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NIPTで陰性だったのに流産…不育症の検査は必要?原因と対策を解説


NIPT(新型出生前診断)で陰性の結果を受け、安心した矢先に流産を経験すると、大きなショックを受けるものです。特に、詳細な染色体検査を行い異常がないと確認されたにもかかわらず流産してしまった場合、「不育症の可能性があるのでは?」と不安になる方も多いでしょう。

流産にはさまざまな原因があり、NIPTでは判別できない要因も存在します。本記事では、NIPTの限界や流産の原因、不育症の可能性と検査の必要性について詳しく解説します。次の妊娠を安心して迎えるためにも、ぜひ参考にしてください。

NIPT(新型出生前診断)とは?

NIPTでわかること・わからないこと

NIPT(新型出生前診断)は、胎児のDNAを母体の血液から解析し、特定の染色体異常の有無を調べる非侵襲的な検査です。主に以下のような染色体異常を検出できます。

NIPTでわかること

  • ダウン症候群(21トリソミー) – 21番染色体が1本多いことで発生する。
  • エドワーズ症候群(18トリソミー) – 18番染色体が1本多いことで発生し、重篤な発達異常を伴う。
  • パトウ症候群(13トリソミー) – 13番染色体が1本多いことで発生し、多くの赤ちゃんが生後1年以内に亡くなる。
  • 性染色体異常 – 例としてターナー症候群(X染色体が1本のみ)、クラインフェルター症候群(XXY)など。

NIPTではわからないこと

一方で、NIPTはすべての遺伝的異常を検出できるわけではなく、以下のような限界があります。

  • 単一遺伝子疾患 – 例えば、嚢胞性線維症や筋ジストロフィーなどの遺伝子変異による疾患は通常のNIPTでは検出できない。
  • 微細欠失・重複症候群 – 例えば、1p36欠失症候群や22q11.2欠失症候群(ディジョージ症候群)など、小さな染色体の欠失・重複は一般的なNIPTでは判別が難しい。
  • 胎児の構造的異常 – 例えば、心臓の先天性異常や神経管閉鎖障害などは超音波検査で診断する必要がある。
  • 母体や胎盤の影響 – 母体の血液中には胎盤由来のDNAが含まれるため、胎児のDNAとは異なる結果が出る可能性がある。

ミネルバクリニックのNIPTの特徴

ミネルバクリニックでは、一部の単一遺伝子疾患や微細欠失症候群を検出できる高度なNIPTを提供しています。通常のNIPTでは対応できない遺伝的異常についても、より詳しい診断を希望する場合は検討する価値があります。

このように、NIPTは特定の染色体異常に関して高い精度を誇るものの、すべての先天的な異常を網羅するものではありません。検査結果が陰性であっても、他の要因による流産の可能性は残されているため、状況に応じてさらなる検査や医師との相談が必要になります。

NIPTの精度と限界

NIPTは、従来の出生前診断と比較して高い精度を誇る検査方法です。特に、21トリソミー(ダウン症候群)、18トリソミー(エドワーズ症候群)、13トリソミー(パトウ症候群)といった染色体異常の検出率は99%以上と報告されています。しかし、NIPTにも限界があり、流産の原因となるすべての異常を検出できるわけではありません。

NIPTの精度

NIPTの精度は以下の要因によって影響を受けます。

  • 検査対象の染色体異常 – 主要なトリソミー(21、18、13番染色体)に対しては高い検出率を誇りますが、他の染色体異常については精度が異なる場合があります。
  • 母体の年齢 – 高齢妊娠では染色体異常のリスクが高いため、NIPTの有効性が高まる傾向があります。
  • 胎児DNAの割合(ff値) – 母体の血液中に含まれる胎児DNAの割合(ff値:fetal fraction)が低い場合、検査の精度が低下する可能性があります。
  • 検査方法 – 使用する解析技術や検査機関によって、精度や対応できる遺伝的異常の範囲が異なります。

NIPTの限界

一方で、NIPTには以下のような限界があります。

  • 特定の染色体異常に限定 – NIPTは主にトリソミーの検出に特化しており、すべての遺伝的異常を網羅するわけではありません。
  • 偽陽性・偽陰性の可能性 – NIPTの精度は高いものの、100%の確実性はなく、偽陽性(異常がないのに陽性と判定される)や偽陰性(異常があるのに陰性と判定される)となる可能性もあります。
  • 胎盤由来DNAの影響 – NIPTは胎盤のDNAを分析するため、胎児自体のDNAとは異なる結果が出る場合があります。そのため、確定診断には羊水検査や絨毛検査が必要となることがあります。
  • 流産のリスク評価はできない – NIPTはあくまで染色体異常を調べる検査であり、胎児の健康状態や流産のリスクを直接評価するものではありません。

このように、NIPTは高精度な検査であるものの、限界もあるため、結果の解釈には慎重さが求められます。検査結果が陰性であっても、すべての異常を否定できるわけではないため、必要に応じて追加の検査や専門医の診察を受けることが大切です。

NIPTで陰性だったのに流産することはある?

