クアトロ検査陰性でもダウン症?
見逃し率20%の理由を臨床遺伝専門医が解説
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Q. クアトロテストで陰性でも、ダウン症の赤ちゃんが生まれることはありますか?
A. はい、あります。クアトロテストの感度は約80%のため、約20%は見逃し(偽陰性)が発生します。
クアトロテストは母体血清マーカーを測定する「確率」を出す検査であり、「陰性=ダウン症ではない」という意味ではありません。より高精度な検査として、NIPT(新型出生前診断)があり、感度は99%以上です。
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クアトロテストの感度 → 約80〜87%(約13〜20%は見逃しが発生) -
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NIPTの感度 → 99%以上(見逃しはほぼゼロ) -
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陽性的中率の違い → クアトロテスト約2〜5% vs NIPT約80〜95% -
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検査方法 → どちらも採血のみで流産リスクなし -
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検査時期 → クアトロテスト妊娠15〜21週 vs NIPT妊娠10週から
1. クアトロテスト(クアトロ検査)とは?
【結論】 クアトロテストは母体血中の4種類のマーカーを測定し、ダウン症候群などの確率を算出するスクリーニング検査です。「確率」を出す検査であり、確定診断ではありません。
「クアトロテストを受けたけど、結果の意味がよくわからない」「陰性だったから安心していいの?」そんな疑問を抱えていらっしゃる方も多いでしょう。まずは、この検査が何を測っているのかを正しく理解しましょう。
💡 用語解説:クアトロテスト
クアトロテスト(Quad Screen)は、母体の血液中に含まれる4種類の物質(AFP、hCG、uE3、Inhibin A)を測定し、胎児がダウン症候群(21トリソミー)、18トリソミー、神経管閉鎖障害である「確率」を算出する検査です。妊娠15〜21週に実施します。
クアトロテストで測定する4つのマーカー
| マーカー名 | 正式名称 | ダウン症での変化 |
|---|---|---|
| AFP | α-フェトプロテイン | 低下 |
| hCG | ヒト絨毛性ゴナドトロピン | 上昇 |
| uE3 | 非抱合型エストリオール | 低下 |
| Inhibin A | インヒビンA | 上昇 |
これらのマーカー値を、母体年齢、体重、妊娠週数、人種などの情報と組み合わせて、統計的に「確率」を算出します。つまり、胎児のDNAを直接調べているわけではないのです。
⚠️ 重要:クアトロテストの結果は「確率」であり、「陰性=ダウン症ではない」「陽性=ダウン症である」という意味ではありません。カットオフ値(通常1/295)より低ければ「スクリーニング陰性」、高ければ「スクリーニング陽性」と判定されますが、これはあくまで「確率が高いか低いか」を示しているだけです。
2. クアトロテスト陰性でもダウン症になる理由
【結論】 クアトロテストの感度は約80〜87%であり、ダウン症の赤ちゃんの約13〜20%は「陰性」と判定されてしまいます。これを「偽陰性」と呼びます。
「クアトロテストで陰性だったのに、生まれてきた赤ちゃんがダウン症だった」という体験談を目にして、不安を感じている方もいらっしゃるでしょう。残念ながら、これは実際に起こりうることです。
💡 用語解説:偽陰性(ぎいんせい)
偽陰性とは、実際には病気があるのに、検査で「陰性(病気なし)」と判定されてしまうことです。クアトロテストでは、ダウン症の胎児であっても約13〜20%が「陰性」と判定されます。これは検査の限界であり、「陰性=100%安心」ではないことを理解しておく必要があります。
なぜ見逃しが起きるのか?
