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二人目不妊とは?原因と治療方法、克服例を紹介

二人目のお子さんが欲しいけどなかなか妊娠しないというご夫婦が増えてきています。「一人目が妊娠出産できたから二人目も問題ない」という認識から、どこにも相談しないでお悩みになっている奥さまもいるそうです。一人目と二人目を授かるのに肉体面や環境面で目に見えない変化をしているにもかかわらず、気づかずに過ごしていたらいつまでもお悩みは解決しません。

二人目のお子さんを授かりたいとお考えのご夫婦のために「二人目不妊」について紹介した記事を公開しています。耳慣れない言葉かもしれませんが、是非覚えておいてください。

二人目不妊とは

夫婦と医師
一人目の子どもが生まれた後、二人目を希望して、1年以上避妊をしない性交渉があっても妊娠しない状態が「二人目不妊」です。大阪府不妊専門相談センターの調査によると、2013年に二人目不妊の相談件数は全体の16.4%にのぼっています。また、公益財団法人1more Baby応援団が「夫婦の出産意識調査2019」の項目に不妊で悩んでいる・悩んだことがある全国の子育て世代約1,000人に対する調査では、二人目不妊で悩んでいる人が35.6%という結果が出るほど二人目不妊のご夫婦は増えてきているのです。

一人目が自然妊娠で出産された場合であっても、妊娠・出産の時とは、体も環境も違っており、「一人目ができたのだから二人目も妊娠して当然」と思ってしまい深く悩まれるご夫婦も少なくありません。「一人目ができたのに、不妊ということがあるのでしょうか」といった相談に見られるように、二人目不妊の存在自体がまだまだ知られていないのも増えている一因となっています。

二人目不妊の原因

二人目不妊の原因はさまざまな理由が考えられます。一人目での不妊症同様、男女両方に原因があるためどちらかが悪いということはありません。一人目が自然妊娠で出産された場合であっても、妊娠・出産の時とは、体も環境も違っています。どんな原因があるのか男女別に紹介をしますので参考にしてください。男女両方に原因が考えれるのは以下の通りです。

・本来は不妊
もともと妊娠しにくい環境や状態だったけど、たまたま第一子を妊娠・出産できたというケースも珍しくありません。

・パートナーの変更
第1子の出産後、パートナーが変わることで不妊となる場合があります。一人目ができているので相手に原因があると思われがちですが、お互いの免疫学的相性が合わなくて妊娠できないケースも考えられます。

・一人目出産後のセックスレス
「妊娠を機に性生活が変わってしまった」「育児に追われているうちに、性生活がなくなってしまった」など、妊娠・出産を契機に性生活が変化し、妊娠のチャンスが減ってしまうことも多いようです。

女性の原因

女性側の原因として考えられるのは以下の二つが考えられます。

・年齢の変化
妊娠経験や子どもの有無にかかわらず年齢が高くなると妊娠しにくくなります。二人目を希望する場合、一人目の出産から年数が経過していたり、第1子妊娠がすでに高齢であったりすると、第2子希望年齢が更に高くなるため子どもが出きにくくなるのです。年齢で言うと35歳以上になると卵子の質が低下してきて妊娠しにくくなり、40歳を超えると40歳以降では深刻な問題となります。
・子宮・卵管環境の変化
第1子出産後の子宮内感染や、流産手術を受けることで、子宮や卵管の癒着を起こし、子宮因子や卵管因子が妊娠しにくくなる場合があります。例えば、卵管の末端にある卵管采はイソギンチャクのように卵巣から排卵した卵子を捕まえますが、このピックアップ機構が働かないと卵子は卵管に誘導されず、精子と出会うことはできません。第一子出産や加齢により状態が変わってしまったことも考えられます。

男性の原因

男性側の原因として考えられるのが精子の質と数の劣化です。精巣では細胞分裂により常に新しい精子が作られていて生殖機能の劣化がないと思われがちですが、年齢を重ねると造精機能の低下や精子の質の悪化(運動性の低下や奇形率の上昇)が生じてきます。女性のように年齢によるターニングポイントがないため見逃してしまうケースがあります。

二人目不妊の治療方法

基本的には一人目の不妊治療と同じです。基礎体温を測って排卵日の予測をしながら性行為をするタイミング法からはじめて、上手くいかなければ人工授精、体外受精へとステップアップしていきます。二人目不妊の場合、金銭的・心理的ハードルを感じるケースもあるそうです。

二人目不妊の治療費用

不妊治療は保険適用外の検査や治療があるためどうしても高くなってしまいます。検査費用の概算は下記にある通りです。

  1. ・ホルモン検査 15,000円前後
  2. ・卵管検査 8,000円前後
  3. ・精子検査 3,000円前後
  4. ・超音波検査 1,600円~2,000円(治療する毎周期に実施)
  5. ・頚管粘液検査 500円

