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中絶後の心の反応|涙・罪悪感・安堵は普通?専門医が科学的に解説

中絶後の心の反応|涙・罪悪感・安堵は普通?専門医が科学的に解説|ミネルバクリニック

中絶後の心の反応|涙・罪悪感・安堵は普通?
臨床遺伝専門医が科学的に解説

この記事でわかること
📖 読了時間:約12分
🩺 中絶後の心理・メンタルヘルス
臨床遺伝専門医監修

Q. 中絶後に涙・罪悪感・安堵が同時にあるのは異常ですか?

A. 異常とは限りません。中絶後の感情は「混合」しやすく、安堵と悲しみ、罪悪感が同時に起こることは珍しくありません。
「泣いてしまう」「後悔が頭から離れない」「罪悪感で眠れない」一方で「これで良かった」と感じる瞬間もある。こうした揺れは、あなたの心が壊れている証拠ではなく、大きな出来事を統合している途中で起こり得る反応です。この記事では、長期追跡研究や国際的なレビューに基づき、心の反応の見通しと、苦しさが長引く場合の支え方まで整理します。


  • 涙・罪悪感・安堵の混合感情 → まず「壊れていない」ことを確認

  • いつまで続く? → 典型的には時間とともに強度が下がる傾向

  • うつ・PTSDが心配 → ポイントは中絶そのものより背景要因

  • 胎児の疾患が理由の場合 → 「中絶後反応」ではなく喪失(グリーフ)として理解する

  • 一人で抱え込まない → 苦しさが強いときは相談先と受診の目安を整理

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1. 涙・罪悪感・安堵が同時にあるのは普通?

【結論】 中絶後の感情は一つに決まりません。涙、罪悪感、後悔、不安がある一方で、安堵や「自分にとって必要な決断だった」という感覚が同時に起こることもあります。

いまこの文章を読んでいる方は、きっと「泣いている自分はおかしいのでは」「一生引きずるのでは」と不安でいっぱいだと思います。まず、最初にお伝えしたいのはあなたは壊れていないということです。

中絶後の心は、大きな出来事を「統合」していく途中にあります。矛盾する感情が同居しても不思議ではありません。たとえば「安堵しているのに涙が出る」のは、心が分裂しているのではなく、複数の意味を同時に抱えている状態です。

📌 まず確認してほしいこと
  • 涙が出る:「弱さ」ではなく、心身の緊張がほどけた反応として起こり得ます
  • 罪悪感:「冷たい人だから」ではなく、価値観や責任感が強いほど出やすいことがあります
  • 安堵:望まない妊娠や将来への負担が軽くなり、ほっとするのは自然な反応です
  • 後悔:「決断が間違いだった」と同義ではありません。後悔と決断の納得感は別として語られます

「混合感情」は珍しくありません

高品質な前向き研究では、中絶の直後から数週間にかけて、安堵を感じる人が多い一方で、悲しみや罪悪感、後悔などを同時に感じる人も少なくありません。これは「病気」ではなく、心が現実を受け止める自然な反応として説明されます。

心の動き(よくある形)

  • 安堵が先に立つことがある
  • その後、涙・罪悪感・後悔が波のように来ることがある
  • 「思い出したくない」気持ちと「忘れられない」気持ちが同居する

つらさが強くなる要因

  • 誰にも言えない(秘密保持の負担)
  • 支援が少ない、関係性が不安定
  • もともとの不安・うつ・トラウマ体験

2. いつまで続く?時間経過の見通し

【結論】 多くの追跡研究では、中絶後の感情の強度は時間とともに低下し、年単位で新たな否定的感情が増え続けるパターンは支持されにくいとされています。

「いつまで泣くの?」「いつ普通に戻れるの?」その疑問はとても切実です。ここでは、個人差があることを前提にしつつ、研究で示されやすい一般的な見通しを整理します。結論として、揺れながらも落ち着いていく方が多いです。

🕰️ 中絶後の心の「典型的な経過」
  • 0〜1週間
    ・涙、罪悪感、不安、怒り、安堵などが混ざりやすい
    ・眠れない、集中できないなど心身の揺れが出やすい
  • 1〜6か月
    ・感情の強度は低下傾向
    ・ただし、秘密保持やスティグマが強いと苦痛が持続し得ます
  • 6〜24か月
    ・肯定・否定の感情はいずれも低い水準へ
    ・「突然つらくなる日」があっても、波が少しずつ浅くなることが多い
  • 2〜5年
    ・大きな波は落ち着きやすい
    ・ただし、背景のトラウマや孤立がある場合は専門的支援が回復を助けます

