InstagramInstagram

頭蓋骨癒合症候群をNIPTで調べることはできる?検査可能な疾患と限界を医師が解説

頭蓋骨癒合症候群をNIPTで調べることはできる?検査可能な疾患と限界を医師が解説

この記事のポイント
  • 従来のNIPTでは頭蓋骨癒合症候群は検査できませんでした
  • ミネルバクリニックでは単一遺伝子検査で原因遺伝子の検査が可能
  • FGFR1、FGFR2、TWIST1など主要な原因遺伝子を網羅
  • 超音波検査との組み合わせでより確実な診断が可能
  • 専門医による遺伝カウンセリングが重要

頭蓋骨癒合症候群について「NIPTで検査できるの?」という疑問をお持ちの妊娠中の方は少なくありません。結論から申し上げると、従来の標準的なNIPTでは頭蓋骨癒合症候群を検査することはできませんでしたが、ミネルバクリニックでは単一遺伝子検査技術により、頭蓋骨癒合症候群の原因となる複数の遺伝子を検査することが可能です。このページでは、頭蓋骨癒合症候群とNIPTの関係性について詳しく解説いたします。

頭蓋骨癒合症候群とは

頭蓋骨癒合症候群(頭蓋骨縫合早期癒合症)は、通常であれば段階的に癒合する頭蓋骨の縫合線が、胎児期または乳児期に早期に結合してしまう疾患です。

頭蓋骨の仕組み

赤ちゃんの頭蓋骨は複数の骨片に分かれており、縫合線という継ぎ目で結ばれています。これにより、脳の成長に合わせて頭蓋骨が拡大できるようになっています。通常、これらの縫合線は生後数年から十数年かけて徐々に癒合していきます。

症候群性と非症候群性の分類

頭蓋骨癒合症候群は大きく2つに分類されます:

分類 特徴 頻度 遺伝的要因
非症候群性 頭蓋骨の変形のみ 約60% 多くは偶発的
症候群性 顔面や四肢の異常を伴う 約40% 遺伝子変異が原因

主な症候群性頭蓋骨癒合症候群

クルーゾン症候群

  • FGFR2遺伝子の変異が原因
  • 頭蓋変形と眼球突出が特徴
  • 発症頻度:約60,000人に1人

アペール症候群

  • FGFR2遺伝子の変異が原因
  • 手足の合指症を伴う
  • 発症頻度:約15万人に1人

セートレ・ヒョッツェン症候群

  • TWIST遺伝子の変異が原因
  • 軽度の頭蓋変形が特徴
  • 発症頻度:約25,000〜50,000人に1人

NIPTの基本的な仕組みと対象疾患

NIPT(Non-Invasive Prenatal Testing:非侵襲的出生前遺伝学的検査)は、妊娠中の母体血液中に含まれる胎児由来のDNA断片を解析する検査です。

NIPTの検査原理

妊娠10週頃から、母体血液中に胎盤由来の胎児DNAが循環します。この胎児DNAを次世代シーケンサーで解析することで、特定の染色体異常を高精度で検出できます。

認証施設での標準的なNIPT対象疾患

現在、日本の認証施設では以下の3つの染色体異常のみが検査対象となっています:

  • 1 21トリソミー(ダウン症候群)
  • 2 18トリソミー(エドワーズ症候群)
  • 3 13トリソミー(パトウ症候群)
検査対象が限定されている理由

認証施設がNIPTの対象を3つの疾患に限定しているのは、これらの疾患について十分な検査精度が検証されているためです。その他の疾患については、まだ検査精度が十分に検証されていないため、認証施設では実施していません。

頭蓋骨癒合症候群はNIPTで検査できるのか?

標準的なNIPTでの検査可能性

従来の標準的なNIPTでは、頭蓋骨癒合症候群を直接検査することはできませんでした。

その理由は以下の通りです:

1
遺伝子変異の種類

頭蓋骨癒合症候群の多くは単一遺伝子変異が原因であり、染色体数の異常ではない

2
検出技術の限界

従来のNIPTは主に染色体数の異常(トリソミーなど)を検出する技術

3
検査精度の検証不足

多くの施設では頭蓋骨癒合症候群に対する十分な臨床データが蓄積されていない

ミネルバクリニックでの単一遺伝子検査

ミネルバクリニックでは、従来のNIPTでは検査できなかった単一遺伝子疾患について、頭蓋骨癒合症候群の原因となる主要な遺伝子を検査することが可能です。

検査可能な頭蓋骨癒合症候群関連遺伝子
  • FGFR1:ファイファー症候群の一部
  • FGFR2:クルーゾン症候群、アペール症候群、ファイファー症候群
  • FGFR3:一部の頭蓋骨癒合症候群
  • TWIST1:セートレ・ヒョッツェン症候群
  • ERF:頭蓋骨癒合症候群4型
  • TCF12:コロナル頭蓋縫合早期癒合症3型

