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出生前診断の年齢制限と35歳未満の妊婦に推奨する染色体検査を紹介

妊娠9週以降になると、胎児の染色体異常を調べられるさまざまな出生前診断を受けられるようになります。

染色体異常に伴って発生するダウン症候群などの疾患を持っている可能性を知ることはとても大事ですが、希望する検査をいつでも受けられるわけではないことを理解しておかなければなりません。

この記事では、出生前診断の年齢制限と35歳未満の妊婦さんに推奨する染色体検査をご紹介していきます。

高齢妊娠の方にとってとても為になる情報なので、是非参考にしてみてください。

出生前診断の年齢制限について

妊婦さん
出生前診断は、胎児の状態でも染色体異常・遺伝子疾患・その他の先天的障害を持っている可能性を調べることができる優れた検査です。

出生前診断の中で年齢制限なしで受けられる検査・年齢制限がある検査をそれぞれご紹介していきます。

年齢制限なしで受けられる検査

お腹の中で頑張ってすくすく育っている赤ちゃんの健康状態は、妊婦さんなら誰でも気になってしまうものです。

妊婦さんは自分の年齢で染色体検査を受けられるのか不安になることもありますが、基本的に出生前診断は年齢制限なしで受けられるようになっています。

若年妊娠でも高齢妊娠でも受けられる出生前診断は以下のとおりです。

エコー検査|妊娠10週〜13週・妊娠18週〜30週

出生前診断の中でも馴染みのあるエコー検査は年齢問わず受けることができる検査で、超音波機器を用いて子宮内の胎児の断面図・3D・4Dなどでチェックすることができます。

【検査項目】

  • 13トリソミー
  • 18トリソミー
  • ダウン症候群

胎児の心臓の動きや血の流れも観察することができますが、染色体異常に伴って発生する疾患を持っているかどうかを確定させることまではできません。

あくまで疾患を持っている可能性を示唆する検査のため、他の出生前診断と併せて受けるのが一般的です。

コンバインド検査|妊娠11週〜13週

コンバインド検査は、超音波機器による胎児の状態観察と母親の血液検査の両方を行う検査です。妊婦さんの年齢・体重・妊娠週数などの因子と掛け合わせて染色体異常の可能性を調べることができます。

【検査項目】

  • 18トリソミー
  • ダウン症候群

検査を受けられる時期であれば年齢を問わず、上記の2種類の染色体異常症を持っている可能性を調べることができます。

母体血清マーカー検査(クアトロテスト)|妊娠15週〜18週

母親の血液検査で染色体異常を調べる母体血清マーカー検査(クアトロテスト)も、若い妊婦さんから35歳を越えた高齢の妊婦さんまで受けることが可能です。

【検査項目|染色体異常】

  • 18トリソミー
  • ダウン症候群

エコー検査よりも染色体異常を発見できる精度が高く、何らかの疾患を患っている場合は約80%の確率で陽性反応が出ます。

NIPT(無認可施設)|妊娠9週以降

NIPTも母親の血液検査で染色体異常を調べることができますが、母体血清マーカー検査よりも精度が高く、非侵襲的検査の中で最も優先して受けるべき染色体検査といえます。

【検査項目|染色体異常】

  • 18トリソミー
  • 13トリソミー
  • ダウン症候群

100%に近い確率で染色体異常を持っている可能性を調べられるとても優れた検査ですが、NIPTの「無認可施設」のみ年齢制限なしで受けることが可能となっています。

絨毛検査|妊娠10週〜妊娠14週

染色体異常症の有無をほぼ確定させることが可能な確定的検査絨毛検査は、子宮内の胎盤にある絨毛という組織を穿刺によって採取して、染色体異常を調べる検査です。

【検査項目|染色体異常】

  • 18トリソミー
  • 13トリソミー
  • ダウン症候群
  • その他の全染色体異常

全ての染色体異常を検査できる優れた検査ですが、検査を受けた1%の妊婦さんが流産・早産に至る侵襲的なものとなります。

かつては高齢妊娠の場合にしか受けられない検査でしたが、現在は条件が緩和されて年齢制限なしで実施されています。

羊水検査|妊娠14週以降

羊水穿刺で子宮内の羊水を採取し、染色体異常を調べる羊水検査も確定的検査に分類されます。検査精度は出生前診断の中で最も高く、限りなく100%に近い確率で染色体異常症を検査することができます。

【検査項目|染色体異常】

  • 18トリソミー
  • 13トリソミー
  • ダウン症候群
  • その他の全染色体異常

羊水検査も妊婦さんのお腹から子宮に向けて針を挿入する手技が侵襲的であり、0.3%の妊婦さんが流産・早産に至るとされています。

年齢制限なしで実施されていますが、リスクを回避するためにまずはNIPTなどの安全な出生前診断から受けることを推奨されています。

年齢制限がある検査

出生前診断全体でみた場合、年齢を問わずほとんどの検査を受けることができますが、NIPTに関しては少し特殊な条件が設けられています。

NIPT(認可施設)|妊娠9週以降

NIPTの実施施設は、日本産婦人科医会が定めた厳正なる条件を満たし、臨床遺伝専門医や認定遺伝カウンセラーが複数名在籍する「認可施設」とそれ以外の「無認可施設」があります。

