InstagramInstagram

基礎体温計の選び方|排卵日を正確に知るために徹底解説

妊娠することを目標にして基礎体温を継続的に測定されている方はご存じかと思いますが、基礎体温の計測には少しだけルールがあります。

簡単にいってしまうと、”朝、目覚めた後に体を起こさずにじっとしたまま体温を測る”必要があります。これ以外にも継続的な測定が前提である部分もあるため、低血圧で朝スムーズに目覚めるのが苦手な方は、朝の仕度の都合で測定のための時間を用意するのも惜しいという方も多いのではないでしょうか?

基礎体温計は一般的な体温計と異なり、微小な体温の変化を調べられるように小数第2位まで検知できるようになっていますが、これは基本的な機能であり、現在では更に便利な機能が盛りだくさんとなっています。この記事ではこれらの詳細に関して詳しく説明していますので、ぜひ最後までご覧になられてください。

基礎体温の基礎知識

基礎知識

はじめに、基礎体温に関して確認していきましょう。

基礎体温とは、”体の動きが一番安静な状態にあるときの体温”のことを指しています。人は就寝する際、自律神経のうち副交感神経が優位となるため、体温を低下させており、この体温低下をひとつのきっかけとして睡眠が生じるように体のメカニズムが構築されています。そして、起床後には、日中さまざまな活動を行うために、少しずつ体温が上昇していきます。

このような人体のメカニズムがあるため、基礎体温は”朝目覚めた後に体を起こさず、寝たままの状態”で測られた温度でもあると表現されることがあります。

基礎体温から何が分かる?

基礎体温を測る大きな目的には”排卵日を推定すること”、そして最終的には”性交渉のタイミングを知ること”・”妊娠の成功率を高めること”が挙げられます。この目的を理解するためには、女性の月経・排卵のサイクルに伴った体温の変化を知る必要があるので、ここではその点を確認していきましょう。

女性の排卵は脳の視床下部や下垂体の指令を受けて分泌される卵胞刺激ホルモンの作用による、卵胞(この中にある卵子)の成熟をもって開始されます。卵胞は卵巣の中に無数に存在します(女性が生まれた時点では約200万個、生殖適齢期を迎える頃に約20万~30万個といわれています)が、卵胞刺激ホルモンの作用によって1周期につき数十個の卵胞が成熟を行っています。

数十個の原始卵胞は成熟に伴って、一次卵胞、二次卵胞、成熟卵胞と成長していき、最終的に最も大きく成長した原始卵胞が排卵を行います(これを主席卵胞と呼びます)。そして、排卵を行わなかった主席卵胞以外の卵胞は黄体という別組織へと変化していきます。

黄体は黄体形成ホルモンや黄体ホルモンを分泌させる作用を持っており、これらのホルモンが身体に影響することで子宮内膜を厚くしたり、体温を高く保ったりと妊娠のための身体づくりが行われていきます。そして、黄体形成ホルモン・黄体ホルモンの分泌が活発になることで基礎体温が通常よりも高い状態が一定期間続くようになります(これを高温期と呼びます)。

このような高温期の中で排卵は行われるため、基礎体温を計測することが”排卵日を推定すること”、更には”性交渉のタイミングを知ること”・”妊娠の成功率を高めること”へとつながっていくのです。

基礎体温計の選び方

ポイント

次に、基礎体温計の種類や選び方を見ていきましょう。

基礎体温計にはさまざまな種類があり、計測方式や基本的な機能、プラスアルファとして付いていることで計測が更に便利に感じる機能など確認すべきことは多岐に亘ります。ご自身の生活、特に”寝起きのタイミングでどのような機能があれば使いやすいか”を以下に紹介する内容から考えてみていただけますと幸いです。

計測方式

まずは計測方式から確認してみましょう。計測方法は①実測式と②予測式の2つに分類できます。

実測式は、体温を測り始めて(外気の影響を受けないこと・実際の基礎体温に最も近いことなどから口内で測ることが一般的です)から、計測温度が一定の温度以上に上がらない平衡温度に達するまで体温を計測する方法となっています。そのため、予測式と比較するとやや計測時間が長く、計測時間としては5~10分ほどを必要とします。一方で体の内部の正確な体温を測れるようになっているため、妊活に励まれている・不妊症治療を受けている(特に、タイミング法の段階)といった正確な排卵推定日の把握が必要な方や、生理不順に悩んでおり次回の生理日を知っておきたい方などにおすすめしたい方式となります。

一方の予測式は、体温を測り始めたタイミングでの体温の上昇を体温計測機内のセンサーで把握するとともに、予めプログラムされている体温計測の式(体温の上昇比率から最終的な基礎体温を求めるための式)にあてはめることで基礎体温を予測して計測する方法となっています。実測式と比較すると計測時間は非常に短く、早いものでは約10秒で検温できるため、起床後の時間に余裕のない方におすすめです。

予測式では実測値を示しているわけではないので、表示された体温と実際の基礎体温に誤差が生じることもあります。このような場合に備えて、予測式として基礎体温を計測した後に、そのまま計測を続行することで実測式としても基礎体温を計測してくれる2つの計測方法が合わさった基礎体温計も存在します。起床後に行う基礎体温計測の容易性に大きく関わる部分ですので、基礎体温計を選択する際の参考になさってください。