流産の主な原因とは

流産は妊娠初期(~12週)から中期(13~22週)にかけて発生することがあり、その原因は多岐にわたります。最も一般的な原因は胎児の染色体異常ですが、母体の健康状態やホルモンバランス、子宮の形態異常なども関与することがあります。ここでは、流産の主な原因について詳しく解説します。

1. 染色体異常

流産の約50~70%は胎児の染色体異常が原因とされています。染色体異常は受精時に偶発的に発生することが多く、以下のような異常が考えられます。

  • 数的異常: 21トリソミー(ダウン症候群)、18トリソミー(エドワーズ症候群)、13トリソミー(パトウ症候群)など。
  • 構造的異常: 染色体の一部が欠失、重複、転座することで胎児の発育に影響を及ぼす。
  • モザイク異常: 一部の細胞のみが染色体異常を持つケースで、異常の程度によって流産のリスクが異なる。

これらの染色体異常は偶発的に起こるため、妊娠を繰り返すことで正常な胎児が育つ可能性もあります。

2. ホルモンバランスの乱れ

妊娠の維持には適切なホルモンバランスが不可欠です。ホルモンの異常があると、胎盤の発達や子宮内膜の維持が難しくなり、流産のリスクが高まります。主なホルモン異常には以下のようなものがあります。

  • 黄体機能不全: 妊娠初期に黄体ホルモン(プロゲステロン)が十分に分泌されないと、子宮内膜がうまく維持されず流産の原因となる。
  • 甲状腺機能異常: 甲状腺ホルモンの異常(甲状腺機能低下症・亢進症)は、胎盤の形成や胎児の発育に影響を及ぼし、流産のリスクを高める。
  • 糖尿病: 血糖コントロールが不十分な場合、胎盤の血流が悪化し胎児の成長が阻害されることがある。

3. 子宮の形態異常

子宮の形状や構造に異常があると、胎児が正常に成長できず流産につながることがあります。主な子宮の形態異常には以下のようなものがあります。

  • 中隔子宮: 子宮内に隔壁(中隔)があることで胎児の成長が制限される。
  • 双角子宮: 子宮が左右に分かれている形状で、着床しにくく流産のリスクが高まる。
  • 子宮筋腫: 子宮筋層にできる良性の腫瘍で、大きさや位置によっては胎児の成長を妨げることがある。
  • 子宮腔癒着症(アッシャーマン症候群): 過去の手術や感染症により子宮内に癒着が生じ、胎児の発育環境が悪化する。

4. 免疫異常

母体の免疫システムが正常に働かない場合、胎児を異物と認識して排除しようとすることがあります。代表的な免疫異常としては以下のものがあります。

  • 抗リン脂質抗体症候群(APS): 血栓ができやすくなり、胎盤の血流が阻害され流産の原因となる。
  • 自己免疫疾患: 全身性エリテマトーデス(SLE)や橋本病などが妊娠継続に影響を及ぼすことがある。

5. 感染症

特定の感染症にかかると、胎児の発育に悪影響を及ぼし流産につながることがあります。主な感染症には以下のものがあります。

  • 風疹: 妊娠初期に感染すると胎児に重篤な影響を及ぼす。
  • トキソプラズマ症: 未加熱の肉や猫の糞を介して感染し、胎児に障害をもたらす可能性がある。
  • サイトメガロウイルス(CMV): 胎盤を通じて胎児に感染し、発育異常を引き起こす。