尿LHチェックや基礎体温だけでの排卵予想は困難なため超音波検査と頚管粘液検査が必要です。治療毎ごとに支払いしないといけないので結構な負担になります。治療費の相場は以下に記載しています。

  1. ・自然排卵 6,500円~
  2. ・人工授精 上記金額+18,000円前後
  3. ・体外受精 330,000円~
  4. ・顕微授精 380,000円~

学会による調査だと体外受精一回当たりの治療費は15万円~70万円と価格差が大きいので必ず確認をしておきましょう。かなり大きな負担になりますが、2021年から不妊治療の助成金が拡大となり、今まで初めて助成を受けた際の治療期間の初日における妻の年齢が40歳未満であるときは6回(40歳以上であるときは通算3回)までだったのを「一子ごとに6回まで」となりました。金額も1回につき15万円から30万円まで引き上げられているので忘れずにお住まいの自治体へお問い合わせください。

二人目不妊の体外受精成功率

体外受精の成功率に子どもの有無は関係ありません。成功率が高くなるのはやはり年齢が大きく関わってきます。体外に取り出した卵子と精子が受精する確率は約70%です。そこから体内に受精卵を戻し、妊娠するために治療を続けていきますが、体外受精を選択した方のおよそ30%の人が妊娠しています。ただし、この数字はすべての年齢・治療方法を含めた平均になるため年齢や方法によって大きく変化してきます。

女性の場合、35歳以上になると卵子の質が落ちてくるため成功率は低くなってきます。特に35歳以降、妊娠率は急速に下降していきまますが、体外受精でも変わりません。もし二人目のお子さんをお望みならば早めに検査を受けたほうがいいでしょう。

二人目不妊の克服例

医師と患者
先述した公益財団法人1more Baby応援団が「夫婦の出産意識調査2019」の「『二人目不妊』の原因はどこにあるのか?」という項目の結果では、「自身とパートナーのどちらかが不妊だ」と回答する割合が約50%、「セックスの回数が少ない、もしくはセックスレス」と回答した割合が約36.2%となっており、二人目を自然妊娠するハードルは高いのがわかります。しかし、クリアしたご夫婦もいるのでどんなことをして克服したのかをご紹介します。注意して取り組んだのはこの二つです。

  1. ・生活習慣の改善
  2. ・サプリメント

生活習慣の改善

不妊治療で話題になっている「アンチエイジング」を着目して上手くいった例があります。アンチエイジングと聞くと、お肌や見た目がどうしても注目されますが、実行したのは臓器のアンチエイジングです。卵巣や子宮、精巣も当てはまります。

エイジングは様々な原因がありますが、「酸化ストレス」に注目し、「食事」「運動」「睡眠」に着目しました。

まず、血糖値の上昇が酸化ストレスとなるため低血糖・高タンパクの食事を心がけ、食べる順番も野菜、植物性、動物性のタンパク質、炭水化物にして、最後にビタミンとミネラルの補給をするようにしました。運動は、激しくすると酸化ストレスがたまってしまうので週に2日30分以上の有酸素運動を習慣づけました。睡眠も深い眠りにつくために室内を夜は明就寝前にはるいものを凝視せず真っ暗にして眠るといった方法を取り入れました。その結果、二人目のお子さんを授かったといった報告もあります。

サプリメント

妊娠中には様々な栄養素が必要ですが、特に妊娠する1ヶ月前から摂取する必要があるのは葉酸です。妊娠初期には、赤ちゃんが体を作っていくためにお母さんの体の中で細胞分裂を行います。そのときに、葉酸はDNAなどの合成に必要な栄養素となります。日本人の場合、食事で葉酸を十分摂れていないことが多いため足りない分はサプリメントで摂取しましょう。葉酸はビタミンBの一種で、他のビタミンと一緒に働くので、マルチビタミンも一緒に摂るのがおすすめです。

もちろん普段のお食事から摂ることが重要ですので意識するのは忘れないでください。

まとめ

中年男性と新生児
一人目は自然に妊娠したため「体には特に問題はないはず」と思ってのんびりかまえていたら、何年かが過ぎてしまったというケースも珍しくありません。一人目で不妊治療を受けているご夫婦はいつから検査を受けたらいいのか経験から推測できますが、一人目二人目不妊は不妊に気づかない人が多くスタートが遅れがちです。

もし二人目のお子さんを望んでいるのになかなか授からないならば早めにご夫婦そろって検査を受けてみてください。

プロフィール

この記事の筆者:仲田洋美(医師)

ミネルバクリニック院長・仲田洋美は、日本内科学会認定総合内科専門医、日本臨床腫瘍学会認定がん薬物療法専門医 、日本人類遺伝学会認定臨床遺伝専門医として従事し、患者様の心に寄り添った診療を心がけています。

仲田洋美のプロフィールはこちら

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