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妊娠しやすい体になるには過去の疾患や病気、年齢など、自分ではコントロールできないものとご自身で取り除けるものとがあります。その中でも代表的な例といえるのが生活習慣と食生活の改善です。
今回は、妊娠しやすい体になるためにやってはいけないNGな行為や食生活について詳しく紹介しています。ほぼすべて網羅していると思いますので、最後までご覧いただけると幸いです。
不妊の原因となるNG習慣
妊活をするにあたって大切なのはご自身のの体の調子を整えることです。特に現代社会は忙しくて男女ともに仕事で結果を求められています。そのため体力がある30代になっても無理を重ねて仕事をしてしまい体調が崩れているケースがあります。
そこでどんな生活をしていたら妊娠しにくくなるのか紹介します。もしご自分に当てはまるのがあれば少しでも早く改善してください。
女性の場合
- ●婦人科検診を習慣にしていない、もしくは未受診
- ●タバコや過度の飲酒
- ●体重(やせ過ぎ・太り過ぎ)
- ●性感染症
- ●ストレス
- ●偏食(栄養不足や偏り)
男性の場合
- ●タバコや過度の飲酒
- ●性感染症
- ●精巣を温めすぎる
- ●ストレス
妊娠しやすい体か調べる方法(女性の場合)
妊娠は単に生理が順調にくるだけでは成立しません。毎月排出された卵子が精子と出会って受精をし、着床をしないといけません。その過程において体が原因による不調があると妊娠できなくなるため事前に確認しておく必要があります。セルフチェックでご自分の体を調べてみてください。
卵巣
卵巣が妊娠しやすい体なのかどうかを調べるには生理(月経)が順調であるかどうかです。おおよそ28日から35日以内に来るようであれば大丈夫です。反対に安定しないのならば何かしらの要因で遅くなったり、早くなったり、或いはこなかったりしているので原因を探ってみましょう。もしご自分で判明できなかった場合は婦人科の医師に相談をしてみてください。
卵管
卵管が正常なのかどうかを調べる方法はありません。卵管が通過しているかどうかはクリニックで造影剤検査を受診すれば調べられます。もし動きが悪かったらクラミジア感染症や子宮内膜症が考えられます。婦人科で診断できますので検査を受けてみてください。
子宮
子宮が着床しやすければ妊娠しやすい体といえます。チェックする方法は月経量です。『月経量が極端に少ない』『3日以内で終わり、ナプキンにつく量が少ない』『子宮の中の手術をしたことがある』といった場合は、生活習慣やホルモンバランスの乱れの可能性があります。放置しておくと排卵障害や30代で発症する子宮体がんの原因となるため注意が必要です。他にも子宮内腔癒着症(アッシャーマン症候群)といった不妊の原因となる病気にかかっている恐れもあるので早めに医師に相談をしましょう。
妊娠しやすい体か調べる方法(男性の場合)
WHO(世界保健機関)が発表した不妊症原因の統計では、48%が男性因子による問題とされています。男性側が原因で妊娠できないのは半分近くにも上るということです。そこで男性側で妊娠しやすい体かどうかチェックしておくのも妊娠するための一つの方法です。調べる方法をご紹介しますのでパートナーと一緒にチェックしてみましょう。
睾丸
「睾丸の大きさが一差し指と親指で作る輪より小さい」「睾丸が温かくフニャフニャしている」といった場合、精子を作る精巣に問題が生じているかもしれません。もし精子濃度が正常値以下の状態の乏精子症や精子が1匹もいないかそれに近い状態の無精子症、精子はいるが動きが弱かったり全く動いていない精子無力症だったら泌尿器科の医師による治療が必要です。
勃起
もし勃起不全によって性行為ができなければさまざまな角度から原因を探る必要があります。ストレスや精神的緊張で腹痛や下痢が起こるタイプや心理的なプレッシャーによって勃起不全になるのもよくある話です。近年、妊活は30代の夫婦にとって当たり前になってきましたが、まだまだ男性側の理解が進んでいないケースもあります。
もし、あなたのパートナーがそのパターンであれば無理に協力させるのではなく、お互いによく話し合って結論を出すことが原因を取り除く近道です。パートナーが理解をして妊活をしていたとしても性行為がプレッシャーになっている恐れも考えられます。その場合、少しでも負担が軽くなるよう気分を変えてあげたり、スキンシップを多くして回数を増やしたりしてみてください。
射精
意外と知られていませんが、男性不妊の原因の一つに精路通過障害という疾患があります。これは精子の輸送路(精路)に異常をきたすことで射精をさまたげてしまう症状です。クラミジアなどの性感染症(STD)にかかると、精巣上体や精管が炎症を起こし、その後遺症として、精巣上体の中の細い管(精巣上体管)や精管がふさがってしまうのです。結核が原因となって炎症が起こることもあります。
また、逆行性射精といって射精時に精液が膀胱に入ってしまう現象もあります。射精した感覚はあるのに、精液が全く出なかったり、量が非常に少なかったりする症状です。糖尿病や、前立腺の手術などが原因と言われています。
妊娠しやすい体づくりは食生活の改善から
妊娠しやすい体作に欠かせないのが食事です。特に30代になると体の細胞を活性化させて代謝に必要な全ての栄養素をバランス良くとらなければなりません。ただ、食事だけでは賄い切れないので同時にサプリメントを摂取するようにしましょう。サプリメントを飲むときに注意してほしいのは用法と用量を守ることです。過剰に取りすぎると却って健康を損ねてしまいます。
栄養不足になっていませんか?