6. 生活習慣や環境要因

生活習慣や環境要因も流産のリスクに関与することがあります。

  • 喫煙: ニコチンが胎盤の血流を悪化させ、胎児の成長を妨げる。
  • 過度な飲酒: アルコールは胎児の発育に悪影響を及ぼし、流産や先天異常のリスクを高める。
  • 過剰なカフェイン摂取: 1日200mg以上のカフェイン摂取は流産のリスクを上昇させる可能性がある。
  • ストレス: 強いストレスはホルモンバランスを崩し、妊娠の維持に影響を与えることがある。
  • 過度な運動や体重管理の問題: 急激な体重減少や極端な運動は、ホルモンバランスを乱し流産のリスクを高める。

流産を防ぐためにできること

流産のリスクを減らすためには、以下の対策が有効です。

  • バランスの取れた食事を心がける。
  • 適度な運動を行い、適正な体重を維持する。
  • ストレスを適切に管理する。
  • 感染症予防のためにワクチン接種や衛生管理を徹底する。
  • 喫煙・飲酒・過剰なカフェイン摂取を控える。

流産にはさまざまな原因があり、すべてを防ぐことは難しいですが、適切な健康管理を行うことでリスクを低減できる可能性があります。流産を繰り返す場合は、不育症の検査を受けることも検討するとよいでしょう。

NIPTで異常がない場合でも流産する理由

NIPTは特定の染色体異常を検出する検査であり、胎盤の異常や母体要因による流産は防げません。

不育症とは?どのような検査を受けるべき?

不育症の定義と診断基準

不育症とは、妊娠は成立するものの、流産や死産を繰り返してしまい、結果的に生児を得ることができない状態を指します。流産は偶発的に発生することがあるため、何度かの妊娠損失を経験した後に初めて不育症と診断されることが一般的です。

不育症の定義

不育症の定義にはいくつかの基準がありますが、一般的には以下のいずれかに該当する場合、不育症として検査や治療の対象となります。

  • 2回以上の臨床的に確認された妊娠損失: 超音波検査や病理検査によって確認された妊娠が2回以上流産または死産に至った場合。
  • 3回以上の連続した妊娠損失: 妊娠が成立しても、連続して3回以上流産や死産を経験した場合。
  • 着床不全の繰り返し: 体外受精(IVF)を含め、複数回の妊娠試みが成功しない場合も、不育症の一種とみなされることがある。

不育症の診断基準

不育症の診断には、妊娠損失の回数や時期だけでなく、母体や胎児の要因を総合的に評価する必要があります。以下の基準をもとに診断が行われます。

  • 妊娠損失の回数: 2回以上の流産があれば検査を考慮し、3回以上の流産がある場合は本格的な診断が推奨される。
  • 妊娠損失の時期: 妊娠初期(12週未満)に繰り返し流産が発生する場合と、妊娠中期(13週以降)に流産や死産を経験する場合では、考えられる原因が異なるため、詳しい検査が必要となる。
  • 妊娠の詳細情報: 流産の際に胎児の心拍が確認されていたか、染色体異常があったかどうかなどの情報を基に診断が進められる。
  • 母体の健康状態: 内分泌異常(甲状腺機能低下症、高プロラクチン血症)、自己免疫疾患(抗リン脂質抗体症候群)、血栓症の有無などを検査する。
  • 子宮の異常: 超音波やMRIなどの画像診断を用いて、子宮の形態異常(中隔子宮、双角子宮など)や子宮筋腫、子宮内膜の状態を評価する。

不育症の一般的な検査

不育症の診断を確定するためには、以下のような検査が行われます。

  • 染色体検査: 両親の染色体異常を調べ、流産の遺伝的要因を確認する。
  • 血液検査: 抗リン脂質抗体症候群や血液凝固異常の有無を調べる。
  • 子宮検査: 子宮の形態異常や癒着を評価するために、子宮鏡検査やMRI、超音波検査を行う。
  • ホルモン検査: 黄体ホルモン(プロゲステロン)、甲状腺ホルモン(TSH, T4)、糖尿病に関係するホルモン(HbA1c, インスリン抵抗性)をチェックする。

不育症の原因は多岐にわたるため、すべてのケースで特定の診断がつくわけではありません。しかし、適切な検査を受けることで、妊娠継続の可能性を高める治療や対策を講じることが可能です。流産を繰り返している場合は、早めに専門医の診察を受けることが大切です。

不育症の主な原因

不育症の原因は多岐にわたり、大きく分けると子宮の異常、ホルモンバランスの異常、血液凝固異常、免疫異常の4つのカテゴリに分類されます。それぞれの要因が妊娠の継続を妨げる可能性があるため、詳しく見ていきましょう。