❶ 間接的な測定方法
クアトロテストは胎児のDNAを直接調べていません。母体血中のホルモンやタンパク質を測定し、統計的に確率を計算しているため、精度に限界があります。
❷ 個人差の影響
マーカー値は母体の体重、糖尿病の有無、多胎妊娠などで変動します。これらの補正が不十分だと、判定の精度が下がります。
❸ カットオフ値の設定
カットオフ値(1/295など)は「どこで線を引くか」という人為的な設定です。感度を上げると偽陽性が増え、偽陽性を減らすと見逃しが増えるというトレードオフがあります。
🩺 院長コラム【「陰性だから安心」の落とし穴】
私のクリニックには、「クアトロテストで陰性だったのに、出産後にダウン症と診断されました」という方からのご相談が少なくありません。皆さん共通しておっしゃるのは、「陰性と聞いて、もう大丈夫だと思ってしまった」ということです。
クアトロテストの「陰性」は「確率が低い」という意味であり、「ダウン症ではない」という確定診断ではありません。この点をしっかり説明されないまま検査を受けてしまうケースが多いのが現状です。
出生前診断を受ける際は、検査の限界を正しく理解した上で選択することが大切です。当院では、検査前の遺伝カウンセリングで、各検査の精度と限界について十分にご説明しています。
3. クアトロテストの感度80%が意味すること
【結論】 感度80%とは、ダウン症の赤ちゃん100人のうち80人は「陽性」と判定されるが、残り20人は「陰性」と見逃されるということです。
「感度」という言葉は少しわかりにくいかもしれません。具体的な数字で考えてみましょう。
例えば、ダウン症の赤ちゃんを妊娠している100人の妊婦さんがクアトロテストを受けた場合:
-
✓
80人は「陽性(高リスク)」と正しく判定される
-
✗
20人は「陰性(低リスク)」と誤って判定される(見逃し)
文献による感度データ
クアトロテストの感度については、複数の研究で報告されています。
| 項目 | クアトロテスト | 備考 |
|---|---|---|
| ダウン症の感度 | 約80〜87% | 偽陽性率5%での値 |
| 偽陰性率 | 約13〜20% | 見逃しの割合 |
| 18トリソミーの感度 | 約60〜80% | ダウン症より低い |
| 偽陽性率 | 約5〜8% | 不必要な精密検査につながる |
⚠️ 見逃し率20%の現実
日本では年間約700〜800人のダウン症の赤ちゃんが生まれています。もし全員がクアトロテストを受けていた場合、年間約140〜160人が「陰性」と判定されながらダウン症で生まれる計算になります。これは決して無視できない数字です。
4. クアトロテストとNIPTの精度比較
【結論】 NIPTの感度は99%以上であり、クアトロテストの約80%と比べて圧倒的に高精度です。見逃しはほぼゼロに近いといえます。
「クアトロテストよりもっと精度の高い検査はないの?」そう思われる方も多いでしょう。その答えがNIPT(新型出生前診断)です。
| 比較項目 | クアトロテスト | NIPT |
|---|---|---|
| ダウン症の感度 | 約80〜87% | 99%以上 |
| 偽陰性率(見逃し) | 約13〜20% | 1%未満 |
| 偽陽性率 | 約5〜8% | 約0.1% |
| 検査時期 | 妊娠15〜21週 | 妊娠10週から |
| 検査方法 | 採血のみ | 採血のみ |
| 流産リスク | なし | なし |
| 検査対象 | 21・18トリソミー、神経管閉鎖障害 | 21・18・13トリソミー他、多数 |
💡 用語解説:NIPT(新型出生前診断)
NIPTは、母体血中に浮遊する胎児由来のDNA断片(cell-free DNA)を直接分析する検査です。クアトロテストのようにホルモン値から間接的に推測するのではなく、胎児の遺伝情報を直接調べるため、圧倒的に高い精度を実現しています。
クアトロテストの結果に不安を感じていませんか?
