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骨系統疾患はNIPTで調べられる?単一遺伝子検査の可能性と限界を解説

骨系統疾患はNIPTで調べられる?単一遺伝子検査の可能性と限界を解説 | 東京・ミネルバクリニック

骨系統疾患のNIPT検査について

骨系統疾患は単一遺伝子疾患として拡大型NIPTで検査可能です。軟骨無形成症(FGFR3遺伝子)や骨形成不全症(COL1A1/COL1A2遺伝子)などの主要な骨系統疾患を、母体血から非侵襲的に調べることができます。

骨系統疾患とは?200以上の疾患群の全体像

骨系統疾患(skeletal dysplasia)とは、骨・軟骨など骨格を形成する組織の成長・発達・分化の障害により、骨格の異常をきたす疾患の総称です。現在までに200以上の疾患が報告されており、そのほとんどが遺伝性の疾患(単一遺伝子病)となっています1

骨軟骨異形成症

骨・軟骨の成長・分化・機能の全身的、系統的障害をきたす疾患群。代表的な疾患に軟骨無形成症、骨形成不全症があります。

異骨症

特定の骨(例:頭蓋骨、指骨)の障害。局所的、部位特異的な骨・軟骨の発生・分化・成長の異常。多指症、合指症が代表例です。

主要な骨系統疾患の特徴

疾患名 原因遺伝子 発症頻度 主な特徴
軟骨無形成症 FGFR3 1/25,000 四肢短縮型低身長、額突出
骨形成不全症 COL1A1/COL1A2 1/10,000-20,000 骨脆弱性、易骨折性
致死性骨異形成症 FGFR3 1/20,000-50,000 重篤な骨格異常、生命予後不良
低フォスファターゼ症 ALPL 1/100,000 骨石灰化障害、呼吸器症状

NIPTで骨系統疾患は調べられるのか?技術的可能性

結論:調べることが可能です

拡大型NIPT(単一遺伝子疾患検査)により、主要な骨系統疾患の検査が可能です。特にFGFR3遺伝子変異による軟骨無形成症や致死性骨異形成症、COL1A1/COL1A2遺伝子変異による骨形成不全症などが検査対象となります。

従来のNIPTとの違い

従来のNIPTは主に染色体数的異常(21、18、13番染色体のトリソミーなど)を対象としていましたが、技術の進歩により単一遺伝子疾患の検出も可能になりました。

従来のNIPT

  • 染色体数的異常(21、18、13トリソミー)
  • 性染色体異常
  • 微小欠失症候群

拡大型NIPT

  • 上記に加えて
  • 単一遺伝子疾患
  • 新生突然変異の検出
  • 骨系統疾患を含む遺伝性疾患

検査可能な骨系統疾患の具体例

軟骨無形成症(FGFR3遺伝子変異)

軟骨無形成症の特徴

FGFR3遺伝子の変異により引き起こされる最も頻度の高い骨系統疾患。四肢短縮型低身長を特徴とし、約80%は新生突然変異によるものです2

遺伝パターン 発症割合 特徴 家族歴
新生突然変異 80% 両親に変異なし、胎児期に新規発生 なし
家族性(常染色体優性) 20% 親から子へ50%の確率で遺伝 あり

骨形成不全症(COL1A1/COL1A2遺伝子変異)

コラーゲンI型の異常により生じる疾患で、骨脆弱性と易骨折性を特徴とします。重症度により8つの型に分類され、Ⅰ型コラーゲンα1鎖(COL1A1遺伝子)またはα2鎖(COL1A2遺伝子)の変異が原因となります3

出生前診断の重要性

重症例では胎児期から骨折を繰り返すことがあり、出生時の取り扱いや分娩方法の選択において、事前の診断が重要となります。

ミネルバクリニックでの骨系統疾患NIPT検査

ミネルバクリニックの特徴

ミネルバクリニックは、臨床遺伝専門医が常駐する非認証施設として、拡大型NIPTによる骨系統疾患の検査を提供しています。2025年6月より産婦人科を併設し、確定検査まで自院で対応可能になりました。

検査の特徴

COATE法採用

最新の次世代NIPT技術により、従来の検査より飛躍的に精度が向上(陽性的中率99.9%)

専門医による遺伝カウンセリング

臨床遺伝専門医による無料カウンセリングで、検査前後のサポートを提供

確定検査まで一貫対応

2025年6月より陽性時の羊水検査・絨毛検査を自院で実施可能

24時間サポート体制

陽性時の手厚いフォロー体制で、患者様の不安に寄り添います

検査の精度と限界

検査精度について

骨系統疾患のNIPT検査における精度は、対象遺伝子や変異の種類によって異なります。一般的に:

  • 感度(検出率):90-95%程度
  • 特異度:99%以上
  • 陽性的中率:検査方法により大きく異なる(70%~99.9%)

検査の限界

  • 全ての骨系統疾患を検出できるわけではない
  • 新生突然変異の一部は検出困難な場合がある
  • モザイク型の変異は検出が困難
  • 確定診断には羊水検査や絨毛検査が必要