「突然つらくなる」はおかしくありません

気持ちが落ち着いてきたと思ったのに、ある日急に泣けてしまう。これは多くの方が経験します。脳は安全になってから、ようやく感情を処理し始めることがあります。だからこそ、波が来たときは「戻ってしまった」と責めるより、回復の途中の自然な揺れとして受け止めてください。

時期 起こりやすい反応 ポイント
直後〜1週 混合感情、不眠、食欲低下 まず休むことが優先
1週〜1か月 思い出し、涙、不安 「波が来てもよい」と許す
1〜6か月 落ち着きと揺れの反復 孤立を減らす工夫が有効
6か月以降 イベントで再燃することも 必要なら専門支援へ

仲田洋美院長

🩺 院長コラム【泣いているあなたへ、最初に伝えたいこと】

中絶後の涙は、「弱いから」出るのではありません。私は診療の中で、
安堵と悲しみが同時にある方をたくさん見てきました。
矛盾して見える感情が同居するのは、むしろ自然です。

大切なのは「泣かないようにする」ことではなく、
一人で抱え込まない形を作ることです。
あなたの心が安全に戻れるように、必要な情報と支え方を、専門医として丁寧に整理していきます。

3. うつ・PTSDが心配なときの科学的整理

【結論】 質の高いレビューでは、中絶が抑うつ・不安・PTSDなどの精神疾患リスクを増やすと一律に結論づけることは支持されにくいとされています。つらさが強い場合は、背景要因(既往の不安・暴力・孤立など)も含めて支援を組み立てることが大切です。

「中絶したからうつになるの?」「PTSDになったらどうしよう」この不安は、とても切実です。ここで大事なのは、科学的に厳密に見るとき、比較の取り方で結論が変わるという点です。望まない妊娠自体が大きなストレスになり得るため、「中絶の経験」だけを切り出して因果を決めることは簡単ではありません。

「つらい」=精神疾患 ではありません

🧠 心の反応の整理
  • 抑うつ:気分の落ち込み、無気力、涙もろさが続く状態
  • PTSD:強い出来事の後に、再体験(フラッシュバック)、回避、過覚醒が持続する状態
  • 重要:中絶後に「つらい」ことはありますが、すぐに精神疾患だと決めつけないことが大切です
  • 受診の目安:日常生活が回らない、希死念慮がある、2週間以上続く場合は早めに相談

⚠️ 注意:「中絶後症候群」といった言葉が独り歩きすることがありますが、心の反応は個人差が大きく、背景(暴力、強いストレス、孤立、既往の不安・うつ)の影響を強く受けます。苦しさを一人で背負わないことが最優先です。

つらさが長引きやすい背景要因

心の既往・対処の癖

  • もともとの不安・うつ・トラウマ体験
  • 眠れない状態が続く
  • 自分を責める思考が止まらない

環境・関係性

  • 誰にも話せない(秘密保持の負担)
  • 支援が少ない、関係性が不安定
  • 暴力・支配が背景にある

意思決定の難しさ

  • 迷いが大きかった
  • 決断を誰かに急かされた
  • 価値観との葛藤が強い

苦しさを一人で抱えていませんか?

ネットで調べるほど不安が増えることがあります。
臨床遺伝専門医と直接お話しすることで、落ち着いて整理できることが多いです。


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4. 胎児の疾患を理由にした中絶は、心の構造が違います

【結論】 胎児の疾患や重い異常を理由とする中絶は、一般の中絶と比べて「喪失(グリーフ)」としての重みが大きくなりやすいと報告されています。これは「あなたが弱いから」ではなく、背負っている意味が違うためです。

このテーマで苦しい方の中には、「本当は産みたかった」「守りたかった」という思いを抱えながら、非常に難しい決断をされた方がいます。診断の衝撃、未来が一度できあがってから崩れる体験、自分が決断を下したという重み。これらが重なると、強い悲嘆やトラウマ様症状が出ることがあります。

🕯️ 喪失(グリーフ)としての中絶
  • 強い悲嘆:「いなくなった」ではなく「手放した」という感覚が自責を強めることがあります
  • 孤独:周囲に理解されづらく、言葉にできない悲しみとして抱え込みやすいです
  • 再妊娠への不安:次の妊娠で同じことが起きるのでは、と恐怖が強まることがあります
  • 支援の考え方:「中絶後ケア」ではなく、周産期喪失のグリーフケアとして扱うことが助けになります

