InstagramInstagram

NIPTで染色体異常の結果、確定検査せずに出産したAさんの決断

NIPT(新型出生前診断)は、胎児の染色体異常を調べる検査として多くの妊婦さんに選ばれています。しかし、検査結果が陽性となった場合、どのような判断をすべきか迷う方も少なくありません。

本記事では、第7番染色体のトリソミー陽性と診断されたAさんが、確定診断のための羊水検査を受けずに出産したケースをご紹介します。さらに、NIPTの限界や、医師と患者の関係についても掘り下げて解説します。

NIPTで7番染色体のトリソミー陽性と診断

全染色体検査と微小欠失症候群の検査

AさんがNIPTを受けた当時、ミネルバクリニックではイルミナ社の子会社であるベリナタの検査を提供していました。

フルセットの検査を希望されたAさんは、全染色体の異数性+5つの微小欠失症候群を調べるNIPTを受けました。

その結果、第7番染色体のトリソミーが検出されました。

関連記事:7トリソミーについて詳しく見る

7番染色体トリソミーとは?

染色体は1番から22番まで番号が振られており、7番染色体は比較的大きな染色体に分類されます。そのため、トリソミーがあると通常は重篤な影響を及ぼす可能性が高いと考えられます。

しかし、7番染色体のトリソミーの報告例は極めて少なく、実際にどのような影響があるか明確ではありません。

Aさんの決断—羊水検査を受けずに出産

「羊水検査は受けたくない」Aさんの意思

Aさんは、羊水検査を受けずにそのまま出産することを決断しました。

通常であれば、医師としては確定診断を勧めることが一般的です。しかし、Aさんは「お腹の赤ちゃんをそのまま産みたい」と強く希望されました。

この意思を尊重し、医師は「そのまま出産しても大丈夫だと思います。心穏やかに頑張ってください」と伝えました。

結果—無事に生まれた赤ちゃん

数年後、Aさんは第2子を妊娠し、再びミネルバクリニックでNIPTを受けることになりました。

驚くべきことに、第1子は形態学的な異常もなく、健康に成長していたのです。

通常、7番染色体のトリソミーが本当に存在していれば、流産の確率が非常に高いと考えられます。しかし、Aさんの赤ちゃんは無事に生まれ、健常児として成長していました。

医師と患者の関係—寄り添う医療の重要性

医師の立場から見た「寄り添う医療」とは?

一般的には、NIPTで陽性となった場合、羊水検査を推奨するのが医師の役割です。しかし、Aさんのケースでは、「患者さんが望まない検査を無理に勧めるべきではない」と判断しました。

遺伝カウンセリングを通じて、患者さん自身が納得できる選択をすることが何よりも大切だからです。

確定診断を推奨しない判断の難しさ

確定診断を勧めないことは、勧めるよりも難しい決断です。なぜなら、医師としては「陰性を確認するほうが安心」だからです。

しかし、無理に侵襲的な検査を勧めることで、患者さんの精神的負担が増すことも考慮しなければなりません。

「寄り添う医療」とは、単に優しい言葉をかけることではなく、患者さんの選択を支える覚悟を持つことなのです。

まとめ—NIPTの活用と正しい判断のために

NIPTは、胎児の染色体異常を早期に発見するための重要なスクリーニング検査ですが、陽性=確定診断ではないことを理解することが大切です。

本記事で紹介したAさんのケースのように、NIPTの結果が誤判定である可能性もあります。

ミネルバクリニックでは、NIPTの詳細や、遺伝カウンセリングを通じて、不安を抱える妊婦さんをサポートしています。

確定診断をするかどうか、またNIPTを受けるべきか悩んでいる方は、ぜひ一度ご相談ください。

院長アイコン

ミネルバクリニックでは、高精度なNIPT検査を提供しています。専門医による遺伝カウンセリングを通じて、不安を抱える妊婦さんのサポートを行っています。詳細はこちらからご覧ください。

プロフィール

この記事の筆者:仲田洋美(医師)

ミネルバクリニック院長・仲田洋美は、日本内科学会認定総合内科専門医、日本臨床腫瘍学会認定がん薬物療法専門医 、日本人類遺伝学会認定臨床遺伝専門医として従事し、患者様の心に寄り添った診療を心がけています。

仲田洋美のプロフィールはこちら

関連記事