当院では56種類の遺伝子について、30種類以上の単一遺伝子疾患を検査することができ、その中には複数の頭蓋骨癒合症候群の原因遺伝子が含まれています。

頭蓋骨癒合症候群の出生前診断方法

超音波検査による診断

現在、頭蓋骨癒合症候群の出生前診断で最も有効なのは精密超音波検査です:

  • 診断時期:妊娠20週頃から
  • 検査内容:頭蓋骨の形状、脳の発達状況の評価
  • 限界:軽症例では診断が困難な場合がある

確定診断方法

家族歴がある場合に限り、以下の検査が可能です:

検査方法 実施時期 検査内容 リスク
絨毛検査 妊娠10-13週 遺伝子解析 流産リスク約1/200
羊水検査 妊娠15-18週 遺伝子解析 流産リスク約1/300
家族歴がある場合の対応

両親のいずれかに頭蓋骨癒合症候群の既往がある場合、遺伝カウンセリングを受けた上で確定的検査を検討することができます。ただし、これらの検査には一定のリスクが伴うため、十分な検討が必要です。

ミネルバクリニックでのNIPT検査

ミネルバクリニックでは、最新のNIPT技術と専門的な遺伝カウンセリングを提供しています:

ミネルバクリニックの特徴

ミネルバクリニックで検査可能な単一遺伝子疾患

当院では56種類の遺伝子について、30種類以上の単一遺伝子疾患を検査することができます。頭蓋骨癒合症候群に関連する遺伝子も複数含まれており、従来のNIPTでは検査できなかった疾患についても高精度な検査が可能です。

  • COATE法採用:従来検査の陽性的中率70%台から99.9%へと飛躍的に向上
  • 単一遺伝子検査対応:56種類の遺伝子、30種類以上の疾患を検査可能
  • 臨床遺伝専門医常駐:専門医による丁寧な遺伝カウンセリング
  • オンライン対応:全国どこからでも受検可能
  • 24時間サポート:陽性時の手厚いフォロー体制
  • 確定検査対応:2025年6月より陽性時の確定検査を自院で実施
  • 4Dエコー対応:2022年11月よりNIPT前の胎児状態確認が可能
  • 検査結果保証制度:2025年1月より再検査が必要になったが流産により再検査が不可能となった場合の検査代金返金制度

検査プランについて

詳細な検査プランについては、こちらのページをご参照ください。

NIPT(新型出生前診断)
最新COATE法採用

ミネルバクリニックでは、最先端のCOATE法を用いた高精度なNIPT検査を提供。従来よりも精度が向上し、より早期(妊娠6週から)の検査が可能になりました。


NIPT検査について詳しく見る

ご予約・受診のご案内
オンライン予約可能

ミネルバクリニックでは、NIPT検査のオンライン予約を受付中。初診の方も安心してご利用いただけます。検査当日の流れや必要な準備についてもご案内。


予約サイトへ進む

遺伝カウンセリング
専門家によるサポート

検査前後の不安やご質問にお答えする遺伝カウンセリングを実施。専門の臨床遺伝専門医が、検査の内容や結果の解釈についてわかりやすくご説明します。


お問い合わせはこちら

よくある質問(FAQ)

Q. NIPTで頭蓋骨癒合症候群は確実に分かりますか?
A. ミネルバクリニックでは、単一遺伝子検査技術により、頭蓋骨癒合症候群の原因となる主要な遺伝子(FGFR1、FGFR2、FGFR3、TWIST1、ERF、TCF12など)を検査することが可能です。ただし、すべての頭蓋骨癒合症候群が遺伝子変異によるものではないため、検査で異常が見つからない場合でも発症の可能性を完全に除外することはできません。

Q. 家族に頭蓋骨癒合症候群の人がいる場合、出生前診断は可能ですか?
A. 家族歴がある場合は、遺伝カウンセリングを受けた上で絨毛検査や羊水検査による遺伝子解析が可能です。ただし、これらの検査にはわずかながら流産のリスクが伴うため、十分な検討が必要です。

