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【受精から着床まで】おりものから分かる体の変化を解説

妊娠したかな?と感じた場合、おりものの変化を観察すると良いと言います。しかし観察ポイントや実際の体の変化についての知識は漠然としている方も多いのではないでしょうか?

そこでこの記事では、受精から着床の期間におりもの・お母さんの体がどのように変化していくかを解説します。

妊娠初期症状についても解説するため、現在のあなたの状態と照らし合わせて考えられます。最後まで読み、受精や着床、おりものの基礎知識を学んでいきましょう。

着床のサインは?受精との違いや完了時期のサインを解説

胎児を育てるための準備期間に起きるお母さんの体の変化は大きく、着床のサインにも関係しています。

受精と着床の違いを理解し、体の変化を知っておくと着床のサインを見極められるようになります。

着床とは?

着床とは、卵管内で受精してできた受精卵が子宮内膜に付着し、潜り込むことです。子宮内膜に受精卵が着床することで、妊娠は成立します。

受精卵は着床に向けて細胞分裂を繰り返し行い、最終的に胚になります。同時に1週間〜10日前後かけて卵管から子宮にたどり着き、着床します。胚が順調に育ち、子宮内膜に着床すれば、10 日程度で妊娠を確認できるようになります。

上記の妊娠に至るまでに体の中で行われている一連の動作を着床と呼ばれます。

受精と着床の違い

受精とは精子と卵子が出会い、合体することで受精卵ができることを表します。基本的には1つの卵子と合体できるのは1つの精子だけです。そのため、受精が成立すると受精卵の周りに特殊な膜が張り、他の精子が入れなくなります。

一方の着床は受精卵が卵管を移動して、子宮内膜へ潜り込むことを示します。子宮内膜は受精卵を迎え入れるため、プロゲステロンというホルモンの作用で柔らかくなります。

妊娠が確定するのは、あくまで着床し受精卵が順調に育った後になります。一般的には着床後10日程度で妊娠の反応が確認できると言われています。

着床完了のサイン

着床完了の代表的なサインとして「着床出血」や「着床痛」があります。

着床出血とは受精卵が子宮内膜に潜り込む際、少量出血するために見られるものです。妊娠3〜4週目前後で確認できますが、出血量は少量であるため気づかないこともあります。

着床痛は生理痛とは違いチクチクした感じと表現され、着床する時期に感じる痛みです。しかし妊娠初期の症状による痛みが強く、着床痛に気がつかないこともあります。

すべてのお母さんが着床出血や着床痛に気づく訳ではありません。また妊娠が確定する時期は、着床後に受精卵が順調に育った後なので、絶対的な着床完了のサインはないことも知っておきましょう。

おりものとは?役割と受精から着床までの変化

おりものを示すサイン

おりものとは子宮や膣・汗腺から分泌される女性特有の液体です。受精をスムーズに行うために不可欠な役割を担っており、着床後はお母さんの体の変化とともにおりものも変化します。

そこでこの章では、おりものの役割や着床後の変化についてお伝えします。現在のあなたの症状と照らし合わせながらご覧ください。

おりものの役割は?

おりものとは、子宮・膣・汗腺から分泌される粘性のある液体のことです。卵巣が正常に働いているかを知るための指標であり、受精や着床によりおりものの変化が見られることから妊娠を示唆する重要なサインの一つでもあるといえます。

また膣内を清潔に保ったり、スムーズに精子が子宮に向かうためのサポートをしたりするなど、妊娠に関する様々な役割を担っています。

おりものの量には、女性ホルモンが大きく関係していると言われています。例えば、排卵ホルモン(エストロゲン )の分泌が増えるにつれて増加し、黄体ホルモン(プロゲステロン)の分泌が増えるにつれて減少します。

着床直後の変化

着床後のおりものは「量」「色」「臭い」が変化します。個人差はありますが、女性ホルモンの影響でおりものの分泌量が増えることも。加えて、いつもよりもサラッとした液体になったり、乳白色やクリーム色に変化したりすることもあります。

着床から妊娠初期にかけて酸っぱい臭いになることもよくある変化の一つです。ただし、食べ物が腐ったような悪臭がするなら性病の可能性もあるため、婦人科で確認してもらうことをおすすめします。

妊娠サインかも?おりもの以外からわかる妊娠初期にある6つの症状

着床して順調に受精卵が育つ妊娠初期はお母さんの体の変化が著しく、様々な症状が出ます。これらの症状をまとめて妊娠初期症状と言います。

妊娠初期症状には風邪に似た症状から、妊娠後特有の症状まで様々です。妊娠の有無を見極めるヒントにもなるため、参考にしていただけると幸いです。ただし初期症状だけでは妊娠を確定することはできませんので注意しましょう。

1. 基礎体温

妊娠が成立すると黄体ホルモン(プロゲステロン)が分泌され続けるため、基礎体温が少しだけ高くなる高温期が2週間以上続きます。風邪症状はないけどいつもよりも体が温かいなどの症状があれば、妊娠している可能性があるため、産婦人科を受診してみましょう。

また黄体ホルモンが分泌されている間は子宮内膜が厚くなっているため、非妊娠期のような月経は起こりません。通常通り月経がくるなら妊娠はしていないということになります。定期的な月経がなく、基礎体温で高温期が続いているなら妊娠検査薬で確認したり、近くの産婦人科を受診したりしましょう。

2. 着床出血

着床出血とは、受精卵が子宮内膜に潜り込む際の出血のことです。妊娠の可能性を示すサインですが、出血量は比較的少量であるため、気づかない方も多くいます。もし確認できるとしたら、妊娠3〜4週目前後です。

