ダウン症がある人の寿命は昔よりも伸びている。銀婚式を迎えた夫婦も

ダウン症候群
妊娠する誰もが心配するのが、染色体異常によって引き起こるダウン症ダウン症候群21トリソミー)などの疾患リスクです。染色体異常症の中でも特に認知されているダウン症は、平均寿命が一般の人に比べて短いという特徴があり、お子さんが笑顔で元気に暮らせる環境づくりに気を配っていく必要があります。

ダウン症の原因は染色体異常

21トリソミー
人間の体には46本23対の染色体が存在しています。その中の21番目の染色体の数が、通常よりも1本多くなってしまう症状がダウン症候群です。「21トリソミー」ともよばれます。

ダウン症の子どもが生まれる確率は1000人に1人、あるいは600~800人に1人とされており、確率は母体が高齢になるほど上がっていきます。

染色体異常はダウン症の他にも18番目(18トリソミー)13番目の染色体(13トリソミー)で起こる可能性があり、いずれも妊娠中の出生前診断で検査することができます。

ダウン症には遺伝子構造の違いによって「転座型」「標準型」「モザイク型」が存在しており、遺伝性のものとそうでないものがあります。

転座型

どちらかの親の21番染色体が他の染色体とくっついてしまう転座型染色体であることが原因で、胎児の21番染色体が3本のトリソミー状態になってしまうパターンです。 このタイプは全体の5パーセントの割合で起きています。3つの型の中で唯一遺伝性の原因によって引き起こされるタイプです。

標準型

両親の染色体から胎児の染色体が形成されるときに、不均等に分離することで胎児の21番染色体がトリソミーになってしまう状態です。 全体の90~95%を占めており、遺伝は関係なく引き起こされます。

モザイク型

正常な21番染色体をもつ細胞とトリソミーの21番染色体を持つ細胞が一つの体に混ざって存在しているとても珍しい状態です。この場合も、両親の染色体は正常です。

ダウン症の平均寿命は短い?

人によって差はありますが、ダウン症の人たちはさまざまな合併症を背負って生まれてきます。平均寿命はどれぐらいなのでしょうか?

ダウン症の人たちの寿命はかつて短かった

ダウン症の平均寿命はかつては20歳までと言われていました。それはダウン症の人たちには深刻な合併症があることがほとんどで、心臓疾患だけでも以前は約40%の人たちが10歳以下で亡くなっていたからです。

ダウン症の合併症の治療が可能になり寿命が延びた

しかし現在ではダウン症の人たちが発症する心臓疾患や、その他の合併症についても、その多くが治療が可能です。そのため現在の平均寿命は50~60歳といわれています。

ダウン症の最高年齢は?

2019年、イギリスのロビン・スミスさんは英国のダウン症患者の最高齢となる78歳の誕生日を迎えました。>

1941年に生まれた当時は、12歳までしか生きられないと言われていたそうです。当時はダウン症の人たちのとても平均寿命は短く、成人を迎えられないとされていました。

スミスさんは長寿の秘訣を「なるべくアクティブに過ごすこと」と語っています。

治療はもちろんのこと、ダウン症の人たちが充実した生活を送ることが彼らの健康管理の上で一つの鍵となっているのかもしれません。

参照記事

結婚25周年を迎えたダウン症夫婦

他にもダウン症夫婦の最長記録も報告されています。イギリス東部に住むマリアンヌ・ピリングさん(48歳)とトミー・ピリングさん(62歳)は、2020年で結婚25周年を迎えたダウン症者同士の夫婦です。トミーさんはこの数年認知症を患っていますが、家族のサポートを受けながら幸せな生活をおくっているそうです。

ダウン症者の最高年齢・夫婦最長記録は世界中のダウン症の子どもを持つ親御さんに希望を与えると同時に、医学の進歩によってこれからもその平均寿命が伸び続けるのでは?と期待させてくれます。

ダウン症の症状・合併症

人によって症状の軽重はありますが、ダウン症の人たちには共通して以下のような症状がみられます。

外見的特徴

ダウン症の人は外見に特徴を持っています。顔が丸く、鼻が低く、つり目がち、小さい耳、下向きの口角が、その特徴です。これは顔の骨の成長速度の影響を受けているといわれています。

