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葉酸サプリは飲まないほうがいい?正しい摂取方法を徹底解説

妊婦さんが摂取した方がいいと言われる栄養素の一つの葉酸があります。
葉酸を簡単に取れると人気なのが葉酸サプリです。

当記事では、葉酸サプリとはどんなものなのか、妊婦さんが葉酸サプリを正しく摂取する方法について解説します。

葉酸サプリとは?

葉酸サプリとは、その名の通り葉酸という栄養素を効果的に摂取するためのサプリです。
現在ではさまざまな種類の葉酸サプリが販売されており、比較的気軽に購入できます。
では、葉酸とはどんな栄養素なのか、どうして葉酸サプリが妊婦さんにとって良いのか見ていきましょう。

葉酸は胎児の病気のリスクを減らすビタミン

葉酸は、生まれてくる赤ちゃんの神経管閉鎖障害のリスクを抑えてくれるビタミンの一種です。
葉酸はビタミンB12とともに、赤血球の生産を促進し、細胞の再生を助ける働きをすることが知られています。
さらに、胎児の細胞の分裂や成熟を助けるので、正常な発育にも欠かせない栄養素です。

妊娠初期には脳や脊髄のもととなる神経管が作られますが、神経管が正常に作られるかどうかはお母さんが摂取する葉酸の量に左右されると考えられています。
葉酸を積極的に摂ることで、胎児の病気のリスクを減らせるのです。

胎児の脳や脊髄が作られるのは、妊娠のかなり初期のころであり、妊娠にまだ気づかない方もいます。
そのため、妊娠が分かってから葉酸を摂るのではなく、妊活している時から葉酸を積極的に摂取することが重要なのです。

摂取すべき葉酸の量

葉酸は妊娠初期から授乳中までずっと必要となる栄養素です。
ただし、葉酸は水溶性で熱に弱いため、毎日の必要量を摂取するのは簡単ではありません。

妊娠初期には通常の食事で摂取する葉酸に加えて、400~480μgの葉酸を摂取することが推奨されています。
これはホウレン草12株、ブロッコリー1株に相当します。
さらに日本人女性の多くは体質として葉酸を体内で利用しにくいと考えられており、より効率的に葉酸を摂取することが必要なのです。

葉酸サプリのメリット

葉酸サプリの大きなメリットは、体内での利用効率のよさです。
葉酸は胎児にとっても母体にとっても重要な栄養素です。

葉酸にはポリグルタミン酸型葉酸と、モノグルタミン酸型葉酸という2つの種類があります。
ポリグルタミン酸型葉酸は食品から摂取できる天然葉酸で、ホウレン草やブロッコリー、枝豆、焼きのり、納豆などに多く含まれています。

妊活中や妊娠中の方は、普段の生活からこうした食品を多く食べて、葉酸を摂るようにしましょう。
しかし、モノグルタミン酸型葉酸は、合成葉酸なので食品から摂ることはできません。

葉酸サプリによってモノグルタミン酸型葉酸を摂取できます。葉酸サプリで摂取したモノグルタミン酸型葉酸は、体内で約85%が吸収され、非常に効率的です。
一方、天然葉酸は摂取した葉酸の約半分しか吸収できません。安定して必要な葉酸を摂取し続けられる点で、葉酸サプリは非常に効果的なのです。
つわりや体調の変化によって食事ができない時も、葉酸サプリであれば楽に摂取できます。

葉酸サプリは飲まないほうがいい?

体調不良の女性

時折、葉酸アプリは飲まない方がいという意見をインターネットで目にすることがあります。
結論からいえば、妊娠中の方は葉酸サプリを飲んで、葉酸を摂取することが望ましいでしょう。

前述のように、妊娠初期から後期にかけて葉酸が不足すると、胎児の神経管閉鎖障害のリスクが高まるからです。
さらに、葉酸の不足によって妊婦さん自身も貧血や息切れ、めまいに悩まされることがあります。

とはいえ、葉酸サプリによって葉酸を過剰摂取すると弊害が生じることも覚えておくべきです。
では、葉酸の過剰摂取によって起こるリスクを見ていきましょう。

1. ビタミンB12欠乏症が判別しにくくなる

葉酸サプリによって葉酸を過剰摂取すると、ビタミンB12欠乏症が判別しにくくなるリスクがあります。
葉酸とビタミンB12はどちらもDNA合成に関与しており、どちらか一方が過剰になると、他方の欠乏症が分かりにくくなるのです。

