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妊娠は複数の偶然が重なって起こる奇跡的な出来事です。女性にとって妊娠は一大ライフイベントの1つだといえます。その待望の妊娠を身体のサインとして知らせてくれるのが「妊娠初期症状」です。
では、妊娠初期症状は身体にどういった変化を起こすのでしょうか?もしかしたらすでに症状が現れている方もいるかもしれません。そこで本記事では、着床で症状が現れる理由、着床の時期に現れる代表的な症状を解説します。自身の状況に当てはめて考えることにより、妊娠の早期発見ができるはずです。
着床時の症状はいつから起こる?
着床時の症状はいつから起こるのでしょうか?症状が現れる時期を知る前に、まずは妊娠の日数の数え方を知っておきましょう。
妊娠の開始日は受精や着床の日ではなく、最後の月経が始まった日を0週0日としてカウントしていきます。約2週間後が排卵日であるため、パートナーと性行為を経て受精したタイミングで、すでに妊娠2週の状態となります。その後、精子と卵子が融合して受精卵となり、細胞分裂を繰り返しながら子宮を目指し約1週間かけて着床します。その時点ではじめて妊娠が成立し、妊娠3週の状態から妊娠がはじまることが一般的です。
これを踏まえて着床時の症状をお話すると、妊娠初期症状は一般的に妊娠4〜5週に現れるとされています。とはいえ、症状が現れる時期には個人差があり、妊娠3週の時点で発生する方、妊娠初期症状がほとんど現れない方など、発生する時期やタイミングは異なるケースがあります。
なお、多くの方はこの妊娠初期症状に気づいたあと、妊娠検査薬や産婦人科での検査によって妊娠が明確化します。
着床時に症状が現れる3つの理由
妊娠初期症状の発生時期については大まかに理解できたでしょうか?続いて本項では、着床時に症状が現れる理由を3つ解説します。
hCGホルモンの影響
着床時に症状が現れる理由1つ目は、hCGホルモンによる影響が考えられます。受精卵が着床して妊娠が成立したあと、そこから絨毛が発生し胎盤を形成します。この胎盤からhCGといわれる女性ホルモンが分泌され、赤ちゃんを育てやすい身体へと変化します。
また、hCGホルモンは「ヒト絨毛性ゴナドトロピン」とも呼ばれ、最も分泌される時期は妊娠8〜12週だとされています。なお、妊娠検査薬ではこのhCGホルモンを検査して妊娠の有無を判定します。hCGホルモンが多く分泌される時期は妊娠4週以降であるため、妊娠検査薬は妊娠4週以降の使用が推奨されています。
卵胞ホルモンの影響
卵胞ホルモンの影響でも妊娠初期症状が起こるとされています。この卵胞ホルモンの別名は「エストロゲン」です。排卵までに多く分泌される女性ホルモンの1種であり、子宮内膜を分厚くすることで妊娠の準備を行います。
妊娠に必要な子宮の環境を整えるほか、皮膚や骨の健康、感情、自律神経の働きにも影響を与えます。また、女性らしい身体を作る重要なホルモンでもあります。なお、この卵胞ホルモンが減少することで更年期障害のリスクが向上するといわれています。
黄体ホルモンの影響
妊娠初期症状の原因3つ目として、黄体ホルモンの影響があげられます。黄体ホルモンは「プロゲステロン」とも呼ばれ、排卵が終わると卵胞ホルモンの分泌量が減るとともに、黄体ホルモンの分泌量が増加します。つまり、卵胞ホルモンと黄体ホルモンは対の関係にあるといえるのです。
この黄体ホルモンの働きは、子宮の環境を整えて着床しやすくする、妊娠状態の安定化を促すなどが考えられます。ほかにも、基礎体温を上昇させる、乳腺を発育させるといった作用もあります。
着床の時期に現れる代表的な症状5つ
ここまで、着床時に症状が現れる理由についてお話しました。次に、着床の時期に現れる代表的な症状を5つご紹介します。自身の状況に当てはめて確認していきましょう。
着床出血が起こる
受精卵が着床した際には出血が起こる可能性があります。この出血は着床出血と呼ばれており、着床時に子宮内膜が傷ついて発生します。
とはいえ、着床出血は妊娠した人全員に発生する症状ではありません。また、出血の度合いや量には個人差があり、ティッシュで拭き取れるほど少量の方、生理と同等の出血量の方といったように人それぞれです。
なお、着床出血が発生するタイミングは生理予定日の前後であるため、生理と区別がつきにくいという特徴もあります。通常、着床時の出血は1〜4日ほどで収まりますが、悪化した際には病院やクリニックを受診しましょう。
