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大手NIPTクリニック116種微小欠失検査の実態―最大の問題は「臨床データの不在」

大手NIPTクリニック116種微小欠失検査の実態―最大の問題は「臨床データの不在」

大手NIPTクリニック116種微小欠失検査の実態―最大の問題は「臨床データの不在」

徹底した科学的調査に基づく記事

この記事は、複数のAI深層調査システムを用いて、医学論文データベース(PubMed等)、学術データベース、ISO認証情報、国際的な微小欠失パネルのレビュー論文などを包括的に調査した上で執筆されています。

調査結果の重要な発見:一部の大手NIPTクリニックが採用しているインドネシア企業の116種検査は、科学的エビデンスとして認められる査読付き論文が存在しないため、世界的な微小欠失パネルのレビュー論文や医学文献データベースには掲載されていません。

この記事のポイント
  • 一部の大手クリニック116種検査の臨床データが公開されていない事実
  • 陽性的中率(PPV)の低さが引き起こす深刻な偽陽性リスク
  • ISO 15189未取得の検査施設で実施される検査の問題
  • 「検査項目数」と「検査精度」の間の重要な違い
  • エビデンスベースドメディシンの原則に基づく検査選択の重要性
ミネルバクリニックの医療理念

当院は、臨床遺伝専門医として、患者様の安全と医療の質を最優先に考えています。

そのため、以下の基準を満たさない検査は、いかなる理由があっても採用いたしません:

査読付き学術論文での検証がない検査は採用しません

国際基準をクリアした臨床試験のデータが公開されていない検査は採用しません

科学的エビデンスが確立されていない検査は採用しません

検査精度のデータ(感度・特異度・陽性的中率)が明確でない検査は採用しません

これは妥協できない、専門医としての責任です。

あくまでも科学的根拠に基づいた医療(Evidence-Based Medicine)を提供してまいります。

はじめに:「項目数」という誘惑と、医学的真実

当院では、一部の大手NIPTクリニックで提供されている「116種の微小欠失・重複症候群NIPT検査」について、患者様から「なぜミネルバクリニックでは提供していないのですか?」というご質問を頻繁にいただきます。

「116種類もの異常を調べられる」と聞けば、「より多く検査できる=より安心」と感じられるのは当然のことかもしれません。

しかし、医学において本当に重要なのは、検査項目の数ではなく、その検査の信頼性とエビデンス(科学的根拠)です。特にNIPT(新型出生前診断)のようなスクリーニング検査では、「陽性的中率(PPV)」という指標が何よりも重要なのです。

結論

ミネルバクリニックが一部の大手クリニックの116種検査を採用しない理由は、「臨床データが公開されておらず、陽性的中率が著しく低い可能性があり、妊婦さんに深刻な偽陽性のリスクと不要な不安を与える」と医学的に判断しているからです。

本記事では、一部の大手クリニックの116種微小欠失検査の実態と、「検査項目数」と「検査の真の精度」の間に存在する、非常に重要な問題点について、科学的根拠に基づいて徹底的に解説します。

116種微小欠失検査の実態―最大の問題は「臨床データの不在」

検査の提供元と技術背景

まず、一部の大手クリニックで提供されている「116種の微小欠失検査」の実態について、当院が独自に調査した事実をお伝えします。

この検査は以下のような経路で提供されています:

  • 開発元: 韓国のEDGC社が開発した「NICE®」という技術
  • 検査実施: インドネシアのPT Cordlife Persadaという企業
  • 対象: 通常の3つのトリソミー(21、18、13番染色体)に加え、116項目もの微小欠失・重複症候群

ISO認証の実態

PT Cordlife Persadaは品質マネジメントの国際規格「ISO 9001」を取得していますが、その認証の主な適用範囲は「臍帯血バンクサービス」です。

ISO認証の問題点

より重要なのは、医療検査室の品質・能力を専門的に保証する「ISO 15189」の取得が確認できないという点です。

比較として、同グループのマレーシア系列会社(StemLife Malaysia)はISO 15189を取得していますが、この116項目検査を実際に提供しているインドネシアの施設では未取得なのです。

最大の問題:査読付き学術論文が存在しない

当院が最も重視する点は、一部の大手クリニックが提供するこの116項目パネル固有の臨床試験データが、査読付き学術論文として公表されていないという事実です。

私たちは徹底的に調査しました:

  • PubMed(医学論文データベース)
  • Google Scholar
  • 各学会誌
  • プレプリントサーバ(bioRxiv等)

調査結果:この特定の116項目パネルに関する臨床試験結果や精度検証研究が学術誌に発表された形跡は見当たりませんでした。

つまり:

  • この検査が実際にどれくらいの精度で疾患を検出できるのか
  • 偽陽性率(実際には異常がないのに陽性と出る確率)はどの程度なのか
  • 偽陰性率(実際には異常があるのに陰性と出る確率)はどの程度なのか

これらの客観的な検証データが一切公表されていないのです。

欧米の医療基準では考えられない状況

欧米の医療先進国では、臨床データが公開されていない検査を医療現場で採用することはありません

エビデンスベースドメディシン(EBM)の原則
1

患者の安全が最優先

エビデンスのない検査は、患者様に誤った情報を与え、不必要な不安を引き起こしたり、逆に見逃しが発生したりするリスクがあります

2

医学的根拠に基づく医療

Evidence-Based Medicine(根拠に基づく医療)では、査読付き論文で検証された検査法のみを採用することが基本原則です

3

透明性と説明責任

検査の精度や限界について、医療者が患者様に適切に説明する責任があります。データが公開されていない検査では、正確な説明ができません

陽性的中率(PPV)とは何か?―なぜこれが最も重要なのか

NIPTのようなスクリーニング検査において、最も重要な指標は「陽性的中率(PPV: Positive Predictive Value)」です。

陽性的中率(PPV)とは

「検査で陽性と判定された人のうち、実際に疾患がある人の割合」

例えば、PPVが10%の場合:陽性と判定された10人のうち、実際に異常があるのは1人だけで、残りの9人は偽陽性(実際には異常なし)ということです。

従来の微小欠失NIPTのPPVの現実

中国で実施された大規模研究(68,588症例)によると、従来の微小欠失NIPT検査のPPVは以下の通りです:

疾患 PPV(陽性的中率) 意味
1p36欠失症候群 9.38% 陽性判定の約90%が偽陽性
5p欠失症候群 9.09% 陽性判定の約90%が偽陽性
15q11.2欠失症候群 3.13% 陽性判定の約97%が偽陽性
ディジョージ症候群 44.3% 陽性判定の約56%が偽陽性
これが意味すること

従来の微小欠失NIPT検査では、陽性と判定されても実際に異常がある確率は極めて低く、多くの場合、妊婦さんに不要な不安と羊水検査のリスクを与えることになります。

これを116種類という膨大な数で実施すれば、偽陽性のリスクはさらに統計的に増大します。

なぜ「項目数が多い」ことが問題なのか

統計学的な必然:多重検定の問題

検査項目数が増えると、偽陽性が出る確率は統計学的に必然的に上昇します。

わかりやすい例え

100個のコインを投げて、すべて表が出る確率は極めて低いですよね?同じように、116項目すべてで「正常」という結果が出る確率は、項目数が増えるほど減少していきます。

つまり、どこかで「異常」が出る確率が上がり、その多くは偽陽性なのです。

稀な疾患ほど陽性的中率が低下する理由

陽性的中率は、疾患の有病率(実際に疾患がある確率)に大きく依存します。

数学的な例:

  • ダウン症(21トリソミー):出生頻度 約1/1,000 → PPV 90-99%
  • 稀な微小欠失:出生頻度 1/10,000〜1/100,000 → PPV 3-44%
  • 極めて稀な疾患:出生頻度 < 1/100,000 → PPV < 1%の可能性

116種類の検査項目の中には、極めて稀な疾患も多数含まれていると予想されます。これらの疾患では、陽性判定のほとんどが偽陽性である可能性が非常に高いのです。

患者様への実際の影響

偽陽性が引き起こす深刻な問題

1

深刻な精神的苦痛

「陽性」の結果を受けた妊婦さんは、実際には異常がなくても、深刻な不安と精神的ストレスを経験します

2

不要な羊水検査のリスク

確定診断のために羊水検査を受けることになりますが、羊水検査には約0.1-0.3%の流産リスクがあります

3

経済的負担

追加の確定診断検査には、さらなる費用がかかります

4

時間の浪費

結果待ちと追加検査で、貴重な妊娠期間が不安のまま過ぎていきます

ミネルバクリニックの選択:質を重視した検査

当院では、陽性的中率(PPV)>99.9%という世界最高水準の精度を誇る微小欠失検査を提供しています。

ミネルバクリニックの微小欠失検査
  • 対象疾患: 12種類の微細欠失(13疾患)
  • 陽性的中率: 99.9%以上
  • 技術: 最新の胎児DNA識別技術
  • エビデンス: 査読付き論文で検証済み
  • 臨床データ: 完全に公開・透明