1. 子宮の異常

子宮の形態や機能に問題があると、胎児が正常に成長できず、流産のリスクが高まります。以下のような異常が不育症の原因となることがあります。

  • 子宮奇形: 先天的に子宮の形が異常な場合(例:中隔子宮、双角子宮)に、胎児の着床や発育に影響を及ぼす。
  • 子宮筋腫: 筋腫の位置や大きさによっては、胎児の発育を妨げ、流産のリスクを高める。
  • 子宮内膜の異常: 子宮内膜が薄いと、受精卵がうまく着床できず妊娠が継続しにくくなる。
  • 子宮腔癒着症(アッシャーマン症候群): 過去の流産手術や感染症によって子宮内膜が癒着し、胎児の発育環境が悪化する。

2. ホルモンバランスの異常

妊娠の維持には、ホルモンの適切な分泌が不可欠です。以下のようなホルモン異常が流産の原因となることがあります。

  • 黄体機能不全: 妊娠初期に必要なプロゲステロンの分泌が不足すると、子宮内膜が維持されず流産のリスクが高まる。
  • 甲状腺機能異常: 甲状腺ホルモンの分泌異常(甲状腺機能低下症・亢進症)は胎盤の形成や胎児の成長に悪影響を及ぼす。
  • 高プロラクチン血症: プロラクチンの過剰分泌により排卵が抑制されたり、黄体機能が低下することで妊娠が継続しにくくなる。
  • 糖尿病やインスリン抵抗性: 血糖値が適切にコントロールされていない場合、胎盤機能が低下し、胎児の発育が妨げられる。

3. 血液凝固異常

血液凝固異常があると、胎盤の血流が阻害され、胎児に十分な酸素や栄養が供給されなくなります。その結果、流産や胎児発育不全が起こる可能性があります。

  • 抗リン脂質抗体症候群(APS): 血栓ができやすくなり、胎盤の血流を低下させることで流産のリスクを高める。
  • 遺伝性血栓症(プロテインC/S欠乏症など): 血液が固まりやすくなる遺伝的な疾患で、胎盤の血流に影響を与える可能性がある。

4. 免疫異常

母体の免疫システムが正常に機能しない場合、胎児を異物と認識し、攻撃してしまうことがあります。これにより、流産が引き起こされることがあります。

  • 自己免疫疾患: 全身性エリテマトーデス(SLE)、橋本病などの自己免疫疾患が胎盤機能に影響を及ぼすことがある。
  • 免疫の過剰反応: 母体が胎児を異物と認識し、拒絶反応を引き起こす可能性がある。

不育症の原因は一つではなく、複数の要因が重なっている場合もあります。そのため、適切な検査を受けることで、原因を特定し、流産を防ぐための治療や対策を講じることが重要です。

不育症の検査内容

不育症の診断を確定し、適切な治療を行うためには、さまざまな検査が必要になります。不育症の原因は多岐にわたるため、血液検査や子宮形態の検査などを組み合わせて総合的に評価します。ここでは、不育症の主な検査内容について詳しく説明します。

1. 血液検査

血液検査では、ホルモンの状態、血液凝固異常、免疫系の異常などを調べます。

  • ホルモン検査: 黄体ホルモン(プロゲステロン)、甲状腺ホルモン(TSH、T4)、高プロラクチン血症の有無を確認。
  • 血液凝固異常検査: 抗リン脂質抗体症候群(APS)や遺伝性血栓症(プロテインC/S欠乏症、アンチトロンビン欠乏症)などを調べる。
  • 染色体検査: 両親の染色体異常(転座など)を調べ、遺伝的要因の有無を確認する。
  • 自己免疫検査: 全身性エリテマトーデス(SLE)や橋本病など、免疫疾患の有無を調べる。

2. 子宮形態の検査

子宮の構造や異常を確認するために、以下の検査が行われます。

  • 経腟超音波検査: 子宮筋腫やポリープ、中隔子宮の有無を評価。
  • 子宮鏡検査: 子宮内の異常(子宮腔癒着症、子宮内膜の異常)を直接観察する。
  • 子宮卵管造影検査(HSG): 卵管の通過性や子宮の形態異常を確認するためにX線を使用。
  • MRI検査: 子宮奇形の詳細な評価や、子宮内膜症の有無を確認する。

3. 胎児や流産組織の検査

過去の流産で得られた胎児や流産組織を検査することで、流産の原因を特定できる場合があります。

  • 流産組織の染色体検査: 胎児の染色体異常(トリソミー、モノソミーなど)を確認。
  • 病理検査: 流産組織の病理学的評価を行い、胎盤機能の異常や感染の有無を確認。

