の女性でした[7]。このレビューはEC-AIAを「主に閉経後の女性に起こるまれな病気」と結論づけています[7]。発生する頻度を正確に示した数字はまだありません。

注意したいのは、腺筋症からのがんは病変が筋層の中にあるため、子宮の内側をこする通常の子宮体がん検査では見つけにくく、進んだ段階で見つかることがあるという点です[7]。閉経後に新しく出血がある、閉経したのに子宮が大きくなってくる、といった変化があれば、「腺筋症だから」と片づけずに婦人科で確認してください。子宮体がんについては子宮体がんの症状となりやすい人のコラムで解説しています。

閉経との関係・閉経が近い人の選択肢

子宮腺筋症はエストロゲン依存性の病気のため[1]、エストロゲンの分泌が減る閉経後には病変が小さくなり、月経痛や過多月経もなくなっていくのが一般的な経過です。そのため、40代後半以降で閉経が近い人では、手術を急がず、薬で症状を抑えながら閉経を待つという選択が現実的になることがあります。

一方、「子宮腺筋症があると閉経が遅くなる」という話が検索されることがありますが、子宮腺筋症が閉経の時期を遅らせることを示した確かな研究結果は、現時点では示されていません。閉経までの期間は個人差が大きく、あと何年続くかを正確に予測することは難しいため、「閉経を待つ」と決める場合でも、貧血や症状の変化を定期的に確認することが前提になります。

8. 治療法

子宮腺筋症の治療は、症状を和らげる薬物療法と、手術療法の2つに分かれます。どちらを選ぶかは、症状の強さ、年齢、閉経までの見込み、妊娠を希望するかどうか、病変の広がりによって決まります。症状がなければ治療は必要ありません。

薬物療法

軽い症状には、痛み止め(非ステロイド性抗炎症薬)や、貧血に対する鉄剤などの対症療法が使われます。痛みや出血が続く場合は、ホルモンの働きを調整する薬で病変の活動を抑えます。

💊 子宮腺筋症で使われる主な薬

薬の種類 働き 注意点
鎮痛薬・鉄剤 痛みを和らげる/貧血を改善する 病変そのものは小さくならない
低用量エストロゲン・プロゲスチン配合薬(LEP) 排卵と内膜の増殖を抑え、月経痛と出血量を減らす 血栓症のリスクがあり、年齢や喫煙などで使えない場合がある
ジエノゲスト(黄体ホルモン製剤) 子宮腺筋症に伴う痛みの改善 不正出血が起こり、重い貧血に至ることがある
レボノルゲストレル放出子宮内システム(ミレーナ) 子宮内で黄体ホルモンを出し、出血量と月経痛を減らす 子宮の形や大きさによっては使いにくいことがある
GnRH製剤 卵巣の働きを止め、閉経に近い状態にする 更年期のような症状や骨量の減少があり、使用期間が限られる

※薬の選択と使用期間は、症状・年齢・合併症によって医師が判断します。

日本で子宮腺筋症の適応を持つ代表的な薬が、黄体ホルモン製剤のジエノゲスト(商品名ディナゲストなど)です。添付文書では、効能・効果として「子宮内膜症」と「子宮腺筋症に伴う疼痛の改善」が記載されています[8]。一方で、服用中に不正出血が起こり、重い貧血に至ることがあると注意喚起されており、貧血のある人では必要に応じて先に貧血の治療を行うことが求められています[8]。過多月経が強い子宮腺筋症では、この点がとくに大切です。

ミレーナは子宮の中に入れる小さなT字型の器具で、黄体ホルモンを少しずつ放出して子宮内膜を薄くします。効能・効果には避妊のほか「過多月経」と「月経困難症」が含まれています[9]。1回入れると長期間効果が続くため、毎日薬を飲む必要がないのが利点です。GnRH製剤は効果が強い反面、骨がもろくなるなどの副作用があるため、手術前に子宮を小さくする目的や、閉経までの橋渡しとして期間を区切って使われることが多い薬です[1]。

💡 用語解説:GnRH製剤

GnRH(ゴナドトロピン放出ホルモン)は、脳の視床下部から出て、卵巣の働きを調節するホルモンです。GnRH製剤はこの信号を人工的に止めることで卵巣からのエストロゲン分泌を下げ、一時的に閉経に近い状態をつくります。「偽閉経療法」と呼ばれることもあります。

GnRHの働きについてはGnRHの用語解説で扱っています。

手術療法(子宮全摘と病巣を取る手術)