「一般よりきつい」の言い換え

比較の観点 一般の中絶で目立つ反応 胎児疾患が理由の場合
中心テーマ 危機の終了、生活の立て直し 喪失、未来の崩壊、深い悲嘆
感情 安堵が前に出やすい 悲嘆と自責が強くなりやすい
支援 情報整理と段階的ケア グリーフケア(周産期喪失として)
言葉 「自分を責めない」 「悲しむ権利がある」

💡 つらさを説明する言葉

「一般よりつらい」というより、背負っている意味が違うと考えるほうが正確です。あなたの悲しみは、弱さではありません。喪失に対する自然な反応として、丁寧に扱われるべきものです。

5. 体の回復とホルモン変化も心に影響します

【結論】 中絶後の涙もろさや気分の不安定さは、心だけの問題ではありません。ホルモン変化や痛み、出血などの身体症状が、不安やストレスを増やすことがあります。

「気持ちの問題だから我慢しなきゃ」と思わないでください。からだが回復途中のとき、心も揺れやすくなります。特に、睡眠不足は不安や抑うつを増幅します。まずは、体の回復を優先してよい時期です。

身体症状が長引くと不安が強まることがあります

症状 一般的な目安 相談の目安
出血 数日〜1〜2週間 大量出血、強い腹痛、発熱がある場合
痛み 数日で軽くなることが多い 日常生活が難しい痛みが続く場合
睡眠 揺れやすい 眠れない日が続き、心が追い詰められる場合
食欲 落ちることもある ほとんど食べられない状態が続く場合

⚠️ 重要:体の不調が続くと、心は「危険」と判断しやすくなり、不安が強まることがあります。身体のケアは心のケアでもあります。必要なときは婦人科で相談してください。

「自分を責める声」が強いとき

罪悪感が強いとき、頭の中で「責める声」が止まらなくなることがあります。そういうときに大切なのは、反論でねじ伏せるより、“声が出ている”ことに気づくことです。苦しいときほど、まずは「休む」「食べる」「眠る」を小さく整えることが回復を支えます。

🌿 まずは生活を守る小さな工夫
  • 睡眠を最優先(夜に眠れない日は昼寝でもよい)
  • 水分と、少しでも食べられるものを確保する
  • 刺激の強い情報(SNS・掲示板)から距離を置く
  • 相談先を一つ決める(専門家・医療者・支援機関)

6. 今日からできる心のケア(押しつけない形で)

【結論】 回復に近道はありませんが、「孤立を減らす」「体を整える」「考えを一度外に出す」ことは、多くの人の苦しさを軽くします。どれも無理にやる必要はなく、できるところからで大丈夫です。

「何をすればいいのか分からない」そんなときは、“できそうな小さなこと”を一つ選ぶだけで十分です。あなたが今必要としているのは、正しい根性論ではなく、心が安全に戻るための手すりです。

考えが止まらないときの「外に出す」方法

✍️ 書くことの効果

  • 「頭の中の反復」を、紙に移して少し距離を作れます
  • 誰にも見せなくてよいので、本音が出やすいです
  • 「今日の体調」「今日の感情」を短く記録するだけでも十分です

7. 受診の目安|「我慢しない」ための基準

【結論】 つらさが強いときは、早めに相談してかまいません。特に、眠れない・食べられない・仕事や家事が回らない状態が続く場合、専門家の支援が回復を早めます。

受診の判断は難しいです。「この程度で相談していいの?」と感じる方ほど、抱え込みやすい印象があります。ここでは、判断を助けるために、具体的な目安を整理します。

受診を考えるサイン

サイン 目安 対応
不眠 数日〜2週間続く 心療内科・精神科、またはかかりつけへ相談
食欲低下 ほとんど食べられない まず身体面の評価も含めて相談
フラッシュバック 頻回で日常に支障 トラウマケアも含めて相談
希死念慮 ある 緊急性があります。早急に医療機関・支援窓口へ

8. 出生前診断(NIPT・確定検査)と中絶の関係を整理

【結論】 出生前診断は、「知る」こと自体が目的ではありません。結果の意味を正確に理解し、確定診断が必要なときは適切な検査へ進み、どの選択をしても支える体制が重要です。

中絶後の心の反応を語るとき、背景に出生前診断が関わっていることがあります。ここでは、NIPTと確定診断の位置づけを整理します。情報の整理は、不要な不安と自己責めを減らす助けになります。

📌 NIPT整理ブロック(必須)
  • わかること:NIPTは母体の血液から胎児由来のDNA断片を分析し、染色体異常の「可能性」を評価します
  • わからないこと:NIPTは確定診断ではありません。結果の解釈には背景(胎盤モザイクなど)も関係します
  • 確定診断の必要性:陽性・判定困難などの場合は、羊水検査・絨毛検査などの出生前の確定診断へ進みます