着床痛が発生する
受精卵が着床したタイミングで痛みが伴うことがあり、この痛みは着床痛と呼ばれます。痛みの度合いは人それぞれであり、下腹部に現れるチクチクとした痛みからツーンとした痛みなどさまざまです。先ほどの着床出血と同時期に発生するといわれています。
しかし、この着床痛は医学的に証明されているわけではなく、ほとんどの場合が勘違いや子宮の収縮によるものだとされています。妊娠後は身体にあらゆる変化が起こるため、たまたま感じた痛みを着床痛だと捉えてしまう傾向にあるのです。つまり、着床痛は妊娠を確定するものではないため、過度な信頼は持たないようにしましょう。
おりものが変化する
着床時に起こる代表的な症状として、おりものの変化があげられます。おりものが変化する原因は、妊娠による卵胞ホルモンと黄体ホルモンの分泌量が増加するためです。具体的には以下のような変化が考えられます。
- 量が増える
- 乳白色や薄い茶色に変化する
- 状態が水っぽくなる
- においが感じなくなる
妊娠後はおりものが変化したことにより、下着やおりものシートが以前よりも汚れるようになったと感じる方が多い傾向にあります。
身体のだるさや眠気が増す
妊娠後は身体のだるさや眠気が増すことがあります。これは、黄体ホルモンやhCGホルモンの影響だとされており、具体的には、身体がだるくて朝起きられない、中々やる気が起きない、日中に眠くなるなどが考えられます。また、風邪に似たような症状が現れることもあります。
妊娠初期に現れやすい症状であるため、過度な心配はしないで身体を休めて安静にしましょう。また、妊娠の可能性があるときは眠いからといって、カフェインを含む食品はなるべくとらないようにしましょう。カフェインを多量に摂取すると、胎児に悪影響を与える可能性があるためです。
基礎体温が高くなる
着床が完了すると、ほとんどのケースで基礎体温が高まります。着床後は妊娠を維持する黄体ホルモンの働きが高まるためであり、ほてりや身体の熱っぽさが伴うことも考えられます。
生理周期が整っている方の場合、生理開始から低温期が約2週間続きます。その後に排卵が起こって体温は上昇し、次の生理が始まるまでの2週間は高温期となります。しかし、妊娠が完了すると生理が訪れないため、生理予定日になっても高温期が続きます。基礎体温を記録している方であればわかりやすく、1週間ほど生理予定日を過ぎても高温期が続くのであれば妊娠の可能性が持たれます。
妊娠初期症状が現れたあとの妊娠検査薬について
着床時に現れる症状は大まかに理解できたかと思います。それら妊娠初期症状が現れて妊娠の可能性が持たれたあとは、妊娠検査薬を使用して妊娠の有無を調べる方法があります。
妊娠検査薬とは、妊娠後に分泌されるhCGホルモンで妊娠の有無を確認する検査のことです。通常、hCGホルモンは妊娠していない女性には検出されないため、非常に高い精度で着床完了を検査できます。
この妊娠検査薬は妊娠4週以降に使用されることが推奨されており、妊娠3週未満に検査すると誤った陰性判定が出てしまう可能性があるため注意しましょう。妊娠検査薬で偽陰性が出る要因は下記のとおりです。
- フライング検査
- 性腺刺激ホルモン剤の使用
- 異所性HCG産生腫瘍などの病気
なお、妊娠検査薬は妊娠を100%証明するものではありません。そのため陽性反応が出たあとは産婦人科を受診し、妊娠の有無を確定させましょう。
妊娠検査薬については詳しくはこちらをご覧ください。
産婦人科での受診
妊娠検査薬で陽性反応が出たあとは、妊娠5~6週を目安に産婦人科を受診しましょう。産婦人科受診の流れについてはこちらをご参照ください。
まとめ
本記事では、着床時に症状が現れる理由、着床時の代表的な症状を解説しました。
妊娠のスタートは受精日や着床日ではなく、最後の月経が始まった日を0週0日としてカウントしていくため、受精卵の着床時には妊娠3週の状態から始まります。妊娠初期症状は早い方だと妊娠3週から現れ始め、着床出血や着床痛、基礎体温の上昇などが見られることがあります。
それら妊娠初期症状が発生して妊娠の疑いが持たれた場合、妊娠検査薬を使用して着床完了の有無を調べましょう。とはいえ100%正確な検査ではないため、陽性反応が出たら産婦人科を受診することをおすすめします。
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