目次
【NIPT体験談】陽性(7番トリソミー)でも羊水検査を受けずに出産したAさんの決断|臨床遺伝専門医が提供する「トリプルリスクヘッジ」と最新COATE法
-
➤
7番トリソミー陽性・Aさんの決断 → 「本当に陽性なら流産しているはず」という医師の助言と、出産を決意した理由。 -
➤
スーパーNIPT陽性・Bさんの後悔 → 「両親ともに保因者」と判明。大学病院の「倫理委員会の壁」に阻まれた検査難民の苦悩と、院長の決意。 -
➤
最新技術「COATE法」の衝撃 → SNP法とターゲット法を融合。微細欠失症候群の精度が70%台から>99.9%へ向上した理由。 -
➤
トリプルリスクヘッジ → ①金銭的(全額互助会) ②時間的(院内確定検査) ③心理的(専門医サポート・返金保証)というミネルバ独自の安全網。 -
➤
ワイドゲノムNIPTの注意点 → 全染色体を調べると7番トリソミー(偽陽性)が増えてしまう理由を論文データを元に解説。
NIPT(新型出生前診断)は、胎児の染色体異常を調べる検査として多くの妊婦さんに選ばれています。しかし、検査結果が「陽性」となった場合、どのような判断をすべきか、眠れない夜を過ごす方も少なくありません。
一般的には、陽性であれば羊水検査で白黒はっきりさせる(確定診断を行う)ことが推奨されます。しかし、中には「結果に関わらず産む」「流産リスクのある検査はしたくない」という強い意志を持つ患者様もいらっしゃいます。
本記事では、ミネルバクリニックで実際にあった2つの事例——第7番染色体トリソミー陽性のAさんと、スーパーNIPT陽性のBさん——をご紹介します。お二人は確定検査を受けずに出産を選択されました。彼女たちの決断の背景と、それを支えるミネルバクリニックの「寄り添う医療」について解説します。
1. 事例紹介:NIPT陽性でも確定検査を受けずに出産した2人の妊婦さん
Case 1:7番染色体トリソミー陽性 Aさん
■ 検査内容
全染色体異数性+微小欠失症候群検査(当時のベリナタ社・イルミナ子会社提供)
■ 判定結果
第7番染色体トリソミー陽性
【専門医のアドバイス】
結果を見た医師は、Aさんにこう伝えました。
「7番染色体が本当に陽性だったら、流産している確率が非常に高いです。現在妊娠が継続できているということは、偽陽性だと考えます」
■ Aさんの決断
「お腹の赤ちゃんをそのまま産みたい。羊水検査で流産のリスクを負うことは避けたい」と強く希望されました。
■ 結末
そのまま出産され、形態学的異常のない元気な赤ちゃんが生まれました。数年後、第2子のNIPTで来院された際、第1子が健常児として成長していることを報告いただきました。
Case 2:スーパーNIPT陽性 Bさん
■ 検査内容
スーパーNIPT(第3世代NIPT・遺伝子検査プラン)
※現在のライト・スタンダードプランに相当
■ 判定結果
ご夫婦ともに同一の常染色体劣性疾患の保因者(陽性)
※ご両親が保因者の場合、赤ちゃんが発症する確率は1/4(25%)と非常に高くなります。そのため、赤ちゃんの遺伝子検査(確定検査)が医学的に必須となる緊迫した状況でした。
【ご夫婦の反応と後悔】
ご自身たちが遺伝子の保因者であることを初めて知り、Bさんご夫妻は大変驚かれました。そして、予期せぬ結果に直面し、「こんな検査受けなければよかった、面倒なことになった」と後悔の言葉を口にされました。
これは決して合理的な判断ではなく、あまりのショックと混乱からくる、行き場のない感情の吐露でした。冷静に考えれば「リスクを知らないまま産む」ことの方が危険ですが、当事者にとってはそれほど受け入れがたい事実だったのです。
■ 大学病院の「時間の壁」
Bさんご夫妻の妊娠管理と出産はとある大学病院だったのですが、そこでも検査は受けられませんでした。このような特殊な遺伝子検査を大学病院で行うには「倫理委員会」の承認が必要となり、審査に最短でも半年以上かかってしまうからです。それでは出産(中絶可能な時期)に到底間に合いません。
■ 出産の決断(希望)
確定検査の道は絶たれましたが、ご夫婦は決して投げやりになったわけではありません。
ミネルバクリニックの疾患解説ページを読み込み、ご自分たちでも様々な情報を調べた結果、「もし発症していても、治療法があるかもしれない」「なんとかなるかもしれない」という希望を見出し、出産を決意されました。
■ 結末
最終的に確定検査を受けることはできず、そのまま出産されました。その後の転帰(お子様の健康状態)についてはご連絡がないため、現在も不明です。
2. なぜ陽性なのに赤ちゃんは健康だったのか?