🔁 再採血のタイミングについて

NIPTで判定保留となった場合、一般には1〜2週間後に再採血を行うことがあります。ただし、再採血の可否や時期は胎児分画、妊娠週数、個別の状況により判断されます。一律に決まるものではなく、主治医と相談しながら決定します。

📉 低胎児分画とリスクの考え方

胎児分画が低いと判定が難しくなることがありますが、「低い=異常がある」と直結するわけではありません。母体体重、採血時期、体質など複数の要因が影響します。不安が強い場合は、結果の意味を個別に整理し、必要に応じて再採血や確定診断を検討します。恐怖を前提に考えるのではなく、状況を一つずつ確認する姿勢が大切です。

用語を短く整理します(定義ボックス)

💡 用語の意味

PPVとは:陽性的中率のことです。「陽性のとき、本当にそうである確率」を指します。

偽陽性とは:検査が陽性でも、確定検査では異常が確認されないことです。

偽陰性とは:検査が陰性でも、実際には異常があることです。

胎児分画とは:母体血中のDNAのうち胎児(正確には胎盤由来)の割合です。割合が低いと判定が難しくなることがあります。

モザイクとは:同じ個体の中に、異なる染色体構成の細胞が混在する状態です。

確定診断とは:可能性ではなく、異常の有無を確かめる診断です。出生前では羊水検査・絨毛検査が中心です。

CMAとは:染色体マイクロアレイ検査のことです。Gバンド法では検出できない微小欠失などを確認できます。羊水検査+CMAは微小欠失の確定診断に用いられますが、学会指針では原則として超音波で構造異常がある場合などが対象とされています。

判定保留とは:NIPTで十分な解析ができず、結果が確定できない状態です。胎児分画が低い場合などに起こります。

胎児分画4%基準とは:一般にNIPTでは胎児分画が概ね4%前後を下回ると判定が難しくなることがある、という目安を指します(施設により基準は異なります)。

CPMとは:胎盤モザイク(Confined Placental Mosaicism)の略で、胎盤にのみ染色体異常があり胎児本体にはない状態を指します。NIPTの解釈に影響することがあります。

⚠️ 重要:出生前診断は、どこまで調べるかに国際的な議論があります。知る権利と同じくらい、知らないでいる権利も尊重されるべきです。当院では、非指示的(誘導しない)な遺伝カウンセリングを大切にしています。

仲田洋美院長

🩺 院長コラム【心の安全を守るために、正確性を最優先します】

出生前診断は、結果が出た瞬間からご家族の人生に影響します。だから私は、「早く結果が出ること」よりも、
正確性を最優先に位置づけています。

そして、陽性や判定困難といった結果が出たときに、
不安の時間をできるだけ短くし、トラウマを防ぐことが医療の役割だと考えています。
結果を伝えるだけで終わらず、解釈と次の選択肢を一緒に整理し、必要なら確定診断へつなぎます。
どの選択をしても、医療として支える。その姿勢を、当院の基調にしています。

9. ミネルバクリニックの支援体制(当院受検者の心の安全を最優先)

ミネルバクリニックは非認証施設ですが、臨床遺伝専門医が最初から最後まで担当し、検査前の遺伝カウンセリング、結果の解釈、陽性後の対応まで一貫して行います。2025年6月からは、羊水検査・絨毛検査も院内で実施できる体制を整えました。ここまで一貫した体制は限られた医療機関にしかありません。

🧭 心理的リスクヘッジ

当院では、検査の前に結果の意味と選択肢を整理し、陽性後は不安の時間が長引かないように支援します。「心の安全」を医療として守ることを重視しています。

🏥 院内で確定検査まで対応

陽性や判定困難などで確定診断が必要な場合、転院せず院内で羊水検査・絨毛検査へ進める体制があります。

👩‍⚕️ 専門医が一貫して担当

臨床遺伝専門医が、検査前後の遺伝カウンセリングを担当します。情報提供と意思決定支援を中立に行います。

🧠 「事前によく考える」ために

出生前診断は「受ける・受けない」だけでなく、結果が出た後にどうするかまで含めて考える検査です。施設選びで後悔しないために、結果説明とフォロー体制まで確認することが大切です。

一人で悩まず、専門医を頼ってください

不確かな情報で苦しくなる前に、
医学的根拠に基づいた「整理」を一緒に行いましょう。


📅 臨床遺伝専門医の診療を予約する

※オンライン診療も対応可能です

よくある質問(FAQ)

Q1. 中絶後に涙が止まらないのは異常ですか?

