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待ちに待った妊娠が確認されたのも束の間。喜びや不安などママの胸の中にはさまざまな思いが巡りますが、それとほぼ同時にやってくるのが、「つわり」です。
つわりとは、妊娠初期に生じる消化器の不快な症状や体調不良のことです。症状や程度に個人差はあるものの、全妊婦さんの約5割から8割が経験するといわれています。
つわりというと、一般的には嘔吐したりにおいに敏感になったりするイメージがありますが、他にもさまざまな症状があり、一概に食事が取れなくなるわけではありません。
しかし、中には母体が危険な状態になるほど重症化してしまうケースもあります。そのため、つわりの症状が重いことを不安に感じている妊婦さんもいるのではないでしょうか。
原因については、まだこれというはっきりとしたことはわかっていませんが、いくつか有力な説があります。
この記事では、つわりの詳細と原理、重症化しやすい妊婦さんの特徴と受診のタイミングについてご紹介します。
つわりの期間や症状
一般的に妊娠初期に起こり、妊婦さんを苦しめるつわり。その期間や症状の程度には個人差があることはよく知られています。とはいえ、つわりが重くなってしまうと「こんなに嘔吐してしまってお腹の赤ちゃんは苦しくないのかしら?」と心配になってしまいますよね。
ここでは、つわりの期間や症状についてご紹介します。
つわりの期間はどのくらい?
つわりは妊娠5週目〜妊娠8週目頃からはじまります。そして、妊娠16週目〜妊娠19週目になる頃には徐々に治っていくのが一般的です。ただし、つわりの期間には個人差があるため、長いと出産まで続くことも。
つわりの症状がいつはじまり、いつまで続くのかは人それぞれ違います。また、1人目の妊娠と2人目の妊娠のときでは症状が異なることもあります。
一般的に、つわりのピークといわれているのは妊娠9週目前後です。今はつらくてもいつか症状は治ります。あまり神経質になりすぎず、自分に合った対処法を見つけるようにしましょう。
つわりの代表的な症状とは
つわりの代表的な症状には、以下のようなものがあります。
- 吐き気
- 嘔吐
- 胃もたれ、胸のムカつき
- においに敏感になる
- つばがたくさん出る
- 眠気
- だるい
- なにか食べていないと気持ちが悪い
- イライラする
- 頭痛
- 食欲不振
- めまい、立ちくらみ
つわりの症状は人それぞれ違いますが、もっともよく耳にするのは吐き気や嘔吐などではないでしょうか。
つわりは、症状で分けると以下のような5つのタイプがあります。
- 吐きづわり
- 食べづわり
- 眠りづわり
- においづわり
- よだれづわり
妊娠初期は、体が休むように要求しています。この時期は、体の信号に従ってとにかく体を休めるようにしましょう。
また、つわりの時期は食べられなかったり、今まで平気だったもののにおいがダメになったりします。そういうときは、栄養バランスよりも食べられるものを優先して、食べられる分を少しずつ食べるようにするとよいでしょう。
つわりの原理とは
そもそも、妊娠初期に妊婦さんを悩ませるつわりは、なぜ起こるのでしょうか?
実は、つわりがなぜ起こるのかその原理についてはまだ詳しく明らかになっていません。しかし、妊娠によって起こる3つの点が関係していることが有力だと考えられています。
ここでは、つわりの原理についてご紹介します。
ホルモンの分泌量の影響
つわりは、妊娠したことによって体の中が急激に変化することで起こるといわれています。
とくに、「hCGホルモン(ヒト絨毛性ゴナドトロピン)」「プロゲステロン(黄体ホルモン)」「エストロゲン(卵胞ホルモン)」の影響が大きいようです。
hCGホルモン(ヒト絨毛性ゴナドトロピン)とは、子宮に着床した瞬間から分泌されるホルモンです。一般的に妊娠5週目頃から急激に分泌量が増加し、妊娠10週目頃にはピークを迎えます。
その後、hCGホルモン(ヒト絨毛性ゴナドトロピン)の分泌量は急激に減少し続け、大体妊娠15週目から妊娠20週目頃になる頃に落ちつきます。
もうお気づきの方もいるかもしれませんが、このhCGホルモン(ヒト絨毛性ゴナドトロピン)の分泌量の変化は、つわりがはじまる時期や治る時期とほとんど被っているのです。
これが、hCGホルモン(ヒト絨毛性ゴナドトロピン)がつわりと関係しているといわれる理由です。
また、hCGホルモン(ヒト絨毛性ゴナドトロピン)は、プロゲステロン(黄体ホルモン)やエストロゲン(卵胞ホルモン)の分泌量を増加させる作用も。
プロゲステロン(黄体ホルモン)には妊娠を維持する役割があります。ほかにも、腸の働きを抑制する作用があり、体内にガスが溜まりやすくなることで吐き気などを誘発してしまうのです。