体は日々の生活が積み重なってできあがっていきます。妊娠しやすい体にしていくには生活リズムの乱れや食生活の乱れ、睡眠不足、ストレス、運動不足など日常生活を変えていかないとなりません。
例えば、妊娠と直結する子宮、卵巣や卵子も食事からの栄養をもとに健康な状態を保っていますし、妊娠を左右する黄体ホルモンや卵胞ホルモンなどの女性ホルモンはカラダの栄養から作られます。妊娠後は、お腹の赤ちゃんもへその緒を通じて栄養を分けてあげることで、とても小さな受精卵から約3,000gという大きなカラダにまで育つのです。そのためご自分の体をチェックしてどの栄養素が足りないのかを知ることが第一歩です。
妊活中に摂取しておきたい栄養素
適切な栄養を摂取することで良好な受精卵が多かったなどの報告があり、妊娠に特に必要な栄養素であるたんぱく質、ビタミンA,B,E、鉄、亜鉛、カルシウム、コレステロールを積極的にとることが勧められています。下の表は定真理子氏の著書「赤ちゃんがほしい人のための栄養レシピ 知っておきたい妊娠するための体づくり栄養素」を参考にしたものです。
タイプ | タイプの根拠 | 摂取したい栄養素 |
---|---|---|
月経不順タイプ | ・月経量が少ない ・年に数回しか月経がない など |
・たんぱく質、コレステロールの摂取 |
低栄養タイプ | ・ダイエットで栄養摂取量が少ない ・BMI 18以下 など |
・ごはんやパンなどの炭水化物を減量 ・動物性と植物性のたんぱく質を摂取 |
体調不良タイプ | ・冷え症 ・貧血気味 など |
・鉄(非ヘム鉄が含まれるほうれん草やひじきではなく、レバーや肉、魚に含まれる鉄)の摂取 |
ストレスタイプ | ・人間関係に悩みあり ・風邪をひきやすい など |
・たんぱく質、ビタミンC、パントテン酸の摂取 |
低血糖タイプ | ・朝食はほとんど食べない ・おやつをよく食べる など |
・糖質の制限 ・血糖値の急上昇を防ぐため、玄米、全粒粉などの摂取 |
必要な栄養素については下記の記事を参考にしてください。
妊娠しやすい体を作るために気をつける3つのこと
子どもが授かりやすい体にするためには普段の生活から注意しないといけない点があります。妊活をしている方なら当たり前かもしれませんが、意外と抜け落ちてしまってパートナーが知らずに妊活をしている場合もあります。そこで改めて妊娠しやすい体作りのために必要な3つの注意点を紹介します。
適正体重を維持すること
妊娠するためには体重の管理が重要です。肥満は、月経不順や排卵障害を引き起こす可能性があります。反対に痩せすぎは無月経や無排卵を引き起こす恐れがあり、胎児の発育不全のリスクが高くなります。
そのためBMIが19以上25未満の間に収めておくのがいいでしょう。それ以上に太ったり痩せたりしていると子どもが授かりにくくなります。因みに男女ともBMI22がもっとも病気にかかりにくい数値です。そのため標準体重が22になっています。
下記の記事にも体重について詳しく説明をしています。
タバコは厳禁!アルコールは控えめに
タバコは百害あって一利なしです。女性だけではなく男性側にも悪影響を及ぼします。女性の場合、卵巣の女性ホルモンの産生を抑制するため、生殖機能低下や閉経を数年早めてしまいます。また、卵子の老化や遺伝子異常を増加させてしまうため妊娠しにくい体になってしまうのです。
体外受精を行った場合も、喫煙者は非喫煙者に比べて成功率が約半分になると言われています。喫煙により、卵巣刺激を行っても卵胞がほとんど育たないことや、受精率の低下、着床率の低下しまうからです。
一方、男性の喫煙は、精子の状態を悪化させ、精子数・精子の運能能力・正常形態精子数が少なくなってしまいます。その他にも、受精能力の低下や精子のDNA損傷率の増加、勃起不全の増加が報告されています。
