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胎児ドッグはいつからいつまで?適切な受診の時期とは

胎児ドックを受け、出生前に赤ちゃんの状態を知っておきたいと考えている方も多いのではないでしょうか?いざ受診しようと思っても、いつ検査を受けたらいいのかなど迷うこともあるでしょう。胎児ドックを受ける時期は、妊娠初期、中期、後期の3回あり、それぞれわかることも異なります。今回は、胎児ドックの受診時期とそれぞれの時期でわかることについて解説します。

胎児ドックを受ける時期

出生前診断の非確定検査のひとつである胎児ドック。
日本産婦人科学会では、胎児ドックを受ける時期と回数を下記のように提言しています。

  • ● 妊娠初期(10~13週)
  • ● 妊娠中期(18~20週)
  • ● 妊娠後期(28~31週)

それぞれの時期で、胎児ドックのチェック項目とわかることは異なります。

胎児ドックについての詳細は、「胎児ドックとは|検査時期やわかること、メリット・デメリットまで徹底解説」をご覧ください。

妊娠初期

妊娠初期とは、妊娠15週までを指します。

妊娠初期に実施できる出生前診断は、下記のものです。
<非確定的検査>
● 胎児ドック(妊娠10~13週)
超音波を使用して、赤ちゃんの形態の変化を調べる検査
● 新型出生前診断(NIPT)(妊娠10~15週が一般的ですがもっと遅い時期でも受けて大丈夫です)
母体から血液を採取し、赤ちゃんの疾患の有無を調べる検査
● コンバインド検査(妊娠11~13週)
精密超音波検査と母体から採取した血液を調べる血清マーカー検査を組み合わせた検査
● NT測定(妊娠11~13週)
NT(nuchal translucency)と呼ばれる赤ちゃんの首の後ろのむくみの厚さを測定し、疾患の有無を調べる検査
● 母体血清マーカー検査(妊娠15~18週)
母体から血液を採取し、赤ちゃんの疾患の有無を調べる検査
<確定的検査>
● 絨毛検査(妊娠10~13週)
胎盤内の絨毛細胞を採取し、赤ちゃんの疾患の有無を調べる検査
● 羊水検査(妊娠15週~18週)
羊水を採取し、赤ちゃんの疾患の有無を調べる検査

非確定的検査とは赤ちゃんに疾患がある可能性を調べる検査で、流産などのリスクがなく安全な検査です。ただし、検査結果が陽性の場合、疾患の有無を確定させるためには確定的検査を受ける必要があります。

赤ちゃんの疾病の有無を確定させる確定的検査ですが、お腹に針を刺し細胞や羊水を採取するため、多少なりとも流産などのリスクがあります。

胎児ドックのチェック項目

妊娠初期は、お腹の中の赤ちゃんが人間の形に形成されていきます。この段階で確認する胎児ドックの項目には下記のものがあります。

  • ● 全身の形態
  • ● 脳や顔の構造
  • ● 心臓の構造
  • ● 四肢の確認

このように大まかな形態や状態などをチェックします。
この段階で、NT測定やコンバインド検査を同時に実施する病院もあります。

胎児ドックでわかること

妊娠初期の胎児ドックでは下記のことがわかります。
● ダウン症候群(21トリソミー)
通常2本ある21番染色体が3本ある先天性疾患
● エドワーズ症候群(18トリソミー)
通常2本ある18番染色体が3本ある先天性疾患
● パトー症候群(13トリソミー)
通常2本ある13番染色体が3本ある先天性疾患

この時期における胎児ドックでのダウン症候群の検出率は、約80%といわれています。ただし、あくまで非確定的検査であるため、疾患の有無を確定させるには羊水検査などの確定的検査を受ける必要があります。

また、上記疾患以外にも、赤ちゃんの性別や発育状態、推定体重、羊水量、主な臓器・胎盤・臍帯などの異常の有無がわかります。

妊娠中期

妊娠中期とは、妊娠16~27週までを指します。

妊娠中期に実施できる出生前診断には、下記のものがあります。
<非確定的検査>
● 母体血清マーカー検査(妊娠15~18週)
● 胎児ドック(妊娠18~20週)
<確定的検査>
● 羊水検査(妊娠15週~18週)

妊娠中期には2回目の胎児ドックを受けることができます。妊娠初期と比較して赤ちゃんの内臓がはっきりとみえるため、詳細な検査が可能です。

また羊水検査は、妊娠初期では十分な羊水量を採取できない可能性があるため、この時期の受診が推奨されています。

胎児ドックのチェック項目

妊娠中期に胎児ドックで確認する項目には、下記のものがあります。

  • ● 大脳や小脳
  • ● 顔
  • ● 心臓
  • ● 肺
  • ● 胃腸
  • ● 肝臓
  • ● 腎臓
  • ● 外性器

大脳や小脳の形態や大きさ、脳脊髄液、眼窩と眼球、鼻骨と鼻孔、口唇と口蓋など、初期に比べ詳細に調べることができます。

胎児ドックでわかること

妊娠中期の胎児ドックでは下記のことがわかります。

  • ● ダウン症候群(21トリソミー)
  • ● エドワーズ症候群(18トリソミー)
  • ● パトー症候群(13トリソミー)