4. 免疫学的検査

母体の免疫系が正常に機能しているかを調べるために、以下の検査が行われます。

  • 抗リン脂質抗体検査: 免疫異常による血栓形成のリスクを調査。
  • NK細胞活性検査: 免疫細胞の異常な活性化が流産の原因になっていないかを評価。

5. 精子検査(必要に応じて)

近年の研究では、男性側の要因が流産のリスクに関与する可能性も指摘されています。必要に応じて以下の検査が行われます。

  • 精液検査: 精子の運動性や数を評価。
  • 精子DNA断片化検査: 精子のDNA損傷が流産の原因になっていないかを調べる。

不育症検査の重要性

不育症の検査を受けることで、流産の原因を特定し、適切な治療を行うことができます。特に、2回以上の流産を経験している場合は、専門医に相談し、必要な検査を受けることが推奨されます。

不育症の検査を受けるべきケースとは?

流産は比較的一般的に起こるものですが、一定の条件に当てはまる場合、不育症の可能性を考慮し、検査を受けることが推奨されます。特に、流産を繰り返す場合や、特定のリスク要因がある場合は、早めの診断と対策が重要です。

流産を繰り返す場合の目安

一般的に、以下の条件に当てはまる場合、不育症の検査を受けることが推奨されます。

  • 2回以上の連続した流産を経験している場合。
  • 妊娠12週未満の早期流産を繰り返している場合。
  • 妊娠12週以降の中期流産や死産を経験したことがある場合。
  • 過去に流産の経験があり、その原因が特定されていない場合。

複数回の流産を経験した場合、偶発的なものではなく、何らかの医学的要因が関与している可能性があるため、専門医の診察を受けることが大切です。

一度の流産でも検査を考慮すべきケース

通常、1回の流産では不育症の検査は推奨されませんが、以下のようなリスク要因がある場合は、早めの検査を検討することが望ましいとされています。

  • 妊婦の年齢が35歳以上の場合: 高齢妊娠では染色体異常のリスクが高まり、流産の可能性が増すため、早めの検査が推奨される。
  • 流産の原因が不明な場合: 超音波検査や病理検査でも明確な原因が特定されず、偶発的な流産と判断できないケース。
  • 過去の妊娠で胎児の異常が認められた場合: 染色体異常や胎盤異常が過去の妊娠で確認された場合、再発リスクを考慮して検査を行う。
  • 子宮の異常が指摘されている場合: 先天的な子宮奇形(中隔子宮など)や子宮筋腫、子宮内膜の異常がある場合。
  • ホルモンバランスの乱れがある場合: 甲状腺機能異常、高プロラクチン血症、黄体機能不全などが確認されている場合。
  • 血栓症や自己免疫疾患の既往がある場合: 抗リン脂質抗体症候群(APS)やその他の自己免疫疾患が流産の原因となる可能性があるため、事前に検査を受けることでリスクを軽減できる。

流産の原因を明確にすることは、次の妊娠を安全に継続するための重要なステップです。不育症の検査は、適切な治療や管理を行うための第一歩となります。流産を経験した場合や不安を感じる場合は、早めに専門医へ相談しましょう。

不育症と診断された場合の治療法・対策

不育症と診断された場合、その原因に応じた治療法を選択することで、次回の妊娠の成功率を高めることができます。主に、薬物療法、生活習慣の見直し、専門医のサポートを受けることが重要です。

薬物療法

不育症の原因が血液凝固異常や免疫異常に関連している場合、以下の薬物療法が行われます。

  • アスピリン療法: 低用量アスピリン(LDA)は、血小板の凝集を抑え、胎盤の血流を改善する効果があります。特に抗リン脂質抗体症候群(APS)や血栓症のリスクがある場合に推奨されます。
  • ヘパリン療法: 低分子ヘパリン(LMWH)は、血液の凝固を抑え、胎盤の血流を維持するために使用されます。アスピリンと併用されることが多いです。
  • ホルモン補充療法: 黄体ホルモン(プロゲステロン)を補充することで、子宮内膜を安定させ、妊娠を維持しやすくします。
  • 甲状腺ホルモン療法: 甲状腺機能異常がある場合は、適切なホルモン補充を行い、胎児の発育環境を整えます。
  • 免疫抑制療法: 免疫異常が原因の場合、ステロイドや免疫グロブリン療法が行われることがあります。