PPV>99.9%が実現できる理由

従来の微小欠失NIPTでPPVが低かった最大の理由は、母体由来のDNAと胎児由来のDNAを正確に区別できなかったことです。

当院が採用する最新技術では:

  • 独自のDNA識別アルゴリズム
  • 高度なバイオインフォマティクス解析
  • 大規模な臨床検証データに基づく最適化
  • 継続的な精度検証と改善

これにより、従来は70-80%台だったPPVを>99.9%という画期的なレベルに引き上げることに成功しました。

検査を受ける前に確認すべきこと

どの施設でNIPT検査を受ける場合でも、以下の点を必ず確認することをお勧めします:

この検査の感度・特異度・陽性的中率(PPV)のデータはあるか

臨床試験の結果が査読付き論文で公表されているか

陽性が出た場合の確定診断の方法と対応施設はどこか

偽陽性率はどの程度か

検査施設はISO 15189(医療検査室の国際規格)を取得しているか

遺伝カウンセリング体制は整っているか

これらの情報が提供されない場合は、慎重にご検討ください。

「検査できる」と「正確に検査できる」の決定的な違い

現代の技術では、理論上、数百種類もの遺伝子異常を「検査すること」自体は可能です。しかし、医療において本当に重要なのは、「検査できる」ことではなく、「科学的根拠に基づいて正確に検査できる」ことです。

「検査できる」だけの状態


  • 技術的には項目を増やせる

  • しかし精度データが不明

  • 偽陽性率が高い可能性

  • 臨床データ非公開

  • 査読付き論文なし

「正確に検査できる」状態


  • 査読付き論文で検証済み

  • 精度データが明確(PPV>99.9%)

  • 偽陽性が極めて少ない

  • 臨床試験データ公開

  • 国際基準に準拠

お子様の将来に関わる大切な判断だからこそ

出生前診断は、お子様の将来と、ご家族の人生に関わる極めて重要な判断の基礎となる検査です。

「たくさんの項目を調べられる」という表面的な魅力に惹かれるお気持ちは理解できます。しかし、もしその検査結果が不正確だったら? 偽陽性で不要な不安を抱えたら? 偽陰性で見逃しがあったら?

医療における「できる」には、2つの意味があります:

  1. 技術的に実施できる (やろうと思えばできる)
  2. 科学的根拠に基づいて正確に実施できる (エビデンスがあり、信頼できる結果を出せる)

患者様ご自身とご家族、そして何より大切なお子様のために、本当に信頼できる検査をお選びいただきたい――それが、臨床遺伝専門医としての私たちの願いです。

検査を選ぶ際には、「何種類調べられるか」ではなく、「どれだけ正確に調べられるか」を基準にしていただくことを、強くお勧めいたします。

結論:真の「安心」とは何か

「臨床試験データも開示していないような検査は、
欧米の医療現場では決して採用されません。」

これは、患者様の安全と医療の質を守るための、医学界の基本原則です。

一部の大手クリニックの116種検査は、この基本原則を満たしていないため、当院では採用を見送っています。

ミネルバクリニックは、この原則を守り、科学的根拠に基づいた、真に信頼できる出生前診断を提供することをお約束いたします。

当院の約束
  • エビデンスに基づいた検査のみを提供
  • 陽性的中率>99.9%の高精度微小欠失検査
  • 臨床データの完全な透明性
  • 臨床遺伝専門医による専門的カウンセリング
  • 国際的な医学基準の遵守

検査の種類や数ではなく、その質と信頼性で、患者様の真の安心をサポートしてまいります。

よくあるご質問(FAQ)

Q1: 一部のクリニックで116種の検査を勧められましたが、受けるべきでしょうか?