「陰性」でも安心できない、「陽性」でも本当かわからない…
感度99%以上のNIPTで、より確かな情報を得ることができます。
※オンライン診療も対応可能です
5. 陽性的中率の違い|陽性判定の信頼性
【結論】 クアトロテストで「陽性」と判定されても、実際にダウン症である確率(陽性的中率)はわずか2〜5%です。一方、NIPTの陽性的中率は約80〜95%と非常に高くなっています。
「陽性」と言われると、「赤ちゃんがダウン症」と思ってしまいがちですが、実はそうではありません。特にクアトロテストでは、陽性と判定されても、ほとんどの場合は赤ちゃんに問題がないのです。
💡 用語解説:陽性的中率(PPV)
陽性的中率とは、「検査で陽性と判定された人のうち、実際に病気がある人の割合」です。例えば陽性的中率が5%なら、100人の「陽性」のうち5人だけが本当に病気で、95人は「偽陽性(病気ではないのに陽性と出た)」ということになります。
陽性的中率の比較
| 検査 | 陽性的中率(ダウン症) | 意味 |
|---|---|---|
| クアトロテスト | 約2〜5% | 陽性100人中2〜5人だけが実際にダウン症 |
| NIPT | 約80〜95% | 陽性100人中80〜95人が実際にダウン症 |
クアトロテストで「陽性」と判定された100人のうち:
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•
2〜5人だけが実際にダウン症の赤ちゃんを妊娠
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•
95〜98人は赤ちゃんに問題なし(偽陽性)
つまり、クアトロテストで「陽性」と言われても、ほとんどの場合は赤ちゃんに問題がないのです。しかし、確定するためには羊水検査が必要となり、精神的な負担が大きくなります。
6. なぜNIPTが選ばれるのか
【結論】 NIPTは「早期から」「高精度で」「安全に」検査できるため、出生前診断として世界的に主流となっています。クアトロテストの限界を補う検査として注目されています。
クアトロテストの限界を知った今、「ではどうすればいいの?」と思われている方も多いでしょう。多くの妊婦さんが選んでいるのがNIPT(新型出生前診断)です。
🕐 早期に検査可能
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クアトロテスト:妊娠15〜21週
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NIPT:妊娠10週から(当院では6週から対応)
→ より早く結果を知り、準備の時間を確保できます
🎯 圧倒的な高精度
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感度:99%以上
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偽陽性率:約0.1%
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見逃し:ほぼゼロ
→ 「陰性なら安心」「陽性なら高確率」と言えます
🛡️ 安全性
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採血のみで実施
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流産リスク:ゼロ
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母体・胎児への負担なし
→ 羊水検査のリスクを避けられます
⚠️ 重要なお知らせ:NIPTもスクリーニング検査であり、確定診断ではありません。陽性の場合は羊水検査・絨毛検査による確定診断が必要です。ただし、NIPTの高い陽性的中率(80〜95%)により、「不必要な確定検査」を大幅に減らすことができます。
🩺 院長コラム【出生前診断は「正確性」が命】
私がクリニックを開業した理由の一つは、「精度の低い検査で不安を抱えたまま妊娠期間を過ごす方を減らしたい」という思いからです。
クアトロテストで「陰性」と言われても20%は見逃しがある、「陽性」と言われても95%以上は赤ちゃんに問題がない―このような曖昧な結果では、本当の意味で「安心」を得ることはできません。
当院では、「2日で結果が出る」よりも「正確な結果を出す」ことを重視しています。生涯に関わる大切な検査だからこそ、私たちは米国4大遺伝子検査会社が担当する高精度なNIPTを提供し、臨床遺伝専門医が最初から最後まで責任を持ってサポートいたします。
不安な時間を最小限にするために、正確性の高い検査を選んでいただきたいと願っています。
7. ミネルバクリニックのNIPT
ミネルバクリニックでは、臨床遺伝専門医としての専門性を活かした診療体制を整えています。クアトロテストの限界を踏まえ、より高精度な検査と、陽性時のフォローまで一貫してサポートいたします。
🏥 院内で確定検査まで対応
2025年6月より産婦人科を併設し、羊水検査・絨毛検査も院内で実施可能に。転院の必要がなく、心理的負担を軽減できます。
👩⚕️ 臨床遺伝専門医が常駐
臨床遺伝専門医が検査前後の遺伝カウンセリングを担当。クアトロテストとNIPTの違いから、結果の解釈、今後の選択肢まで丁寧にご説明します。
💰 互助会で費用面も安心
互助会(8,000円)に加入いただくと、陽性時の確定検査(羊水検査)費用を全額カバー。上限なしで安心です。
💡 遺伝カウンセリング料金について
当院のNIPT費用には遺伝カウンセリング料金(33,000円相当)が内包されています。これには当日の説明だけでなく、陽性になった時に何度でもカウンセリングを受けられる、妊娠経過中に心配なことがあればいつでも相談できる、といったサポートが含まれています。「お金がかかるから相談しにくい」ということがないよう、安心して日常生活を送れるよう配慮しています。
よくある質問(FAQ)
🏥 クアトロテストの結果に不安を感じていませんか?
「陰性」でも安心できない、「陽性」でも本当かわからない…
そんな不安を解消するために、感度99%以上のNIPTをご検討ください。
臨床遺伝専門医があなたとご家族に寄り添います。
参考文献
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- [9] 日本産科婦人科学会. 出生前に行われる遺伝学的検査および診断に関する見解. [日本産科婦人科学会]
- [10] National Society of Genetic Counselors. Prenatal cell-free DNA screening. [NSGC]