子宮腺筋症を根本から治す方法は、子宮を取る手術(子宮全摘術)です。日本産婦人科医会の資料でも、根治的な治療として子宮全摘術などの手術療法が挙げられています[1]。子宮を取れば月経がなくなり、月経痛と過多月経は解消します。卵巣を残せば、女性ホルモンの分泌は続きます。現在は、お腹を大きく切らない腹腔鏡での手術も広く行われています。米国の調査では、子宮腺筋症と診断された人の82.0%が子宮摘出を受けていましたが[4]、これは摘出した子宮の検査で診断がつく人が多いことも反映した数字で、診断された全員に手術が必要という意味ではありません。

妊娠を希望する人や、子宮を残したい人のために、病変だけを切り取る手術(子宮腺筋症病巣除去術)もあります。ただし、腺筋症は正常な筋肉との境目がはっきりしないため、病変を完全に取り切ることは難しく、再発することがあります。また、筋肉を大きく切り取ると子宮の壁が薄くなり、その後の妊娠で子宮破裂が起こる危険があります。日本産婦人科医会の資料では、腺筋症の病変を摘出したあとの妊娠の2.3%で子宮破裂が起こるとされています[10]。この手術を行う施設は限られており、利点と危険性を十分に理解したうえで選ぶ必要があります。

子宮摘出の術式や術後の生活については、子宮摘出をする理由と術後で詳しく解説しています。

妊娠希望の有無で変わる選び方

治療法の選び方は、妊娠を望むかどうかで大きく変わります。妊娠を望まない人では、症状に応じて薬物療法から始め、効果が不十分な場合や薬が合わない場合に子宮全摘を考える流れが一般的です。閉経が近い人では、薬で症状を抑えながら閉経を待つ方法も選択肢になります。

妊娠を望む人では、ジエノゲストやLEPのように排卵を抑える薬は、飲んでいる間は妊娠できないという制約があります。年齢が上がるほど妊娠のしやすさは下がるため、症状の治療と妊娠の計画をどう両立させるかを、早めに主治医と話し合っておくことが大切です。体外受精を予定している場合は、胚移植の前にGnRH製剤で病変を小さくしてから移植する方法が検討されることもあります。

仲田洋美院長

🩺 院長コラム【治療は「症状」と「人生の予定」の両方で選ぶ】

子宮腺筋症の治療には、誰にとっても正解という一つの答えがありません。同じ大きさの病変でも、閉経が近い人と、これから妊娠を考えている人とでは、適した治療方針が異なります。

だからこそ、画像の所見だけでなく、今どのくらい困っているのか、この先どんな予定があるのかを主治医に伝えることが大切です。薬には飲んでいる間は妊娠できないものもあります。治療の選択肢とその制約を知ったうえで、ご自身で納得して選ぶことが、治療選択では、選択肢とその制約を理解したうえで本人の希望を反映することが重要です。

9. 妊娠・出産への影響

子宮腺筋症があっても妊娠・出産はできます。ただし、妊娠しにくさや、妊娠後の流産・早産などのリスクが高くなることが報告されており、妊娠を考えている人は知っておきたい点がいくつかあります。数字はいずれも集団での平均であり、一人ひとりの確率をそのまま表すものではありません。

妊娠しにくさと体外受精の成績

体外受精・顕微授精を受けた人を対象とした2014年のメタ解析では、臨床妊娠率は子宮腺筋症のある人で40.5%、ない人で49.8%で、子宮腺筋症のある人の妊娠の可能性は0.72倍でした[11]。流産率は子宮腺筋症のある人で31.9%、ない人で14.1%と、約2.1倍高くなっていました[11]。2019年の別の系統的レビューとメタ解析でも、子宮腺筋症で流産のリスクが高くなること(オッズ比3.40)が示されています[12]。

妊娠しにくくなる理由としては、子宮の収縮の異常で精子や受精卵の移動がうまくいかないこと、病変の炎症が子宮内膜の着床の環境に影響することなどが考えられていますが、仕組みはまだ十分には解明されていません。自然妊娠の確率を子宮腺筋症の有無で比べた信頼できるデータは、現時点では多くありません。不妊の原因は一つとは限らないため、妊娠を希望して1年以上妊娠しない場合や、年齢が高い場合は、子宮腺筋症以外の要因も含めて評価を受けることになります。不妊症の原因や検査の流れは不妊症の原因と診断・治療の流れで解説しています。