異常とは限りません。中絶後は、緊張がほどけた反応やホルモン変化、喪失感、秘密保持の負担などが重なり、涙が出ることがあります。眠れない・食べられない・生活が回らない状態が続く場合は、早めに医療機関へ相談してください。

Q2. 罪悪感が消えません。どうしたらいいですか?

罪悪感は、価値観や責任感の強さ、周囲に言えない孤立、スティグマの影響で強まることがあります。まずは「罪悪感がある=間違い」ではないと知ってください。頭の中の反復がつらいときは、書き出す、信頼できる相手や専門家に話すなど、外に出す工夫が助けになります。

Q3. 中絶後にうつやPTSDになりますか?

質の高いレビューでは、中絶が一律に精神疾患リスクを増やすとは結論づけにくいとされています。一方で、もともとの不安・うつ、暴力や強いストレス、孤立がある場合は、つらさが長引くことがあります。希死念慮、頻回のフラッシュバック、2週間以上の日常生活の支障がある場合は、早めに専門家へ相談してください。

Q4. 胎児の疾患が理由の中絶は、なぜ特につらいのですか?

この場合、心理的には「中絶後反応」だけでなく、周産期喪失のグリーフとしての意味が大きくなります。診断の衝撃、未来の崩壊、自分が決断を下した重みが重なり、強い悲嘆やトラウマ様症状が出ることがあります。必要な支援は「正論」ではなく、グリーフケアとしての支えです。

Q5. 誰にも言えず苦しいです。どうしたらいいですか?

秘密保持の負担は、心の苦しさを強めやすい要因です。「言わなければいけない」という意味ではありませんが、安心して話せる相手・場所を一つ持つことは回復を助けます。医療機関やカウンセリングなど、守秘が担保される場を選ぶのも方法です。

Q6. 出生前診断の結果と中絶の判断で後悔しています

後悔は「間違いの証明」ではありません。多くの場合、当時の情報と状況の中で最善を探した結果です。出生前診断では不確実性が残ることがあり、結果の意味づけには専門的な整理が必要です。必要なら、経過を一緒に振り返り、あなたの心が安全に戻る形を作ることが大切です。

Q7. 受診するほどではない気がします。それでも相談していいですか?

もちろんです。「受診=重症」という意味ではありません。生活が回るように支えるのが医療の役割です。眠れない、食べられない、仕事や家事が回らない、希死念慮がある場合は早めに相談してください。迷う場合も、まずは相談先を一つ決めることが助けになります。

🏥 一人で悩まないでください

中絶後の涙、罪悪感、後悔、不安は、
あなたが真剣に向き合った証であることが多いです。
臨床遺伝専門医があなたの心の安全を最優先に、整理と支援を行います。

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参考文献

  • [1] National Academies of Sciences, Engineering, and Medicine. The Safety and Quality of Abortion Care in the United States (mental health outcomes). [Official Site]
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  • [5] Biggs MA, et al. Five-year suicidal ideation trajectories among women receiving or being denied an abortion. [PubMed]
  • [6] World Health Organization. Abortion care guideline (2022). [WHO]
  • [7] American Psychological Association. Report of the Task Force on Mental Health and Abortion (2008) / Updates on abortion and mental health. [APA]
  • [8] RCOG. Best practice in abortion care (2022). [RCOG]
  • [9] Korenromp MJ, et al. Psychological consequences of termination of pregnancy for fetal anomaly: a systematic review. Prenat Diagn. 2005. [PubMed]
  • [10] NICE/NCBI Bookshelf. Support after abortion (evidence review). [NCBI Bookshelf]


プロフィール
仲田洋美 医師(臨床遺伝専門医)

この記事の筆者:仲田 洋美(臨床遺伝専門医)

ミネルバクリニック院長。1995年に医師免許を取得後、臨床遺伝学・内科・腫瘍学を軸に、
のべ10万人以上のご家族の意思決定と向き合ってきた臨床遺伝専門医です。
出生前診断・遺伝学的検査においては、検査結果そのものだけでなく
「結果をどう受け止め、どう生きるか」までを医療の責任と捉え、
一貫した遺伝カウンセリングと医学的支援を行っています。

日本人類遺伝学会認定 臨床遺伝専門医/日本内科学会認定 総合内科専門医/
日本臨床腫瘍学会認定 がん薬物療法専門医。

2025年、国際誌『Global Woman Leader』および『Medical Care Review APAC』の2誌で立て続けに表紙(Cover Story)に抜擢。
「日本のヘルスケア女性リーダー10名」や「アジア太平洋地域のトップ出生前検査サービス」として、世界的な評価を確立しています。


▶ 仲田洋美の詳細プロフィールはこちら

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