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子宮がんとは、女性特有の臓器である子宮に発生する悪性腫瘍です。「子宮頸がん」と「子宮体がん」の2つの種類があります。
通常の子宮は鶏の卵ほどの大きさで、子宮体部と子宮頸部に分かれています。
子宮体部は子宮の奥にあり、妊娠時に胎児を育てる部分です。一方、子宮頸部は分娩時には産道の一部となる部分で、同じ子宮にできるがんでも、この2つは原因から性格までまったく異なるものなのです。
以前は、子宮頸がんが子宮がんの90%以上を占めていましたが、最近では子宮体がんの割合も増えてきており、全体の30〜40%を占めるまでになってきています。
どちらも早期に発見し適切な治療を受ければ治るケースが圧倒的に多く、もっとも予防しやすいがんであるため、若いうちから予防を徹底し、早期発見に努めましょう。
この記事では、子宮がんの原因や症状、治療、予防について種類別にご紹介します。子宮がんは予防の知識が重要となりますので、ぜひ最後まで読んでみてください。
子宮がんとは
冒頭でもご紹介したように、子宮がんはできる部位によって子宮頸がんと子宮体がんの2つに分かれます。
また、子宮にできる悪性腫瘍には子宮体部の子宮筋層や、結合組織に発生する子宮肉腫も含まれますが、子宮がんと比べると発生頻度は非常に少ないものです。
子宮がんは、婦人科がんの中でも罹患率が高いポピュラーなものです。むやみに恐れないためにも、まずは正しい知識を得ておきましょう。
子宮頸がんについて
一般的に、がんといえば年齢が上がるにつれて発症する確率が高くなる疾患です。
しかし、中には年齢が若い方でも発症するリスクが高いものもあり、そのひとつが子宮頸がんです。最近では20〜30代での罹患率も上がってきており、ちょうど出産時期に重なることから、マザーキラーとも呼ばれているため、若いからといって安心してはいけません。
とくに性交渉の経験のある方であれば、誰でもかかる可能性があるため、若いうちから注意しておく必要があります。
原因
子宮頸がんの原因としてもっとも多いのは、「発がん性ヒトパピローマウイルス(HPV)」の感染です。
HPVは、人間の皮膚や粘膜にいるごくありふれたウイルスです。100種類以上存在する中の15種類ほどが、子宮頸がんの原因となる可能性があります。
とくに、16型と18型のHPVは子宮頸がんを発症する悪性のウイルスで、性交渉の経験のある方の約80%が一度は感染しているといわれています。
多くの場合16型や18型に感染しても、免疫機能によって自然とウイルスは排除されますが、なんらかの理由により排除されなかったり、感染が度々起こって長期間感染が続いたりすると、子宮頸部の細胞が次第に異形性を示すようになるのです。
異形性を示したとしても、多くの場合自然に治癒しますが、中にはがん化してしまうものもあると考えられています。
症状
以下は、子宮頸がんの主な症状です。
- 不正出血
- 性交時の出血
- 茶褐色や黒褐色のおりものの増加
- 足腰の痛み
- 血尿
これらは、進行した子宮頸がんの症状です。初期の段階では自覚できる症状もほとんどないため、婦人科健診など以外で気づくことはなかなか難しいでしょう。
治療
以下は、子宮頸がんの治療法です。
- 手術療法
- 放射線療法
- 化学療法(抗がん剤治療)
これらを単独、もしくは組み合わせて治療を行います。
治療の選択はがんのステージや患者さんの年齢、妊娠の希望の有無、基礎疾患の有無などにより、もっとも適した方法を担当の医師と十分話し合ったうえで行うことが大切です。
とくに妊娠を希望する方は、子宮を温存する必要があります。手術が必要な場合は、「子宮頸部円錐切除術」が可能かどうかよく検討しましょう。
子宮体がんについて
子宮体がんは、比較的高齢の女性がかかる疾患です。
子宮内膜がんにはI型とII型があります。女性ホルモンが関与し、40歳代から閉経前後に発症するのがI型、女性ホルモンとは関係なく発症するのがII型です。
子宮体がんの多くはI型で比較的完治しやすいですが、II型は進行してから発見されることがほとんどであるうえ、悪性度も高いので注意が必要です。
若い方がかかることは比較的少なく、閉経が近くなる40歳代後半から罹患率が急増し、50〜60歳代でもっとも多くなります。
原因
子宮体がんの主な原因は、エストロゲンという女性ホルモンの過剰刺激です。
エストロゲンとは卵胞ホルモンとも呼ばれる女性ホルモンの一種で、子宮内膜を発育、維持させる働きを担っています。女性らしさを作るホルモンでもあるため、女性らしい体型や肌の美しさを保つ作用もあります。