一方、エストロゲン(卵胞ホルモン)はもともと吐き気や嘔吐を誘発する作用があります。そのため、妊娠によってエストロゲン(卵胞ホルモン)の分泌量が増加すると、症状が出る可能性も高まってしまうのです。
ミネラルバランスの変化
つわりには、妊娠によって体内のミネラルバランスが変化することも関係しているといわれています。というのも、つわりの症状がある方の血液を調べてみると、マグネシウムやカリウムなどが不足していることがわかっているからです。
そして、マグネシウムやカリウムが不足するのと同じ時期に、カルシウムの分泌量が高くなる傾向にあることもわかっています。すると、胃液の分泌量が増加して、胃のムカつき感や吐き気が起こりやすくなるのです。
さらに、ビタミンB6が不足するとつわりの症状が重くなるといわれています。
ビタミン不足になると、代謝障害や血糖値の変化などが起こります。この代謝の変化は、体内の血液量や栄養素のバランスにも影響を与えるため、体調不良の原因になる可能性があるのです。
一般的に、お肉が好きな方やジャンクフードを食べる機会の多い方は栄養が偏ってしまうため、つわりがひどくなりやすいといわれています。
また、つわりの時期にジャンクフードが無性に食べたくなるのは、ナトリウム不足のためだともいわれています。
精神的な負担によるもの
以下は、妊婦さんに起こりやすいストレスの原因です。
- はじめての妊娠や出産への不安
- 生活への不安
- 仕事のストレス
- 夫婦間の問題
- 家族間のトラブル
つわりは、精神的な負担からひどくなることも化学的に証明されている事実です。気にするとひどくなってしまうため、気にしすぎないようにしましょう。
つわりの吐き気は、胎児に悪い食べ物を避けているともいわれています。つらい症状もいつかは必ず終わると思って、気楽に過ごせるとよいですね。
重症化しやすい妊婦さんの特徴と受診のタイミング
つわりが重症化すると「妊娠悪阻」という状態になってしまうのをご存知ですか?
つわりの時期は、食事が取れなくてもどうにかなりますが、水分まで摂取できなくなってしまうと体にさまざまな影響が出てきます。
妊娠悪阻になるのは妊婦全体の0.1%から0.5%程度だとされていますが、急激に体重が減った、脱水や栄養不足などの症状がある場合は注意が必要です。
ここでは、つわりが重症化しやすい妊婦さんの特徴についてご紹介します。
つわりが重症化しやすい妊婦さんの特徴
一般的につわりの症状が現れるのは初産婦さんに多いといわれていますが、重症化しやすいのは経産婦さんです。
以下は、つわりが重症化しやすい妊婦さんの特徴です。
- 以前妊娠悪阻になったことがある
- 双子や三つ子などの多胎出産の経験がある
- 妊娠高血圧症などの既往歴がある
- 家族で妊娠悪阻になった方がいる
- 精神的ストレスを抱えている
つわりが重症化して妊娠悪阻になってしまうと、栄養障害や代謝障害を起こしてしまいます。また、適切な治療を受けないと肝障害や腎障害、脳障害などが起こる可能性もあり、最悪の場合死に至るケースもあります。
受診のタイミング
重いつわりで病院を受診するタイミングは、妊婦さん本人がつらいと感じているかどうかですが、一般的にはどのような症状があるときに病院を受診する方が多いのでしょうか。
以下は、つわりで受診する目安です。
- 食べても吐いてしまう
- 水を飲んでも吐いてしまう
- 温かい食べ物のにおいや湯気で吐いてしまう
- 体がだるくて起き上がるのがつらい
- 料理ができない
- お風呂に入るのがつらい
- 経口補水液OS-1を飲んで美味しいと感じる
病院では、点滴での栄養と水分の補給や投薬治療などを行います。つわりが重いときは、入院して治療を受けた方が精神的にも肉体的にも楽になるケースが多いです。
点滴治療は妊娠悪阻の予防にもなりますので、医師に入院を勧められたときは従った方が安心です。
まとめ
つわりの詳細と原理、重症化しやすい妊婦さんの特徴と受診のタイミングについてご紹介しました。
つわりが起こる原理は、現在のところはっきりとわかっていませんが、妊娠によって起こるホルモンの分泌量の変化や精神的なストレスなどが大きく関わっているといわれています。
妊娠初期のホルモンの変化は避けられない重要な過程です。そのため、精神的な面だけでも楽な状態でいられるようにしたいものです。
つわりの症状がひどいときは、無理をせずゆったりと過ごせるように、パートナーや家族にも協力してもらうとよいでしょう。
つわりの原理が気になる方、つわりがひどくてつらい思いをしている方はぜひ本記事を参考にしてみてくださいね。
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