流産・早産・妊娠高血圧症候群などのリスク

子宮腺筋症を合併した妊娠では、流産や早産、妊娠高血圧症候群が起こりやすくなることが知られています。日本産婦人科医会の資料では、子宮腺筋症合併妊娠のおよそ10%が妊娠12週以降の後期流産に、およそ25%が早産に至ると報告されていること、妊娠高血圧症候群は9.9〜30%程度に発症すること、6割程度が結果として帝王切開での分娩になることが示されています[10]。胎盤の形成がうまくいかないことに関連して、赤ちゃんの発育不全が起こることもあります[10]。

これらは集団で報告されたリスクであり、子宮腺筋症があっても妊娠を継続して出産に至る例はあります。大切なのは、子宮腺筋症があることを妊娠初期から産科の担当医に伝え、血圧や子宮の張り、赤ちゃんの発育を丁寧にみてもらうことです。病変を摘出する手術を受けたあとの妊娠では、前述のとおり子宮破裂への備えが必要になるため、分娩する施設の選び方も含めて早めに相談しておきます。

よくある質問(FAQ)

Q1. 子宮腺筋症は自然に治りますか?

閉経前に自然に治ることは期待しにくい病気です。エストロゲンの影響で閉経までは少しずつ進むことが多く、閉経後にはエストロゲンが減るため病変が小さくなり、症状も落ち着いていくのが一般的な経過です。症状が軽ければ、治療をせず経過をみる選択もあります。

Q2. 子宮腺筋症で食べてはいけないものはありますか?コーヒーは?

特定の食べ物やコーヒーが子宮腺筋症を悪化させる、または治すという確かな研究結果は、現時点では示されていません。過多月経で貧血になりやすいため、鉄分やたんぱく質を意識したバランスのよい食事は役立ちます。食事の工夫は治療の代わりにはならないため、症状が強い場合は婦人科での治療を優先してください。

Q3. 痩せたら子宮腺筋症は治りますか?

体重を減らすことで子宮腺筋症が治るという根拠はありません。子宮腺筋症でお腹が出て見えるのは子宮そのものが大きくなっているためで、ダイエットでは小さくなりません。体重管理は健康全般のためには大切ですが、腺筋症の治療とは分けて考えてください。

Q4. 子宮腺筋症は必ず子宮全摘が必要ですか?

いいえ、必ずではありません。症状がなければ治療は不要で、症状があっても薬物療法で日常生活に支障がなくなる人も多くいます。子宮全摘は根本的な治療ですが、薬が効かない場合や合わない場合、妊娠の希望がない場合に検討されるものです。子宮を残して病変だけを取る手術もありますが、実施できる施設は限られます。

Q5. ピルやジエノゲストで悪化することはありますか?

LEPやジエノゲストは、病変の活動を抑えて症状を和らげるために使われる薬で、腺筋症そのものを悪化させる薬ではありません。ただしジエノゲストは服用中に不正出血が起こり、重い貧血に至ることがあると添付文書で注意喚起されています。出血が多いと感じたら、自己判断で続けたりやめたりせず、処方した医師に相談してください。

Q6. 何科を受診すればよいですか?

婦人科(産婦人科)です。月経痛や経血量の変化、下腹部のふくらみなどの症状を伝えると、内診や経腟超音波検査で評価を受けられます。妊娠を希望している場合は、不妊治療を行っている婦人科に相談すると、症状の治療と妊娠の計画をあわせて検討しやすくなります。

Q7. ミネルバクリニックで子宮腺筋症の検査や治療はできますか?

いいえ、当院では子宮腺筋症の検査・診断・治療は行っておりません。この件についてのご予約・お問い合わせもお受けしていません。子宮腺筋症が疑われる場合は、婦人科(産婦人科)を専門とする医療機関へご相談ください。

まとめ

子宮腺筋症は、子宮内膜に似た組織が子宮の筋肉の中にでき、エストロゲンの影響で増えることで、子宮が厚く大きくなる良性の病気です[1]。40代前後の出産経験のある女性に多く[2]、年々強くなる月経痛、過多月経と貧血、子宮が大きくなることによるお腹のふくらみが主な症状です。一方で、3人に1人は症状がないとされています[3]。

親から子へ受け継がれる病気ではありませんが、病変の中ではKRAS遺伝子の体細胞変異が見つかっており[5]、出産との関係を説明する手がかりとして研究が進んでいます[6]。がんが発生するのはまれですが、閉経後の出血などの変化には注意が必要です[7]。治療は薬物療法と手術があり、症状の強さ、年齢、妊娠の希望をふまえて選びます。妊娠は可能ですが、体外受精の成績の低下や流産・早産の増加が報告されているため[10][11]、妊娠を考えている人は早めに主治医と計画を立てておくことをおすすめします。