認可施設では、妊娠10週以降且つ特定の条件を満たすことでNIPTを受けることができます。

以下の条件の何れかを満たす必要があるため、ハードルが高くなっています。

  • 35歳以上の高齢妊娠である
  • 胎児超音波検査(エコー検査)で染色体の数に異常がある可能性を示唆された
  • 母体血清マーカー検査で染色体の数に異常がある可能性を示唆された
  • 過去に染色体の数に異常がある子どもを妊娠、または出産した既往がある
  • 父親、母親のどちらかに均衡型ロバートソンがあり、胎児がダウン症候群か13トリソミーを患っている可能性がある

これにより「近くの医療施設でNIPTを受けようと思ったら、条件が厳しくて受けられなかった」というケースも見受けられています。

出生前診断の中では、NIPTだけに年齢制限があると覚えておきましょう。

35歳未満の妊婦に推奨する出生前診断

NIPT
ここからは、35歳未満の妊婦さんに推奨する出生前診断をご紹介していきます。

NIPT認可施設の条件をクリアできなかった方は、年齢制限なしでNIPTを受けられるNIPT無認可施設という受け皿があることをしっかり理解しておきましょう。

NIPTの無認可施設の選び方

NIPTは施設によって実施期間が多少異なり、早いところでは妊娠9週0日から検査を受けることができます。

無認可施設では年齢制限がないため、35歳未満の妊娠さんでも問題なく染色体異常を調べることができますが、「無認可」という言葉に対してネガティブなイメージを持っている方もいます。

ですが、無認可施設でも染色体・遺伝子に精通する臨床遺伝専門医や認定遺伝カウンセラーが在籍している施設はあります。しっかり厳選すれば医療環境がとても充実した無認可施設もあることを理解しておきましょう。

35歳未満の妊婦さんは、まずは妊娠初期にNIPTを優先して受けて、結果に応じて次の選択を考えることをおすすめします。

NIPTで陽性反応が出た場合

NIPTは、感度99%・特異度99%の染色体検査です。

陽性反応が出た場合はかなり高い確率で染色体異常症を持っていることになり、陰性反応が出た場合は染色体異常症を持っている可能性は極めて低くなります。

検査結果で陽性と伝えられた時のショックはとても大きいですが、NIPTはあくまでスクリーニング検査のための、染色体異常症を持っていることが確定したわけではありません。

陽性だと伝えられた場合はしっかり医師のアドバイスを受けて、確定的検査である絨毛検査、または羊水検査を受けることを検討する流れとなります。

絨毛検査は胎児が死亡するリスクが高い検査のため、妊娠14週以降に羊水検査を受けるのが一般的です。

陰性という結果を受けて安心されたい方は多いと思いますが、陽性だったとしても障がいを持った赤ちゃんを受け入れる準備を早くから進めることもできるという側面もあります。

出生前診断を受ける時期が遅くなりすぎると羊水検査が受けられなくなる可能性があるため、早めからスケジュール管理をしておきましょう。

まとめ

出生前診断の年齢制限と35歳未満の妊婦さんに推奨する検査をご紹介しました。

35歳以上の高齢妊娠の場合、基本的に検査期間内であればどの出生前診断も受けることができますが、35歳未満の場合は、NIPT認可施設においては検査条件を満たすことができず、検査を受けることができません。

年齢制限がなくNIPTを受けられるのは無認可施設となりますが、臨床遺伝専門医・遺伝カウンセラーが在籍しているかどうかを前提とした施設選びをすることをおすすめします。

東京の「ミネルバクリニック」は、確かな経験と実績を持つ臨床遺伝専門医が在籍するNIPT無認可施設です。

無認可施設ながら国内有数のNIPT検査環境が整っている遺伝子専門クリニックであり、たくさんの患者様が妊娠初期にNIPTを受けられています。

出生前診断を受ける施設をお探しの方は、年齢に問わず質の高いNIPTを受けられる「ミネルバクリニック」まで是非お越しください。

プロフィール

この記事の筆者:仲田洋美(医師)

ミネルバクリニック院長・仲田洋美は、日本内科学会内科専門医、日本臨床腫瘍学会がん薬物療法専門医 (がん薬物療法専門医認定者名簿)、日本人類遺伝学会臨床遺伝専門医(臨床遺伝専門医名簿:東京都)として従事し、患者様の心に寄り添った診療を心がけています。

仲田洋美のプロフィールはこちら