発達の遅れ

脳の発達がゆっくりなため、運動神経や筋力、体の発達にも影響がでます。乳幼児期には首のすわりや一人歩きが遅いという症状がみられ、ミルクを飲んだり食事をしたりする際に時間がかかる傾向にあります。そのため身体は小柄になることが多いです。

また、運動能力が低いことの影響を受けて、言葉の発達にも後れをとります。親御さんはとても心配されると思いますが、ダウン症の子どもたちはゆっくりと成長するものだと受け止めることが重要でしょう。

性格

「天使の子」と呼ばれることもあるくらい穏やかで明るい性格の方が多いです。

しかし中には、自閉傾向のある発達障害がみられる場合もあります。特に青年期や成人後になると、これまでと比べて動作がゆっくりになったり、口数が減ったり、ひきこもりになってしまったりといった退行症状がみられることもあります。これは先天的な症状というよりは、環境の変化にうまく適応できないことで起こる適応障害の一種でないかといわれています。何か困っていることはないか、不安なことはないか、親身に耳を傾けて適切なサポートをする必要があります。

また、ダウン症の人は老化が始まる年齢が早いこともあり、30代になるとすでにアルツハイマーを発症する人もいます。これはダウン症の人が多めに持つアミロイド前駆体タンパク遺伝子によって引き起こされる症状ではないかという研究報告があります。

ダウン症の合併症・病態

ダウン症の人の平均寿命が伸びたといっても、障がいのない人たちと比べると短い傾向にあります。これは、ダウン症が引き起こす合併症が深刻なものであるからです。

以下がその合併症と病態です。

  • ・心内膜欠損症
  • ・心房中隔欠損症
  • ・心室中隔欠損症
  • ・呼吸器感染症
  • ・白血病
  • ・十二指腸閉鎖
  • ・鎖肛
  • ・糖尿病
  • ・難聴

心疾患はダウン症の二大死亡原因のひとつとされています。 消化管形における合併症のリスクもあり、二大死因のもうひとつとして呼吸器感染症が挙げられます 白血病・十二指腸閉鎖・鎖肛などもダウン症の合併症にみられます。時間の経過とともに糖尿病・肥満といった障害が現れることもあります。

ダウン症の人たちの死因

今や平均寿命は60歳ともいわれるダウン症の人たちですが、上記にあげた心疾患・呼吸器感染症・白血病などの合併症によって亡くなります。また脳の機能が低下するアルツハイマーを発症すると、物忘れから始まり、症状が進行すると体の動きにも影響が出ます。手足を動かすことができなくなり、循環器・呼吸器疾患が起こり誤嚥性肺炎になって亡くなることもあります。

年齢層別死亡原因

ダウン症の人たちの寿命にどれぐらい合併症の影響があるのかみてみましょう。

・0~1歳

約70%が先天性奇形で亡くなります。ついて多いのが肺炎で約20%を占めています。次に他の感染症や心疾患により亡くなります。

・1~4歳

先天性奇形で亡くなる割合は減りますが、代わりの死亡原因として登場するのが白血病です。死亡原因の約10%を占めるようになります。

・5~19歳

先天性奇形で亡くなる率がぐっと減り、代わりに白血病が死亡原因の3割を占めるようになります。

・20歳以降

脳血管疾患により亡くなる方が約半数を占めるようになります。

ダウン症の人たちの健康管理

平均寿命が延びてきたとされるダウン症の人たちですが、年齢に合わせた適切な診療や健康管理が必要になります。

乳幼児期には健常児と同様に3~6か月の定期検診に加えて、レントゲン検査や耳鼻科・眼科での健診、発語指導が必要になります。

一般的に10代後半ぐらいがダウン症の人たちの活動が活発だといわれており、30歳を過ぎるとアルツハイマー病が発症し、歩行や言語能力の低下がみられることもあります。また、生活環境の変化からうつ病を発症することもあります。