NIPTで「陽性」と出たのに、生まれてきた赤ちゃんが「陰性(健康)」である。これは奇跡のように聞こえるかもしれませんが、遺伝医学的には十分に説明がつく現象です。その最大の要因が「胎盤性モザイク(CPM)」です。
NIPTが検査しているのは、実はお腹の赤ちゃんのDNAそのものではなく、胎盤から母親の血液中に漏れ出したDNAです。
受精卵が分裂する初期段階で、「赤ちゃんになる細胞」は正常に修復されたものの、「胎盤になる細胞」にだけ染色体異常が残ってしまうことがあります。この場合、NIPT(胎盤由来のDNA)は「陽性」と出ますが、実際の赤ちゃんは「正常」です。これを限局性胎盤モザイクといいます。
【医学コラム】ワイドゲノム法と7番トリソミーの深い関係
近年、全染色体を調べる「ワイドゲノム法(Genome-wide NIPT)」の普及に伴い、Aさんのような7番トリソミー陽性例が増加しているという報告が論文でなされています[2]。
実は、7番染色体トリソミーは、NIPTで検出される希少トリソミーの中で最も頻度が高いものです。しかしその多くは「胎盤性モザイク」であり、胎児自身は正常であるケースが大半です。
ワイドゲノム法は「すべてが見える」というメリットがある反面、こうした「胎児には影響しない胎盤の異常」まで拾い上げてしまい、妊婦さんに過度な不安(偽陽性)を与えてしまうリスクも併せ持っているのです。だからこそ、結果の解釈には専門医の判断が不可欠です。
NIPTを提供する医師としての責任
Bさんの事例は、私にとって決して忘れられない出来事となりました。
「陽性である」という事実だけを突きつけられ、確定診断を受ける場所もなく、ご夫婦が路頭に迷い、後悔の言葉を口にする——。検査を提供しておきながら、その後のフォローができないという日本の医療体制の限界に、私は医師として猛烈な悔しさを感じました。
「NIPTを提供する側の責任として、最後までちゃんと診療できる体制にしたい」
それが長年の私の夢であり、悲願でした。
そして2025年6月、ついに院内に産婦人科を併設し、羊水検査・絨毛検査を自前で実施できる体制が整いました。もう、患者様をたらい回しにすることはありません。私たちミネルバクリニックは、最初から最後まで、あなたの妊娠と出産に責任を持って寄り添います。
3. ミネルバクリニックの「ダイヤモンドプラン(COATE法)」
ミネルバクリニックは、日本で初めて臨床遺伝専門医が開業した遺伝子検査専門クリニックとして、常に世界最先端の検査技術を導入し続けています。現在提供している「ダイヤモンドプラン」は、米国の4大遺伝子検査会社の一角が開発した「COATE法」という次世代の解析技術を採用しています。
COATE法:SNP法とターゲット法の「融合」技術
COATE法(Co-amplification of Targets for Estimation)は、これまで別々の技術として存在していた「SNP法」と「ターゲット法」を融合させた、全く新しいNIPT技術です。
① SNP法の強み(識別力)
母体と胎児のDNAの「型(ジェノタイプ)」を見分ける能力に優れています。これにより、全胞状奇胎や倍数体、バニシングツインなどを正確に識別できます。
② ターゲット法の強み(深読み)
染色体の特定の領域(ターゲット)をピンポイントで何千回も読み込む技術です。浅く広く読む従来法に比べ、微細な欠失を高感度で捉えます。
🔥 この2つの融合による革新的な成果
個人の識別能力と、特定の場所を深く読む能力が合わさることで、
従来の当院採用検査では陽性的中率70%台にとどまっていましたが、COATE法により>99.9%へと劇的に向上しました。
偽陽性の不安を極限まで減らした、精度の高さが最大の特徴です。
① 微細欠失症候群の高精度検出
前述の通り、COATE法の威力により、「22q11.2欠失症候群」など12か所13疾患を高精度に検出します。従来の当院採用の検査では陽性的中率70%台だったのが>99.9%と向上し、従来の技術では到達できなかった領域を実現しました。
② 基本+αのトリソミー検査
基本の13, 18, 21トリソミーに加え、流産リスクと関連の深い15, 16, 22番染色体のトリソミーも測定可能です。包括的な染色体スクリーニングにより、妊娠継続のリスク評価にも役立ちます。
③ 父親由来の「新生突然変異」をカバー
父親の加齢とともにリスクが上昇する「精子の遺伝子新生突然変異」をスクリーニングします。対象となる56遺伝子には、重篤な「症候性自閉症」の原因となる遺伝子が多く含まれています。
自閉症リスクと父親の年齢
(図:父親由来の遺伝子変異が子へ伝わるイメージ)
自閉症スペクトラム障害には、身体的特徴を伴わない「非症候性」と、重篤な合併症や身体的特徴を伴う「症候性」があります。ダイヤモンドプランで検査する56遺伝子や微細欠失は、この重い「症候性自閉症」の主要な原因を含んでいます。