飲酒については下の記事に詳しく記載していますのでご覧ください。
ストレスはため込まない
妊活最大の敵はストレスといっても過言ではありません。特に女性のカラダは気持ちに左右されることが多いものです。ゆったりと余裕を持って過ごすことが鍵となります。薬や注射による副作用で体がだるくなったりグッタリしてしまったりするのであれば、医師に相談をしましょう。
他にも家族からのプレッシャーがストレスになるケースもあります。ご両親や親戚からの「子どもはまだ?」という問いかけは、時には傷ついてしまうものです。はっきりと「治療してがんばっています。だからしばらくそっとしておいてください」と伝えましょう。ご自分から言い出しにくいのであればパートナーに伝えてもらう形でも構いません。よほど関係がこじれていない限りはそっとしておいてくれるはずです。
「私たちはこうして妊活を乗り切った」先輩ママの体験談
ここで、妊活を乗り切ったママさん達からお話をお伺いします。一つご質問ですけど、不妊治療中、行っていたストレス解消法があれば教えてください。
ストレスがたまると、1人で週末に旅行に出かけるなどしていました。金曜日に有休を取って、車で隣の県にドライブしたり、水族館に行ったり。本当に突然、家出のように思い立って出かけることが多かったです(笑い)(32歳・Sさん)
妊活をするにおいて自分自身のメンタル以外、体調を整える部分で気をつけていたことはありますか?
よく、妊活中や妊娠中に葉酸を摂取すると良いという話がありますが、私はそれ以外にビタミンBやビタミンEが良いという話を聞いたので、ビタミン剤を積極的に摂取していました。あとはタンパク質をたくさん摂っていましたね、納豆だとか、豆腐だとか。運動も積極的に行っていました。当時始めたフラダンスが、今も趣味になっています。(35歳・Yさん)
妊活中に温活を積極的に行う人が多いというのもよく聞きますが、温活は行っていましたか?
妊活中に通っていた鍼灸院の先生も『体が冷えていると、正しい機能が発揮されない』ということをおっしゃっていたので、体を温めるということは常に意識していました。よもぎ蒸しをしたり。あとは貼るカイロや腹巻き、温め効果の高い入浴剤なども使用していました。
ご回答いただきありがとうございます。やはり皆さんいろいろな工夫をして妊活の乗り切っていたのですね。この記事を読んでくれたプレママもぜひ参考にしてほしいと思います。
まずは自分のカラダを整えよう
30代の女性は前半と後半で妊娠しやすさが大きく様変わりしていきます。前半だと妊娠適齢期と呼ばれた20代と大きな違いはなく、比較的妊娠しやすい時期といえるでしょう。
しかし、35歳を過ぎてくると卵子の数や質の低下が起きてきます。しかも流産率は35歳位なら30%以上、40歳なら50%位と上昇するため妊娠しても不安は尽きません。おまけにダウン症に代表される染色体異常が20代では1667人に1人、0.06%ですが40代では106人に1人、約1%と16倍もの開きがあるので、こちらも大きなリスクです。
こうした不安を乗り越えて無事に赤ちゃんを授かるためにもカラダを調えるためには、まずあなたの体の状態を把握しなくてはなりません。パートナーと二人で不妊専門のクリニックに相談するもよし、女性は婦人科、男性は泌尿器科の医師に相談するのもいいでしょう。
まずは女性の場合、基礎体温を測ってご自分の体がどれくらいの間隔で排卵日を迎えるのかを知っておきましょう。先述したように卵巣が正常なのかを知るためにも欠かせませんのでクリニックに行く前から基礎体温を測るのをおすすめします。それから自分の体を妊娠しやすくするための準備をしてください。