40代にさしかかると感情のコントロールが上手くできない、無気力といった精神的な健康の悪化がみられることもあります。

ダウン症治療の進歩について

昔は「ダウン症の大人はいない」とか「ダウン症の老人はいない」といわれるぐらい平均寿命は短かったのですが、医療技術の進歩とともに平均寿命は遥かに延びています。合併症への治療技術のさらなる進歩に期待している方は多いと思います。

日本ダウン症学会理事長の玉井浩先生は、2020年11月22日に放送された「すくすく育て 子どもの未来健康プロジェクト」で、ダウン症の治療に関する現状と展望を述べました。玉井先生は日本ダウン症協会大阪支部長でもあり、ダウン症の娘さんを持つ1人の親でもあります。

玉井先生「ダウン症そのものの治療はできないが、合併症の治療法は進歩し続けている。心臓手術に関しては昔はできなかったが、現在は手術技術・麻酔の進歩によって手術の成績率が向上している」

昔よりも小児の心臓病に対応する病院や施設が増えたため、以前は助からなかった合併症状でも、今は手術で助かるという事例も増えてきた結果、その平均寿命も長くなりました。ダウン症者の死因に多く挙げられる合併症に対する治療法はこれからも進歩し続けるため、この数年で平均寿命がさらに延びる可能性も十分にあるといえます。

ダウン症をとりまく今後の社会課題

ダウン症の人たちの平均寿命が長くなったことで、今後社会がいかに彼らを受け入れていくかが課題となっていきます。彼らの就労先も含め、社会参加できる場所や周りからの理解や支援、平均寿命が長くなってきていることで、親を亡くしたあとのサポートや彼らの社会性をどう保っていくかが大きな課題となっています。また成人期に肥満や糖尿病に罹患してしまう彼らの健康管理の支援も必要です。本人や親御さん、まわりの家族が十分な支援を受けられるように、お腹の中の赤ちゃんにダウン症の可能性があると分かったら、早めに地域の支援情報を集めるなど、多くの準備が必要になります。行政のサービスは積極的に利用していきましょう。

まとめ

ダウン症(ダウン症候群・21トリソミー)の特徴や症状、染色体のタイプ、原因に至るまで紹介をしてきました。日本でも35歳以上で妊娠する女性が増えてきている今、ダウン症の子どもを妊娠する方は増えていくといっていいでしょう。

お腹の中の赤ちゃんがダウン症ではないかということは、妊婦健診の超音波検査で指摘されることがあり、中にはその後羊水検査を受けて診断を確定させることなく中絶を選んでしまう方もいらっしゃいます。

ダウン症に治療法はありませんが、妊娠の早い段階で赤ちゃんの染色体を調べることは可能です。ダウン症には合併症を伴うことが多いので、治療に関するお金や地域の子育て支援情報のことなど、事前に準備して赤ちゃんを迎えるためにとても大切なことです。 ミネルバクリニックでは、遺伝子の専門家である臨床遺伝専門医による遺伝カウンセリングNIPT新型出生前診断)をオンラインで実施しています。ご自宅いながらご相談を受け付けています。妊婦さんの悩みや不安に寄り添った対応を心がけています。お問い合わせお待ちしております。

ダウン症候群(21トリソミー)関連コラム

ミネルバクリニックNIPTトップページ
ミネルバクリニックNIPTメニュー
スーパーNIPT|スーパーNIPT(13トリソミー・18トリソミー・21トリソミー)・スーパーNIPTプラス(+微小欠失4疾患)・スーパーNIPTgeneプラス(100遺伝子の重篤な遺伝病を検出)
マルチNIPTカリオセブン|全部の染色体を7Mbでスキャン+微小欠失9疾患。胎児のDNA2.5%から可能なので9週から検査できます。
マルチNIPTデノボ|父親の加齢と相関する25遺伝子44疾患
ペアレントコンプリート:通常のNIPT(母親の側に原因がある疾患をチェック)+デノボ(父親側に原因がある疾患をチェック)
コンプリートNIPT:ペアレントコンプリート+カリオセブンの全部が入っています
イルミナVeriseq2(全染色体を7Mbで欠失・重複のスキャンが可能。但し、胎児のDNAが8%ないと正確性を担保できないため、妊娠11週からとなります)
オンラインNIPT:全国どこにお住まいでもミネルバクリニックのNIPTが受けられます