🏥 子宮腺筋症の検査・治療をお考えの方へ

当院では、子宮腺筋症の検査・診断・治療を行っておりません。
この件についてのご予約・お問い合わせはお受けしておりません。
子宮腺筋症が疑われる場合は、婦人科(産婦人科)を専門とする医療機関へご相談ください。

この記事は病気を正しく知っていただくための解説であり、当院での診療をご案内するものではありません。なお、他の診療の過程で具体的な遺伝学的評価が必要と判断された場合に限り、遺伝カウンセリングが関係することがあります。

参考文献

  • [1] 日本産婦人科医会. 研修ノート(2)Adenomyosis:子宮腺筋症. [日本産婦人科医会]
  • [2] 日本内分泌学会. 一般の皆様へ:子宮腺筋症. [日本内分泌学会]
  • [3] Adenomyosis: Diagnosis and Management. Am Fam Physician. 2022;105(1):33-38. [AAFP] [PubMed 35029928]
  • [4] Adenomyosis incidence, prevalence and treatment: United States population-based study 2006-2015. Am J Obstet Gynecol. 2020;223(1):94.e1-94.e10. [PubMed 31954156]
  • [5] Uterine adenomyosis is an oligoclonal disorder associated with KRAS mutations. Nat Commun. 2019;10:5785. [Nature Communications]
  • [6] KRAS mutations in uterine endometrium are associated with gravidity and parity. Cell Death Dis. 2020;11:347. [Cell Death & Disease]
  • [7] Endometrial Cancer Arising in Adenomyosis (EC-AIA): A Systematic Review. Cancers (Basel). 2023;15(4):1142. [PMC9953860]
  • [8] ディナゲスト錠1mg 電子添文(効能又は効果・重要な基本的注意). [KEGG MEDICUS]
  • [9] ミレーナ52mg 電子添文(効能又は効果). [KEGG MEDICUS]
  • [10] 日本産婦人科医会. 研修ノート(4)子宮腺筋症合併妊娠への対応. [日本産婦人科医会]
  • [11] Uterine adenomyosis and in vitro fertilization outcome: a systematic review and meta-analysis. Hum Reprod. 2014;29(5):964-977. [Human Reproduction]
  • [12] Reproductive, obstetric, and perinatal outcomes of women with adenomyosis and endometriosis: a systematic review and meta-analysis. Hum Reprod Update. 2019;25(5):593-633. [Human Reproduction Update]

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プロフィール
仲田洋美 医師(臨床遺伝専門医)

この記事の監修・執筆者:仲田 洋美

(臨床遺伝専門医/がん薬物療法専門医/総合内科専門医)

ミネルバクリニック院長。1995年に医師免許を取得後、
臨床遺伝学・内科学・腫瘍学を軸に診療を続けてきました。
のべ10万人以上のご家族の意思決定と向き合ってきた臨床遺伝専門医です。

出生前診断(NIPT・確定検査・遺伝カウンセリング)においては、
検査結果の数値そのものだけでなく、
「結果をどう受け止め、どう生きるか」までを医療の責任と捉え、
一貫した遺伝カウンセリングと医学的支援を行っています。

ハイティーンの時期にベルギーで過ごし、
日本人として異文化の中で生活した経験があります。
価値観や宗教観、医療への向き合い方が国や文化によって異なることを体感しました。
この経験は現在の診療においても、
「医学的に正しいこと」と「その人にとって受け止められること」の両立を考える姿勢の基盤となっています。

また、初めての妊娠・出産で一卵性双生児を妊娠し、
36週6日で一人を死産した経験があります。
その出来事は、妊娠・出産が女性の心身に与える影響の大きさ、
そして「トラウマ」となり得る体験の重みを深く考える契機となりました。
現在は、女性を妊娠・出産のトラウマから守る医療を使命の一つとし、
出生前診断や遺伝カウンセリングに取り組んでいます。

出生前診断は単なる検査ではなく、
家族の未来に関わる重要な意思決定です。
年齢や統計だけで判断するのではなく、
医学的根拠と心理的支援の両面から、
ご家族が後悔の少ない選択をできるよう伴走することを大切にしています。

日本人類遺伝学会認定 臨床遺伝専門医/日本内科学会認定 総合内科専門医/
日本臨床腫瘍学会認定 がん薬物療法専門医。

2025年には APAC地域における出生前検査分野のリーダーとして国際的評価を受け、
複数の海外メディア・専門誌で特集掲載
されました。

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