Q. 超音波検査で頭蓋骨の異常は分かりますか?
A. 精密超音波検査により、妊娠20週頃から頭蓋骨の形状や脳の発達状況を評価することが可能です。ただし、軽症例では診断が困難な場合があり、すべての異常を検出できるわけではありません。

Q. 拡張NIPTで頭蓋骨癒合症候群を調べることはできますか?
A. ミネルバクリニックでは、56種類の遺伝子を対象とした単一遺伝子検査により、頭蓋骨癒合症候群の原因となる複数の遺伝子変異を検査することができます。これにより、クルーゾン症候群、アペール症候群、セートレ・ヒョッツェン症候群などの主要な症候群性頭蓋骨癒合症候群を高精度で検出することが可能です。

Q. NIPTで陰性だった場合、頭蓋骨癒合症候群の可能性はありませんか?
A. ミネルバクリニックの単一遺伝子検査で主要な原因遺伝子に変異が見つからない場合でも、まれな遺伝子変異や非遺伝性の要因による頭蓋骨癒合症候群の可能性は完全には除外できません。心配な場合は超音波検査や詳細な遺伝カウンセリングをお勧めします。

Q. ミネルバクリニックでは頭蓋骨癒合症候群に関する相談はできますか?
A. はい、当院には臨床遺伝専門医が常駐しており、頭蓋骨癒合症候群をはじめとする遺伝性疾患について専門的な遺伝カウンセリングを提供しています。オンラインでの相談も可能です。

まとめ

頭蓋骨癒合症候群については、ミネルバクリニックの最新の単一遺伝子検査技術により検査が可能になりました。以下の点を理解しておくことが重要です:

  • 従来のNIPTは主に染色体数の異常を検査する技術
  • ミネルバクリニックでは頭蓋骨癒合症候群の原因遺伝子を検査可能
  • FGFR1、FGFR2、FGFR3、TWIST1などの主要な原因遺伝子を網羅
  • 家族歴がない場合でも検査を受けることが可能
  • 精密超音波検査との組み合わせでより確実な診断が可能
  • 臨床遺伝専門医による適切な遺伝カウンセリングが重要
ご相談をお待ちしています

頭蓋骨癒合症候群やその他の遺伝性疾患についてご心配がある方は、ぜひ一度ミネルバクリニックにご相談ください。臨床遺伝専門医が、お一人お一人の状況に応じた適切なアドバイスを提供いたします。

参考文献

  1. 日本形成外科学会. 頭蓋縫合早期癒合症について. jsprs.or.jp/general/disease/umaretsuki/atama/sokiyugo.html
  2. 難病情報センター. クルーゾン症候群(指定難病181). www.nanbyou.or.jp/entry/4673
  3. 難病情報センター. アペール症候群(指定難病182). www.nanbyou.or.jp/entry/4679
  4. 出生前検査認証制度等運営委員会. NIPT(非侵襲性出生前遺伝学的検査)とは. jams-prenatal.jp/testing/nipt/
  5. 日本頭蓋顎顔面外科学会. 頭蓋骨縫合早期癒合症について. jscmfs.org/general/disease01.html
  6. J Obstet Gynaecol Res. 2021;47:3437-3446. NIPTコンソーシアムの実測データ
NIPTと遺伝カウンセリングのご相談はミネルバクリニックへ

ミネルバクリニックでは、NIPT(新型出生前診断)を専門に提供しています。検査前後の遺伝カウンセリングでは、検査の内容や意味、結果の解釈について詳しくご説明します。不安やご質問があれば、専門医にご相談ください。

お問い合わせはこちら



プロフィール

この記事の筆者:仲田 洋美(臨床遺伝専門医)

ミネルバクリニック院長・仲田洋美は、1995年に医師免許を取得して以来、のべ10万人以上のご家族を支え、「科学的根拠と温かなケア」を両立させる診療で信頼を得てきました。『医療は科学であると同時に、深い人間理解のアートである』という信念のもと、日本内科学会認定総合内科専門医、日本臨床腫瘍学会認定がん薬物療法専門医、日本人類遺伝学会認定臨床遺伝専門医としての専門性を活かし、科学的エビデンスを重視したうえで、患者様の不安に寄り添い、希望の灯をともす医療を目指しています。


仲田洋美の詳細プロフィールはこちら

関連記事