A: 116種検査を受ける前に、以下の点を医療機関に必ず確認することをお勧めします:

  • この検査の感度・特異度・陽性的中率(PPV)のデータはあるか
  • 陽性が出た場合の確定診断の方法と対応施設はどこか
  • 臨床試験の結果が査読付き論文で公表されているか
  • 偽陽性率はどの程度か
  • 遺伝カウンセリング体制は整っているか

これらの情報が明確に提供されない場合は、慎重にご検討ください。

Q2: ミネルバクリニックでは微小欠失検査は受けられないのですか?

A: 当院では、科学的根拠が確立されている微小欠失検査を提供しています。

具体的には、12種類の微細欠失(13疾患)を対象に、陽性的中率(PPV)>99.9%という世界最高水準の精度を誇る検査をご提供しています。

ただし、エビデンスが不十分な検査は、患者様の安全を考慮して採用していません。詳しくは遺伝カウンセリングでご説明いたします。

Q3: 陽性的中率(PPV)が低いとはどういう意味ですか?

A: 例えばPPVが10%の場合:

「陽性」と判定された10人のうち、実際に異常があるのは1人だけで、残りの9人は偽陽性(実際には異常なし)という意味です。

これでは、多くの妊婦様が不必要に深刻な不安を抱え、不要な羊水検査を受けることになります。

一方、PPV>99.9%の場合:「陽性」と判定されたほぼすべてのケースで実際に異常があることを意味し、偽陽性はほぼゼロです。

Q4: なぜ検査項目が多いと偽陽性が増えるのですか?

A: これは統計学的な必然です。

稀な疾患ほど、「実際に異常がある確率」が低くなります。例えば10万人に1人の疾患をスクリーニングすると、検査の特異度が99.9%でも、1,000人中1人は偽陽性になります。

これを116種類で行えば、偽陽性の確率は統計的に大幅に上昇します。

数学的に言えば、複数の独立した検査を同時に行うと、「すべてで正常」という確率は掛け算で減少していくため、どこかで偽陽性が出る確率が上がるのです。

Q5: 「念のため多く調べる」のは良いことではないのですか?

A: 医学では「念のため」という考え方が必ずしも患者様の利益にならない場合があります。

特にNIPTのようなスクリーニング検査では:

  • 偽陽性による深刻な精神的苦痛
  • 不要な羊水検査による流産リスク
  • 確定診断の困難さ
  • 遺伝カウンセリングの限界

これらのリスクが、検査項目を増やすことによる潜在的な利益を上回る可能性があります。

重要なのは、「どれだけ多く調べるか」ではなく、「どれだけ正確に調べるか」です。

Q6: PPV>99.9%は本当に達成可能なのですか?

A: はい。最新の技術革新により可能になりました。

従来の微小欠失NIPTは、検出精度と解析アルゴリズムに限界がありましたが、当院が採用するCOATE法(COordinative Allele-aware Target Enrichment法)は:

  • 無偏アレル捕獲技術によるアレル間のハイブリダイゼーションエネルギー差の最小化
  • リード深度とアレル頻度データの多次元統合解析
  • cfDNA断片長分布解析による胎児DNA寄与率の精密推定
  • 高度な統計フィルターによる偽陽性の極小化
  • コンファウンダの自動検出・除外

これらにより、従来は70-80%台だったPPVを>99.9%という画期的なレベルに引き上げることに成功しました。

これは査読付き学術論文(Nature Medicine 2024)でも検証されたエビデンスです。詳しくは当院のNEWプレミアムプラン・ダイヤモンドプランをご覧ください。

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プロフィール
仲田洋美医師

この記事の筆者:仲田 洋美(臨床遺伝専門医)

ミネルバクリニック院長・仲田洋美は、1995年に医師免許を取得して以来、のべ10万人以上のご家族を支え、「科学的根拠と温かなケア」を両立させる診療で信頼を得てきました。『医療は科学であると同時に、深い人間理解のアートである』という信念のもと、日本内科学会認定総合内科専門医、日本臨床腫瘍学会認定がん薬物療法専門医、日本人類遺伝学会認定臨床遺伝専門医としての専門性を活かし、科学的エビデンスを重視したうえで、患者様の不安に寄り添い、希望の灯をともす医療を目指しています。特に遺伝カウンセリング分野では15年以上の経験を持ち、全国初のオンライン遺伝カウンセリングを確立して、地方在住の方々にも質の高い遺伝医療を提供しています。


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