妊娠初期と同様、上記疾患以外に赤ちゃんの発育状態や推定体重、羊水量、主な臓器・胎盤・臍帯などの異常の有無もわかります。この時期の胎児ドックにおいてみつかる先天性異常の例としては、頭蓋骨内欠損(無脳症)や脊椎の変形(二分脊椎)などが挙げられ、一般的に重症であるほど発見されやすい傾向があります。

妊娠後期

妊娠後期とは、妊娠28週から生まれるまでを指します。

妊娠後期に実施できる出生前診断は、胎児ドック(妊娠28~31週)のみです。
妊娠中期と比較して、さらに詳細な検査が実施できます。また、妊娠中期には問題がなかった場合でも、赤ちゃんの発育の過程で異常が出てくることもあるため、その点についても検査します。

胎児ドックのチェック項目

妊娠後期に胎児ドックで確認する項目は妊娠中期と同様で、下記のものです。

  • ● 大脳や小脳
  • ● 顔
  • ● 心臓
  • ● 肺
  • ● 胃腸
  • ● 肝臓
  • ● 腎臓
  • ● 外性器

妊娠中期で確認した項目をさらに詳しくみていきます。異常がみつかった際は、対応可能な病院に相談したり、出生後の治療を考慮した分娩の準備をしたりすることができます。

胎児ドックでわかること

妊娠後期に胎児ドックでは妊娠中期と同様、下記のことがわかります。

  • ● ダウン症候群(21トリソミー)
  • ● エドワーズ症候群(18トリソミー)
  • ● パトー症候群(13トリソミー)
  • ● 頭蓋骨内欠損(無脳症)
  • ● 脊椎の変形(二分脊椎)

妊娠中期より詳細な検査が可能な妊娠後期の胎児ドックですが、検査には限界があります。超音波検査のため、遺伝子疾患である筋ジストロフィーなどは検出できません。また、超音波検査を実施する時点での赤ちゃんの発達などはわかりますが、出生後の発達の経過を予測することは難しいです。

加えて、赤ちゃんの向きや羊水の量などにより、正確な検査が行えない場合があることにも注意が必要です。

胎児ドックは受けるべきか

胎児ドックを受けるべきか悩んでいる妊婦さんも多いでしょう。

胎児ドックを受ける方の動機や理由としては、下記のものが挙げられます。
● 高齢出産のため、赤ちゃんの染色体異常などが心配
● 赤ちゃんの先天性異常が心配
● 前回の妊娠で赤ちゃんに異常がみつかった
● 上の子どもに病気や障害がある
● 近親者に遺伝子疾患がある
● 赤ちゃんに病気があれば早くみつけて対処してあげたい
● NIPTを受ける前に胎児ドックを受けたい

また、胎児ドックを受けない選択をした方の意見や理由は下記の通りです。
● 検査結果が100%ではない
● 精度がNIPTよりも低い
● 検査結果が陽性の場合、心理的負担が大きい
● 保険適用外のため、費用負担が大きい

胎児ドックの受診にはメリットもありますが、デメリットもあります。生まれてくる赤ちゃんとしっかりと向き合うことは大切なことです。胎児ドックの受診は、妊婦さんとそのパートナーが真剣に赤ちゃんのことを考えている証拠でもあります。

胎児ドックの受診に迷ったら、まずは妊婦さんとパートナーで話し合いの場を設けましょう。遺伝カウンセリングを受けて専門家の意見も参考にし、検査についての理解を深めてから受診するか決めることをおすすめします。

検査を受けるべきかお悩みの方は、「胎児ドック 受けるべき」記事を参考にしてください。

まとめ

妊娠初期、中期、後期と3回受けられる胎児ドックは、それぞれの時期でわかることが異なります。NT測定と組み合わせて胎児ドックを受けたい場合は妊娠初期、赤ちゃんの詳細が知りたい場合は中期、後期の受診がおすすめです。受診する際には、結果の受け止め方などについて妊婦さんとパートナーで事前にしっかりと話し合いましょう。

プロフィール

この記事の筆者:仲田洋美(医師)

ミネルバクリニック院長・仲田洋美は、日本内科学会認定総合内科専門医、日本臨床腫瘍学会認定がん薬物療法専門医 、日本人類遺伝学会認定臨床遺伝専門医として従事し、患者様の心に寄り添った診療を心がけています。

仲田洋美のプロフィールはこちら

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