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NIPT事例|30歳代の早発閉経女性

新婚間もなく早発閉経で子供は望めないと言われたAさんがミネルバクリニックで出生前診断を受けました。専門医の私がほろっと涙してしまうような感じでしたが、似たような境遇にある女性たちを励ませたらと思い、書きました。

早発閉経ってご存知ですか?

ミネルバクリニックのNIPT症例ですが、特に心に残る症例なのでお伝えします。

早発閉経は早発卵巣不全早発卵巣機能不全)ともいわれ、40歳以下の女性の約100人に1人、30歳以下の女性の1,000人に1人、20歳以下の女性の10,000人に1人の確率だと報告されています。

20代のAさん

Aさんは20代のころから月経不順でしたが、別に月経なんて毎月来なくても女性にとってはうっとうしいものなのでむしろありがたい、くらいに思っていました。
20代ってそんなものですよね。

Aさんは半年に一度くらい来るので、気にはなるものの別にいいや、困らないし、と思っていました。

新婚のAさん

20代から生理不順が気になっていたのでアラサーになって結婚して、ふと気になって産婦人科に行きました。
AMHの0.1 ng/ml未満という異常低値。

新婚のAさんにまさかの 早発閉経 という診断がのしかかりました。

こういう場合、大体の人たちが通るジレンマは、もしも結婚前に早発閉経で妊娠可能性が低いとわかっていた場合、夫はわたしと結婚したのか?という問いがクルクル頭を回ってしまう。という事でしょう。

Aさんもありとあらゆることを一度に考えました。
夫に離婚を切り出したこともあります。

別に私じゃなくてもいいじゃない?別の女性と結婚したら苦労しないじゃない?そんな言葉をぶつけてしまったのも想像がつきます。

しかし。大変ありがたいことにこの旦那様は本当にすごく優しい男性で、そして奥様のことを心の底から愛しています。

夫は奈落の底の妻を一生懸命励まし続けました。
そして、まずは早発閉経でも不妊治療を受けてくれるところを一生懸命探すことからご夫婦のお子さんを持ちたいという希望への挑戦が始まりました。

不妊治療中のAさん

早発閉経のAさんは、排卵誘発してもなかなか卵胞が育ちません。
それでも、1年に一度くらいは採卵が何とか出来たそうです。
そして、待望の妊娠をしたものの、流産という結果になってしまい。
この時は本当にショックだったと思います。

ですが、先ほどもお伝えした通り、本当に奥様のことがお好きな旦那さまは一生懸命ただただひたすら奥様を励まし続け。
数年の不妊治療の結果として、また妊娠することができたのです。
神様、奇跡をありがとう。そんな気持ちだったことでしょう。

そして出生前診断NIPTのためにミネルバクリニックに

Aさんはご夫妻でNIPTを受けに来られました。
カウンセリングしているわたしのほうが涙ぐんでしまい、「どうか無事な赤ちゃんでありますように」と祈る思いになりました。
無事な赤ちゃんであってほしいとは、どの症例に対しても思いますが、Aさんの境遇では、新たな採卵はなかなか望めません。だからほかの症例に比べて強く 無事な赤ちゃんでありますように と思いました。

そして一例一例、皆さんとまっすぐ向き合ってきて、臨床遺伝専門医として日本一の症例数をこなしているわたしにはわかるのです。

分からない人は、「Aさんはどうしてせっかくできた赤ちゃんを出生前診断なんてするんだ?どんな赤ちゃんでもやっとできたんだからそのまま産めばいいじゃないか?」とおっしゃるでしょう。

でも。逆なのです。

Aさんは辛くて長くて苦しいトンネルをやっと抜けました。
前に一度差したと思った光はすぐに消えてしまいました。

だから知りたかったのです。
今度の光の強さを。

ご夫妻ともに、また悲しい思いをするんじゃないか、と不安で仕方がなかったんです。

こんな気持ちは当事者にしかわかりません。

そしてその当事者たちにしか分からないはずの気持ちに、たくさんの症例数を経験させていただいて、いろんな問題を特に抱えた患者さんたちがミネルバクリニックには全国からいらっしゃるので、Aさんご夫婦がこられたときにも、いろんな話をさせていただきました。

ご夫婦のお気持ちが少しでも楽になるように。

「専門医にしか伝えられないことがある」そうわたしは信じています。

ミネルバクリニックには特に悩んだ方々がお越しになるのですが、「先生にあって元気になりました」、「先生に話をすると気持ちが楽になりました」とたくさんの方々におっしゃっていただいていることをとてもありがたく感じています。

同時に、わたしは欧州風に育っておりますので、権利と義務がワンセットと言う考えですので、当然合わない人もいます。
ですが、100%を目指していません。

なぜなら、わたしの良さはAさんのように本当に苦しい思いをした人には必ずわかっていただけるからです。
逆に、本当に苦しい人のお役に立ちたい。

専門医には専門医のコミュニケーションスキルがある。わたしはそう思って頑張っています。

Aさんのお子さんは検査上は何の問題もありませんでした。

そのことが精神的にどれほどの安心をもたらしてくれるか。

幅広い検査がもたらす幅広い安心を。
わたし、仲田洋美はそう信念をもって検査を検査を提供しています。

神様、どうかAさんご夫妻にたくさんの幸をください。ずっとずっと。

涙もろいのでちょっと書いててウルウルしてしまいました。

出生前診断。
それは喜びと慟哭と愛と涙の医療現場。

わたしはこれからも臨床遺伝専門医として、出生前診断の現場に立ち続けます。

プロフィール

この記事の筆者:仲田洋美(医師)

ミネルバクリニック院長・仲田洋美は、日本内科学会内科専門医、日本臨床腫瘍学会がん薬物療法専門医 (がん薬物療法専門医認定者名簿)、日本人類遺伝学会臨床遺伝専門医(臨床遺伝専門医名簿:東京都)として従事し、患者様の心に寄り添った診療を心がけています。

仲田洋美のプロフィールはこちら

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