生活習慣の見直し

健康的な生活習慣を維持することで、妊娠の継続率を向上させることができます。

  • バランスの取れた食事: 鉄分、葉酸、ビタミンD、オメガ3脂肪酸を積極的に摂取し、妊娠に適した体調を整える。
  • 適度な運動: 軽いウォーキングやヨガなどの運動を行うことで、血流を改善し、妊娠を維持しやすくする。
  • ストレス管理: 強いストレスはホルモンバランスに悪影響を与えるため、リラックスできる時間を持つことが重要。
  • 禁煙・節酒: 喫煙や過度なアルコール摂取は流産のリスクを高めるため、妊娠前から控えることが推奨される。
  • カフェインの摂取制限: 1日200mg以下のカフェイン摂取に抑えることで、流産のリスクを低減できる。

専門医の相談とサポート体制

不育症の治療は個々のケースによって異なるため、専門医の診断を受け、適切な治療計画を立てることが重要です。

  • 不育症専門医の診察: 不育症外来を受診し、原因の特定と最適な治療方針を決定する。
  • カウンセリングの活用: 精神的な負担を軽減し、不安を和らげるためにカウンセリングを受けることが推奨される。
  • 定期的な経過観察: 妊娠が成立した後も、定期的な診察を受けることで、妊娠の経過を適切に管理できる。

不育症の診断を受けた場合でも、適切な治療を受けることで、妊娠を成功させる可能性は十分にあります。流産を繰り返している方は、専門医に相談し、最適な治療を受けることを検討しましょう。

まとめ – NIPT陰性でも流産したら不育症検査を考えよう

早めの検査が安心につながる

流産を繰り返す場合は早めに不育症の検査を受けることで、次の妊娠の成功率を上げることができます。

専門医と相談しながら次の妊娠に備える

不育症の治療や対策を講じることで、次の妊娠をより安全に進めることができます。

まとめ – NIPT陰性でも流産したら不育症検査を考えよう

NIPTで異常がないと診断されても、流産のリスクが完全になくなるわけではありません。流産には染色体異常以外にもさまざまな原因があり、不育症の可能性も考えられます。流産を繰り返している場合や原因が不明な場合は、不育症の検査を受けることで、次の妊娠に向けた適切な対策を取ることができます。

早めの検査が安心につながる

流産は偶発的に発生することもありますが、2回以上繰り返す場合は、不育症の可能性を考慮し、早めに検査を受けることが重要です。不育症の検査を受けることで、流産の原因を特定し、適切な治療や管理を行うことができます。特に、以下のような場合は早めの検査が推奨されます。

  • 2回以上の流産を経験している
  • 35歳以上で流産を経験した
  • 流産の原因が不明である
  • 過去の妊娠で胎児の異常が確認された
  • 自己免疫疾患や血液凝固異常の既往がある

早めの検査を受けることで、必要な治療を開始でき、次の妊娠の成功率を高めることができます。

専門医と相談しながら次の妊娠に備える

不育症の治療や対策は個々の状況によって異なるため、専門医の診察を受けることが大切です。不育症外来では、血液検査や子宮の形態検査などを通じて流産の原因を特定し、以下のような治療法を提案することができます。

  • 血液凝固異常が原因の場合:アスピリン療法やヘパリン療法
  • ホルモン異常が関与する場合:プロゲステロン補充療法
  • 子宮の形態異常が影響する場合:子宮形成手術
  • 免疫異常が疑われる場合:免疫抑制療法やステロイド療法

また、生活習慣の見直しやストレス管理も妊娠の継続に重要な要素となります。禁煙や適度な運動、バランスの取れた食事を心がけ、妊娠しやすい環境を整えましょう。

流産を経験すると、不安や悲しみに悩まされることが多いですが、適切な検査と治療を受けることで、次の妊娠の可能性を高めることができます。不育症の可能性が気になる場合は、早めに専門医に相談し、最適な対策を講じましょう。

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プロフィール

この記事の筆者:仲田洋美(医師)

ミネルバクリニック院長・仲田洋美は、日本内科学会認定総合内科専門医、日本臨床腫瘍学会認定がん薬物療法専門医 、日本人類遺伝学会認定臨床遺伝専門医として従事し、患者様の心に寄り添った診療を心がけています。

仲田洋美のプロフィールはこちら

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