費用と検査時期

検査費用

料金に含まれるもの

以下の費用は別途必要となります:マイページ利用料550円、検査結果作成費3,300円、互助会費8,000円(陽性時の羊水検査費用補償のため)

検査プラン 費用(税込) 検査内容 骨系統疾患検査
ライトプラン
(Medicover genetics)
176,000円 基本検査(13/18/21トリソミー+性別)
陽性的中率:13染色体80-93%、21染色体約99.9%
×
スタンダードプラン
(Medicover genetics)
198,000円 基本検査+微小欠失症候群4種類
(約70%の陽性的中率)
×
旧プレミアムプラン 275,000円 基本検査+微小欠失8種類+13/18/21以外の染色体異常
(約50%程度)+700万塩基の重複・欠失
×
NEWプレミアムプラン 275,000円 基本検査+微小欠失12種類13疾患(約99.9%以上)
+15/16/22染色体異常(約50%程度)
×
ダイヤモンドプラン 451,000円 基本検査+微小欠失12種類13疾患(約99.9%以上)
+15/16/22染色体異常(約80%程度)
+父親の精子の遺伝子突然変異56遺伝子(約99.9%以上)
◎対象

当日割引特典適用時の料金

  • NEWプレミアムプラン:264,000円(税込)
  • ダイヤモンドプラン:407,000円(税込)

骨系統疾患検査に対応するプラン

「ダイヤモンドプラン」が骨系統疾患の検査に対応しています。父親の精子の遺伝子突然変異56遺伝子の検査が含まれており、FGFR3遺伝子(軟骨無形成症・致死性骨異形成症)やCOL1A1/COL1A2遺伝子(骨形成不全症)などの主要な骨系統疾患が検査対象に含まれます。

検査時期

ミネルバクリニックでは妊娠9週0日から検査可能です(研究として6週からも対応)。骨系統疾患の場合、早期の検査により:

  • 選択肢を考える時間の確保
  • 専門医への相談時間の確保
  • 分娩方法や医療機関の選択準備

よくある質問(FAQ)

Q1. 家族歴がなくても骨系統疾患の検査は必要ですか?
A1. 軟骨無形成症の約80%、骨形成不全症の多くは新生突然変異によるものです。家族歴がなくても一定のリスクがあるため、不安がある場合は専門医にご相談ください。
Q2. NIPTで陽性だった場合、必ず羊水検査が必要ですか?
A2. NIPTはスクリーニング検査のため、陽性の場合は確定診断のために羊水検査または絨毛検査が推奨されます。ミネルバクリニックでは2025年6月より自院で確定検査が可能です。
Q3. 超音波検査で骨の異常を指摘されました。NIPTは有効ですか?
A3. 超音波検査で骨系統疾患が疑われる場合、NIPTにより原因遺伝子を特定できる可能性があります。これにより、より正確な診断と予後予測が可能になります。
Q4. 検査結果が出るまでどのくらいかかりますか?
A4. 単一遺伝子疾患を含む拡大型NIPTの場合、通常10-14日程度です。検査の進捗状況はマイページで確認できます。
Q5. オンラインでも検査を受けられますか?
A5. はい。ミネルバクリニックではオンラインNIPTに対応しており、全国の提携医療機関で採血が可能です。臨床遺伝専門医によるオンラインカウンセリングも受けられます。

まとめ:骨系統疾患のNIPT検査について

重要なポイント

  • 骨系統疾患は拡大型NIPTで検査可能
  • 新生突然変異が多いため家族歴がなくてもリスクあり
  • 早期診断により適切な周産期管理が可能
  • 確定診断には羊水検査が必要
  • 専門医による遺伝カウンセリングが重要

骨系統疾患のNIPT検査は、技術の進歩により現実的な選択肢となりました。特に新生突然変異の割合が高い疾患群であることを考慮すると、家族歴がない場合でも検査の意義があります。

ただし、検査には限界があり、結果の解釈には専門的な知識が必要です。臨床遺伝専門医による十分なカウンセリングを受けながら、ご自身とご家族にとって最適な選択をしていただくことが大切です。

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参考文献・関連リンク

1 骨系統疾患コンソーシアム. 骨系統疾患について

2 American Journal of Obstetrics & Gynecology. Skeletal dysplasias screening by NIPT for single-gene disorders

3 Research Square. Osteogenesis Imperfecta Type VIII in Prenatal Screening

関連記事:拡大型NIPTで軟骨無形成症と判明したケース

関連記事:致死性骨異形成症1型について


プロフィール

この記事の筆者:仲田 洋美(臨床遺伝専門医)

ミネルバクリニック院長・仲田洋美は、1995年に医師免許を取得して以来、のべ10万人以上のご家族を支え、「科学的根拠と温かなケア」を両立させる診療で信頼を得てきました。『医療は科学であると同時に、深い人間理解のアートである』という信念のもと、日本内科学会認定総合内科専門医、日本臨床腫瘍学会認定がん薬物療法専門医、日本人類遺伝学会認定臨床遺伝専門医としての専門性を活かし、科学的エビデンスを重視したうえで、患者様の不安に寄り添い、希望の灯をともす医療を目指しています。


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