ところが、肥満や生理不順などでエストロゲンの過剰分泌による刺激が起こると、子宮内膜増殖症になり、やがて子宮体がんが発生するのです。
エストロゲンと関係なく発生するII型は、がん関連遺伝子の異常や高血圧、糖尿病、血縁者の乳がんや大腸がんの既往歴などで発生リスクが高まるといわれています。
症状
以下は、子宮体がんの主な症状です。
- 不正出血
- 褐色のおりもの
- 閉経後の出血
- 排尿痛や排尿障害
- 性交痛
- 下腹部の痛み
子宮頸がんと同様、子宮体がんの自覚症状でもっとも多いのは不正出血です。
進行するとお腹が張る感覚を覚えたり、転移によって血便や血尿が起こったりといった症状が現れることもあります。
治療
以下は、子宮体がんの治療法です。
- 手術療法
- 放射線療法
- 化学療法(抗がん剤治療)
子宮頸がんと同様、これら3つの治療法の中から最適なものを選択します。
基本的には、手術によって子宮と卵巣などの付属器を摘出しますが、手術が不可能な場合や妊娠を希望する場合は、その他の治療法で対応できるか検討することになるでしょう。
子宮体がんは、早期もしくは悪性度が低い場合、エストロゲンによって成長を抑制できる可能性もあります。手術を希望しない場合は、担当の医師とよく相談し、条件やデメリットをよく理解したうえで治療を受けるようにしましょう。
子宮がんを予防するためには
子宮がんは、予防のためにできることがあります。早期であれば治せる可能性は高いですが、まずは日頃から予防に努めるようにしましょう。
ここでは、子宮がんを予防するためにできることについてご紹介します。
子宮頸がんはワクチン接種が有効
子宮頸がんは、悪性のHPVの感染から発症までの間に長い期間を要します。そのため、がんになる前に発見することが可能です。
しかも、子宮頸がんは予防ワクチンが存在しています。これはHPVの感染を防ぐワクチンで、一時は積極的な接種の呼びかけが中止されていました。しかし、厚生労働省はワクチンの安全性と有効性が証明されたとして、2022年4月から再度積極的な接種の呼びかけがはじまっています。
ただし、すでに体内にいるHPVを排除することはできないため、性交渉を経験する前に摂取することが重要となります。
子宮体がんは正しい食生活と運動が有効
子宮体がんは、子宮頸がんのようにワクチンで予防することはできません。しかし、日頃の食生活と正しい生活習慣によって予防できる可能性もあるので、ぜひ実践してみてください。
以下は、子宮体がん予防のためにできることです。
- 脂っこい食べ物や添加物の多いインスタント食品を控える
- コーヒーや緑茶を毎日飲む
- 野菜や豆類を積極的に摂取する
- 適度な運動の継続を心がける
- 体重を落とす
- 低用量ピルの服用も検討する
実際のところ、野菜や豆類、果物などの摂取が子宮体がんのリスクに影響することは実証されていません。
しかし、それらを意識して摂取することで、脂っこい食べ物やインスタント食品を口にする機会が減ったり、体重が落ちたりする可能性もあります。健康的な体づくりのためにも、食生活を整えることは重要だといえるでしょう。
子宮がん検診を定期的に受けることが重要
子宮がんは、早期に発見できれば治すことができるがんです。
0期もしくはI期に発見し治療を行った場合の5年生存率は、100%となっているため、早期発見が非常に重要となります。子宮がん検診では、異形性やごく初期の段階で発見できる可能性も。
ただし、どんなに気をつけていても子宮がんが発生してしまうこともありますので、20歳を超えたら婦人科で定期的に子宮癌検診を受けるようにしましょう。
子宮がん検診では、以下のような検査を行います。
- 問診
- 指診・内診
- 細胞診
このほかにも、経膣超音波検査で子宮や卵巣を観察する場合もあります。
受診の際は月経時を避け、ゆとりのあるスカートを着用するなど、診察しやすい服装を心がけましょう。
まとめ
子宮がんの原因や症状、治療、予防について種類別にご紹介しました。
子宮がんは、子宮頸がんと子宮体がんの2種類があります。どちらも早期発見早期治療を行うことで治せるので、年々死亡率が下がっています。
これは、子宮がん検診の対象年齢が引き下げられたことにより、早期に発見できるケースが増えているためです。このことからも、子宮がんは早期発見が重要であることがおわかりいただけるのではないでしょうか。
主な自覚症状は子宮頸がん、子宮体がんともに不正出血ですが、自覚できる症状があるということは、ある程度病状が進行していることも考えられます。
子宮は、妊娠出産には欠かせない臓器です。妊娠を希望する方は、予防と早期発見にとくに注意して、定期的に婦人科検診を受けるようにしましょう。