基礎体温の記録方法

次に確認するのは、基礎体温の記録方法です。記録方法としては①単機能タイプと②高機能タイプ(基礎体温計本体が記録するものとスマホアプリと連動して記録するもの)に分類されます。

単機能タイプは純粋に基礎体温を計測して表示するものとなっているため、一般の体温計と使い方が同様であり、操作しやすい点に特徴があります。その分、記録方法としては基礎体温を継続的に記録する何かしらの方法を用意する必要があります。産婦人科治療の一環として渡される基礎体温表に転記したり、ノートに記録したりする方法が挙げられますが、数値としての体温だけでは変化を確認しづらいと思いますので、それらの方法だけでなくグラフとして見てみるなどぜひ確認しやすくなる工夫をなさってみてください。更に、高機能タイプと比較すると機能が単純である分、低価格帯での購入が可能ともなっているため、基礎体温の計測に初めて取り組まれる方などにとって金銭的なハードルが低いのも特徴のひとつといえます。

高機能タイプは基礎体温の計測はもちろん、この計測結果を自動的に記録できるようになっています。継続的な基礎体温の計測結果から自動的にグラフ作成するものや、メモ機能が搭載されており計測当日の健康状態や生理開始日・性交日などを併せて記録できるようになっているものなどもあり、機能は多岐に亘ります。また、体温計とスマホアプリを連動させることで計測した基礎体温をアプリ上で管理できるものもあります。高機能タイプの基礎体温計にはサイズが大きいものもあり、病院などで継続的な記録を確認しようと持ち運ぼうにもバッグに収めるとかさばってしまうこともあります。アプリ連動型であればスマホひとつで済むようになるため、外出先での確認も容易となります。

これらの違いは継続的な体温測定の容易性に大きく影響していますので、計測方法と併せて購入の際の確認事項にされてください。

その他のプラスアルファな機能

最後に、計測方法・記録方法とは異なるプラスアルファな機能を確認してみましょう。

まず確認しておきたい機能としては防水機能であるか否かが挙げられます。体温の測定は基礎体温計を口に咥えて行うことになりますが、目覚めた直後の口内環境は、睡眠中のだ液の減少によって細菌・雑菌が多数繁殖した状態にあります。基礎体温の測定は継続的な取り組みが前提であるため、日々衛生的な使用を可能とするためにも防水機能が備わっており、体温測定後に水洗いできるものがおすすめとなります。更に、抗菌素材が用いられている基礎体温計も同じ理由でおすすめです。

次に挙げる確認事項としては、先で少し触れましたが基礎体温計のサイズが挙げられます。起床する前に寝たままの状態で体温を測定する必要があるため、枕元に置いても邪魔にならないこと、寝た状態でも扱いやすいサイズを選ぶことで計測をより行いやすくなります。また、ポーチなどに収納可能なサイズとなっている基礎体温計であれば持ち運びが容易となるため、外泊や出張、夜勤などの多い職場環境で働く方には、このような点も考慮した選択をなさっていただければと思います。

上記の機能の他にも、バックライト点灯機能が付いたものや、各種計測記録が大きく・くっきりと表示される機能が付いたもの、計測するタイミングをアラームで教えてくれる機能が付いたものなどもあります。

この記事を参考に、これまで紹介した機能含め、ご自身にとって役立つ機能がきちんと備わっている体温計を選択していただければ嬉しい限りです。

まとめ

基礎体温をチェックしている女性

基礎体温がどのような体温であるのか、基礎体温を測ることで何を知ることができるのか、基礎体温計の基本機能やプラスアルファの機能をご説明してきましたが、いかがだったでしょうか?

基礎体温の継続的な測定は排卵・月経の周期を知ることにつながり、妊娠のチャンスを高めることにもつながっていきます。そのため、妊娠を目指している方の最初のステップとして必須の取り組みであるともいえます。

しかしながら、妊娠を目的とせずとも、継続的な基礎体温の測定は身体の状態(特に、卵巣や子宮などの生殖器官)が健康であるかを把握するためのバロメーターにもなります。機能ごとに基礎体温計の費用にも幅が出てきますので、基礎体温の測定に興味が出た方は、単機能タイプの基礎体温計から気軽に計測を初めてみてもらえればと思います。

また、妊娠を目標とされている方は長期に亘る継続的な取組が必要となるため、ご自身にとって持続的に利用できる機能が搭載された基礎体温計を手に取ってもらえると、妊娠を目指して前向きに取り組み続けていけるかと思います。

この記事が多くの女性、妊活に励まれるカップルの皆さんのお力になってくれれば幸いです。

東京の「ミネルバクリニック」は臨床遺伝専門医が在籍するNIPT実施施設であり、たくさんの妊婦さんの悩みや不安と真摯に向き合い、笑顔になれる出産に導いてきました。妊娠初期からの出生前診断を受ける医療機関にお悩みの方は、知識・経験・実績とも「第三者から認証されている」臨床遺伝専門医が診療している「ミネルバクリニック」まで是非、ご相談ください。

プロフィール

この記事の筆者:仲田洋美(医師)

ミネルバクリニック院長・仲田洋美は、日本内科学会内科専門医、日本臨床腫瘍学会がん薬物療法専門医 (がん薬物療法専門医認定者名簿)、日本人類遺伝学会臨床遺伝専門医(臨床遺伝専門医名簿:東京都)として従事し、患者様の心に寄り添った診療を心がけています。

仲田洋美のプロフィールはこちら

関連記事