一方で生理期間中の出血は、月経といわれます。月経とは、生理周期中に排卵ホルモンの影響で柔らかくなった子宮内膜が剥がれ落ちる際の出血のことです。生理周期に合わせた定期的な出血を月経と呼びます。

もし着床後に妊娠が成立しているなら、少量出血(着床出血)が見られたり、定期的な月経がなくなったりすると覚えておきましょう。

3. 着床痛

着床痛は受精卵が子宮内膜に着床する際に感じる痛みです。生理痛が重たい痛みに対して、着床痛はチクチクした痛みと表現されます。加えて、胃や恥骨(骨盤前方にある骨)痛、胸やお腹が張るなどの症状が一緒に出ることもあります。

いつもとは違うチクチクした痛みを感じるなら着床痛の可能性もあるため、その他の症状と照らし合わせてみましょう。

 

4. 貧血

妊娠後は胎児へ血流確保をするため血液量が増えます。一方の鉄分の量はそのままなので、鉄不足となり貧血症状が出ます。

貧血の主な原因は、酸素不足です。そして、体中に酸素を運ぶヘモグロビンは鉄から作られます。そのため、血液量に対して鉄不足になると貧血になるのです。

鉄不足を予防するためには、鉄分を多く含む食品を積極的に食べるように心がけるのが重要です。具体的には、以下の食品を摂取すると良いでしょう。

  • ・牛赤身肉
  • ・ほうれん草
  • ・小松菜
  • ・投入
  • ・乾燥ひじき

その他にも産婦人科にて鉄剤を処方してもらう方法もあります。

貧血症状が強くなると転倒のリスクが高まります。転倒して打ち所が悪いと母子ともに命の危険に晒されることもあるので、症状が出たら早めにかかりつけ医に相談することをおすすめします。

5. 風邪症状

妊娠初期は風邪に似た症状が出やすいと言われています。これは妊娠初期に分泌量が増える女性ホルモンの影響です。

具体的な症状は、以下の通りです。

  • ・熱っぽい
  • ・頭がボーっとする
  • ・体がだるい
  • ・吐き気

妊娠初期症状と風邪の違いを見極めるためには、以下のポイントを押さえておく必要があります。

  • 微熱前後が長期的に続く
  • 風邪症状が日増しにひどくなる

風邪であれば、細菌やウイルス感染の可能性が高く、症状が日増しに悪くなります。一方の妊娠初期症状なら長期的に微熱が続くものの、その他症状は徐々に軽快します。

6. 情緒不安定

妊娠の準備をするプロゲステロンという女性ホルモンの分泌が増えるため、イライラや不安を感じやすくなり、情緒不安定になります。ただし、妊娠初期症状として珍しくはないのでご安心してください。

また妊娠初期は体の変化が著しかったり、つわりや風邪症状などで疲れやすくなったりします。つまりストレスを感じることが多く、デリケートな時期であるのです。そのため、一人で悩まず家族や周囲へ助けを求めたり、話を聞いてもらったりしてストレスと上手く付き合っていくことが大切です。

妊娠しているか確認する簡単な方法

妊娠の有無を簡単に確認する方法は、以下の2つです。

  • ・妊娠検査薬で確かめる
  • ・産婦人科を受診する

ただし、確定診断は産婦人科で精密検査を受けるまでは分かりません。

ステップ①:妊娠検査薬で確かめる

簡易的に調べるなら薬局で市販されている妊娠検査薬がおすすめです。ただし、妊娠4週目以降で着床後にhCGというホルモン(ヒト絨毛性ゴナドトロピン)が分泌されていることが条件になります。時期が早かったり、双子妊娠だったりすると陰性になることもあるので注意しましょう。

そこで普段から基礎体温を記録しておき、高温期になっているか確認しておくと精度を高められます。もし高温期が続くようであれば、妊娠の可能性が高く、妊娠検査薬の使用時期としても問題ありません。

ステップ②:産婦人科を受診する

妊娠検査薬で陽性が出たら、次は産婦人科で診断してもらいましょう。

診断をするためには、以下の検査が行われます。

  • ・問診
  • ・尿検査
  • ・触診や内心
  • ・超音波検査(エコー)

ただし、確定診断は胎児心拍が確認できる妊娠6週目(生理予定日から2週間後)からです。妊娠の可能性があると診断されたら、順調に赤ちゃんが成長するためにも体への負担はできる限り減らしましょう。

また妊娠が確定すると、出産までのスケジュールや注意点を説明してもらえます。出産までの体の変化や生活をイメージしてみましょう。

まとめ: 「いつもと違う」は妊娠のサイン

妊娠のサイン

受精して着床した受精卵が順調に育てば妊娠成立です。お母さんの体は女性ホルモンの影響で急激に体が変化するとともに、着床サインや妊娠初期症状としても現れます。

「いつもと違うな」と感じた方は、まずは妊娠検査薬で妊娠の有無を調べる必要があります。陽性反応が出たら正式な診断をしてもらうために、産婦人科の受診をしましょう。

個人差はありますが着床サインや妊娠初期症状が重たい人もいます。一人で悩まず、周囲に助けを求めたり、相談したりすることも大切です。大切な赤ちゃんの命を皆で守り、無事出産を迎えられるようにしましょう。

プロフィール

この記事の筆者:仲田洋美(医師)

ミネルバクリニック院長・仲田洋美は、日本内科学会認定総合内科専門医、日本臨床腫瘍学会認定がん薬物療法専門医 、日本人類遺伝学会認定臨床遺伝専門医として従事し、患者様の心に寄り添った診療を心がけています。

仲田洋美のプロフィールはこちら

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