この56疾患の積算リスクは約1/600と言われています。これはダウン症の発生頻度(約1/700)と遜色ない高さであり、決して珍しいことではありません。ミネルバクリニックでは、出生に至らない症例も含めると現在約1/60人の方が陽性となっています。微細欠失の積算リスク(約1/1000)と合わせ、これらを見逃さないことが、ダイヤモンドプランの最大の強みです。
4. ミネルバクリニック独自の「トリプルリスクヘッジ」
NIPT陽性という結果は、患者様にとって大きな精神的負担となります。多くの無認可施設では「陽性ならかかりつけ医へ」と丸投げされるのが現状ですが、ミネルバクリニックは違います。
臨床遺伝専門医として、検査前から検査後まで、患者様の不安を解消するための万全の体制——「トリプルリスクヘッジ」を構築しています。
前述のBさんのように、「陽性とわかったけれど、次の検査を受ける場所がない」という事態は、患者様にとってあまりに過酷です。このような検査難民を二度と出さないために、ミネルバクリニックは体制を強化し続けています。
1. 金銭的リスクヘッジ(互助会)
検査時に「互助会」へご入会(会費8,000円・非課税)いただくことで、万が一陽性判定が出た場合の確定検査(羊水検査・絨毛検査)費用を上限なしで全額当院が負担します。「15万円まで」といった上限はありません。経済的な心配をせずに、必要な次のステップへ進めます。
※他院で検査を受ける場合の交通費等は対象外です。
2. 時間的リスクヘッジ(院内完結)
2024年より産婦人科を併設し、2025年6月からは陽性時の確定検査(羊水検査・絨毛検査)を自院で実施可能になりました。Bさんのように確定検査先を探して途方に暮れることはありません。ほとんどの場合、最短3日で結果をお返しするスピーディーな体制を整えています。
※マイクロアレイが必要な場合は2週間程度かかります。
3. 心理的リスクヘッジ(専門医サポート)
臨床遺伝専門医である院長が、一貫してサポートします。さらに、以下の安心システムも導入しています。
- 4Dエコー完備:2022年11月より導入。検査前に赤ちゃんの元気な姿を確認できます。
- 早期NIPT:妊娠6週〜の早期検査により、万が一の中期中絶(身体的・精神的負担大)を回避する選択肢を提供。
- 返金保証:再検査が必要と判明したのに流産してしまい、検体提出が不可能な場合、検査費用を全額返金いたします(2025年1月〜)。
5. まとめ—寄り添う医療とは
AさんやBさんのように、NIPTで陽性となっても「羊水検査をしない」「そのまま産む」という選択をされる患者様はいらっしゃいます。医師の役割は、教科書的な正解を押し付けることではなく、正確な医学的情報を提供し、患者様ご自身が出した答えを全力で支えることだと考えています。
ミネルバクリニックは、日本で唯一の「臨床遺伝専門医が運営する遺伝子検査専門クリニック」として、患者様のあらゆる決断に寄り添います。世界中から厳選した高精度な検査(ダイヤモンドプラン)と、金銭・時間・心理のすべてをカバーする「トリプルリスクヘッジ」で、あなたの妊娠期間の安心を守ります。
よくある質問(FAQ)
🏥 臨床遺伝専門医へのご相談
NIPTの結果や、羊水検査を受けるべきかお悩みの方は、専門医が常駐するミネルバクリニックへお気軽にご相談ください。
確かな技術と温かい心で、あなたとご家族をお迎えします。
参考文献
- [1] Grati FR. Chromosomal Mosaicism in Human Feto-Placental Development: Implications for Prenatal Diagnosis. J Clin Med. 2014. [PubMed]
- [2] Du Y, et al. Clinical Significance of Non-Invasive Prenatal Screening for Trisomy 7: Cohort Study and Literature Review. Genes (Basel). 2020. [PubMed]
- [3] Kong A, et al. Rate of de novo mutations and the importance of father’s age to disease risk. Nature. 2012. [PubMed]
- [4] American College of Obstetricians and Gynecologists (ACOG). Practice Bulletin No. 226: Screening for Fetal Chromosomal Abnormalities. 2020. [PubMed]