とくに巨赤芽球性貧血を持っている方は、葉酸を過剰摂取しないよう注意が必要でしょう。
厚生労働省によって、出産を控えた方は1日に900μgを上限とすることが定められています。
葉酸サプリの用法用量をよく見ずに飲み続けると、この上限を超えてしまう恐れがあるので注意が必要です。

2. 薬物性肝障害のリスクが上がる

葉酸サプリに限らず、サプリ全般を使用する際には過剰摂取によって薬物性肝障害のリスクが上がることを覚えておきましょう。
サプリを飲むと、特定の栄養素を簡単に多量摂取できます。

昨日の分を飲み忘れたから今日は2倍飲んでおこうなどと考えると、1日の摂取量をオーバーしてしまうことが十分考えられるのです。
葉酸サプリも他のサプリと同様、過剰摂取すると薬物性肝障害を引き起こし、倦怠感や食欲不振、吐き気、嘔吐、かゆみ、黄疸などの症状が表れる場合があります。

ただし、薬物性肝障害の症例は極めてまれです。
独立行政法人国民生活センターの発表によれば、2006年11月から2017年6月までの10年8ヶ月で健康食品による薬物性肝障害と断定されたのはわずか27件となっています。
相当量の葉酸サプリを飲まなければ、薬物性肝障害の心配はないでしょう。

葉酸サプリの正しい摂取方法

葉酸サプリは飲まないほうがいい?正しい摂取方法を徹底解説

葉酸サプリは、摂取量を守っていればリスクはほとんどなく、胎児に必要な栄養素を効率的に取り入れられます。
では葉酸サプリの正しい摂取方法について見ていきましょう。

摂取は1日複数回に分けて

葉酸サプリは、1日複数回に分けて飲むのがベストです。
面倒くさかったり、飲み忘れが怖かったりすると、1日の初めて必要な分を一気に飲んでしまいたくなるでしょう。

しかし、葉酸は体内にとどめておくことができず、体外に排出されてしまいます。
朝、昼、夜、就寝前など、複数回に分けて葉酸サプリを飲み、体内にいつでも葉酸があるようにすることが重要なポイントです。

吸収率が気になるなら食前や就寝前

葉酸サプリを飲む際に吸収率が気になるのであれば、食前や就寝時に飲むのがベストです。
胃の中に何も入っていない状態で葉酸サプリを飲めば、吸収率が高くなるでしょう。

さらに就寝前に葉酸サプリを飲むことで、成長ホルモンの分泌も葉酸がサポートしてくれます。
ただし、体調に何も問題なければという条件付きです。
もし就寝前に葉酸サプリを飲むと胃もたれしたり、翌日体調がすぐれなかったりする場合には、胃の負担を軽くするため食後にサプリを飲むようにしましょう。

葉酸サプリは水か白湯で飲む

葉酸サプリを効果的に摂取するためには、水か白湯で飲むべきです。
急いでいるからといって、朝食時にコーヒーでサプリを飲んだり、お昼にお茶で流し込んだりするのは避けましょう。

コーヒーやお茶に含まれているカフェインは、葉酸サプリの吸収を阻害する働きがあります。
せっかく葉酸サプリを飲んでいても、カフェイン飲料のせいで効果が薄れてしまうのです。

【まとめ】妊活中や妊娠初期は積極的に葉酸サプリを活用しよう

サプリメントを飲む女性

葉酸サプリは用法用量をしっかり守っていれば、リスクが少なく赤ちゃんやお母さんの健康を守る効果的な食品です。
とくに妊活中や妊娠初期の女性は葉酸を摂取する必要があるので、葉酸サプリを使ってみるとよいでしょう。

プロフィール

この記事の筆者:仲田洋美(医師)

ミネルバクリニック院長・仲田洋美は、日本内科学会内科専門医、日本臨床腫瘍学会がん薬物療法専門医 (がん薬物療法専門医認定者名簿)、日本人類遺伝学会臨床遺伝専門医(臨床遺伝専門医名簿:東京都)として従事し、患者様の心に寄り添った診療を心がけています。

仲田洋美のプロフィールはこちら

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